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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A46B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A46B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A46B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A46B
管理番号 1374283
審判番号 不服2020-10257  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-28 
確定日 2021-05-17 
事件の表示 特願2017-39823号「ハミガキつきハブラシ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年8月9日出願公開、特開2018-122072号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年2月4日の出願であって、令和1年8月8日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内に意見書、補正書の提出はなく、令和2年2月28日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年5月28日(差出日)に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和2年5月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年5月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正前の記載
ア 本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
ハミガキ入りチュウブを取り換えることによりハミガキ入りチュウブがなくなるまで使用できる」

イ 本件補正前の明細書の記載
本件補正前の、願書に最初に添付された明細書(以下「当初明細書」という。また、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面を合わせたものを「当初明細書等」という。)は、以下の記載を含むものである。
「【0001】
本発明はハブラシとハミガキを一体型にして、いつでも使うことができるるようした、ハミガキ付きハブラシに関するものである。」

「【0004】
従来のハブラシは片手にハブラシ片手でハミガキを付けていたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、ハブラシとハミガキが一体なっているのでハミガキが必要になった場合でも、探す手間が省ける。」

「【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下発明の実施の形態を説明する。
(イ)キャップ(6)を開いててハミガキ入りチューブ(5)を本体に挿入する。
(ロ)キャップ(6)を本体に挿入したら蓋をする。
(ハ)キャップ(6)を蓋したらハミガキ入りチューブ(4)を押す。
(ニ)ハミガキ入りチューブ(4)を押したらハミガキがパイプ(3)を通過する。
(ホ)パイプ(3)を通過したハミガキは蓋(2)を押してブラシに出てくる。
(ト)ハミガキがハブラシについた状態になる。」

「【符号の説明】
【0008】
(1)ブラシ (2)蓋 (3)パイプ (4)ふた
(5)ハミガキ入りチューブ (6)キャップ (7)ハブラシ」

ウ 本件補正前の図面の記載
本件補正前の願書に最初に添付された図面は、以下のとおりである。
【図1】


【図2】


(2)本件補正後の記載
ア 本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「 【請求項1】
6歯ブラシ本体に 5練歯みがきを設けた。
練歯みがき付き歯ブラシ」

イ 本件補正後の明細書の記載
本件補正後の明細書は、以下の記載を含むものである。
「 【0001】
本発明は、練歯みがきと歯ブラシとを一体型にして
片手が不自由な時でも、もう片方の手で歯磨きが出来るようにした
練歯みがき付き歯ブラシに関するものである。」

「 【0004】
従来のハブラシは片手に歯ブラシもう片方の手に練歯みがきをつけて
両手を使用していた。
片手が不自由な人でも、もう片方の手で歯磨きが出来るようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、歯ブラシと練歯みがきとが一体となっているので歯ブラシを取り出すと練歯みがきが付いてくるので練歯みがきを付ける必要がなくなる。
片方の手が不自由な時でも両手で練歯みがきを付ける必要がなくなる。」

「 【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下発明の実施の形態を説明する
(イ) あらかじめ5練歯みがきを詰めておく。
(ロ) 4を押すと5練歯みがきが3移動する。
(ハ) 3、移動した5、練歯みがきは
(ニ) 2に出てくる
(ホ) 出て来た5練歯みがきは
(ヘ) 1ブラシに付く」

「【符号の説明】
【0008】
1ブラシ 2出口 3移動
4押す 5練歯みがき 6歯ブラシ本体」

ウ 本件補正後の図面の記載
本件補正後の図面は、以下のとおりである。
【図1】


【図2】


(3)本件補正の補正事項
本件補正には、以下の補正事項が含まれている。
〔補正事項1〕
本件補正前の請求項1に係る「ハミガキ入りチュウブを取り換えることによりハミガキ入りチュウブがなくなるまで使用できる」という発明を、本件補正後の請求項1に係る「6歯ブラシ本体に 5練歯みがきを設けた。練歯みがき付き歯ブラシ」という発明に補正する補正事項。

