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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2017701198 審決 特許

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審決分類 審判 全部申し立て 1項2号公然実施  A61K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1374917
異議申立番号 異議2020-700588  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-12 
確定日 2021-04-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6646368号発明「網膜保護組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6646368号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕について訂正することを認める。 特許第6646368号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6646368号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成27年6月25日に出願され、令和2年1月15日にその特許権の設定登録がされ、令和2年2月14日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、令和2年8月12日に特許異議申立人上田精一(以下、「特許異議申立人」という。)により、全請求項、すなわち、請求項1?2に係る特許についての特許異議の申立てがされ、当審は、令和2年10月22日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和2年12月23日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、特許異議申立人は、令和3年2月9日に意見書を提出した。

第2 令和2年12月23日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)について

1 請求の趣旨
本件訂正請求は、特許第6646368号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?2について訂正することを求めることを、請求の趣旨とするものである。

2 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである(なお、下線は訂正箇所を示す。)。

・訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「 ルテインと、ビタミンB1とを有効成分として含有することを特徴とする乳幼児以外を対象とする網膜保護組成物(ただし、以下の(1)?(3)の組成物を除く)。
(1)凍結乾燥したブルーベリーの漿果、ジヒドロケルセチン、ベーターカロチン、セレキセン、ルテイン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、及び亜鉛を含む組成物
(2)ビタミンE、ルテイン及び/又はゼアキサンチン形態のカロテノイド、ビタミンC、ビタミンD、銅、並びに亜鉛を含む組成物
(3)ルテイン、脂肪酸、藻類の抽出物、及びビタミンEを含む組成物」
と記載されているのを、
「 ルテインと、ビタミンB1とを有効成分として含有することを特徴とする乳幼児以外を対象とする網膜保護組成物(ただし、以下の(1)?(9)の組成物を除く)。
(1)凍結乾燥したブルーベリーの漿果、ジヒドロケルセチン、ベーターカロチン、セレキセン、ルテイン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、及び亜鉛を含む組成物
(2)ビタミンE、ルテイン及び/又はゼアキサンチン形態のカロテノイド、ビタミンC、ビタミンD、銅、並びに亜鉛を含む組成物
(3)ルテイン、脂肪酸、藻類の抽出物、及びビタミンEを含む組成物
(4)オリーブ油、ビルベリーエキス末、ビタミンE含有植物油、ゼラチン、ビタミンC、グリセリン、マリーゴールド、イノシトール、ナイアシン、ビタミンP、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、パントテン酸カルシウム、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB1、ビタミンA、葉酸、ビオチン、ビタミンD、及びビタミンB12を含む組成物
(5)べに花油、ゼラチン、オキアミ抽出物、ビルベリーエキス、ルテイン含有マリーゴールド色素、ビタミンC、グリセリン、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、アスタキサンチン含有ヘマトコッカス藻色素、カラメル色素、ナイアシン、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、β-カロテン、ビタミンB2、ビタミンB1、ビタミンB6、及びビタミンB12を含む組成物
(6)麦芽糖、ビルベリーエキス、メグスリノキ、異性化液糖、デキストリン、結晶セルロース、加エデンプン、微粒酸化ケイ素、マリーゴールド、ステアリン酸カルシウム、シェラック、ビタミンB6、ビタミンB1、及びビタミンB12を含む組成物
(7)ブルーベリーエキス末、シソの実油、ゼラチン、グリセリン、カロテノイド、ミツロウ、マリーゴールド、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB2、及びビタミンB12を含む組成物
(8)中鎖脂肪酸油、ブルーベリーエキス末、アサイーエキス末、ゼラチン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、香料、クチナシ、デュナリエラカロテン、マリーゴールド、ビタミンB1、ビタミンB6、トマトリコピン、ビタミンB2及びビタミンB12を含む組成物
(9)ルテイン含有マリーゴールドエキス、EPA含有精製魚油、デュナリエラカロテン、ビタミンE含有植物油、ビルベリーエキス末、カシス抽出物、ゼラチン、グリセリン、サフラワー油、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、ビタミンB1、ビタミンB6、及びビタミンB12を含む組成物」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。

訂正前の請求項2は、訂正前の請求項1を引用するものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1?2〕に対して請求されたものである。

3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正の目的の適否
訂正事項1は、訂正前の請求項1及び2に係る発明の「網膜保護組成物」について、上記「(4)」?「(9)」の「組成物」を除くものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(1)で説示したように、訂正事項1は、訂正前の請求項1及び2に係る発明の「網膜保護組成物」のうち、上記「(4)」?「(9)」の「組成物」を除くものであり、甲1発明?甲6発明との重なりのみを除く、いわゆる「除くクレーム」であって、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(1)で説示したように、訂正事項1は、訂正前の請求項1及び2に係る発明の「網膜保護組成物」のうち、上記「(4)」?「(9)」の「組成物を除く」ものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

4 本件訂正請求についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?2〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明

本件訂正請求により訂正された請求項1及び2に係る発明(以下「本件発明1」及び「本件発明2」といい、まとめて、「本件発明」ということがある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
ルテインと、ビタミンB1とを有効成分として含有することを特徴とする乳幼児以外を対象とする網膜保護組成物(ただし、以下の(1)?(9)の組成物を除く)。
(1)凍結乾燥したブルーベリーの漿果、ジヒドロケルセチン、ベーターカロチン、セレキセン、ルテイン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、及び亜鉛を含む組成物
(2)ビタミンE、ルテイン及び/又はゼアキサンチン形態のカロテノイド、ビタミンC、ビタミンD、銅、並びに亜鉛を含む組成物
(3)ルテイン、脂肪酸、藻類の抽出物、及びビタミンEを含む組成物
(4)オリーブ油、ビルベリーエキス末、ビタミンE含有植物油、ゼラチン、ビタミンC、グリセリン、マリーゴールド、イノシトール、ナイアシン、ビタミンP、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、パントテン酸カルシウム、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB1、ビタミンA、葉酸、ビオチン、ビタミンD、及びビタミンB12を含む組成物
(5)べに花油、ゼラチン、オキアミ抽出物、ビルベリーエキス、ルテイン含有マリーゴールド色素、ビタミンC、グリセリン、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、アスタキサンチン含有ヘマトコッカス藻色素、カラメル色素、ナイアシン、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、β-カロテン、ビタミンB2、ビタミンB1、ビタミンB6、及びビタミンB12を含む組成物
(6)麦芽糖、ビルベリーエキス、メグスリノキ、異性化液糖、デキストリン、結晶セルロース、加エデンプン、微粒酸化ケイ素、マリーゴールド、ステアリン酸カルシウム、シェラック、ビタミンB6、ビタミンB1、及びビタミンB12を含む組成物
(7)ブルーベリーエキス末、シソの実油、ゼラチン、グリセリン、カロテノイド、ミツロウ、マリーゴールド、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB2、及びビタミンB12を含む組成物
(8)中鎖脂肪酸油、ブルーベリーエキス末、アサイーエキス末、ゼラチン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、香料、クチナシ、デュナリエラカロテン、マリーゴールド、ビタミンB1、ビタミンB6、トマトリコピン、ビタミンB2及びビタミンB12を含む組成物
(9)ルテイン含有マリーゴールドエキス、EPA含有精製魚油、デュナリエラカロテン、ビタミンE含有植物油、ビルベリーエキス末、カシス抽出物、ゼラチン、グリセリン、サフラワー油、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、ビタミンB1、ビタミンB6、及びビタミンB12を含む組成物
【請求項2】
網膜保護作用を有する眼機能維持剤であることを特徴とする請求項1記載の網膜保護組成物。」
(当審注:以下、上記「(1)」?「(9)」の組成で示される各組成物を、「(1)の組成物」?「(9)の組成物」という。)

第4 取消理由通知に記載した取消理由について

1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して、当審が令和2年10月22日付けの取消理由通知において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

[理由]本件訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲1発明?甲6発明)であり、本件訂正前の請求項2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲2発明?甲6発明)であって、特許法第29条第1項第2号に該当するから、本件訂正前の請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

2 上記[理由](特許法第29条第1項第2号)についての当審の判断
(1)甲第1号証に基づく理由(請求項1)
ア 甲1発明について
甲第1号証(以下、「甲1」という。):Amazon.co.jp の「ディアナチュラスタイル ブルーベリー×ルテイン+マルチビタミン20粒(20日分)」(ASIN:B00BHR2MS8)の商品についてのウェブページ
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%AB-%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AA%E3%83%BC%C3%97%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3-%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3-20%E7%B2%92-20%E6%97%A5%E5%88%86/dp/B00BHR2MS8/ref=sr_1_1?_mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=ASIN+B00BHR2Ms8&qid= 1595849286&sr=8-1(令和2年7月29日に出力)
(当審注:ASINは、Amazonグループが取り扱う、書籍以外の商品を明確に特定し識別するための10桁の固有番号を示す。)

甲1には、上記商品のパッケージ表示(1及び11頁)、「原材料名」欄及び「【摂取上の注意】」欄(12頁)の記載からみて、
「オリーブ油、ビルベリーエキス末、ビタミンE含有植物油、ゼラチン、V.C、グリセリン、マリーゴールド、イノシトール、ナイアシン、V.P、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、パントテン酸カルシウム、V.B6、V.B2、V.B1、V.A、葉酸、ビオチン、V.D、V.B12を含有し、乳幼児・小児の摂取を避けるよう表示された栄養機能食品」(以下、「甲1発明」という。)が示されているといえる。

そして、甲1には、上記商品について、「Amazon.co.jp での取り扱い開始日:2013/3/4」(4頁)と示されていることから、甲1発明は、本件特許の出願前である2013年3月4日には販売され、使用されていたといえ、公然実施されていたものである。

イ 本件発明1との対比、判断
(ア)本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「マリーゴールド」は、「【栄養成分表示/1日1粒(670mg)当たり】」欄(12頁)の記載からみて、ルテインを含有するものであることから、本件発明1における「ルテイン」を含有するものに相当し、甲1発明における「V.B1」は、本件発明1における「ビタミンB1」に相当し、甲1発明における「乳幼児・小児の摂取を避けるよう表示された」は、本件発明1の「乳幼児以外を対象とする」に相当する。
また、本件発明1の「組成物」は、ルテイン及びビタミンB1以外の成分の含有を排除するものではないから、甲1発明の「栄養機能食品」が、ルテイン及びV.B1以外の成分を含有することは相違点とはならない。

