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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06K
管理番号 1374526
審判番号 不服2020-14022  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-06 
確定日 2021-06-15 
事件の表示 特願2016-122221「位置特定装置及び位置特定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月28日出願公開,特開2017-228005,請求項の数(7)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成28年6月21日の出願であって,令和2年1月10日付けで拒絶理由通知がされ,令和2年3月13日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がされたが,令和2年7月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和2年10月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(令和2年7月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1-7に係る発明は,以下の引用文献1-4に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引 用 文 献 等 一 覧
1.特許第4463612号公報
2.特開2011-145826号公報
3.特表2008-533590号公報
4.国際公開第2009/144794号


第3 本願発明
本願請求項1ないし7に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は,令和2年10月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりのものである。

「【請求項1】
白色を示す第1画素値の画像と黒色を示す第2画素値の画像との組み合わせパターンにより特定される第1コード、及び前記白色及び前記黒色とは異なる色を示す画素値の画像を含み、前記組み合わせパターンとは異なる種別のパターンにより特定される第2コードを有する2次元コードと、前記2次元コードを包囲する準ランダムパターンとを含む複数のパターン画像が配置された2次元スケール上の一部の領域を読み取るモノクロセンサと、前記領域を読み取り、前記白色及び前記黒色とは異なる色を識別可能なカラーセンサとを有する画像プローブを備え、
前記第2コードは、前記2次元スケール上における前記2次元コードの概略位置を示す情報であり、前記第1コードは、前記概略位置における前記2次元コードの詳細位置を示す情報であり、
前記モノクロセンサ及び前記カラーセンサに撮像を開始させるトリガ信号を送信し、前記モノクロセンサが前記トリガ信号の受信に応じて生成した第1撮像画像の取得と、前記カラーセンサが前記トリガ信号の受信に応じて生成した第2撮像画像の取得とを並列して実行する画像取得部と、
前記第1撮像画像に含まれる前記2次元コードに対応する前記第1コードの特定と、前記第2撮像画像に含まれる前記2次元コードに対応する前記第2コードの特定と、前記第1撮像画像に含まれる前記準ランダムパターンの特定とを並列して実行するコード特定部と、
前記コード特定部が特定した前記第1コードが示す前記詳細位置及び前記第2コードが示す前記概略位置に基づいて、当該第1コード及び当該第2コードを含む前記2次元コードの前記2次元スケール上の位置情報を特定するとともに、前記コード特定部が特定した前記準ランダムパターンの前記第1撮像画像の中心に対する相対位置を特定し、特定した前記位置情報が示す位置と、前記相対位置とに基づいて、前記画像プローブの位置を特定する位置特定部と、
を備える位置特定装置。
【請求項2】
前記異なる種別のパターンは、前記2次元コードの少なくとも一部に対応する前記白色及び前記黒色とは異なる色であり、
前記コード特定部は、前記2次元コードの一部に対応する前記白色及び前記黒色とは異なる色に基づいて前記第2コードを特定する、
請求項1に記載の位置特定装置。
【請求項3】
前記異なる種別のパターンは、前記2次元コードの位置を検出する位置検出用パターンの少なくとも一部に対応する前記白色及び前記黒色とは異なる色であり、
前記コード特定部は、前記位置検出用パターンの少なくとも一部に対応する前記白色及び前記黒色とは異なる色に基づいて前記第2コードを特定する、
請求項2に記載の位置特定装置。
【請求項4】
前記2次元スケールには、色調整用のパターン画像が配置されており、
前記画像取得部は、前記パターン画像を撮像した調整用画像を取得し、
前記調整用画像に含まれるパターン画像の色に基づいて、前記コード特定部が特定する色の調整を行う調整部を更に備える、
請求項2又は3に記載の位置特定装置。
【請求項5】
前記モノクロセンサ及び前記カラーセンサは、一つの前記パターン画像に含まれる前記2次元コードの全体と、前記準ランダムパターンの少なくとも一部とを含む撮像画像を生成する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の位置特定装置。
【請求項6】
前記コード特定部は、取得された前記第1撮像画像に含まれる前記パターン画像のうち、当該第1撮像画像に対応する視野の中心に最も近い前記パターン画像を特定し、
前記位置特定部は、前記視野の中心に最も近い前記パターン画像に対応する前記2次元コードに対応する前記第1コードが示す前記詳細位置及び前記第2コードが示す前記概略位置に基づく、当該2次元コードの前記2次元スケール上の位置情報と、前記視野の中心に最も近い前記パターン画像に対応する前記準ランダムパターンの前記視野の中心からのずれ量とに基づいて、前記画像プローブの位置を特定する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の位置特定装置。
【請求項7】
白色を示す第1画素値の画像と黒色を示す第2画素値の画像との組み合わせパターンにより特定される第1コード、及び前記白色及び前記黒色とは異なる色を示す画素値の画像を含み、組み合わせパターンとは異なる種別のパターンにより特定される第2コードを有する2次元コードと、前記2次元コードを包囲する準ランダムパターンとを含む複数のパターン画像が配置された2次元スケール上の一部の領域を読み取るモノクロセンサと、前記領域を読み取り、前記白色及び前記黒色とは異なる色を識別可能なカラーセンサとを有する画像プローブが、前記モノクロセンサにより第1撮像画像を生成し、前記カラーセンサにより第2撮像画像を生成するステップを有し、
前記第2コードは、前記2次元スケール上における前記2次元コードの概略位置を示す情報であり、前記第1コードは、前記概略位置における前記2次元コードの詳細位置を示す情報であり、
位置特定装置が、前記モノクロセンサ及び前記カラーセンサに撮像を開始させるトリガ信号を送信し、前記モノクロセンサが前記トリガ信号の受信に応じて生成した第1撮像画像の取得と、前記カラーセンサが前記トリガ信号の受信に応じて生成した第2撮像画像の取得とを並列して実行するステップと、
前記位置特定装置が、前記第1撮像画像に含まれる前記2次元コードに対応する前記第1コードの特定と、前記第2撮像画像に含まれる前記2次元コードに対応する前記第2コードの特定と、前記第1撮像画像に含まれる前記準ランダムパターンの特定とを並列して実行するステップと、
前記位置特定装置が、特定された前記第1コードが示す前記詳細位置及び前記第2コードが示す前記概略位置に基づいて、当該第1コード及び当該第2コードを含む前記2次元コードの前記2次元スケール上の位置情報を特定するとともに、特定された前記準ランダムパターンの前記第1撮像画像の中心に対する相対位置を特定するステップと、
前記位置特定装置が、特定された前記位置情報が示す位置と、前記相対位置とに基づいて、前記画像プローブの位置を特定するステップと、
を有する位置特定方法。」


