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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1374336 |
審判番号 | 不服2020-7366 |
総通号数 | 259 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-07-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-06-01 |
確定日 | 2021-06-10 |
事件の表示 | 特願2018- 43668「サンプル品提供システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月12日出願公開、特開2018-110035、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年9月8日に出願した特願2016-176004号の一部を平成30年3月10日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 7月 4日 :手続補正書の提出 令和 元年 9月11日付け:拒絶理由通知書 令和 元年10月18日 :意見書、手続補正書の提出 令和 2年 3月11日付け:拒絶査定 令和 2年 6月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 3年 4月 8日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和 3年 4月29日 :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定及び当審拒絶理由の概要 1 原査定の概要 原査定(令和2年3月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1、2に係る発明は、以下の引用文献1、2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2015-118563号公報 2.特開2005-284444号公報 2 当審拒絶理由の概要 当審の拒絶理由(令和3年4月8日付け拒絶理由通知書に記載した拒絶理由)の概要は次のとおりである。 この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 令和2年6月1日付けの手続補正により補正された請求項1には、「前記化粧品が使用される部位ごとにおける化粧品の商品カテゴリーごとに、1日の使用量、効果が確認できる判定日数に基づいて正規の1個の商品を小分けする分割サイズを算出する分割サイズ算出手段と」なる記載があるところ、該記載における「前記化粧品が使用される部位ごとにおける化粧品の商品カテゴリーごとに」なる記載は、如何なる技術事項を意味するのかが不明である。 このため、請求項1に係る発明が明確でない。 また、請求項2は請求項1を引用していることから、同様な不備を内在し、請求項2に係る発明は明確でない。 第3 本願発明 本願の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、令和3年4月29日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 化粧品の購入を希望するユーザーに当該化粧品のサンプル品を提供するサンプル品提供システムにおいて、 ユーザーから個人情報や決済情報の登録を受け付けるユーザー登録受付手段と、 前記化粧品の商品カテゴリーごとに記憶された、1日の使用量、効果が確認できる判定日数に基づいて正規の1個の商品を小分けする分割サイズを算出する分割サイズ算出手段と、 ユーザーからサンプル品の提供の希望を受け付けた場合、前記算出された分割サイズに基づいて正規の1個の化粧品を小分けして前記ユーザーに発送するための情報を出力する送付出力手段と、 を備えるようにしたサンプル品提供システム。」 なお、本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2015-118563号公報)には、次の事項が記載されている。(下線は、当審が付与した。以下同じ。) 「【技術分野】 【0001】 この発明は、大家族あるいは業務用等の大口需要家向け商品受注・配送システムに関する。」 「【発明の効果】 【0011】 本発明によれば、受注センターサーバによって、ユーザーからの注文を受付ける際に、対応する商品を扱う配送センターを、その商品の種類によって選別し、選別された配送センターサーバへの指示によって、該配送センターから直接ユーザーに商品が配送されるものであり、その際に、運賃を含めて最も低廉な価格で売買契約をすることができるようにし、ユーザーの利便性を大幅に向上させることができる。 