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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1374272
審判番号 不服2020-3894  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-23 
確定日 2021-06-01 
事件の表示 特願2017-209883「コンピュータ,変換システム,変換方法,プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月25日出願公開、特開2018- 14151、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年9月30日に出願した特願2014-213139号の一部を平成27年9月11日に新たな特許出願とした特願2015-180050号の一部を平成28年3月3日に新たな特許出願とした特願2016-41550号の一部を平成29年10月31日に新たな特許出願としたものであって、平成30年12月17日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年2月14日付けで手続補正がされ、令和元年7月24日付けで拒絶理由通知がされ、令和2年2月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和2年3月23日に拒絶査定不服審判の請求がされ、令和3年1月7日付けで拒絶理由通知(本通知に係る拒絶の理由を、以下、「当審拒絶理由」という。)がされ、令和3年3月2日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年2月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



・請求項 1?5、7?9
各請求項の記載では、第2言語に変換されたメニュー属性と、メニューを構成する他の情報との関係が不明確で、請求項に係る発明をまとまりのある一の技術思想として把握できない。
詳述すると、各請求項に係る発明でいう「メニュー属性」は、「メニューに用いられる複数の調味料及びメニューの複数の料理方法のうちのいずれかを含む」と規定されており、例えば調味料のみ、料理方法のみといった情報でもメニュー属性に該当すると解される。しかしながら、これらの情報だけで飲食店のメニューが構成できるものでないことは明らかである。したがって、「メニュー属性」は、メニューを構成する他の情報と関連付けられており、一緒に出力されるものと解される。ところが、各請求項の記載では、メニュー属性以外の、メニューを構成する他の情報がどこから得られ、メニュー属性とどのように関連付けられるのかが明確でない。

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1、4?5、7?9に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

1.特願2014-071991号(特開2015-194857号)

