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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1374743
審判番号 不服2020-9634  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-09 
確定日 2021-06-07 
事件の表示 特願2018-540804「拍動検出のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月17日国際公開、WO2017/137415、平成31年 3月28日国内公表、特表2019-508116〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)2月8日(パリ条約による優先権主張 2016年2月8日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和元年11月12日付けで拒絶理由が通知され、令和2年2月5日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年3月12日付けで拒絶査定されたところ、同年7月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 本件補正について
1 本件補正の内容
令和2年7月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲については補正をせずに、発明の名称を以下のとおり補正するものである。(下線部は、補正箇所である。)
「【発明の名称】拍動検出のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム」

2 補正の適否について
本件補正は、明細書の発明の名称を特許請求の範囲の記載に整合させる補正であるから、特許法17条の2第5項4号に掲げる、明りょうでない記載の釈明を目的とする補正である。
したがって、【発明の名称】に係る本件補正は適法になされたものである 。

第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和2年2月5日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)であって、以下のとおりである。
「 【請求項1】
拍動検出のための装置であって、前記装置は、
時間系列の画像フレームを含むシーンの画像データを得るための入力インターフェースと、
前記画像データの関心領域から、周期的な生理現象を示す時間変化信号を抽出するための抽出ユニットと、
前記時間変化信号をスペクトル信号へと変換するための変換ユニットと、
前記スペクトル信号を、前記スペクトル信号の第1の周波数範囲をカバーする帯域内副信号と、前記スペクトル信号の第2の周波数範囲をカバーする帯域外副信号とに少なくとも分割するための分割ユニットであって、前記第1の周波数範囲は前記周期的な生理現象の周波数範囲を少なくとも含む、分割ユニットと、
帯域内尺度を前記帯域内副信号から、帯域外尺度を前記帯域外副信号から、別々に導出するための分析ユニットであって、前記帯域内尺度及び前記帯域外尺度は記述子を表現する、分析ユニットと、
前記関心領域を、前記記述子に基づいて、生物の拍動領域として、又は、非拍動領域として分類するための分類器と
を備える、装置。」

第4 原査定の拒絶の理由
この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、又は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.KWON Sungjun et al.、"ROI analysis for remote photoplethysmography on facial video"、2015 37th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society、2015年8月29日、pp. 4938-4941

第5 引用文献及びその記載事項
1 引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、以下の摘記において、イの引用発明の認定に関連する箇所に下線を付与した。なお、Sの上に^がついた記号は、表示の都合によりS ^とも記載する。

ア 引用文献1について
(1-ア)4938頁「Abstract」
「Abstract-As wide spreading of camera-equipped devices to the daily living environment,there are enormous opportunities to utilize the camera-based remote photoplethysmography(PPG) for daily physiological monitoring.」
「(当審訳:要約-カメラを備えたデバイスが日常の生活環境に広く普及するにつれて、 カメラベースのリモートフォトプレチスモグラフィー(PPG)を日常の生理学的モニタリングに利用する多くの機会があります。)

(1-イ)4938頁「I. INTRODUCTION」
「I. INTRODUCTION
・・・
In the camera-based remote PPG(rPPG) monitoring, the region of interest(ROI) is related to the signal quality and the computational load for the signal extraction processing.」
(当審訳:I.はじめに
・・・
カメラベースのリモートPPG(rPPG)モニタリングでは、対象領域(ROI)は、信号品質と信号抽出処理の計算負荷に関連しています。)

(1-ウ)4939頁「II. METHOD.」
「II. METHOD
A. Experimental
・・・
The camera (Canon 6D [7]) mounted with fixed focal length lens (Canon EF 50mm F1.4 USM [8]) was placed 1 m in front of the subjects’ face. The camera recorded facial videos of the subjects in RGB mode at 720p resolution for 5 minutes. The frame rate of the videos is 59.94 Hz.・・・The videos were synchronously recorded with the reference PPG data from the index fingertip of the subject’s right hand using an conventional PPG measurement system (BIOPAC MP150[9]).

