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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A23L
審判 全部申し立て 1項2号公然実施  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  A23L
管理番号 1374865
異議申立番号 異議2019-700902  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-14 
確定日 2021-03-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6513485号発明「臭気マスキング剤及びカプセル剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6513485号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、〔3-4〕、5、6について訂正することを認める。 特許第6513485号の請求項1、3、5、6に係る特許を維持する。 特許第6513485号の請求項2、4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6513485号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成27年5月26日に出願され、平成31年4月19日にその特許権の設定登録がされ、令和1年5月15日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許の全請求項に対し、同年11月14日に特許異議申立人 上田 精一(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
その後の手続の経緯は次のとおりである。

令和 2年 1月21日付け:取消理由通知
同年 3月23日 :訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年 5月18日付け:特許法第120条の5第5項に基づく通知
同年 6月22日 :意見書の提出(申立人)
同年 7月27日付け:取消理由通知(決定の予告)
同年10月 5日 :訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年10月23日付け:取消理由通知
同年11月24日 :訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年12月 7日付け:特許法第120条の5第5項に基づく通知

なお、令和2年3月23日及び同年10月5日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
また、同年12月7日付けの通知に対して、申立人から意見書の提出はなかった。

第2 訂正の適否について
1 訂正の趣旨
令和2年11月24日に提出された訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の趣旨は、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?6について訂正することを求めるものである。

2 訂正の内容
本件訂正の内容は、以下の訂正事項1?7のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1
請求項1に、
「プラセンタ抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤であって、
前記臭気マスキング剤は、綿実油、大豆油、オリーブ油、パーム油、ゴマ油、アボガド油、ユズ油、落花生油、ツバキ油、ヤシ油、及びマカダミアナッツ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含んでなることを特徴とする臭気マスキング剤。」
と記載されているのを、
「プラセンタ抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤であって、
前記臭気マスキング剤は、ゴマ油である植物油を含んでなり、
使用時において前記プラセンタ抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上であることを特徴とする臭気マスキング剤。」
に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
請求項3に、
「プロポリス抽出物及びコンドロイチン硫酸含有抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤であって、
前記臭気マスキング剤は、パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油を含んでなることを特徴とする臭気マスキング剤。」
と記載されているのを、
「プロポリス抽出物及びコンドロイチン硫酸含有抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤であって、
前記臭気マスキング剤は、プロポリス抽出物の場合、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含んでなり、
使用時において前記プロポリス抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上であり、
前記臭気マスキング剤は、コンドロイチン硫酸含有抽出物の場合、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含んでなり、
使用時において前記コンドロイチン硫酸含有抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上であることを特徴とする臭気マスキング剤。」
に訂正する。

(4)訂正事項4
請求項4を削除する。

(5)訂正事項5
請求項5に、
「プロポリス抽出物を封入するカプセル剤(プルランを含むカプセルを除く)において、
前記抽出物と、綿実油、パーム油、ゴマ油、コーン油、アボガド油、小麦胚芽油、ユズ油、落花生油、米胚芽油、ツバキ油、ヤシ油、及びマカダミアナッツ油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを混合し、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたことを特徴とするカプセル剤。」
と記載されているのを、
「プロポリス抽出物を封入するカプセル剤(プルランを含むカプセルを除く)において、
前記抽出物と、ゴマ油及び米胚芽油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを、前記抽出物の含有量に対して、前記植物油の含有量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上となるように混合し、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたことを特徴とするカプセル剤。」
に訂正する。

(6)訂正事項6
請求項6に、
「コンドロイチン硫酸含有抽出物を封入するカプセル剤(プルランを含むカプセルを除く)において、
前記抽出物とパルミチン酸を8質量%以上含有する植物油とを混合し、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたことを特徴とするカプセル剤。」
と記載されているのを、
「コンドロイチン硫酸含有抽出物を封入するカプセル剤(プルランを含むカプセルを除く)において、
前記抽出物と、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを、前記抽出物の含有量に対して、前記植物油の含有量が質量比として29.17/33.33以上となるように混合し、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたことを特徴とするカプセル剤。」
に訂正する。

(7)訂正事項7
明細書【0042】に、
「以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、実施例2,4,6は、参考例2,4,6に置き換えるものとする。」
と記載されているのを、
「以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、実施例1?4,6,8,10,15,17は、参考例1?4,6,8,10,15,17に置き換えるものとする。」
に訂正する。

なお、訂正前の請求項3及び4について、請求項4は請求項3を引用しているものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項3?4に対応する訂正後の請求項3?4に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。

3 判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1の臭気マスキング剤が「綿実油、大豆油、オリーブ油、パーム油、ゴマ油、アボガド油、ユズ油、落花生油、ツバキ油、ヤシ油、及びマカダミアナッツ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含んでなる」ものから、「ゴマ油である植物油を含んでな」ると、植物油の選択肢を削除して限定するとともに、「使用時において前記プラセンタ抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上である」と特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項1において、植物油の選択肢を削除することは、植物油の範囲を限定するものであり、明細書に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
また、使用時においてプラセンタ抽出物の配合量に対して、植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上であると特定することは、明細書【0046】【表1】の実施例7における、プラセンタ抽出物33.33質量%に対して、臭気マスキング剤としてゴマ油を29.17質量%使用した記載、及び【0043】の「プラセンタ抽出物は、粉末状のものを使用し、表1中における配合量は、固形分としての配合量を示す。」、【0023】の「パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、・・・プラセンタ抽出物(固形分)との混合比は、質量比として0.1?20:1が好ましく、0.5?10:1がより好ましい。」との記載に基づくものである。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内で行われるものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、請求項3の臭気マスキング剤が「パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油を含んでなる」ものから、「プロポリス抽出物の場合、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含んでなり」、「コンドロイチン硫酸含有抽出物の場合、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含んでな」ると、植物油を特定の選択肢で限定するとともに、「使用時において前記プロポリス抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上であり」、「使用時において前記コンドロイチン硫酸含有抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上である」と特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項3において、植物油を特定の選択肢で限定することは、植物油の範囲を限定するものであり、明細書に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
また、使用時においてプロポリス抽出物の配合量に対して、植物油の配合量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上であると特定することは、明細書【0057】【表3】の実施例20における、プロポリス抽出物(固形分55質量%)5.87質量%に対して、臭気マスキング剤として米胚芽油を42.23質量%使用した記載、及び【0023】の「パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、プロポリス抽出物(固形分)との混合比は、質量比として1?100:1が好ましく、5?50:1がより好ましい。」との記載に基づくものであり、使用時においてコンドロイチン硫酸含有抽出物の配合量に対して、植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上であると特定することは、明細書【0051】【表2】の実施例13における、サメ軟骨抽出物(コンドロイチン硫酸含有抽出物)33.33質量%に対して、臭気マスキング剤として米胚芽油29.17質量%を使用した記載、及び【0023】の「パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、コンドロイチン硫酸含有抽出物・・・との混合比は、質量比として0.1?20:1が好ましく、0.5?10:1がより好ましい。」との記載に基づくものである。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内で行われるものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項4は、請求項4を削除するものであるから、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、請求項5のプロポリス抽出物と混合する植物油について、「綿実油、パーム油、ゴマ油、コーン油、アボガド油、小麦胚芽油、ユズ油、落花生油、米胚芽油、ツバキ油、ヤシ油、及びマカダミアナッツ油から選ばれる少なくとも1種の植物油」から、「ゴマ油及び米胚芽油から選ばれる少なくとも1種の植物油」と、植物油の選択肢を削除して限定するとともに、「前記抽出物の含有量に対して、前記植物油の含有量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上となるように混合」すると特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項5において、植物油の選択肢を削除することは、植物油の範囲を限定するものであり、明細書に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
また、プロポリス抽出物の含有量に対して、植物油の含有量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上となるように混合すると特定することは、明細書【0054】の「表3に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。」との記載、【0047】【表3】の実施例20における、プロポリス抽出物(固形分55質量%)5.87質量%、臭気マスキング剤として米胚芽油を42.23質量%との記載、及び【0023】の「パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、プロポリス抽出物(固形分)との混合比は、質量比として1?100:1が好ましく、5?50:1がより好ましい。」との記載に基づくものである。
したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内で行われるものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、請求項6のコンドロイチン硫酸含有抽出物と混合する植物油について、「パルミチン酸を8質量%以上含有する植物油」から、「小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油」と、植物油を特定の選択肢で限定するとともに、「前記抽出物の含有量に対して、前記植物油の含有量が質量比として29.17/33.33以上となるように混合」すると特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項6において、植物油を特定の選択肢で限定することは、植物油の範囲を限定するものであり、明細書に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
また、コンドロイチン硫酸含有抽出物の含有量に対して、植物油の含有量が質量比として29.17/33.33以上となるように混合すると特定することは、明細書【0048】の「表2に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。」との記載、【0051】【表2】の実施例13における、サメ軟骨抽出物(コンドロイチン硫酸含有抽出物)33.33質量%、臭気マスキング剤として米胚芽油29.17質量%との記載、及び【0023】の「パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、コンドロイチン硫酸含有抽出物・・・との混合比は、質量比として0.1?20:1が好ましく、0.5?10:1がより好ましい。」との記載に基づくものである。
したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内で行われるものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(7)訂正事項7について
ア 訂正の目的について
訂正事項7は、訂正事項1?6に伴い、明細書の実施例の記載から、訂正後の請求項1、3、5、6に係る発明の実施例ではなくなったものを参考例と訂正することで、特許請求の範囲の記載との整合を図ったものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項7は、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るものであるから、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(8)まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は同第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、〔3-4〕、5、6について訂正することを認める。