第4 本願発明
本願請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明8」という。)は、令和3年3月2日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1?8は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
複数の食材、メニューに用いられる複数の調味料及びメニューの複数の料理方法のうちの少なくとも2種類を含むメニュー属性の中から第1言語によるメニュー属性の選択入力を受け付けるメニュー属性処理部と、
前記メニュー属性についての第1言語と第2言語による対応関係に基づいて、前記メニュー属性処理部により受け付けられた前記第1言語による前記メニュー属性を第2言語に変換する入力情報外国語変換処理部と、
前記入力情報外国語変換処理部により前記第2言語に変換された前記メニュー属性を含むメニューの情報を通信可能な端末に出力する処理部と、
前記メニュー属性の種類ごとに対応して設けられ当該メニュー属性の選択入力を受け付けるための選択肢となる情報が記憶された記憶部と、
を備え、
前記メニュー属性処理部は、選択入力の対象となる前記メニュー属性の種類が選択された場合に、選択された前記メニュー属性の種類に対応する前記記憶部に記憶されている前記選択肢の情報のみを選択入力の選択肢として表示させ、当該選択肢の選択操作を受け付ける、
コンピュータ。
【請求項2】
前記メニュー属性に対応付けられたメニュージャンルの選択入力を受け付けるメニュージャンル入力受付処理部を備え、
前記メニュー属性処理部は、前記メニュージャンル入力受付処理部により受け付けられた前記メニュージャンルに対応するメニュー属性を抽出し、該抽出したメニュー属性を前記第1言語によるメニュー属性の入力として受け付ける、
請求項1に記載のコンピュータ。
【請求項3】
前記メニュージャンル入力受付処理部により受け付けられた前記メニュージャンルに対応するメニュー紹介文を、前記メニュージャンルと前記第1言語によるメニュー紹介文との対応関係に基づいて抽出し、該抽出したメニュー紹介文を前記第1言語によるメニュー紹介文として受け付けるメニュー紹介文処理部と、
を備え、
前記入力情報外国語変換処理部は、前記メニュー紹介文についての第1言語と第2言語による対応関係に基づいて、前記メニュー紹介文処理部により受け付けられた前記第1言語による前記メニュー紹介文を第2言語に変換する、
請求項2に記載のコンピュータ。
【請求項4】
前記メニュー属性についての第1言語と第2言語による対応関係を記憶する外国語対応用語記憶部を備え、
前記外国語変換処理部は、前記外国語対応用語記憶部に記憶されている前記対応関係に基づいて、前記メニュー属性処理部により受け付けられる前記第1言語による前記メニュー属性を第2言語に変換する、
請求項1?3のいずれかに記載のコンピュータ。
【請求項5】
メニュー名の入力を受け付けるメニュー名入力受付処理部と、
前記メニュー名入力受付処理部により受け付けられた前記メニュー名と前記入力情報外国語変換処理部により前記第2言語に変換されたメニュー属性とをメニュー情報として生成するメニュー情報処理部と、
を備える、
請求項1?4のいずれかに記載のコンピュータ。
【請求項6】
複数の食材、メニューに用いられる複数の調味料及びメニューの複数の料理方法のうちの少なくとも2種類を含むメニュー属性の中から第1言語によるメニュー属性の選択入力を受け付けるメニュー属性処理部と、
前記メニュー属性についての第1言語と第2言語による対応関係に基づいて、前記メニュー属性処理部により受け付けられた前記第1言語による前記メニュー属性を第2言語に変換する入力情報外国語変換処理部と、
前記入力情報外国語変換処理部により前記第2言語に変換された前記メニュー属性を含むメニューの情報を通信可能な端末に出力する処理部と、
前記メニュー属性の種類ごとに対応して設けられ当該メニュー属性の選択入力を受け付けるための選択肢となる情報が記憶された記憶部と、
を備え、
前記メニュー属性処理部は、選択入力の対象となる前記メニュー属性の種類が選択された場合に、選択された前記メニュー属性の種類に対応する前記記憶部に記憶されている前記選択肢の情報のみを選択入力の選択肢として表示させ、当該選択肢の選択操作を受け付ける、
変換システム。
【請求項7】
複数の食材、メニューに用いられる複数の調味料及びメニューの複数の料理方法のうちの少なくとも2種類を含むメニュー属性の中から第1言語によるメニュー属性の選択入力を受け付ける第1ステップと、
前記メニュー属性についての第1言語と第2言語による対応関係に基づいて、前記ステップで受け付けられた前記第1言語による前記メニュー属性を第2言語に変換するステップと、
前記第2言語に変換された前記メニュー属性を含むメニューの情報を通信可能な端末に出力するステップと、
をコンピュータにより実行する変換方法であって、
前記第1ステップは、選択入力の対象となる前記メニュー属性の種類が選択された場合に、前記メニュー属性の種類ごとに対応して設けられ当該メニュー属性の選択入力を受け付けるための選択肢となる情報が記憶された記憶部のうち、選択された前記メニュー属性の種類に対応する前記記憶部に記憶されている前記選択肢の情報のみを選択入力の選択肢として表示させ、当該選択肢の選択操作を受け付ける、
変換方法。
【請求項8】
コンピュータに、
複数の食材、メニューに用いられる複数の調味料及びメニューの複数の料理方法のうちの少なくとも2種類を含むメニュー属性の中から第1言語によるメニュー属性の選択入力を受け付ける第1ステップと、
前記メニュー属性についての第1言語と第2言語による対応関係に基づいて、前記ステップで受け付けられた前記第1言語による前記メニュー属性を第2言語に変換するステップと、
前記第2言語に変換された前記メニュー属性を含むメニューの情報を通信可能な端末に出力するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記第1ステップは、選択入力の対象となる前記メニュー属性の種類が選択された場合に、前記メニュー属性の種類ごとに対応して設けられ当該メニュー属性の選択入力を受け付けるための選択肢となる情報が記憶された記憶部のうち、選択された前記メニュー属性の種類に対応する前記記憶部に記憶されている前記選択肢の情報のみを選択入力の選択肢として表示させ、当該選択肢の選択操作を受け付ける、
プログラム。」

