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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H02P
管理番号 1375705
審判番号 不服2020-4432  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-02 
確定日 2021-08-02 
事件の表示 特願2018-248842「モータブレーキ信号的生成方法と装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月22日出願公開、特開2019-122256、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年12月31日(パリ条約による優先権主張 2018年1月4日 中国)の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。

令和元年 7月 2日付け:拒絶理由通知
令和元年 9月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和元年12月 5日付け:拒絶査定(原査定)
令和2年 4月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和3年 3月16日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知
令和3年 6月17日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年12月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし8に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[引用文献等一覧]
A 特開2010-213401号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし7に係る発明は、以下の引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[引用文献等一覧]
1 特開2010-213401号公報(拒絶査定の引用文献A)
2 特開2016-131018号公報
(当審において新たに引用した文献、周知技術を示す文献)
3 特開2013-158769号公報
(当審において新たに引用した文献、周知技術を示す文献)
4 特表2013-507059号公報
(当審において新たに引用した文献、周知技術を示す文献)

第4 本願発明
本願請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、令和3年6月17日に提出された手続補正書に係る手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。なお、下線は、補正された箇所を示す。

「 モータブレーキ信号の生成方法であって、
時間長及び振幅が異なる複数のブレーキ信号を用いてモータをそれぞれ制御して、各前記ブレーキ信号に対応する前記モータの振動残量が得られるステップS1と、
前記モータの振動残量に応じて、各前記ブレーキ信号のうち、性能の優れたブレーキ信号がモータブレーキ信号として選択され、また、前記モータの振動残量が小さいほど、対応するブレーキ信号の性能が優れるステップS2とを含み、
前記モータの振動残量は、各前記ブレーキ信号の終了後の対応する前記モータの最大振動量であり、
前記ステップS1における前記複数のブレーキ信号は、
予め設定された、信号時間長と信号振幅とを含む信号パラメータに応じて、初期ブレーキ信号を生成し、
予め設定されたステップサイズで前記信号パラメータを少なくとも1回調整し、
毎回前記信号パラメータを調整したあとに、調整された前記信号パラメータに応じて、新しいブレーキ信号を生成することにより、生成されるものであり、
前記複数のブレーキ信号は、前記初期ブレーキ信号と、毎回前記信号パラメータを調整したあとに生成された新しいブレーキ信号とを含み、
生成されるモータブレーキ信号のセグメント数Nが1より大きく、前記ステップS2で得られたモータブレーキ信号が第1セグメントモータブレーキ信号とし、
直近に前記モータの振動残量に応じて得られたモータブレーキ信号を既存ブレーキ信号とし、前記複数のブレーキ信号をそれぞれ前記既存ブレーキ信号とつなぎあわせて、
更新された複数のブレーキ信号が得られ、更新された複数のブレーキ信号を用いてモータをそれぞれ制御して、更新された各前記ブレーキ信号に対応する前記モータの振動残量が得られるステップS3と、
前記モータの振動残量に応じて、更新された各前記ブレーキ信号のうち、性能の優れた更新されたブレーキ信号がモータブレーキ信号として選択され、前記モータブレーキ信号のセグメント数に1を加算するステップS4と、
前記ステップS4で得られたモータブレーキ信号のセグメント数が前記Nになると、前記ステップS4で得られたモータブレーキ信号が最終のモータブレーキ信号とされ、前記ステップS4で得られたモータブレーキ信号のセグメント数が前記N未満であると、前記ステップS4で得られたモータブレーキ信号のセグメント数が前記Nになるまで、前記ステップS3に戻って処理を繰り返すステップS5とを、さらに含むことを特徴とするモータブレーキ信号の生成方法。」

なお、本願発明2ないし4は、本願発明1を減縮したものであり、本願発明5は、本願発明1ないし4のいずれかの生成方法を実行する「生成装置」として特定したものであり、本願発明6は、記憶されるコンピュータプログラムが実行されることにより本願発明1ないし4のいずれかの生成方法が実施される「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」として特定したものである。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1(引用文献A)について
(1)引用文献1記載事項
当審拒絶理由に引用された引用文献1(原査定の引用文献A)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、振動モータ及びその振動モータを備える電子機器に関する。」