【0012】 上記の配送センターサーバを卸業者の物流センターに配置することによって、商品の物流コスト、小売事業者における在庫コスト、運営コストを削減してユーザーの負担を低減することができるとともに食品の場合の賞味期限までの日日の縮減を抑制することができる。」 「【実施例】 【0015】 図1に示されるように、実施例1に係る大口需要家向け受注・配送システム10は、受注センターサーバ20及び配送センターサーバ30を、例えばインターネット12からなる通信回線を介して接続してなり、事業者あるいは大家族等の大口需要家のユーザー端末14からの注文を、インターネット12経由で受注センターサーバ20で受付けて、最も低廉な価格で、対応する商品を該当する配送センター16(16A、16B、16C、16D)から指定先に直接配送するものである。」 「【0054】 次に、図9を参照して、上記実施例に係る受注・配送システム10によって、ユーザーから注文を受けて商品を配送するまでの過程について説明する。なお、ユーザーは、予め、会員登録受付手段を経て会員登録をし、その情報が会員登録情報記憶手段23に記憶されているものとする。 【0055】 まず、ステップ101において、ユーザー端末14から受注センターサーバ20に対して注文があったときには、図5に示される注文受付画面にて、注文情報受付機能33により注文を受付ける。このとき、会員登録情報記憶手段23に記憶された会員情報を参照して、会員登録の有無を確認する。 【0056】 次のステップ102において、受付けた注文を、注文仕分手段34によって、仕分情報記憶手段21から読み出した仕分情報に基づいて4つの配送センター16A?16Dのいずれが担当するかを仕分ける。注文内容によっては、2以上の配送センターが担当することもある。 【0057】 ステップ103に進み、該当する配送センターの、注文の対象となる商品について、商品情報読出機能31より配送センターサーバ30(4つの配送センターサーバ30A?30Dのうち少なくとも1つ:以下同じ)の商品情報記憶手段51に記憶された当該商品の情報を、商品情報読出受付機能62を介して読出し、商品情報記憶手段22に記憶する。 【0058】 次に、ステップ104において、商品情報記憶手段22に記憶された商品情報から、商品発送回数を確認する。 【0059】 即ち、ステップ103において確認した商品在庫数が、注文情報における注文数よりも不足する場合は、次回納品分に分けて配送することになり、この場合は商品発送回数が2回となる。 【0060】 この商品発送回数の確認及び次のステップ105の納品単価決定は、受注センターサーバ20の納品単価決定手段35によって実行される。 【0061】 ステップ105において、商品情報記憶手段22から読み出した商品情報及び注文情報記憶手段24から読み出した注文情報に基づいて前述のように納品単価が決定され、決定された納品単価は納品単価情報記憶手段25に記憶される。 【0062】 次のステップ106において、ベストプライス見積作成手段36は、納品単価情報記憶手段25に記憶された納品単価情報と、配送センターサーバ30の運送料情報記憶手段52に記憶された運送料情報とによって、最も低廉な運賃(配送料)となるベストプライスの見積を作成し、見積通知機能37によってユーザー端末14に提示する。 【0063】 見積提示の結果、ユーザーがNoの意思表示をすれば、即ち、ユーザーが注文をしないことになれば、ステップ101に戻る。Yesであれば、受注確定機能38によって、次のステップ107で受注が確定し、この確定した情報は、確定受注情報記憶手段27に記憶される。 【0064】 次のステップ108に進み、配送センター指示機能39は確定受注情報記憶手段27に記憶された確定受注情報を読み出して、配送センターサーバ30に通知する。 【0065】 次のステップ109において、ピッキング指示情報作成手段65により出庫伝票が作成され、次のステップ110において、倉庫からの商品ピッキングが実行され、ステップ111においては、ピッキングされた商品を出庫するための出庫指示がなされ、選定された運送会社に託されて、商品が配送センター16から出庫(配送)される(ステップ112参照)。」 以上の記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「商品受注・配送システム(【0001】)であって、 ユーザーは、予め、会員登録受付手段を経て会員登録をし(【0054】)、 ユーザー端末から受注センターサーバに対して注文があったときには、ベストプライスの見積を作成し、ユーザーがYesであれば受注を確定し、確定受注情報記憶手段に記憶し、確定受注情報記憶手段に記憶された確定受注情報を読み出して、配送センターサーバに通知する(【0055】、【0062】?