第5 先願明細書等記載の発明

1 先願明細書等に記載された事項
本願の原出願日(平成26年9月30日)前の他の特許出願(出願日:平成26年3月31日)であって、本願の原出願日後に出願公開(公開日:平成27年11月5日)された、先願1(特願2014-071991号(特開2015-194857号))の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は、当審が付与した。)

「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外国観光客の増加が予想される中、特許文献1の技術を誰でも利用できるわけではないので、小規模なレストラン等で多言語のメニューの配備が要求されている。
しかしながら、小規模なレストラン等が、多言語のメニューを自身で作成する場合には多大な負荷がかかる一方、翻訳会社等他者に依頼する場合には多大なコストがかかる。即ち、小規模なレストラン等にとって多言語メニューを配備することは困難な状況である。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、低負荷及び低コストで多言語メニューを容易に作成できるようにすることを目的とする。」

「【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示している。
図1に示す情報処理システムは、サービス提供者サーバ11と、店舗端末12と、店舗HP保存サーバ13とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されて構成されている。」

「【0027】
メニュー作成処理が実行される場合には、サービス提供者サーバ11の主にCPU21においては、図3に示すように、メニュー作成GUI提供部51と、デフォルトメニュー作成部52と、オリジナルメニュー作成部53と、HP作成部54とが機能する。
また、サービス提供者サーバ11の記憶部28の一領域には、図3に示すように、デフォルトメニューDB61と、食材要素DB62と、調理方法要素DB63と、味付要素DB64と、その他要素DB65と、店舗メニュー保存部66が設けられる。」

「【0031】
オリジナルメニュー作成部53は、上述のようにメニュー作成GUI提供部51によりオリジナルメニュー作成用のGUIが店舗端末12に提供されている際に機能し、オリジナルメニューを作成し、店舗メニュー保存部36に保存する。」

「【0033】
そこで、本実施形態では、店主等により料理の説明が要素単位で入力さると、その入力内容に基づいて料理のオリジナル説明文を自動的に作成する機能が、オリジナルメニュー作成部53に備えられている。
ここで、料理のオリジナル説明文は、当然ながら、日本語のみならず、他言語(本実施形態では上述の10種の言語)のものが夫々作成される。
しかし、店主等は、店舗端末12に対する操作としては、日本語の各要素を入力するだけでよい。つまり、料理の説明が日本語の各要素で入力されると、日本語のオリジナル説明文が自動的に作成され、さらに、他言語(本実施形態では上述の10種の言語)夫々に自動的に翻訳されて、多言語の夫々のオリジナル説明文が自動的に作成される。
【0034】
ここで、所定の1つの料理は、「食材」、「調理方法」、及び「味付」といった3種類の要素の組み合せで、大よそ説明することが可能である。
そこで、本実施形態では、料理のオリジナルの説明文の基本要素として、「食材」、「調理方法」、及び「味付」といった3種類の要素が採用されている。つまり、店主等は、料理の説明として、これら3種類の各要素を入力すればよい。
さらに、本実施形態では、これら3種類の基本要素に対してさらに、スパイス等の「その他要素」もされている。これにより、料理の説明を幅広くすることができる。つまり、店主等は、凝った料理の説明をしたい場合等には、さらに、その他要素を入力してもよい。
なお、「その他要素」は、本実施形態のように1種類としてまとめるのではなく、複数の別種類に分割してもよい。例えばカルパッチョ等の「料理名」は、本実施形態では「その他要素」に含まれているが、「その他要素」から独立させて「料理名」という要素として取り扱うことも当然に可能である。
このように、本実施形態では、「食材」、「調理方法」、及び「味付」の基本要素に「その他要素」を加えた4種の要素が、店主等により入力可能なように用意されている。
なお、後述するように、店主等は、基本要素を含め4種の要素の全てを入力する必要は特になく、任意の種類の任意の要素を任意の個数だけ入力することができる。ここで、同一種類の複数の要素が選択されること、例えば「食材」として複数の素材が選択されることは特に構わない。つまり、所定種類の要素の入力可能な数は、0個を含め任意である。
【0035】
本実施形態では、このような「食材」、「調理方法」、「味付」、及び「その他要素」の4種毎に夫々、各要素を日本語及び1以上の他言語の夫々の表現形態で一括登録した辞書が設けられている。」