そうすると、両者は、
「ルテインと、ビタミンB1とを含有することを特徴とする乳幼児以外を対象とする組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1a>
本件発明1においては、ルテインと、ビタミンB1とを「有効成分として」含有し、かつ、組成物が「網膜保護組成物」であるのに対し、甲1発明においては、それらの特定がない点。

<相違点1x>
本件発明1の「網膜保護組成物」は、「(1)?(9)の組成物を除く」ものであるのに対し、甲1発明においては、それらの組成物が除かれるという特定がない点。

(イ)事案に鑑み、相違点1xから判断する。
甲1発明は、本件発明1において除かれている「(4)の組成物」に該当するものであるから、相違点1xは実質的な相違点である。

(ウ)したがって、相違点1aについて検討するまでもなく、本件発明1は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲1発明)であるとはいえない。

(2)甲第2号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 甲2発明について
甲第2号証(以下、「甲2」という。):Amazon.co.jpの「ひとみの恵みルテイン【3本セット】ファイン」(ASIN : B00OXMFOVG) の商品についてのウェブページ
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%B3-FINE-JAPAN-%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%BF%E3%81%AE%E6%81%B5%E3%81%BF%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%80%90%EF%BC%93%E6%9C%AC%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%91%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%B3/dp/B00OXMFOVG/ref=sr_1_1?_mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=ASIN+B00OXMFOVG&qid=1595901503&sr=8-l(令和2年7月29日に出力)

甲2には、上記商品のパッケージ表示及び「【原材料】」欄(1頁)の記載からみて、
「べに花油、ゼラチン、オキアミ抽出物、ビルベリーエキス、マリーゴールド色素(ルテイン含有)、ビタミンC、グリセリン、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、ヘマトコッカス藻色素(アスタキサンチン含有)、カラメル色素、ナイアシン、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、β-カロテン、ビタミンB2、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12(原材料の一部に大豆を含む)を含有する栄養機能食品。」(以下、「甲2発明」という。)が示されているといえる。

そして、甲2には、上記商品について、「Amazon.co.jp での取り扱い開始日:2014/10/27」(3頁)と示されていることから、甲2発明は、本件特許の出願前である2014年10月27日には販売され、使用されていたといえ、公然実施されていたものである。

イ 本件発明1との対比、判断
(ア)本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明における「マリーゴールド色素(ルテイン含有)」は、本件発明1における「ルテイン」を含有するものに相当し、甲2発明における「ビタミンB1」は、本件発明1における「ビタミンB1」に相当する。
また、本件発明1の「組成物」は、ルテイン及びビタミンB1以外の成分の含有を排除するものではないから、甲2発明の「栄養機能食品」が、ルテイン及びビタミンB1以外の成分を含有することは相違点とはならない。

そうすると、両者は、
「ルテインと、ビタミンB1とを含有することを特徴とする組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点2a>
本件発明1においては、ルテインと、ビタミンB1とを「有効成分として」含有し、かつ、組成物が「網膜保護組成物」であるのに対し、甲2発明においては、それらの特定がない点。

<相違点2b>
本件発明1は、「乳幼児以外を対象とする」のに対し、甲2発明は、そのような特定がない点。

<相違点2x>
本件発明1の「網膜保護組成物」は、「(1)?(9)の組成物を除く」ものであるのに対し、甲2発明においては、それらの組成物が除かれるという特定がない点。

(イ)事案に鑑み、相違点2xから判断する。
甲2発明は、本件発明1において除かれている「(5)の組成物」に該当するものであるから、相違点2xは実質的な相違点である。

(ウ)したがって、相違点2a及び2bについて検討するまでもなく、本件発明1は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲2発明)であるとはいえない。

ウ 本件発明2との対比、判断
本件発明2は、本件発明1の組成物が、「網膜保護作用を有する眼機能維持剤である」ことをさらに特定したものであり、上記イ(イ)において説示したのと同じく、相違点2xが実質的な相違点である。
したがって、上記のさらなる特定について検討するまでもなく、本件発明2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲2発明)であるとはいえない。

(3)甲第3号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 甲3発明について
甲第3号証(以下、「甲3」という。):Amazon.co.jpの「小林製薬の栄養補助食品 ブルーベリー ルテイン メグスリノ木 約30日分60粒」 (ASIN : B00462PUDK) の商品についてのウェブページ
https://www.amazon.co.jp/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E8%A3%BD%E8%96%AC%E3%81%AE%E6%A0%84%E9%A4%8A%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E9%A3%9F%E5%93%81-%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3-%E3%83%A1%E3%82%BO%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%8E%E6%9C%A8-%E7%B4%8430%E6%97%A5%E5%88%86-60%E7%B2%92/dp/B00462PUDK/ref=sr_1_1?_mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=ASIN+B00462PUDK&qid=1595851256&sr=8-1(令和2年7月29日に出力)

甲3には、上記商品のパッケージ表示及び「原材料名」欄(1、8及び9頁)の記載からみて、
「麦芽糖、ビルベリーエキス、メグスリノキ、異性化液糖、デキストリン/結晶セルロース、加工デンプン、微粒酸化ケイ素、マリーゴールド、ステアリン酸カルシウム、シェラック、ビタミンB6、ビタミンB1、ビタミンB12を含有する栄養補助食品。」(以下、「甲3発明」という。)が示されているといえる。

そして、甲3には、上記商品について、「Amazon.co.jp での取り扱い開始日:2010/10/7」(3頁)と示されていることから、甲3発明は、本件特許の出願前である2010年10月7日には販売され、使用されていたといえ、公然実施されていたものである。

イ 本件発明1との対比、判断
(ア)本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3の商品パッケージには、「信頼への全成分表示」として、「ルテイン含有マリーゴールド」(1及び8頁)と記載されていることからみて、甲3発明における「マリーゴールド」は、ルテインを含有するものであることから、本件発明1における「ルテイン」を含有するものに相当し、甲3発明における「ビタミンB1」は、本件発明1における「ビタミンB1」に相当する。
また、本件発明1の「組成物」は、ルテイン及びビタミンB1以外の成分の含有を排除するものではないから、甲3発明の「栄養補助食品」が、ルテイン及びビタミンB1以外の成分を含有することは相違点とはならない。

そうすると、両者は、
「ルテインと、ビタミンB1とを含有することを特徴とする組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点3a>
本件発明1においては、ルテインと、ビタミンB1とを「有効成分として」含有し、かつ、組成物が「網膜保護組成物」であるのに対し、甲3発明においては、それらの特定がない点。

<相違点3b>
本件発明1は、「乳幼児以外を対象とする」のに対し、甲3発明は、そのような特定がない点。

<相違点3x>
本件発明1の「網膜保護組成物」は、「(1)?(9)の組成物を除く」ものであるのに対し、甲3発明においては、それらの組成物が除かれるという特定がない点。

(イ)事案に鑑み、相違点3xから判断する。
甲3発明は、本件発明1において除かれている「(6)の組成物」に該当するものであるから、相違点3xは実質的な相違点である。

(ウ)したがって、相違点3a及び3bについて検討するまでもなく、本件発明1は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲3発明)であるとはいえない。

ウ 本件発明2との対比、判断
本件発明2は、本件発明1の組成物が、「網膜保護作用を有する眼機能維持剤である」ことをさらに特定したものであり、上記イ(イ)において説示したのと同じく、相違点3xが実質的な相違点である。
したがって、上記のさらなる特定について検討するまでもなく、本件発明2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲3発明)であるとはいえない。

(4)甲第4号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 甲4発明について
甲第4号証(以下、「甲4」という。):Amazon.co.jpの「DHCブルーベリーエキス 徳用90日分」 (ASIN : B0177IZ4XA) の商品についてのウェブページ
https://www.amazon.co.jp/DHC-%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%BC-4501-%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%82%B9-%E5%BE%B3%E7%94%A890%E6%97%A5%E5%88%86/dp/B0177IZ4XA/ref=sr_1_1?_mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=ASIN+B0177IZ4XA&qid=1595851463&sr=8-1(令和2年7月29日に出力)

甲4には、上記商品のパッケージ表示及び「栄養成分表示」欄(1頁)の記載からみて、
「たんぱく質0.25g、脂質0.18g、炭水化物0.16g、ナトリウム0.65mg、ビタミンB1 2mg、ビタミンB2 0.4mg、ビタミンB6 2mg、ビタミンB12 40μg、ブルーベリー(ビルベリー)エキス末を170mg(アントシアニン36%)、シソの実油156mg(α-リノレン酸として85.8mg)、総カロテノイド2mg、ルテイン(フリー体として)0.6mgを含有する健康食品。」(以下、「甲4発明」という。)が示されているといえる。

そして、甲4には、上記商品について、「Amazon.co.jp での取り扱い開始日:2010/11/19」(3頁)と示されていることから、甲4発明は、本件特許の出願前である2010年11月19日には販売され、使用されていたといえ、公然実施されていたものである。

イ 本件発明1との対比、判断
(ア)本件発明1と甲4発明とを対比する。
甲4発明における「ルテイン」、「ビタミンB1」は、それぞれ、本件発明1における「ルテイン」、「ビタミンB1」に相当する。
また、本件発明1の「組成物」は、ルテイン及びビタミンB1以外の成分の含有を排除するものではないから、甲4発明の「健康食品」が、ルテイン及びビタミンB1以外の成分を含有することは相違点とはならない。

そうすると、両者は、
「ルテインと、ビタミンB1とを含有することを特徴とする組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点4a>
本件発明1においては、ルテインと、ビタミンB1とを「有効成分として」含有し、かつ、組成物が「網膜保護組成物」であるのに対し、甲4発明においては、それらの特定がない点。

<相違点4b>
本件発明1は、「乳幼児以外を対象とする」のに対し、甲4発明は、そのような特定がない点

<相違点4x>
本件発明1の「網膜保護組成物」は、「(1)?(9)の組成物を除く」ものであるのに対し、甲4発明においては、それらの組成物が除かれるという特定がない点。

(イ)事案に鑑み、相違点4xから判断する。
令和2年12月23日提出の訂正請求書に添付された乙第1号証(以下、「乙1」という。)は、各ページの最下行に「https://www.amazon.co.jp/DHC-ディー・エイチ・シー-4501-ブルーベリーエキス-徳用90日分/dp/B0177IZ4XA」と記載された、Amazon.co.jpの「DHCブルーベリーエキス 徳用90日分」 (ASIN : B0177IZ4XA) の商品についてのウェブページであり、商品のパッケージ表示及び「栄養成分表示」欄(1及び4頁)に加え、ASIN(3頁)が甲4の商品と一致することから、甲4の商品について記載された情報といえる。
そうすると、甲4発明の「健康食品」は、乙1(4頁の「原材料名」)を参照すると、「ブルーベリー(ビルベリー)エキス末、シソの実油/ゼラチン、グリセリン、カロテノイド、ミツロウ、マリーゴールド、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB12」を含み、本件発明1において除かれている「(7)の組成物」に該当するものといえるから、相違点4xは実質的な相違点である。

