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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  D04H
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  D04H
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  D04H
審判 全部申し立て 2項進歩性  D04H
管理番号 1374904
異議申立番号 異議2020-700083  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-02-14 
確定日 2021-04-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6560124号発明「ミネラルウール系断熱物品及びその物品の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6560124号の明細書及び特許請求の範囲を、令和2年11月13日提出の手続補正書により補正された訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?8〕、〔9?16〕について訂正することを認める。 特許第6560124号の請求項1?16に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第6560124号(以下「本件特許」という。)の請求項1?16に係る特許についての出願は、平成26年1月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年1月11日、フランス)を国際出願日とする特許出願であって、令和元年7月26日に特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:令和元年8月14日)がされたものであって、本件特許異議申立に係る主な手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年2月14日
特許異議申立人 本間 賢一(以下「申立人」という。)による
請求項1?16に係る特許に対する特許異議の申立て
同年5月27日付け
取消理由通知
同年8月27日
特許権者による訂正請求及び意見書の提出
(これによる訂正を「本件訂正」という。)
同年10月9日付け
訂正拒絶理由通知
同年11月13日
特許権者による意見書及び手続補正書の提出
令和3年2月26日
申立人による意見書の提出

第2.手続補正について
1.補正の内容
令和2年11月13日提出の手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、令和2年8月27日提出の訂正請求書を補正するとともに、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲を以下のように補正するものである。なお、補正箇所に下線を付した。

(1)補正事項1
本件補正前の請求項1に
「無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品であって、その物品は、2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部とを有し、以下の配向率によって特徴付けられる、ミネラルウール系断熱物品:
(i)長手断面でのみ前記無機繊維を考慮したときに、前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、48%以上であり、かつ
(ii)横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮したときに、前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、40%以上であり、」
とあるのを
「無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品であって、その物品は、2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部とを有し、以下の配向率によって特徴付けられる、ミネラルウール系断熱物品:
(i)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、48%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
(ii)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、40%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率であり、」と補正する。

(2)補正事項2
本件補正前の請求項3に、
「-長手断面でのみ前記無機繊維を考慮したときに、前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、75%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮したときに、前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、70%以上である。」
とあるのを、
「-前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、75%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
-前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、70%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率である。」
に補正する。

(3)補正事項3
本件補正前の請求項4に、
「-長手断面でのみ前記無機繊維を考慮したときに、前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、90%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮したときに、前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、85%以上である。」

とあるのを、
「-前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、90%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
-前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、85%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率である。」
に補正する。

2.補正の適否
訂正請求書の要旨変更について規定する特許法第120条の5第9項で準用する特許法第131条の2の趣旨は、審理対象の拡張変更による審理遅延を防止することであると解されるところ、審理対象の拡張変更を伴わない限り、訂正請求書の要旨を変更しないものである。
上記補正事項1?3に係る訂正事項は、本件補正前の訂正請求書における主張のとおり、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正を意図したものと解されるが、その訂正内容に不備があったことに起因して訂正後の特許請求の範囲が不明瞭となり、もって、特許法第120条の5第2項ただし書き各号するいずれの目的にも該当しないことにより訂正要件に適合しなかったところ、上記補正事項1?3は、前記瑕疵を是正して、訂正事項が本来意図していた特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正に補正するのであるから、審理対象の拡張変更を伴うものではなく、訂正請求書の要旨を変更するものとはいえない。
したがって、本件補正は、令和2年8月27日提出の訂正請求書の要旨を変更するものでないから、認められる。

第3.本件訂正
1.訂正の内容
上記第2.のとおり、本件補正は認められるから、令和2年8月27日提出の訂正請求書による訂正の請求は、「特許第6560124号の明細書、特許請求の範囲を、本請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?16について訂正することを求める。」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
なお、訂正箇所に下線を付し、また削除された文字の前後1文字に下線を付した。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品であって、その物品は、2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部とを有し、以下の配向率によって特徴付けられる、ミネラルウール系断熱物品:
-長手断面でのみ前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、48%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、40%以上である。」
とあるのを、
「無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品であって、その物品は、2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部とを有し、以下の配向率によって特徴付けられる、ミネラルウール系断熱物品:
(i)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、48%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
(ii)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、40%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率であり、
ここで、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-α)及び平均配向率TO_(m)(0°+/-α)を下記のとおり決定する:
(a)同じサイズであり、かつ物品の厚みと同じ厚みを有する少なくとも6つの六面体の試験体を、セクショニング装置を用いて前記物品から切り出し、ここで、各試験体は、長手方向の面と呼ばれる2つの第1面を含み、この2つの第1面は共に前記物品の前記長手方向の端部に平行であり、かつ前記物品の主要面に垂直であり、かつ試験体は、横断方向の面と呼ばれる2つの第2面を含み、この2つの第2面は共に前記物品の長手方向の端部に垂直であり、かつ前記物品の主要面に垂直であり、
(b)各試験体の少なくとも一つの前記長手方向の面及び少なくとも一つの前記横断方向の面を交互に観察し、観察される各面を1×1mm^(2)の面積を有する単一領域に分け、各単一領域内で繊維を視覚的に観察し、各単一領域内において、前記物品の主要面に対して、全ての無機繊維の主要な方向によって形成される角度に注目し、かつ前記角度をその単一領域の繊維の主要な配向と見なし、ここで、角度区域0°+/-αによる配向率は、前記主要な配向がこの角度区域の範囲内になる単一領域の割合を意味し、
(c)前記各試験体の少なくとも一つの前記長手方向の面及び少なくとも一つの前記横断方向の面のそれぞれに関して、所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、前記長手方向の面の配向率tO^(i)_(L)(0°+/-α)及び前記横断方向の面の配向率tO^(i)_(T)(0°+/-α)を決定し、
(d)全ての試験体からのデータを平均化し、同じ所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、長手断面及び横断断面のそれぞれにおける前記物品の長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-α)及び横断方向の配向率TO_(T)(0°+/-α)を表し、かつ
(e)各所定の角度区域0°+/-αに関して、前記物品における前記長手方向の配向率及び前記横断方向の配向率の平均配向率TO_(m)(0°+/-α)=[TO_(L)(0°+/-α)+TO_(T)(0°+/-α)]/2を計算する。」
に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2?8も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に、
「-長手断面でのみ前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、75%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、70%以上である。」
とあるのを、
「-前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、75%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
-前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、70%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率である。」
に訂正する。
(請求項3の記載を引用する請求項4?8も同様に訂正する。)

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に、
「-長手断面でのみ前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、90%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、85%以上である。」
とあるのを、
「-前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、90%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
-前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、85%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率である。」
に訂正する。
(請求項4の記載を引用する請求項5?8も同様に訂正する。)

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9に、
「-内部遠心による無機繊維の製造、
-V_(0)のスピードを有する受け取りベルト上へのその無機繊維の受け入れ、
-第1グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬、ここで前記第1グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(1)は、V_(0)の100%超105%以下の範囲である、
-第2グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬、ここで前記第2グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(2)は、V_(0)の108%?120%の範囲である。」
とあるのを、
「-内部遠心による無機繊維の製造、
-V_(0)のスピードを有する受け取りベルト上へのその無機繊維の受け入れ、
-前記受け取りベルトの出口にある第1グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬、ここで前記第1グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(1)は、V_(0)の100%超105%以下の範囲である、
-前記第1グループのコンベヤーに続く第2グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬、ここで前記第2グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(2)は、V_(0)の108%?120%の範囲である。」
に訂正する。
(請求項9の記載を引用する請求項10?16も同様に訂正する。)

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項12に、
「前記第1グループのコンベヤーの数が、3つ?10つの範囲である」
とあるのを、
「前記第1グループのコンベヤーの数が、3つ?10の範囲である」
に訂正する。
(請求項12の記載を引用する請求項13?16も同様に訂正する。)

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項14に、
「前記第1グループの各コンベヤーのスピードが、先行するコンベヤーと同じ量だけ増加する」
とあるのを、
「前記第1グループの2つの連続するコンベヤー間のスピードの差が同じ量である」
に訂正する。
(請求項14の記載を引用する請求項15及び16も同様に訂正する。)

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項15に、
「前記第2グループの各コンベヤーのスピードが、先行するコンベヤーと同じ量だけ増加し、又は前記第2グループの各コンベヤーのスピードが、先行するコンベヤーのスピードよりも早く増加する」
とあるのを、
「前記第2グループの各コンベヤーと、そのすぐ前のコンベヤーとの間のスピードの差が、前記各コンベヤーのすぐ前の2つのコンベヤーのスピードの差と同じ量であるか、又は前記第2グループの各コンベヤーと、そのすぐ前のコンベヤーとの間のスピードの差が、前記各コンベヤーのすぐ前の2つのコンベヤーのスピードの差よりも大きい」
に訂正する。
(請求項15の記載を引用する請求項16も同様に訂正する。)