「【図5】


「【0036】
図5は、食材要素DB62に記憶されている食材辞書を示している。
食材辞書において、所定の1行は所定の食材(要素)に対応しており、1列名には当該食材の日本語の表現形態が、2列名以降については当該食材の他言語の表現形態(翻訳語)が、例えば2列目には当該食材の英語の表現形態が、夫々格納されている。
例えば、第1行目は、「オレガノ」という食材(要素)に対応している。この第1行目から、この食材の日本語の表現形態は「オレガノ」であり、当該食材の英語の表現形態は「OREGANO」であることが容易にわかる。」

「【図6】


「【0037】
図6は、調理方法要素DB63に記憶されている調理方法辞書を示している。
調理方法辞書において、所定の1行は所定の食材(要素)に対応しており、1列名には当該調理方法の日本語の表示形態が、2列名以降については当該調理方法の他言語の表現形態(翻訳語)が、例えば2列目には当該調理方法の英語の表現形態が、夫々格納されている。
例えば、第1行目は、「煮る」という食材(要素)に対応している。この第1行目から、この調理方法の日本語の表示形態は「煮る」であり、当該調理方法の英語の表示形態は「BOIL」であることが容易にわかる。
【0038】
同様に図示はしないが、味付辞書が、味付要素DB64に記憶されている。
味付辞書において、所定の1行は所定の味付(要素)に対応しており、1列名には当該味付の日本語が、2列名以降については当該味付の他言語の表現形態(翻訳語)が、例えば2列目には当該味付の英語の表現形態が、夫々格納されている。
また、その他要素辞書が、その他要素DB65に記憶されている。
その他要素辞書において、所定の1行は所定の「その他要素」に対応しており、1列名には当該「その他要素」の日本語の表現形態が、2列名以降については当該「その他要素」の他言語の表現形態(翻訳語)が、例えば2列目には当該「その他要素」の英語の表現形態が、夫々格納されている。
【0039】
図3に戻り、オリジナルメニュー作成部53は、要素入力受付部71と、日本語メニュー作成部72と、外国語メニュー作成部73とを備えている。
【0040】
要素入力受付部71は、「食材」、「調理方法」、「味付」、及び「その他要素」の4種毎に、店舗端末12において入力された1以上の要素を受け付ける。」

