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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1374579
審判番号 不服2020-8020  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-10 
確定日 2021-06-22 
事件の表示 特願2016- 8344「情報表示プログラム、情報表示装置、情報表示方法および配信装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月27日出願公開、特開2017-129999、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成28年1月19日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年 8月 6日付け:拒絶理由通知書
令和元年10月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 3月 3日付け:拒絶査定
令和2年 6月10日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の理由の概要

原査定(令和2年3月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の請求項1-4、7及び12-13に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1-4、7、9及び12-13
・引用文献1

・請求項5-6、8、10
・引用文献1-2

・請求項11、14
・引用文献1及び3

<引用文献等一覧>
1.特開2013-020452号公報
2.特開2012-155675号公報
3.特開2015-210510号公報

第3 本願発明

本願の請求項1-14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明14」という。)は、令和2年6月10日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
コンピュータに、
利用者が接触した画面上の接触位置を特定する特定手順と、
前記画面のうち、前記特定手順により特定された接触位置と前記接触よりも前に行われた操作の履歴とに応じた位置に、当該操作に関する履歴に基づいて選択された内容の第1コンテンツを表示させる表示手順と
を実行させることを特徴とする情報表示プログラム。
【請求項2】
前記表示手順では、前記第1コンテンツを当該第1コンテンツとは異なる第2コンテンツに重ねて表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示プログラム。
【請求項3】
前記表示手順では、前記操作に関する履歴として、前記特定手順が特定した位置の履歴に応じた位置に、前記第1コンテンツを表示させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示プログラム。
【請求項4】
前記特定手順が特定した接触位置の履歴に基づいて、前記利用者が使用する手を推定する推定手順
を前記コンピュータに実行させ、
前記表示手順では、前記推定手順による推定結果に応じた位置に、前記第1コンテンツを表示させる
ことを特徴とする請求項1?3のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項5】
前記推定手順では、前記画面上で前記利用者の指が移動する際に移動方向からずれる方向に基づいて、前記利用者が使用する手が右手であるか左手であるかを推定させる
ことを特徴とする請求項4に記載の情報表示プログラム。
【請求項6】
前記推定手順では、前記画面上で前記利用者の指が画面上方向または画面下方向へ移動する際に移動方向から画面右方向へとずれる場合は、前記利用者が右手を使用すると推定させ、前記画面上で前記利用者の指が画面上方向または画面下方向へ移動する際に移動方向から画面左方向へとずれる場合は、前記利用者が左手を使用すると推定させる
ことを特徴とする請求項4または5に記載の情報表示プログラム。
【請求項7】
前記表示手順では、前記推定手順により前記利用者が右手を使用すると推定された場合は、前記特定手順により最後に特定された位置よりも画面左側の位置に前記第1コンテンツを表示させ、前記推定手順により前記利用者が左手を使用すると推定された場合は、前記特定手順により最後に特定された位置よりも画面右側の位置に前記第1コンテンツを表示させる
ことを特徴とする請求項4?6のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項8】
前記表示手順では、前記推定手順により前記利用者が右手を使用すると推定された場合は、前記第1コンテンツとして、画面右側に操作用の表示が配置されたコンテンツを表示させ、前記推定手順により前記利用者が左手を使用すると推定された場合は、画面左側に前記操作用の表示が配置されたコンテンツを表示させる
ことを特徴とする請求項4?7のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項9】
前記表示手順では、前記画面のうち、当該画面が縦長となる方向で使用されているか横長となる方向で使用されているかに応じた位置に、前記第1コンテンツを表示させる ことを特徴とする請求項1?8のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項10】
前記表示手順では、前記特定手順が特定した接触位置に応じて、前記第1コンテンツに含まれる操作用の表示を配置する位置を変更させる
ことを特徴とする請求項1?9のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項11】
前記表示手順は、前記第1コンテンツとして、広告に関するコンテンツを表示させる ことを特徴とする請求項1?10のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項12】
利用者が接触した画面上の接触位置を特定する特定部と、
前記画面のうち、前記特定部により特定された接触位置と前記接触よりも前に行われた操作の履歴とに応じた位置に、当該操作に関する履歴に基づいて選択された内容の第1コンテンツを表示させる表示部と
を有することを特徴とする情報表示装置。
【請求項13】
情報表示装置が実行する情報表示方法であって、
利用者が接触した画面上の接触位置を特定する特定工程と、
前記画面のうち、前記特定工程により特定された接触位置と前記接触よりも前に行われた操作の履歴とに応じた位置に、当該操作に関する履歴に基づいて選択された内容の第1コンテンツを表示させる表示工程と
を含むことを特徴とする情報表示方法。
【請求項14】
第1コンテンツを表示する端末装置に制御情報を配信する配信部を備え、
前記制御情報は、
利用者が接触した画面上の接触位置を特定する特定手順と、
前記画面のうち、前記特定手順により特定された接触位置と前記接触よりも前に行われた操作の履歴とに応じた位置に、当該操作に関する履歴に基づいて選択された内容の第1コンテンツを表示させる表示手順と
を前記端末装置に実行させることを特徴とする配信装置。」

