• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01B
管理番号 1374331
審判番号 不服2020-5288  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-20 
確定日 2021-06-14 
事件の表示 特願2018-517711「センサ装置、および、当該センサ装置を備えたロボットシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月13日国際公開、WO2017/059992、平成30年11月 8日国内公表、特表2018-533006、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」と記す。)は、2016年(平成28年)8月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年10月7日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成30年4月6日に審査請求がなされ、同年5月31日に手続補正書が提出され、これに対し、平成31年3月27日付けで拒絶理由が通知され、令和元年8月29日に意見書及び手続補正書が提出され、これに対し同年12月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、令和2年4月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し当審において同年12月25日付けて拒絶理由が通知され、令和3年4月6日に意見書及び誤訳訂正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和元年12月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1,5-19に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開昭63-157001号公報
2.特開平7-071913号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由(令和2年12月25日付け拒絶理由)の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1:(明確性)本件出願は、特許請求の範囲の請求項1及び請求項1を引用する請求項2ないし18の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由2:(サポート要件)本件出願は、特許請求の範囲の請求項10及び請求項10を引用する請求項11ないし18の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1ないし13に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明13」という。)は、令和3年4月6日提出の誤訳訂正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし13は以下のとおりの発明である。(下線は、請求人が付与したものであり、補正箇所を表している。)

「【請求項1】
センサ装置(7)であって、
基体ボディ(8)と、
前記基体ボディ(8)に対して相対的に可動に配置された対向ボディ(9)と、
センサ信号を出力するための複数のセンサデバイス(10)と
を備えており、
前記センサデバイス(10)は、それぞれ少なくとも1つのセンサ(13)と少なくとも1つのターゲット領域(14)とを備えており、
前記センサ(13)は、前記両ボディのうち一方に配置されており、かつ、前記ターゲット領域(14)は、他方のボディに配置されており、
前記センサ(13)はそれぞれ、前記ターゲット領域(14)を検出するように構成されており、
前記センサ装置(7)はさらに、
前記センサ信号から、前記対向ボディ(9)と前記基体ボディ(8)との相対位置を求めるように構成された処理装置(11)
を備えている、センサ装置(7)において、
前記処理装置(11)は、前記相対位置を3つの並進自由度(X,Y,Z)と3つの回転自由度(R1,R2,R3)とにおいて求めるように構成されており、
前記対向ボディ(9)は、触覚ボディとして構成されており、
前記ターゲット領域(14)はそれぞれ、独立した一平面をそれぞれ定義するプレーナ形の参照領域として、前記触覚ボディに設けられており、
2つずつの前記参照領域が、1つの柱面屋根に設けられている、
ことを特徴とするセンサ装置(7)。
【請求項2】
各前記柱面屋根は、それぞれ1つの屋根線を有し、
各前記屋根線は、前記基体ボディ(8)と前記対向ボディ(9)との積層方向まわりの円上において、互いに等間隔であり、および/または、120°の中間角をとる、
請求項1記載のセンサ装置(7)。
【請求項3】
各前記柱面屋根は、それぞれ1つの屋根線を有し、
各前記屋根線は、共通の平面内にある、
請求項1または2記載のセンサ装置(7)。
【請求項4】
前記センサ(13)はそれぞれ、前記ターゲット領域(14)を非接触で検出するように構成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載のセンサ装置(7)。
【請求項5】
前記基体ボディ(8)は、ロボット(2)に結合可能であり、
前記対向ボディ(9)は、触覚ボディとして構成されており、ツール(3)に結合可能である、
請求項1から4までのいずれか1項記載のセンサ装置(7)。
【請求項6】
前記対向ボディ(9)および前記基体ボディ(8)は、それぞれ平板部分を有し、
前記平板部分は、相互に傾動可能、回転可能および変位可能に配置されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載のセンサ装置(7)。
【請求項7】
前記対向ボディ(9)が自動的に前記基体ボディ(8)に対して相対的に初期位置に配置されるように、前記対向ボディ(9)は、前記基体ボディ(8)に対して相対的に付勢されて配置されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載のセンサ装置(7)。
【請求項8】
前記ターゲット領域(14)はそれぞれ、独立した一平面をそれぞれ定義するプレーナ形の参照領域として構成されており、
全ての前記平面について、前記各平面は前記平面の他の一平面と1直線でしか交差しないことが適用され、
前記各参照領域にそれぞれ前記センサ(13)が割り当てられており、
前記センサ(13)は、距離センサとして構成されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載のセンサ装置(7)。
【請求項9】
前記基体ボディ(8)と前記対向ボディ(9)との間の基準位置において、前記センサ(13)の各測定方向はそれぞれ、各割り当てられた前記参照領域に対して垂直である、
請求項8記載のセンサ装置(7)。
【請求項10】
前記センサ装置(7)は、ロボットシステム(1)用に構成されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載のセンサ装置(7)。
【請求項11】
ロボット(2)と、当該ロボット(2)によって操作されるツール(3)とを備えたロボットシステム(1)において、
請求項1から10までのいずれか1項記載のセンサ装置(7)を備えており、
前記センサ装置(7)は、前記ロボット(2)と前記ツール(3)との間に配置されている
ことを特徴とするロボットシステム(1)。
【請求項12】
前記ツールは、プローブ先端部として構成されている、
請求項11記載のロボットシステム。
【請求項13】
前記ツールは、把持部として構成されている、
請求項11記載のロボットシステム。」