第3 本件特許発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1、3、5、6に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
以下、本件特許の請求項1?6に係る発明を、請求項順にそれぞれ、「本件特許発明1」、「本件特許発明2」などといい、これらをまとめて「本件特許発明」ともいう。

「【請求項1】
プラセンタ抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤であって、
前記臭気マスキング剤は、ゴマ油である植物油を含んでなり、
使用時において前記プラセンタ抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上であることを特徴とする臭気マスキング剤。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
プロポリス抽出物及びコンドロイチン硫酸含有抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤であって、
前記臭気マスキング剤は、プロポリス抽出物の場合、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含んでなり、
使用時において前記プロポリス抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上であり、
前記臭気マスキング剤は、コンドロイチン硫酸含有抽出物の場合、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含んでなり、
使用時において前記コンドロイチン硫酸含有抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上であることを特徴とする臭気マスキング剤。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
プロポリス抽出物を封入するカプセル剤(プルランを含むカプセルを除く)において、
前記抽出物と、ゴマ油及び米胚芽油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを、前記抽出物の含有量に対して、前記植物油の含有量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上となるように混合し、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたことを特徴とするカプセル剤。
【請求項6】
コンドロイチン硫酸含有抽出物を封入するカプセル剤(プルランを含むカプセルを除く)において、
前記抽出物と、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを、前記抽出物の含有量に対して、前記植物油の含有量が質量比として29.17/33.33以上となるように混合し、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたことを特徴とするカプセル剤。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
当審は、本件特許発明1、3、5、6に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によっては、取り消すことはできないと判断する。
その理由は以下のとおりである。

1 取消理由の概要
訂正前の請求項1?6に係る特許に対して、当審が令和2年1月21日付けで特許権者に通知した取消理由、同年7月27日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)及び同年10月23日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
なお、以下、甲第1号証などを単に「甲1」などという。

(1)理由1(新規性):令和2年1月21日付け取消理由に記載した理由
ア 本件訂正前の請求項2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲3-1、甲5又は甲7-1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

イ 本件訂正前の請求項5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲6に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

ウ 本件訂正前の請求項6に係る発明は、本件特許出願時の技術常識を示す下記の刊行物Aを参酌すると、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲3-1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2)理由2(進歩性):令和2年1月21日付け取消理由に記載した理由
ア 本件訂正前の請求項2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲3-1、甲5又は甲7-1に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

イ 本件訂正前の請求項5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲6に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

ウ 本件訂正前の請求項6に係る発明は、本件特許出願時の技術常識を示す下記の刊行物Aを参酌すると、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲3-1に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3)理由3(サポート要件):令和2年1月21日付け取消理由、同年7月27日付け取消理由(決定の予告)及び同年10月23日付け取消理由に記載した理由
本件訂正前の請求項1?6に係る特許は、その特許請求の範囲で特定されたプラセンタ抽出物、プロポリス抽出物又はコンドロイチン硫酸含有抽出物と臭気マスキング剤である植物油との関係について、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載されているのは、明細書の実施例に示された5種類のみであって、その他の場合であっても、実施例と同様に臭気マスキング剤として作用することを裏付ける作用機序についての記載はなく、そのような技術常識もないため、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。



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甲5:Amazon.co.jpのR&Y社(現:銀座ステファニー化粧品
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甲7-1:@cosmeブログ(アットコスメブログ)の「フラコラ(fr
acora) プラセンタつぶ5000」の商品についてのウェブペ
ージ[オンライン]、印刷日:2019年11月12日<URL:h
ttps://www.cosme.net/beautist/a
rticle/1045000>
刊行物A:特開2005-255727号公報

2 甲号証等の記載
(1)甲3-1
(甲3-1a)「【馬プラうるリッチ(60粒 約1か月分)】
馬プラセンタ.栄養機能食品.プロテオグリカン.セラミド.シスチン.クリルオイル.グリシン.たもぎ茸.マリンコンドロイチン.エルゴチオネイン.マカダミアナッツオイル.レシチン.抗酸化」(1ページ写真右側)(下線は、当審にて追加。以下同様である。)

(甲3-1b)「

」(1ページ写真)

(甲3-1c)「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日 2015/1/27」(2ページ右上)

(2)甲5
(甲5a)「プラセンタ 100 ファミリーサイズ 300粒
・・・
● 全成分:プラセンタエキス(豚由来)、食用油脂、DHA含有精製魚油、EPA含有精製魚油、胡麻油、しそ油、ブドウ種子油、米胚芽油、大豆油、オリーブ油、ゼラチン、グリセリン、抽出ビタミンE、・・・ビタミンB12」(1ページ写真右側)

(甲5b)「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日 2014/1/11」(3ページ中央)

(甲5c)「商品の説明
酪農畜産国トップのデンマークで、厳正なトレーサビリティ(生産地証明制度)のもと、健康な豚の胎盤から不純物や水分を取り除き、50倍濃縮したプラセンタ原末100%を1カプセルに180mg配合。プラセンタ原料換算すると1粒に9000mgを使用しています。」(3ページ下)

(3)甲6
(甲6a)「サントリー プロポリス+セサミンE120粒(約30日分)
サントリー
・・・
● 原材料名【内容液】小麦胚芽油、プロポリスエキス、セサミン、ビタミンE、レシチン(大豆由来)、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル【被包材】ゼラチン、グリセリン」(1ページ写真右側)

(甲6b)「

」(1ページ写真)

(甲6c)「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日 2013/9/13」(3ページ上)

(甲6d)「商品の説明
内容量 120粒(約30日分)1日4粒目安 原材料名【内容液】小麦胚芽油、プロポリスエキス、セサミン、ビタミンE、・・・ 【被包材】ゼラチン、グリセリン」(3ページ中段)

(4)甲7-1
(甲7-1a)「【フラコラ】プラセンタつぶ5000 2015/3/5 14:00」(1ページ上の写真)

(甲7-1b)「商品名:プラセンタ つぶ 5000
●名称:プラセンタエキス含有食品●原材料名:オリーブ油、プラセンタエキス濃縮粉末(豚由来)、リンゴンベリーエキス末、・・・植物レシチン、ヘマトコッカス藻色素」(2ページ上の写真)

(甲7-1c)「

」(3ページ下の写真)

(5)刊行物A
(刊Aa)「【0002】
・・・ムコ多糖の代表的な物質としては、グリコサミノグルカンを挙げることが出来る。・・・グルコサミノグルカンの例としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン、ケタラン硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸及びデルマタン硫酸等が知られている。
【0003】
これらのなかでコンドロイチン硫酸は、動物の粘質性分泌液、軟骨等から得られるムコ多糖の一種であり、動物、人体の保水をはかり、これによって新陳代謝を潤滑にし、細胞の賦活機能を果たしていると推定されており、医薬品、化粧品、健康食品として広く用いられている。」

(刊Ab)「【0085】
実施例7
1000ml四つ口フラスコに、スリーワンモーター(35W)を連結した半月板攪拌翼(半径刊Abm)、温度計、コンデンサーを装着した。これに、イオン交換水200ml、日本バリアフリー社製のマリンコンドロイチン-40(MC-40)12.8g{ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム)42重量%(5.4g)、タンパク質46重量%(5.9g)、その他11.3重量%(1.5g)、NMR純度44%}を加え、40℃で攪拌しながら溶解させた。さらに、酢酸ナトリウム32.8gを加え、50℃で溶解させる(この時点での酢酸ナトリウムの濃度は13.4重量%)。」

3 甲号証に記載された発明
(1)甲3-1に記載された発明
上記(甲3-1a)から、甲3-1に記載されている商品には、馬プラセンタとマリンコンドロイチンとマカダミアナッツオイルが含まれていると認められ、また上記(甲3-1b)の写真から、当該商品はソフトカプセルの形態であると認められる。
したがって、甲3-1には、次の発明(以下、「甲3-1発明」という。)が記載されていると認める。

甲3-1発明:
「馬プラセンタとマリンコンドロイチンとマカダミアナッツオイルを含む成分とを混合し、ソフトカプセルに封入してなるソフトカプセル」

(2)甲5に記載された発明
上記(甲5a)から、甲5に記載されている商品には、プラセンタエキス(豚由来)、胡麻油、大豆油、オリーブ油が含まれていると認められ、また上記(甲5c)から、当該商品はカプセルの形態であると認められる。
したがって、甲5には、次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されていると認める。