第4 引用文献

1.引用文献1、引用発明
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

a.特許請求の範囲の欄(請求項11)の記載
「【請求項11】
表示画面上に画像を表示する表示部と、前記表示画面を介した筆記入力により前記画像の注釈情報を付与可能な筆記入力部とを有する装置を、
筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する編集モード指定部、
特定の筆記操作が実行された前記表示画面上での実行位置を取得する実行位置取得部、
前記特定の筆記操作の実行時点において前記編集モード指定部により指定されていた編集モードに関するモード画像に対し、前記実行位置取得部により取得された前記実行位置の周辺に一時的に表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部
として機能させることを特徴とするプログラム。」

b.段落0027の記載
「【0027】
この情報処理装置10を用いて校正作業を行う場合、操作回数を極力減らしつつも校正画像18全体が見渡せるように、表示部14(表示画面16)は、例えばB5?A4判サイズ相当の大面積を有することが望ましい。そして、迅速且つ効率的に作業するため、ユーザは、利き手(例えば、右手Rh)のみならず、両手(右手Rh及び左手Lh)を用いて作業する場合がある。すなわち、ユーザは、利き手である右手Rhでタッチペン28(スタイラスペン)を把持し、タッチペン28の先端部29で表示画面16上をなぞって筆記入力する。一方、ユーザは、左手Lhの指先30でアイコン20を適宜タッチし、筆記モード・消しゴムモード等の各種モードを切り替える。」

