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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25B
管理番号 1374715
審判番号 不服2020-11523  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-19 
確定日 2021-06-10 
事件の表示 特願2018-542526「冷凍サイクル装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月 5日国際公開、WO2018/062054〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年9月22日(優先権主張2016年9月27日、日本国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年2月28日付けで拒絶理由通知
令和2年4月27日に意見書及び手続補正書の提出
令和2年5月11日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和2年8月19日に拒絶査定不服審判の請求及び手続補正書の提出

第2 令和2年8月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年8月19日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は、本件補正前に下記(2)のとおりであった特許請求の範囲の請求項1の記載を、下記(1)のとおり補正することを含むものである。

(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
機械室を有する筐体と、
前記機械室に収容され、水流路および冷媒流路を有するとともに、前記水流路を流れる水と前記冷媒流路を流れる冷媒との間で熱交換を行なう水熱交換器と、
前記機械室に収容され、前記水熱交換器の前記水流路に水を供給する渦巻きポンプと、を具備し、
前記渦巻きポンプは、互いに直交する方向に開口された吸込口および吐出口を有するケーシングと、前記ケーシング内のインペラを回転させる動力部と、を含むとともに、前記吐出口が前記機械室内で上向きに開口するように前記動力部の回転軸線を横置きにした姿勢で前記機械室の底に据え付けられ、
前記水熱交換器は、前記渦巻きポンプの前記吐出口よりも高い位置に前記水流路の上流端に連なる水入口を有し、
前記渦巻きポンプの前記吐出口と前記水熱交換器の前記水入口との間が水配管により接続され、
前記渦巻きポンプの上端が前記水熱交換器の上端よりも低く配置されていることで、前記機械室内において、前記渦巻きポンプの上の領域に配管スペースが開放され、
前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている冷凍サイクル装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正前の、令和2年4月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
機械室を有する筐体と、
前記機械室に収容され、水流路および冷媒流路を有するとともに、前記水流路を流れる水と前記冷媒流路を流れる冷媒との間で熱交換を行なう水熱交換器と、
前記機械室に収容され、前記水熱交換器の前記水流路に水を供給する渦巻きポンプと、を具備し、
前記渦巻きポンプは、互いに直交する方向に開口された吸込口および吐出口を有するケーシングと、前記ケーシング内のインペラを回転させる動力部と、を含むとともに、前記吐出口が前記機械室内で上向きに開口するように前記動力部の回転軸線を横置きにした姿勢で前記機械室の底に据え付けられ、
前記水熱交換器は、前記渦巻きポンプの前記吐出口よりも高い位置に前記水流路の上流端に連なる水入口を有し、
前記渦巻きポンプの前記吐出口と前記水熱交換器の前記水入口との間が水配管により接続され、
前記水配管は、前記渦巻きポンプの上を通して引き回されていると共に、
前記渦巻きポンプの上端は、前記水熱交換器の上端よりも低く配置されている冷凍サイクル装置。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1における「前記水配管は、前記渦巻きポンプの上を通して引き回されていると共に、前記渦巻きポンプの上端は、前記水熱交換器の上端よりも低く配置されている」を、「前記渦巻きポンプの上端が前記水熱交換器の上端よりも低く配置されていることで、前記機械室内において、前記渦巻きポンプの上の領域に配管スペースが開放され、前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている」とすることで、実質的に「前記水配管は、前記渦巻きポンプの上を通して引き回されている」ことについて、「前記渦巻きポンプの上の領域に配管スペースが開放され」ること及び「前記筐体の奥行き方向に平行に」という態様を限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。

2-1 特許法第36条第6項第2号(明確性)について
(1)本件補正後の請求項1の記載
本件補正後の請求項1の記載は、上記1(1)のとおりである。
(2)判断
本件補正後の請求項1には、「前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている」と記載されているが、「平行に」が何と平行であるのか不明であるため、請求項1の記載では水配管の配置形態が不明確である。
よって、本件補正発明は明確でない。
(3)まとめ
したがって、本件補正発明は、特許法第36条第6項第2号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

2-2 特許法第29条第2項(進歩性)について
上記2-1で検討したとおり、本件補正発明は、水配管が「平行に」が何と平行であるのか不明であるため、水配管の配置形態が不明確であるところ、本願明細書の段落0064の記載によると、「平行に」が「水平に」の誤記であると認めることもできるため、「平行に」を「水平に」であると解して(すなわち、本願明細書の段落0016で説明するところの筐体2の水平な設置面G(地面)と「平行に」と解して)特許法第29条第2項の検討も以下に行うこととする。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載した事項により特定されるとおりのものである。

(2)引用文献
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された文献であって、本願の優先日前に頒布された国際公開第2011/099629号(以下「引用文献1」という。)には、「チリングユニット」に関し、次の記載がある。なお、「・・・」は記載の省略を示し、下線部は当審で付したものである(以下同様。)。
「[0001] 本発明は、例えば大規模建築物等に適用される空気調和装置、ヒートポンプ給湯装置等を構成するチリングユニットに関する。
・・・
[0011][図1]図1は、本発明における一実施の形態に係るチリングユニットの斜視図である。
[図2]図2は、同実施の形態に係る機械室を覆う側面パネルを取外した状態のチリングユニットの側面図である。
[図3]図3は、同実施の形態に係る機械室内部の斜視図であるとともに、第1のドレンパンから第4のドレンパンの取付け構造を説明する図である。
・・・
[図7]図7は、同実施の形態に係る水循環ポンプと水配管周りの斜視図である。
[図8]図8は、同実施の形態に係るチリングユニットの冷凍サイクル構成図である。」