〔補正事項2〕
「【発明を実施するための最良の形態】」について、
本件補正前の段落【0006】の
「(イ)キャップ(6)を開いててハミガキ入りチューブ(5)を本体に挿入する。
(ロ)キャップ(6)を本体に挿入したら蓋をする。
(ハ)キャップ(6)を蓋したらハミガキ入りチューブ(4)を押す。
(ニ)ハミガキ入りチューブ(4)を押したらハミガキがパイプ(3)を通過する。
(ホ)パイプ(3)を通過したハミガキは蓋(2)を押してブラシに出てくる。
(ト)ハミガキがハブラシについた状態になる。」
なる記載を、本件補正後の段落【0006】の
「(イ) あらかじめ5練歯みがきを詰めておく。
(ロ) 4を押すと5練歯みがきが3移動する。
(ハ) 3、移動した5、練歯みがきは
(ニ) 2に出てくる
(ホ) 出て来た5練歯みがきは
(ヘ) 1ブラシに付く」
なる記載に補正する補正事項。

〔補正事項3〕
「【符号の説明】」について、
本件補正前の段落【0008】の
「(1)ブラシ (2)蓋 (3)パイプ (4)ふた
(5)ハミガキ入りチューブ (6)キャップ (7)ハブラシ」
なる記載を、本件補正後の段落【0008】の
「1ブラシ 2出口 3移動
4押す 5練歯みがき 6歯ブラシ本体」
なる記載に補正するとともに、
本件補正前の以下の図面を、
【図1】


【図2】


本件補正後の以下の図面に補正する補正事項。
【図1】


【図2】


2 補正の適否
(1)新規事項の追加の有無について
上記補正事項1により、請求項1から「ハミガキ入りチュウブを取り換える」なる記載が削除された。
また、上記補正事項2により、「ハミガキ入りチューブ(5)を本体に挿入する」なる記載が削除され、「あらかじめ5練歯みがきを詰めておく」なる記載が追加された。
さらに、上記補正事項3により、「【符号の説明】」の「(5)ハミガキ入りチューブ」及び図1及び図2の「5 ハミガキ入りチューブ」なる記載が削除され、いずれも「5 練歯みがき」なる記載に補正された。
上記補正事項1?3は、請求人も、審判請求書の「理由2(新規性)、理由3(進歩性)について」の項において「ハミガキを取り換えずに最初から充填することにしました。これによって新規性性があるようにに思われます。」と主張するとおり、本件補正前の当初明細書等には、「ハミガキ入りチューブ(5)を本体に挿入」し、「ハミガキ入りチューブを取り換え」可能とした構成しか記載されていなかったところ、本件補正により、ハミガキ入りチューブ(5)を本体に挿入することなく、6歯ブラシ本体に「あらかじめ5練歯みがきを詰めておく」もの、すなわち、本件補正後の請求項1記載の「6歯ブラシ本体に 5練歯みがきを設けた。練歯みがき付き歯ブラシ」に変更するものであって、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(2)目的外補正について
上記補正事項1は、本件補正前の請求項1に係る発明の「ハミガキ入りチュウブを取り換える」なる特定を削除し、ハミガキ入りチュウブを要しない、本件補正後の請求項1に係る発明の「6歯ブラシ本体に 5練歯みがきを設けた。」なる事項に補正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、上記補正事項1が、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的としたものでないことも明らかである。
したがって、本件補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明のいずれを目的としたものにも該当しないから、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。

3 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するのであり、また、同法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年5月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された、請求人が特定しようとする次の発明と認める。
「【請求項1】
ハミガキ入りチュウブを取り換えることによりハミガキ入りチュウブがなくなるまで使用できる」

なお、上記請求項1の記載は、末尾の記載がなく発明のカテゴリーが明確でないともいえるが、本願の「【発明の名称】」が「ハミガキつきハブラシ」であることと明細書及び図面の記載を総合すると、物の発明であることは明らかであるから、物の発明として以下検討する。