第4 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
ア 本願の出願日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された,特許第4463612号公報(以下,これを「引用文献1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同じ。)

a 「【0028】
本発明のシステムおよび方法の種々の例示的実施形態を以下の各図に関して詳述する。図1は、2次元絶対位置測定をするために、本発明に従った2次元統合スケールパターンを使用可能な2次元光学式絶対位置エンコーダ100のブロック図である。図1に図示された2次元光学式絶対位置エンコーダ100は、読取ヘッド126、信号生成・処理回路200および2次元スケール110を含む。2次元スケール110は、2次元統合スケールパターン300を備える。図1において、読取ヘッド126の構成要素および、それらの2次元スケール110および2次元統合スケールパターン300に対する関係は、以下でさらに述べるように、例示的な物理構成に概ね対応するレイアウトにより図式的に示される。

・・・中略・・・
【0035】
光検出器160は、カメラ、電子式またはディジタルカメラ、CCDアレイ、CMOS光検出素子のアレイなどといったような、独立な個別の光検出素子によって2次元アレイに構成され得るあらゆる周知であるかまたは今後開発される形式の光検出材料または装置である。レンズ140、アパーチャプレート150および光検出器160を含む読取ヘッド126と、2次元スケール110の例示的な間隔および位置決めは以下でさらに説明する。」

b 「【0060】
画像を取得するために、信号生成・処理回路200は、光源130を駆動して光ビーム134を放射させるために信号線132に駆動信号を出力する。光ビーム134は2次元統合スケールパターン300の一部を照明し、それは光検出器160の画像素子162の2次元アレイ166上で撮像される。信号生成・処理回路200はその後、信号線164によって複数の信号成分を入力し、各信号成分は個別の画像素子162のうちの1つ以上によって検出される画像値に対応している。
【0061】
2つの次元の各々に沿った2次元統合スケールパターン300に対する読取ヘッドの現在の変位を決定するために、信号生成・処理回路200により光検出器160から受信された現在画像の信号成分は、メモリに入力され記憶される。現在画像は、その後、読取ヘッド126と2次元スケール110との間の各次元に沿った絶対位置を決定するために、分析される。当然、光検出器から受け取った画像を記憶することは、絶対位置がオンザフライ(on the fly)で計算できる場合、スキップされ得ることを理解しなければならない。種々の例示的実施形態において、絶対位置決定の分析の一部として、現在画像の測定軸111および112のうちの少なくとも一方に対応する方向で広がっている画像素子162の1行または1列、またはせいぜい少数の行または列が、分析のために選定される。
【0062】
以下でさらに詳細に検討するように、分析の一部として、現在画像に現れる2次元コード部の位置づけがされる。この位置づけされた2次元コード部は、その位置づけされたコード部によって定義される第1分解能2次元絶対位置を決定するために、復号される。位置づけされたコード部の2次元配置、または位置づけされたコード部の(もしくはそれに関係する)所定部分の2次元ロケーションが、その後、現在画像フレーム(すなわち画像素子162の2次元アレイ166)に対して決定される。
【0063】
現在画像フレームに対するこの決定された2次元ロケーションによって、2次元統合スケールパターン300に対する読取ヘッド126の2次元絶対位置が、復号されたコード部によって指示された第1分解能2次元ロケーションから第2分解能2次元ロケーションに精緻化される。種々の例示的実施形態において、この第2分解能2次元ロケーションはピクセル分解能であり、2次元アレイ166の2つの次元または軸の各々に沿った画像素子162のピクセル間隔またはピッチに対応している。
【0064】
第2分解能2次元ロケーションの最高達成可能性は、真のピクセル分解能に対応することを理解しなければならない。すなわち、各軸に沿った第2分解能は、その軸に沿った絶対ロケーション測定値の不確さを、ある分解能まで低減する分解能がある。上記ある分解能とは、読取ヘッド126によって付与されるその次元に沿った倍率および2次元アレイ166のその次元に沿ったせいぜい1?2ピクセルピッチ増分に対応する分解能である。当然、第2分解能は、補間または重心に基づく決定が使用される場合、1ピクセルピッチより良好になり得ることを理解しなければならない。
【0065】
準ランダムパターンを含む現在画像の少なくとも一部が、多数のオフセット位置の各々について対応する準ランダムパターンを含む参照画像と、ピクセル単位で比較されることにより、スケールに対する読取ヘッドの絶対位置が第3分解能まで決定される。種々の例示的実施形態において、第3分解能は、アレイ160上の画像のサブピクセル分解能位置決定に対応している。参照によってここに全体として採り入れられる、米国特許出願第09/731671号に詳細に開示されたように、一連の比較は、相関曲線のピークおよび/または谷にわたる。
【0066】
すなわち、参照画像および現在画像は、相関関数値点を生成するために処理される。例示的実施形態において、現在画像は、2つの画像のパターンを最も近くに位置合わせさせるオフセットを含む、ある範囲のオフセットまたは空間変換位置にわたり、参照画像に対してディジタル的にシフトされる。相関関数値点はパターン位置合わせの程度を指示しており、従って画像がディジタル的にシフトされる際に2つの画像を位置合わせさせるために要求されるオフセットの量を指示する。このオフセットは、2次元スケール110に対する読取ヘッド126の絶対位置を、第2分解能から第3分解能に精緻化するために使用され得る。第3分解能とは、読取ヘッド100によって付与される倍率で割られた、アレイ166の片方または両方の軸における1より著しく小さいピクセルピッチ増分に対応する。」

