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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1375496
審判番号 不服2020-5931  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-30 
確定日 2021-06-24 
事件の表示 特願2018- 42278「固体撮像装置、電子機器、及び、固体撮像装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月23日出願公開、特開2018-133575〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年6月26日に出願した特願2014-130998号の一部を平成30年3月8日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年12月26日付け :拒絶理由通知書
平成31年2月26日 :意見書,手続補正書の提出
令和元年7月24日付け :拒絶理由通知(最後)
令和元年9月18日 :意見書,手続補正書の提出
令和2年2月17日付け :補正却下,拒絶査定
令和2年4月30日 :審判請求書,手続補正書の提出
令和2年11月27日付け :拒絶理由通知(当審)
令和3年1月28日 :意見書,手続補正書の提出


第2 本願発明
本願の請求項1?12に係る発明は,令和3年1月28日に提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるものであり,そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は,以下のとおりのものと認められる。
「【請求項1】
表面に配線が形成される半導体基板の裏面に配置される受光面にて入射光を受光して信号電荷を生成する複数の光電変換部と,
前記複数の光電変換部のそれぞれに対応して1つずつ設けられた少なくとも3色のカラーフィルタと,
前記カラーフィルタと前記光電変換部との間に,複数の前記光電変換部の境界に沿うように形成された遮光膜と,
互いに隣接する前記カラーフィルタの間に,これらカラーフィルタと異なる色のカラーフィルタのいずれかと同色の色材を含有して形成された隔壁部と,
前記複数の光電変換部毎に配置されて前記カラーフィルタを介して入射光を前記光電変換部に集光する凸レンズ形状のマイクロレンズと,
互いに屈折率が異なる複数の膜が積層された構成からなり,反射防止膜として機能する,前記半導体基板の光電変換部が臨む裏面上に形成された層間絶縁膜と,
前記層間絶縁膜と前記遮光膜の上に形成された平坦化膜と,
を備え,
前記複数のマイクロレンズは,前記凸レンズ部分において隣接するマイクロレンズの端面同士が前記隔壁部の近傍において接する
固体撮像装置。」


第3 当審拒絶理由の概要
当審による令和2年11月27日付け拒絶理由通知書の拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という)は,この出願の請求項1?12に係る発明は,本願の原出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例1?4に記載された発明に基づいて,その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものが容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
引用例1:特開2012-74521号公報
引用例2:特開2005-340299号公報
引用例3:特開2013-115335号公報
引用例4:特開2012-18951号公報