2 原査定における拒絶の理由
原査定は、以下の理由を含むものである。
理由1(新規性)(原査定の理由2)本願の請求項1?3に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1、2、3、4、5又は6に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。

理由2(進歩性)(原査定の理由3)本願の請求項1?3に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1、2、3、4、5又は6に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

<刊行物等>
引用文献1 実願昭48-27464号(実開昭49-128470号)のマイクロフィルム
引用文献2 特開2001-238730号公報
引用文献3 実願昭58-86816号(実開昭59-191930号)のマイクロフィルム
引用文献4 実願昭58-73484号(実開昭59-178126号)のマイクロフィルム
引用文献5 実願平2-115323号(実開平4-71524号)のマイクロフィルム
引用文献6 米国特許出願公開第2003/0150472号明細書

3 引用文献の記載事項、引用発明等
3-1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示された実願昭48-27464号(実開昭49-128470号)のマイクロフィルムには、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様である。)。
ア 明細書第3ページ第6?10行
「 上記容器取付部8には、容器9が取付けられている。この容器9は内部に練歯みがきを収容して、可撓性を有する材料で構成され、その側面から圧縮されるとその先端開口部10から練歯みがきが流出するようになつている。」

イ 明細書第4ページ第6?9行
「したがつて上記レバー12を起こすと押当板13は上記容器9を押圧し、前記流通孔5を通つてブラシ近傍の開口3から、練歯みがきを外部に溢出させる。」

ウ 明細書第5ページ第4?12行
「 本考案は以上のように構成されたから、歯ブラシと歯みがきを別個に携帯することを必要とせず、また使用時にも、ブラシ近傍に練歯みがきを溢出させてそのまま用いることができ、さらに上記容器に練歯みがきを予め注入したものを用意しておくことにより、使用後簡単な操作によりこれを交換して用いることができ、携帯および使用上便利な歯ブラシを得ることができる。」

エ 引用文献1には、以下の図が示されている。
第1図


(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「内部に練歯みがきを収容して、可撓性を有する材料で構成され、その側面から圧縮されるとその先端開口部10から練歯みがきが流出するようになつている容器9に練歯みがきを予め注入したものを用意しておくことにより、使用後簡単な操作によりこれを交換して用いることができる、携帯および使用上便利な歯ブラシ。」

3-2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として示された特開2001-238730号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
「【0009】またその下半部を丸棒状に形成された下部柄体1は、その上半部に、チューブ7の本体部を収納可能な収納穴9を内設するとともに、その収納穴9の一側部に、収納されたチューブ7の側面から押圧力を加えて歯みがきを押し出すための押出し機構を設けて構成したものである。この押出し機構は、チューブ7の側面位置に配設された作動板10と、その作動板10に接続された押しボタン5と、作動板10と押しボタン5の間に介在するバネ体6とにより成るもので、押しボタン5を指で押圧したり、または押圧している指を離すことにより、作動板10をチューブ7の方向に移動させたり、または元の位置に復帰させたりすることができるようになっている。」

「【0013】
【発明の効果】本発明の携帯用歯みがきセットは、歯ブラシの柄の内部に歯みがき内蔵のチューブを納置するように構成してあるので、旅行バッグ等の収納スペースを小さくすることができるとともに、歯みがきの紛失を防止することができるという効果があり、また片手のみのワンタッチ操作で簡易に歯みがきの塗布を行うことができるという効果がある。さらに本発明は、チューブを着脱自在に取付けることができるので、チューブを何度も交換することにより、歯ブラシを長期的に使用することができるという長所がある。さらにまた本発明は、構造が簡単で安価に製造することができるので、廉価な商品を市場に提供することができるという利点がある。」

また、引用文献2には、以下の図が示されている。
【図2】


【図3】




(2)引用文献2に記載された発明
上記(1)によれば、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「歯ブラシの柄の内部に歯みがき内蔵のチューブを納置するように構成され、チューブを何度も交換することにより、長期的に使用することができる携帯用歯みがきセット。」