第5 当審拒絶理由についての判断
1.理由1について
当審拒絶理由の理由1は、補正前の請求項1に係る発明における「プリズム屋根」が明確でないことにより補正前の請求項1に係る発明が不明であり、補正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2ないし18が明確でないというものである。
上記令和3年4月6日提出の誤訳訂正書により、請求項1及び請求項3にあった「プリズム屋根」という記載が、誤訳であったとして「柱面屋根」に誤訳訂正された。これは、本件出願の国際出願であるPCT/EP2016/069141号において、ドイツ語にて「Prismadach」「Prismendacher」(当審注:Prismendacherの a はウムラウト付き)として記載されている「Prisma」を当初「プリズム」と訳していたものを誤訳として「柱面」に訳を訂正するものである。
これにより、誤訳訂正後の請求項1に係る発明である本願発明1と、誤訳訂正後の請求項3に係る発明である本願発明3は明確となり、本願発明1を引用する本願発明2ないし13も明確となった。
したがって、本願発明1ないし13に対する当審拒絶理由通知の理由1は解消された。

2.理由2について
当審拒絶理由の理由2が対象とする補正前の請求項10ないし18のうち、補正前の請求項10ないし14は、上記令和3年4月6日提出の誤訳訂正書により削除され、補正前の請求項15ないし18は新たに請求項1ないし9を引用する請求項10、請求項1ないし10を引用する請求項11、請求項11を引用する請求項12、請求項11を引用する請求項13となった。
上記理由2は補正前の請求項10に係る発明が、発明の詳細な説明に記載したものでないというものであったが、補正前の請求項10ないし14は削除され、補正前の請求項15ないし18は、補正前の請求項10を引用しない形式とされ新たに請求項10ないし13となったため、本願の特許請求の範囲には補正前の請求項10及び補正前の請求項10を引用する請求項は存在しないものとなった。
したがって、本願発明10ないし13に対する当審拒絶理由通知の理由2は解消された。

3.小括
以上のことから、本願発明1ないし13に対する当審拒絶理由通知の理由1及び理由2は解消された。

第6 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について 令和元年12月11日付け拒絶査定に引用された特開昭63-157001号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与した。以下同様。)
(1)「19、前記第1の平面にある前記三つの検知装置からの変位を表す信号をコンプライアンス装置の可動部分の固定部分に対するコンプライアンス装置の対称軸に垂直な二つの相互に垂直な軸に沿つた並進変位と可動部分の固定部分に対する対称軸の周りの回転変位とを表す出力信号に直接変換する手段と、前記第2の平面にある三つの検知装置からの変位を表す信号を可動部分の固定部分に対する対称軸に垂直な二つの相互に垂直な軸の周りの回転変位と可動部分の固定部分に対する対称軸に沿つた並進変位とを表す出力信号に直接変位する手段とをさらに備えた特許請求の範囲第14項に記載の多重軸変位センサ。」(特許請求の範囲の請求項19)