(ウ)したがって、相違点4a及び4bについて検討するまでもなく、本件発明1は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲4発明)であるとはいえない。

ウ 本件発明2との対比、判断
本件発明2は、本件発明1の組成物が、「網膜保護作用を有する眼機能維持剤である」ことをさらに特定したものであり、上記イ(イ)において説示したのと同じく、相違点4xが実質的な相違点である。
したがって、上記のさらなる特定について検討するまでもなく、本件発明2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲4発明)であるとはいえない。

(5)甲第5号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 甲5発明について
甲第5号証(以下、「甲5」という。):Amazon.co.jpの「DHC 速攻ブルーベリー30日分」 (ASIN : B00ZR2F5DS) の商品についてのウェブページ
https://www.amazon.co.jp/DHC-%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%BC-32455-%E9%80%9F%E6%94%BB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AA%E3%83%BC-30%E6%97%A5%E5%88%86/dp/B00ZR2F5DS/ref=sr_1_1?_mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=ASIN+B00ZR2F5DS&qid=1595851636&sr=8-1(令和2年7月29日に出力)

甲5には、上記商品のパッケージ表示及び「【栄養成分表示】」欄(1及び13頁)の記載からみて、
「たんぱく質0.21g、脂質0.23g、炭水化物0.22g、食塩相当量0.002g、ビタミンB1 2.0mg、ビタミンB2 0.4mg、ビタミンB6 2.0mg、ビタミンB12 40.0μg、ブルーベリー(ビルベリー)エキス末180mg(アントシアニン36%)、アサイーエキス末10mg、クチナシエキス末6.7mg(クロセチン5mg)、ルテイン(フリー体として)1mg、β-カロテン0.9mg、リコピン0.1mgを含有する健康食品。」(以下、「甲5発明」という。)が示されているといえる。

そして、甲5には、上記商品について、「Amazon.co.jp での取り扱い開始日:2015/6/16」(3頁)と示されていることから、甲5発明は、本件特許の出願前である2015年6月16日には販売され、使用されていたといえ、公然実施されていたものである。

イ 本件発明1との対比、判断
(ア)本件発明1と甲5発明とを対比する。
甲5発明における「ルテイン」、「ビタミンB1」は、それぞれ、本件発明1における「ルテイン」、「ビタミンB1」に相当する。
また、本件発明1の「組成物」は、ルテイン及びビタミンB1以外の成分の含有を排除するものではないから、甲5発明の「健康食品」が、ルテイン及びビタミンB1以外の成分を含有することは相違点とはならない。

そうすると、両者は、
「ルテインと、ビタミンB1とを含有することを特徴とする組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点5a>
本件発明1においては、ルテインと、ビタミンB1とを「有効成分として」含有し、かつ、組成物が「網膜保護組成物」であるのに対し、甲5発明においては、それらの特定がない点。

<相違点5b>
本件発明1は、「乳幼児以外を対象とする」のに対し、甲5発明は、そのような特定がない点

<相違点5x>
本件発明1の「網膜保護組成物」は、「(1)?(9)の組成物を除く」ものであるのに対し、甲5発明においては、それらの組成物が除かれるという特定がない点。

(イ)事案に鑑み、相違点5xから判断する。
甲5発明の「健康食品」は、甲5の商品についての記載(5頁の「原材料名」)を参照すると、「中鎖脂肪酸油(マレーシア製造)、ブルーベリー(ビルベリー)エキス末、アサイーエキス末/ゼラチン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、香料、クチナシ、デュナリエラカロテン、マリーゴールド、ビタミンB1、ビタミンB6、トマトリコピン、ビタミンB2、ビタミンB12」を含み、本件発明1において除かれている「(8)の組成物」に該当するものといえるから、相違点5xは実質的な相違点である。

(ウ)したがって、相違点5a及び5bについて検討するまでもなく、本件発明1は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲5発明)であるとはいえない。

ウ 本件発明2との対比、判断
本件発明2は、本件発明1の組成物が、「網膜保護作用を有する眼機能維持剤である」ことをさらに特定したものであり、上記イ(イ)において説示したのと同じく、相違点5xが実質的な相違点である。
したがって、上記のさらなる特定について検討するまでもなく、本件発明2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲5発明)であるとはいえない。

(6)甲第6号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 甲6発明について
甲第6号証(以下、「甲6」という。):Amazon.co.jpの「マルマン ルテイン30 350mg×60粒」 (ASIN : B0042HO62U) の商品についてのウェブページ
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3-%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B330-350%E3%8E%8E%C3%9760%E7%B2%92/dp/B0042HO62U/ref=sr_l_l?_mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=l&keywords=ASIN+B0042HO62U&qid=15 95851834&sr=8-1(令和2年7月29日に出力)

甲6には、上記商品のパッケージ表示、「原材料」欄及び「商品紹介」欄(1及び3頁)の記載からみて、
「ルテイン含有マリーゴールドエキス、EPA含有精製魚油、デュナリエラカロテン、ビタミンE含有植物油、ビルベリーエキス末、カシス抽出物、ゼラチン、グリセリン、サフラワー油、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、(原材料の一部に大豆を含む)を含有し、乳幼児及び小児の摂取を控えるよう表示された栄養補助食品。」(以下、「甲6発明」という。)が示されているといえる。

そして、甲6には、上記商品について、「Amazon.co.jp での取り扱い開始日:2010/9/11」(3頁)と示されていることから、甲6発明は、本件特許の出願前である2010年9月11日には販売され、使用されていたといえ、公然実施されていたものである。

イ 本件発明1との対比、判断
(ア)本件発明1と甲6発明とを対比する。
甲6発明における「ルテイン含有マリーゴールドエキス」は、本件発明1における「ルテイン」を含有するものに相当し、甲6発明における「ビタミンB1」は、本件発明1における「ビタミンB1」に相当し、甲1発明における「乳幼児及び小児の摂取を控えるよう表示された」は、本件発明1の「乳幼児以外を対象とする」に相当する。

そうすると、両者は、
「ルテインと、ビタミンB1とを含有することを特徴とする乳幼児以外を対象とする組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点6a>
本件発明1においては、ルテインと、ビタミンB1とを「有効成分として」含有し、かつ、組成物が「網膜保護組成物」であるのに対し、甲6発明においては、それらの特定がない点。

<相違点6x>
本件発明1の「網膜保護組成物」は、「(1)?(9)の組成物を除く」ものであるのに対し、甲6発明においては、それらの組成物が除かれるという特定がない点。

(イ)事案に鑑み、相違点6xから判断する。
甲6発明は、本件発明1において除かれている「(9)の組成物」に該当するものであるから、相違点6xは実質的な相違点である。

(ウ)したがって、相違点6aについて検討するまでもなく、本件発明1は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲6発明)であるとはいえない。

ウ 本件発明2との対比、判断
本件発明2は、本件発明1の組成物が、「網膜保護作用を有する眼機能維持剤である」ことをさらに特定したものであり、上記イ(イ)において説示したのと同じく、相違点6xが実質的な相違点である。
したがって、上記のさらなる特定について検討するまでもなく、本件発明2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲6発明)であるとはいえない。

(7)上記[理由](特許法第29条第1項第2号)についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲1発明?甲6発明)であるとはいえないから、上記[理由]は解消されたといえる。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について

1 特許異議申立書における申立ての理由
特許異議申立人が、特許異議申立書でした申立ての理由の概要及び証拠方法は、以下に示すとおりである。

・申立ての理由(1) 特許法第29条第1項第2号(請求項1、2) について
請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲1発明?甲6発明)であり、請求項2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲2発明?甲6発明)であって、特許法第29条第1項第2号に該当するから、請求項1及び2に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2項に該当し、取り消されるべきものである。

なお、特許異議申立書10頁及び50頁には、甲第7号証又は甲第8号証に基づく申立ての理由(1)も記載されているが、同書の「(4)具体的理由」を含む全体からみて、甲第7号証又は甲第8号証に基づく申立ての理由(1)は、実質的に何ら主張されていないから、申立ての理由であるとしていない。

・申立ての理由(2) 特許法第29条第1項第3号(請求項1、2) について
請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第7号証又は甲第8号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1及び2に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2項に該当し、取り消されるべきものである。

なお、特許異議申立書10頁及び50頁には、甲第1号証?甲第6号証に基づく申立ての理由(2)も記載されているが、同書の「(4)具体的理由」を含む全体からみて、甲第1号証?甲第6号証に基づく申立ての理由(2)は、実質的に何ら主張されていないから、申立ての理由であるとしていない。

・申立ての理由(3) 特許法第29条第2項(請求項1、2) について
請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲1発明?甲6発明)又は本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第7号証?甲第8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(甲2発明?甲6発明)又は本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第7号証?甲第8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2項に該当し、取り消されるべきものである。

なお、特許異議申立書51頁には、「刊行物等である甲第1号証?甲第8号証に記載された発明に基づいて」とあるが、上記理由(1)及び(2)にて説示したように、同書の「(4)具体的理由」を含む全体からみて、甲第1号証?甲第6号証についての申立ての理由(3)は、「刊行物等である」甲第1号証?甲第6号証に記載された発明に基づくものではなく、公然実施をされた発明(甲1発明?甲6発明)に基づくものであると解される。

・申立ての理由(4) 特許法第36条第6項第1号(請求項1、2) について
請求項1及び2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第113条第4号の規定により、取り消されるべきものである。

・申立ての理由(5) 特許法第36条第6項第2号(請求項1、2) について
請求項1及び2に係る発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第113条第4号の規定により、取り消されるべきものである。

・証拠方法
甲第1号証(甲1):上記第4の2(1)アで示したものと同じである。
甲第2号証(甲2):上記第4の2(2)アで示したものと同じである。
甲第3号証(甲3):上記第4の2(3)アで示したものと同じである。
甲第4号証(甲4):上記第4の2(4)アで示したものと同じである。
甲第5号証(甲5):上記第4の2(5)アで示したものと同じである。
甲第6号証(甲6):上記第4の2(6)アで示したものと同じである。
甲第7号証(以下、「甲7」という。):特表2014-524914号公報
甲第8号証(以下、「甲8」という。):特表2009-523127号公報
甲第9号証(以下、「甲9」という。):オリザ油化株式会社のルテインカタログver.7.3SJ、オリザ油化株式会社、平成23年9月16日(改訂日)