第4 引用例の記載と引用発明1
1.引用例1について
(1)引用例1の記載
当審拒絶理由で引用された,本願の原出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である引用例1(特開2012-74521号公報)には,図12とともに次の記載がある。(下線は当審による。以下同じ。)
【0028】
<2.第1実施形態>
[W市松配列の固体撮像装置の製造方法(1)]
第1実施形態の製造方法を説明するに先立ち,本第1実施形態の製造方法を適用して作製されるW市松配列の固体撮像装置における光フィルタの配列を説明する。図2は,光フィルタのW市松配列の配列状態を示す平面図である。
【0029】
以下の第1?第4実施形態の製造方法を適用して作製されるW市松配列の固体撮像装置は,光電変換部上の光フィルタとして,赤色領域から青色領域までの光を透過する光フィルタ,つまり無色透明な光フィルタ(白色フィルタWと記す)を用いている。これらの白色フィルタWは,基板の表面側に配列された複数の光電変換部のうち,行方向および列方向のそれぞれに1つ置きに配置された光電変換部上に市松配列され,それぞれが独立した島状のパターンとして設けられている。
【0030】
市松配列された白色フィルタW-白色フィルタW間には,一行置きに緑色領域の光を透過する光フィルタ(緑色フィルタGと記す)が配置されている。さらに残りの白色フィルタW-白色フィルタW間には,赤色領域の光を透過する光フィルタ(赤色フィルタRと記す)と,青色領域の光を透過する光フィルタ(青色フィルタBと記す)とが,行方向に交互に配置されている。これらの緑色フィルタG,赤色フィルタR,および青色フィルタBは,それぞれが独立した島状のパターンとして白色フィルタW間に市松配列されている。」
「【0081】
<5.第4実施形態>
[W市松配列の固体撮像装置の製造方法(4)
第4実施形態の製造方法は,第1実施形態および第2実施形態と同様に図2を用いて説明した光フィルタがW市松配列である固体撮像装置の製造方法の第4例であり,以下基板側から順に製造方法を説明する。
【0082】
先ず第1実施形態において図3を用いて説明したと同様に,基板11の表面側に,光電変換部21,配線23を含む配線層25,層内レンズ27,および平坦化絶縁膜29を形成するまでを行う。
【0083】
次に,図10(1)に示すように,平坦化絶縁膜29上において,各画素2の周縁に相当する位置で,光電変換部21を囲む周囲に反射膜51をパターン形成する。この反射膜51は,例えばアルミニウム等の光反射性の高い材料を用いて形成すれば良い。
【0084】
次に,図10(2)に示すように,反射膜51が形成された平坦化絶縁膜29上を,必要に応じてさらに絶縁膜53で覆う。この絶縁膜53は,必要に応じて表面平坦に形成する。
【0085】
その後,絶縁膜53上に,それぞれ独立した島状の赤色フィルタR,青色フィルタB,およびここでの図示を省略した緑色フィルタGを,第1パターンとして目的とする画素2上に市松配列させた状態で順次形成する。この際,各色フィルタR,B,Gの縁部が反射膜51上に配置されるように,各色フィルタR,B,Gをパターニングする。このような各色フィルタR,B,Gは,各色の顔料または染料を含有するフォトレジスト材料を光フィルタ材料として用い,フォトリソグラフィプロセスを適用して形成される。ただし,図2を参照し,平面視した状態での緑色フィルタGの四隅と,赤色フィルタRおよび青色フィルタBの四隅とは,これらの各色フィルタR,B,Gを形成する際のフォトリソグラフィプロセスの合わせ精度の範囲内であれば,互いに接合されていても良い。」
「【0096】
以上により,第4実施形態の固体撮像装置1-4が得られる。ここで得られた固体撮像装置1-4は,第1実施形態と同様に,基板11の表面側に配列された光電変換部21上に対応して,独立した島状の第1パターンとして色フィルタR,B,Gが市松配列されている。さらにこれらの色フィルタR,B,G間に,独立した島状の第2パターンとして白色フィルタWが配置されたものとなる。また白色フィルタWと各色フィルタR,B,Gとの間には,これらのフィルタよりも屈折率の高い材料からなる混色防止膜55が挟持された構成となる。
【0097】
図12には,本第4実施形態で得られた固体撮像装置1-4の要部を拡大した断面構成図を示す。この図に示すように,固体撮像装置1-4に入射した光hは,オンチップレンズ57aで集光され,各オンチップレンズ57aの下方に配置された各光フィルタW,R,B,Gに入射される。このうち,オンチップレンズ57aで集光されて斜め方向から光フィルタW,R,B,Gに入射した光hは,光フィルタW,R,B,G間に挟持された高屈折率の混色防止膜55の界面において,入射角度を基板11の面に対してより垂直な方向に変化させる。また,混色防止膜55内に入射した光は,混色防止膜55と光フィルタW,R,B,Gとの界面において反射され,混色防止膜55内で多重反射され,さらに下層の反射膜51で反射され,オンチップレンズ57a側から放出される。これにより,例えば白色フィルタWに対して斜め方向から入射した光hが,隣接して配置された青色フィルタBの下方の光電変換部21に入射することが防止される。したがって,例えば青色フィルタB下方の光電変換部21に対して,白色フィルタWの画素に入射した光が斜め方向から入射して,これにより青色領域を外れた波長領域の受光出力が青色フィルタBの画素から検出される,いわゆる「裾うき」を防止することができる。以上により,本第4実施形態で得られた構成の固体撮像装置1-4は,混色が防止され画質の向上を図ることが可能になる。」
「【0133】
また以上の実施形態においては,光電変換部21が設けられた基板11の面上に,読出電極等の配線23を設け,この上方に第1パターンおよび第2パターンとなる各色の光フィルタおよび混色防止膜を設けた固体撮像装置に本発明を適用した場合を説明した。しかしながら本発明は,光電変換部21とは反対側の基板11の面上に読出電極等の配線23を設けた,いわゆる裏面照射型の固定撮像装置への適用も可能である。このような裏面照射型の固体撮像装置であれば,配線23が形成された面とは反対側の基板11の面が,光電変換部21の受光面となり,この面上に第1パターンおよび第2パターンとなる各色の光フィルタおよび混色防止膜が設けられる。したがって,基板11に光電変換部21を形成した後であれば,読出電極等の配線23の形成に依存せずに,上述した各実施形態の手順にしたがって第1パターンとなる光フィルタを形成,混色防止膜の形成,第2パターンとなる光フィルタの形成を行えば良い。また,第1パターン,混色防止膜,および第2パターン形成後には,これらの上部にオンチップを形成する。尚,第1パターンの形成前には,必要に応じて層内レンズの形成が行われる。」