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項16に、
「少なくとも2つの最後の前記コンベヤーに関して、少なくとも2つの最後の前記コンベヤーと少なくとも2つの上部の駆動装置との間を前記無機繊維が進行する際に、前記無機繊維が次第に圧縮される」
とあるのを、
「前記第2グループの最後から少なくとも2つのコンベヤーに関して、最後から少なくとも2つの前記コンベヤーと少なくとも2つの上部の駆動装置との間を前記無機繊維が進行する際に、前記無機繊維が次第に圧縮される」
に訂正する。

(9)訂正事項9
特許明細書の段落【0026】に、
「所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、この面の長手方向の配向率to^(i)_(L)(0°+/-α)、それぞれの横断方向の配向率to^(i)_(L)(0°+/-α)が、決定される。」
とあるのを、
「所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、この面の長手方向の配向率to^(i)_(L)(0°+/-α)、それぞれの横断方向の配向率to^(i)_(T)(0°+/-α)が、決定される。」
に訂正する。

2.一群の請求項
本件訂正前の請求項2?8は、本件訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、請求項〔1?8〕に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する、一群の請求項ごとにされたものである。
また、本件訂正前の請求項10?16は、本件訂正前の請求項9を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項4によって記載が訂正される請求項9に連動して訂正されるものであり、請求項〔9?16〕に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する、一群の請求項ごとにされたものである。
そして、本件訂正は、特定の請求項に係る訂正事項について別の訂正単位とする求めもないから、本件訂正請求は、訂正後の請求項〔1?8〕、〔9?16〕を訂正単位とするものであり、訂正事項1?3と訂正事項4?8は、それぞれ一体の訂正事項として取り扱われるものである。

3.訂正の適否
(1)特許請求の範囲に係る訂正について
1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「-長手断面でのみ前記無機繊維が・・・48%以上であり」に「(i)」を付し、また、「-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維が・・・40%以上である」に「(ii)」を付し、特徴点を明確化するものである。
また、訂正事項1におけるその余の訂正は、「(i)」又は「(ii)」が付された事項が、本件訂正前では「考慮されない場合には」と記載されて、「(i)」及び「(ii)」が付された事項をいずれか一方を満たせばよいのか、又は、いずれも満たす必要があるのかが不明であったものを、考慮されない場合を含まないことを明確化するもの、すなわち、いずれも満たす必要があることを明確化するとともに、本件訂正前の請求項1では「配向率TO_(L)(0°+/-6°)」及び「平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)」が明瞭でなかったところ、これらの配向率を決定するための手順を特定して、明確化するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0050】及び【0051】において、上記「(i)」又は「(ii)」が付された事項の両方は、同時に満たすべき物を得た例が記載されていること、及び、段落【0023】?【0026】に記載された配向率の決定手順に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合する。
さらに、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的としており、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合する。

2)訂正事項2、3について
訂正事項2、3は、訂正前の請求項3において特定される事項が、本件訂正前では「考慮されない場合には」と記載されているため、訂正前の請求項1と同様の理由により、不明であったものを明確化するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2、3は、訂正事項1と同様の理由により、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合する。
さらに、訂正事項2、3は、明瞭でない記載の釈明を目的としており、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合する。

3)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項9において製造方法に含まれる「工程」について、第1グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬」と「第2グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬」の順序が不明であったものを、その順序を明確なものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項4は、願書に添付した明細書の段落【0043】に記載される工程に係る記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合する。
さらに、訂正事項4は、明瞭でない記載の釈明を目的としており、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合する。

4)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項12における「10つの範囲」との記載を「10の範囲」と訂正するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。
また、訂正事項5は、誤記の訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項及び第6項に適合する。

5)訂正事項6、7について
訂正事項6、7は、訂正前の請求項14、15において「各コンベヤーのスピードが、先行するコンベヤーと同じ量だけ増加す」ると記載されて、どのように増加するのか不明であり、また、「先行するコンベヤー」がどれか不明であったものを明確なものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項6、7は、願書に添付した明細書の段落【0044】又は【0045】に記載される、2つの連続するコンベヤー間のスピードの差が等しいことに基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合する。
さらに、訂正事項6、7は、明瞭でない記載の釈明を目的としており、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合する。

6)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項16の記載が3つ以上の最後のコンベヤーを含むものとなっていることに起因して、請求項16が引用する請求項との関係で不合理があるものを正すものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項8は、願書に添付した明細書の段落【0043】に記載される事項に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合する。
さらに、訂正事項8は、明瞭でない記載の釈明を目的としており、そのカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合する。

(2)発明の詳細な説明に係る訂正について
訂正事項9は、請求項1?8又は請求項9?16の訂正に連動するものではないが、明細書又は図面の訂正と関係する請求項がないときであっても、明細書又は図面の訂正が、例えば、それらの誤記を訂正するものであって、訂正後のいずれの請求項に記載の発明の認定においても考慮する必要がないものであるときは、そのような明細書又は図面の訂正は、任意の請求項又は一群の請求項について行うことも、全請求項について行うこともできる(審判便覧38-02)。
この点、上記訂正事項9は、願書に最初に添付した外国語特許出願の原文の記載に照らせば、「TO^(i)_(T)」について誤って訳出されたものを正すものであるから、誤訳の訂正を目的とするものに該当する。よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものである。
また、上記訂正事項9は、上記のとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合する。
さらに、上記訂正事項9は、上記のとおりであり、特許請求の範囲のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合する。

4.小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第2号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?8〕、〔9?16〕、明細書についての訂正を認める。

第4.訂正後の本件発明
上記第2.のとおり本件補正が認められ、且つ上記第3.のとおり本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1?16は、それぞれ、本件訂正請求書に添付されるとともに本件補正により補正された訂正特許請求の範囲の請求項1?16に記載された、次のとおりのものである。
なお、訂正特許請求の範囲の請求項1?16に係る発明を、以下「本件訂正発明1」等という。

「【請求項1】
無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品であって、その物品は、2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部とを有し、以下の配向率によって特徴付けられる、ミネラルウール系断熱物品:
(i)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、48%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
(ii)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、40%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率であり、
ここで、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-α)及び平均配向率TO_(m)(0°+/-α)を下記のとおり決定する:
(a)同じサイズであり、かつ物品の厚みと同じ厚みを有する少なくとも6つの六面体の試験体を、セクショニング装置を用いて前記物品から切り出し、ここで、各試験体は、長手方向の面と呼ばれる2つの第1面を含み、この2つの第1面は共に前記物品の前記長手方向の端部に平行であり、かつ前記物品の主要面に垂直であり、かつ各試験体は、横断方向の面と呼ばれる2つの第2面を含み、この2つの第2面は共に前記物品の長手方向の端部に垂直であり、かつ前記物品の主要面に垂直であり、
(b)各試験体の少なくとも一つの前記長手方向の面及び少なくとも一つの前記横断方向の面を交互に観察し、観察される各面を1×1mm^(2)の面積を有する単一領域に分け、各単一領域内で繊維を視覚的に観察し、各単一領域内において、前記物品の主要面に対して、全ての無機繊維の主要な方向によって形成される角度に注目し、かつ前記角度をその単一領域の繊維の主要な配向と見なし、ここで、角度区域0°+/-αによる配向率は、前記主要な配向がこの角度区域の範囲内になる単一領域の割合を意味し、
(c)前記試験体の少なくとも一つの前記長手方向の面及び少なくとも一つの前記横断方向の面のそれぞれに関して、所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、前記長手方向の面の配向率tO^(i)_(L)(0°+/-α)及び前記横断方向の面の配向率tO^(i)_(T)(0°+/-α)を決定し、
(d)全ての試験体からのデータを平均化し、同じ所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、長手断面及び横断断面のそれぞれにおける前記物品の長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-α)及び横断方向の配向率TO_(T)(0°+/-α)を表し、かつ
(e)各所定の角度区域0°+/-αに関して、前記物品における前記長手方向の配向率及び前記横断方向の配向率の平均配向率TO_(m)(0°+/-α)=[TO_(L)(0°+/-α)+TO_(T)(0°+/-α)]/2を計算する。
【請求項2】
前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、50%以上であり、かつ前記平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、45%以上である、請求項1に記載の断熱物品。
【請求項3】
前記物品が、以下の配向率によってさらに特徴付けられる、請求項1又は2に記載の断熱物品:
-前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、75%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
-前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、70%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率である。
【請求項4】
前記物品が、以下の配向率によってさらに特徴付けられる、請求項1?3のいずれか一項に記載の断熱物品:
-前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、90%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
-前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、85%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率である。
【請求項5】
前記無機繊維のマイクロネア値が、8?15L/minの範囲である、請求項1?4のいずれか一項に記載の断熱物品。
【請求項6】
熱伝導率が32mW/m.K以下であり、かつ密度が少なくとも15kg/m^(3)である、請求項1?5のいずれか一項に記載の断熱物品。
【請求項7】
熱伝導率が29mW/m.K以下であり、かつ密度が少なくとも40kg/m^(3)である、請求項1?6のいずれか一項に記載の断熱物品。
【請求項8】
密度が55?80kg/m^(3)である、請求項7に記載の断熱物品。
【請求項9】
以下の工程を含むミネラルウール系断熱物品の製造方法:
-内部遠心による無機繊維の製造、
-V_(0)のスピードを有する受け取りベルト上へのその無機繊維の受け入れ、
-前記受け取りベルトの出口にある第1グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬、ここで前記第1グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(1)は、V_(0)の100%超105%以下の範囲である、
-前記第1グループのコンベヤーに続く第2グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬、ここで前記第2グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(2)は、V_(0)の108%?120%の範囲である。
【請求項10】
前記第2グループのコンベヤーの最後のコンベヤーの前記スピードV_(2)は、V_(0)の110%?115%の範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2グループのコンベヤーが、全て、前記第1グループのコンベヤーのスピードよりも速いスピードを有する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1グループのコンベヤーの数が、3つ?10の範囲である、請求項9?11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2グループのコンベヤーの数が、2つ?5つの範囲である、請求項9?12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1グループの2つの連続するコンベヤー間のスピードの差が同じ量である、請求項9?13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2グループの各コンベヤーと、そのすぐ前のコンベヤーとの間のスピードの差が、前記各コンベヤーのすぐ前の2つのコンベヤーのスピードの差と同じ量であるか、又は前記第2グループの各コンベヤーと、そのすぐ前のコンベヤーとの間のスピードの差が、前記各コンベヤーのすぐ前の2つのコンベヤーのスピードの差よりも大きい、請求項9?14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2グループの最後から少なくとも2つのコンベヤーに関して、最後から少なくとも2つの前記コンベヤーと少なくとも2つの上部の駆動装置との間を前記無機繊維が進行する際に、前記無機繊維が次第に圧縮される、請求項9?15のいずれか一項に記載の方法。」