c 「【0069】
図5は、本発明に従った2次元統合スケールパターン300の第1の例示的実施形態300’のブロック図レイアウトを例示している。図5に図示された通り、2次元統合スケールパターン300’は、複数の部310(各部310は一つの2次元準ランダムパターンを含む)および複数の2次元コード部330を含む。本発明の原理によれば、2次元統合スケールパターン300’の複数の2次元準ランダムパターン部310および複数の2次元コード部330は、2次元統合スケールパターン300’の個々の局所領域をシェア(share)し、またはそこで「統合」されている。局所領域は、以下でさらに詳述する検出窓340のサイズにほぼ対応する。
【0070】
図5に図示された統合スケールパターン300’は、2つの測定軸111および112の各々に沿って延びる本発明に従った2次元スケール110の領域全体にわたり延在する。すなわち、複数の2次元準ランダムパターン部310および複数の2次元コード部330はそれぞれ、2つの軸111および112の各々に沿って広がりを有する。種々の例示的実施形態において、2つの軸111および112の各々に沿って、2次元準ランダムパターン部310および2次元コード部330は、2次元スケール110の領域全体にわたり反復シーケンスで配置されている。随意選択で、いくつかの例示的実施形態において、2次元コード部330の各々は、以下でさらに詳述するように、所定のフィーチャー320を含む。

・・・中略・・・

【0080】
上述の通り、いずれかの特定の2次元コード部330に対応する2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値は、別個のかつ/または一意のコードパターンによって事前に規定され得るかまたは、別個のかつ/または一意のコードパターンから計算されるかまたは別様に決定され得る。すなわち、種々の例示的実施形態において、別個のかつ/または一意のコードパターンはルックアップテーブル内に記憶され、それはその別個のかつ/または一意のパターンを含む2次元コード部330に対応する2次元スケール110上の公称2次元ロケーションの2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値も記憶する。この場合、種々の例示的実施形態において、別個のかつ/または一意のパターンは、いずれかの所望の順序またはシーケンスで生起することができ、この時、2次元コード部330の隣り合うものの別個のかつ/または一意のパターンにはいかなる関係も存在する必要はない。この場合、別個のかつ/または一意のパターンは、例えば、2次元コード部330の隣り合うものの別個のかつ/または一意のパターンの区別を増大させるようにといった、いずれかの所望の形で2次元コード部330間に分布され得る。