「【図7】


「【0041】
図7は、オリジナルメニュー作成用のGUIの一例である。
即ち、オリジナルメニューの作成に際し、本実施形態では図7に示すようなGUIがメニュー作成GUI提供部51から店舗端末12に提供される。
店主等は、店舗端末12に提供(表示)されたGUIを用いて、所望の要素を1以上入力することで、料理のオリジナル説明文を作成していく。
【0042】
具体的には先ず、図7の上方のGUIが提供される。
このGUIでは、要素入力用の入力ボックスW1?W4と、各要素間の接続語入力用の入力ボックスU1?U3が配置される。なお、要素の選択入力用の入力ボックスの個数は、図7に示す4個に限定されず、任意の個数で構わないことは言うまでもない。
【0043】
店主等は、各入力ボックスW1?W4の夫々に対して、所望の要素を1つずつ日本語で入力する。
【0044】
ここで、各入力ボックスW1?W4の夫々に対して入力可能な要素の種類は、本実施形態では入力者(店主等)の自由度を重視するために任意とされているが、わかりやすさを重視する等の場合には限定してもよい。
例えば、入力ボックスW1は「食材」の入力用、入力ボックスW2は「調理方法」の入力用、入力ボックスW3は「味付」の入力用、及び入力ボックスW4は「その他要素」の入力用の夫々に限定することもできる。
なお、この場合、所定種類の要素専用の入力ボックスの個数は、特に1つに限定されず、任意の個数でよい。例えば、「食材」の入力用として3個の入力ボックスを設け、「調理方法」の入力用として2個の入力ボックスを設けるといったこともできる。
【0045】
ここで、要素については、予め決められた候補から選択入力できるようにしてもよいが、各要素の候補は非常に多数になるため、図7の例のように店主等が自由に入力できるようにするとよい。
ただし、食材要素DB62?その他要素DB65の各辞書に登録されていない要素が入力された場合、当該要素を日本語以外の言語に翻訳することができず、その結果、多言語のオリジナルメニューの作成が困難になってしまう。
そこで、本実施形態では、店主等は、各入力ボックスW1?W4の夫々に対して入力した要素が辞書内に登録済みか否かを検索する操作、例えば図示はしないが検索ボタンの押下操作をする。
要素入力受付部71は、この操作に従って、各入力ボックスW1?W4の夫々に対して入力された要素について、食材要素DB62?その他要素DB65から検索を試みる。
要素入力受付部71は、検索に成功した場合、つまり、入力された要素が辞書に登録されていた場合、当該要素の入力を受け付ける。この場合、入力が受け付けられた要素は、図7の下方に示すように各入力ボックスW1?W4の内の表示が継続される。即ち、図7の例では、全要素が辞書に登録されていたため、入力が受け付けられたことを示している。
これに対して、要素入力受付部71は、検索に成失敗した場合、つまり、入力された要素が辞書に未登録の場合、当該要素の入力の受け付けを禁止する。この場合、各入力ボックスW1?W4のうち、入力の受け付けが禁止されたボックスにおいては、図示はしないが、各要素の表示が消去されたり、所定のエラーメッセージが表示される。
なお、未登録の要素を辞書に登録できる機能をサービス提供者サーバ11に設けてもよい。この場合、登録後に、当該要素は要素入力受付部71によって受け付けられる。」

「【0049】
外国語メニュー作成部73は、このようにして日本語メニュー作成部72によって日本語で作成された料理のオリジナル説明文を、1以上の他言語(本実施形態では上述の10種の言語)の夫々に翻訳することで、料理のオリジナル説明文を1以上の他言語で夫々作成する。
ここで、外国語メニュー作成部73は、いわゆる機械翻訳で、料理のオリジナル説明文を日本語から他言語に翻訳してもよい。ただし、この場合、誤訳が多くなり、最悪の場合、そのままでは外国人に通じない説明文になってしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、外国語メニュー作成部73は、各要素及び各接続語単位で翻訳し、各接続語の意味内容及び各言語の文法(各言語の序列)に基づいて、翻訳語の各要素及び各接続語を並び替えることで、他言語の料理のオリジナル説明文を作成する。」

「【図9】


「【0051】
図9は、図8とは異なる例であって、日本語の料理のオリジナルの説明文が他言語に翻訳された結果の一例を示している。
図9の例では、一番上の日本語の料理のオリジナル説明文JM1が、各枠内の各要素及び各枠間の接続語単位で翻訳され、各接続語の意味内容及び各言語の文法(各言語の序列)に基づいて、翻訳語の各要素及び各接続語が並び替えられることで、他言語の料理のオリジナルの説明文EM1?DM1等が作成される。
なお、図9の例では、説明の便宜上、英語による料理のオリジナル説明文EM1、中国語(簡体)による料理のオリジナル説明文CM1、中国語(簡体)による料理のオリジナル説明文CM1、中国語(繁体)による料理のオリジナル説明文CM2、韓国語による料理のオリジナル説明文KM1、及びドイツ語による料理のオリジナル説明文DM1のみが図示されているが、当然ながらその他の言語による料理のオリジナル説明文も作成される。
【0052】
このようにして、各料理のオリジナル説明文が多言語(本実施形態では日本語と上述の10種の言語)により作成され、それらが各言語毎にまとめられることで、オリジナルメニューが各言語毎に作成される。
このオリジナルメニューは店舗メニューとして各言語毎に、図3の店舗メニュー保存部66に保存される。
【0053】
HP作成部54は、このような多言語の店舗メニューをコンテンツに含むように、店舗のHPを作成して、店舗HP保存サーバ13にアップロードする。
店舗HP保存サーバ13は、ネットワークN(図1)に接続された状態で、店舗のHPを保存し、アクセスしてきたものに対して当該店舗のHPを提示する。」