第5.取消理由の概要
訂正前の本件特許の請求項1?16に係る特許に対して、当審が特許権者に通知した令和2年5月27日付けの取消理由の要旨は、次のとおりである。
なお、甲第1号証等の証拠を「甲1」等と略記し、甲1等に記載された事項を「甲1記載事項」などという。また、取消理油通知により、実質的にすべての申立理由を通知した。

(1)明確性
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
1)請求項1に記載された「主要面」、「長手方向」、「横断方向」、「長手方向の端部」、「横断方向の端部」、「長手断面」、「前記主要面の平面」、「横断断面」は、不明確である。また、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2?8も同様に不明確である。
2)請求項1に記載された「-長手断面でのみ前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TOL(0°+/-6°)は、48%以上であり」(以下「条件1」という。)、「かつ」、「-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TOm(0°+/-6°)は、40%以上である。」(以下「条件2」という。)は、不明確である。また、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2?8も同様に不明確である。
3)請求項9に記載された「第1グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬」工程と、「第2グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬」は、その順序が不明である。
4)請求項12に記載された「10つ」は、「10」の誤記と推察される。
5)請求項14に記載された「前記第1グループの各コンベヤーのスピードが、先行するコンベヤーと同じ量だけ増加する」は、どのように増加するのか不明である。
6)請求項15に記載された「前記第2グループの各コンベヤーのスピードが、先行するコンベヤーと同じ量だけ増加し」は、上記(5)に示した第1グループと同様に不明確である。
また、請求項15の「先行するコンベヤーのスピードよりも早く増加する」は、「早く」の意味するところが不明である。
7)請求項16には「少なくとも2つの最後の前記コンベヤー」と記載されは、請求項16が引用する請求項9?15の記載に照らして、その記載が矛盾している。
8)上記3)?6)については、請求項9、12、14、15を直接的又は間接的に引用する請求項10、11、13、16も同様に不明確である。

(2)実施可能要件
本件特許は、明細書の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
1)本件発明1は、上記(1)1)及び2)に示したとおり不明確なものであるところ、本件特許明細書等もまた、前記各構成を理解し、その実施が可能な程度に記載されていない。
2)本件発明9を構成する「コンベヤーのスピード」の「V_(0)」「V_(1)」「V_(2)」について、段落【0050】において、最初と最後のコンベヤースピードは等しく、中間のコンベヤースピードの調整のみによって、「第1の例」と「第2の例」ほどに厚みと密度を変化させることは、当該技術分野の技術常識を参酌しても実施可能であるといえない。

(3)サポート要件
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
本件特許明細書等に記載された課題は、段落【0005】によれば、「物品の厚みを増加させることなしに向上した断熱特性を示すミネラルウール系断熱物品」を提供することにある。
1)本件発明1は、上記(1)1)及び2)に示したとおり不明確なものであり、また、上記(2)1)及び2)に示したとおり本件特許明細書等は、前記各構成を理解し、その実施が可能な程度に記載されていないから、本件発明1は、課題を解決できないものを含むものである。
特に、「横断断面」及び「長手断面」において、無機繊維のどのような状態をどのような基準によってその配向を判断し、配向率TO_(L)及び平均配向率TO_(m)を算出するために必要な分子・分母を定めるものであるのかは、本件特許明細書等の記載から理解することができないから、本件発明1は、課題を解決できないものを含むものである。
2)本件発明1は、「ミネラルウール系断熱物品」に関して、「無機繊維」の材質・直径・繊維長・含有量や、バインダーの有無・含有量・材質、全体の密度等、その物性等は特定されていない。したがって、本件発明1が課題を解決できるものであることは、本件特許明細書等の記載から理解することができない。
3)上記(1)3)に示したとおり、本件発明9の工程の順は不明確である。一方、本件特許明細書等には、「第2グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬」が先の場合でも課題が解決できることは記載されていない。
4)本件発明9は、「コンベヤーのスピード」の「V_(0)」「V_(1)」「V_(2)」を特定した製造方法であるところ、本件発明9が課題を解決できるものであることは、本件特許明細書等の記載から理解することができない。
(4)新規性進歩性
1)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

甲1:米国特許出願公開第2011/0111198号明細書

第6.当審の判断
1.理由1(明確性:特許法第36条第6項第2号)
(1)主要面、端部について
本件訂正発明1には、「無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品」が、「2つの主要面」と「それら主張面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部」を有することが特定されている。ここで「面」とは、物体の外部との境界を意味し、広義には、当該境界が曲がっている、いわゆる「曲面」を包含し、狭義には、当該境界が平らである、いわゆる「平面」を意味するところ、本件請求項1の記載の上記「主要面」の意味は直ちに定まらず、また、「端部」の形状も直ちに定まらない。そこで、本件明細書の記載を参酌するに、段落【0021】、【0024】等の記載を踏まえれば、主要面及び端部は、いずれも平面であるものを意図していることを把握することができ、請求項1の記載は、「無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品」は六面体であることを特定しているものと解することができる。そして、このことは、断熱物品の形状は、典型的には平板形状(スラブ形状)であるという技術常識とも整合するものである。そうすると、本件訂正発明1は明確ではないとはいえない。
(2)配向率について
訂正事項1により訂正された本件訂正発明1において、(i)に係る事項と(ii)に係る事項は、いずれも満たす必要があること、及び、「配向率TO_(L)(0°+/-6°)」及び「平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)」を決定するための手順が特定されているから、本件訂正発明1は明確ではないとはいえない。
また、訂正事項2、3により訂正された本件訂正発明3、4も、同様の理由により、明確ではないとはいえない。
(3)工程の順序について
訂正事項4により訂正された本件訂正発明9の記載から、本件訂正発明9は明確ではないとはいえない。
(4)誤記の訂正
訂正前の請求項12に存していた誤記は、訂正事項5により訂正されている。
(5)先行するコンベヤーについて
訂正事項6、7により訂正された本件訂正発明14、15は、「先行するコンベヤー」が特定されたから、明確ではないとはいえない。
(6)記載の矛盾について
訂正事項8により訂正された本件訂正発明16は、その記載が矛盾解消しているから、明確ではないとはいえない。
(7)引用する請求項について
本件訂正発明9、12、14、15を直接的又は間接的に引用する本件訂正発明10、11、13、16も、同様の理由より、明確ではないとはいえない。
(8)小括
以上のとおりであるから、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。

2.理由2(実施可能要件:特許法第36条第4項第1号)
(1)請求項1の明確性要件違反に起因する不備について
上記1.に示したとおり、本件訂正発明1は、明確ではないとはいえないし、また、本件特許明細書の段落【0022】、【0026】の記載を踏まえれば、本件特許明細書等もまた、その実施が可能な程度に記載されていないとはいえない。
(2)コンベヤースピードにより厚みと密度を変化させることについて
物品の厚さは、本件訂正発明16や本件特許明細書の段落【0046】に記載される圧縮工程で調整されるものであること、また、物品の密度は、前記圧縮工程における調整に加え、無機繊維の引張速度等の他のパラメータに依存することは、当業者にとって自明の技術的事項といえる。したがって、本件特許明細書等は、その実施が可能な程度に記載されていないとはいえない。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。