引用例1の図12として,以下の図面が示されている。


(2)引用例1の記載事項の整理
以上の摘記によれば,引用例1には次の事項が記載されているものと理解できる。
ア 裏面照射型の固体撮像装置であって,配線23が形成された面とは反対側の基板11の面を受光面とする光電変換部21を設けること。また,当該受光面上に各色の光フィルタ及び混色防止膜を設けること。(段落0133)
イ 光電変換部21上に平坦化絶縁膜29を設け,平坦化絶縁膜29上において,各画素の周縁に相当する位置で,光電変換部21を囲む周囲に反射膜51をパターン形成すること。(段落0082?0083,図12)
ウ 反射膜51が形成された平坦化絶縁膜29上を絶縁膜53で覆い,表面平坦に形成すること。(段落0084)
エ 絶縁膜53上に各色フィルタR,G,B及び白色フィルタWを形成すること。(段落0085,図12)
オ 白色フィルタWが,複数の光電変換部のうち,行方向および列方向のそれぞれに1つ置きに配置された光電変換部上に市松配列されること。(段落0029)
カ 光電変換部21に対応して,色フィルタR,G,Bが白色フィルタW間に市松配列されていること。(段落0030,0096)
キ 白色フィルタWと各色フィルタR,G,Bとの間には,これらのフィルタよりも屈折率の高い材料から成る混色防止膜55が挟持された構成とすること。(段落0096)
ク 固体撮像装置1-4に入射した光hは,オンチップレンズ57aで集光され,各オンチップレンズ57aの下方に配置された各光フィルタW,R,B,Gに入射されること。(段落0097)
ケ 上記オ?カ,クから,複数の光電変換部21に対応して各光フィルタW,R,G,Bが設けられ,各光フィルタW,R,G,Bの上方にオンチップレンズ57aが設けられていることが理解できる。

(3)引用発明1
上記(2)ア?ケの事項によれば,引用例1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「配線23が形成された面とは反対側の基板11の面を受光面とする光電変換部21と,
光電変換部21上に設けられた平坦化絶縁膜29と,当該平坦化絶縁膜29上において,各画素の周縁に相当する位置で,光電変換部21を囲む周囲にパターン形成された反射膜51と,
反射膜51が形成された平坦化絶縁膜29上を覆って表面平坦に形成された絶縁膜53と,
絶縁膜53上に形成され,複数の光電変換部21に対応して設けられた白色フィルタW及び各色フィルタR,G,Bと,
白色フィルタWと各色フィルタR,G,Bとの間に挟持され,これらのフィルタよりも屈折率の高い材料から成る混色防止膜55と,
白色フィルタW及び各色フィルタR,G,Bの上方に設けられ,固体撮像装置に入射した光を集光して下方に配置された白色フィルタW及び各色フィルタR,G,Bに入射させるオンチップレンズ57aと,
を備えた,
固体撮像装置。」