【0064】) 商品受注・配送システム。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2(特開2005-284444号公報)には、次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、特に販売管理用に普及しているPOSシステム機器を利用して試供品を希望者に配布する方法に関する。この明細書で試供品とは、潜在的な需要者等に試用のために配布される商品やその小分けしたものをいう。」 「【発明の効果】 【0010】 本発明の試供品の配布方法等によれば、試供品の試用申込みには小額ではあるが支払いを伴うため、その商品を必要とする人のみを選別して試供品を配布することができ、宣伝効果や販売促進効果を高めることができる。また街頭での配布に比べて費用が安く、サンプルの作成から配布までの所要期間も短い。 【0011】 さらに本発明の試供品の配布方法等によれば、小売店の販売管理用POSシステムを利用し、試供品の配布に関するデータを商品の販売と同様の形式で入力し蓄積することにより、街頭配布では得られない情報を得ることができ、需要予測が容易になる。」 「【実施例1】 【0013】 本発明の試供品の配布方法は、ほとんどのカテゴリーの物品に適用可能であるが、特に品質に多様性があったり又は嗜好性の高い商品、例えば次のような商品に適する。(1)加工食品群(ビール、ソフトドリンク、ワイン、ガム、スナック、珍味、インスタントコーヒー、紅茶、菓子、調味料、ドレッシング、ジャム、カレー、サラダ油、パスタ類等)(2)チルド食品群(ハム、ソーセージ、チーズ、バター、マーガリン等)(3)冷凍食品群(アイスクリーム、冷凍惣菜、冷凍デザート類等)(4)雑貨食品群(タバコ、化粧品、歯磨き、シャンプー、リンス、口中清涼剤、芳香剤、台所洗剤、洗濯洗剤、ハンドクリーム等)。 【0014】 例えばインスタントコーヒーの試供品をコンビニエンスストア(CVS)店舗で配布する場合を例にとって、実施方法を説明する。まず新商品又は拡販対象である既存商品の配布を希望するメーカーは、CVS管理会社との間で試供品コード及び試用対価(10?50円程度)を定め、その商品が入ったミニサンプル(1、2回分の使用量を小分けしたパッケージ)1を製造する。ミニサンプル1の包装には、契約に基く試供品コードが符号化されたバーコード2を印刷表示する。バーコード2は例えば一般の販売管理に用いられる十進13桁コードに準じて、図1に示すように、国コード2桁(2a)、メーカーコード7桁(2b)、試供品コード4桁(2c)から構成されている。この試供品コード2cは試供品の種類(単品)を識別するコードであって、同じメーカーの商品コードと重複しないように定めることが好ましい。製造されたミニサンプルは、無料でCVS管理会社の配送センターに納入される。」 以上の記載によれば、引用文献2には、次の技術事項が記載されている。 「潜在的な需要者等に試用のために配布される商品やその小分けした試供品を希望者に配布する方法(【0001】)であって、 化粧品のような商品に適し(【0013】)、 対価(10?50円程度)を定め、その商品が入ったミニサンプル(1?2回分の使用量を小分けしたパッケージ)を製造し、製造されたミニサンプルは配送センターに納入される(【0014】)こと」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 「サンプル品提供システム」について 引用発明は「商品受注・配送システム」であって、「商品受注・配送」することは商品の購入を希望するユーザーに当該商品を提供することに他ならないから、本願発明1における購入の対象商品が「化粧品」であり、提供する品が「サンプル品」である点を除き、本願発明1及び引用発明は、商品の購入を希望するユーザーに当該商品を提供する商品提供システムである点で共通する。 イ 「ユーザー登録受付手段」について 引用発明では「ユーザーは、予め、会員登録受付手段を経て会員登録をし」ているところ、商品を購入するために個人情報や決済情報を会員登録として登録することは常套的に行われている事項であって、引用発明においても、個人情報や決済情報を会員登録として登録していると考えるのが妥当であるから、引用発明は、本願発明1と同様に、「ユーザーから個人情報や決済情報の登録を受け付けるユーザー登録受付手段」を備えるといえる。 