B. Data analysis
The overview of data analysis is shown in Figure 2. First,we detected a rectangle of the face region manually (Figure 2.(a)) and excluded non-face region from the detected rectangle(Figure 2.(b)). The detected rectangle was divided into multiple small blocks(Figure 2.(c)) and the raw trace of rPPG signal was extracted from each block (Figure 2.(e)). The size of each block was 20x20 pixels. We extracted the raw trace rPPG signal using the method used in our previous study [10].

We calculated SNR and correlation coefficient to evaluate the quality of the signal from each block. SNR was calculated using the equation as follow:



S ^(f)is power spectral density of the signal. fp is a pulse frequency of the reference PPG. 」
(当審訳:II.方法
A.実験
・・・
固定焦点長レンズ(Canon EF 50mm F1.4 USM [8])を搭載したカメラ(Canon 6D [7])を、被験者の顔の1 m前に配置しました。カメラは、RGBモードで720pの解像度で5分間被写体の顔のビデオを記録しました。ビデオのフレームレートは59.94Hzです。・・・ビデオは、従来のPPG測定システム(BIOPAC MP150 [9])を使用して、被験者の右手の人差し指サックからの基準PPGデータと同期して記録されました。

B.データ分析
データ分析の概要を図2に示します。まず、顔領域の長方形を手動で検出し(図2.(a))、検出した長方形から顔以外の領域を除外しました(図2.(b))。検出された長方形は複数の小さなブロックに分割されており(図2.(c))、生の微量のrPPG信号が各ブロックから抽出されました(図2.(e))。)各ブロックのサイズは20x20ピクセルでした。以前の研究[10]で使用した方法を使用して、生の微量のrPPG信号を抽出しました。

各ブロックからの信号の品質を評価するために、SNRと相関係数を計算しました。 SNRは、次の式を使用して計算されました。



S ^(f)は、信号のパワースペクトル密度です。 fpは参照PPGのパルス周波数です。)

(1-エ)4939頁 「III. RESULTS」
「III. RESULTS
We divided the face into seven regions (shown in Figure 3,a forehead, left and right cheeks, a nose, a mouth, a nasion, a chin). We evaluated each facial region using the ratio of high SNR and high correlation coefficient area, and mean and standard deviation (SD) of SNR and correlation coefficient.The areas whose SNR was in the top 20 percent or whose correlation coefficient was over than 0.8 were defined as high-SNR or high-correlation area respectively.」
(当審訳:III.結果
顔を7つの領域に分割しました(図3に示すように、額、左右の頬、鼻、口、ナジオン、あご)。高SNRと高相関係数領域の比率、およびSNRと相関係数の平均と標準偏差(SD)を使用して、各顔の領域を評価しました。
SNRが上位20%にある領域、または相関係数が0.8を超える領域は、それぞれ高SNRまたは高相関領域として定義されました。)

(1-オ)上記(1-イ)?(1-エ)には、カメラベースのリモートフォトプレチスモグラフィー(rPPG)を用いた評価方法が記載されており、そのために装置を用いることは自明である。

第6 引用発明
以下、引用文献1の記載事項については、当審訳を使用する。
上記(1-ア)?(1-オ)を総合すると,引用文献1には,次の発明が記載されていると認められる。なお、参考のため、引用発明の認定に使用した引用文献1の摘記番号等を、付記してある。
「(A)被験者の顔の1 m前に配置したフレームレートは59.94Hzの顔のビデオを記録するカメラを用いた、カメラベースのリモートフォトプレチスモグラフィー(rPPG)を用いた評価装置であって、(1-ウ)(1-ア)(1-オ)
(B)ビデオは、従来のPPG測定システム(BIOPAC MP150 [9])を使用して、被験者の右手の人差し指サックからの参照PPGデータと同期して記録され、(1-ウ)
(C)データ分析として、顔領域の長方形を手動で検出し、検出した長方形から顔以外の領域を除外し、検出された長方形は複数の小さなブロックに分割されており、生の微量のrPPG信号が各ブロックから抽出され、(1-ウ)
(D)各ブロックからの信号の品質を評価するために、SNRを計算し、(1-ウ)