2.引用例2について
当審拒絶理由で引用された,本願の原出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である引用例2(特開2005-340299号公報)には,図1,3とともに,次の記載がある。
「【0011】
本発明は,この問題に鑑み,斜め光による隣接画素からの混色を防止可能なオンチップフィルタを有する固体撮像装置を,より簡単な製造工程によって提供することを目的とする。」
「【0015】
本発明にかかる固体撮像装置は,半導体基板と,前記半導体基板にマトリクス状に形成された受光素子と,前記受光素子の上層に形成され,3色以上のカラーフィルタから構成されるカラーフィルタ層とを有する固体撮像装置であって,前記カラーフィルタ層において,2色のカラーフィルタが隣接する画素境界部の少なくとも一部に,当該2色とは異なる色のカラーフィルタ壁を有する構成である。
【0016】
この構成によれば,ある画素のカラーフィルタを透過した斜め光がカラーフィルタ壁に入射すると,カラーフィルタとカラーフィルタ壁の色が互いに異なるので,斜め光が打ち消される効果が生じる。これにより,斜め光による隣接画素からの混色を防止することができる。従来のような黒色の遮光膜が不要であるため,製造工程が簡略化され,より低コストな固体撮像装置を提供できる。」
「【0025】
(実施の形態1)
本発明の一実施形態にかかる固体撮像装置について以下に説明する。なお,ここでは,一実施形態としてCCD固体撮像装置を例示するが,本発明はCCD固体撮像装置に限らず,MOS型固体撮像装置等にも適用可能である。
【0026】
本実施形態にかかる固体撮像装置は,図1に示すような,縦2×横2の4画素のうち対角線上の2画素にGのカラーフィルタ4,残りの2画素のうち1画素にRのカラーフィルタ6,さらに残りの1画素にBのカラーフィルタ5を配置した,いわゆるベイヤ配列を基本としたカラーフィルタ層を有する。ただし,Gのカラーフィルタ4とRのカラーフィルタ6との境界(画素境界領域)に,Bのカラーフィルタ壁5wを有し,Gのカラーフィルタ4とBのカラーフィルタ5との境界(画素境界領域)にRのカラーフィルタ壁6wを有する。」
「【0032】
ここで,上記の構成にかかる固体撮像装置10に斜め光が入射した場合について,図3および図4を用いて説明する。例えば,図3に示すように,Rのカラーフィルタ6を透過した光が,Gのカラーフィルタ4の直下にあるフォトダイオード2へ入射する場合を考える。この場合,Rのカラーフィルタ6を透過した斜め光は,このカラーフィルタ6の隣に設けられたBのカラーフィルタ壁5wも透過することとなる。図4に,RGBの各色の光の透過率を示す。図4に示すように,Rの光は,波長550nm以下での透過率がほぼ0%であるのに対して,Bの光は,波長550nm以上での透過率がほぼ0%である。異色の光が混合された場合に,混合された光の分光特性は,単色の光の透過率の積となる。従って,図3に示されているような,Rのカラーフィルタ6とBのカラーフィルタ壁5wを透過した斜め光の透過率は,全ての波長域においてほぼ0%となる。従って,Gのカラーフィルタ4の直下にあるフォトダイオード2において,前記の斜め光に起因する混色はほとんど生じない。」

引用例2の図1として以下の図面が示されている。


引用例2の図3として以下の図面が示されている。


3.引用例3?4について
(1)引用例3の記載
当審拒絶理由で引用された,本願の原出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である引用例3(特開2013-115335号公報)には,図1とともに次の記載がある。
「【0006】
図1に示されるように,シリコン基板等の半導体基板11に,フォトダイオードなどの受光領域12が画素1(W画素1W,G画素1G)ごとに形成される。半導体基板11上の各画素1の境界部分に遮光膜13が形成され,その上に平坦化膜14が形成される。そして,平坦化膜14の上のW画素1Wの領域にはホワイトフィルタ15Wが,G画素1Gの領域にはG(Green)のカラーフィルタ15Gが形成される。ここで,ホワイトフィルタ15Wは,R(Red),G(Green),またはB(Blue)のカラーフィルタ15の色成分である顔料や染料を含まない組成の材料を用いて形成される。そして,ホワイトフィルタ15Wおよびカラーフィルタ15Gの上に,マイクロレンズ16が形成される。」
引用例3の図1として以下の図面が示されている。