4 対比・判断
4-1 本願発明と引用発明1との対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「練歯みがき」は、本願発明の「ハミガキ」に相当し、同様に、引用発明1の「可撓性を有する材料で構成され、その側面から圧縮されるとその先端開口部10から練歯みがきが流出するようになつている容器9」は、本願発明の「チュウブ」に相当する。

イ 上記アの相当関係を踏まえると、引用発明1の「内部に練歯みがきを収容して、可撓性を有する材料で構成され、その側面から圧縮されるとその先端開口部10から練歯みがきが流出するようになつている容器9に練歯みがきを予め注入したもの」は、本願発明の「ハミガキ入りチュウブ」に相当する。

ウ 引用発明1の「使用後簡単な操作によりこれを交換して」は、本願発明の「取り換えることにより」に相当する。

エ 引用発明の「これを交換して用いることができる」ことは、「これを交換して」使用できることを意味するから、引用発明1の「これを交換して用いることができる」と、本願発明の「ハミガキ入りチュウブがなくなるまで使用できる」とは、「使用できる」という点で共通する。

以上によれば、本願発明と引用発明1とは、以下の一致点1で一致し、以下の相違点1で相違する。
〔一致点1〕
「ハミガキ入りチュウブを取り換えることにより使用できる」点。

〔相違点1〕
「使用できる」ことに関し、本願発明は「ハミガキ入りチュウブがなくなるまで」使用できるのに対し、引用発明1は、そのような特定事項を有するか明らかでない点。

(2)判断
以下、相違点1について検討する。
本願明細書の段落【0006】の「(ニ)ハミガキ入りチューブ(4)を押したらハミガキがパイプ(3)を通過する。」なる記載を踏まえると、上記相違点1に係る本願発明の「ハミガキ入りチュウブがなくなるまで」なる事項の意味は、ハミガキ入りチュウブ内のハミガキがなくなるまで、という意味であることが理解できる。
そうすると、上記3-1(1)イに示したとおり、引用文献1の明細書第4ページ第6?9行には、「したがつて上記レバー12を起こすと押当板13は上記容器9を押圧し、前記流通孔5を通つてブラシ近傍の開口3から、練歯みがきを外部に溢出させる。」と記載されており、さらに第1図から、押圧板13が容器9の長さ方向全体に渡って配置されていることが看取できるから、引用発明1も、「押当板13」を介して、「内部に練歯みがきを収容して、可撓性を有する材料で構成され、その側面から圧縮されるとその先端開口部10から練歯みがきが流出するようになつている容器9に練歯みがきを注入したもの」(ハミガキ入りチュウブ)内の練歯みがき(ハミガキ)がなくなるまで使用できることは明らかである。
したがって、上記相違点1は、実質的な相違点とはいえず、本願発明は引用発明1である。
また、そうとまでいえないとしても、一般に、ハミガキ入りチュウブ内のハミガキがなくなるまで使用し、ハミガキがなくなった場合に、新たなハミガキ入りチュウブに取り換えることは、文献を挙げるまでもなく、広く一般に慣用されていることである。
そして、引用発明1も、「内部に練歯みがきを収容して、可撓性を有する材料で構成され、その側面から圧縮されるとその先端開口部10から練歯みがきが流出するようになつている容器9に練歯みがきを予め注入したもの」(ハミガキ入りチュウブ)「を用意しておくことにより、使用後簡単な操作によりこれを交換して用いることができる」ものであるところ、上記慣用事項を踏まえ、「内部に練歯みがきを収容して、可撓性を有する材料で構成され、その側面から圧縮されるとその先端開口部10から練歯みがきが流出するようになつている容器9に練歯みがきを予め注入したもの」(ハミガキ入りチュウブ)内の練歯みがき(ハミガキ)がなくなるまで使用できるようにする程度のことは、当業者が格別の創意を要することなく容易になし得た程度のことである。
したがって、本願発明は、引用発明1であり、また、引用発明1と慣用事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4-2 本願発明と引用発明2との対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明2とを対比する。
ア 引用発明2の「歯みがき内蔵のチューブ」は、本願発明の「ハミガキ入りチュウブ」に相当し、同様に、引用発明2の「交換することにより」は、本願発明の「取り換えることにより」に相当する。