(E)7つの領域に分割した顔の各領域を、SNRが上位20%にある領域を高SNR領域として評価する装置。」(以下、「引用発明」という。)(1-エ)

第7 対比 ・判断
(1)本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 装置について
(ア)本願の明細書に「【0004】光電式容積脈波記録法(PPG)は、関心のある面積又は容積の光の反射又は透過の時間変数の変化を評価する光学測定技術である。PPGは、血液が周囲の組織より多く光を吸収するという原理に基づいており、そのため、心拍ごとの血量における変化が透過又は反射に相応に影響する。心拍数についての情報に加えて、・・・」と記載されているように、被験者の「PPG」は心拍数についての情報を有している。

また、引用発明の「(B)ビデオは、・・・、被験者の右手の人差し指サックからの参照PPGデータと同期して記録され」るが、通常「被験者の右手の人差し指サックから」得られるデータは、被験者の心拍数のデータであるから、「被験者の右手の人差し指サックからの参照PPGデータ」は、被験者の心拍数のデータといえる。

そして、引用発明の「(A)被験者の顔の1 m前に配置したフレームレートは59.94Hzの顔のビデオを記録するカメラを用いた、カメラベースのリモートフォトプレチスモグラフィー(rPPG)を用い」た「(E)7つの領域に分割した顔の各領域を、SNRが上位20%にある領域を高SNR領域として評価する装置。」は、顔の各領域のSNRを評価するものであり、ここで評価するSNRは、被験者の右手の人差し指サックからの心拍数データに対するSNRであることから、この装置は、カメラベースのリモートフォトプレチスモグラフィー(rPPG)を用いて心拍数を検出しているといえる。

そうすると、引用発明の「(A)」「評価装置」は、カメラベースのリモートフォトプレチスモグラフィー(rPPG)を用いた被験者の顔から拍動を検出する装置といえる。
さらに、引用発明の「(A)被験者の顔の1 m前に配置したフレームレートは59.94Hzの顔のビデオを記録するカメラ」は、時間系列の画像フレームを含むシーンの画像データを取得するものである。

(イ)したがって、引用発明の「(A)被験者の顔の1 m前に配置したフレームレートは59.94Hzの顔のビデオを記録するカメラを用いた、カメラベースのリモートフォトプレチスモグラフィー(rPPG)を用いた評価装置」は、本願発明1の「拍動検出のための装置であって、前記装置は、時間系列の画像フレームを含むシーンの画像データを得るための入力インターフェース」「を備える、装置」に相当する。

イ 抽出ユニットについて
抽出ユニットについては、以下の「カ」で分類器と共に対比する。

ウ 変換ユニットについて
引用発明は「(D)各ブロックからの信号の品質を評価するために、SNRを計算」するが、SNRは、パワースペクトル密度 S ^(f)から計算するものであり、パワースペクトル密度 S ^(f)は時間変化信号であるrPPG信号からスペクトル信号へと変換されたものであるから、引用発明の「(D)各ブロックからの信号の品質を評価するために、SNRを計算」するものは、本願発明1の「時間変化信号をスペクトル信号へと変換するための変換ユニット」に相当する構成を備えているといえる。