甲5発明:
「プラセンタエキス(豚由来)と胡麻油、大豆油及びオリーブ油とを含む成分を混合し、カプセルに封入してなるカプセル」

(3)甲6に記載された発明
上記(甲6a)から、甲6に記載されている商品には、プロポリスエキス、小麦胚芽油が含まれていると認められ、また上記(甲6b)の写真及び上記(甲6d)の「被包材」との記載から、当該商品はソフトカプセルの形態であると認められる。
したがって、甲6には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認める。

甲6発明:
「プロポリスエキスと小麦胚芽油とを含む成分を混合し、ソフトカプセルに封入してなるソフトカプセル」

(4)甲7-1に記載された発明
上記(甲7-1b)から、甲7-1に記載されている商品には、プラセンタエキス濃縮粉末(豚由来)、オリーブ油が含まれていると認められ、また上記(甲7-1c)の写真から、当該商品はソフトカプセルの形態であると認められる。
したがって、甲7-1には、次の発明(以下、「甲7-1発明」という。)が記載されていると認める。

甲7-1発明:
「プラセンタエキス濃縮粉末(豚由来)とオリーブ油とを含む成分を混合し、ソフトカプセルに封入してなるソフトカプセル」

4 当審の判断
(1)理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について
ア 請求項2について
上記第2のとおり請求項2は削除されたので、取消理由の理由1(新規性)ア及び理由2(進歩性)アは、対象となる請求項が存在しないため理由がない。

イ 本件特許発明5について
本件特許発明5と甲6発明とを対比すると、甲6発明の「プロポリスエキス」は、本件特許発明5の「プロポリス抽出物」に該当し、甲6発明の「ソフトカプセル」は、本件特許発明5の「カプセル剤」に相当する。
そうすると、本件特許発明5と甲6発明とは、「プロポリス抽出物を封入するカプセル剤」である点において一致するが、本件特許発明5では、プロポリス抽出物と、ゴマ油及び米胚芽油から選ばれる少なくとも1種の植物油を混合するのに対し、甲6発明は、プロポリスエキスと、小麦胚芽油を混合する点で相違する。
また、甲6は市販のカプセル製品の成分を記載したものであり、甲6発明の小麦胚芽油に変えて、あるいはそれに加えてゴマ油又は米胚芽油から選ばれる少なくとも1種の植物油を用いる動機付けがない。
そして、本件特許発明5は、プロポリス抽出物と、ゴマ油及び米胚芽油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを、前記抽出物の含有量に対して、前記植物油の含有量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上となるように混合することで、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたカプセル剤という、甲6からは予測もし得ない効果を奏するものである。
よって、本件特許発明5は、甲6に記載された発明ではなく、甲6に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものでもない。

ウ 本件特許発明6について
本件特許発明6と、甲3-1発明とを対比すると、甲3-1発明の「マリンコンドロイチン」は、刊行物Aの上記(刊Aa)及び(刊Ab)に基づけばコンドロイチン硫酸を含有しているといえるから、本件特許発明6の「コンドロイチン硫酸含有抽出物」に該当し、甲3-1発明の「ソフトカプセル」は、本件特許発明6の「カプセル剤」に相当する。
そうすると、本件特許発明6と甲3-1発明とは、「コンドロイチン硫酸含有抽出物を封入するカプセル剤」である点において一致するが、本件特許発明6では、コンドロイチン硫酸含有抽出物と、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を混合するのに対し、甲3-1発明は、マリンコンドロイチンと、マカダミアナッツオイルを混合する点で相違する。
また、甲3-1は市販のカプセル製品の成分を記載したものであり、甲3-1発明のマカダミアナッツオイルに変えて、あるいはそれに加えて小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を用いる動機付けがない。
そして、本件特許発明6は、コンドロイチン硫酸含有抽出物と、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを、前記抽出物の含有量に対して、前記植物油の含有量が質量比として29.17/33.33以上となるように混合することで、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたカプセル剤という、甲3-1からは予測もし得ない効果を奏するものである。
よって、本件特許発明6は、甲3-1に記載された発明ではなく、甲3-1に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものでもない。

エ 小括
したがって、本件特許発明5及び6は、理由1(新規性)イ、ウ及び理由2(進歩性)イ、ウによって、取り消されるべきものではない。

(2)理由3(サポート要件)について
ア 本件特許明細書の記載
(本件a)「【0002】
近年、健康増進の観点から、生体に有用な成分を含有する天然由来の原料が注目されている。例えば、・・・プロポリス抽出物・・・。
【0003】
また、例えば、・・・コンドロイチン硫酸・・・。
【0004】
また、例えば、・・・プラセンタ・・・。
【0005】
しかしながら、これらの天然成分からの抽出物は、特有の臭気を有するため、生体に適用する際、不快感を生じさせるという問題があった。そこで、従来より、・・・不快な臭気を抑制する方法が知られている。」

(本件b)「【0007】
ところが、・・・不快な臭気を抑制する成分自体に特有の風味・香りを有するため、その風味・香りが苦手な人には、容易に適用することができないという問題があった。一方、その風味・香りがしない程度に添加量を減らした場合は、十分な臭気抑制効果が得られないという問題があった。
【0008】
本発明の目的とするところは、臭気マスキング効果に優れる臭気マスキング剤及びカプセル剤を提供することにある。」

(本件c)「【0009】
本発明は、プロポリス抽出物等に対し、特定の植物油が優れた臭気マスキング効果を発揮することを見出したことに基づくものである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、プロポリス抽出物、コンドロイチン硫酸含有抽出物、及びプラセンタ抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤であって、前記臭気マスキング剤は、パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油を含んでなることを特徴とする臭気マスキング剤が提供される。
【0010】
前記植物油は、綿実油、大豆油、オリーブ油、パーム油、ゴマ油、コーン油、アボガド油、小麦胚芽油、ユズ油、落花生油、米胚芽油、ツバキ油、ヤシ油、及びマカダミアナッツ油から選ばれる少なくとも1種であってもよい。前記植物油は、ゴマ油、小麦胚芽油、及び米胚芽油から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0011】
本発明の別の態様では、プロポリス抽出物、コンドロイチン硫酸含有抽出物、及びプラセンタ抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物を封入するカプセル剤において、前記抽出物とパルミチン酸を8質量%以上含有する植物油とを混合し、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたことを特徴とするカプセル剤が提供される。
【0012】
本発明の別の態様では、プロポリス抽出物、コンドロイチン硫酸含有抽出物、及びプラセンタ抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物、並びにパルミチン酸を8質量%以上含有する植物油を混合し、カプセルに封入することを特徴とするカプセル剤における抽出物由来の臭気マスキング方法が提供される。」

(本件d)「【0014】
・・・
・・・パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油としては、例えば綿実油(パルミチン酸の含有量約22.7質量%)、大豆油(約10.5質量%)、オリーブ油(約11.3質量%)、パーム油(約43.5質量%)、ゴマ油(約8.9質量%)、コーン油(約10.6質量%)、アボガド油(約10.9質量%)、小麦胚芽油(約16.7質量%)、ユズ油(約22質量%)、落花生油(約10?12質量%)、米胚芽油(約16.9質量%)、ツバキ油(約17.5質量%)、ヤシ油(約8.2質量%)、マカダミアナッツ油(約8.0質量%)等が挙げられる。・・・これらの油は単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。」

(本件e)「【0023】
・・・本実施形態の臭気マスキング剤を構成するパルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、上述した天然素材より抽出溶媒を用いて得られた抽出物(固形分)との混合比は、特に限定されず、優れたマスキング効果の発揮と抽出物の摂取効率の観点から適宜決定することができる。例えば、パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、プロポリス抽出物(固形分)との混合比は、質量比として1?100:1が好ましく、5?50:1がより好ましい。パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、コンドロイチン硫酸含有抽出物又はプラセンタ抽出物(固形分)との混合比は、質量比として0.1?20:1が好ましく、0.5?10:1がより好ましい。」

(本件f)「【実施例】
【0042】
以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、実施例1?4,6,8,10,15,17は、参考例1?4,6,8,10,15,17に置き換えるものとする。
<試験例1:臭気マスキング剤のプラセンタ抽出物に対する臭気抑制試験>
表1に示される臭気マスキング剤を使用し、臭気成分としてプラセンタ抽出物に対する臭気を抑制する効果について試験した。なお、プラセンタ抽出物として日本バイオコン社製の豚プラセンタエキス末を使用した。
【0043】
(実施例1?7)
各実施例において、臭気マスキング剤として、パルミチン酸の含有量が8質量%以上の植物油であるオリーブ油、小麦胚芽油、大豆油、米胚芽油、ゴマ油、又はそれらの組み合わせを使用した。表1に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。なお、プラセンタ抽出物は、粉末状のものを使用し、表1中における配合量は、固形分としての配合量を示す。
【0044】
(比較例1?4)
各比較例においては、各実施例の臭気マスキング剤の代わりに、パルミチン酸の含有量が8質量%未満の植物油であるハイオレックスサフラワー油、ぶどう油、シソ油、及び亜麻仁油をそれぞれ使用した。表1に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。
【0045】
(マスキング効果)
上記のように得られた各混合液を30mLのバイアル瓶に移し、40℃で60分間加熱処理した。得られた加熱処理物について、10名のパネラーがそれぞれバイアル瓶の蓋を少し開け、直接混合物の臭気を嗅ぎ、以下の基準に従い評価した。プラセンタ抽出物(臭気成分)由来の臭気を全く感じない場合を3点(良好)、僅かに抽出物由来の臭気を感じる場合を2点(可)、抽出物由来の臭気を感じる場合を1点(不可)として評価した。10名のパネラーの合計点を表1に示す。
【0046】
【表1】