ウ 「送付出力手段」について 引用発明では「ユーザー端末から受注センターサーバに対して注文があったときには、ベストプライスの見積を作成し、ユーザーがYesであれば受注を確定し、確定受注情報記憶手段に記憶し、確定受注情報記憶手段に記憶された確定受注情報を読み出して、配送センターサーバに通知」していることから、本願発明1では、発送する対象が「算出された分割サイズに基づいて正規の1個の化粧品を小分けし」たものである点を除き、本願発明1及び引用発明は、ユーザーから商品の提供の希望を受け付けた場合、前記ユーザーに発送するための情報を出力する送付出力手段を備えている点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致及び相違する。 <一致点> 商品の購入を希望するユーザーに当該商品を提供する商品提供システムにおいて、 ユーザーから個人情報や決済情報の登録を受け付けるユーザー登録受付手段と、 ユーザーから商品の提供の希望を受け付けた場合、前記ユーザーに発送するための情報を出力する送付出力手段と、 を備えるようにした商品提供システム。 <相違点> (相違点1) 本願発明1の「商品提供システム」は、「化粧品の購入を希望するユーザーに当該化粧品のサンプル品を提供するサンプル品提供システム」であるのに対して、引用発明は、商品が「化粧品」ではなく、また、提供する商品が「サンプル品」ではない点。 (相違点2) 本願発明1は、「前記化粧品の商品カテゴリーごとに記憶された、1日の使用量、効果が確認できる判定日数に基づいて正規の1個の商品を小分けする分割サイズを算出する分割サイズ算出手段」を備え、「前記算出された分割サイズに基づいて正規の1個の化粧品を小分けし」たものをユーザーに提供しているのに対して、引用発明は、分割サイズ算出手段を備えておらず、算出された分割サイズに基づいて正規品の1個を小分けしたものをユーザーに提供していない点。 (2)相違点の判断 事案に鑑み、上記相違点2について検討する。 引用文献2には、上記「第4」「1」で認定したごとく、「潜在的な需要者等に試用のために配布される商品やその小分けした試供品を希望者に配布する方法であって、化粧品のような商品に適し、対価(10?50円程度)を定め、その商品が入ったミニサンプル(1?2回分の使用量を小分けしたパッケージ)を製造し、製造されたミニサンプルは配送センターに納入されること」が記載されており、当該記載によれば、化粧品のサンプルを1?2回分の使用量を小分けにして提供することは開示されているといえる。 しかしながら、引用文献2においても、「前記化粧品の商品カテゴリーごとに記憶された、1日の使用量、効果が確認できる判定日数に基づいて正規の1個の商品を小分けする分割サイズを算出する分割サイズ算出手段」を備え、「前記算出された分割サイズに基づいて正規の1個の化粧品を小分け」することは記載されていない。 そして、当該事項を記載する他の引用文献も発見されない。 したがって、相違点1を検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2の記載に基づいて容易に発明できたものではない。 2 本願発明2について 本願発明2は、少なくとも、上記1で検討した相違点2に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 当審の拒絶理由について 令和3年4月29日の手続補正書の補正により、「前記化粧品が使用される部位ごとにおける化粧品の商品カテゴリーごとに、1日の使用量、効果が確認できる判定日数に基づいて正規の1個の商品を小分けする分割サイズを算出する分割サイズ算出手段」なる記載が、「前記化粧品の商品カテゴリーごとに記憶された、1日の使用量、効果が確認できる判定日数に基づいて正規の1個の商品を小分けする分割サイズを算出する分割サイズ算出手段」なる記載に補正されている。 当該補正により、「1日の使用量、効果が確認できる判定日数」が「前記化粧品の商品カテゴリーごとに記憶され」ていることが明確となり、当審の拒絶理由は解消されたと認められる。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1、2は、当業者が引用発明及び引用文献2の記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 また、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に係る不備も解消された。 したがって、原査定の理由及び当審で通知した理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-05-27 |
出願番号 | 特願2018-43668(P2018-43668) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 池田 聡史 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
上田 智志 佐藤 聡史 |
発明の名称 | サンプル品提供システム |
代理人 | 久留 徹 |