(2)「〔産業上の利用分野〕本発明は多重軸変位センサに関するものであり、さらに詳しくいえばコンプライアンス装置の固定部分と可動部分のような二つの相対的に可動な部分の間の変位を複数の自由度で測定するセンサに関するものである。」(第3頁左下欄第11-16行)

(3)「本発明のさらにほかの目的はコンプライアンス装置の6自由度までにおける運動を効果的に測定する多重軸変位センサを提供することである。」(第4頁右上欄第12-14行)

(4)「第8図の別の実施例においては、三つの検知装置230、232及び234がコンプライアンス装置の対称軸に垂直な平面内にほぼ配置されている。検知装置230、232及び234はX軸に沿って配置された検知装置234と対称軸の周りに等しい間隔をあけて置かれている。各検知装置にはコンプライアンス装置の可動部分237に細長い腕239によって取付けられた永久磁石236がある。特に、永久磁石236は、可動部分の対称軸から距離rのところに配置されている。各永久磁石236には、第1のホール効果素子240に対面している第1の磁極238と第2のホール効果素子244に対面している第2の磁極242がある。ホール効果素子は、コンプライアンス装置の固定部分(図示なし)に取付けられている。」(第9頁左下欄第13行-右下欄第7行)

(5)「X及びYの回転変位とともにZ軸に沿った並進変位を第10図に示したように解くことができる。図には三つの検知装置262、264及び266がコンプライアンス装置の対称軸に垂直な平面内に配置されている。各検知装置の軸は、コンプライアンス装置の対称軸に平行である。各検知装置には、腕270によってコンプライアンス装置の可動部分272に取付けられた磁石268がある。各磁石268は、可動部分272の対称軸から距離rのところにある。磁石にはホール効果素子278及び280にそれぞれ面している対向磁極274及び276がある。検知装置262は、出力信号V21及びV22を増幅器282に与え、増幅器282は、それらの信号を差動的に結合して検知装置262のホール効果素子278と280の間の磁石268の変位を線形的に表す出力S12を与える。検知装置264は出力信号V23及びV24を増幅器284に与え、増幅器284においてそれらの信号が差動的に結合されて検知装置264のホール効果素子間の磁石の変位を線形的に表す出力S13を与える。そして検知装置266は、信号V25及びV26を増幅器268に与え増幅器286はそれらの信号を差動的に結合して線形出力信号S14を与える。」(第10頁右上欄第6行-左下欄第9行)

(6)「第14図に示されているように、第8図及び第10図に別々に開示された検知装置は、可動部分350の6自由度すべてにおける変位を測定するために単一装置において結合できる。これらの検知装置の各々は、前述のように動作する。」(第11頁右上欄第14-18行)

(7)第8図「



(8)第10図「



(9)第14図「



(10)前記「(1)」における「前記第2の平面にある三つの検知装置からの変位を表す信号を可動部分の固定部分に対する対称軸に垂直な二つの相互に垂直な軸の周りの回転変位と可動部分の固定部分に対する対称軸に沿つた並進変位とを表す出力信号に直接変位する手段」の「直接変位する手段」は「直接変換する手段」の誤記と認められる。