「[0012] 以下、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて説明する。
図1は、組立てられたチリングユニットYの斜視図であり、図2は、後述する機械室2の側面パネル2aを取外した状態のチリングユニットYの側面図である。
[0013] このチリングユニットYは、冷水もしくは温水を生成し、例えば得られた冷水をもって空気を冷却し室内(屋内)の冷房作用をなす、もしくは得られた温水をもって空気を暖め室内(屋内)の暖房作用をなす。空調装置の他にもヒートポンプ給湯装置としての用途が可能である。
[0014] ここで上記チリングユニットYは、平面視で、互いに並行な長手方向及び短手方向から矩形状に形成される。そして、一方の短手方向に沿って作業者が通行可能な通路Tが形成され、他の方向に沿うよう作業者が通行することは、不便な状態となっている。
なお、図9に示すように複数のチリングユニットYを並列に設けた場合は、チリングユニットY相互間に形成されるスペースの長手方向に沿って作業者が通行することができる。また、通路Tに代って、空間スペースであってもよい。
[0015] 図1の通路Tに沿う短手方向端面(図2では、右側側面)を「正面N」、奥側端面(左側側面)を「背面H」、長手方向に並行な端面(手前側正面)を「側面E」と定める。このようなチリングユニットYの上下方向の略下半分は筐体Fからなり、この筐体F上に熱交換部1が載設され、筐体F内部に機械室2が形成される。
[0016] 上記熱交換部1は、複数(ここでは4組)の熱交換器モジュールMと、同数の送風機Sから構成される。1組の熱交換器モジュールMは、一対(2個)の空気熱交換器3,3が互いに対向して配置され、これら空気熱交換器3,3の上端部相互間に送風機Sが配置されてなる。
[0017] それぞれの熱交換器モジュールMの上端部に天板4が設けられ、この天板4の熱交換器モジュールM相互間に対向する位置に上記送風機Sが取付けられる。なお説明すると、天板4から上方に円筒状の吹出し口5が突設され、この吹出し口5の突出端面をファンガード6が覆っている。
[0018] 上記熱交換器モジュールMを構成する空気熱交換器3,3相互は、上端部である天板4側が広く、下端部である機械室2側が狭く近接するよう対向していて、正面視が略V字状になるよう互いに傾斜している。
上記熱交換部1を載設する筐体Fは、上部枠Faと、下部枠Fb及び、これら上部枠Faと下部枠Fbを連結する縦枠Fcとで構成される。なお、上部枠Faには桟Fdが設けられている(図3参照)。この筐体Fの長手方向に沿う側面Eに、ここでは3枚の側板2aが取付けられ、短手方向に沿う正面Nと背面Hに端板2bが取付けられていて、これらで囲まれる空間内部を上記機械室2と言う。」

「[0021] 特に図2に示すように、筐体F内に形成される機械室2には、背面Hから正面Nに亘って順に、能力可変型の水循環ポンプ13と、第1の冷凍サイクルユニット1RAと、第2の冷凍サイクルユニット2RBと、制御用ボックス8が配置される。」

「[0029] 上記機械室2の背面H側端部に上記水循環ポンプ13が配置され、この水循環ポンプ13に近接して第1の水熱交換器11が配置される。そして、第1の水熱交換器11から筐体Fの手前側長手方向に沿い後述する第1のレシーバ10aと第2のレシーバ10bが並置され、第2の水熱交換器12が配置される。
[0030] 第2の水熱交換器12から筐体Fの手前側長手方向に沿い第3のレシーバ10cと第4のレシーバ10dが並置され、特に第4のレシーバ10dは制御用ボックス8に近接して配置される。
[0031] 上記水循環ポンプ13には、第1の水配管P1(図2及び図7に示す)が接続されていて、これは導入管として空調すべき場所からの戻り管として用いられる。水循環ポンプ13と第1の水熱交換器11上部とに亘って、第2の水配管P2が接続される。
[0032] さらに、第1の水熱交換器11下部と第2の水熱交換器12上部とに亘って第3の水配管P3が接続される。第2の水熱交換器12下部には、上記水循環ポンプ13方向へ延出され、端部が上記第1の水配管P1と並行に並べられる第4の水配管P4が接続される。この第4の水配管P4は導出管として、空調すべき場所まで延出される。
[0033] 上記第1、第2のレシーバ10a、10b及び第1の水熱交換器11の背面側に、2台の能力可変型の圧縮機と、2個の四方弁及び2個の気液分離器等からなる冷凍サイクル機器1Kが配置される。
これらは冷媒管を介して連通されるとともに、最も背面H側の熱交換器モジュールMと、この手前側に位置する熱交換器モジュールMとをそれぞれ構成する、2組ずつの空気熱交換器3,3と、2つの独立した冷凍サイクルを構成するよう冷媒管を介して接続され、上記第1の冷凍サイクルユニット1RAが構成される。
[0034] 上記第3、第4のレシーバ10c、10d及び第2の水熱交換器12の背面側に、2台の能力可変型の圧縮機と、2個の四方弁及び2個の気液分離器等からなる冷凍サイクル機器2Kが配置される。
これらは冷媒管を介して連通されるとともに、最も正面N側の熱交換器モジュールMと、この奥側に位置する熱交換器モジュールMとをそれぞれ構成する、2組ずつの空気熱交換器3,3と、2つの独立した冷凍サイクルを構成するよう冷媒管を介して接続され、上記第2の冷凍サイクルユニット2RBが構成される。
[0035] 換言すれば、筐体F内の機械室2には、4台の熱交換器モジュールMを構成する空気熱交換器3を除く、互いに独立した第1の冷凍サイクルユニット1RAと、第2の冷凍サイクルユニット2RBが収容され,それぞれの冷凍サイクルユニット1RA,2RBが第2のドレンパン7b上に載置される。
[0036] 第1の水熱交換器11と第2の水熱交換器12は、互いに第1の水配管?第4の水配管P1?P4を介して直列に連通され、各冷凍サイクルユニット1RA,2RBは、それぞれ1台の水熱交換器11,12に対して2組の冷凍サイクル機器1K,2Kが並列に接続されてなる。」

