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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C12P |
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管理番号 | 1375262 |
審判番号 | 訂正2021-390024 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-01-29 |
確定日 | 2021-04-28 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6462048号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6462048号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔12?14、16〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第6462048号は、平成21年12月9日(パリ条約による優先権主張 2008年12月9日 (US)アメリカ合衆国、2009年4月14日 (US)アメリカ合衆国、2009年7月10日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2011-540854号の一部を平成27年6月19日に新たな特許出願とした特願2015-124158号の一部を、さらに平成29年6月15日に新たに特許出願されたものであって、その請求項1?16に係る発明について、平成31年1月11日に特許権の設定登録がされ、その後、令和3年1月29日に本件の訂正審判が請求されたものである。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 1 請求の趣旨 本件請求の趣旨は、特許第6462048号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項12?14、16について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 2 訂正の内容 請求人が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項12に「グルタミン酸に置換される」と記載されているのを、「グルタミンに置換される」に訂正する(請求項12の記載を直接的に引用する請求項16も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項13に「グルタミン酸に置換される」と記載されているのを、「グルタミンに置換される」に訂正する(請求項13の記載を直接的に引用する請求項16も同様に訂正する。)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項14に「グルタミン酸に置換される」と記載されているのを、「グルタミンに置換される」に訂正する(請求項14の記載を直接的に引用する請求項16も同様に訂正する。)。 第3 当審の判断 1 訂正の目的について 訂正事項1?3は、RSV Fタンパク質の133位、135位、136位のアルギニンが置換されるアミノ酸として記載されている「グルタミン酸」を「グルタミン」に訂正するものである。 本件特許の明細書(以下「本件明細書」という。)には、段落【0018】に「具体的な一実施形態において、本発明は、133位のアルギニンがグルタミンに置換されているRSV Fタンパク質に関する。別の具体的な実施形態において、本発明は、135位のアルギニンがグルタミンに置換されているRSV Fタンパク質に関する。さらに別の具体的な実施形態において、本発明は、136位のアルギニンがグルタミンに置換されているRSV Fタンパク質に関する。特定の実施形態において、RSV Fタンパク質は、これらの具体的な実施形態に記載される位置に対応するアミノ酸に2つ以上の修飾又は変異を含む。特定の他の実施形態において、RSV Fタンパク質は、これらの具体的な実施形態に記載される位置に対応するアミノ酸に3つの修飾又は変異を含む。」と記載されており、また、段落【0169】に「図2は、評価した修飾Fタンパク質のいくつかを示す。結果は、3つの保存的アミノ酸変化R133Q、R135Q、及びR136QによりHRSV Fタンパク質の一次切断部位が不活性化され得ることを示している。これらの、極性的に帯電した分子であるアルギニン(R)から、極性的に中性の分子であるグルタミン(Q)への保存的アミノ酸変化により、これらの部位で荷電状態が変わり、Fタンパク質3D構造はなお維持されながら、フューリン様プロテアーゼによる切断が防止された(図3を参照)。」と記載されているように、RSV Fタンパク質の133位、135位、136位のアルギニンが極性的に中性のグルタミンに置換されることが記載されている。 一方、本件明細書には、RSV Fタンパク質の133位、135位、136位のアルギニンが極性的に中性ではないグルタミン酸に置換されることは全く記載されていない。 したがって、本件明細書の記載及び出願時の技術常識から、RSV Fタンパク質の133位、135位、136位のアルギニンが置換されるアミノ酸は、「グルタミン酸」は誤りであり、「グルタミン」が正しい記載であることは当業者に明らかであるから、訂正事項1?3は、誤りである「グルタミン酸」を正しい記載である「グルタミン」に訂正するものであり、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものである。 2 願書に最初に添付した外国語書面の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて RSV Fタンパク質の133位、135位、136位のアルギニンがグルタミンに置換されることは、願書に最初に添付した外国語書面の明細書の段落[018]、[0190]に記載されているから、訂正事項1?3は、願書に最初に添付した外国語書面の明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 上記1で述べたとおり、訂正事項1?3は、誤記を訂正するものであり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 4 独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲の請求項12?14、16に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見出せないから、訂正事項1?3は、特許法第126条第7項に適合するものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)タンパク質の製造方法であって: (i)RSV Fタンパク質をコードする核酸を昆虫宿主細胞に導入する工程であって、前記コードされたタンパク質が、 (a) 野生型RSV Fタンパク質(配列番号2)の137?146位に対応するアミノ酸のN末端側からの2又は複数の欠失;及び (b)野生型RSV Fタンパク質(配列番号2)の131?136位に対応する一次フューリン切断部位であって、前記131?136位における1又は複数のアミノ酸置換によって不活性化した一次フューリン切断部位;を含む、工程; (ii)前記昆虫宿主細胞を、前記RSV Fタンパク質の発現及び細胞プロセシングに適切な条件下で培養する工程であって、前記細胞プロセシングがN末端シグナルペプチドの切断を含む、工程; (iii)遠心分離によって、前記昆虫細胞を回収する工程; (iv)回収した昆虫細胞から界面活性剤を用いて前記RSV Fタンパク質を抽出する工程;及び (v)前記RSV Fタンパク質を精製する工程; を含み、前記RSV Fタンパク質が、野生型RSV Fタンパク質と比較して、昆虫宿主細胞中における発現量が増加している、方法。 【請求項2】 前記RSV Fタンパク質を精製する工程が、陰イオン交換クロマトグラフィー、レンチルレクチン親和性クロマトグラフィー及び陽イオン交換クロマトグラフィーからなる群から選択される1又は複数を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 抽出に用いられる前記界面活性剤がNP-9である、請求項1又は2に記載の方法。 【請求項4】 (vi)精製RSV Fタンパク質を薬学的に許容可能な担体と合わせる工程を含む、請求項1?3のいずれか一項に記載の方法。 【請求項5】 前記薬学的に許容可能な担体が、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、無菌等張水性緩衝液、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 (vii)アジュバントを、精製RSV Fタンパク質及び薬学的に許容可能な担体と合わせる工程を含む、請求項4又は5に記載の方法。 【請求項7】 前記アジュバントが、フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、GMCSP、BCG、thur-MDP、nor-MDP、CGP(MTP-PE)、リピドA、モノホスホリルリピドA(MPL)、RIBI、MF-59およびミョウバン(alum)からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。 【請求項8】 前記アジュバントがミョウバン(alum)である、請求項7に記載の方法。 【請求項9】 コードされるRSV Fタンパク質が、野生型RSV Fタンパク質(配列番号2)のアルギニン133位、アルギニン135位、及びアルギニン136位からなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置に少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。 【請求項10】 コードされるRSV Fタンパク質が、野生型RSV Fタンパク質(配列番号2)のアルギニン133位、アルギニン135位、及びアルギニン136位からなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置に少なくとも2つのアミノ酸置換を含む、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。 【請求項11】 コードされるRSV Fタンパク質が、野生型RSV Fタンパク質(配列番号2)のアルギニン133位、アルギニン135位、及びアルギニン136位のアミノ酸に対応する位置に3つのアミノ酸置換を含む、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。 【請求項12】 野生型RSV Fタンパク質(配列番号2)のアルギニン133位、アルギニン135位、及びアルギニン136位からなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置の少なくとも1つのアミノ酸がグルタミンに置換される、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。 【請求項13】 野生型RSV Fタンパク質(配列番号2)のアルギニン133位、アルギニン135位、及びアルギニン136位からなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置の少なくとも2つのアミノ酸がグルタミンに置換される、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。 【請求項14】 野生型RSV Fタンパク質(配列番号2)のアルギニン133位、アルギニン135位、及びアルギニン136位のアミノ酸に対応する位置の3つのアミノ酸がグルタミンに置換される、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。 【請求項15】 導入される核酸が配列番号7の配列を含む、請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。 【請求項16】 前記昆虫宿主細胞がSf9細胞である、請求項1?15のいずれか一項に記載の方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2021-03-30 |
結審通知日 | 2021-04-05 |
審決日 | 2021-04-21 |
出願番号 | 特願2017-118032(P2017-118032) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(C12P)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鳥居 敬司 |
特許庁審判長 |
森井 隆信 |
特許庁審判官 |
一宮 里枝 高堀 栄二 |
登録日 | 2019-01-11 |
登録番号 | 特許第6462048号(P6462048) |
発明の名称 | 修飾RSV Fタンパク質及びその使用方法 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 大貫 敏史 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 大貫 敏史 |
代理人 | 江口 昭彦 |
代理人 | 江口 昭彦 |