(11)前記引用文献1の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「コンプライアンス装置の固定部分と可動部分のような二つの相対的に可動な部分の間の変位を複数の自由度で測定する、多重軸変位センサにおいて、
コンプライアンス装置の6自由度までにおける運動を効果的に測定する多重軸変位センサであり、
第1の平面に、三つの検知装置230、232及び234がコンプライアンス装置の対称軸に垂直な平面内にほぼ配置されており、検知装置230、232及び234はX軸に沿って配置された検知装置234と対称軸の周りに等しい間隔をあけて置かれており、各検知装置にはコンプライアンス装置の可動部分237に細長い腕239によって取付けられた永久磁石236があり、永久磁石236は、可動部分の対称軸から距離rのところに配置されており、各永久磁石236には、第1のホール効果素子240に対面している第1の磁極238と第2のホール効果素子244に対面している第2の磁極242があり、ホール効果素子は、コンプライアンス装置の固定部分に取付けられており、
第2の平面に、三つの検知装置262、264及び266がコンプライアンス装置の対称軸に垂直な平面内に配置されており、各検知装置の軸は、コンプライアンス装置の対称軸に平行であり、各検知装置には、腕270によってコンプライアンス装置の可動部分272に取付けられた磁石268があり、各磁石268は、可動部分272の対称軸から距離rのところにあり、磁石にはホール効果素子278及び280にそれぞれ面している対向磁極274及び276があり、
前記第1の平面にある前記三つの検知装置230、232及び234からの変位を表す信号をコンプライアンス装置の可動部分の固定部分に対するコンプライアンス装置の対称軸に垂直な二つの相互に垂直な軸に沿った並進変位と可動部分の固定部分に対する対称軸の周りの回転変位とを表す出力信号に直接変換する手段と、
前記第2の平面にある三つの検知装置262、264及び266からの変位を表す信号を可動部分の固定部分に対する対称軸に垂直な二つの相互に垂直な軸の周りの回転変位と可動部分の固定部分に対する対称軸に沿った並進変位とを表す出力信号に直接変換する手段とをさらに備え、
前記6つの検知装置230、232、234、262、264及び266は、可動部分350の6自由度すべてにおける変位を測定するために単一装置において結合した、多重軸変位センサ。」

2.引用文献2について
令和元年12月11日付け拒絶査定に引用された特開平7-071913号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
(1)「【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて、より詳しく述べる。図1は、実施例におけるチューブ型微動素子の斜視図を示す。図において、1はチューブ型圧電素子、2はその下流側に固定的に取り付けた受光装置、3a及び3bはビームスプリッタ、4はレーザ光源、6a?6cは受光装置2に取り付けた受光素子、7a、7bはビームベンダーである。このレーザ光源4、ビームスプリッタ3a、3b、ビームベンダー7a、7bは受光装置2とは独立に設置しており、受光装置2と圧電素子1とが一体として微動しても動くことはない。本実施例においては集束ビーム光は適当なレーザ光が用いられる。また、円筒に作用する外力として、電極(斜線で示す)の間に電圧を印加した時生ずる圧電歪が用いられる。
【0023】チューブ型圧電素子1は、例えばPZTのような圧電セラミクスで形成された中空円筒の内外壁に金属電極を蒸着形成したものである。内壁面の電極は各軸共通用であるが、外壁面の電極はX軸、Y軸にそれぞれ垂直な方向に4分割されている。チューブ型圧電素子1の上端面は図示してないホルダーに固着され、適当な電極間に電圧を印加した時、下端面がX軸、Y軸、Z軸方向への並進運動及び回転運動を行う機能を備えている。
【0024】受光素子6a、6b受光面はY軸に垂直であり、受光素子6c受光面はX軸に垂直である。各受光素子にはビームスプリッタ3a、3b及びビームベンダー7a、7bの働きによってチューブ型圧電素子1の静止時、レーザ光が各受光素子受光面の中心に垂直入射するよう調整されている。
【0025】チューブ型圧電素子に外力(圧電歪)が作用して下端面が微少運動を開始すると、下端面に固設された受光装置2が、従って受光素子6a、6cの受光面の受光位置がそれぞれシフトする。
【0026】受光素子6a?6cの受光面は、例えば図2で示すように4分割されており、各領域がそれぞれ独立した受光ダイオード8a?8dを形成している。チューブ型圧電素子1が静止状態にあっては、各受光素子6a?6cの受光面の中心に集束ビーム光が当たるように受光位置が調整されている。そのレーザスポットを9aで表す。しかるにチューブ型圧電素子1に圧電歪が作用した時には、例えば図2の9bのように受光面のレーザスポット位置がシフトする。
【0027】各受光ダイオード8a?8bによる起電力を、それぞれV_(a)?V_(d)とおけば、レーザスポットが9aから9bにシフトした時の起電力変化は、水平方向が(V_(c)+V_(d))-(V_(a)+V_(b))の変化として、また垂直方向が(V_(a)+V_(c))-(V_(b)+V_(d))の変化としてとらえられる。
【0028】そこで、受光素子6a?6cの受光面の座標を、素子の中心を原点とする(h、v)座標で示すことにすれば、予め各受光素子で水平、垂直方向の起電力変化量と(h、v)座標値の関係を測定しておくことができる。この結果、チューブ型圧電素子1の下端面座標(X、Y、Z、θ_(x)、θ_(y)、θ_(z))の変化は、前記受光起電力変化量を測定することによって(h、v)座標即ち、(h_(a)、v_(a))、(h_(b)、v_(b))、(h_(c)、v_(c))に変換することができる。」