3.理由3(サポート要件:特許法第36条第6項第1号)
(1)請求項1の明確性要件違反及び実施可能要件違反に起因する不備について
上記1.及び2.に示したとおり、本件訂正発明1は、明確ではないとはいえないし、また、本件特許明細書等もまた、その実施が可能な程度に記載されていないとはいえないこと、さらには、本件訂正発明1においては、配向率TO_(L)及び平均配向率TO_(m)を算出するために必要な事項が特定されていることを踏まえれば、本件訂正発明1が、発明の詳細な説明に記載したものではないとはえいない。よって、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしている。
(2)「ミネラルウール系断熱物品」の物性等の特定について
本件特許明細書等に記載された課題は、段落【0005】によれば、「物品の厚みを増加させることなしに向上した断熱特性を示すミネラルウール系断熱物品」を提供することにある。
そして、段落【0022】の「配向率は、物品中の無機繊維の配向特性であるので、本発明による物品は、長手方向だけでなく、長手方向及び横断方向の2方向の平均において、無機繊維の並外れた水平性を持つ構造を有する。これにより、物品の熱伝導率を低減することを可能とし、そしてその結果、物品の厚みを増加させることなしに、物品の絶縁力を向上させる。」との記載に接した当業者であれば、ミネラルウール系断熱材物品に含まれる無機繊維の配向率が高ければ、当該物品の熱伝導率を低減することができるため、換言すれば、断熱特性を向上することができるため、上記課題を解決できることを理解できるものである。
ここで、「ミネラルウール系断熱物品」に関して、「無機繊維」の材質・直径・繊維長・含有量や、バインダーの有無・含有量・材質、全体の密度等、その物性等が、断熱性に影響をあたえることは、技術常識ではあるものの、上記のとおり、本件発明の課題解決手段は、「配向率」であるから、当業者は、「ミネラルウール系断熱物品」に関する物性の一つである「配向率」を本件訂正発明の範囲で調整し、その他の物性値について適宜のものとすることにより所定の断熱特性を達成するものである。
したがって、当業者は、本件訂正発明1が課題を解決できるものであることを、本件特許明細書等の記載から理解することができる。
(3)本件発明9の工程の順について
訂正事項4により訂正された本件訂正発明9には、「第2グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬」が先の場合は含まれないから、当業者は、本件訂正発明9が課題を解決できるものであることを、本件特許明細書等の記載から理解することができる。
(4)「コンベヤーのスピード」を特定した製造方法について
本件特許明細書等の段落【0049】?【0051】には、本件訂正発明9に係る方法で、コンベヤースピードで繊維を運搬した事例について、得られた無機繊維のマイクロネアが、10L/min、熱伝導率が28.95mW/m・K、密度が55kg/m^(3)であることが記載されている。
なるほど、本件特許明細書等では、本件優先日前に公になっている断熱性物品の無機繊維との対比で記載されていないため、本件特許明細書等の記載のみから本件特許明細書等の段落【0005】に記載された課題が解決できているか否かを直ちに判断できないものの、例えば、甲1に示される本願優先日前に公開されている技術により示される技術水準、すわなち、無機繊維のマイクロネアが、5.5L/min、熱伝導率が29.6W/m・K、密度が45kg/m^(3)であること(甲1段落【0079】?【0092】)に照らせば、本件訂正発明9が上記課題を解決できるものである。
一般に、当業者は、上記優先日前に公開されている技術常識を踏まえつつ、本件特許明細書等の記載を理解するものであるから、当業者は、本件訂正発明9が課題を解決できるものであることを、本件特許明細書等の記載から理解することができる。
(5)小括
以上のとおりであるから、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。

<申立人の主張について>
申立人は、令和3年2月26日提出の意見書において、記載不備に関して概要以下のとおり主張する。
イ.訂正により追加された配向率の特定方法を記載した発明特定事項を参酌しても、本件訂正発明1に係る物品が直方体であることは読み取れない。また、本件訂正発明1では、2つの主要面が平行であること、対向する長手方向の端部が平行であること、横断方向の端部が平行であることは何ら特定されていない。よって、本件は、依然として明確性要件、その他の記載要件を満たしていない。
ロ.無機繊維は直線的ではなく3次元的に曲がりくねっていること等を根拠に、無機繊維の配向率の測定に関する特定が明瞭ではない。よって、本件は、依然として明確性要件、その他の記載要件を満たしていない。
ハ.本件訂正発明9については、本件特許明細書等に記載の例からは、配向率の向上と断熱性の向上とが相関関係を有することは示されていない。むしろ、コンベヤーのスピード調整による繊維の配向率の向上のみではく、圧縮工程、無機繊維の引張速度などの他のパラメータの調整が必要であること明らかである。よって、本件特許明細書等の記載は、実施可能要件を満たしていない。

上記主張について検討する。
イ.について
明確性要件の判断は、請求項に記載された発明特定事項に基づいてなされることが原則である。ただし、発明特定事項の意味内容や技術的意味の解釈に当たっては、請求項の記載のみでなく、明細書及び図面の記載並びに優先日前の技術常識をも考慮するものであるところ、本件特許発明の明細書及び優先日前の技術常識を踏まえれば、本件訂正発明の形状についても、合理的に解釈できることは、上記1.(1)で説示したとおりであるから、上記申立人の主張は採用できない。
ロ.について
繊維の配向を観察するための手法には、光学顕微鏡による観察、X線CT、超音波映像法、赤外線を用いた方法などが本願優先日前に知られているところであり、本件訂正発明1では、「各単一領域内で繊維を視覚的に観察」と特定されて、さらに、本件特許明細書等の段落【0025】には「・・・そして各単一領域内で繊維を視覚的に観察する。・・・この目的に関して、例えばコントラスト解析によって画像処理を行うために、画像処理アプリケーションと組み合わされた画像収集ツールを用いることができる。」と記載されている。これらの記載から、本件訂正発明1では、光学顕微鏡による観察等の視覚的な観察手法が採用されていることが分かるし、そのための測定器による計測結果に対しては、画像処理アプリケーションを用いて、測定対象の性状に応じた合理的な処理を経て、配向率の測定結果が特定されることが、本件優先日前の技術常識であるところ、当業者であれば、本件訂正発明における無機繊維の配向率の測定に関する特定を合理的に解釈できるものであるから、上記申立人の主張は採用できない。
ハ.について
配向率の向上と断熱性の向上の相関関係については、上記3.(2)に説示したとおり、当業者が有する技術常識を踏まえて理解できるところである。また、「物を生産する方法の発明」についての実施可能要件は、「その方法により物を生産できる」ように記載されていることを要するものであるところ、本件の場合、コンベヤーのスピード調整による繊維の配向率の向上のみではく、圧縮工程、無機繊維の引張速度などの他のパラメータの調整が必要であることは明らかではあるが、これらパラメータの調整は、断熱物品の製造において通常求められる事項であり、これらを調整することが、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤、複雑高度な実験等をする必要があるものとはいえないから、申立人の主張は採用できない。

4.理由4、5(新規性進歩性:特許法第29条第1項第3号、同法第29条第2項)
(1)甲第1号証の記載
甲1には、以下の記載がある。

ア.「1. A thermal insulation product comprising fibers of mineral wool, wherein the fibers have a micronaire of less than 10 L/min and product has a thermal conductivity of less than 31 mW/m・K.
2. The thermal insulation product of claim 1, having a density of at least 30 kg/m^(3).
3. The thermal insulation product of claim 1, wherein the fibers are essentially parallel to length dimensions of the product.」
(当審仮訳「1.ミネラルウール繊維を含む断熱製品であって、前記繊維は10L/min未満のマイクロネア値を有し、前記製品が31mW/m・K未満の熱伝導率を有する、断熱製品。
2.少なくとも30kg/m^(3)の密度を有する、請求項1に記載の断熱製品。
3.前記繊維が製品の長手寸法方向に本質的に平行である、請求項1に記載の断熱製品。」)
イ.「【0024】Advantageously, the fibers are essentially, especially in a proportion of at least 75%, approximately parallel to the long dimensions of the product, which is substantially of rectangular parallelepipedal shape. The term approximately parallel is understood to mean a parallelism to within plus or minus 30 with respect to the planes forming the long dimensions of the product.
This parallel arrangement of the fibers thus resists the transmission of heat through the thickness of the product (perpendicular to said planes).」
(当審仮訳:「有利には、繊維は本質的に、特に少なくとも75%の割合で、実質的に直方体形状である製品の長手寸法方向にほぼ平行である。用語「ほぼ平行」は、製品の長手寸法方向を形成する平面に対して±30°以内の平行度合を意味すると理解される。したがって、繊維のこの平行な配置は、(前記平面に垂直な)製品の厚さを通る熱の伝達に抵抗を与える。」
ウ.「【0088】a thermal conductivity of 29.6 mW/m・K, measured at 10℃. according to the ISO 8301 Standard;
【0089】a density of 45 kg/m^(3);」
(当審仮訳「【0088】ISO 8301規格に従って10℃で測定された熱伝導率は、29.6mW/m・K;
【0089】45kg/m^(3)の密度;」)

上記の記載事項を踏まえると、以下の発明(「甲1発明}という。)が記載されている。

「繊維は10L/min未満のマイクロネア値を有し、
熱伝導率が31mW/m・K未満であり、
かつ密度が少なくとも30kg/m^(3)であり、
繊維が本質的に、少なくとも75%の割合で、製品の長手寸法方向にほぼ平行(製品の長手寸法方向を形成する平面に対して±30°以内の平行度)である、
ミネラルウール繊維を含む断熱製品。」