エ 分割ユニットについて
(ア)引用発明の「(D)」「SNR」は、周波数変化関数である「パワースペクトル密度 S ^(f)」について、周波数が0.5Hz?4Hzのものを対象にして、参照PPGの周波数fpを用いて周波数が(fp-0.1)Hz?(fp+0.1)Hzを信号として積算し分子に割り当て、周波数が0.5?(fp-0.1)Hzと(fp+0.1)?4Hzの範囲をノイズとして積算し分母に割り当てている。
そうすると、引用発明の「(D)」「SNR」は、周波数変化関数である「パワースペクトル密度S ^(f)」について、被験者の生理的信号に対応する信号と、ノイズに分割しているといえる。
そして、引用発明の「周波数が(fp-0.1)Hz?(fp+0.1)Hzのパワースペクトル密度 S ^(f)」及び「周波数が0.5?(fp-0.1)Hzと(fp+0.1)?4Hzの範囲のパワースペクトル密度 S ^(f)」は、それぞれ、本願発明1の「スペクトル信号の」「前記周期的な生理現象の周波数範囲を少なくとも含む」「第1の周波数範囲をカバーする帯域内副信号」及び「スペクトル信号の第2の周波数範囲をカバーする帯域外副信号」に相当する。

(イ)したがって、引用発明の「(D)各ブロックからの信号の品質を評価するために、SNRを計算」するものは、本願発明1の「前記スペクトル信号を、前記スペクトル信号の第1の周波数範囲をカバーする帯域内副信号と、前記スペクトル信号の第2の周波数範囲をカバーする帯域外副信号とに少なくとも分割するための分割ユニットであって、前記第1の周波数範囲は前記周期的な生理現象の周波数範囲を少なくとも含む、分割ユニット」に相当する構成を備えているといえる。

オ 分析ユニットについて
(ア)上記エ(ア)を踏まえると、引用発明の「(D)」「SNR」の分子は、周波数変化関数である「パワースペクトル密度 S ^(f)」について、被験者の生理的信号に対応する帯域の信号(パワースペクトル密度 S ^(f))の積算値であり、本願発明1の「帯域内尺度」に相当する。
また、引用発明の「SNR」の分母は、周波数変化関数である「パワースペクトル密度 S ^(f)」について、ノイズに対応する帯域の信号(パワースペクトル密度 S ^(f))の積算値であり、本願発明1の「帯域外尺度」に相当する。

(イ)さらに、引用発明の「(D)」「SNR」は、被験者の生理的信号に対応する帯域の信号(パワースペクトル密度 S ^(f))の積算値を分子とし、ノイズに対応する帯域の信号(パワースペクトル密度 S ^(f))の積算値を分母とした、組み合わせである。
そして、本願発明1の「記述子」とは、「帯域内尺度」と「帯域外尺度」との組み合わせである(令和2年11月18日付けの請求人代理人からのファクシミリでの回答で確認済)。

(ウ)そうすると、引用発明の「(D)各ブロックからの信号の品質を評価するために、SNRを計算」するものは、本願発明1の「帯域内尺度を前記帯域内副信号から、帯域外尺度を前記帯域外副信号から、別々に導出するための分析ユニットであって、前記帯域内尺度及び前記帯域外尺度は記述子を表現する、分析ユニット」に相当する構成を備えているといえる。

カ 抽出ユニットと分類器について
(ア)引用発明の「(A)被験者の顔の1 m前に配置したフレームレートは59.94Hzの顔のビデオを記録するカメラを用いた、カメラベースのリモートフォトプレチスモグラフィー(rPPG)」は、上記アを踏まえれば、「被験者の顔から拍動を検出」するものであり、拍動は、周期的な生理現象を示す時間変化信号といえるから、被験者の顔から周期的な生理現象を示す時間変化信号を抽出しているといえる。