上記申立ての理由(1)?(5)のうち、理由(1)については、上記第4の取消理由通知において採用した[理由]と同旨であるから、取消理由通知において採用しなかった理由(2)?(5)について、以下検討する。

2 申立ての理由(2)(特許法第29条第1項第3号(請求項1、2))についての当審の判断
(1)甲第7号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 甲7発明について
甲7には、以下の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。)。

(摘記7a)
「【請求項1】
ヒト対象の視覚パフォーマンスを改善するための経口消費用の栄養補助食品又は食品添加物として使用するための、MZ(当審注:メソ-ゼアキサンチン)を含有する組成物。
【請求項2】
更にルテイン又はゼアキサンチンを含有する、請求項1に記載の組成物。・・・
【請求項7】
更に1種又は複数種のビタミン及び/又はミネラルを含有する、請求項1?6のいずれか一項に記載の組成物。」

(摘記7b)
「【0002】
黄斑として既知の中心網膜は、色及び微細な視覚の役割を担っている。2種の食物カロテノイド、ルテイン(L)及びゼアキサンチン(Z)、並びに一般に非食物カロテノイド、メソ-ゼアキサンチン(MZ)から構成される色素は、黄斑に蓄積し、この蓄積された色素は黄斑色素(MP)として既知である。MPは、青色光フィルター及び強力な抗酸化剤であり、従って現在西洋諸国で視力障害登録(blind registration)の最も一般的な原因である加齢黄斑変性(AMD)から保護すると考えられている。様々な科学者達が、黄斑色素が視覚パフォーマンス(VP)を向上させ得ることを提唱しているが、そのような仮説を支持する、説得力のある実験的証拠のいずれも存在しないように思われる。」
「【0006】
本発明者は、ルテイン単独を含む栄養補助食品の消費が、網膜の中心部分内に異常に低い濃度のMPを有する対象のMP上に殆ど効果を有しないことを見出した。対照的に、MZ単独を含む栄養補助食品の消費は、網膜の中心部分内のMPレベルを実質的に正常に戻すことができるが、中心部分の外部のMPレベル上に殆ど効果を有しない。比較的大量のMZを含み、またZ及びLも含む栄養補助剤の組み合わせ消費により、網膜の中心領域内のMPレベルが正常化するだけでなく、網膜の中心領域の外部のMPレベルも増大され得る。」
「【0014】
・・正常なヒト成人対象に消費されるべき・・一日用量は・・」
「【0022】
・・「視覚パフォーマンス」の改善とは、対象において以下のうちの1つ又は複数の検出可能な改善・・:コントラストの感度;視力・・;グレア障害;不快グレア;眼の迷光;光ストレス回復;及びS錐体感度。・・」

(摘記7c)
「【0169】
実施例6;
一実施形態において、本発明の組成物は、MZ、L、及び任意選択でZで強化されたミネラル及びビタミン含有栄養補助食品の形態をとる。この栄養補助剤は、以下の活性成分の組成物と共に錠剤として処方される:-
MZ 5mg
L 5mg
Z 1mg
ビタミンA 800マイクログラム
チアミン 1.1mg
リボフラビン 1.4mg
ビタミンB6 2.0mg
ビタミンB12 2.5マイクログラム
葉酸 400マイクログラム
ナイアシン 20mg
パントテン酸 6mg
ビオチン 50マイクログラム
ビタミンC 80mg
ビタミンD 20マイクログラム
ビタミンE 12mg
カルシウム 120mg
マグネシウム 60mg
鉄 14mg
亜鉛 10mg
銅 1mg
ヨウ素 150マイクログラム
マンガン 3mg
クロム 40マイクログラム
セレン 55マイクログラム
モリブデン 50マイクログラム・・・」

そうすると、甲7には、実施例6(摘記7c)に記載されるように、
「以下の活性成分
MZ(メソ-ゼアキサンチン) 5mg
L(ルテイン) 5mg
Z(ゼアキサンチン) 1mg
ビタミンA 800マイクログラム
チアミン 1.1mg
リボフラビン 1.4mg
ビタミンB6 2.0mg
ビタミンB12 2.5マイクログラム
葉酸 400マイクログラム
ナイアシン 20mg
パントテン酸 6mg
ビオチン 50マイクログラム
ビタミンC 80mg
ビタミンD 20マイクログラム
ビタミンE 12mg
カルシウム 120mg
マグネシウム 60mg
鉄 14mg
亜鉛 10mg
銅 1mg
ヨウ素 150マイクログラム
マンガン 3mg
クロム 40マイクログラム
セレン 55マイクログラム
モリブデン 50マイクログラム
を含有するミネラル及びビタミン含有栄養補助食品の形態の組成物」の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されているといえる。

イ 本件発明1との対比、判断
(ア)本件発明1と甲7発明とを対比する。
甲7発明における「L(ルテイン)」、「チアミン」は、それぞれ本件発明1における「ルテイン」、「ビタミンB1」に相当する。

そうすると、両者は、
「ルテインと、ビタミンB1とを含有する組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点7a>
本件発明1においては、ルテインと、ビタミンB1とを「有効成分として」含有し、かつ、組成物が「網膜保護組成物」であるのに対し、甲7発明においては、それらの特定がない点。

<相違点7b>
本件発明1は、「乳幼児以外を対象とする」のに対し、甲7発明は、そのような特定がない点

<相違点7x>
本件発明1の「網膜保護組成物」は、「(1)?(9)の組成物」を除くものであるのに対し、甲7発明においては、それらの組成物が除かれるという特定がない点。

(イ)事案に鑑み、相違点7xから判断する。
甲7発明は、ビタミンE、ルテイン、ゼアキサンチン、ビタミンC、ビタミンD、銅及び亜鉛を含む組成物であり、本件発明1において除かれている「(2)の組成物」に該当するものであるから、相違点7xは実質的な相違点である。

(ウ)したがって、相違点7a及び7bについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲7発明であるとはいえない。

ウ 本件発明2との対比、判断
本件発明2は、本件発明1の組成物が、「網膜保護作用を有する眼機能維持剤である」ことをさらに特定したものであり、上記イ(イ)において説示したのと同じく、相違点7xが実質的な相違点である。
したがって、上記のさらなる特定について検討するまでもなく、本件発明2は、甲7発明であるとはいえない。

エ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書の22?23頁において、発明の名称、請求項1及び7、段落[0002]並びに実施例6の記載から、以下の「甲7製品」を認定し、同書の37?39頁において、本件特許発明1と対比して、本件特許発明1と甲第7号証に記載の発明との間に実質的な相違点はない旨の主張をしている。

・「甲7製品」
「ルテイン(Lと表記)と、ビタミンB1(チアミンと同義)と、メソーゼアキサンチン(MZと表記)とを有効成分として含有することを特徴とし、ヒト対象の視覚パフォーマンス及び/又は黄斑色素形状を改善するための経口消費用の栄養補助食品又は食品添加物として使用するための組成物。」

しかし、甲7の特許請求の範囲(摘記7a)には、ビタミンB1を含有する組成物については記載されておらず、また、甲7には、MZを含有する組成物が、必須ビタミン及びミネラルを含む製剤又はビタミン及びミネラルで強化された食品に添加されてもよい(段落【0019】)旨が記載されているものの、数あるビタミンの中で、特にビタミンB1に着目するような記載はなく、実施例6に記載の組成物以外にビタミンB1についての記載がないから、実施例6の記載に基づいて、ビタミンB1を含む特定の3成分のみを有効成分として抽出し、他の成分は任意成分とする「甲7製品」を、甲7に記載された発明として認定することはできない。
そして、本件発明1と甲7発明との間に実質的な相違点がある点については、上記イにおいて説示したとおりであるから、特許異議申立人の上記主張は採用することはできない。

(2)甲第8号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 甲8発明について
甲8には、以下の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。)。

(摘記8a)
「【請求項1】
ダイエタリーサプリメントであって、約0.03重量%?0.3重量%の銅、約0.2重量%?4重量%の亜鉛、ならびにビタミンC、ビタミンE、ならびにビタミンA、ルテインおよび/またはゼアキサンチンの形態の活性カロテノイドを含み、・・・そしてビタミンA、ルテインおよび/またはゼアキサンチンの形態の活性カロテノイドが約0重量%?30重量%であり、さらにビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、葉酸塩、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸、リン、ヨウ素、マグネシウム、セレン、マンガン、クロム、モリブデン、カリウム、リコピン、ドコサヘキサエン酸(DHA)、およびローズマリーからなる群から選択される少なくとも2種以上の化合物を含む、ダイエタリーサプリメント。
・・・
【請求項3】
以下:
【表1】(当審注:表は省略)
を含み、1日あたり4つのサプリメントを摂取して1日の投与量が提供される、請求項1に記載のダイエタリーサプリメント。」

(摘記8b)
「【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、一般的に眼疾患を改善するための栄養学的方法および組成物に関し、より具体的には白内障および黄斑変性を治療するための改良された方法および組成物に関する。」
「【0013】
キサントフィルは、効果的な光化学的抗酸化剤であり、網膜の黄斑に局在することが知られている。特定のキサントフィルであるゼアキサンチン、およびその異性体であるルテインは、黄斑の健康および水晶体の透明性の維持または改善に有益であることが示唆されている。これらの分子は、高強度の光やその他の損傷から眼を保護する作用をいくつかの方法で有すると考えられる。網膜中心窩のタンパク質はキサントフィルに結合し、キサントフィルを網膜中心窩内に局限し、濃縮することが示唆されている(・・・)。キサントフィルは、光刺激性の短波長可視光線を吸収する能力を有しているため、網膜神経とRPEに内在する光感受性細胞を保護することもできる。このような細胞は、高精細な映像に対する視覚を担っており、高強度の光への露光、または可視光線であっても長期間の暴露によって悪影響を受けることが、免疫学的研究で示されている。カロテノイドは、これらの細胞の活性を補完するだけでなく、光化学的損傷から保護すると考えられている。・・・」