(2)本件訂正発明1について
1)対比
本件訂正発明1と甲1発明を対比すると、甲1発明の「ミネラルウール繊維を含む断熱製品」は、本件訂正発明1の「無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品」に相当する。
また、甲1の【0024】によれば、甲1発明の断熱製品が直方体であるから、本件訂正発明1の「2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部」を備えたものである。
さらに、甲1発明の「繊維が少なくとも75%の割合で、製品の長手寸法に本質的に平行である」ことは、「繊維が長手方向に対して所定の並びである」という限りにおいて、「以下の配向率によって特徴付けられる、ミネラルウール系断熱物品:(i)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、48%以上であり、ここで、前記無機繊維を考慮した配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
(ii)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、40%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率であ」ることと一致する。
よって、本件訂正発明1と甲1発明は、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

<一致点>
「無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品であって、その物品は、2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部とを有し、繊維が長手方向に対して所定の並びである、ミネラルウール系断熱物品。」

<相違点1>
繊維が長手方向に対して所定の並びであることに関して、本件訂正発明1は、「以下の配向率によって特徴付けられる、ミネラルウール系断熱物品:
(i)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、48%以上であり、ここで、前記無機繊維を考慮した配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
(ii)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、40%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率であり、
ここで、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-α)及び平均配向率TO_(m)(0°+/-α)を下記のとおり決定する:
(a)同じサイズであり、かつ物品の厚みと同じ厚みを有する少なくとも6つの六面体の試験体を、セクショニング装置を用いて前記物品から切り出し、ここで、各試験体は、長手方向の面と呼ばれる2つの第1面を含み、この2つの第1面は共に前記物品の前記長手方向の端部に平行であり、かつ前記物品の主要面に垂直であり、かつ各試験体は、横断方向の面と呼ばれる2つの第2面を含み、この2つの第2面は共に前記物品の長手方向の端部に垂直であり、かつ前記物品の主要面に垂直であり、
(b)各試験体の少なくとも一つの前記長手方向の面及び少なくとも一つの前記横断方向の面を交互に観察し、観察される各面を1×1mm^(2)の面積を有する単一領域に分け、各単一領域内で繊維を視覚的に観察し、各単一領域内において、前記物品の主要面に対して、全ての無機繊維の主要な方向によって形成される角度に注目し、かつ前記角度をその単一領域の繊維の主要な配向と見なし、ここで、角度区域0°+/-αによる配向率は、前記主要な配向がこの角度区域の範囲内になる単一領域の割合を意味し、
(c)前記試験体の少なくとも一つの前記長手方向の面及び少なくとも一つの前記横断方向の面のそれぞれに関して、所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、前記長手方向の面の配向率tO^(i)_(L)(0°+/-α)及び前記横断方向の面の配向率tO^(i)_(T)(0°+/-α)を決定し、
(d)全ての試験体からのデータを平均化し、同じ所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、長手断面及び横断断面のそれぞれにおける前記物品の長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-α)及び横断方向の配向率TO_(T)(0°+/-α)を表し、かつ
(e)各所定の角度区域0°+/-αに関して、前記物品における前記長手方向の配向率及び前記横断方向の配向率の平均配向率TO_(m)(0°+/-α)=[TO_(L)(0°+/-α)+TO_(T)(0°+/-α)]/2を計算する。」であるのに対して、甲1発明では、「繊維が本質的に、少なくとも75%の割合で、製品の長手寸法方向にほぼ平行(製品の長手寸法方向を形成する平面に対して±30°以内の平行度)である」点。

2)判断
上記<相違点1>について検討する。
本件訂正発明1の「配向率」と甲1発明の「長手寸法方向にほぼ平行」が、同様の技術的意味を有するものであるとしても、両者の間には、数値的に有意な差が存しており、さらに、本件特許明細書等の段落【0022】の「配向率は、物品中の無機繊維の配向特性であるので、本発明による物品は、長手方向だけでなく、長手方向及び横断方向の2方向の平均において、無機繊維の並外れた水平性を持つ構造を有する。これにより、物品の熱伝導率を低減することを可能とし、そしてその結果、物品の厚みを増加させることなしに、物品の絶縁力を向上させる。」との記載に照らせば、上記相違に起因して、本件訂正発明1が顕著な作用効果を奏するものであることが分かる。よって、上記相違点1は、実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は、甲1発明ではない。
さらに、上記相違点1は、甲1発明に基いて、当業者が適宜なし得る設計事項ともいえない。よって、本件訂正発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件訂正発明2?8について
本件訂正発明2?8は、本件訂正発明1を引用するものであり、本件訂正発明1をさらに限定したものであるから、本件訂正発明1と同様に、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(4)小括
以上のとおり、本件訂正発明1?8は、甲1発明ではないから、特許法第29条第1項第3号の規定によって、本件特許発明1?8に係る特許を取り消すことはできない。また、本件訂正発明1?8は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定によって、本件訂正発明1?8に係る特許を取り消すことはできない。

<申立人の主張について>
申立人は、令和3年2月26日提出の意見書において、新規性進歩性に関して概要以下のとおり主張する。
・物の発明として、本件訂正発明1の事項(i)及び事項(ii)を達成するために必要な発明特定事項が記載されているわけではない。換言すれば、本件訂正発明1は、望ましい繊維の配向率を記載した願望クレームに過ぎない。また、甲1の段落【0024】及び【0093】には、平面に対する平行である繊維の量が多いほど好ましい旨が記載されている。さらに、本件特許訂正明細書を参酌しても、事項(i)及び事項(ii)の臨界的意義は記載されていない。

上記主張について検討する。
新規性進歩性の判断においては、請求項に係る発明を、請求項の記載に基づいて認定するものであり、請求項の記載が明確である場合は、請求項の記載どおりに請求項に係る発明を認定するところ、上記のとおり、本件訂正特許発明1は、明確ではないとはいえないから、新規性進歩性の判断において、上記第4.の訂正後の本件発明のとおり、認定することとなるから、「本件訂正発明1は、望ましい繊維の配向率を記載した願望クレームに過ぎない。」との申立人の主張は採用できない。
また、甲1の段落【0024】に申立人が指摘する記載があることは事実であるが、上記判断のとおり、かかる記載をもってしても上記相違点1を容易に想到し得るものではない。また、数値限定の臨界的意義の検討は、相違点が数値限定のみの場合において考慮されるものであるが、上記相違点1のとおり、本件訂正発明1と甲1発明の相違点は、数値範囲のみではない。よって、申立人の主張は採用できない。