2 先願明細書等に記載の技術的事項
上記記載によれば、先願明細書等には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

ア 先願明細書の段落【0027】の「サービス提供者サーバ11の主にCPU21において」「オリジナルメニュー作成部53と、HP作成部54とが機能する」という記載と、段落【0039】の「オリジナルメニュー作成部53は、要素入力受付部71と、外国語メニュー作成部73とを備えている。」という記載とによれば、先願明細書等に記載のサービス提供者サーバ11は、HP作成部54と、オリジナルメニュー作成部53と、その、要素入力受付部71と、外国語メニュー作成部73と、を備えるものである。

イ 先願明細書の段落【0045】の「食材要素DB62?その他要素DB65の各辞書に登録されていない要素が入力された場合、当該要素を日本語以外の言語に翻訳することができず」という記載によれば、先願明細書等に記載の外国語メニュー作成部73がする要素の翻訳は、食材要素DB62?その他要素DB65の各辞書を用いてすることは明らかである。
また、先願明細書の段落【0035】の「「食材」、「調理方法」、「味付」、及び「その他要素」の4種毎に夫々、各要素を日本語及び1以上の他言語の夫々の表現形態で一括登録した辞書が設けられている。」という記載によれば、先願明細書等に記載の辞書は、各要素について日本語と他言語との対応関係を示すものである。

3 先願発明
上記1、2によれば、先願明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。
「「食材」、「調理方法」、「味付」、及び「その他要素」の4種毎に、予め決められた候補からの選択入力により、日本語で、店舗端末12において入力された1以上の要素を受け付ける要素入力受付部(1の【0040】-【0045】)と、
ここで、
「調理方法」は「煮る」、「焼」、「鍋物」、「天ぷら」を含み(1の【図6】、【0037】)、
要素は、「ほうれん草」、「蕗の薹」、「マッシュルーム」(1の【図7】、【0041】)、「ワカサギ」、「タイ」、「野菜」、「味噌味」(1の【図9】、【0051】)を含み、
各要素について日本語と他言語との対応関係を示す辞書を用いて、要素単位での翻訳をして翻訳語の各要素とし、翻訳語の各要素を並び替えることで、他言語の料理のオリジナル説明文を作成する外国語メニュー作成部(1の【0049】、2のイ)と、
日本語と他言語の各料理のオリジナル説明文を各言語毎にまとめることで、各言語毎のオリジナルメニューを作成し、店舗メニューとして店舗メニュー保存部に保存するオリジナルメニュー作成部(1の【0031】、【0052】)と、
店舗メニューをコンテンツに含むように店舗のHPを作成して、アクセスしてきたものに対して当該店舗のHPを提示する店舗HP保存サーバにアップロードするHP作成部(1の【0053】)と、
を備えるサービス提供サーバ(2のア)。」