(摘記8c)
「【0016】
高齢者または高齢患者の健康維持に重要なもう1つの要素としては、ビタミンおよびミネラルの確実な適量摂取がある。多くの高齢者および高齢患者は、生物学的吸収能が損なわれているため、食事だけではビタミンとミネラルの推奨量を摂取することができない。さらにまた、高齢患者は処方箋薬を数種類服用していることも多い。すべての処方箋薬を毎日適切な時間に必ず服用することは、高齢患者にとって負担となる場合もある。そのため、眼の健康のためにマルチビタミンや別のダイエタリーサプリメントの摂取を加えれば、日々の服薬違反を招く機会を増やすことになる。したがって、高齢者および高齢患者に必要とされているものは、ビタミンとミネラルの1日の推奨量を供給すると同時に、その他のビタミン、ミネラルおよび必須栄養素を眼の健康維持に推奨されるレベルで補強する、単一のダイエタリーサプリメントである。」
「【0018】
本発明は、眼と全身の両方の健康を維持および増進するのに有用となる改良された配合物を対象とする。具体的に、改良された配合物は、AMD(注:加齢黄斑変性)の進行を遅延させることがAge-Related Eye Disease Study(AREDS)で証明された、特定の組み合わせおよび量のビタミンおよびミネラルとともに、患者の全身の健康を維持するためのマルチビタミン、ミネラルおよび必須栄養素を含む。このような改良された配合物は、ルテインおよびゼアキサンチンを、網膜中に認められる比率で追加的に供給することができる。好ましい配合物は、1種以上のビオフラボノイドおよび他の植物栄養素を含み、光酸化ストレスによって生成される有害な代謝物から眼の組織を保護する抗酸化作用または信号伝達および制御機能を提供することができる。」
「【0036】
黄斑中のキサントフィルのレベルが高いほど網膜を酸化ストレスから保護できることが、免疫学的および予測臨床試験の両方で示唆されている。データの中には、中高年において不足の度合いが大きくなることを裏付けているものもある。・・・」
「【0038】
本発明は、患者または消費者の眼と全身両方の健康を維持するための改良されたダイエタリーサプリメント配合物を対象とする。本明細書で使用される「ダイエタリーサプリメント」またはその短縮形である「サプリメント」とは、栄養素を含み、宿主、例えばヒトまたはその他の哺乳動物による摂取に適した剤型のあらゆる最終的なダイエタリーサプリメントを指す。・・・」

(摘記8d)
「【0042】
全身の健康のためのその他のビタミン/ミネラル
ビタミン類:
ビタミンDは、カルシウムのホメオスタシスの主要な調節因子であり、正常な骨、筋肉および神経の発達と機能に必要不可欠である。・・・」
「【0044】
チアミン(ビタミンB_(1))は、エネルギーの産生および細胞代謝の維持のために炭水化物と脂肪を利用する上で不可欠である。チアミンは神経筋の発達および維持において重要である。ビタミンB_(1)は、脳などの神経組織中で抗酸化作用を発揮することが示されている。・・・」

(摘記8e)
実施例1?7、11には、ダイエタリーサプリメントの例として、【表12】?【表18】、【表22】(当審注:表は省略)に示される成分を含む錠剤、カプセル剤、ソフトゲル等が記載されている。

そうすると、甲8には、実施例1(【表12】。摘記8e)として、


を含むダイエタリーサプリメント。」の発明(以下「甲8発明」という。)が記載されているといえる。

イ 本件発明1との対比、判断
(ア)本件発明1と甲8発明とを対比する。
甲8発明における「ルテイン」、「ビタミンB1(チアミン)」、「ダイエタリーサプリメント」は、それぞれ本件発明1における「ルテイン」、「ビタミンB1」、「組成物」に相当する。

そうすると、両者は、
「ルテインと、ビタミンB1とを含有する組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点8a>
本件発明1においては、ルテインと、ビタミンB1とを「有効成分として」含有し、かつ、組成物が「網膜保護組成物」であるのに対し、甲8発明においては、それらの特定がない点。

<相違点8b>
本件発明1は、「乳幼児以外を対象とする」のに対し、甲8発明は、そのような特定がない点

<相違点8x>
本件発明1の「網膜保護組成物」は、「(1)?(9)の組成物を除く」を除くものであるのに対し、甲8発明においては、それらの組成物が除かれるという特定がない点。

(イ)事案に鑑み、相違点8xから判断する。
甲8発明は、ビタミンE、ルテイン、ゼアキサンチン、ビタミンC、ビタミンD、銅及び亜鉛を含む組成物であるから、本件発明1において除かれている「(2)の組成物」に該当するものであるから、相違点8xは実質的な相違点である。

(ウ)したがって、相違点8aについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲8発明であるとはいえない。

また、甲8には、実施例2?7、11(【表13】?【表18】、【表22】。摘記8e)にも、ルテイン及びビタミンB1等を含むダイエタリーサプリメントが開示されているから、これらの実施例から甲8に記載された発明を認定した場合についても検討すると、甲8発明と同様に、本件発明1において除かれている「(2)の組成物」に該当し、実質的な相違点を有するものである。
したがって、甲8の実施例2?7、11に基づいて、甲8に記載された発明を認定したとしても、本件発明1が、甲8に記載された発明であるとはいえない。

ウ 本件発明2との対比、判断
本件発明2は、本件発明1の組成物が、「網膜保護作用を有する眼機能維持剤である」ことをさらに特定したものであり、上記イ(イ)において説示したのと同じく、相違点8xが実質的な相違点である。
したがって、上記のさらなる特定について検討するまでもなく、本件発明2は、甲8発明であるとはいえない。

エ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書の24?26頁において、発明の名称、請求項1、段落[0018]、[0038]及び[0044]の記載から、以下の「甲8製品」を認定し、同書の39?41頁において、本件特許発明1と対比して、本件特許発明1と甲第8号証に記載の発明との間に実質的な相違点はないと主張している。

・「甲8製品」
「ルテインと、ビタミンB1と、銅、亜鉛、ビタミンC、ビタミンEとを有効成分として含有することを特徴とし、少なくともヒトを対象とし、黄斑変性の進行を阻害して健康な視力を増進するためのサプリメントとしての組成物であって、網膜を酸化ストレスから保護できる組成物。」

しかし、甲8において、ビタミンB1は、「全身の健康のためのその他のビタミン/ミネラル」(摘記8d)のうちの一種として例示され、請求項1(摘記8a)に、「さらにビタミンK、ビタミンB1、・・・およびローズマリーからなる群から選択される少なくとも2種以上の化合物を含む」と記載されるように、機能及び物性の異なる化合物群の選択肢の1つとして例示されているに過ぎないものである。そうすると、甲8の実施例1?7、11の記載から、ビタミンB1を含む特定の6成分のみを有効成分として抽出し、他の成分は任意成分とする「甲8製品」を、甲8に記載された発明として認定することはできない。
そして、本件発明1と甲8発明との間に実質的な相違点がある点については、上記イにおいて説示したとおりであるから、特許異議申立人の上記主張は採用することはできない。

(3)申立ての理由(2)についてのまとめ
上記(1)及び(2)のとおり、特許異議申立人の申立ての理由(2)に示される特許法第29条第1項第3号に規定する要件を満たしていないという取消理由は存在しない。

3 申立ての理由(3)(特許法第29条第2項(請求項1、2))についての当審の判断
(1)甲第1号証に基づく理由(請求項1)
ア 本件発明1と甲1発明との対比、判断
上記第4の2(1)イにおいて説示したとおり、本件発明1と甲1発明とは、少なくとも相違点1xにおいて実質的に相違する。
そこで、相違点1xについて検討すると、本件発明1は、甲1発明との重なりを除外するために、甲1発明に該当する「(4)の組成物」を除外したものであるところ、商品として確立している甲1発明の成分組成をあえて変更し、「(4)の組成物」を除外したものである本件発明1の成分組成に至る動機付けを見出すことはできない。
したがって、甲1発明において、相違点1xの特定事項を備える本件発明1とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、本件訂正明細書等の実施例1(表4、図5の左上図)を参酌すると、本件発明1は、ルテインとビタミンB1とを併用した際に、ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE-19)の酸化ストレスによるTGFβ1の発現量が相乗的に低下し、網膜保護の相乗効果が得られたことが示されているところ、そのような効果を甲1発明に基づいて、当業者が予測し得るともいえない。

イ よって、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲第2号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 本件発明1又は2と甲2発明との対比、判断
上記第4の2(2)イ及びウにおいて説示したとおり、本件発明1又は2と甲2発明とは、少なくとも相違点2xにおいて実質的に相違する。
そこで、相違点2xについて検討すると、本件発明1又は2は、甲2発明との重なりを除外するために、甲2発明に該当する「(5)の組成物」を除外したものであるところ、商品として確立している甲2発明の成分組成をあえて変更し、「(5)の組成物」を除外したものである本件発明1又は2の成分組成に至る動機付けを見出すことはできない。
したがって、甲2発明において、相違点2xの特定事項を備える本件発明1又は2とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、上記(1)アにおいて説示したのと同様に、本件発明1又は2によって奏される効果を、甲2発明に基づいて、当業者が予測し得るともいえない。

イ よって、本件発明1及び2は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)甲第3号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 本件発明1又は2と甲3発明との対比、判断
上記第4の2(3)イ及びウにおいて説示したとおり、本件発明1又は2と甲3発明とは、少なくとも相違点3xにおいて実質的に相違する。
そこで、相違点3xについて検討すると、本件発明1又は2は、甲3発明との重なりを除外するために、甲3発明に該当する「(6)の組成物」を除外したものであるところ、商品として確立している甲3発明の成分組成をあえて変更し、「(6)の組成物」を除外したものである本件発明1又は2の成分組成に至る動機付けを見出すことはできない。
したがって、甲3発明において、相違点3xの特定事項を備える本件発明1又は2とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、上記(1)アにおいて説示したのと同様に、本件発明1及び2によって奏される効果を、甲3発明に基づいて当業者が予測し得るともいえない。

イ よって、本件発明1及び2は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)甲第4号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 本件発明1又は2と甲4発明との対比、判断
上記第4の2(4)イ及びウにおいて説示したとおり、本件発明1又は2と甲4発明とは、少なくとも相違点4xにおいて実質的に相違する。
そこで、相違点4xについて検討すると、本件発明1又は2は、甲4発明との重なりを除外するために、甲4発明に該当する「(7)の組成物」を除外したものであるところ、商品として確立している甲4発明の成分組成をあえて変更し、「(7)の組成物」を除外したものである本件発明1又は2の成分組成に至る動機付けを見出すことはできない。
したがって、甲4発明において、相違点4xの特定事項を備える本件発明1又は2とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、上記(1)アにおいて説示したのと同様に、本件発明1及び2によって奏される効果を、甲4発明に基づいて当業者が予測し得るともいえない。