表1に示されるように、各実施例の臭気マスキング剤は、抽出物由来の臭気が抑制されている又は抑制する傾向を示すことが確認された。小麦胚芽油と米胚芽油を併用する実施例6、及び米胚芽油とゴマ油を併用する実施例7は、相乗効果により特に優れた臭気マスキング効果が得られることが確認された。
【0047】
<試験例2:臭気マスキング剤のサメ軟骨抽出物に対する臭気抑制試験>
表2に示される臭気マスキング剤を使用し、臭気成分としてサメ軟骨抽出物(コンドロイチン硫酸含有抽出物)に対する臭気を抑制する効果について試験した。サメ軟骨抽出物として丸善製薬社製のサメ軟骨抽出物を使用した。
【0048】
(実施例8?14)
各実施例において、臭気マスキング剤として、試験例1と同様の植物油をそれぞれ使用した。表2に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。なお、サメ軟骨抽出物は、粉末状のものを使用し、表2中における配合量は、固形分としての配合量を示す。
【0049】
(比較例5?8)
各比較例においては、各実施例の臭気マスキング剤の代わりに、試験例1の各比較例と同様の植物油をそれぞれ使用した。表2に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。
【0050】
試験例2のマスキング効果の評価は、試験例1と同様の方法にて実施した。10名のパネラーの合計点を表2に示す。
【0051】
【表2】

表2に示されるように、各実施例の臭気マスキング剤は、抽出物由来の臭気を抑制している又は抑制する傾向を示すことが確認された。小麦胚芽油と米胚芽油を併用する実施例13、及び米胚芽油とゴマ油を併用する実施例14は、相乗効果により特に優れた臭気マスキング効果が得られることが確認された。
【0052】
<試験例3:臭気マスキング剤のプロポリス抽出物に対する臭気抑制試験>
表3に示される臭気マスキング剤を使用し、プロポリス抽出物に対する臭気を抑制する効果について試験した。なお、プロポリス抽出物は、以下の製造方法により得られた抽出物を使用した。
【0053】
まず、原料としてプロポリス原塊の粉砕物150kgに、親水性有機溶媒を含有する溶媒としてエタノール濃度が95容量%の含水エタノール530Lを加えて室温(約25℃)で12時間攪拌して抽出した。そして、プロポリス粉砕物を含む抽出液を遠心分離することによって、固液分離、濃縮し、プロポリス抽出液110kg(固形分55質量%)を得た。
【0054】
(実施例15?21)
各実施例において、臭気マスキング剤として、試験例1と同様の植物油をそれぞれ使用した。表3に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。なお、プロポリス抽出物は、上記のように得られたプロポリス抽出液を使用し、表3中における配合量は、プロポリス抽出液としての配合量を示す。
【0055】
(比較例9?12)
各比較例においては、各実施例の臭気マスキング剤の代わりに、試験例1の各比較例と同様の植物油をそれぞれ使用した。表3に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。
【0056】
試験例3のマスキング効果の評価は、試験例1と同様の方法にて実施した。10名のパネラーの合計点を表3に示す。
【0057】
【表3】

表3に示されるように、各実施例の臭気マスキング剤は、抽出物由来の臭気を抑制又は抑制する傾向を示すことが確認された。小麦胚芽油と米胚芽油を併用する実施例20、及び米胚芽油とゴマ油を併用する実施例21は、相乗効果により特に優れた臭気マスキング効果が得られることが確認された。
【0058】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記植物油は、小麦胚芽油及び米胚芽油、又は米胚芽油及びゴマ油を含んでなる前記臭気マスキング剤。従って、この(a)に記載の発明によれば、さらに優れた臭気マスキング効果を得ることができる。」

イ 本件特許発明の解決しようとする課題
本件特許明細書の記載、特に上記(本件a)及び(本件b)からみて、本件特許発明1、3の解決しようとする課題は、「臭気マスキング効果に優れる臭気マスキング剤の提供」であり、本件特許発明5、6の解決しようとする課題は、「臭気マスキング効果に優れるカプセル剤の提供」にあると認める。

ウ 判断
(ア)本件特許発明1について
本件特許明細書の上記(本件c)?(本件e)の一般記載及び上記(本件f)の実施例5及び7の記載から、プラセンタ抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤は、臭気マスキング剤がゴマ油である植物油を含み、使用時においてプラセンタ抽出物の配合量に対して、ゴマ油の配合量が質量比として29.17/33.33以上であることで、上記イの課題を解決できることが理解できる。

(イ)本件特許発明3、5について
本件特許明細書の上記(本件c)?(本件e)の一般記載及び上記(本件f)の実施例16及び18?21の記載から、プロポリス抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤は、臭気マスキング剤が小麦胚芽油、米胚芽油及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含み、使用時においてプロポリス抽出物の配合量に対して、小麦胚芽油、米胚芽油及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油の配合量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上であることで、上記イの課題を解決できることが理解できる。
また、プロポリス抽出物を封入するカプセル剤は、プロポリス抽出物と、ゴマ油及び米胚芽油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを、プロポリス抽出物の含有量に対して、ゴマ油及び米胚芽油から選ばれる少なくとも1種の植物油の含有量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上となるように混合して封入することで、上記イの課題を解決できることが理解できる。

(ウ)本件特許発明3、6について
本件特許明細書の上記(本件c)?(本件e)の一般記載及び上記(本件f)の実施例9及び11?14の記載から、コンドロイチン硫酸含有抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤は、臭気マスキング剤が小麦胚芽油、米胚芽油及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含み、使用時においてコンドロイチン硫酸含有抽出物の配合量に対して、小麦胚芽油、米胚芽油及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上であることで、上記イの課題を解決できることが理解できる。
また、コンドロイチン硫酸含有抽出物を封入するカプセル剤は、コンドロイチン硫酸含有抽出物と、小麦胚芽油、米胚芽油及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを、コンドロイチン硫酸含有抽出物の含有量に対して、小麦胚芽油、米胚芽油及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油の含有量が質量比として29.17/33.33以上となるように混合して封入することで、上記イの課題を解決できることが理解できる。

エ 小括
したがって、本件特許発明1、3、5、6は、本件特許明細書の発明の詳細な説明において、本件特許発明1、3、5、6の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲内のものであるから、本件特許発明1、3、5、6が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満足しないとはいえない。
よって、本件特許発明1、3、5、6は、理由3(サポート要件)によって、取り消されるべきものではない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明1、3、5、6に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によって、取り消されるべきものではない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
当審は、本件特許発明1、3、5、6に係る特許は、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由によっても、取り消すことはできないと判断する。
その理由は以下のとおりである。

1 申立理由の概要
訂正前の請求項1?6に係る特許に対して、申立人が主張した特許異議申立理由のうち、取消理由通知において採用しなかった理由の要旨は、次のとおりである。

(1)理由1(公然実施発明に基づく新規性)
ア 本件訂正前の請求項1及び2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲1?甲5又は甲7(枝番を含む)のいずれかの開示内容に照らし公然実施をされた発明であって、特許法第29条第1項第2号に掲げる発明に該当するから、本件訂正前の請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

イ 本件訂正前の請求項3?5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲6の開示内容に照らし公然実施をされた発明であって、特許法第29条第1項第2号に掲げる発明に該当するから、本件訂正前の請求項3?5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2)理由2(新規性)
ア 本件訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲1?甲5又は甲7(枝番を含む)のいずれかに記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

イ 本件訂正前の請求項2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲1?2(枝番を含む)、甲3-2、甲4又は甲7-2のいずれかに記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

ウ 本件訂正前の請求項3及び4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲6に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項3及び4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(3)理由3(進歩性)
ア 本件訂正前の請求項1に係る発明は、下記の甲1?甲5又は甲7(枝番を含む)のいずれかに記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

イ 本件訂正前の請求項2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲1?2(枝番を含む)、甲3-2、甲4又は甲7-2のいずれかに記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

ウ 本件訂正前の請求項3及び4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲6に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正前の請求項3及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(4)理由4(明確性)
本件訂正前の請求項3及び6に係る特許は、その特許請求の範囲の「パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油」の記載が含有量の下限だけを示すような数値範囲限定という不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。