(2)「【図1】



(3)「【図2】



(4)「【図3】



(5)上記引用文献2の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献2には、次の技術(以下「引用文献2開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「チューブ型圧電素子1の下端面座標(X、Y、Z、θ_(x)、θ_(y)、θ_(z))の変化を、前記受光起電力変化量を測定することによって(h、v)座標即ち、(h_(a)、v_(a))、(h_(b)、v_(b))、(h_(c)、v_(c))に変換する技術。」

第7 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1を、引用発明1と比較する。
ア 引用発明1における「多重軸変位センサ」は、本願発明1における「センサ装置(7)」に相当する。
イ 引用発明1における「コンプライアンス装置の固定部分」は、動かない部分であるから、本願発明1における「基体ボディ(8)」に相当する。
ウ 引用発明1における「コンプライアンス装置の可動部分」は、本願発明1における「基体ボディ(8)に対して相対的に可動に配置された対向ボディ(9)」に相当する。
エ 引用発明1における「三つの検知装置230、232及び234」と「三つの検知装置262、264及び266」は、本願発明1における「複数のセンサデバイス(10)」に相当する。
オ 引用発明1における「第1の平面にある前記三つの検知装置230、232及び234からの変位を表す信号」と「第2の平面にある三つの検知装置262、264及び266からの変位を表す信号」は、本願発明1における「複数のセンサデバイス(10)」が「出力する」「センサ信号」に相当する。
カ 引用発明1における「コンプライアンス装置の固定部分に取付けられて」いる「ホール効果素子」は、本願発明1における「センサ(13)」に相当する。
キ 引用発明1における「コンプライアンス装置の可動部分237に細長い腕239によって取付けられた永久磁石236」の「第1のホール効果素子240に対面している第1の磁極238と第2のホール効果素子244に対面している第2の磁極242」は、本願発明1における「ターゲット領域(14)」に相当する。
ク 引用発明1における「第1の磁極」と「第2の磁極」を「ホール効果素子」で検知する各「検知装置」は、本願発明1における「それぞれ少なくとも1つのセンサ(13)と少なくとも1つのターゲット領域(14)とを備え」た「センサデバイス(10)」に相当する。
ケ 引用発明1における、「ホール効果素子」が「コンプライアンス装置の固定部分に取付けられて」おり「第1の磁極238と」「第2の磁極242」を備えた「永久磁石236」が「コンプライアンス装置の可動部分237に」「取付けられ」ていることは、本願発明1における「前記センサ(13)は、前記両ボディのうち一方に配置されており、かつ、前記ターゲット領域(14)は、他方のボディに配置されて」いることと共通する。
コ 引用発明1の「ホール効果素子」は、「第1の磁極」と「第2の磁極」に「対面して」いることから、本願発明1における「センサ(13)はそれぞれ、」「ターゲット領域(14)を検出するように構成されて」いることと共通する。
サ 引用発明1における多重軸変位センサが、「前記第1の平面にある前記三つの検知装置230、232及び234からの変位を表す信号をコンプライアンス装置の可動部分の固定部分に対するコンプライアンス装置の対称軸に垂直な二つの相互に垂直な軸に沿った並進変位と可動部分の固定部分に対する対称軸の周りの回転変位とを表す出力信号に直接変換する手段と、前記第2の平面にある三つの検知装置262、264及び266からの変位を表す信号を可動部分の固定部分に対する対称軸に垂直な二つの相互に垂直な軸の周りの回転変位と可動部分の固定部分に対する対称軸に沿った並進変位とを表す出力信号に直接変換する手段とをさらに備え」ることは、本願発明1における「前記センサ装置(7)はさらに、前記センサ信号から、前記対向ボディ(9)と前記基体ボディ(8)との相対位置を求めるように構成された処理装置(11)を備え」「前記処理装置(11)は、前記相対位置を3つの並進自由度(X,Y,Z)と3つの回転自由度(R1,R2,R3)とにおいて求めるように構成されて」いることに相当する。