「[0051] 図7は、水回路Zのみの斜視図である。
上述したように、水循環ポンプ13には導入管としての第1の水配管P1が接続され、水循環ポンプ13と第1の水熱交換器11とは第2の水配管P2で連通される。第1の水熱交換器11と第2の水熱交換器12とに第3の水配管P3が連通され、第2の水熱交換器12の下部には導出管として第4の水配管P4が接続される。
[0052] 図2や図7に示すように上記水循環ポンプ13は、水回路Zの最下部と最上部との間の、略中間部に配置されている。このことにより、水回路Zに空気が混入しても、その空気が水循環ポンプ13の内部に溜まらずにすむ。水循環ポンプ13の内部に常に呼び水が存在することになり、空気の混入による水循環ポンプ13の起動不良を防ぐことができる。
[0053] さらに、チリングユニットYの配置面からの高さにおいて、水回路Zの最も高い部位に、第1の水配管P1と、第2の水配管P2一部が存在している。これら水回路Zの最高部位である第1の水配管P1及び第2の水配管P2一部に、自動空気抜き装置61が設けられる。
上記自動空気抜き装置61は、弁本体内にフロートを収容してなり、フロートの周りに空気が溜まると、フロートが浮力を失って沈下し、弁が開く。すなわち、弁の開放により弁本体内から水配管の空気が自動的に抜けるようになっている。
[0054] 何らかの事情で、水循環ポンプ13の内部にも溜まるようなレベルの大量の空気が混入し得る。しかしながら、上記自動空気抜き装置61を備えたことにより、自動的に空気が外部へ排出され、水循環ポンプ13内部に空気が溜まることがない。水循環ポンプ13には常に呼び水が存在し、空気の混入によるの起動不良を防げる。
また、特に図示していないが、上記自動空気抜き装置61には逆止弁が設けられる。これは、水配管Zが負圧になるケースが多々あるため、逆圧がかかった場合に空気の混入(逆流)を防ぐために備えられる。」

「[0055] 図8は、第1系統から第4系統の冷凍サイクルR1?R4を備えたチリングユニットYの冷凍サイクル構成図である。
なお、第1、第2系統の冷凍サイクルR1、R2で上記第1の冷凍サイクルユニット1RAを構成し、第3、第4系統の冷凍サイクルユニットR3、R4で上記第2の冷凍サイクルユニット2RBを構成する。
[0056] 一部を除いて各系統とも同一構成の冷凍サイクルであるので、ここでは第1系統の冷凍サイクルR1のみを説明し、第2?第4系統の冷凍サイクルR2?R4については同番号を付して新たな説明を省略する。
能力可変型の圧縮機17の吐出側冷媒管に四方弁18の第1のポートが接続され、この四方弁18の第2のポートに接続される冷媒管は分岐して一対の空気熱交換器3,3に連通される。上記一対の空気熱交換器3,3は、図4及び図5で説明したように互いに対向して設けられ、1組の熱交換器モジュールMを構成する。
[0057] それぞれの空気熱交換器3,3を構成する熱交換パイプは集合管にまとめられ、膨張弁19が設けられる分岐した冷媒管に連通する。この分岐した冷媒管も1本にまとめられ、第1のレシーバ10aを介して第1の水熱交換器11に設けられる第1の冷媒流路40に連通する。
[0058] なお、上記膨張弁19は分岐した冷媒管にそれぞれ設けたが、これに限定されるものではなく、分岐した冷媒管を1本にまとめた冷媒管に設けるようにしてもよい。したがって、1個の膨張弁19であってもよい。
第1の冷媒流路40は、四方弁18の第3のポートに冷媒管を介して連通する。四方弁18の第4のポートは、気液分離器20を介して圧縮機17の吸込み部に冷媒管を介して連通する。
[0059] このように第1系統の冷凍サイクルR1が構成される一方で、水回路Zとして、例えば空調すべき場所からの戻り管である第1の水配管P1が水循環ポンプ13に接続される。この水循環ポンプ13から、第2の水配管P2を介して第1の水熱交換器11における水流路33に接続される。
[0060] 第1の水熱交換器11の水流路33は、第3の水配管P3を介して第2の水熱交換器12の水流路33に連通される。第2の水熱交換器12では、第4の水配管P4が上記水流路33に連通されていて、第4の水配管P4から空調すべき場所に導かれる。
[0061] 第2系統の冷凍サイクルR2も全く同様に構成されていて、特に第2のレシーバ10bと四方弁18を連通する冷媒管が、第1の水熱交換器11における第2の冷媒流路41に接続される。
すなわち、第1の水熱交換器11には、1つの水流路33の両側に第1の冷媒流路40と第2の冷媒流路41が交互に設けられていて、1つの水熱交換器11を第1と第2の2系統の冷凍サイクルR1,R2が共有し、並列に接続される。
[0062] 第2の水熱交換器12も同様に、1つの水流路33の両側に第3のレシーバ10cに連通する第1の冷媒流路40と、第4のレシーバ10dに連通する第2の冷媒流路41が交互に設けられていて、1つの水熱交換器12を第3と第4の2系統の冷凍サイクルR3,R4が共有し、並列に接続される。
[0063] このように、機械室2には水循環ポンプ13と、第1の水熱交換器11及び、第2の水熱交換器12が備えられ、かつ第1?第4の水配管P1?P4は、水循環ポンプ13と、第1の水熱交換器11と、第2の水熱交換器12を直列に連通する。
そして、第1系統の冷凍サイクルR1と、第2系統の冷凍サイクルR2とで、第1の冷凍サイクルユニット1RAが構成され、第3系統の冷凍サイクルR3と、第4系統の冷凍サイクルR4とで、第2の冷凍サイクルユニット2RBが構成されることになる。」