甲1-1:Amazon.co.jpの「富士薬品キャミレールプラセンタ
520mg×60粒×3個」(ASIN:B00ENYR5KM)の
商品についてのウェブページ[オンライン]、印刷日:2019年1
1月12日<URL:https://www.amazon.co
.jp/gp/product/B00ENYR5KM/ref=a
sk_ql_qh_dp_hza>
甲1-2:富士薬品【公式】オンラインショップ E-富士薬品の「送料無
料【プラセンタエキス】キャミレールプラセンタ60粒(富士薬品)
」の商品についてのウェブページ[オンライン]、印刷日:2019
年11月12日<URL:https://www.e-fujiy
akuhin.jp/SHOP/4987524805716.ht
ml>
甲2-1:Amazon.co.jpの「太田胃散プラセンタ貴妃(登録商
標)」(ASIN:B00MZ0NFXM)の商品についてのウェブ
ページ[オンライン]、印刷日:2019年11月12日<URL:
https://www.amazon.co.jp/(略)/dp
/B00MZ0NFXM>
甲2-2:電子メール(太田胃散の商品に関する質問に対する太田胃散 健
康食品館からの回答)、印刷日:2019年11月12日
甲3-1:Amazon.co.jpの「馬プラうるリッチ(60粒 約1
か月分)」(ASIN:B00NGD14EY)の商品についてのウ
ェブページ[オンライン]、印刷日:2019年11月12日<UR
L:https://www.amazon.co.jp/(略)/
dp/B00NGD14EY>
甲3-2:健康美容EXPOの「株式会社エイジレスファクトリー」「製品
名:馬プラうるリッチ」の商品についてのウェブページ[オンライン
]、印刷日:2019年11月12日<URL:https://w
ww.e-expo.net/materials/016343/
0005/index.html>
甲4:Amazon.co.jpの「激安キレイと元気をサポー卜 ギュー
プレミアムサプリメント gue Premium Supplem
ent 90粒」(ASIN:B00BE1LCIS)の商品につい
てのウェブページ[オンライン]、印刷日:2019年11月12日
<URL:https://www.amazon.co.jp/(
略)/dp/B00BE1LCIS>
甲5:Amazon.co.jpのR&Y社(現:銀座ステファニー化粧品
株式会社)の「プラセンタ 100 ファミリーサイズ 300粒」
(ASIN:B00HT67EUW)の商品についてのウェブページ
[オンライン]、印刷日:2019年11月12日<URL:htt
ps://www.amazon.co.jp/(略)/dp/B0
0HT67EUW>
甲6:Amazon.co.jpの「サントリー プロポリス+セサミンE
120粒(約30日分)」(ASIN:B00BN36SFY)の商
品についてのウェブページ[オンライン]、印刷日:2019年11
月12日<URL:https://www.amazon.co.
jp/(略)/dp/B00BN36SFY>
甲7-1:@cosmeブログ(アットコスメブログ)の「フラコラ(fr
acora) プラセンタつぶ5000」の商品についてのウェブペ
ージ[オンライン]、印刷日:2019年11月12日<URL:h
ttps://www.cosme.net/beautist/a
rticle/1045000>
甲7-2:Facebookの「フラコラ(fracora)/株式会社協
和(KYOWA Co.,Ltd.)」による「fracora プ
ラセンタつぶ5000」の商品についてのウェブページ[オンライン
]、印刷日:2019年11月12日<URL:https://w
ww.facebook.com/fracora.officia
l/photos/a.172841019507398/2687
00423254790/?type=3>

2 甲号証の記載
甲3-1、甲5、甲6及び甲7-1の記載は、前記第4 2(1)?(4)のとおりである。

(1)甲1-1及び甲1-2
(甲1-1a)「【3個セット】富士薬品キャミレールプラセンタ
520mg×60粒×3個」(1ページ写真右側)

(甲1-1b)「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日 2013/8/20」(2ページ中央)

(甲1-1c)「商品の説明
2013年モンドセレクション金賞を受賞!プラセンタエキス55mg/日(4粒)配合しました。プラセンタの原料は国産の豚のみを使用しております。月見草油やビタミンE、ビタミンB群を配合し、女性にうれしいサプリメントです。プラセンタには、ビタミン、ミネラル、アミノ酸など多彩な栄養成分が含まれているといわれています。月見草油には必須脂肪酸であるリノール酸とγ-リノレン酸が豊富に含まれています。」(2ページ下)

(甲1-2a)「送料無料【プラセンタエキス】
キャミレールプラセンタ 60粒(富士薬品)」(3ページ中央)

(甲1-2b)「【美容補助食品】
キャミレールプラセンタのおすすめポイント!
POINT01 「プラセンタエキス550mg※/1日4粒」の配合」(3ページ下から4ページ上)

(甲1-2c)「原材料名
オリーブ油、豚プラセンタエキス、ゼラチン、ビタミンE含有植物油、月見草油、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ミツロウ、着色料(クチナシ、酸化チタン、ラック)、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB1、レシチン(大豆由来)」(5ページ下)

(2)甲2-1及び甲2-2
(甲2-1a)「太田胃散プラセンタ貴妃(登録商標)」(1ページ写真右側)

(甲2-1b)「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日 2014/8/23」(3ページ中央)

(甲2-1c)「原材料・成分
馬プラセンタエキス末、タモギタケエキス末(グルコシルセラミド含有)/食用油脂、ゼラチン、グリセリン、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、抽出ビタミンE」(3ページ下)

(甲2-2a)「差出人:太田胃散 健康食品館<customer@ohta-isan.co.jp>
送信日時:2019年10月31日木曜日 13:13
件名:[21859-2]【太田胃散】お問い合わせのご回答
・・・
プラセンタ「貴妃」の食用油脂とは、ヤシ・パームを基原原料とした、植物性油脂になります。
ソフトカプセルであるプラセンタ「貴妃」の基材として使用しております。」(1ページ)

(3)甲3-2
(甲3-2a)「株式会社エイジレスファクトリー
製品名:馬プラうるリッチ」(1ページ上)

(甲3-2b)「【原材料名】
馬プラセンタエキス末、クリルオイル(オキアミ抽出物)、サケ軟骨エキス末、エルゴチオネイン含有タモギ茸エキス末、プロテオグリカン含有サケ鼻軟骨エキス末、黒胡椒エキス末、マカデミアナッツ油、ゼラチン、グリセリン、ビタミンC、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、L-シスチン、植物レシチン(大豆由来)、ビタミンB6」(1ページ中央)

(4)甲4
(甲4a)「激安 キレイと元気をサポート ギュープレミアムサプリメント gue Premium Supplemet 90粒」(1ページ上)

(甲4b)「商品の説明
高品質プラセンタ 北海道産自然馬の胎盤エキス配合 ガンマリノレン酸 母乳に含まれる生体合成脂肪酸を混合配合することよりさまざまな角度から美容健康をサポート アボガド油 食べる美容液といわれるアボガドの良質なオイルを配合 ビタミンB群 美肌、疲労回復、ダイエットに役立つビタミンB群をバランスよく配合」(2ページ下)

(甲4c)「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2013/2/10」(2ページ下)

(5)甲7-2
(甲7-2a)「フラコラ(fracora)/株式会社協和(KYOWA Co.,Ltd.)
2013年10月30日
・・・
プラセンタ、リンゴンベリー、レスベラトロール、βカロテンに加え、話題の美容成分、アスタキサンチンをプラス。」(1ページ上)

3 当審の判断
(1)理由1(公然実施発明に基づく新規性)について
ア 理由1のアについて
甲1?甲5及び甲7(枝番を含む)は、いずれも市販の商品について説明したウェブページや、商品に関する電子メールを印刷したものであって、それぞれ、各商品がカプセル剤であることが理解できる外観の写真や各商品に含まれる成分についての説明が記載されていたり、Amazon.co.jpでの取り扱い開始日などの日付として、本件特許の出願日より前の日付が記載されていたりするものである。
しかしながら、甲1?甲5及び甲7(枝番を含む)に表示されている外観の写真や成分が、これらに記載されている日付の時から印刷した日までの間に変更がなかったことは理解できない。
したがって、甲1?甲5及び甲7(枝番を含む)の開示内容から、本件特許の出願前に公然実施された発明を認定することはできない。
仮に、印刷日までの間に変更がなかったとしても、本件特許発明1に関し、甲1?甲4及び甲7(枝番を含む)には、プラセンタ抽出物とゴマ油を含む商品は記載されていない(上記2(1)?(5)及び上記第4 2(1)及び(3))。
また、甲5には、プラセンタ抽出物とゴマ油を含む商品が記載されているが(上記第4 2(2))、ゴマ油がプラセンタ抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤として、使用時において特定の配合量であることまでが、公然実施された発明であるとはいえない。
そして、上記第2のとおり請求項2は削除されたので、対象となる請求項が存在しない。
よって、申立人の係る主張は、採用することができない。