イ よって、本件発明1及び2は、甲4発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)甲第5号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 本件発明1又は2と甲5発明との対比、判断
上記第4の2(5)イ及びウにおいて説示したとおり、本件発明1又は2と甲5発明とは、少なくとも相違点5xにおいて実質的に相違する。
そこで、相違点5xについて検討すると、本件発明1又は2は、甲5発明との重なりを除外するために、甲5発明に該当する「(8)の組成物」を除外したものであるところ、商品として確立している甲5発明の成分組成をあえて変更し、「(8)の組成物」を除外したものである本件発明1又は2の成分組成に至る動機付けを見出すことはできない。
したがって、甲5発明において、相違点5xの特定事項を備える本件発明1又は2とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、上記(1)アにおいて説示したのと同様に、本件発明1及び2によって奏される効果を、甲5発明に基づいて当業者が予測し得るともいえない。

イ よって、本件発明1及び2は、甲5発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(6)甲第6号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 本件発明1又は2と甲6発明との対比、判断
上記第4の2(6)イ及びウにおいて説示したとおり、本件発明1又は2と甲6発明とは、少なくとも相違点6xにおいて実質的に相違する。
そこで、相違点6xについて検討すると、本件発明1又は2は、甲6発明との重なりを除外するために、甲6発明に該当する「(9)の組成物」を除外したものであるところ、商品として確立している甲6発明の成分組成をあえて変更し、「(9)の組成物」を除外したものである本件発明1又は2の成分組成に至る動機付けを見出すことはできない。
したがって、甲6発明において、相違点6xの特定事項を備える本件発明1又は2とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、上記(1)アにおいて説示したのと同様に、本件発明1及び2によって奏される効果を、甲6発明に基づいて当業者が予測し得るともいえない。

イ よって、本件発明1及び2は、甲6発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(7)甲第7号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 本件発明1又は2と甲7発明との対比、判断
上記2(1)イ及びウにおいて説示したとおり、本件発明1又は2と甲7発明とは、少なくとも相違点7xにおいて実質的に相違する。
そこで、相違点7xについて検討する。
甲7の請求項1には、「ヒト対象の視覚パフォーマンスを改善するための経口消費用の栄養補助食品又は食品添加物として使用するための、MZ(当審注:メソ-ゼアキサンチン)を含有する組成物。」(摘記7a)が記載され、請求項2には、該組成物が、「更にルテイン又はゼアキサンチンを含有する」(摘記7a)こと、請求項7には、「更に1種又は複数種のビタミン及び/又はミネラルを含有すること」(摘記7a)が記載されている。
さらに、甲7には、「ルテイン単独を含む栄養補助食品」を消費しても、「網膜の中心部分内に異常に低い濃度のMP(当審注:黄斑色素)を有する対象のMP上に殆ど効果を有しない」(摘記7b)のに対し、「比較的大量のMZ(当審注:メソ-ゼアキサンチン)を含み、またZ(当審注:ゼアキサンチン)及びL(当審注:ルテイン)も含む栄養補助剤の組み合わせ消費により、網膜の中心領域内のMPレベルが正常化するだけでなく、網膜の中心領域の外部のMPレベルも増大され得る」(摘記7b)ことが記載されている。
一方、甲7には、ビタミンB1については、配合目的や視覚パフォーマンスとの関連について何ら記載がなく、実施例6の組成物(摘記7c)の一成分として開示されているのみである。また、甲7には、MZを含有する組成物が、必須ビタミン及びミネラルを含む製剤又はビタミン及びミネラルで強化された食品に添加されてもよい(段落【0019】)旨が記載されているものの、数あるビタミンの中で、特にビタミンB1に着目するような記載もない。
そうすると、甲7発明の記載に接した当業者が、「(2)の組成物」である実施例6の組成物から出発して、該組成物の多数の含有成分の中から、網膜色素レベルの増大に最も主要な成分であるMZではなく、さらなる含有成分であるルテインに着目し、さらに任意成分であるビタミンのうちのビタミンB1を選択し、つまり、ルテインとビタミンB1の組合せに特に着目して、「(2)の組成物」を除外した組成物とすることを容易になし得たとはいえない。
したがって、甲7発明において、相違点7xの特定事項を備える本件発明1又は2とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、本件発明1又は2は、上記(1)アにおいて説示した効果を有するところ、甲7には、ビタミンB1の配合目的や視覚パフォーマンスとの関連について何ら記載されていないのであるから、甲7発明に基づいて、上記効果を当業者が予測し得るともいえない。

イ よって、本件発明1及び2は、甲7発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(8)甲第8号証に基づく理由(請求項1、2)
ア 本件発明1又は2と甲8発明との対比、判断
上記2(2)イ及びウにおいて説示したとおり、本件発明1又は2と甲8発明とは、少なくとも相違点8xにおいて実質的に相違する。
そこで、相違点8xについて検討する。
甲8には、甲8発明のダイエタリーサプリメントが、「眼疾患を改善するための栄養学的方法および組成物」(摘記8b)であり、「ルテインは、黄斑の健康および水晶体の透明性の維持または改善に有益である」(摘記8b)ことが示唆されている。
一方、甲8には、「眼と全身の両方の健康を維持および増進するのに有用となる改良された配合物を対象とする」(摘記8c)とも記載され、「高齢者の健康維持に重要な要素としてビタミンの確実な適量摂取」があり、眼と全身の両方の健康を維持および増進するのに有用となる改良された配合物として、ビタミン及びミネラル等を含む配合物に、ルテイン及びゼアキサンチンを網膜中に認められる比率で追加的に供給できること(摘記8c)も記載されている。
また、ビタミンの一種である「チアミン(ビタミンB1)」については、「神経筋の発達および維持において重要」であり、「脳などの神経組織中で抗酸化作用を発揮する」(摘記8d)ことが記載されているものの、ビタミンB1と黄斑(網膜)の健康維持との関連については示唆するところがない。
そうすると、甲8発明の記載に接した当業者が、「(2)の組成物」に該当する甲8発明ないしは実施例2?7、11の組成物から出発して、該組成物の多数の含有成分の中から、ルテインとビタミンB1の組合せに特に着目し、「(2)の組成物」を除外した組成物とすることを容易になし得たとはいえない。
したがって、甲8発明において、相違点8xの特定事項を備える本件発明1又は2とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、本件発明1又は2は、上記(1)アにおいて説示した効果を有するところ、甲8には、ビタミンB1と黄斑(網膜)の健康維持との関連については示唆するところがないから、甲8発明に基づいて、上記効果を当業者が予測し得るともいえない。

イ よって、本件発明1及び2は、甲8発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(9)特許異議申立人の主張について
ア 特許異議申立人は、特許異議申立書の26?46頁において、(訂正前の)本件特許発明1及び2は、甲1?甲6商品又は甲7?8に記載された発明との間に相違点はないし、仮に相違点があったとしてもかかる相違点は設計事項にすぎない程度のものである旨を主張している。
さらに、特許異議申立人は、令和3年2月9日提出の意見書の2?4頁(要点1?要点3)及び7?18頁において、概略以下の主張を行っている。
「[要点1]
・・・訂正後の本件特許発明1及び2は、引用発明と技術的思想としては顕著に異なる発明ではなく、進歩性欠如の取消理由を内在することが明らかであり、『除くクレーム』としたことによって特許を受けることができるものではない。」
「[要点2]
・・・請求項1で『・・・除く』として列挙されていた組成物(1)?(9)が記載された刊行物や・・・商品等に接した当業者が、類似の商品を開発するにあたり、・・・『・・・除く』・・・組成物(添加物等)を省くことや追加することに特段の創意工夫は要されない・・・。」
「[要点3]
・・・甲第1号証?甲第6号証に記載された発明ないし商品(公然実施品)等は、・・・発明の課題を解決するために必須ではなく付随的な構成物にすぎない素材(・・・)がなくなっても、あるいは別のものに置き換わっても、商品としての価値が有意に損なわれるものでは決してない。したがって、公然実施品で共通に配合されている成分である、ルテインと、ビタミンB1とを有効成分として含有する・・・訂正後の本件特許発明1及び2・・・は、甲第1号証?甲第6号証に記載された発明から容易に想到できる。」

イ 上記主張について検討する。
いわゆる「除くクレーム」によって生ずる実質的な相違点1x?相違点8xについて、仮に公然実施品の類似の商品を開発するにあたり、添加物等を省くことや追加すること等を考慮するのが一般的であるとしても、既に確立している商品である甲1発明?甲6発明並びに実施例の組成物である甲7発明及び甲8発明、すなわち、本件発明1及び2における「除く」組成物から出発し、他にも多数の成分を含有する中、ルテインとビタミンB1との組合せに特に着目して組成を変更し、「除く」組成物を除外することが容易であるとはいえないことは、上記(1)?(8)において説示したとおりである。
また、甲1?甲8には、ルテインとビタミンB1との組合せについての何らかの技術的思想が示されているとはいえないから、ルテインとビタミンB1との組合せが、甲1?甲8に記載の各発明における課題を解決するための必須の成分であり、他の成分はなくなっても又は別のものに置き換わっても、商品としての価値が有意に損なわれるものでないかは、当業者に明らかであるとはいえない。そして、ルテインとビタミンB1とを共通に配合する複数の公然実施品が存在するとしても、ルテインとビタミンB1との組合せとしての機能又は作用が、出願時に技術常識であったともいえないから、他にも共通に配合する成分が存在する中で、ルテインとビタミンB1の組合せをあえて選択し、他の成分は適宜変更しても良いとすることもできない。
したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。

(10)申立ての理由(3)についてのまとめ
上記(1)?(9)のとおり、特許異議申立人の申立ての理由(3)に示される特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていないという取消理由は存在しない。

4 申立ての理由(4)(特許法第36条第6項第1号(請求項1、2))についての当審の判断
(1)前提
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。
そこで、この観点に立って、本件特許における訂正後の特許請求の範囲の記載がサポート要件を満たすものであるか否か、以下、検討する。