c.段落0037?0054の記載
「【0037】
本実施の形態に係る情報処理装置10は以上のように構成される。続いて、情報処理装置10の動作について、図3のフローチャート及び図2の機能ブロック図を主に参照しながら説明する。
【0038】
先ず、利き手情報入力部48は、ユーザの利き手情報を入力する(ステップS1)。具体的には、利き手情報入力部48は、ユーザによるマニュアル操作、例えば、図示しない設定画面を介して、利き手情報を入力する。ここでは、「利き手は右手Rhである」旨の利き手情報が入力されたとする。
【0039】
なお、利き手情報入力部48は、タッチ操作の傾向を考慮して、ユーザの利き手を検出可能に構成してもよい。例えば、筆記入力部15は、指先30と表示部14との接触領域であって、所定時間を超えて継続してタッチ状態である領域を検出する。そして、利き手情報入力部48は、接触領域に一層近い長辺(左長辺)の反対側である右側を利き手と判別する。
【0040】
次いで、ユーザは、校正画像18の編集作業を実施する(ステップS2)。編集作業の都度、注釈情報の付与方法に適した編集モードを適宜指定する。ユーザによるアイコン20(特に、第1アイコン22)のタッチ操作に応じて、編集モード指定部50は、筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する。ここでは、アルファベットの「A」が表記された第1アイコン22(図1参照)が選択され、テキスト情報を入力可能な「テキスト入力モード」が指定されたとする。
【0041】
なお、編集モードには、種々の形態で注釈情報を付与する入力モード、既に付与された注釈情報の書式を設定する書式モード、及び、既に付与された注釈情報の全部又は一部を削除する削除モード(消しゴムモード)のうち少なくとも1つが含まれる。入力モードの具体例として、上記したテキストの他、ペン字、矩形、円、線、マーク、音声等を入力する各モードが挙げられる。書式モードの具体例として、色(線、枠、塗り潰し等)、線の形状(実線、破線等)、補助符号(下線、枠線)を設定する各モードが挙げられる。
【0042】
ところで、ユーザは、校正画像18の編集作業に集中する余り、指定モードの種類を失念する場合がある。図4Aに示すように、ユーザは、アイコン20の配置位置(表示画面16の左下隅部)に視線を遣ることなく、タッチペン28の先端部29周辺のいずれかの箇所(以下、実行位置60という。)で、矢印T1の軌道に沿ったシングルタップ(特定の筆記操作)を実行する。
【0043】
次いで、特定操作検出部44は、特定の筆記操作が実行されたか否かを判別する(ステップS3)。ここで、特定の筆記操作には、上記したシングルタップの他、ダブルタップ、3回以上の連続タップ、ロングタップ等が含まれる。すなわち、筆記操作の誤検出を防止するため、編集作業中に一般的に実行され得る筆記操作とは異なり、且つ、互いに区別可能な操作であることが好ましい。
【0044】
なお、ユーザの視野は、表示画面16上の略中央部に常に存在するとは限らない。そこで、表示画面16上の略全面において特定の筆記操作の検出を有効にすることが好ましい。具体的には、表示画面16のうち、アイコン20の配置領域を除く残余の領域(検出可能領域62)内において、シングルタップの有無を検出してもよい。
【0045】
実行されていないと判別された場合、上記した特定の筆記操作を受け付けるまでステップS2に留まる。一方、実行されたと判別された場合、次のステップ(S4)に進む。
【0046】
次いで、実行位置取得部46は、ステップS3で検出された特定の筆記操作の実行位置60を取得する(ステップS4)。すなわち、実行位置取得部46は、筆記入力部15から、実行位置60の二次元座標を取得する。
【0047】
次いで、モード画像作成部52は、ステップS2で指定された指定モードに関するモード画像64を作成する(ステップS5)。具体的には、モード画像作成部52は、編集モード指定部50から、特定の筆記操作を検出した時点での指定モードの種類を取得する。図4A例では、モード画像作成部52は、「テキスト入力モード」である旨の情報を取得した後、テキスト入力モードに関するモード画像64を作成する。なお、モード画像作成部52は、本ステップの実行の都度にモード画像64を作成してもよいし、データ格納部42に予め格納されたモード画像64のデータを読み出してもよい。
【0048】
次いで、表示部14は、モード画像64の想起表示を開始する(ステップS6)。本明細書中における「想起表示」とは、現時点での指定モードの種類をユーザに想起させる目的で、この指定モードに関するモード画像64を適時に表示することを意味する。画像作成部40は、初期状態としてのモード画像64を表示制御部36に供給する。そして、表示制御部36は、表示部14にモード画像64を表示させる。
【0049】
図4Bに示すように、第1アイコン22と同一の形態を有するモード画像64は、校正画像18に重畳して、実行位置60の周辺に表示される。これにより、ユーザは、タッチペン28の先端部29から目を一旦逸らすことなく、モード画像64を視認できる。すなわち、ユーザは、モード画像64の形態から、現時点での指定モード(図4A例では、テキスト入力モード)を観念・想起できる。特に、モード画像64が、第1アイコン22と同一の又は類似する画像である場合、編集モードの種類を容易に観念できるので一層好ましい。
【0050】
なお、図4Bでは、実行位置60の周辺を、実行位置60を中心とする円領域(半径r)として表記している。半径rは、0?100mmの範囲であることが望ましく、10?50mmの範囲であることがさらに好ましい。
【0051】
また、モード画像64は、実行位置60に対して利き手(右手Rh)の反対側(左側)に配置されるので、右手Rhの陰に隠れることなく表示内容を視認できる。同様の理由から、モード画像64は、実行位置60の上方側又は下方側(換言すれば、利き手側を除くいずれかの側)に配置されてもよい。
【0052】
次いで、画像作成部40は、想起表示の開始時点から所定の時間が経過したか否かを判別する(ステップS7)。ここで、所定の時間は任意に設定してもよいが、ユーザにストレスを感じさせない程度(概ね0.5?3秒間)が好ましい。
【0053】
所定の時間が経過していないと判別された場合、本体部12は、経過時間に応じてモード画像64を変形・表示させる(ステップS8)。具体的には、画像作成部40によるモード画像64の変形処理と、表示制御部36によるモード画像64等の表示制御とを順次繰り返すことで実現される。
【0054】
視覚効果付与部54は、モード画像64に対して視覚効果を付与する。ここで、視覚効果とは、画像の表示形態を経時的に変形させることで、視覚的に注意を喚起する効果全般をいう。視覚効果の一例として、ポップアップ、スクロール、ズームイン/アウト等が挙げられるが、これらに限定されない。以下、フェードアウト効果の一例について説明する。」