・・・中略・・・

【0085】
個々の特定の2次元コード部330は測定軸111および112の両方に沿って延在する2次元領域に分布されるが、それにも関わらず個々の特定の2次元コード部330は、2次元スケール110の領域における特定の点に関係づけられている2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値に一意に対応するかまたは、それらを識別することを理解しなければならない。特定の2次元コード部330によって指示される2つの測定軸111および112に沿った測定値に対応する2次元スケール110の領域おける個々の特定の点について、その点は局所基準と呼び得ることを理解しなければならない。」

d「【0102】
図8は、図5に図示された2次元統合スケールパターン300’に対応する2次元統合絶対スケール400の第1の例示的実施形態を例示している。図8に図示された通り、2次元統合スケール400は、複数の2次元準ランダムパターン部410および、測定軸111および112の両方に沿って配列された複数の2次元コード部430を有する。さらに、図8に図示された例示的実施形態において、コード部430は、所定のパターン部分420を含み、それは以下でさらに詳述するように、コード部430のコード区域の一貫してパターン形成された最上行および左列から構成される。」

e 「図1



f 「図4



g 「図5



h 「図8



i 上記aの段落【0028】によれば,引用文献1には,“読取ヘッド126,信号生成・処理回路200および2次元統合スケールパターン300を備える2次元スケール110を含み,2次元絶対位置測定をするために2次元統合スケールパターン300を使用可能な2次元光学式絶対位置エンコーダ100”が記載されているといえる。

j 上記aの段落【0035】には,「光検出器160は、カメラ、電子式またはディジタルカメラ、CCDアレイ、CMOS光検出素子のアレイなどといった」ものであること,さらに,「読取ヘッド126」は「光検出器160を含む」ことが記載されている。
してみると,引用文献1には,“読取ヘッド126は,カメラ,電子式またはディジタルカメラ,CCDアレイ,CMOS光検出素子のアレイなどといった光検出器160を含”むことが記載されている。

k 上記cの段落【0069】には,“2次元統合スケールパターン300は,複数の2次元準ランダムパターン部310および複数の2次元コード部330を含”むことが,また,段落【0070】には,“2次元スケール110の領域全体にわたり反復シーケンスで,2つの軸111および112の各々に沿って,2次元準ランダムパターン部310および2次元コード部330が配置されて”いることが記載されている。

m 上記dによれば,図8は図5の2次元統合スケールパターン300’の例示的実施形態であって,そして,図8(上記h)によると,2次元コード部430は,白色を示す画素値のコード空白434と,黒色を示す画素値のコード要素432との組合わせであることが看取できる。
してみると,引用文献1には,“2次元コード部330は,白色を示す画素値のコード空白と,黒色を示す画素値のコード要素との組合わせであ”ることが記載されているといえる。

n 上記cの段落【0080】には,“いずれかの特定の2次元コード部330に対応する2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値が,別個の一意のコードパターンから計算され得るように,別個の一意のコードパターンはルックアップテーブル内に,別個の一意のパターンを含む2次元コード部330に対応する2次元スケール110上の公称2次元ロケーションの2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値が記憶され”ることが記載されている。

o 上記bの段落【0060】には,“信号生成・処理回路200は,画像を取得するために,光源130を駆動して光ビーム134を2次元統合スケールパターン300の一部を照明し,それを光検出器160の画像素子162の2次元アレイ166上で撮像し,その後,個別の画像素子162のうちの1つ以上によって検出される画像値に対応した信号成分が信号線164によって信号生成・処理回路200に入力され”ることが記載されている。

p 上記bの段落【0061】及び【0062】には,“信号生成・処理回路200により光検出器160から受信された現在画像の信号成分は,メモリに入力され記憶され,現在画像は,その後,読取ヘッド126と2次元スケール110との間の各次元に沿った絶対位置を決定するために,分析され,現在画像に現れる2次元コード部330の位置づけがされ,その位置づけされた2次元コード部330によって定義される第1分解能2次元絶対位置を決定するために,復号され”ることが記載されている。
さらに,段落【0065】には,「準ランダムパターンを含む現在画像の少なくとも一部が,多数のオフセット位置の各々について対応する準ランダムパターン部を含む参照画像と,ピクセル単位で比較されることにより,スケールに対する読取ヘッドの絶対位置が第3分解能まで決定される」 ことが記載され,また,該記載における「準ランダムパターン」は,図5(上記g)の例示的実施形態においては,「2次元準ランダムパターン部310」に対応することは明らかである。
してみると,引用文献1には,“2次元準ランダムパターン部310を含む現在画像の少なくとも一部が,多数のオフセット位置の各々について対応する2次元準ランダムパターン部310を含む参照画像と,ピクセル単位で比較されることにより,スケールに対する読取ヘッドの絶対位置が第3分解能まで決定される”ことが記載されているといえる。

イ 上記aないしpの記載内容(特に,下線部を参照)からすると,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