イ 上記アの相当関係を踏まえると、引用発明2の「歯ブラシの柄の内部に歯みがき内蔵のチューブを納置するように構成され、チューブを何度も交換することにより」は、本願発明の「ハミガキ入りチュウブを取り換えることにより」に相当する。

ウ 引用発明2の「長期的に使用することができる」と、本願発明の「ハミガキ入りチュウブがなくなるまで使用できる」とは、「使用できる」という点で共通する。

以上によれば、本願発明と引用発明2とは、以下の一致点1’で一致し、以下の相違点1’で相違する。
〔一致点1’〕
「ハミガキ入りチュウブを取り換えることにより使用できる」点。

〔相違点1’〕
「使用できる」ことに関し、本願発明は「ハミガキ入りチュウブがなくなるまで」使用できるのに対し、引用発明2は、そのような特定事項を有するか明らかでない点。

(2)判断
上記相違点1’について検討する。
本願明細書の段落【0006】の「(ニ)ハミガキ入りチューブ(4)を押したらハミガキがパイプ(3)を通過する。」なる記載を踏まえると、上記相違点1’に係る本願発明の「ハミガキ入りチュウブがなくなるまで」なる事項の意味は、ハミガキ入りチュウブ内のハミガキがなくなるまで、という意味であることが理解できる。
そうすると、上記3-2(1)に示したとおり、引用文献2の段落【0009】には、「この押出し機構は、チューブ7の側面位置に配設された作動板10と、その作動板10に接続された押しボタン5と、作動板10と押しボタン5の間に介在するバネ体6とにより成るもので、押しボタン5を指で押圧したり、または押圧している指を離すことにより、作動板10をチューブ7の方向に移動させたり、または元の位置に復帰させたりすることができるようになっている。」と記載されており、さらに【図3】から、作動板10がチューブ7の長さ方向全体に渡って配置されていることが看取できるから、引用発明2も、「作動板10」を介して、「歯みがき内蔵のチューブ」(ハミガキ入りチュウブ)内の歯みがき(ハミガキ)がなくなるまで使用できることは明らかである。
したがって、上記相違点1’は、実質的な相違点とはいえず、本願発明は引用発明2である。
また、そうとまでいえないとしても、一般に、ハミガキ入りチュウブ内のハミガキがなくなるまで使用し、ハミガキがなくなった場合に、新たなハミガキ入りチュウブに取り換えることは、文献を挙げるまでもなく、広く一般に慣用されていることである。
そして、引用発明2も、「歯ブラシの柄の内部に歯みがき内蔵のチューブ」(ハミガキ入りチュウブ)「を納置するように構成され、チューブを何度も交換することにより、長期的に使用することができる」ものであるところ、上記慣用事項を踏まえ、歯みがき内蔵のチューブ(ハミガキ入りチュウブ)内の歯みがき(ハミガキ)がなくなるまで使用できるようにする程度のことは、当業者が格別の創意を要することなく容易になし得た程度のことである。
したがって、本願発明は、引用発明2であり、また、引用発明2と慣用事項とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し又は同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-02-18 
結審通知日 2021-03-02 
審決日 2021-03-25 
出願番号 特願2017-39823(P2017-39823)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A46B)
P 1 8・ 561- WZ (A46B)
P 1 8・ 113- WZ (A46B)
P 1 8・ 572- WZ (A46B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高田 基史永冨 宏之  
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 佐々木 一浩
出口 昌哉
発明の名称 ハミガキつきハブラシ  
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