上記a?cの記載によれば、次のことがいえる。

(1)「先ず、利き手情報入力部48は、ユーザの利き手情報を入力する(ステップS1)」ものであって、「利き手情報入力部48は、タッチ操作の傾向を考慮して、ユーザの利き手を検出可能に構成してもよい。例えば、筆記入力部15は、指先30と表示部14との接触領域であって、所定時間を超えて継続してタッチ状態である領域を検出する。そして、利き手情報入力部48は、接触領域に一層近い長辺(左長辺)の反対側である右側を利き手と判別する」(【0038】?【0039】)ものであることから、その他の機能に先立って、「プログラム」により、「利き手情報入力部48」は、「タッチ操作の傾向を考慮して、ユーザの利き手を検出可能に構成する利き手情報入力部」として機能しているといえる。
(2)「ユーザによるアイコン20(特に、第1アイコン22)のタッチ操作に応じて、編集モード50は、筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する」(【0040】)ことから、「プログラム」により機能する「筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する編集モード指定部」は、「ユーザによるアイコン20(特に、第1アイコン22)のタッチ操作に応じて、筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する編集モード指定部」といえる。
(3)「ユーザは、・・・タッチペン28の先端部29周辺のいずれかの箇所(以下、実行位置60という。)で、矢印T1の軌道に沿ったシングルタップ(特定の筆記操作)を実行する」と、「特定の筆記操作が実行されたか否かを判別する(ステップS3)」ことで、「実行位置取得部46は、ステップS3で検出された特定の筆記操作の実行位置60を取得する(ステップS4)。すなわち、実行位置取得部46は、筆記入力部15から、実行位置60の二次元座標を取得する」(【0042】?【0046】)ものであるから、「プログラム」により機能する「特定の筆記操作が実行された前記表示画面上での実行位置を取得する実行位置取得部」は、「ユーザがタッチペン28の先端部29周辺のいずれかの箇所(以下、実行位置60という。)で、矢印T1の軌道に沿ったシングルタップ(特定の筆記操作)を実行すると、特定の筆記操作が実行されたか否かを判別し、検出された特定の筆記操作の実行位置60を取得する、すなわち、実行位置60の二次元座標を取得する実行位置取得部」といえる。
(4)「モード画像作成部52は、編集モード指定部50から、特定の筆記操作を検出した時点での指定モードの種類を取得」し、「表示部14は、・・・この指定モードに関するモード画像64を適時に表示」し、「モード画像64は、校正画像18に重畳して、実行位置60の周辺に表示され」、「モード画像64は、実行位置60に対して利き手(右手Rh)の反対側(左側)に配置される」(【0047】?【0051】)ものであるから、「プログラム」により機能する「前記特定の筆記操作の実行時点において前記編集モード指定部により指定されていた編集モードに関するモード画像に対し、前記実行位置取得部により取得された前記実行位置の周辺に一時的に表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部」は、「前記特定の筆記操作を検出した実行時点において前記編集モード指定部により指定されていた編集モードに関するモード画像64を、校正画像18に重畳して、前記実行位置取得部により取得された前記実行位置60の周辺であって、実行位置60に対して利き手(右手Rh)の反対側(左側)に配置されるように表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部」といえる。

上記(1)?(4)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

〈引用発明〉
「表示画面上に画像を表示する表示部と、前記表示画面を介した筆記入力により前記画像の注釈情報を付与可能な筆記入力部とを有する装置を、
タッチ操作の傾向を考慮して、ユーザの利き手を検出可能に構成する利き手情報入力部、
ユーザによるアイコン20(特に、第1アイコン22)のタッチ操作に応じて、筆記入力に供される複数の編集モードの中から編集モードを1つ指定する編集モード指定部、
ユーザがタッチペン28の先端部29周辺のいずれかの箇所(以下、実行位置60という。)で、矢印T1の軌道に沿ったシングルタップ(特定の筆記操作)を実行すると、特定の筆記操作が実行されたか否かを判別し、検出された特定の筆記操作の実行位置60を取得する、すなわち、実行位置60の二次元座標を取得する実行位置取得部、
前記特定の筆記操作を検出した実行時点において前記編集モード指定部により指定されていた編集モードに関するモード画像64を、校正画像18に重畳して、前記実行位置取得部により取得された前記実行位置60の周辺であって、実行位置60に対して利き手(右手Rh)の反対側(左側)に配置されるように表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部、
として機能させるプログラム。」