イ 理由1のイについて
上記アと同様に、甲6の開示内容から、本件特許の出願前に公然実施された発明を認定することはできない。
仮に、印刷日までの間に変更がなかったとしても、本件特許発明3に関し、甲6には、プロポリス抽出物と小麦胚芽油を含む商品が記載されているが(上記第4 2(2))、小麦胚芽油がプロポリス抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤として、使用時において特定の配合量であることまでが、公然実施された発明であるとはいえない。また、本件特許発明5に関し、甲6には、プロポリス抽出物とゴマ油又は米胚芽油を含む商品は記載されていない。
そして、上記第2のとおり請求項4は削除されたので、対象となる請求項が存在しない。
よって、申立人の係る主張は、採用することができない。

(2)理由2(新規性)について
本件特許発明1に関し、上記(1)アのとおり、甲1?甲4及び甲7(枝番を含む)には、プラセンタ抽出物とゴマ油を含む商品は記載されていない。また、甲5には、プラセンタ抽出物とゴマ油を含む商品が記載されているが、臭気マスキング剤として、使用時において特定の配合量であることは記載されていない。
本件特許発明3に関し、上記(1)イのとおり、甲6には、プロポリス抽出物と小麦胚芽油を含む商品が記載されているが、臭気マスキング剤として、使用時において特定の配合量であることは記載されていない。
そして、上記第2のとおり請求項2及び4は削除されたので、対象となる請求項が存在しない。
よって、申立人の係る主張は、採用することができない。

(3)理由3(進歩性)について
本件特許発明1及び3に関し、上記(2)のとおり、甲1?甲7(枝番を含む)には、いずれも、プラセンタ抽出物又はプロポリス抽出物と組み合わせて、臭気マスキング剤として特定の植物油を、使用時において特定の配合量で含む商品は記載されておらず、各商品に配合されている植物油を臭気マスキング剤として用いることの動機付けも、使用時において特定の配合量で含むようにする動機付けもない。
そして、上記第2のとおり請求項2及び4は削除されたので、対象となる請求項が存在しない。
よって、申立人の係る主張は、採用することができない。