(2)判断
ア 本件訂正明細書等の記載
本件訂正明細書等には、以下の事項が記載されている(下線は、当審合議体が付した。)。

(摘記ア)
「【0006】
本発明者らは、網膜において重要な役割を果たす網膜色素上皮細胞の活性酸素からの保護について鋭意調査・研究した結果、ルテインと特定の他の成分とを組み合わせることにより、高い網膜色素上皮細胞保護効果が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、ルテインと、網膜色素上皮細胞保護能がほとんどないか、その能力が小さい特定の他の成分を組み合わせることにより、網膜色素上皮細胞の活性酸素によるダメージをより有効に抑制することができることを見いだした。
【0007】
すなわち、本発明は、ルテインと、下記(a)?(d)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分とを有効成分として含有することを特徴とする網膜保護組成物に関する。
(a)・・・
(d)ビタミンB1、ビタミンD3、ビオチン、ビタミンK、カルシウム、マンガン、亜鉛、鉄、モリブデン、及びクロムから選ばれる少なくとも1種のビタミン・ミネラル類
【0008】
本発明の網膜保護組成物は、網膜保護作用を有する眼機能維持剤として用いることができる。」
「【0014】
本発明の網膜保護組成物は、ルテインと、下記(a)?(d)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分(以下、他成分ということがある)とを有効成分として含有することを特徴とする。ルテインと共に用いられる下記(a)?(d)の成分は、1種単独(例えば(a)成分)で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。他成分を2種以上組み合せて用いる場合、ルテインと相乗効果の高い他成分同士を組み合わせることが好ましい。
【0015】
本発明の網膜保護組成物は、網膜色素上皮細胞を活性酸素のダメージからより有効に保護し、網膜障害を抑制することができ、眼の加齢を遅延させ、眼の機能維持を図ることができる。・・・したがって、本発明の網膜保護組成物は、眼機能維持剤、網膜保護剤、網膜障害抑制剤、網膜疾患予防剤等として用いることができる。」

(摘記イ)
「【0016】
[ルテイン]
本発明に用いられるルテインは、植物の葉、花、果実等に存在するカロテノイドの一種であり、植物由来のものを用いることができる。例えば、ルテインを多く含むマリーゴールド由来のものを使用することができる。また、合成により製造されたものを用いることもできる。」
「【0024】
(d)ビタミン・ミネラル類
本発明の網膜保護組成物においては、ルテインと共に、有効成分として、ビタミンB1、ビタミンD3、ビオチン、ビタミンK、カルシウム、マンガン、亜鉛、鉄、モリブデン、及びクロムから選ばれる少なくとも1種のビタミン・ミネラル類を用いることが好ましい。なお、本発明のミネラル類としてのカルシウム、マンガン、亜鉛、鉄、モリブデン、及びクロムは、これらの金属を含む化合物の形態を含む。」

(摘記ウ)
【0025】
本発明の網膜保護組成物は、網膜保護作用を有する眼機能維持剤として用いることができ、かかる眼機能維持剤は、ルテイン及び所定の他成分を含有し、眼機能維持に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではない。・・・本発明の網膜保護組成物は、上記の効果が気になる人であれば性別や年齢に関係なく摂取することができるが、本発明の網膜保護組成物の効果をより有効に享受することができることから、疾病者を除く健常者が摂取することが望ましい。また、眼を長時間酷使する作業を行う者が摂取することが望ましく、特にパソコンなどで長時間作業を行うデスクワーク者が摂取することが望ましい。」

(摘記エ)
「【0027】
本発明の網膜保護組成物におけるルテイン及び他成分(有効成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0028】
一般的には、本発明の網膜保護組成物が医薬品やサプリメント(錠剤,カプセル剤)の場合には、有効成分が乾燥質量換算で全体の0.01?100質量%含まれていることが好ましく、0.1?85質量%含まれていることがより好ましく、0.5?70質量%含まれていることがさらに好ましい。・・・
【0031】
本発明の効果をより有効に発揮させるためには、有効成分が乾燥質量換算で本発明の網膜保護組成物全体(水分を除く)の80質量%以上含まれていることが好ましく、90質量%以上含まれていることがより好ましく、95質量%以上含まれていることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。さらに、本発明の網膜保護組成物が成分(a)?(d)のいずれかを含有する場合、その含有される成分は、本発明における有効成分のみで構成されることが好ましい。・・・
【0032】
本発明の網膜保護組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、1日当たりの有効成分の摂取量が、1mg/日以上となるように摂取することが好ましく、5mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、10mg/日以上となるように摂取することが特に好ましい。その上限は特に制限されないが、例えば、4g/日であり、好ましくは2g/日である。・・・
【0034】
ルテイン及び他成分の配合質量比としては、乾燥質量換算で、0.5:1?70:1の範囲であることが好ましく、0.75:1?60:1の範囲であることがより好ましく、1:1?60:1の範囲であることがさらに好ましく、1:1?50:1の範囲であることが特に好ましい。ルテイン及び他成分の配合比が、上記範囲であることにより、本発明の効果をより有効に発揮することができる。」

(摘記オ)
「【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
[実施例1]
1.細胞培養
(1)37℃、5%CO_(2)インキュベーター内で、75cm^(2)フラスコを用いて、ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE-19)を培養した。・・・
(4)各wellより培地を除去後、所定濃度に調製した被験物質含有培地を200μLずつ添加し、CO_(2)インキュベーター内で20時間培養した。
【0040】
なお、ルテインと他成分との併用サンプルについては、それぞれ2倍濃度の被験物質含有培地を調製し、100μLずつ添加することで目的の濃度とした。また、controlは、被験物質をDMSOに溶解したものに対しては0.5%DMSO含有培地を用いて調製し、その他の被験物質に対しては0.25%DMSO培地を用いて調製した。
【0041】
ルテインについては、市販のルテインを用いた。ルテインと共に用いる他成分としては、表1?表4に示す物質を用いた。
【0042】
(5)20時間培養後、無血清培地で1.5mMまたは2.5mMに調製した過酸化水素水を50μL添加し20時間培養した。他成分が、植物素材、ビタミン類のものについては、過酸化水素水終濃度300μMとし、他成分が、アミノ酸、ミネラル類、ポリフェノールのものについては、過酸化水素水終濃度500μMとした。controlについては、試験区と過酸化水素水終濃度を合わせた。
【0043】
2.TGFβ1の発現解析
(1)20時間培養後、培養した細胞から培地を除去し、CellAmp^(TM) Direct RNA Prep Kit for RT-PCR(Real Time)(Takara製)を用いて、RNAを回収し、N=3のサンプルを混合して1つのRNAサンプルとした。
(2)検量線を作成するため、1つのサンプルを3倍、9倍希釈した。One Step SYBR(登録商標) PrimeScript^(TM) RT-PCR Kit II(Perfect Real Time)(Takara製)を用いてPCRを実施した。プライマーはTGFβ1(QIAGEN製)とRPLP0(QIAGEN製)を使用した。
(3)1倍、3倍、9倍希釈したサンプルから作成した検量線を用いて、各サンプルにおける遺伝子発現量を算出した。解析は相対定量により行い、RPLP0(ハウスキーピング遺伝子)を内部標準として mRNA量を補正した。
【0044】
その結果を表1?表4、及び図1?図7に示す。
【0045】
各図は、左から、「コントロール(過酸化水素添加)」、「ルテインの単独添加」、「他成分の単独添加」、「ルテイン+他成分添加」の結果を表す。また、グラフ下部の説明における数値は、サンプル濃度を示し、例えば、図1の左上のグラフの「ルテイン_0.62」は、ルテイン0.62(μg/mL)を示す。添加成分の濃度単位は、すべてのグラフにおいて、μg/mLである。縦軸は「% of control」を示す。・・・
【0050】
【表4】


【0051】
表1?表4、及び図1?図7に示すように、ルテインと、本発明の特定の他成分を組み合わせることにより、ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE-19)の酸化ストレスによるTGFβ1の発現量が相乗的に低下した。したがって、本発明の網膜保護組成物によれば、網膜色素上皮細胞を有効に保護することができる。」

(摘記カ)
「【図5】


「【0013】
・・・
【図5】本発明の網膜保護組成物(ルテイン+ビタミン類)をヒト網膜色素上皮細胞(ARPE-19)に適用した場合の酸化ストレスマーカーであるTGFβ1の発現量を示す図であり、左上図がビタミン類としてビタミンB1を用いたものを示し、右上図がビタミン類としてビタミンD3を用いたものを示し、左下図がビタミン類としてビオチンを用いたものを示し、右下図がビタミン類としてビタミンKを用いたものを示す。」

イ 本件発明の課題
本件発明の解決しようとする課題は、本件訂正明細書等の記載(【0005】)からみて、「網膜色素上皮細胞を活性酸素のダメージから有効に保護し、網膜障害を抑制することが可能な網膜保護組成物を提供すること」であると認められる。

ウ 本件発明1及び2について
本件発明1及び2においては、上記課題を解決するために、「網膜保護組成物」において、乳幼児以外を対象とし、「ルテインと、ビタミンB1とを有効成分として含有」し、「ただし、以下の(1)?(9)の組成物を除く」ものであることが特定されている。
本件訂正明細書等には、ルテインと、網膜色素上皮細胞保護能がほとんどないか、その能力が小さい特定の他の成分を組み合わせ、網膜保護組成物とすることにより、網膜色素上皮細胞の活性酸素によるダメージをより有効に抑制でき、網膜保護作用を有する眼機能維持剤として用いることができることが記載され、上記他の成分として、ビタミンB1が例示されている(摘記ア、イ)。そして、上記網膜保護組成物は、性別や年齢に関係なく摂取することができるが、疾病者を除く健常者、特に、眼を長時間酷使する作業を行う者やパソコンなどで長時間作業を行うデスクワーク者が摂取することが望ましいことが記載されているから(摘記ウ)、乳幼児以外を対象として包含することが明らかである。
そして、実施例(摘記オ、カ。特に【図5】の左上図)として、ルテインとビタミンB1を含む網膜保護組成物を、過酸化水素の存在下において、ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE-19)に適用した場合の酸化ストレスマーカーであるTGFβ1の発現量が図示されており、ルテイン又はビタミンB1単独を適用した場合に比べて、ルテインとビタミンB1を併用した場合に、TGFβ1の発現量が相乗的に低下したことが示されている。
また、本件訂正明細書等には、ルテインとビタミンB1等の他成分(有効成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよいことが記載されると共に、本発明の効果をより有効に発揮することができる範囲として、組成物全体に対する有効成分の含有量、1日当たりの有効成分摂取量及びルテインとビタミンB1等の他成分の配合質量比の好ましい範囲がそれぞれ示されている(摘記エ)。
そうすると、本件訂正明細書等の発明の詳細な説明の記載により、ルテインとビタミンB1を有効成分として含有する網膜保護組成物は、乳幼児以外を対象に包含しており、網膜色素上皮細胞を活性酸素のダメージから有効に保護し、網膜障害を抑制できるものであることが理解でき、上記課題を解決できると当業者が認識できるものといえる。
また、「(1)?(9)の組成物」は、甲1発明?甲8発明及び審査時の引用文献に記載の発明との重なりを除くための訂正及び補正によって特定された事項に過ぎないから、これらの組成物を除くものが、上記課題が解決できないともいえない。
したがって、本件発明1及び2は、上記課題を解決できるものと当業者が認識できる範囲のものであるといえる。