「[請求項1] 上部に空気熱交換器を備えた熱交換部が載設され、内部に機械室が形成される筐体と、
この筐体内の上記機械室に収容される、上記空気熱交換器を除く冷凍サイクル機器からなる複数の独立した冷凍サイクルユニットと、1台の水循環ポンプ及び、制御用電子部品を備えた制御用ボックスとを具備し、
上記筐体の奥側から正面手前へ順に、上記水循環ポンプ、第1の冷凍サイクルユニット、第2の冷凍サイクルユニット、上記制御用ボックスを配置した
ことを特徴とするチリングユニット。
[請求項2] 上記筐体内の機械室に収容される第1の冷凍サイクルユニット及び第2の冷凍サイクルユニットは、それぞれが水熱交換器を共有して並列に接続される複数の冷凍サイクルを備える
ことを特徴とする請求項1記載のチリングユニット。
[請求項3] 上記第1の冷凍サイクルユニットに備えられる水熱交換器と、第2の冷凍サイクルユニットに備えられる水熱交換器は、互いに水配管を介して直列に連通される
ことを特徴とする請求項2記載のチリングユニット。
[請求項4] 上記水循環ポンプは、上記水配管及び水熱交換器で構成される水回路の最下部または最下部と最上部との間に配置される
ことを特徴とする請求項3記載のチリングユニット。・・・
[請求項7] 上記筐体は、筐体設置面に沿う下部枠と、上記空気熱交換器を載置する上部枠と、これら下部枠と上部枠とを連結する縦枠とから構成され、
上記下部枠には、空気吸込み口が開口される
ことを特徴とする請求項1記載のチリングユニット。」



【図2】

【図3】



(イ)上記(ア)及び図面の記載から認められる事項
上記(ア)及び図面の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 上記(ア)の段落0001、0011?0015、0053及び0055、請求項1並びに図1?3及び8の記載によれば、引用文献1には、チリングユニットYが記載されている。

b 上記(ア)の段落0021、0029及び0035、請求項1?3並びに図2及び3の記載によれば、チリングユニットYは、機械室2に収容された、第1の水熱交換器11と、水循環ポンプ13と、を具備している。

c 上記(ア)の段落0036、0057及び0059?0061並びに図8の記載によれば、第1の水熱交換器11は、水流路33、第1の冷媒流路40及び第2の冷媒流路41を有するとともに、前記水流路33を流れる水と前記第1の冷媒流路40及び前記第2の冷媒流路41を流れる冷媒との間で熱交換を行なっている。

d 上記(ア)の段落0059並びに図7及び8の記載によれば、水循環ポンプ13は、第1の水熱交換器11の水流路33に水を供給している。

e 上記(ア)の段落0018及び0021並びに図2、3及び7の記載(特に、図2及び3の記載)によれば、水循環ポンプ13は、吸込口および吐出口を有するケーシングを含むとともに、機械室2の底に据え付けられている。

f 上記(ア)の段落0031、0051、0052及び0059並びに図2、3、7及び8の記載によれば、第1の水熱交換器11は、水循環ポンプ13の吐出口よりも高い位置に水流路33の上流端に連なる水入口を有し、前記水循環ポンプ13の前記吐出口と前記第1の水熱交換器11の前記水入口との間が第2の水配管P2により接続されている。

g 上記(ア)の段落0014、0015、0018、0031、0051及び0059並びに図2、3及び7の記載によれば、機械室内において、配管スペースが開放され、第2の水配管P2は、前記配管スペースを通して筐体Fの長手方向に水平に引き回されている。
ここで、第2の水配管P2が筐体Fの長手方向に水平に引き回されていることについては、筐体Fが水平な設置面に設置されていることは技術常識であり、図2及び3の記載から認めることができる。

(ウ)引用発明
上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「機械室2を有する筐体Fと、
前記機械室2に収容され、水流路33、第1の冷媒流路40及び第2の冷媒流路41を有するとともに、前記水流路33を流れる水と前記第1の冷媒流路40及び前記第2の冷媒流路41を流れる冷媒との間で熱交換を行なう第1の水熱交換器11と、
前記機械室2に収容され、前記第1の水熱交換器11の前記水流路33に水を供給する水循環ポンプ13と、を具備し、
前記水循環ポンプ13は、吸込口および吐出口を有するケーシングを含むとともに、前記機械室2の底に据え付けられ、
前記第1の水熱交換器11は、前記水循環ポンプ13の前記吐出口よりも高い位置に前記水流路33の上流端に連なる水入口を有し、
前記水循環ポンプ13の前記吐出口と前記第1の水熱交換器11の前記水入口との間が第2の水配管P2により接続され、
前記機械室2内において、配管スペースが開放され、
前記第2の水配管P2は、前記配管スペースを通して前記筐体Fの長手方向に水平に引き回されているチリングユニットY。」

イ 引用文献2
(ア)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用された文献であって、本願の出願前に頒布された特開平4-63972号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある(なお、下線は当審において付したものである。)。

「基台と、この基台上に設置されたポンプと、このポンプの吸込部に接続された吸込管と、前記ポンプの吐出部に接続された吐出管とを具備し、前記基台、ポンプ、吸込管および吐出管が一体に組付けられた状態で前記基台がポンプ設置場所に設置されてなることを特徴とするポンプ装置。」(1頁左下欄5行?同欄10行)