第6 対比・判断

1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と先願発明とを対比する。

ア 「メニュー属性処理部」について
先願発明の「要素」に含まれる、「ほうれん草」、「蕗の薹」、「マッシュルーム」、「ワカサギ」、「タイ」、「野菜」は、本願発明1の「複数の食材」に相当する。
また、先願発明の「要素」に含まれる、「味噌味」の「味噌」は、一般に調味料と解され、本願発明1の「メニューに用いられる」「調味料」に相当する。また、メニューに関して、「味噌」の他にも調味料と解されるものが用いられることは一般常識であるから、「メニューに用いられる」「調味料」が複数あることは先願明細書等にも記載されているに等しいことである。
さらに、先願発明の「要素」に含まれる、「煮る」、「焼」、「鍋物」、「天ぷら」を含む「調理方法」は、本願発明1の「メニューの複数の料理方法」に相当する。
以上のことから、先願発明の「要素」は、本願発明1の「複数の食材、メニューに用いられる複数の調味料及びメニューの複数の料理方法のうちの少なくとも2種類を含むメニュー属性」に相当する。
そして、先願発明の「日本語」が本願発明1の「第1言語」に相当し、先願発明の要素の選択入力を受け付ける要素入力受付部が、本願発明1の「複数の食材、メニューに用いられる複数の調味料及びメニューの複数の料理方法のうちの少なくとも2種類を含むメニュー属性の中から第1言語によるメニュー属性の選択入力を受け付けるメニュー属性処理部」に相当する。

イ 「外国語変換処理部」について
先願発明の「他言語」は本願発明1の「第2言語」に相当する。
そして、先願発明の外国語メニュー作成部がする要素単位での翻訳は、日本語と他言語との対応関係を示す食材要素DB62?その他要素DB65の各辞書を用いて、前記要素入力受付部により受け付けられた日本語による要素を他言語に変換するものであるから、本願発明1の「前記メニュー属性についての第1言語と第2言語による対応関係に基づいて、前記メニュー属性処理部により受け付けられた前記第1言語による前記メニュー属性を第2言語に変換する入力情報外国語変換処理部」に相当する。

ウ 「処理部」について
先願発明の「翻訳語」は、イに検討した入力情報外国語変換処理部による第2言語への変換がされたものであるから、本願発明1の「前記入力情報外国語変換処理部により前記第2言語に変換された前記メニュー属性」に相当し、先願発明の「店舗メニュー」は、上記翻訳語の各要素を含む各料理のオリジナル説明文を各言語毎にまとめたメニューの情報であるから、本願発明1の「前記入力情報外国語変換処理部により前記第2言語に変換された前記メニュー属性を含むメニューの情報」に相当する。
また、ホームページへのアクセスが端末からの通信によりなされることは技術常識であるから、先願発明の「店舗メニュー」を含む店舗のHPを提示するための「アクセス」も、端末からの通信によりなされることは明らかで、当該端末は、本願発明1の「通信可能な端末」に相当する。
そして、先願発明の「HP作成部」と本願発明1の「処理部」とは、「メニューの情報」の出力先が、本願発明1の「処理部」では通信可能な端末であるのに対し、先願発明の「HP作成部」では通信可能な端末に出力する店舗HP保存サーバである点で相違するものの、「前記入力情報外国語変換処理部により前記第2言語に変換された前記メニュー属性を含むメニューの情報を通信可能な端末に向けて出力する処理部」で共通する。

エ 「記憶部」について
先願発明が受け付ける、予め決められた候補からの選択入力について、選択入力の候補となる選択肢となる情報を記憶する必要があることは技術常識であるから、先願発明が当該記憶をする構成を備えることは当業者に明らかである。
そして、先願発明の当該記憶をする構成と本願発明1の「記憶部」とは、本願発明1の「記憶部」では「前記メニュー属性の種類ごとに対応して設けられ」るのに対し、先願発明の当該記憶をする構成ではどのように記憶されるのかが特定されていない点で相違するものの、「当該メニュー属性の選択入力を受け付けるための選択肢となる情報が記憶された記憶部」で共通する。

オ 「メニュー属性処理部」による「選択操作」の「受け付け」について
本願発明1では「前記メニュー属性処理部は、選択入力の対象となる前記メニュー属性の種類が選択された場合に、選択された前記メニュー属性の種類に対応する前記記憶部に記憶されている前記選択肢の情報のみを選択入力の選択肢として表示させ、当該選択肢の選択操作を受け付ける」のに対し、先願発明はかかる構成を備えていない点で相違する。

カ 「コンピュータ」について
先願発明のサービス提供サーバは、上記の構成を備えるコンピュータであるから、上述の相違点を除き、本願発明1の「コンピュータ」に相当する。