(4)理由4(明確性)について
本件特許発明3及び6に関し、上記第2のとおり、本件訂正により「パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油」の記載は、それぞれ特定の植物油に訂正されており、明確である。
よって、申立人の係る主張は、採用することができない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1、3、5、6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、3、5、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件訂正により請求項2、4に係る発明の特許は削除されたため、申立人の請求項2、4に係る発明の特許についての特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
したがって、請求項2、4に係る発明の特許についての特許異議の申立ては不適法であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
臭気マスキング剤及びカプセル剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロポリス抽出物等の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤及びカプセル剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康増進の観点から、生体に有用な成分を含有する天然由来の原料が注目されている。例えば、プロポリスは、巣の防御及び補強等を目的として、ミツバチが採取した植物の滲出液、新芽、樹脂等にミツロウを混ぜて作られる膠状ないしは蝋状の物質として知られている。このプロポリスは、ミツバチが原料として巣箱周辺の種々の植物を採取して生産されるため、多種多様な成分を含有している。プロポリスの主要な生理活性として、抗酸化作用及び免疫賦活作用が知られている。一般に、プロポリスの生体への適用性を向上させるために、プロポリス原塊より抽出溶媒を用いて得られたプロポリス抽出物が、健康食品、特定保健用食品等の飲食品、化粧品等の分野において用いられている。
【0003】
また、例えば、コンドロイチン硫酸は、哺乳類の結合組織に広く分布するムコ多糖の一種であり、角膜や皮膚の保湿成分、関節症の予防・治療等の成分として、飲食品、医薬品、化粧品等の各分野において利用されている。コンドロイチン硫酸は、主にブタ等の哺乳類、サメ等の魚類の軟骨から抽出して利用されている。
【0004】
また、例えば、プラセンタは、牛等の哺乳類の胎盤から抽出処理して利用されており、各種アミノ酸、ミネラル成分等を含有している。プラセンタは、細胞活性化作用、抗疲労作用、活性酸素除去作用の他、美白効果やシワ・たるみ等を改善する作用も報告され、飲食品、医薬品、化粧品等の各分野において利用されている。
【0005】
しかしながら、これらの天然成分からの抽出物は、特有の臭気を有するため、生体に適用する際、不快感を生じさせるという問題があった。そこで、従来より、特許文献1に開示される不快な臭気を抑制する方法が知られている。特許文献1は、プロポリス抽出物と、所定量のミントエキス、ユーカリエキス、柑橘系エキス、又はハーブエキスを併用することにより、プロポリス抽出物由来の不快な臭気を抑える方法について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-284816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に開示される方法は、不快な臭気を抑制する成分自体に特有の風味・香りを有するため、その風味・香りが苦手な人には、容易に適用することができないという問題があった。一方、その風味・香りがしない程度に添加量を減らした場合は、十分な臭気抑制効果が得られないという問題があった。
【0008】
本発明の目的とするところは、臭気マスキング効果に優れる臭気マスキング剤及びカプセル剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、プロポリス抽出物等に対し、特定の植物油が優れた臭気マスキング効果を発揮することを見出したことに基づくものである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、プロポリス抽出物、コンドロイチン硫酸含有抽出物、及びプラセンタ抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤であって、前記臭気マスキング剤は、パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油を含んでなることを特徴とする臭気マスキング剤が提供される。
【0010】
前記植物油は、綿実油、大豆油、オリーブ油、パーム油、ゴマ油、コーン油、アボガド油、小麦胚芽油、ユズ油、落花生油、米胚芽油、ツバキ油、ヤシ油、及びマカダミアナッツ油から選ばれる少なくとも1種であってもよい。前記植物油は、ゴマ油、小麦胚芽油、及び米胚芽油から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0011】
本発明の別の態様では、プロポリス抽出物、コンドロイチン硫酸含有抽出物、及びプラセンタ抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物を封入するカプセル剤において、前記抽出物とパルミチン酸を8質量%以上含有する植物油とを混合し、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたことを特徴とするカプセル剤が提供される。
【0012】
本発明の別の態様では、プロポリス抽出物、コンドロイチン硫酸含有抽出物、及びプラセンタ抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物、並びにパルミチン酸を8質量%以上含有する植物油を混合し、カプセルに封入することを特徴とするカプセル剤における抽出物由来の臭気マスキング方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、臭気マスキング効果が優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の臭気マスキング剤を具体化した第1実施形態を説明する。本実施形態の臭気マスキング剤は、天然素材より抽出溶媒を用いて得られた抽出物由来の臭気をマスキングするために用いられ、パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油を含んでなる。パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油としては、例えば綿実油(パルミチン酸の含有量約22.7質量%)、大豆油(約10.5質量%)、オリーブ油(約11.3質量%)、パーム油(約43.5質量%)、ゴマ油(約8.9質量%)、コーン油(約10.6質量%)、アボガド油(約10.9質量%)、小麦胚芽油(約16.7質量%)、ユズ油(約22質量%)、落花生油(約10?12質量%)、米胚芽油(約16.9質量%)、ツバキ油(約17.5質量%)、ヤシ油(約8.2質量%)、マカダミアナッツ油(約8.0質量%)等が挙げられる。なお、植物油中のパルミチン酸の含有量は、USDA(United States Department of Agriculture)データベース等により確認することができる。これらの油は単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0015】
これらの植物油の中で、臭気マスキング効果に優れるゴマ油、小麦胚芽油、又は米胚芽油が好ましく用いられる。さらに、臭気マスキング効果がより優れるゴマ油、小麦胚芽油、及び米胚芽油から選ばれる少なくとも2種がより好ましく用いられる。
【0016】
天然素材より抽出溶媒を用いて得られた抽出物としては、プロポリス抽出物、コンドロイチン硫酸含有抽出物、及びプラセンタ抽出物が挙げられる。プロポリス抽出物の原料として使用されるプロポリス原塊の産地は、特に限定されず、例えばブラジルを含む南アメリカ諸国、中国や日本等のアジア諸国、ヨーロッパ諸国、北アメリカ諸国、オセアニア諸国等のあらゆる産地のものを使用することができる。
【0017】
プロポリス原塊からプロポリス抽出物の入手方法は、公知の抽出法、例えば水、親水性有機溶媒、又は水/親水性有機溶媒の混合溶媒を用いた抽出法等が用いられる。親水性有機溶媒としては、水に溶解する性質を有するエタノール、メタノール、イソプロパノール等の低級アルコールのほか、アセトンやエーテル類、クロロホルム等を適宜選択して使用することができる。これらの親水性有機溶媒を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、生体への適用性に優れる観点からエタノールがより好ましい。また、プロポリス原塊中には、生体に有用な成分として、極性の高い有機酸、フラボノイド類、ポリフェノール類、さらには極性の低いテルペノイド類等を含んでいることが確認されている。したがって、目的とする成分に応じて、抽出溶媒を適宜選択することができる。
【0018】
前記溶媒を用いて抽出する場合、抽出処理前に採取時に混入するゴミ等の夾雑物を除去し、粗粉砕することが好ましい。例えば、親水性有機溶媒又は水/親水性有機溶媒の混合液においてエタノールを用いる場合、その濃度は、好ましくは50?100容量%、より好ましくは70?100容量%、最も好ましくは95容量%である。エタノール濃度が50容量%以上の場合には、有用成分の抽出率をより向上させることができる。
【0019】
エタノール溶媒の使用容量は、プロポリス原塊の質量に対して好ましくは1?20倍量、より好ましくは2?10倍量である。エタノール溶媒の使用容量が1倍量以上の場合には、目的成分の抽出率をより向上させることができる。一方、エタノール溶媒の使用容量が20倍量以下の場合には、装置をより大きくする必要がなく、濃縮等の工程の処理時間をより短縮することができ、作業性をより向上させることができる。
【0020】
抽出温度は抽出溶媒の種類により適宜設定されるが、2?40℃であることが好ましい。抽出温度が2℃以上の場合には、有効成分の抽出率をより向上させることができる。一方、抽出温度が40℃以下の場合には、ロウ成分の抽出をより抑制することができ、抽出後の濾過性をより向上させることができる。また、揮発性の高い抽出溶媒の場合、溶媒の蒸発をより抑制することができる。なお、抽出操作は、前記抽出温度で攪拌しながら所定時間、例えば3時間以上行えばよい。そして、上記の抽出条件で有効成分を十分に抽出した後、濾紙濾過、珪藻土濾過などの濾過処理を行うことによりプロポリスの溶媒抽出物を得ることができる。
【0021】
コンドロイチン硫酸(塩類を含む)を含有する抽出物は、例えばブタ等の哺乳類の軟骨、鶏等の鳥類の軟骨、又はサメ、サケ、イカ等の魚介類の軟骨、軟甲、鱗等の抽出原料から公知の方法を用いて得ることができる。公知の方法としては、例えば抽出原料を中性塩液で抽出する中性塩処理法、アルカリ性の溶液中で分解した後に抽出するアルカリ処理法、プロテアーゼ等のタンパク質分解酵素で処理した後に抽出する酵素法等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。得られた抽出物は、さらに公知の方法、例えばエタノール分画処理、イオン交換クロマトグラフィ処理、限外濾過処理、カチオン活性剤を用いた処理等によりコンドロイチン硫酸を分離精製してもよい。
【0022】
プラセンタ抽出物は、例えば牛、馬、ブタ、羊、ヒト等の哺乳類の胎盤を抽出原料として公知の方法を用いて得ることができる。公知の方法としては、例えばプロテアーゼ等のタンパク質分解酵素で処理した後に抽出する酵素分解法、熱水を用いて処理する熱水抽出法、酸性の溶液中で分解した後に抽出する酸加水分解法、凍結と融解を繰り返し滲出するエキスを得る凍結融解法、限外濾過法等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0023】
本実施形態の臭気マスキング剤は、上述した天然素材より抽出溶媒を用いて得られた抽出物と混合して使用される。本実施形態の臭気マスキング剤を構成するパルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、上述した天然素材より抽出溶媒を用いて得られた抽出物(固形分)との混合比は、特に限定されず、優れたマスキング効果の発揮と抽出物の摂取効率の観点から適宜決定することができる。例えば、パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、プロポリス抽出物(固形分)との混合比は、質量比として1?100:1が好ましく、5?50:1がより好ましい。パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、コンドロイチン硫酸含有抽出物又はプラセンタ抽出物(固形分)との混合比は、質量比として0.1?20:1が好ましく、0.5?10:1がより好ましい。
【0024】
次に、上記のように構成された臭気マスキング剤の作用について説明する。
本実施形態の臭気マスキング剤は、臭気をマスキングするための添加剤として、上述した天然素材より抽出溶媒を用いて得られた抽出物と混合して使用される。それにより、天然素材より抽出溶媒を用いて得られた抽出物由来の臭気をマスキングする。本実施形態の臭気マスキング剤を構成するパルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油は、芳香成分による香り付けとは異なり、抽出物由来の臭気自体をマスキングする。
【0025】
本実施形態の臭気マスキング剤によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の臭気マスキング剤は、天然素材より抽出溶媒を用いて得られた抽出物由来の臭気に対して優れたマスキング効果を発揮する。パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油により、抽出物由来の臭気自体をマスキングし、消臭効果を発揮することができる。よって、例えば芳香成分による香り付けと異なり、香り成分が苦手な利用者にも広く適用することができる。
【0026】
また、抽出物由来の臭気を抑制するために、香料等の添加剤を使用する必要がなく、天然素材由来の抽出物の品質を向上させることができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0027】
・上記実施形態は、抽出原料から抽出溶媒を用いて得られた各抽出物について、さらに該溶媒抽出物を1又は2以上のクロマトグラフィを用いて処理したものを使用してもよい。クロマトグラフィとしては、公知のクロマトグラフィ、例えばガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、及び薄層クロマトグラフィを用いることができる。クロマトグラフィ担体としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィ、分配クロマトグラフィ(順相・逆相クロマトグラフィ)、吸着クロマトグラフィ、及び分子排斥クロマトグラフィが挙げられる。分配クロマトグラフィとして、より具体的にはシリカゲル担体を用いることが抽出成分の分離効率が優れる観点から好ましい。シリカゲル担体として、表面がオクタデシルシリル基(ODS)等により表面修飾されたものを使用してもよい。
【0028】
・上記実施形態において適用される抽出原料から抽出溶媒を用いて得られた各抽出物は、抽出された溶液の状態で臭気マスキング剤と混合してもよく、必要に応じて濃縮、乾燥又は水希釈した状態で臭気マスキング剤と混合することも可能である。溶出液の濃縮及び乾燥には、公知の減圧濃縮、膜濃縮、凍結濃縮、真空乾燥、噴霧乾燥又は凍結乾燥が採用可能である。
【0029】
・上記実施形態は、パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油としては、通常よりパルミチン酸を多く含有するように品種改良した植物由来の植物油を使用してもよい。
【0030】
・上記実施形態の臭気マスキング剤は、本発明の構成及び効果を損なわない範囲内において、パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油以外の植物油を配合してもよい。マスキング効果の効率を向上させる観点から、パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油は、全植物油中において好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有する。
【0031】
・上記実施形態において、パルミチン酸が植物油中においてグリセリン脂肪酸エステルの形態として配合される場合、遊離脂肪酸に換算した場合の含有量とする。
(第2実施形態)
以下、本発明をカプセル剤に具体化した第2実施形態を説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0032】
本実施形態のカプセル剤は、プロポリス抽出物、コンドロイチン硫酸含有抽出物、及びプラセンタ抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物と、パルミチン酸を8質量%以上含有する植物油とを混合し、当該抽出物由来の臭気がマスキングされた状態でカプセル中に封入される。
【0033】
本実施形態のカプセル剤中におけるパルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油と、天然素材より抽出溶媒を用いて得られた抽出物(固形分)との配合比率は、第1実施形態欄に記載の数値範囲を採用することができる。
【0034】
本実施形態のカプセル剤中には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、分散剤を配合してもよい。分散剤は、上記各抽出物の再凝集を抑制するために配合してもよい。尚、本発明においては、分散剤には、食品添加物として用いられる保護剤、乳化剤、及び界面活性剤も含むものとする。分散剤としては、例えば、レシチン、リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0035】
本実施形態のカプセル剤中には、必要により、ミツロウを配合してもよい。ミツロウは、内容物の粘度調整基材又は分散・安定性を向上させるために必要に応じて配合してもよい。ミツロウを加えることにより、粉末状の各抽出物をペースト状に成形し、内容物の分散性及び安定性を向上させる。カプセル剤中におけるミツロウの含有量は、内容物の分散・安定性の向上の観点から、好ましくは0.1?20質量%、より好ましくは0.5?15質量%、さらに好ましくは1?10質量%である。
【0036】
本実施形態のカプセル剤は、ソフトカプセル剤又はハードカプセル剤のいずれに適用されてもよい。例えばソフトカプセル剤は、カプセル皮膜用組成物から形成した皮膜を、ロータリーダイ法等により、内容物を充填するとともにソフトカプセルを成形することにより製造される。カプセルの素材は、公知の材料を適用することができる。ソフトカプセルの素材としては、例えばゼラチン、グリセリン等が挙げられる。ハードカプセルの素材としては、例えばゼラチン、プルラン等の多糖類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、デンプン等が挙げられる。これらのカプセル剤は、瓶詰め包装、PTP包装、パウチ等の包装形態で包装されてもよい。
【0037】
本実施形態に係るカプセル剤は、第1実施形態の効果に加えて以下の利点を有する。
(2)本実施形態のカプセル剤は、天然素材より抽出溶媒を用いて得られた抽出物由来の臭気に対して優れたマスキング効果を発揮する。パルミチン酸の含有量が8質量%以上である植物油により、抽出物由来の臭気自体をマスキングし、消臭効果を発揮することができる。よって、芳香成分による香り付けとは異なり、利用者は容易に摂取することができる。
【0038】
(3)また、カプセルをコーティング等することによりマスキングする方法に比べて容易に製造することができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0039】
・上記実施形態において、カプセル剤を飲食品に適用する場合、種々の食品素材又は飲料品素材とともにカプセル内に封入してもよい。カプセル内の剤型としては、特に限定されず、液状、粉末状、ゲル状、固形状のいずれであってもよい。前記飲食品としては、その他の成分としてゲル化剤含有食品、糖類、香料、甘味料、基材、賦形剤、食品添加剤、副素材、増量剤等を適宜配合してもよい。
【0040】
・上記実施形態において、カプセル剤を医薬品として使用する場合は、好ましくは服用(経口摂取)してもよく、又は経腸投与してもよい。カプセル内の剤型としては、特に限定されず、液状、粉末状、ゲル状、固形状のいずれであってもよい。また、添加剤として賦形剤、基剤、乳化剤、溶剤、安定剤等を配合してもよい。
【0041】
・上記実施形態におけるカプセル剤は、ヒトが摂取する飲食品及び医薬品等に対して適用することができるのみならず、家畜やペット等の飼養動物の飼料にサプリメント、栄養補助食品、医薬品等として適用してもよい。
【実施例】
【0042】
以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、実施例1?4,6,8,10,15,17は、参考例1?4,6,8,10,15,17に置き換えるものとする。
<試験例1:臭気マスキング剤のプラセンタ抽出物に対する臭気抑制試験>
表1に示される臭気マスキング剤を使用し、臭気成分としてプラセンタ抽出物に対する臭気を抑制する効果について試験した。なお、プラセンタ抽出物として日本バイオコン社製の豚プラセンタエキス末を使用した。
【0043】
(実施例1?7)
各実施例において、臭気マスキング剤として、パルミチン酸の含有量が8質量%以上の植物油であるオリーブ油、小麦胚芽油、大豆油、米胚芽油、ゴマ油、又はそれらの組み合わせを使用した。表1に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。なお、プラセンタ抽出物は、粉末状のものを使用し、表1中における配合量は、固形分としての配合量を示す。
【0044】
(比較例1?4)
各比較例においては、各実施例の臭気マスキング剤の代わりに、パルミチン酸の含有量が8質量%未満の植物油であるハイオレックスサフラワー油、ぶどう油、シソ油、及び亜麻仁油をそれぞれ使用した。表1に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。
【0045】
(マスキング効果)
上記のように得られた各混合液を30mLのバイアル瓶に移し、40℃で60分間加熱処理した。得られた加熱処理物について、10名のパネラーがそれぞれバイアル瓶の蓋を少し開け、直接混合物の臭気を嗅ぎ、以下の基準に従い評価した。プラセンタ抽出物(臭気成分)由来の臭気を全く感じない場合を3点(良好)、僅かに抽出物由来の臭気を感じる場合を2点(可)、抽出物由来の臭気を感じる場合を1点(不可)として評価した。10名のパネラーの合計点を表1に示す。
【0046】
【表1】