第7.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?16に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ミネラルウール系断熱物品及びその物品の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラルウール系断熱物品、例えばグラスウール系断熱物品、断熱用物品及び場合により遮音用物品の組成に組み込まれるように特に設計されているミネラルウール系断熱物品、例えばグラスウール系断熱物品、特に壁及び/又は屋根のライニング用のミネラルウール系断熱物品、例えばグラスウール系断熱物品に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁物品の市場において、サプライヤーは常に、断熱に関してより一層高い性能を有する物品を提供することを望んでいる。物品の断熱性能は一般に、熱伝導率λの知見によって決定される。物品の熱伝導率λは、熱流が物品を通って流れることを可能とする物品の性能であると思い出され;熱伝導率は、W/m.Kで表記される。この熱伝導率が低ければ低いほど、その物品はより絶縁性が高く、そしてそのため物品はより一層断熱性が高い。
【0003】
現在の市場において、ロックウール又はグラスウールで構成されているミネラルウール系物品は、0.040?0.035W/m.Kの間に位置し、それらいくつかは熱伝導率約0.032W/m.Kでさえある。他に記載がない限り、熱伝導率は、標準規格ISO8301に準拠して10℃で従来通りに測定したものである。
【0004】
建造物の断熱性を向上することが常に望まれている。この向上は、絶縁物品の厚みを増すことによって一般に達成される。しかし、厚みを増すにつれて、物品は重くなり、より取扱が困難となり、そして断熱空間の体積がより小さくなる。
【0005】
そのため、物品の厚みを増加させることなしに向上した断熱特性を示すミネラルウール系断熱物品に関するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的に関して、本発明は、無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品を提供する。この物品は、2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向(longitudinal)の端部及び横断方向(transverse)の端部とを有し、以下の配向率によって特徴付けられる:
-長手断面でのみ無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率は、48%以上又は50%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率は、40%以上又は45%以上である。
【0007】
他の特徴によれば、物品を以下の配向率によってさらに特徴付けられる:
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、長手方向の配向率は、75%以上又は80%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、平均配向率は、70%以上又は72%以上である。
【0008】
他の特徴によれば、物品を以下の配向率によってさらに特徴付けられる:
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、長手方向の配向率は、90%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、平均配向率は、85%以上である。
【0009】
他の特徴によれば、無機繊維のマイクロネア(micronaire)は、8?15L/minの範囲である。
【0010】
他の特徴によれば、物品の熱伝導率は32mW/m.K以下であり、物品の密度は少なくとも15kg/m^(3)、好ましくは15?60kg/m^(3)、特に15?27kg/m^(3)又は18?25kg/m^(3)の範囲である。
【0011】
他の特徴によれば、物品の熱伝導率は29mW/m.K以下であり、物品の密度は少なくとも40kg/m^(3)、好ましくは50kg/m^(3)以上又は55?80kg/m^(3)、特に55?65kg/m^(3)である。
【0012】
本発明はまた、以下の工程を含むミネラルウール系断熱物品の製造方法に関する:
-内部遠心による無機繊維の製造、
-V_(0)のスピードを有する受け取りベルト上への無機繊維の受け入れ、
-第1グループのコンベヤー上の無機繊維の運搬、ここで第1グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(1)は、V_(0)の100%?105%の範囲である、
-第2グループのコンベヤー上の無機繊維の運搬、ここで第2グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(2)は、V_(0)の108%?120%の範囲、好ましくはV_(0)の110%?115%の範囲である。
【0013】
他の特徴によれば、第2グループのコンベヤーは、全て、第1グループのコンベヤーのスピードよりも速いスピードを有する。
【0014】
他の特徴によれば、第1グループのコンベヤーの数は、3つ?10つの範囲であり、好ましくは4つ?8つの範囲、特に5つ?7つの範囲である。
【0015】
他の特徴によれば、第2グループのコンベヤーの数は、2つ?5つの範囲であり、好ましくは2つ又は3つである。
【0016】
他の特徴によれば、第1グループの各コンベヤーのスピードは、先行するコンベヤーと同じ量だけ増加する。
【0017】
他の特徴によれば、第2グループの各コンベヤーのスピードは、先行するコンベヤーと同じ量だけ増加し、又は第2グループの各コンベヤーのスピードは、先行するコンベヤーのスピードよりも比較的早く増加する。
【0018】
他の特徴によれば、少なくとも2つの最後のコンベヤーに関して、少なくとも2つの最後のコンベヤーと少なくとも2つの上部の駆動装置との間を無機繊維が進行する際に、その無機繊維は次第に圧縮される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、「平均」という用語は、「算術平均」を意味する。
【0020】
さらに、本明細書において「の範囲で」によって定義されている全ての値の範囲は、範囲の境界も含む。
【0021】
本発明は、無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品に関する。この物品は、2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部とを有し、以下の配向率によって特徴付けられる:
-長手断面でのみ無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率は、48%以上又は50%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率は、40%以上又は45%以上である。
【0022】
配向率は、物品中の無機繊維の配向特性であるので、本発明による物品は、長手方向だけでなく、長手方向及び横断方向の2方向の平均において、無機繊維の並外れた水平性を持つ構造を有する。これにより、物品の熱伝導率を低減することを可能とし、そしてその結果、物品の厚みを増加させることなしに、物品の絶縁力を向上させる。
【0023】
配向率の決定は、以下の方法で行われる。
【0024】
まず第1に、同じサイズであり、かつ物品の厚みと同じ厚みを有するいくつかの六面体(parallelepipedic)の試験体(とりわけ少なくとも6つ)を、物品においてサンプリングする。セクショニング装置を用いて、例えば切り出し方向において繊維を引きずることなく鋭く切り出し、それにより切り出し前の物品を形成する繊維の形状を乱さないブレードを用いて、物品の切り出しを行う。各試験体は、長手方向の面と呼ばれる2つの第1面を含む。2つの第1面は共に、物品の長手方向の端部に平行であり、物品の主要面に垂直である。そして各試験体は、横断方向の面と呼ばれる2つの第2面を含む。2つの第2面は共に、物品の長手方向の端部に垂直であり、物品の主要面に垂直である。
【0025】
続いて、各試験体の少なくとも1つの長手方向の面及び少なくとも1つの横断方向の面を交互に観察する。観察される各面を、小さな面積(典型的には1×1mm^(2))を有する単一領域に分け、そして各単一領域内で繊維を視覚的に観察する。全ての無機繊維の主要な方向は、単一領域内で決定される。各単一領域内において、物品の主要面に対して、全ての無機繊維の主要な方向によって形成される角度を注目する。この角度は、その単一領域の主要な配向と見なされる。各面は、面の全ての単一領域の主要な配向の分布を含む。角度区域(angular sector)0°+/-αによる配向率は、その主要な配向がこの角度区域の範囲内になる単一領域の割合を意味する。この目的に関して、例えばコントラスト解析によって画像処理を行うために、画像処理アプリケーションと組み合わされた画像収集ツールを用いることができる。
【0026】
試験体の少なくとも1つの長手方向の面及びそれぞれの少なくとも1つの横断方向の面に関して、所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、この面の長手方向の配向率to^(i)_(L)(0°+/-α)、それぞれの横断方向の配向率to^(i)_(T)(0°+/-α)が、決定される。その後、同じ所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、長手断面、それぞれの横断断面における物品の長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-α)、それぞれの横断方向の配向率TO_(T)(0°+/-α)を表すために、全ての試験体からのデータを平均化する。各所定の角度区域(0°+/-α)に関して、物品における横断方向の配向率及び長手方向の配向率の平均TO_(m)(0°+/-α)が計算され、その結果、TO_(m)(0°+/-α)=[TO_(L)(0°+/-α)+TO_(T)(0°+/-α)]/2となる。
【0027】
そのため本発明による物品において、物品の主要面の平面が水平である場合、角度区域が0°+/-6°及び180°+/-6°の範囲内で、長手方向の配向率は、48%以上又は50%以上であり(つまりTO_(L)(0°+/-6°)が48%以上又はTO_(L)(0°+/-6°)が50%以上)、そして同じ角度区域範囲内で、平均配向率は、40%以上又は45%以上である(つまりTO_(m)(0°+/-6°)が40%以上又はTO_(m)(0°+/-6°)が45%以上)。
【0028】
同様に、本発明による物品において、再び物品の主要面の平面が水平である場合、角度区域が0°+/-12°及び180°+/-12°の範囲内で、長手方向の配向率は、好ましくは75%以上又は80%以上であり(つまりTO_(L)(0°+/-12°)が75%以上又はTO_(L)(0°+/-6°)が80%以上)、そして同じ角度区域範囲内で、平均配向率は、好ましくは70%以上又は72%以上である(つまりTO_(m)(0°+/-12°)が70%以上又はTO_(m)(0°+/-12°)が72%以上)。
【0029】
さらに、本発明による物品において、再び物品の主要面の平面が水平である場合、角度区域が0°+/-24°及び180°+/-24°の範囲内で、長手方向の配向率は、好ましくは90%以上であり(つまりTO_(L)(0°+/-24°)が90%以上)、そして同じ角度区域範囲内で、平均配向率は、好ましくは85%以上である(つまりTO_(m)(0°+/-24°)が85%以上)。
【0030】
言い換えれば、物品中の無機繊維の水平性は、以下によって特徴付けられる:
-長手断面でのみ無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、48%以上又は50%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、40%以上又は45%以上である。
【0031】
好ましくは、無機繊維の水平性は以下によっても特徴付けられる:
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、75%以上又は80%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、70%以上又は72%以上である。
【0032】
好ましくは、無機繊維の水平性は以下によっても特徴付けられる:
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、90%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、85%以上である。
【0033】
したがって本発明による物品は、物品の主要面に略水平な多くの無機繊維を有する。それにより、物品は以下に示されるような向上された熱特性を示す。
【0034】
特に、本発明による絶縁物品の熱伝導率は、32mW/m.K以下であり、そして本発明による絶縁物品の密度は、少なくとも15kg/m^(3)、好ましくは60kg/m^(3)以下、特に27kg/m^(3)以下若しくは18?25kg/m^(3)の範囲であり、又は本発明による絶縁物品の熱伝導率は、29mW/m.K以下であり、そして本発明による絶縁物品の密度は、少なくとも40kg/m^(3)、好ましくは50kg/m^(3)以上若しくは55?80kg/m^(3)、特に50?65kg/m^(3)、若しくは55?65kg/m^(3)の範囲である。
【0035】
さらに、本発明による物品中の無機繊維のマイクロネアは、好ましくは8?15L/min、さらに好ましくは8?12L/min、より好ましくは9?11L/min、特に熱伝導率が29mW/m.K以下である物品に関して、本発明による物品中の無機繊維のマイクロネアは、10L/min以上であり、又は熱伝導率が32mW/m.K以下である物品に関して、本発明による物品中の無機繊維のマイクロネアは8?12L/minである。
【0036】
繊維の繊度は、5g未満での繊維のマイクロネア値(F)によってしばしば決定されることが想起される。サイズ処理されていないマットから抽出される多量の繊維が、ガス(一般には酸素又は窒素)の所定の圧力下に置かれる場合、「繊度指数(fineness index)」とも言われるマイクロネアの測定は、空的負荷の損失の測定に基づいて、比表面積を考慮する。この測定は、無機繊維に関する製造単位において通例であり、標準規格DIN53941又はASTMD1448に準拠して行われ、そして「マイクロネア装置」として知られる装置を使用して行われる。
【0037】
しかし、そのような装置は、一定の繊維の繊度に対して測定限界を有する。極めて細い繊維に関しては、国際公開第2003/098209号に記載されている既知の技術を用いて、繊度(「マイクロネア」)をL/minにおいて測定することができる。この特許出願はまさに、繊度指数を測定するための装置を含む繊維の繊度指数を決定する装置に関する。この繊度指数を測定するための装置は、一方では複数の繊維から構成されるサンプルを収容するように設計されている測定セルと接続されている第1開口部を少なくとも1つ有し、そして他方ではそのサンプルの両側にある差圧を測定するための装置と接続されている第2開口部を有する。この差圧を測定するための装置は、流体を発生する装置と接続されるように設計されており、この繊度指数を測定するための装置は、このセルを通過する流体のための容積式流量計を少なくとも1つ含むことを特徴とする。この装置は、「マイクロネア」値と1分あたりのリットル(L/min)との間の対応を与える。
【0038】
例として、国際公開第2003/098209号明細書によれば、繊維サンプルのマイクロネア値と繊維サンプルの平均直径の値との間に対応関係を述べることができる。おおまかに言及すると、約12L/minのマイクロネア値は、2.5?3μmの平均直径に相当し、約13.5L/minのマイクロネア値は、3?3.5μmの平均直径に実質的に相当し、最後に約18L/minのマイクロネア値は、約4?5μmの平均直径に相当する。
【0039】
本発明の例となる実施態様を以下に示す。
【0040】
本発明による絶縁物品の製造方法を説明する。
【0041】
ミネラルウールは、溶融無機材料を出発物質とする内部遠心法によって製造される。内部遠心法の一例を以下に説明する。
【0042】
溶融ガラスのフィレットを、別名繊維形成プレートとして知られる遠心機に導入する。この遠心機は高スピードで回転し、そして外縁上に開けられた極めて多数の開口部を有する。遠心力の効果によって、開口部を通して、ガラスがフィラメントの形態で押し出される。その後これらのフィラメントは、環状バーナーによって高温度かつ高スピードで生成されるガス状の引き出し流の作用を受ける。遠心機の壁に沿って作動することによって、ガス状の引き出し流は、フィラメントを細くして、そしてそれらを繊維に転換する。形成された繊維は、ガス状の引き出し流によって、吸引手段と関連付けられているガス透過性バンドによって通常形成されている受け取りベルトへと運ばれる。繊維同士を結合してウール物品とするのに必要なバインダーは、繊維が受け取りベルトへ引き出される時に、繊維上にスプレーされる。吸引の効果による受け取りベルト上の繊維の蓄積は、繊維のカーペットを与える。この繊維のカーペットの厚みは、得るべき最終物品に応じて様々であってよい。
【0043】
受け取りベルトは、V_(0)のスピードで前へ進む。無機繊維は続いて、バインダーを重合させるために、受け取りベルトとオーブンとの間に配置されたコンベヤーによって、オーブンへと運ばれる。本発明の方法によれば、コンベヤーは2つのグループに分けられる:受け取りベルトの出口にある第1グループと、続いて第1グループとオーブンとの間にある第2グループである。
【0044】
第1グループのコンベヤーは、3つ?10つのコンベヤーを含み、好ましくは4つ?8つのコンベヤー、特に5つ?7つのコンベヤーを含む。第1グループの各コンベヤーのスピードは、受け取りベルトのスピードと同じであってよい。第1グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(1)は、最低でもV_(0)の100%に等しい。変形態様として、コンベヤーに関して十分な張力を確保するために、第1グループの各コンベヤーのスピードを、あるコンベヤーから次のコンベヤーへと徐々に速くすることができる。好ましくは、第1グループの各コンベヤーのスピードは、すぐ前のコンベヤーと同じだけ増加する。したがって、例えば1番目のコンベヤーは、V_(0)の101%のスピードを有し、2番目のコンベヤーは、V_(0)の102%のスピードを有し、3番目のコンベヤーは、V_(0)の103%のスピードを有するなどとなる。この場合、各コンベヤーでの増加はV_(0)の101%である。第1グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(1)は、一方で最大でもV_(0)の105%に等しい。これら2つの境界値の間で、様々な変形形態を想定することができるが、第1グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(1)は、V_(0)の100%?105%の範囲である。
【0045】
第2グループのコンベヤーは、2つ?5つのコンベヤーを含み、好ましくは2つ又は3つのコンベヤーを含む。第2グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(2)は、V_(0)の108%?120%の範囲であり、好ましくはV_(0)の110%?115%の範囲である。第2グループの各コンベヤーのスピードを、あるコンベヤーから次のコンベヤーへと好ましくは速くする。そして好ましくは、第2グループの全てのコンベヤーは、第1グループのコンベヤーのスピードよりも速いスピードを有する。好ましくは、第2グループの各コンベヤーのスピードは、すぐ前のコンベヤーと同じだけ増加するか、又は第2グループの各コンベヤーのスピードはすぐ前のコンベヤーのスピードよりも速く増加する。
【0046】
加えて、少なくとも2つの最後のコンベヤーに関して、無機繊維が、少なくとも2つの最後のコンベヤーと少なくとも2つの上部の駆動装置との間を進行する時に、その無機繊維は次第に圧縮される。その上部の駆動装置は、下部に位置するコンベヤーと同じスピードで無機繊維を運搬する。運搬コンベヤー/上部駆動装置の少なくとも1つの対が、水平面に対して対称であってよい。この漸進的な圧縮を第1グループのコンベヤー内で開始することができる。2つの連続する圧縮の間の圧縮を維持しつつ、圧縮工程とその後の駆動工程を連続させて、漸進的な圧縮を徐々に適用することができる。
【0047】
上部の駆動装置、第1グループのコンベヤー及び第2グループのコンベヤーは、いかなるタイプであってよく、例えばベルトタイプ、バンドタイプ又はローラータイプであってよい。
【0048】
V_(0)の少なくとも108%に等しいスピードを有する第2グループのコンベヤーの存在によって、物品の全ての方向において、より好ましくは物品の長手方向において、比較的水平な繊維を得ることができる。そのため、物品の熱特性を向上することができる。
【0049】
10L/minのマイクロネアを有する無機繊維を製造する内部遠心によって、本発明による物品の2つの例を製造している。
【0050】
第1の例を製造するために、第1グループのコンベヤーは全て、受け取りベルトと同じスピードで進んだ。第2グループのコンベヤーにおいて、上流から下流まで、2つのコンベヤーはそれぞれ、V_(0)の103%のスピード及びV_(0)の110%のスピードで進み、すなわち不均一なスピードで進んだ。得られた物品は、100mmの厚み、20kg/m^(3)の密度及び31.77mW/m.K.の熱伝導率を有する。長手断面でのみ無機繊維が考慮される場合、得られる物品は、物品の主要面の平面に対して±6°の角度に沿って、53%の長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)を有する。横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、得られる物品は、物品の主要面の平面に対して±6°の角度に沿って、46%の平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)を有する。
【0051】
第2の例を製造するために、上流から下流まで、第1グループの5つのコンベヤーはそれぞれ、V_(0)の101%のスピード、V_(0)の102%のスピード、V_(0)の103%のスピード、V_(0)の104%のスピード、及びV_(0)の105%のスピードで進んだ。第2グループのコンベヤーにおいて、上流から下流まで、2つのコンベヤーはそれぞれ、V_(0)の105%のスピード及びV_(0)の110%のスピードで進み、すなわち不均一なスピードで進んだ。得られた物品は、60mmの厚み、55kg/m^(3)の密度及び28.95mW/m.K.の熱伝導率を有する。長手断面でのみ無機繊維が考慮される場合、得られる物品は、物品の主要面の平面に対して±6°の角度に沿って、50%の長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)を有する。横断断面及び長手断面の両方で無機繊維が考慮される場合、得られる物品は、物品の主要面の平面に対して±6°の角度に沿って、45%の平均配向率TOm(0°+/-6°)を有する。
【0052】
本方法によっても、従来の物品に対して実質的な重量増加がある状態で、32mW/m.K.以下の熱伝導率及びとりわけ8?11L/minの範囲のマイクロネアの繊維を有する物品を得ることができる。
【0053】
本発明による方法によって、妥当な厚みに関して、向上した熱伝導率を有する物品の製造をうまく達成している。
《態様1》
無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品であって、その物品は、2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部とを有し、以下の配向率によって特徴付けられる、ミネラルウール系断熱物品:
-長手断面でのみ前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、48%以上又は50%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、40%以上又は45%以上である。
《態様2》
前記物品が、以下の配向率によってさらに特徴付けられる、態様1に記載の断熱物品:
-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、75%以上又は80%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、70%以上又は72%以上である。
《態様3》
前記物品が、以下の配向率によってさらに特徴付けられる、態様1又は2に記載の断熱物品:
-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、90%以上であり、かつ