以上のことから、本願発明1と先願発明とは、次の点で一致及び相違する。

<一致点>
「複数の食材、メニューに用いられる複数の調味料及びメニューの複数の料理方法のうちの少なくとも2種類を含むメニュー属性の中から第1言語によるメニュー属性の選択入力を受け付けるメニュー属性処理部と、
前記メニュー属性についての第1言語と第2言語による対応関係に基づいて、前記メニュー属性処理部により受け付けられた前記第1言語による前記メニュー属性を第2言語に変換する入力情報外国語変換処理部と、
前記入力情報外国語変換処理部により前記第2言語に変換された前記メニュー属性を含むメニューの情報を通信可能な端末に向けて出力する処理部と、
当該メニュー属性の選択入力を受け付けるための選択肢となる情報が記憶された記憶部と、
を備える
コンピュータ。」

<相違点>
(相違点1)
処理部によるメニューの情報の出力先が、本願発明1では通信可能な端末であるのに対し、先願発明では通信可能な端末に出力する店舗HP保存サーバである点。

(相違点2)
メニュー属性の選択入力を受け付けるための選択肢となる情報が記憶された記憶部が、本願発明1では「前記メニュー属性の種類ごとに対応して設けられ」るのに対し、先願発明ではどのように記憶されるのかが特定されていない点。

(相違点3)
本願発明1では「前記メニュー属性処理部は、選択入力の対象となる前記メニュー属性の種類が選択された場合に、選択された前記メニュー属性の種類に対応する前記記憶部に記憶されている前記選択肢の情報のみを選択入力の選択肢として表示させ、当該選択肢の選択操作を受け付ける」のに対し、先願発明はかかる構成を備えていない点

(2)相違点についての判断
上記(1)にて上述したとおり、本願発明1と先願発明とは相違点1ないし3を有するので、両者は同一ではない。以下、本願発明1と先願発明との間の相違点1ないし3について、課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)であって両者が実質同一であるかどうかについて検討する。

事案に鑑み、上記相違点2及び相違点3について検討する。
「メニュー属性の選択入力を受け付けるための選択肢」を「メニュー属性の種類」に対応する「記憶部」に記憶し、後者が選択された場合、選択された「メニュー属性の種類」に対応する「記憶部」に記憶されている選択肢の情報のみを表示させることは、このことによって「飲食店の入力の負担の軽減」(本願明細書段落【0020】)の観点から新たな効果を生じさせるから、相違点2および相違点3は、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1と先願発明とは実質同一であるとは認められない。

したがって、本願発明1は、先願発明と同一又は実質同一ではない。

2 本願発明2?5について
本願発明2?5は、それぞれ本願発明1を引用する発明であり、本願発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記1にて上述した理由と同様の理由により、先願発明と同一又は実質同一でない。

3 本願発明6?8について
本願発明6?8は、それぞれ本願発明1とカテゴリーの異なる発明であるから、上記1にて上述した理由と同様の理由により、先願発明と同一または実質同一ではない。

第7 原査定についての判断
本願発明1?8は、メニューの情報のうち、メニュー属性以外の他の情報がどこから得られるか、又は、メニュー属性とどのように関連付けられるのかを特定しない。
しかしながら、審判請求人が、当該事項は発明の本質的部分ではなく、本願発明1?8を特定するために必須の事項でもないとしているうえ、当該事項について発明特定事項が不足していることが技術常識に基づいて明らかであるともいえないから、メニュー属性以外の他の情報についての記載がないことをもって、本願発明1?8が不明確であるということはできない。
してみると、請求項1?8の記載は明確であって、本件発明1?8は特許を受けようとする発明が明確である。

第8 むすび
以上のとおり、原査定及び当審の拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-05-12 
出願番号 特願2017-209883(P2017-209883)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06Q)
P 1 8・ 16- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 成瀬 博之  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 後藤 嘉宏
相崎 裕恒
発明の名称 コンピュータ,変換システム,変換方法,プログラム  
代理人 種村 一幸  
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