上記図1から,受光領域12を有する半導体基板11上に形成されたマイクロレンズ16について,その端面同士が接している構成が見て取れる。

(2)引用例4の記載
当審拒絶理由で引用された,本願の原出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である引用例4(特開2012-18951号公報)には,図2とともに次の記載がある
「【0045】
<2.第1の実施の形態>
[固体撮像装置の構成例]
図2は本発明に係る固体撮像装置の第1の実施の形態を説明するための模式図である。本実施の形態の固体撮像装置は,裏面照射型のCMOS型固体撮像装置である。第1の実施の形態に係る固体撮像装置21は,例えばシリコンによる半導体基板22に複数の画素が配列された画素領域(いわゆる撮像領域)23と,図示しないが画素領域23の周辺に配置された周辺回路部を形成して構成されている。」
「【0052】
更に,密着層15及び遮光膜39を含む酸化膜38上に平坦化膜41が形成され,この平坦化膜41上に順次オンチップカラーフィルタ42及びオンチップマイクロレンズ43が形成されている。なお,平坦化膜41は,例えば,樹脂等の有機材料で形成することができ,オンチップカラーフィルタ42としては,例えば,ベイヤー配列のカラーフィルタを用いることができる。また,オンチップマイクロレンズ43は,例えば,樹脂等の有機材料で形成することができる。」

引用例4の図2として以下の図面が示されている。

上記図2から,裏面照射型のCMOS固体撮像装置において,オンチップマイクロレンズ43の端面同士が接している構成が見て取れる。


第5 対比
1.本願発明1と引用発明1の対比
本願発明1と上記引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1における「配線23が形成された面とは反対側の基板11の面を受光面とする光電変換部21」は,本願発明1における「表面に配線が形成される半導体基板の裏面に配置される受光面にて入射光を受光して信号電荷を生成する複数の光電変換部」に相当する。
イ 引用発明1における「複数の光電変換部21に対応して設けられた白色フィルタW及び各色フィルタR,G,B」は,本願発明1における「前記複数の光電変換部のそれぞれに対応して1つずつ設けられた少なくとも3色のカラーフィルタ」に相当する。
ウ 引用発明1における「各画素の周縁に相当する位置で,光電変換部21を囲む周囲にパターン形成された反射膜51」は,本願発明1における「複数の前記光電変換部の境界に沿うように形成された遮光膜」に相当する。
エ 引用発明1において,「反射膜51」は,「光電変換部21上に設けられた平坦化絶縁膜29上に設けられ」,「白色フィルタW及び各色フィルタR,G,B」は,「反射膜51が形成された平坦化絶縁膜29上を覆って表面平坦に形成された絶縁膜53」の上に形成されたものであるから,本願発明1の「遮光膜」と引用発明1の「反射膜51」は,ともに「前記カラーフィルタと前記光電変換部との間に」形成された膜である点で一致する。
オ 引用発明1の「混色防止膜55」は,「白色フィルタWと各色フィルタR,G,Bとの間に挟持され」た膜であるから,本願発明1における「隔壁部」と引用発明1における「混色防止膜55」は,ともに「互いに隣接する前記カラーフィルタの間に」形成された「隔壁部」である点で共通する。
カ 引用発明1の「オンチップレンズ57a」は,「白色フィルタW及び各色フィルタR,G,Bの上方に設けられ」たものであるから,「複数の光電変換部21に対応して設けられた」ものと理解できる。また,「オンチップレンズ57a」が「固体撮像装置に入射した光を集光して下方に配置された白色フィルタW及び各色フィルタR,G,Bに入射させる」ことで,入射光が「光電変換部21」に集光されることは明らかである。さらに,引用例1の図12から,引用発明1の「オンチップレンズ57a」が凸レンズ形状であることも明らかである。
そうすると,引用発明1の「オンチップレンズ57a」は本願発明1の「マイクロレンズ」に相当し,両者はともに「前記複数の光電変換部毎に配置されて前記カラーフィルタを介して入射光を前記光電変換部に集光する凸レンズ形状のマイクロレンズ」である点で一致する。
キ 引用発明1の「絶縁膜53」は「反射膜51が形成された平坦化絶縁膜29上を覆って表面平坦に形成された」膜であるから,本願発明1における「平坦化膜」に相当し,両者は「前記遮光膜の上に形成された平坦化膜」である点で共通する。