2.引用文献2
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0021】
図2は、スクロール操作とユーザインタフェースの表示位置変更を説明するための図である。同図において、図2の(a)は左手50で操作したときのスクロール方向60Lと実際の操作方向61Lを示し、図2の(b)は右手51で操作したときのスクロール方向60Rと実際の操作方向61Rを示す。親指でスクロール操作する場合、親指はその付け根の関節を中心に弧を描くように動くことから、スクロール操作は利き腕の方向に若干傾いた軌跡となる。すなわち、左右いずれかの方向に突出した軌跡となる。このスクロール操作の軌跡の突出方向を判定することで、左右どちらの手で操作したのかが分り、ユーザインタフェースの表示位置を決めることができる。
【0022】
図2の(c)は、左手操作時のユーザインタフェースの表示位置を示す図である。同図に示すように、左手操作時は、スクロールバー10が表示部3の右端部に表示されるとともに、操作ボタン11が表示部3の左端上部又は左端下部のいずれか一方に表示される。操作ボタン11は、スクロール操作の方向が下方向である場合は、表示部3の左端下部に表示され、スクロール操作の方向が上方向である場合は、表示部3の左端上部に表示される。本実施の形態では、“決定ボタン”と“クリアボタン”が操作ボタン11である。
【0023】
図2の(d)は、右手操作時のユーザインタフェースの表示位置を示す図である。同図に示すように、右手操作時は、スクロールバー10が表示部3の左端部に表示されるとともに、操作ボタン11が表示部3の右端上部又は右端下部のいずれか一方に表示される。操作ボタン11は、スクロール操作の方向が下方向である場合、表示部3の右端下部に表示され、スクロール操作の方向が上方向である場合、表示部3の右端上部に表示される。
【0024】
ここで、スクロールバー10の表示位置を、操作する手と反対側の位置(左手操作時は表示部3の右端部、右手操作時は表示部3の左端部)とすることで、図2の(a)又は図2の(b)に示すように、指によって隠れる死角70を避けることができ、常に最良の視認性を確保することができる。
【0025】
また、操作ボタン11の表示位置を、スクロール操作の方向が下方向である場合は表示部3の下部にし、スクロール操作の方向が上方向である場合は表示部3の上部にすることで、スクロール操作からボタン操作に容易に移行することができ、操作性が良くなる。
【0026】
次に、図3及び図4は、タッチパネル装置1の縦画面操作時におけるユーザインタフェース表示処理を説明するための図である。図3の(a)において、タッチパネル装置1の短手方向をX軸、長手方向をY軸方向とする。また、図3の(b)において、スクロール操作の始点80のX座標をX1、終点81のX座標をX2とする。始点80から上方向へスクロール操作する場合で、操作する手が左手50であれば、画面右端からのX軸方向の距離△X1が終点81に近づくにつれて増加し、終点81における画面右端からのX軸方向の距離が△X2となる。このとき、△X1と△X2の大小関係は、△X2>△X1となる。これに対して、操作する手が右手51であれば、図3の(c)において、画面右端からのX軸方向の距離△X1が終点81に近づくにつれて減少し、終点81における画面右端からのX軸方向の距離が△X2となる。このとき、△X1と△X2の大小関係は、△X2<△X1となる。
【0027】
したがって、+X軸方向で、△X2>△X1のときは、左手による上スクロール操作であると判定できるので、図3の(d)に示すように、スクロールバー10を縦画面左手操作用として表示部3の右端部に表示する。また、同時に操作ボタン11を表示部3の左端上部に表示する。これに対して、+X軸方向で、△X2<△X1のときは、右手による上スクロール操作であると判定できるので、図3の(e)に示すように、スクロールバー10を縦画面右手操作用として表示部3の左端部に表示する。また、同時に操作ボタン11を表示部3の右端上部に表示する。」