「読取ヘッド126,信号生成・処理回路200および2次元統合スケールパターン300を備える2次元スケール110を含み,2次元絶対位置測定をするために2次元統合スケールパターン300を使用可能な2次元光学式絶対位置エンコーダ100であって,
読取ヘッド126は,カメラ,電子式またはディジタルカメラ,CCDアレイ,CMOS光検出素子のアレイなどといった光検出器160を含み,
2次元統合スケールパターン300は,複数の2次元準ランダムパターン部310および複数の2次元コード部330を含み,2次元スケール110には,領域全体にわたり反復シーケンスで,2つの軸111および112の各々に沿って,2次元準ランダムパターン部310および2次元コード部330が配置されており,
2次元コード部330は,白色を示す画素値のコード空白と,黒色を示す画素値のコード要素との組合わせであって,
いずれかの特定の2次元コード部330に対応する2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値が,別個の一意のコードパターンから計算され得るように,別個の一意のコードパターンはルックアップテーブル内に,別個の一意のパターンを含む2次元コード部330に対応する2次元スケール110上の公称2次元ロケーションの2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値が記憶され,
信号生成・処理回路200は,画像を取得するために,光源130を駆動して光ビーム134を2次元統合スケールパターン300の一部を照明し,それを光検出器160の画像素子162の2次元アレイ166上で撮像し,その後,個別の画像素子162のうちの1つ以上によって検出される画像値に対応した信号成分が信号線164によって信号生成・処理回路200に入力され,
信号生成・処理回路200により光検出器160から受信された現在画像の信号成分は,メモリに入力され記憶され,現在画像は,その後,読取ヘッド126と2次元スケール110との間の各次元に沿った絶対位置を決定するために,分析され,現在画像に現れる2次元コード部330の位置づけがされ,その位置づけされた2次元コード部330によって定義される第1分解能2次元絶対位置を決定するために,復号され,さらに,2次元準ランダムパターン部310を含む現在画像の少なくとも一部が,多数のオフセット位置の各々について対応する2次元準ランダムパターン部310を含む参照画像と,ピクセル単位で比較されることにより,スケールに対する読取ヘッドの絶対位置が第3分解能まで決定される,
2次元光学式絶対位置エンコーダ100。」

2 引用文献2について
ア 本願の出願日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された,特開2011-145826号公報(以下,これを「引用文献2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

a 「【0198】
図15の連続マトリクスコード120においては、繰り返しの単位である各グループを識別するためのグループ識別標示として、それぞれのグループに属する記号の背景が各グループによって異なる色で彩色されている。」

b 「図15



3 引用文献3について
ア 本願の出願日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された,特表2008-533590号公報(以下,これを「引用文献3」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

a 「【0018】
本発明による光学式リーダーの電気的ブロック図が、図1aに示される。
リーダー100は、図1aに示されるイメージセンサICチップ1082A上に、CMOSイメージセンサ集積回路(IC)チップとして組み込まれたソリッドステートイメージセンサアレイ182Aを含む。重要な側面において、以下に記述されるように、イメージセンサ配列182Aは、複数のピクセルおよび光感受性サブセットのピクセルと関連した波長感受性カラーフィルタ要素を含み、ここで、光感受性サブセットのピクセルに対して外にある残りのピクセルは、関連する波長選択性フィルタ要素の欠陥である。イメージセンサアレイ182Aは、単色ピクセルおよびカラー感受性ピクセルの両方を含むので、イメージセンサアレイ182Aは、単色/カラーハイブリッドイメージセンサアレイと呼ばれる。リーダー100はさらに、プロセッサICチップ548、および制御回路552を含む。図1aの実施形態における制御回路552は、プロセッサICチップ548の中央処理装置(CPU)を与えられていることが示されている。他の実施形態において、制御回路552は例えば、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、あるいはアプリケーションスペシフィック集積回路(ASIC)のような、プログラム可能な、論理関数実行デバイスを与えられていることができる。撮像レンズ212は、イメージセンサアレイ182Aの活性な表面にイメージを焦点合わせし、かつ、イメージセンサアレイ182Aと共に、撮像アセンブリ200を形成する。制御回路552は、RAM560およびフラッシュメモリ564とともにリーダーメモリ566を構成するプログラムメモリEPROM562にストアされた指令にしたがって、撮像、および指標デコードアルゴリズムを実行する。リーダーメモリ566は、システムバス570を介してプロセッサICチップ548と通信する。」

b 「図1a



4 引用文献4について
ア 本願の出願日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された,国際公開2009/144794号(以下,これを「引用文献4」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

a 「[0020] 前記切り出しコード部2の役割は、情報コードを含む画像データから、容易に情報コードを切り出すための基準となること、また、データ記録コード部3の切り出し及びセルの数や構成等を分析するために最低限必要な情報を符号することである。
その役割から、使用するコード体系は、切り出しや復元精度が高いものを使用する。例えば、使用する色の数は白黒またはRGBやCMYといった2色ないし3色に限定し、色差を保つことによって、色の退色、印刷ムラ、照明光などの影響を受け難くくしたり、セルのサイズを大きくすることで形状を識別しやすくする。 切り出しコード部2には、既に実績のあるQRコードや特公2008-27029のような復元精度に主眼を置いたコード体系に、その機能を持たせるのも一つの方法である。」