また、引用発明は、「(C)データ分析として、顔領域の長方形を手動で検出し、検出した長方形から顔以外の領域を除外し、検出された長方形は複数の小さなブロックに分割されており、生の微量のrPPG信号が各ブロックから抽出され」るので、「顔領域の長方形」「から顔以外の領域を除外し」た領域から、「生の微量のrPPG信号が」「抽出され」るといえる。
そして、引用発明は、「rPPG信号」を「抽出」する構成を備えているといえる。
さらに引用発明は「(E)SNRを使用して、7つの領域に分割した顔の各領域を、SNRが上位20%にある領域を高SNR領域として評価する」ものであって、「SNR」は、心拍数に対する「SNR」であって、「SNRが上位20%にある」「高SNR領域」は、心拍数とよく同期している領域であるから、本願発明1の「拍動領域」に相当するといえる。
そして、「SNRが上位20%」ではない領域は、心拍数とは同期していない領域であることから、本願発明1の「非拍動領域」に相当するといえる。

(イ)一方、本願発明1の「前記関心領域を、前記記述子に基づいて、生物の拍動領域として、又は、非拍動領域として分類するための分類器」との記載より、本願発明1の「関心領域」とは、拍動領域と非拍動領域を含む領域であるといえる。

そうすると、引用発明の「(C)」「検出した長方形から顔以外の領域を除外し」た領域は、「SNRが上位20%にある」「高SNR領域」とそうでない領域とを含むから、本願発明1の「関心領域」に相当するといえる。

(ウ)してみると、引用発明の「(C)データ分析として、顔領域の長方形を手動で検出し、検出した長方形から顔以外の領域を除外し、検出された長方形は複数の小さなブロックに分割されており、生の微量のrPPG信号が各ブロックから抽出され」る構成は、本願発明1の「前記画像データの関心領域から、周期的な生理現象を示す時間変化信号を抽出するための抽出ユニット」に相当する。

(エ)また、本願明細書には、「【0036】 実施形態では、分類器は、帯域外尺度と帯域内尺度との比較に基づいて、関心領域を生物の拍動領域として、又は、非拍動領域として分類するように構成される。帯域外尺度は、非拍動を示すと見なされ得る。・・・帯域外副信号は、関心の(準)周期的な生理現象の周波数範囲を含まない。」と記載されている。

そうすると、上記オを踏まえると 引用発明の「(E)SNRを使用して、7つの領域に分割した顔の各領域を、SNRが上位20%にある領域を高SNR領域として評価する」ための構成は、本願発明1の「前記関心領域を、前記記述子に基づいて、生物の拍動領域として、又は、非拍動領域として分類するための分類器」に相当する

(2)よって、本願発明1と引用発明とは、
「拍動検出のための装置であって、前記装置は、
時間系列の画像フレームを含むシーンの画像データを得るための入力インターフェースと、
前記画像データの関心領域から、周期的な生理現象を示す時間変化信号を抽出するための抽出ユニットと、
前記時間変化信号をスペクトル信号へと変換するための変換ユニットと、
前記スペクトル信号を、前記スペクトル信号の第1の周波数範囲をカバーする帯域内副信号と、前記スペクトル信号の第2の周波数範囲をカバーする帯域外副信号とに少なくとも分割するための分割ユニットであって、前記第1の周波数範囲は前記周期的な生理現象の周波数範囲を少なくとも含む、分割ユニットと、
帯域内尺度を前記帯域内副信号から、帯域外尺度を前記帯域外副信号から、別々に導出するための分析ユニットであって、前記帯域内尺度及び前記帯域外尺度は記述子を表現する、分析ユニットと、
前記関心領域を、前記記述子に基づいて、生物の拍動領域として、又は、非拍動領域として分類するための分類器と
を備える、装置。」
の発明である点で一致し、相違点はない。
仮に、相違点があったとしても、引用発明から本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到するものである。

(3)判断
したがって、本願発明1は、引用発明である。または、本願発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第8 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。または、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-01-06 
結審通知日 2021-01-08 
審決日 2021-01-20 
出願番号 特願2018-540804(P2018-540804)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 裕之  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 森 竜介
信田 昌男
発明の名称 拍動検出のための装置、システム、方法及びコンピュータプログラム  
代理人 特許業務法人M&Sパートナーズ  
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