3.引用文献3
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
a.
「【0091】
図10は、表示制御部45による第1広告コンテンツC1に加える視覚的効果のさらに他の例を示す図である。図10に示すように、端末ユーザの表示領域71へのスクロール操作により、表示領域71に表示されている第2広告コンテンツC2の一部または全部が表示領域71の外になった場合に、端末ユーザの指90の表示領域71への接触位置(右側)と反対側(左側)から第1広告コンテンツC1を第1コンテンツ領域85に移動する。これにより、スライドイン時の端末ユーザに与える違和感を抑制することができる。
【0092】
一方、端末ユーザの表示領域71へのスクロール操作により、表示領域71に表示されている第2広告コンテンツC2の一部が表示領域71の外になった場合、端末ユーザの表示領域71へ接触位置(例えば、右側)から第1広告コンテンツC1を第1コンテンツ領域85に移動することもできる。これにより、第1広告コンテンツC1が与えるインパクトを向上させることで、第1広告コンテンツC1に対する注視度を向上させることができる。」
b.
「【0110】
また、表示制御部45Aは、スクロール速度に応じて第1コンテンツ領域85の大きさを変えることもできる。例えば、制御部35、35Aは、スクロール速度が速いと第1コンテンツ領域85を大きくし、スクロール速度が遅いと第1コンテンツ領域85を小さくする。また、表示制御部45Aは、端末ユーザの表示領域71上への接触位置に応じて第1コンテンツ領域85の位置を変更することもできる。」
c.
「【0121】
[5.効果]
実施形態に係る配信装置20は、配信部25を備える。かかる配信部25は、端末装置30の表示部32に表示されるウェブページ70(ページの一例)に配置される第1広告コンテンツC1を制御する表示制御プログラム(制御情報の一例)を端末装置30に配信する。表示制御プログラムは、可視領域取得手順および表示制御手順を端末装置30に実行させる。可視領域取得手順は、ウェブページ70のうちブラウザの表示領域71に表示される領域の情報を可視領域VAの情報として取得する。表示制御手順は、可視領域VAに表示された第2広告コンテンツC2の一部または全部が可視領域VA外になった場合、可視領域VAへの第1広告コンテンツの挿入を行う。」

第5 対比・判断

1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「ユーザがタッチペン28の先端部29周辺のいずれかの箇所(以下、実行位置60という。)で、矢印T1の軌道に沿ったシングルタップ(特定の筆記操作)を実行すると、特定の筆記操作が実行されたか否かを判別し、検出された特定の筆記操作の実行位置60を取得する、すなわち、実行位置60の二次元座標を取得する実行位置取得部」として機能させる構成は、本願発明1の「利用者が接触した画面上の接触位置を特定する特定手順」を実行させることに相当するといえる。
(イ)引用発明の「実行位置取得部」より取得された「実行位置60」は、本願発明1の「前記特定手順により特定された接触位置」に相当するといえる。
(ウ)引用発明の「タッチ操作の傾向を考慮して、ユーザの利き手を検出」する構成の「タッチ操作の傾向」は、本願発明1の「前記接触よりも前に行われた操作の履歴」に相当するといえる。
(エ)本願発明1の表示手順によって表示させる「第1コンテンツ」は、どのようなコンテンツであるのか、その内容が必ずしも明確ではないので、本願明細書を参照すると、本願明細書には、
「【0136】
また、例えば、端末装置100は、文字列、模様、画像、動画像、ゲーム、又は音声等を含むコンテンツC12を表示してもよい。また、端末装置100は、広告にかかるコンテンツではなく、ゲーム等を含むコンテンツC12を表示してもよく、いわゆるプレイアブル広告を含むコンテンツC12を表示してもよい。また、端末装置100は、音声を含むコンテンツC12を表示してもよい。なお、コンテンツC12に含まれる文字列、模様、画像、動画像、ゲーム、音声等は、広告に係るものに限定されるものではない。」
と記載されており、本願発明1の「第1コンテンツ」は「広告に係るもの」に限定されず、一般的な「情報の内容」を意味する「コンテンツ」を含むものと理解できる。
そうすると、引用発明の「指定されていた編集モードに関するモード画像64」は、本願発明1の「当該操作に関する履歴に基づいて選択された内容の第1コンテンツ」と「コンテンツ」である点で共通するといえる。
(オ)上記(ア)?(エ)を踏まえれば、引用発明の「前記特定の筆記操作を検出した実行時点において前記編集モード指定部により指定されていた編集モードに関するモード画像64を、校正画像18に重畳して、前記実行位置取得部により取得された前記実行位置60の周辺であって、実行位置60に対して利き手(右手Rh)の反対側(左側)に配置されるように表示させる視覚効果を付与する視覚効果付与部」として機能させる構成は、本願発明1の「前記画面のうち、前記特定手順により特定された接触位置と前記接触よりも前に行われた操作の履歴とに応じた位置に、当該操作に関する履歴に基づいて選択された内容の第1コンテンツを表示させる表示手順」を実行させることと、「前記画面のうち、前記特定手順により特定された接触位置と前記接触よりも前に行われた操作の履歴とに応じた位置に、コンテンツを表示させる表示手順」を実行させることである点で共通するといえる。
(カ)引用発明の「プログラム」は、各機能をコンピュータに実行させることは明らかであるから、後述する相違点を除き、本願発明1の「情報表示プログラム」に相当するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点があるといえる。