-横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維が考慮される場合、前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、85%以上である。
《態様4》
前記無機繊維のマイクロネア値が、8?15L/minの範囲である、態様1?3のいずれか一項に記載の断熱物品。
《態様5》
熱伝導率が32mW/m.K以下であり、かつ密度が少なくとも15kg/m^(3)、好ましくは15?60kg/m^(3)、特に15?27kg/m^(3)又は18?25kg/m^(3)の範囲である、態様1?4のいずれか一項に記載の断熱物品。
《態様6》
熱伝導率が29mW/m.K以下であり、かつ密度が少なくとも40kg/m^(3)、好ましくは50kg/m^(3)以上又は55?80kg/m^(3)、特に50?65kg/m^(3)又は55?65kg/m^(3)である、態様1?5のいずれか一項に記載の断熱物品。
《態様7》
以下の工程を含むミネラルウール系断熱物品の製造方法:
-内部遠心による無機繊維の製造、
-V_(0)のスピードを有する受け取りベルト上へのその無機繊維の受け入れ、
-第1グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬、ここで前記第1グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(1)は、V_(0)の100%?105%の範囲である、
-第2グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬、ここで前記第2グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(2)は、V_(0)の108%?120%の範囲、好ましくはV_(0)の110%?115%の範囲である。
《態様8》
前記第2グループのコンベヤーが、全て、前記第1グループのコンベヤーのスピードよりも速いスピードを有する、態様7に記載の方法。
《態様9》
前記第1グループのコンベヤーの数が、3つ?10つの範囲であり、好ましくは4つ?8つの範囲、特に5つ?7つの範囲である、態様7又は8に記載の方法。
《態様10》
前記第2グループのコンベヤーの数が、2つ?5つの範囲であり、好ましくは2つ又は3つである、態様7?9のいずれか一項に記載の方法。
《態様11》
前記第1グループの各コンベヤーのスピードが、先行するコンベヤーと同じ量だけ増加する、態様7?10のいずれか一項に記載の方法。
《態様12》
前記第2グループの各コンベヤーのスピードが、先行するコンベヤーと同じ量だけ増加し、又は前記第2グループの各コンベヤーのスピードが、先行するコンベヤーのスピードよりも比較的早く増加する、態様7?11のいずれか一項に記載の方法。
《態様13》
少なくとも2つの最後の前記コンベヤーに関して、少なくとも2つの最後の前記コンベヤーと少なくとも2つの上部の駆動装置との間を前記無機繊維が進行する際に、前記無機繊維が次第に圧縮される、態様7?12のいずれか一項に記載の方法。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機繊維を含むミネラルウール系断熱物品であって、その物品は、2つの主要面と、それら主要面に対して垂直である長手方向の端部及び横断方向の端部とを有し、以下の配向率によって特徴付けられる、ミネラルウール系断熱物品:
(i)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、48%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
(ii)前記主要面の平面に対して±6°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、40%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率であり、
ここで、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-α)及び平均配向率TO_(m)(0°+/-α)を下記のとおり決定する:
(a)同じサイズであり、かつ物品の厚みと同じ厚みを有する少なくとも6つの六面体の試験体を、セクショニング装置を用いて前記物品から切り出し、ここで、各試験体は、長手方向の面と呼ばれる2つの第1面を含み、この2つの第1面は共に前記物品の前記長手方向の端部に平行であり、かつ前記物品の主要面に垂直であり、かつ各試験体は、横断方向の面と呼ばれる2つの第2面を含み、この2つの第2面は共に前記物品の長手方向の端部に垂直であり、かつ前記物品の主要面に垂直であり、
(b)各試験体の少なくとも一つの前記長手方向の面及び少なくとも一つの前記横断方向の面を交互に観察し、観察される各面を1×1mm^(2)の面積を有する単一領域に分け、各単一領域内で繊維を視覚的に観察し、各単一領域内において、前記物品の主要面に対して、全ての無機繊維の主要な方向によって形成される角度に注目し、かつ前記角度をその単一領域の繊維の主要な配向と見なし、ここで、角度区域0°+/-αによる配向率は、前記主要な配向がこの角度区域の範囲内になる単一領域の割合を意味し、
(c)前記試験体の少なくとも一つの前記長手方向の面及び少なくとも一つの前記横断方向の面のそれぞれに関して、所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、前記長手方向の面の配向率tO^(i)_(L)(-0°+/-α)及び前記横断方向の面の配向率tO^(i)_(T)(0°+/-α)を決定し、
(d)全ての試験体からのデータを平均化し、同じ所定の角度区域0°+/-αの範囲内で、長手断面及び横断断面のそれぞれにおける前記物品の長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-α)及び横断方向の配向率TO_(T)(0°+/-α)を表し、かつ
(e)各所定の角度区域0°+/-αに関して、前記物品における前記長手方向の配向率及び前記横断方向の配向率の平均配向率TO_(m)(0°+/-α)=[TO_(L)(0°+/-α)+TO_(T)(0°+/-α)]/2を計算する。
【請求項2】
前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-6°)は、50%以上であり、かつ前記平均配向率TO_(m)(0°+/-6°)は、45%以上である、請求項1に記載の断熱物品。
【請求項3】
前記物品が、以下の配向率によってさらに特徴付けられる、請求項1又は2に記載の断熱物品:
-前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、75%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-12°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
-前記主要面の平面に対して±12°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、70%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-12°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率である。
【請求項4】
前記物品が、以下の配向率によってさらに特徴付けられる、請求項1?3のいずれか一項に記載の断熱物品:
-前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、90%以上であり、ここで、前記長手方向の配向率TO_(L)(0°+/-24°)は、長手断面でのみ前記無機繊維を考慮した配向率であり、かつ
-前記主要面の平面に対して±24°の角度に沿う、平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、85%以上であり、ここで、前記平均配向率TO_(m)(0°+/-24°)は、横断断面及び長手断面の両方で前記無機繊維を考慮した配向率である。
【請求項5】
前記無機繊維のマイクロネア値が、8?15L/minの範囲である、請求項1?4のいずれか一項に記載の断熱物品。
【請求項6】
熱伝導率が32mW/m.K以下であり、かつ密度が少なくとも15kg/m^(3)である、請求項1?5のいずれか一項に記載の断熱物品。
【請求項7】
熱伝導率が29mW/m.K以下であり、かつ密度が少なくとも40kg/m^(3)である、請求項1?6のいずれか一項に記載の断熱物品。
【請求項8】
密度が55?80kg/m^(3)である、請求項7に記載の断熱物品。
【請求項9】
以下の工程を含むミネラルウール系断熱物品の製造方法:
-内部遠心による無機繊維の製造、
-V_(0)のスピードを有する受け取りベルト上へのその無機繊維の受け入れ、
-前記受け取りベルトの出口にある第1グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬、ここで前記第1グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(1)は、V_(0)の100%超105%以下の範囲である、
-前記第1グループのコンベヤーに続く第2グループのコンベヤー上の前記無機繊維の運搬、ここで前記第2グループのコンベヤーの最後のコンベヤーのスピードV_(2)は、V_(0)の108%?120%の範囲である。
【請求項10】
前記第2グループのコンベヤーの最後のコンベヤーの前記スピードV_(2)は、V_(0)の110%?115%の範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2グループのコンベヤーが、全て、前記第1グループのコンベヤーのスピードよりも速いスピードを有する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1グループのコンベヤーの数が、3つ?10の範囲である、請求項9?11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2グループのコンベヤーの数が、2つ?5つの範囲である、請求項9?12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1グループの2つの連続するコンベヤー間のスピードの差が同じ量である、請求項9?13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2グループの各コンベヤーと、そのすぐ前のコンベヤーとの間のスピードの差が、前記各コンベヤーのすぐ前の2つのコンベヤーのスピードの差と同じ量であるか、又は前記第2グループの各コンベヤーと、そのすぐ前のコンベヤーとの間のスピードの差が、前記各コンベヤーのすぐ前の2つのコンベヤーのスピードの差よりも大きい、請求項9?14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2グループの最後から少なくとも2つのコンベヤーに関して、最後から少なくとも2つの前記コンベヤーと少なくとも2つの上部の駆動装置との間を前記無機繊維が進行する際に、前記無機繊維が次第に圧縮される、請求項9?15のいずれか一項に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-03-30 
出願番号 特願2015-552122(P2015-552122)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (D04H)
P 1 651・ 537- YAA (D04H)
P 1 651・ 121- YAA (D04H)
P 1 651・ 536- YAA (D04H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 相田 元  
特許庁審判長 森藤 淳志
特許庁審判官 横溝 顕範
村山 達也
登録日 2019-07-26 
登録番号 特許第6560124号(P6560124)
権利者 サン-ゴバン イゾベール
発明の名称 ミネラルウール系断熱物品及びその物品の製造方法  
代理人 関根 宣夫  
代理人 蛯谷 厚志  
代理人 出野 知  
代理人 石田 敬  
代理人 蛯谷 厚志  
代理人 関根 宣夫  
代理人 三橋 真二  
代理人 三橋 真二  
代理人 青木 篤  
代理人 古賀 哲次  
代理人 青木 篤  
代理人 出野 知  
代理人 古賀 哲次  
代理人 石田 敬  
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