(4)特許異議申立人の主張について
ア 特許異議申立人は、申立て理由(4)について、概略以下の主張をしている。
・主張(A)
「・・・ルテインとビタミンB1の配合比率を極めて大きく変更した場合や各成分がごく微量の場合であっても、本発明の課題が解決できることを当業者が認識することは、作用機序が不明である以上、困難といえる。・・・
一方で、本件特許請求項1、2には、・・・ルテインとビタミンB1の組合せにより相乗効果を奏し得る配合比率の範囲についても何ら記載がなく、各含有量と配合比率には制限がない。
したがって、本件特許発明1、2が、発明の詳細な説明において『発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された』範囲を超えている・・・。・・・
・・・発明の詳細な説明において、ルテインとビタミンB1の組合せにより、効果を生じたとされる具体例は、唯一、実施例1(図5参照)における、0.625μg/mLのルテインと40μg/mLのビタミンB1の組合せの一例のみである。
一方で、・・・どのような作用機序に基づいて相乗効果を発揮し、網膜色素上皮細胞に対する活性酸素によるダメージを抑制し得るのか、本件特許明細書には記載も示唆も一切ないので、配合比率を変更させた場合や各成分がごく微量の場合であっても、本発明の相乗効果を奏することについて、当業者が認識することは困難である。
したがって、出願時の技術常識に照らしても、配合比率や各成分量の規定が一切ない本件特許発明1、2の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない・・・。」(特許異議申立書46頁14行?48頁16行)

・主張(B)
「・・・本件特許明細書の段落[0039]、[0040]によれば、比較例については、所定濃度に調整した被験物質含有培地を200μL添加したのに対し、実施例の併用サンプルでは、2倍濃度の被験物質含有培地を調製し、100μL添加することで目的の濃度としたことが記載されており、両者の実験結果を公平に比較する前提となる実験条件が異なっている。この点、なぜそのように異なる条件をあえて採用したのか、明細書の記載を参照しても不明である。
・・・実施例1全体(図1?図7)を見渡した場合、単独でも本発明の一定の効果を奏することが本件特許出願前に周知であった化合物のルテイン(例えば、本件特許明細書の段落[0003]参照)について、ルテイン単体の実験結果が、controlよりもむしろ劣っている奇妙な実験結果が見られるものもあり、『市販のルテイン』には一般に様々な配合のものがバリエーションとして市場に存在しているという当業者の一般的な技術常識(例えば、甲第9号証参照))と相まって、実施例1で用いられている『市販のルテイン』(段落[0041])が、ルテインの純度の高い単独成分のものであるのか、あるいは、賦形剤や酸化防止剤などの成分を含むものであるのか不明なので、これらの成分が対比実験の重要な結果に有意な影響を与えているのか不明であり、実験系自体の信憑性について疑義が生じると言わざるを得ない。
したがって、本件特許明細書の実施例と比較例の対比において、本件発明の効果が正当に実証されているとは言い切れないと解され、そのように本件特許発明1、2が、発明の課題を解決できることを当業者が認識できるように本件特許の発明の詳細な説明が記載されていない・・・。」(特許異議申立書48頁17行?49頁24行)

イ 主張(A)について検討すると、上記(3)ウにおいて説示したように、本件訂正明細書等の実施例(摘記オ、カ。特に【図5】の左上図)には、ルテインとビタミンB1を併用した場合の効果について具体的に確認した記載がある。
そして、両成分を併用するに際し、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよいことや、好ましい含有量、配合質量比等の範囲も具体的に示されている(摘記エ)のであるから、当業者は、上記の併用した場合の効果を期待して、ルテインとビタミンB1を有効成分として含有する網膜保護組成物を、上記範囲に基づいて配合及び使用し得るものであり、発明の詳細な説明の記載から、本件発明1及び2が、上記課題を解決できることを認識できるものといえる。
特許異議申立人は、本件発明が相乗効果を奏することについて、当業者が認識することは困難である旨主張するが、上記(2)イのとおり、本件発明の解決しようとする課題は、「網膜色素上皮細胞を活性酸素のダメージから有効に保護し、網膜障害を抑制することが可能な網膜保護組成物を提供すること」であって、相乗効果を奏することまでを課題とはしていないこと、及び、上記実施例の具体的記載及び明細書の記載とから、他に実施例がないからといって、上記課題を解決できることを当業者が認識できないとまではいえない。
次に、主張(B)について検討すると、実施例の併用サンプルでは、2倍濃度の被験物質含有培地を調製し、100μLずつ添加することで目的の濃度としているところ、比較例における所定濃度に調製した被験物質含有培地を200μLずつ添加したものと、最終的な被験物質の濃度をそろえた条件にて、TGF-βの発現量を測定しているので、両者の実験条件に特に差異があるとはいえない。
また、実施例において、「市販のルテイン」の組成が特定されておらず、複数の市販のルテインの間において、精製度等に違いがあったとしても、本件訂正明細書等における実施例と比較例においては、同じ市販品を使用し、条件をそろえて実験されていると解するのが自然であるから、「市販のルテイン」の組成を明らかにしていないことをもって、実験自体の信憑性が疑われるとまではいえない。また、【図5】の左上図におけるルテインとビタミンB1を併用した場合の実験についても、ルテイン又はビタミンB1の単独添加の場合と同じ条件下における結果が示されているといえる。
したがって、特許異議申立人の上記主張(A)及び(B)はいずれも採用できない。

(5)申立ての理由(4)についてのまとめ
上記(1)?(4)のとおり、特許異議申立人の申立ての理由(4)に示される特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないという取消理由は存在しない。

5 申立ての理由(5)(特許法第36条第6項第2号(請求項1、2))についての当審の判断
(1)特許異議申立人は、申立て理由(5)について、概略以下の主張をしている。
「本件特許請求項1の『乳幼児以外を対象とする』の記載は、『乳幼児』、『乳幼児以外』のいずれも本件特許明細書に記載がなく、何歳以上であれば、特許発明の技術的範囲内となり、何歳以下であれば特許発明の技術的範囲外となるか不明であり、本件発明の作用機序が不明であることと相まって、特許発明の外苑を確定することは困難である。」(特許異議申立書49頁下から3行?50頁8行)
そこで、上記主張について検討する。

(2)検討
広辞苑第五版(株式会社岩波書店、1998年11月11日第一刷、2044頁)によれば、「乳幼児」とは、「乳児と幼児。学齢期前の子供の総称。」であり、当業者にとって、「乳幼児」の範囲は明確であるといえる。
そして、請求項1及び2における「乳幼児」以外の記載について検討しても、本件発明1及び2を不明確とする記載があるとはいえない。
したがって、本件発明1及び2は明確であり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものといえる。

(3)申立ての理由(4)についてのまとめ
上記(1)及び(2)のとおり、特許異議申立人の申立ての理由(5)に示される特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないという取消理由は存在しない。

第6 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルテインと、ビタミンB1とを有効成分として含有することを特徴とする乳幼児以外を対象とする網膜保護組成物(ただし、以下の(1)?(9)の組成物を除く)。
(1)凍結乾燥したブルーベリーの漿果、ジヒドロケルセチン、ベーターカロチン、セレキセン、ルテイン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、及び亜鉛を含む組成物
(2)ビタミンE、ルテイン及び/又はゼアキサンチン形態のカロテノイド、ビタミンC、ビタミンD、銅、並びに亜鉛を含む組成物
(3)ルテイン、脂肪酸、藻類の抽出物、及びビタミンEを含む組成物
(4)オリーブ油、ビルベリーエキス末、ビタミンE含有植物油、ゼラチン、ビタミンC、グリセリン、マリーゴールド、イノシトール、ナイアシン、ビタミンP、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、パントテン酸カルシウム、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB1、ビタミンA、葉酸、ビオチン、ビタミンD、及びビタミンB12を含む組成物
(5)べに花油、ゼラチン、オキアミ抽出物、ビルベリーエキス、ルテイン含有マリーゴールド色素、ビタミンC、グリセリン、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、アスタキサンチン含有ヘマトコッカス藻色素、カラメル色素、ナイアシン、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、β-カロテン、ビタミンB2、ビタミンB1、ビタミンB6、及びビタミンB12を含む組成物
(6)麦芽糖、ビルベリーエキス、メグスリノキ、異性化液糖、デキストリン、結晶セルロース、加工デンプン、微粒酸化ケイ素、マリーゴールド、ステアリン酸カルシウム、シェラック、ビタミンB6、ビタミンB1、及びビタミンB12を含む組成物
(7)ブルーベリーエキス末、シソの実油、ゼラチン、グリセリン、カロテノイド、ミツロウ、マリーゴールド、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB2、及びビタミンB12を含む組成物
(8)中鎖脂肪酸油、ブルーベリーエキス末、アサイーエキス末、ゼラチン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、香料、クチナシ、デュナリエラカロテン、マリーゴールド、ビタミンB1、ビタミンB6、トマトリコピン、ビタミンB2、及びビタミンB12を含む組成物
(9)ルテイン含有マリーゴールドエキス、EPA含有精製魚油、デュナリエラカロテン、ビタミンE含有植物油、ビルベリーエキス末、カシス抽出物、ゼラチン、グリセリン、サフラワー油、ミツロウ、グリセリン脂肪酸エステル、ビタミンB1、ビタミンB6、及びビタミンB12を含む組成物
【請求項2】
網膜保護作用を有する眼機能維持剤であることを特徴とする請求項1記載の網膜保護組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-03-23 
出願番号 特願2015-127861(P2015-127861)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A61K)
P 1 651・ 537- YAA (A61K)
P 1 651・ 113- YAA (A61K)
P 1 651・ 112- YAA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 磯部 洋一郎  
特許庁審判長 滝口 尚良
特許庁審判官 松本 直子
穴吹 智子
登録日 2020-01-15 
登録番号 特許第6646368号(P6646368)
権利者 株式会社東洋新薬
発明の名称 網膜保護組成物  
代理人 ▲高▼津 一也  
代理人 ▲高▼津 一也  
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