2.一致点及び相違点
上記1.ア?キの対比によれば,本願発明1と引用発明1の一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点>
「表面に配線が形成される半導体基板の裏面に配置される受光面にて入射光を受光して信号電荷を生成する複数の光電変換部と,
前記複数の光電変換部のそれぞれに対応して1つずつ設けられた少なくとも3色のカラーフィルタと,
前記カラーフィルタと前記光電変換部との間に,複数の前記光電変換部の境界に沿うように形成された遮光膜と,
互いに隣接する前記カラーフィルタの間に形成された隔壁部と,
前記複数の光電変換部毎に配置されて前記カラーフィルタを介して入射光を前記光電変換部に集光する凸レンズ形状のマイクロレンズと,
前記遮光膜の上に形成された平坦化膜と,
を備えた,
固体撮像装置。」である点。
<相違点1>
本願発明1では,「隔壁部」が「これらカラーフィルタと異なる色のカラーフィルタのいずれかと同色の色材を含有して」いるのに対し,引用発明1では,「混色防止膜55」がそのような構成を有することは特定されていない点。
<相違点2>
本願発明1は「互いに屈折率が異なる複数の膜が積層された構成からなり,反射防止膜として機能する,前記半導体基板の光電変換部が臨む裏面上に形成された層間絶縁膜」を有するのに対し,引用発明1では,当該「層間絶縁膜」を有することは特定されていない点。
<相違点3>
本願発明1の「平坦化膜」は,「前記層間絶縁膜と前記遮光膜の上に形成」されているのに対し,引用発明1の「絶縁膜53」は,「前記層間絶縁膜」の上には形成されていない点。
<相違点4>
本願発明1では,「前記複数のマイクロレンズ」が「前記凸レンズ部分において隣接するマイクロレンズの端面同士が前記隔壁部の近傍において接する」のに対し,引用発明1では,「オンチップレンズ67a」がそのような構成を有することは特定されていない点。

第6 相違点についての判断
1.相違点1について
上記第4の2.に摘記した引用例2の記載によれば,固体撮像装置における3色以上のカラーフィルタから構成されるカラーフィルタ層において,2色のカラーフィルタが隣接する画素境界部の少なくとも一部に当該2色とは異なる色のカラーフィルタ壁を有する構成とすることで,斜め光に起因する隣接画素からの混色を防止する技術が公知の技術であったといえる。また,当該公知技術により,製造工程が簡略化され,より低コストな固体撮像装置を提供できることが当業者に知られていたことが理解できる。
一方,引用例1の段落0097によれば,引用発明1における「混色防止膜55」は,斜めから入射した光が隣接して配置された光電変換部に入射することを防止することで,混色を防止して画質の向上を図るための膜であるといえる。そうすると,引用発明1における「混色防止膜55」の構成と引用例2の上記公知技術とは,固体撮像装置における混色防止の技術である点で共通する。加えて,引用例2の公知技術によれば,製造工程の簡略化という効果も期待できるから,当業者にとって,引用発明1において引用例2の公知技術を適用する十分な動機付けがあるといえる。
したがって,引用発明1に引用例2の公知技術を適用して上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