表1に示されるように、各実施例の臭気マスキング剤は、抽出物由来の臭気が抑制されている又は抑制する傾向を示すことが確認された。小麦胚芽油と米胚芽油を併用する実施例6、及び米胚芽油とゴマ油を併用する実施例7は、相乗効果により特に優れた臭気マスキング効果が得られることが確認された。
【0047】
<試験例2:臭気マスキング剤のサメ軟骨抽出物に対する臭気抑制試験>
表2に示される臭気マスキング剤を使用し、臭気成分としてサメ軟骨抽出物(コンドロイチン硫酸含有抽出物)に対する臭気を抑制する効果について試験した。サメ軟骨抽出物として丸善製薬社製のサメ軟骨抽出物を使用した。
【0048】
(実施例8?14)
各実施例において、臭気マスキング剤として、試験例1と同様の植物油をそれぞれ使用した。表2に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。なお、サメ軟骨抽出物は、粉末状のものを使用し、表2中における配合量は、固形分としての配合量を示す。
【0049】
(比較例5?8)
各比較例においては、各実施例の臭気マスキング剤の代わりに、試験例1の各比較例と同様の植物油をそれぞれ使用した。表2に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。
【0050】
試験例2のマスキング効果の評価は、試験例1と同様の方法にて実施した。10名のパネラーの合計点を表2に示す。
【0051】
【表2】

表2に示されるように、各実施例の臭気マスキング剤は、抽出物由来の臭気を抑制している又は抑制する傾向を示すことが確認された。小麦胚芽油と米胚芽油を併用する実施例13、及び米胚芽油とゴマ油を併用する実施例14は、相乗効果により特に優れた臭気マスキング効果が得られることが確認された。
【0052】
<試験例3:臭気マスキング剤のプロポリス抽出物に対する臭気抑制試験>
表3に示される臭気マスキング剤を使用し、プロポリス抽出物に対する臭気を抑制する効果について試験した。なお、プロポリス抽出物は、以下の製造方法により得られた抽出物を使用した。
【0053】
まず、原料としてプロポリス原塊の粉砕物150kgに、親水性有機溶媒を含有する溶媒としてエタノール濃度が95容量%の含水エタノール530Lを加えて室温(約25℃)で12時間攪拌して抽出した。そして、プロポリス粉砕物を含む抽出液を遠心分離することによって、固液分離、濃縮し、プロポリス抽出液110kg(固形分55質量%)を得た。
【0054】
(実施例15?21)
各実施例において、臭気マスキング剤として、試験例1と同様の植物油をそれぞれ使用した。表3に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。なお、プロポリス抽出物は、上記のように得られたプロポリス抽出液を使用し、表3中における配合量は、プロポリス抽出液としての配合量を示す。
【0055】
(比較例9?12)
各比較例においては、各実施例の臭気マスキング剤の代わりに、試験例1の各比較例と同様の植物油をそれぞれ使用した。表3に示される各成分を全量100mLとなるように所定の配合比率にて調液し、ホモジナイザーで1分間分散させた後、真空引きにて脱泡することにより各例の混合液を調製した。
【0056】
試験例3のマスキング効果の評価は、試験例1と同様の方法にて実施した。10名のパネラーの合計点を表3に示す。
【0057】
【表3】

表3に示されるように、各実施例の臭気マスキング剤は、抽出物由来の臭気を抑制又は抑制する傾向を示すことが確認された。小麦胚芽油と米胚芽油を併用する実施例20、及び米胚芽油とゴマ油を併用する実施例21は、相乗効果により特に優れた臭気マスキング効果が得られることが確認された。
【0058】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記植物油は、小麦胚芽油及び米胚芽油、又は米胚芽油及びゴマ油を含んでなる前記臭気マスキング剤。従って、この(a)に記載の発明によれば、さらに優れた臭気マスキング効果を得ることができる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラセンタ抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤であって、
前記臭気マスキング剤は、ゴマ油である植物油を含んでなり、
使用時において前記プラセンタ抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上であることを特徴とする臭気マスキング剤。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
プロポリス抽出物及びコンドロイチン硫酸含有抽出物から選ばれる少なくとも1種の抽出物由来の臭気をマスキングするための臭気マスキング剤であって、
前記臭気マスキング剤は、プロポリス抽出物の場合、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含んでなり、
使用時において前記プロポリス抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上であり、
前記臭気マスキング剤は、コンドロイチン硫酸含有抽出物の場合、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油を含んでなり、
使用時において前記コンドロイチン硫酸含有抽出物の配合量に対して、前記植物油の配合量が質量比として29.17/33.33以上であることを特徴とする臭気マスキング剤。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
プロポリス抽出物を封入するカプセル剤(プルランを含むカプセルを除く)において、
前記抽出物と、ゴマ油及び米胚芽油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを、前記抽出物の含有量に対して、前記植物油の含有量が質量比として42.23/(5.87の55%)以上となるように混合し、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたことを特徴とするカプセル剤。
【請求項6】
コンドロイチン硫酸含有抽出物を封入するカプセル剤(プルランを含むカプセルを除く)において、
前記抽出物と、小麦胚芽油、米胚芽油、及びゴマ油から選ばれる少なくとも1種の植物油とを、前記抽出物の含有量に対して、前記植物油の含有量が質量比として29.17/33.33以上となるように混合し、前記抽出物由来の臭気をマスキングしたことを特徴とするカプセル剤。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-03-01 
出願番号 特願2015-106690(P2015-106690)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A23L)
P 1 651・ 537- YAA (A23L)
P 1 651・ 853- YAA (A23L)
P 1 651・ 112- YAA (A23L)
P 1 651・ 113- YAA (A23L)
P 1 651・ 851- YAA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松原 寛子  
特許庁審判長 佐々木 秀次
特許庁審判官 冨永 みどり
関 美祝
登録日 2019-04-19 
登録番号 特許第6513485号(P6513485)
権利者 アピ株式会社
発明の名称 臭気マスキング剤及びカプセル剤  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 博宣  

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