「本発明はポンプおよびこれに接続される配管をまとめてユニット化したポンプ装置に関する。」(1頁左下欄13行?同欄14行)

「本発明のポンプ装置の第1の実施例を第1図ないし第3図を参照して説明する。
この実施例は基台上に3台の多段形ポンプを並べて設置したものである。
図中1は平面矩形をなす基台で、水平な設置面が形成されている。この基台1には上方に向けてフレーム2が設けられている。3は基台1の設置面上に平行に並べて設けられたポンプ設置用の3台の架台で、各架台3は基台1の設置面に複数のショックアブソーバ4により該設置面から浮かして水平に支持されポンプ側と基台1で発生する振動を吸収して両者間における振動の伝達を遮断する防振構造となっている。5は3台の多段形ポンプで、各架台3上に夫々個別に設置されている。各ポンプ5内に設けられる羽根車(図示せず)は各架台3に設置された電動機6に連結されて回転されるようになっている。7は各架台3上に設けられ電動機6の軸を支承する軸受を設けた軸受箱である。8は吸込合流管で、各ポンプ5における吸込部5aの側方において各ポンプ5の並び方向に沿って水平に配置され、基台1の設置面に固定した支持部材9で支持されている。吸込合流管8には複数個の吸込口8aが形成され、また吸込合流管8に各ポンプ5に対応して形成された3個の分岐部は、防振継手10および例えば蝶形弁からなる仕切り弁11を介在した吸込管12により対応する各ポンプ5における吸込部5aと接続されている。防振継手10は例えばベローズを使用したもので、吸込合流管8とポンプ5に発生する振動を吸収して両者間の振動の伝達を遮断する防振構造となっている。
13、14、15、16および17は吐出合流管である。吐出合流管13、14は3台のポンプのうち両側の2台のポンプ4の側方上方においてポンプ軸方向に沿って平行に位置し、吐出合流管15、16、17は吐出合流管13、14の間において吐出合流管13、14に対して直角な方向に沿って平行に位置して両端が吐出合流管13、14に接続されている。吸込合流管13の両端は吐出口13a、14bとして開放され、吐出合流管15、16の接続部を挟む位置に仕切弁18、19が設けられ、また吐出合流管14の両端は閉塞されている。吐出合流管15と吐出合流管13との接続部、吐出合流管16、17の両端に夫々仕切弁20が設けられている。吐出合流管15に各ポンプ4に対応して形成された分岐部は、防振継手21、仕切弁22および逆止弁23を介在した垂直な吐出管24によりを各ポンプ5における吐出部5bに接続されている。なお、吐出合流管15には液体の圧力を検出する圧力検出器26が、吐出合流管16には液体の流量を計測する流量計27が、吐出合流管17にはストレーナ28および圧力調整弁29が夫々接続されている。圧力調整弁29はポンプ5の通常の吐出圧よりやや高い圧力を設定している。そして、これら吐出合流管はフレーム2に支持される。この吐出合流管の系統では、吐出合流管13に設けた仕切弁19を閉じて、その他の仕切弁18、20を開放している。これにより各ポンプ5の吐出部5bから吐出された液体は、通常図示の実線に示すように吐出合流管15から吐出合流管16、吐出合流管13を通り吐出口13aから吐出される。ポンプ5の吐出圧が仕様より高くなった場合には仕様値より圧力増加分の液体が吐出合流管17を通り吐出合流管13の吐出口13bから逃がすことができる。
30はフレーム2に支持された複数の圧力タンク、31は吐出合流管16と圧力タンク30を接続する管、32は管31を外部の管路に連通させる管、33は管31に設けた逆止弁である。
34は制御盤で、支持脚35により基台1上に設けられている。この制御盤34は吐出合流管15、16の圧力検出器26および流量計27からの信号を受けて各ポンプ5すなわち電動機7の駆動を個別に制御する。
この実施例において、基台1にポンプ、吸込管系および吐出管系を搭載してユニットにまとめられている。このユニットの大きさは、通常トラックにて搬送可能な大きさ例えば幅2280mm×長さ5850mm×高さ2300mmにまとめられている。
この実施例のポンプユニットは、工場において基台1に基準にしてポンプ、吸込管系および吐出管系の各構成部品を組み付ける。組付けに際しては、工場に設けられた組付けに使用できる設備を利用して必要とする精度を持って無駄なスペースを取らずに組付けられる。すなわち、各ポンプ5を基板1上で同じ高さの位置で組付けることができ、各ポンプ5に接続する配管および昇順を必要とする高さ位置でポンプ5に対して接続でき、また各ポンプ5を所定の位置に精度良く基台1に設置できて各ポンプ5の間隔寸法精度が高い。このように各構成部品を精度良く組付けることができるために、現物寸法合わせの部品を新たに製作して組み付ける必要がない。組付けたユニットはトラックで設置現場に搬送し、設置現場である建築構造物のポンプ室に設置する。ポンプユニットを設置するに際しては、ポンプ室のコンクリート床Sに基台1を固定する。これにより基台1に搭載したポンプ、吸込管系および吐出管系の各構成部品をポンプ室において所定の設置寸法で一度に組付けることができる。ポンプユニットは精度良く無駄な寸法無く組み付けているために、ポンプ室のスペースを不必要に拡大することがない。なお、吸込合流管の吸込口および吐出合流管の吐出口は図示しない配管に接続される。しかも、ポンプおよび配管が無理なく接続されているので、振動や騒音の発生も少ない。
本発明の第2の実施例について第4図ないし第6図を参照して説明する。
この実施例は基台上に2台のポンプを並べて設置したものである。
図中41は脚42に支持された水平な基台、43は基台42に直立して設けられたフレーム、44は基台41上に並べて配置され基台41上にショックアブソーバ45を介して設けられた2台の架台、46は架台44に設置されたポンプ、47は基台41の下方の空間に水平に配置され吸込口47aを有する吸込合流管、48は防振継手49および仕切弁50を介して各ポンプ46の吸込部46aと吸込合流管47とを接続する上下方向に配置された吸込管、51はフレーム43に支持されてポンプ46の上方に水平に配置され吐出口51aを有する吐出合流管、52は防振継手53、仕切弁54および逆止弁55を介して各ポンプ46の吐出口46bと吐出合流管51とを接続する上下方向に配置された吐出管である。吐出合流管51はポンプ46の上方から基台41の下方まで下降して吐出口51aが設けられる。56はポンプ46を駆動する電動機、57は制御盤である。なお、第5図および第6図に示すように吸込合流管47の吸込口47aは両側にあり、仕切弁58と防振継手59が介在している。
このように構成されたポンプユニットも前述の実施例と同様に工場で所定の精度で組付けられ、トラックで設置現場の建築構造物のポンプ室に搬入され、そこで設置される。この場合、ポンプユニットの基台41は脚42をポンプ室の床Sに設置して基台41を床Sから離して設ける。
この実施例では、基台41の下方空間に吸込合流管47を設けているので、基台41の上方部の空間が広がり、ポンプ46などのメンテナンスの作業が便利である。」(2頁左下欄15行?4頁右上欄16行)