2.相違点2及び3について
相違点2及び3についてまとめて検討する。
下記の周知例1及び周知例2に記載されているように,受光面となる基板裏面に,互いに屈折率の異なる複数層膜で形成された反射防止膜を設け,その上に遮光膜を設け,その上に反射防止膜と遮光膜を覆う平坦化膜を設ける構成は,裏面照射型固体撮像素子における周知の構成であるといえる。
○周知例1:特開2010-186818号公報
本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である上記周知例1には,次の記載がある。
「【0046】
フォトダイオードPDの受光面34となる基板裏面22B上には,絶縁層が形成される。この絶縁層は,本例では反射防止膜36で形成される。反射防止膜36は,屈折率の異なる複数層膜で形成され,本例ではハフニウム酸化(HfO_(2))膜38とシリコン酸化膜37の2層膜で形成される。
【0047】
そして,本実施の形態においては,この反射防止膜36上の画素境界に,すなわち画素境界に対応する部分に遮光膜39が形成される。この遮光膜39は,光を遮光する材料であれば良いが,遮光性が強く,かつ微細加工,例えばエッチングで精度よく加工できる材料として,金属,例えばアルミニウム(Al),あるいはタングステン(W),あるいは銅(Cu)の膜で形成することが好ましい。
【0048】
遮光膜39を含む反射防止膜36上に,平坦化膜41が形成され,この平坦化膜41上に順次オンチップカラーフィルタ42及びその上のオンチップマイクロレンズ43が形成される。オンチップマイクロレンズ43は,例えば,樹脂などの有機材料で形成される。平坦化膜41は,例えば,樹脂などの有機材料で形成することができる。オンチップカラーフルタとしては,例えばベイヤー配列のカラーフィルタが用いられる。光Lは,基板裏面22B側から入射され,オンチップマイクロレンズ43で集光されて各フォトダイオードPDに受光される。」
○周知例2:特開2009-277732号公報
本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である上記周知例2には,次の記載がある。
「【0022】
また,半導体層10の裏面には,反射防止膜45となる絶縁膜が形成される。この反射防止膜45は,例えば半導体層10側からシリコン窒化(SiN)膜12とシリコン酸化(SiO_(2))膜13の積層膜で形成される。この反射防止膜45上にフォトダイオード11の受光部に対応する部分を除いて遮光膜16が形成され,さらにパシベーション膜17,オンチップカラーフィルタの下地密着層を兼ねる平坦化膜18が順次形成される。パシベーション膜17は,上記平坦化膜を構成するものであってもよい。遮光膜16は,金属膜で形成される。さらに,平坦化膜18上に例えば原色の赤(R),緑(G),青(B)のオンチップカラーフィルタ19が形成され,その上にオンチップマイクロレンズ21が形成される。」

そうすると,引用発明1において上記周知の構成を採用し,上記相違点2及び3に係る構成とすることは,当業者が適宜なし得た設計変更であるといえる。また,その効果も当業者の予測し得る範囲内のものである。

3.相違点4について
上記第4の5.(1)(2)に示したとおり,隣接するマイクロレンズの端面同士が接する構成は,引用例3及び引用例4にも記載された周知の構成であり,マイクロレンズが複数の光電変換部毎に配置されて入射光を前記光電変換部に集光するものであることに照らせば,各光電変換部の境界近傍すなわち「前記隔壁部の近傍」において接する構成とすることは,ごく自然になし得たことである。
そうすると,引用発明1において上記相違点4に係る構成とすることは,引用例3及び引用例4に記載された周知技術に照らし,当業者が格別の困難無くなし得たことであるといえる。

4.小括
したがって,本願発明1は,引用例3?4及び周知例1?2に示される周知技術に照らし,引用発明1において引用例2に記載の公知技術を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。


第7 結言
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。


 
審理終結日 2021-04-19 
結審通知日 2021-04-20 
審決日 2021-05-10 
出願番号 特願2018-42278(P2018-42278)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田邊 顕人  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 小川 将之
小田 浩
発明の名称 固体撮像装置、電子機器、及び、固体撮像装置の製造方法  
代理人 松尾 憲一郎  
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