b 「図1




第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「2次元コード部330」は,「白色を示す画素値のコード空白と,黒色を示す画素値のコード要素との組合わせであ」る。
してみると,引用発明の「白色を示す画素値のコード空白」及び「黒色を示す画素値のコード要素」は,各々,本願発明1の「白色を示す第1画素値の画像」及び「黒色を示す第2画素値の画像」に相当し,引用発明の「2次元コード部330」は,本願発明1の「白色を示す第1画素値の画像と黒色を示す第2画素値の画像との組み合わせパターンにより特定される第1コード」に相当する。
さらに,引用発明の「2次元コード部330」と,本願発明1の「白色を示す第1画素値の画像と黒色を示す第2画素値の画像との組み合わせパターンにより特定される第1コード、及び前記白色及び前記黒色とは異なる色を示す画素値の画像を含み、前記組み合わせパターンとは異なる種別のパターンにより特定される第2コードを有する2次元コード」とは,後記の点で相違するものの,“白色を示す第1画素値の画像と黒色を示す第2画素値の画像との組み合わせパターンにより特定される第1コードを有する2次元コード”の点では共通する。
また,引用発明の「2次元準ランダムパターン部310」は,「2次元コード部330」と「領域全体にわたり反復シーケンスで,2つの軸111および112の各々に沿って」「配置」されるものであり,「2次元コード部330」を包囲しているといえるから,引用発明の「2次元準ランダムパターン部310」は,本願発明1の「前記2次元コードを包囲する準ランダムパターン」に相当する。
そして,引用発明の「2次元スケール110」は,「領域全体にわたり反復シーケンスで,2つの軸111および112の各々に沿って,2次元準ランダムパターン部310および2次元コード部330が配置され」るものであるから,引用発明の「2次元スケール110」と,本願発明1の「白色を示す第1画素値の画像と黒色を示す第2画素値の画像との組み合わせパターンにより特定される第1コード、及び前記白色及び前記黒色とは異なる色を示す画素値の画像を含み、前記組み合わせパターンとは異なる種別のパターンにより特定される第2コードを有する2次元コードと、前記2次元コードを包囲する準ランダムパターンとを含む複数のパターン画像が配置された2次元スケール」とは,後記の点で相違するものの,“白色を示す第1画素値の画像と黒色を示す第2画素値の画像との組み合わせパターンにより特定される第1コードを有する2次元コードと,前記2次元コードを包囲する準ランダムパターンとを含む複数のパターン画像が配置された2次元スケール”の点で共通する。

イ 引用発明の「光検出器160」は,「画像を取得するために」「2次元統合スケールパターン300の一部を照明し」た「光ビーム134」を「撮像」する「画像素子162」を有するものであり,ここで,「2次元統合スケールパターン300」の「2次元コード部330」は「白色を示す画素値のコード空白と,黒色を示す画素値のコード要素との組合わせであ」り,通常であれば,「画像素子162」はモノクロセンサと認められることから,引用発明の「光検出器160」は,本願発明1の「2次元スケール上の一部の領域を読み取るモノクロセンサ」に相当する。
そして,引用発明の「読取ヘッド126」は,「光検出器160を含」むものであるから,上記アの点も踏まえると,引用発明の「読取ヘッド126」と,本願発明1の「白色を示す第1画素値の画像と黒色を示す第2画素値の画像との組み合わせパターンにより特定される第1コード、及び前記白色及び前記黒色とは異なる色を示す画素値の画像を含み、前記組み合わせパターンとは異なる種別のパターンにより特定される第2コードを有する2次元コードと、前記2次元コードを包囲する準ランダムパターンとを含む複数のパターン画像が配置された2次元スケール上の一部の領域を読み取るモノクロセンサと、前記領域を読み取り、前記白色及び前記黒色とは異なる色を識別可能なカラーセンサとを有する画像プローブ」とは,後記の点で相違するものの,“白色を示す第1画素値の画像と黒色を示す第2画素値の画像との組み合わせパターンにより特定される第1コードを有する2次元コードと,前記2次元コードを包囲する準ランダムパターンとを含む複数のパターン画像が配置された2次元スケール上の一部の領域を読み取るモノクロセンサを有する画像プローブ”の点では共通する。

ウ 引用発明の「2次元コード部330」の「別個の一意のコードパターン」は,「ルックアップテーブル」によって「別個の一意のパターンを含む2次元コード部330に対応する2次元スケール110上の公称2次元ロケーションの2つの測定軸111および112の各々に沿った測定値」が「計算」できるものであり,引用発明の「2次元コード部330」は「2次元スケール110」上における「2次元コード部330」の位置を示す情報といえる。
したがって,引用発明の「2次元コード部330」と,本願発明1の「前記第1コードは、前記概略位置における前記2次元コードの詳細位置を示す情報であ」ることとは,後記の点で相違するものの,“前記第1コードは,前記2次元コードの位置を示す情報であ”ることの点では共通する。

エ 引用発明の「信号生成・処理回路200」は,「画像を取得するために,光源130を駆動して光ビーム134を2次元統合スケールパターン300の一部を照明し,それを光検出器160の画像素子162の2次元アレイ166上で撮像し,その後,個別の画像素子162のうちの1つ以上によって検出される画像値に対応した信号成分が信号線164によって信号生成・処理回路200に入力され」るものであり,ここで,「光検出器160の画像素子162の2次元アレイ166上で撮像」を始めるためには,信号生成・処理回路200」は何らかのトリガ信号を「光検出器160」に送信しているものと認められる。
してみると,引用発明の「画像素子162のうちの1つ以上によって検出される画像値に対応した信号成分」が,本願発明1の「第1撮像画像」に相当し,そして,引用発明の「信号生成・処理回路200」と,本願発明1の「前記モノクロセンサ及び前記カラーセンサに撮像を開始させるトリガ信号を送信し、前記モノクロセンサが前記トリガ信号の受信に応じて生成した第1撮像画像の取得と、前記カラーセンサが前記トリガ信号の受信に応じて生成した第2撮像画像の取得とを並列して実行する画像取得部」とは,後記の点で相違するものの,“前記モノクロセンサに撮像を開始させるトリガ信号を送信し,前記モノクロセンサが前記トリガ信号の受信に応じて生成した第1撮像画像の取得を実行する画像取得部”の点では共通する。