すると、本願発明1と、引用発明1とは、次の点で一致する。
<一致点>
「センサ装置(7)であって、
基体ボディ(8)と、
前記基体ボディ(8)に対して相対的に可動に配置された対向ボディ(9)と、
センサ信号を出力するための複数のセンサデバイス(10)と
を備えており、
前記センサデバイス(10)は、それぞれ少なくとも1つのセンサ(13)と少なくとも1つのターゲット領域(14)とを備えており、
前記センサ(13)は、前記両ボディのうち一方に配置されており、かつ、前記ターゲット領域(14)は、他方のボディに配置されており、
前記センサ(13)はそれぞれ、前記ターゲット領域(14)を検出するように構成されており、
前記センサ装置(7)はさらに、
前記センサ信号から、前記対向ボディ(9)と前記基体ボディ(8)との相対位置を求めるように構成された処理装置(11)
を備えている、センサ装置(7)において、
前記処理装置(11)は、前記相対位置を3つの並進自由度(X,Y,Z)と3つの回転自由度(R1,R2,R3)とにおいて求めるように構成されておる、
センサ装置(7)。」

一方で、両者は、次の点で相違する。
<相違点1>
基体ボディ(8)に対して相対的に可動に配置された対向ボディ(9)について、本願発明1では「対向ボディ(9)は、触覚ボディとして構成されて」いるのに対し、引用発明1はコンプライアンス装置の可動部分が触覚ボディかどうかの明示がない点。
<相違点2>
ターゲット領域(14)について、本願発明1は「それぞれ、独立した一平面をそれぞれ定義するプレーナ形の参照領域として、前記触覚ボディに設けられており、2つずつの前記参照領域が、1つの柱面屋根に設けられている」のに対し、引用発明1では検知装置の第1の磁極と第2の磁極はコンプライアンス装置の可動部分に取り付けられており、コンプライアンス装置の固定部分に取付けられた第1のホール効果素子と第2のホール効果素子それぞれに対向している点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、前記相違点2について先に検討すると、前記相違点2に係る本願発明1の「前記ターゲット領域(14)はそれぞれ、独立した一平面をそれぞれ定義するプレーナ形の参照領域として、前記触覚ボディに設けられており、2つずつの前記参照領域が、1つの柱面屋根に設けられている」という構成は、上記引用文献1-2には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1及び2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2ないし13について
本願発明2ないし13も、本願発明1の上記相違点2に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第8 原査定についての判断
令和3年4月6日提出の誤訳訂正書による手続補正により、補正後の請求項1ないし13は、「前記対向ボディ(9)は、触覚ボディとして構成されており、前記ターゲット領域(14)はそれぞれ、独立した一平面をそれぞれ定義するプレーナ形の参照領域として、前記触覚ボディに設けられており、2つずつの前記参照領域が、1つの柱面屋根に設けられている」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献1及び2には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし13は、当業者であっても、原査定における引用文献1及び2に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-05-24 
出願番号 特願2018-517711(P2018-517711)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G01B)
P 1 8・ 121- WY (G01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 河内 悠山▲崎▼ 和子齋藤 卓司  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 渡戸 正義
伊藤 幸仙
発明の名称 センサ装置、および、当該センサ装置を備えたロボットシステム  
代理人 前川 純一  
代理人 上島 類  
代理人 二宮 浩康  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