「本発明の第3の実施例について第7図および第8図を参照して説明する。
この実施例は2組のポンプユニットU1とU2とを組合せたものである。
ポンプユニットU1について説明する。ポンプユニットU1は、基台に2個の渦巻き形ポンプ66と2個の渦巻き形ポンプ86を並べて設け、各組毎に配管系を構成している。
図中61は脚62に支持された水平な基台、63は基台62に直立して設けられたフレーム、64は基台61上に並べて配置されショックアブソーバ65を介して設けられた2台の架台、66は架台64に並べて設置された2台のポンプ、67は基台61上に水平に配置され吸込口67aを有する吸込合流管、68は防振継手69および仕切弁70を介して各ポンプ66の吸込部66aと吸込合流管67とを接続する上下方向に配置された吸込管、71はフレーム63に支持されてポンプ66の上方に水平に配置され吐出口71aを有する吐出合流管、72は防振継手73、仕切弁74および逆止弁75を介して各ポンプ66の吐出口66bと吐出合流管71とを接続する上下方向に配置された吐出管である。73は複数の仕切弁74を介して吸込合流管67と吐出合流管71を接続するバイパス管、75は仕切弁74に接続された圧力検出器、77は仕切弁78を介して吸込合流管67と吐出合流管71を接続するバイパス管である。このバイパス管77は断水保護のためのものである。
ポンプ86も同様に基台61に設けられ、同様の配管系と接続されている。すなわち、84は基台61上に並べて配置されショックアブソーバ85を介して設けられた2台の架台、86は架台84に並べて設置された2台のポンプ、87は基台61上に水平に配置され吸込口87aを有する吸込合流管、88は防振継手89および仕切弁90を介して各ポンプ86の吸込部86aと吸込合流管87とを接続する上下方向に配置された吸込管、91はフレーム63に支持されてポンプ86の上方に水平に配置され吐出口91aを有する吐出合流管、92は防振継手93、仕切弁94および逆止弁95を介して各ポンプ86の吐出口86bと吐出合流管91とを接続する上下方向に配置された吐出管である。96は複数の仕切弁97を介して吸込合流管87と吐出合流管91を接続するバイパス管、98は仕切弁94に接続された圧力検出器、99は仕切弁100を介して吸込合流管97と吐出合流管91を接続するバイパス管である。バイパス管99は断水保護のためのものである。」(4頁右上欄17行?5頁左上欄6行)

「また、各ユニットU1、U2において基台61、101の下方に主吸込合流管135、136が配置され、ユニットU1の主吸込合流管135は吸込合流管67、88に接続されている。各ユニットU1、U2においてリターン管137、138が配置されフレーム63、103に支持されている。ユニットU2においては、主吸込合流管136とリターン管138とが、仕切弁140を介在した連結管139で連結されている。141は各ポンプ66、86、106、126を駆動する電動機である。」(5頁右上欄17行?同頁左下欄7行)

「本発明のポンプ装置は、比較的大規模な集合住宅などの建築構造物において構造物全体の給水、あるいは空調用液体の移送を行うためなどの用途に広く適用できる。」(5頁右下欄15行?同欄18行)





(イ)引用文献2に記載された事項
上記(ア)から、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる(なお、括弧内は本件補正発明の対応する用語を示す。)。
「空調用液体の移送を行うためのポンプ装置」において、「羽根車を有する渦巻き形ポンプ5、66、86(渦巻きポンプ)を具備し、前記渦巻き形ポンプ5、66、86は、ケーシング内の羽根車(インペラ)を回転させる電動機6、141(動力部)を含むこと」、及び、「渦巻き形ポンプ5、46、66、86は、互いに直交する方向に開口された吸込部5a、46a、66a、86a(吸込口)および吐出部5b、46b、66b、86b(吐出口)を有するケーシングと、電動機6、56、141(動力部)と、を含むとともに、前記吐出部5b、46b、66b、86bがポンプ室(機械室)内で上向きに開口するように前記電動機6、56、141の回転軸線を横置きにした姿勢で前記ポンプ室のポンプ設置場所に据え付けられること」