オ また,引用発明の「信号生成・処理回路200」は,「光検出器160から受信された現在画像の信号成分」を「メモリに入力」して「記憶」し,「現在画像」を「読取ヘッド126と2次元スケール110との間の各次元に沿った絶対位置を決定するために,分析」し,「現在画像に現れる2次元コード部の位置づけ」をし,「2次元コード部330」を「復号」し,「さらに,2次元準ランダムパターン部310を含む現在画像が,対応する2次元準ランダムパターン部310を含む参照画像と比較するために,参照画像および現在画像は,相関関数値点を生成するための処理がされ,相関関数値点は2つの画像を位置合わせさせるために要求されるオフセットの量を指示しており,このオフセットが,2次元スケール110に対する読取ヘッド126の絶対位置を,第2分解能から第3分解能に精緻化するために使用される」ものであり,「2次元コード部330」及び「2次元準ランダムパターン部310」の特定をしているといえる。さらに,引用発明の「現在画像」は「光検出器160から受信された」ものであって,「画像素子162のうちの1つ以上によって検出される画像値に対応した信号成分」であり,本願発明1の「第1撮像画像」に相当するといえる。
したがって,引用発明の「信号生成・処理回路200」と,本願発明1の「前記第1撮像画像に含まれる前記2次元コードに対応する前記第1コードの特定と、前記第2撮像画像に含まれる前記2次元コードに対応する前記第2コードの特定と、前記第1撮像画像に含まれる前記準ランダムパターンの特定とを並列して実行するコード特定部」とは,後記の点で相違するものの,“前記第1撮像画像に含まれる前記2次元コードに対応する前記第1コードの特定と,前記第1撮像画像に含まれる前記準ランダムパターンの特定とを実行するコード特定部”の点では共通する。

カ さらに,引用発明の「信号生成・処理回路200によ」って,「現在画像」が,「読取ヘッド126と2次元スケール110との間の各次元に沿った絶対位置を決定するために,分析され,現在画像に現れる2次元コード部330の位置づけがされ,その位置づけされた2次元コード部330によって定義される第1分解能2次元絶対位置を決定するために,復号」することは,ここで,「位置づけされた2次元コード部」の「複合」される値は「測定軸111および112の各々に沿った測定値」であるから,「2次元コード部330」の「2次元スケール110」上の位置情報を特定することといえる。
また,引用発明の「信号生成・処理回路200により」,「2次元準ランダムパターン部310を含む現在画像が,対応する2次元準ランダムパターン部310を含む参照画像と比較するために,参照画像および現在画像は,相関関数値点を生成するための処理がされ,相関関数値点は2つの画像を位置合わせさせるために要求されるオフセットの量を指示しており,このオフセットが,2次元スケール110に対する読取ヘッド126の絶対位置を,第2分解能から第3分解能に精緻化するために使用される」ことは,「現在画像」の「参照画像」に対する相対位置(オフセット)を特定し,2次元スケール110に対する読取ヘッド126の絶対位置を特定しており,その際には,当然,「現在画像」の位置づけされた2次元コード部」の「複合」される値も使用することは明らかである。
してみると,引用発明の「信号生成・処理回路200」と,本願発明1の「前記コード特定部が特定した前記第1コードが示す前記詳細位置及び前記第2コードが示す前記概略位置に基づいて、当該第1コード及び当該第2コードを含む前記2次元コードの前記2次元スケール上の位置情報を特定するとともに、前記コード特定部が特定した前記準ランダムパターンの前記第1撮像画像の中心に対する相対位置を特定し、特定した前記位置情報が示す位置と、前記相対位置とに基づいて、前記画像プローブの位置を特定する位置特定部」とは,後記の点で相違するものの,“前記コード特定部が特定した前記第1コードが示す前記位置に基づいて,当該第1コードを含む前記2次元コードの前記2次元スケール上の位置情報を特定するとともに,前記コード特定部が特定した前記準ランダムパターンの前記第1撮像画像の相対位置を特定し,特定した前記位置情報が示す位置と,前記相対位置とに基づいて,前記画像プローブの位置を特定する位置特定部”の点では共通する。

キ 引用発明の「2次元光学式絶対位置エンコーダ100」は,「2次元スケール110」を読み取る「読取ヘッド126」,「信号生成・処理回路200」を備え,「読取ヘッド126」の「2次元スケール110」に対する位置を特定するものであるから,本願発明1の「位置特定装置」に相当する。