(一致点)
「コンピュータに、
利用者が接触した画面上の接触位置を特定する特定手順と、
前記画面のうち、前記特定手順により特定された接触位置と前記接触よりも前に行われた操作の履歴とに応じた位置に、コンテンツを表示させる表示手順と
を実行させる情報表示プログラム。」

(相違点)
表示手順において、本願発明1では、「前記特定手順により特定された接触位置と前記接触よりも前に行われた操作の履歴とに応じた位置に、当該操作に関する履歴に基づいて選択された内容の第1コンテンツを表示させる」のに対し、引用発明では、実行位置60の周辺であり、実行位置60に対して利き手(右手Rh)の反対側(左側)の位置に、指定されていた編集モードに関するモード画像64を表示させる点。

(2)判断
ア 理由1(特許法第29条第1項第3号)について
上記相違点に係る本願発明1の構成における「当該操作に関する履歴に基づいて選択された内容の第1コンテンツ」において、「当該操作」とは、請求項1において、その直前に記載された「操作の履歴」に応じた位置に、第1コンテンツを表示させる「操作」、例えば、画面の任意の位置でのスクロール操作等を意味すると解するのが自然である。
一方、引用発明の「特定の筆記操作を検出した時点での指定モードに関するモード画像64」は、実行位置60が特定される利用者による接触よりも前に行われたユーザによるアイコン20(特に、第1アイコン22)のタッチ操作の回数(「操作の履歴」に相当する。)に基づくものであり、このモード指定のためのアイコン20のタッチ操作は、「前記接触よりも前に行われた操作」といえるものの、右手でのタッチペンによる筆記操作と、左手によるモード指定とでは、用いる手も異なっており(段落【0027】)、そのタッチ操作の回数が、ユーザの利き手を検出するための「タッチ操作の傾向」となるような、すなわち、その履歴に応じて「モード画像64」を表示させる位置を特定する「操作」とはいえない。
そうすると、引用発明のアイコン20(特に、第1アイコン22)のタッチ操作に基づいて指定された「指定モードに関するモード画像64」は、本願発明1の「当該操作に関する履歴に基づいて選択された内容の第1コンテンツ」と実質的に相違するものである。
したがって、上記相違点は、実質的な相違点であるから、本願発明1は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。

イ 理由2(特許法第29条第2項)について
上記相違点に係る本願発明1の構成は、引用文献1?3に記載されておらず、示唆されてもいない。
また、上記相違点に係る本願発明1の構成が、本願の出願前に周知技術であったとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

2.本願発明2-11について
本願発明2-11は、本願発明1の構成と同じ構成を備えるものであるから、引用文献1に記載された発明ではない。
また、本願発明2-11は、上記相違点に係る本願発明1と同じ構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明12-14について
本願発明12-14は、本願発明1の構成と同様の構成を備えるものであるから、引用文献1に記載された発明ではない。
また、本願発明12-14は、上記相違点に係る本願発明1の構成と同様の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-06-01 
出願番号 特願2016-8344(P2016-8344)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 113- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 ▲吉▼田 耕一
野崎 大進
発明の名称 情報表示プログラム、情報表示装置、情報表示方法および配信装置  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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