(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 後者の「機械室2」は、前者の「機械室」に相当し、以下同様に、「筐体F」は「筐体」に、「水流路33」は「水流路」に、「第1の冷媒流路40及び第2の冷媒流路41」は「冷媒流路」に、「水流路33、第1の冷媒流路40及び第2の冷媒流路41を有する」は「水流路および冷媒流路を有する」に、「水」は「水」に、「冷媒」は「冷媒」に、「第1の水熱交換器11」は「水熱交換器」に、「吸込口」は「吸込口」に、「吐出口」は「吐出口」に、「ケーシング」は「ケーシング」に、「水入口」は「水入口」に、「第2の水配管P2」は「水配管」に、「配管スペース」は「配管スペース」に、「前記筐体Fの長手方向」は「前記筐体の奥行き方向」に、それぞれ相当する。

イ 後者の「水循環ポンプ13」は、前者の「渦巻きポンプ」に、「ポンプ」という限りにおいて一致する。

ウ 後者の「前記水循環ポンプ13は、吸込口および吐出口を有するケーシングを含むとともに、前記機械室2の底に据え付けられ」という態様は、水循環ポンプ13におけるケーシング内の水に圧力を与える部分を動作させるために動力部を備えることは明らかであり、前者の「前記渦巻きポンプは、互いに直交する方向に開口された吸込口および吐出口を有するケーシングと、前記ケーシング内のインペラを回転させる動力部と、を含むとともに、前記吐出口が前記機械室内で上向きに開口するように前記動力部の回転軸線を横置きにした姿勢で前記機械室の底に据え付けられ」という態様に、「前記ポンプは、吸込口および吐出口を有するケーシングと、前記ケーシング内の水に圧力を与える部分を動作させる動力部と、を含むとともに、前記機械室の底に据え付けられ」という限りにおいて一致する。

エ 前者の「平行に」は、「水平に」を意味するから、後者の「水平に」は、前者の「平行に」に相当する。
そして、後者の「前記機械室2内において、配管スペースが開放され、前記第2の水配管P2は、前記配管スペースを通して前記筐体Fの長手方向に水平に引き回されている」という態様は、前者の「前記渦巻きポンプの上端が前記水熱交換器の上端よりも低く配置されていることで、前記機械室内において、前記渦巻きポンプの上の領域に配管スペースが開放され、前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている」態様に、「前記機械室内において、配管スペースが開放され、前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている」という限りにおいて一致する。

オ 後者の「チリングユニットY」は、第1の水熱交換器11における第1の冷媒流路40及び第2の冷媒流路41を冷媒が流れるところ、引用文献1の段落0011及び0055、請求項1並びに図8の記載によれば、冷凍サイクルを備えるものであるから、前者の「冷凍サイクル装置」に相当する。

以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「機械室を有する筐体と、
前記機械室に収容され、水流路および冷媒流路を有するとともに、前記水流路を流れる水と前記冷媒流路を流れる冷媒との間で熱交換を行なう水熱交換器と、
前記機械室に収容され、前記水熱交換器の前記水流路に水を供給するポンプと、を具備し、
前記ポンプは、吸込口および吐出口を有するケーシングと、前記ケーシング内の水に圧力を与える部分を動作させる動力部と、を含むとともに、前記機械室の底に据え付けられ、
前記水熱交換器は、前記ポンプの前記吐出口よりも高い位置に前記水流路の上流端に連なる水入口を有し、
前記ポンプの前記吐出口と前記水熱交換器の前記水入口との間が水配管により接続され、
前記機械室内において、配管スペースが開放され、
前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている冷凍サイクル装置。」

[相違点]
「ポンプ」を「具備し」、「前記ポンプは、吸込口および吐出口を有するケーシングと、前記ケーシング内の水に圧力を与える部分を動作させる動力部と、を含むとともに、前記機械室の底に据え付けられ」、「前記機械室内において、配管スペースが開放され、前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている」ていることに関し、本件補正発明では、「渦巻きポンプ」を「具備し」、「前記渦巻きポンプは、互いに直交する方向に開口された吸込口および吐出口を有するケーシングと、前記ケーシング内のインペラを回転させる動力部と、を含むとともに、前記吐出口が前記機械室内で上向きに開口するように前記動力部の回転軸線を横置きにした姿勢で前記機械室の底に据え付けられ」、「前記渦巻きポンプの上端が前記水熱交換器の上端よりも低く配置されていることで、前記機械室内において、前記渦巻きポンプの上の領域に配管スペースが開放され、前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている」のに対して、引用発明では、「水循環ポンプ13」を「具備し」、「前記水循環ポンプ13は、吸込口および吐出口を有するケーシングを含むとともに、前記機械室2の底に据え付けられ」、「前記機械室2内において、配管スペースが開放され、前記第2の水配管P2は、前記配管スペースを通して前記筐体Fの長手方向に水平に引き回されている」ものであり、循環ポンプ13が、「互いに直交する方向に開口された吸込口および吐出口を有するケーシングと、前記ケーシング内のインペラを回転させる動力部と、を含む」「渦巻きポンプ」であるかは不明であるとともに、「前記渦巻きポンプ」が「前記吐出口が前記機械室内で上向きに開口するように前記動力部の回転軸線を横置きにした姿勢」とされ、「前記渦巻きポンプの上端が前記水熱交換器の上端よりも低く配置されていることで、前記機械室内において、前記渦巻きポンプの上の領域に配管スペースが開放され」るものではない点。