したがって,本願発明1と引用発明との間には,以下の一致点と相違点とがある。

〈一致点〉
「白色を示す第1画素値の画像と黒色を示す第2画素値の画像との組み合わせパターンにより特定される第1コードを有する2次元コードと,前記2次元コードを包囲する準ランダムパターンとを含む複数のパターン画像が配置された2次元スケール上の一部の領域を読み取るモノクロセンサとを有する画像プローブを備え,
前記第1コードは,前記2次元コードの位置を示す情報であり,
前記モノクロセンサに撮像を開始させるトリガ信号を送信し,前記モノクロセンサが前記トリガ信号の受信に応じて生成した第1撮像画像の取得を実行する画像取得部と,
前記第1撮像画像に含まれる前記2次元コードに対応する前記第1コードの特定と,前記第1撮像画像に含まれる前記準ランダムパターンの特定とを実行するコード特定部と,
前記コード特定部が特定した前記第1コードが示す前記位置に基づいて,当該第1コードを含む前記2次元コードの前記2次元スケール上の位置情報を特定するとともに,前記コード特定部が特定した前記準ランダムパターンの前記第1撮像画像の相対位置を特定し,特定した前記位置情報が示す位置と,前記相対位置とに基づいて,前記画像プローブの位置を特定する位置特定部と,
を備える位置特定装置。」

〈相違点1〉
「2次元スケール」が,本願発明1では,「前記白色及び前記黒色とは異なる色を示す画素値の画像を含み、前記組み合わせパターンとは異なる種別のパターンにより特定される第2コードを有する」ものであって,「前記第2コードは,前記2次元スケール上における前記2次元コードの概略位置を示す情報であり,前記第1コードは、前記概略位置における前記2次元コードの詳細位置を示す情報であ」るのに対して,引用発明では,そのような第2コードは有しておらず,「2次元コード部330」は,そのような詳細位置を示すものでもない点。

〈相違点2〉
「画像プローブ」が,本願発明1では,「前記領域を読み取り,前記白色及び前記黒色とは異なる色を識別可能なカラーセンサ」を有し,「画像取得部」は,「カラーセンサ」にもトリガ信号を送信し,「第1撮像画像の取得と,前記カラーセンサが前記トリガ信号の受信に応じて生成した第2撮像画像の取得とを並列して実行する」ものであるのに対して,引用発明では,そのようなカラーセンサを有しておらず,そのため,「信号生成・処理回路200」は,そのよなトリガ信号を送信せず,第2撮像画像の取得とを並列して実行しない点。

〈相違点3〉
「コード特定部」が,本願発明1では,「前記第1コードの特定と,前記第2撮像画像に含まれる前記2次元コードに対応する前記第2コードの特定と,前記第1撮像画像に含まれる前記準ランダムパターンの特定とを並列して実行する」るのに対して,引用発明では,「第2コード」は有していないので,「信号生成・処理回路200」は,「2次元コード部330」のみ特定し,また,「2次元コード部330」の特定と「2次元準ランダムパターン部310」の特定が並列して実行するとは特定されて点。

〈相違点4〉
「位置特定部」が,本願発明1では,「前記第1コードが示す前記詳細位置及び前記第2コードが示す前記概略位置に基づいて,当該第1コード及び当該第2コードを含む前記2次元コードの前記2次元スケール上の位置情報を特定」し,また,「前記コード特定部が特定した前記準ランダムパターンの前記第1撮像画像の中心に対する相対位置を特定」するのに対して,引用発明では,「2次元コード部330」のみから位置情報を特定し,また,「参照画像」に対する相対位置を特定している点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて,先ず,相違点1について先に検討する。
引用文献2ないし4には,2次元コードを,2次元コードのスケール上における概略位置を示す情報であって,白色及び黒色とは異なる色を示す画素値の画像を含み,第1コードとは異なる種別のパターンにより特定される第2コードと,前記概略位置における詳細位置を示す情報である第1コードを有するものとすることは記載されていない。
また,2次元コードを,2次元コードのスケール上における概略位置を示す情報であって,白色及び黒色とは異なる色を示す画素値の画像を含み,第1コードとは異なる種別のパターンにより特定される第2コードと,前記概略位置における詳細位置を示す情報である第1コードを有するものとすることが周知の技術であったとも認められない。
したがって,上記相違点1に係る構成が,引用発明及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基づき当業者が容易に構成し得たものであるとはいえない。
以上のとおりであるから,他の相違点については検討するまでもなく,本願発明1が引用発明及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基づき当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6は,本願発明1を更に限定したものであるので,同様に,当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明7について
本願発明7は,本願発明1の「位置特定装置」を方法の観点から記載したものに過ぎないことから,同様に,当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。


第6 原査定について
<特許法29条2項について>
審判請求時の補正により,本願発明1ないし7は上記第3に示したとおりのものとなっており,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用発明(上記第4の引用文献1に記載された発明)及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由を維持することはできない。


第7 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-05-28 
出願番号 特願2016-122221(P2016-122221)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 山澤 宏
塚田 肇
発明の名称 位置特定装置及び位置特定方法  
代理人 泉 通博  

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