(4)判断
ア 相違点について
上記(2)イ(イ)に示した引用文献2に記載された事項は、ポンプ46の上方部の空間が広がり、ポンプ46などのメンテナンスの作業が便利になるものであり(引用文献2の4頁右上欄13行?同欄16行)、引用発明においても循環ポンプ13などのメンテナンスの作業を容易化することは内在する課題であること、また、ポンプ装置は、設置に際して、種々変形して実施できるものであること(引用文献2の5頁右下欄13行?同欄14行)を考慮すると、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用することは格別困難ではない。
そして、上記適用により、引用発明は、循環ポンプ13が、互いに直交する方向に開口された吸込部(吸込口)および吐出部(吐出口)を有するケーシングと、前記ケーシング内のインペラを回転させる電動機(動力部)と、を含む渦巻きポンプとなり、前記吐出部が機械室2(機械室)内で上向きに開口するように前記電動機の回転軸線を横置きにした姿勢で前記機械室2の底に据え付けられ、前記渦巻きポンプの上端が第1の水熱交換器11(水熱交換器)の上端よりも低く配置されたものとなるところ、その構成上、前記機械室2内において、前記渦巻きポンプの上の領域に配管スペースが開放され、第2の水配管P2が、前記配管スペースを通して水平(平行)に引き回されているものとなることは明らかである。
また、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用したものにおいて、第2の水配管P2を前記筐体Fの長手方向に水平に引き回された状態を保つことは、筐体F(筐体)内の設置スペースに応じて、前記水循環ポンプ13と前記第1の水熱交換器11との配置関係を、引用文献1の前記筐体Fの長手方向(筐体の奥行き方向)に隣接したものとするために採用し得る構成であって、当業者が適宜なし得ることである。
そうすると、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用することにより、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書の3頁7行?4頁12行において、「すなわち、新たな請求項1に係る発明によれば、本願明細書の段落[0118]に記載されているように、第2の水配管46bを渦巻きポンプ45の脇を通して立ち上げる必要はなく、吐出口52と水入口28aとの間を最短距離で接続することができます。したがって、第2の水配管46bの引き回し経路を簡素化することができ、配管作業を容易に行えるとともに、圧力損失を低く抑える上でも好都合となるといった利点があります。
一方、拒絶査定の理由2では、令和2年4月27日付け提出の手続補正書に記載された請求項1に係る発明に対して『引用文献1,2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。』と認定されました。
しかし、これらの引用文献1,2には、新たな請求項1に係る発明に付加した構成要件すなわち『前記渦巻きポンプの上端が前記水熱交換器の上端よりも低く配置されていることで、前記機械室内において、前記渦巻きポンプの上の領域に配管スペースが開放され、前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている』について、これを示唆する記載も図示もされておりません。
更に、引用文献1の図2から明らかなように、水循環ポンプ13(本願発明の渦巻きポンプ45に相当)の上端は、水熱交換器11,12の上端よりも高く配置されております。
加えて、引用文献1の水配管P2は、上記した本願明細書の段落[0118]の冒頭に記載された構成すなわち『第2の水配管46bを渦巻きポンプ45の脇を通して立ち上げる』といった構成に該当するため、吐出口と水入口との間を最短距離で接続することができません。
このことは、新たな請求項1に係る発明に付加した上記構成要件について、引用文献1,2の技術思想を達成するための解決手段としては、その出願当初から想定外のものだったからに他なりません。
そうすると、拒絶査定の理由2における認定とは異なり、新たな請求項1に係る発明の奏する効果は、引用文献1,2に記載された発明から当業者が予測できた範囲内のものではなく、格別に顕著な効果となります。
これにより、引用文献1,2の技術思想と、新たな請求項1に係る発明の技術思想との間には、その構成上の差異が認められるとともに、作用・機能の共通性がないだけでなく、解決すべき課題にも共通性がないことは明らかであり、その結果、引用文献1,2は、拒絶理由として、進歩性を否定する動機付けとなり得ません。」と主張する。
しかしながら、本件補正発明の「前記渦巻きポンプの上端が前記水熱交換器の上端よりも低く配置されていることで、前記機械室内において、前記渦巻きポンプの上の領域に配管スペースが開放され、前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている」という特定事項については、上記アで述べた理由により、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用することにより構成し得るものであって、請求人の主張する利点を有するものとなるから、請求人の上記主張は採用することができない。

ウ 効果について
そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ まとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?9に係る発明は、令和2年4月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の一部は、以下のとおりである。
<理由2(進歩性)について>
本願の請求項1に係る発明は、その出願前(優先日前)に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:国際公開第2011/099629号
引用文献2:特開平4-63972号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2、それらの記載並びに引用発明及び引用文献2に記載された事項は、前記第2の[理由]2における2-2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2における2-2で検討した本件補正発明において、「前記渦巻きポンプの上端が前記水熱交換器の上端よりも低く配置されていることで、前記機械室内において、前記渦巻きポンプの上の領域に配管スペースが開放され、前記水配管は、前記配管スペースを通して前記筐体の奥行き方向に平行に引き回されている」という発明特定事項について、「前記水配管は、前記渦巻きポンプの上を通して引き回されていると共に、前記渦巻きポンプの上端は、前記水熱交換器の上端よりも低く配置されている」とし、実質的に「前記水配管は、前記渦巻きポンプの上を通して引き回されている」ことについて、「前記筐体の奥行き方向に平行に」という態様の限定事項を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の「前記水配管は、前記渦巻きポンプの上を通して引き回されている」ことについての発明特定事項を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2における2-2(3)及び(4)に示した対比及び判断のとおり、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができないものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-03-26 
結審通知日 2021-03-30 
審決日 2021-04-15 
出願番号 特願2018-542526(P2018-542526)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西山 真二  
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 槙原 進
後藤 健志
発明の名称 冷凍サイクル装置  
代理人 特許業務法人スズエ国際特許事務所  
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