「【0013】
そこで、本発明は、振動モータの振動を瞬時に収束でき且つ寿命の長い振動モータ及び電子機器の提供を目的とする。」

「【0036】
以下に、添付図面の図1?図7を参照して本発明の第1実施の形態を説明する。第1実施の形態に係る電子機器1は、携帯電話であり、図3に示すように、この電子機器1はタッチパネル3で操作する操作部5を備え、図4に示すように内部には回路基板4上に振動モータ7と、振動モータの駆動制御部9とを備えている。
【0037】
タッチパネル3は、例えば、液晶表示部6に電話番号や機能選択やメール文書を打ち込む為の数字や記号、文字等を示すボタン表示がされており、任意のボタン表示部分に指で触れると、接触圧(抵抗値、静電容量、光等が一般的)を検知して液晶表示部6から駆動制御部9に検知信号を送り、駆動制御部9の制御により振動モータ7を駆動する。
【0038】
振動モータ7は、回転軸7bの先端に偏心した錘(振動子)7cを固定したものであり、振動モータ7に電流を通電することにより、偏心した錘7cが回転して電子機器1に振動を発生する。」

「【0044】
次に、第1実施の形態の動作及び作用効果について説明する。
【0045】
操作部5の入力があると、図1(a)に示すように、CPU12は振動モータ7に駆動パルス電流AをT1時間流して駆動した後、逆方向の電流であるブレーキパルス電流BをT2時間流す。
【0046】
振動モータ7の駆動により、振動モータの回転軸は駆動パルス電流Aの通電を切った後にも慣性力により回転を続けようとするが(図1(b)のTe参照)、本実施の形態では、図1(a)に示すように、駆動パルス電流AをT1時間流した後に、ブレーキパルス電流BをT2時間流しているので、振動子7cの回転を制動し、瞬時に振動モータ7の駆動が停止するので、駆動パルス電流Aを停止した後の振動子7cの回転(振動)の収束時間Teを短くできる。
【0047】
これに対して、図1(b)に示すように、従来はブレーキパルス電流Bを付与していないので、駆動パルス電流AをT1時間流した後にも、慣性力により回転軸が回り続け、振動の収束時間Teが長くなるが、本発明では、図1(a)に示すように、振動の収束時間を従来よりも極めて短くできる。」

「【0052】
ここで、図5を参照して、ブレーキパルス電流Bの最適な通電時間T2について説明する。図5は、駆動電流Aの通電時間T1を60msとした場合において、ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を種々変えたときの収束時間Tsを測定した結果である。尚、電圧は3vであり、振動子の加速度αは0.8gで略一定であった。
【0053】
図5から明らかなように、駆動電流Aの通電時間T1が60msに対して、ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を略30msにした場合に、収束時間が最短(約75ms)となっていることが明らかである。
【0054】
即ち、電圧が同じ場合、ブレーキパルス電流Bの通電時間T2は、駆動パルス電流Aの通電時間T1よりも小さく、好ましくは略半分であることがわかる。」

「【図1】



「【図5】



上記の記載より、引用文献1(引用文献A)には、「振動モータの振動を瞬時に収束でき且つ寿命の長い振動モータ及び電子機器の提供を目的」(【0013】)とし、「操作部5の入力があると、CPU12は振動モータ7に駆動パルス電流AをT1時間流して駆動した後、逆方向の電流であるブレーキパルス電流BをT2時間流す」(【0044】)「電子機器」が記載されており、「ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を種々変えたときの収束時間Tsを測定」(【0052】)することは、前記「目的」のうち、特に「振動モータの振動を瞬時に収束」できるようにするために、「ブレーキパルス電流Bの最適な通電時間T2」を決定する方法、すなわち、「最適な通電時間T2」を備える「ブレーキパルス電流B」を生成する方法を実行するものといえる。

(2)引用発明
前記(1)より、上記引用文献1(引用文献A)には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 振動モータ及びその振動モータを備える電子機器に関し、
振動モータの振動を瞬時に収束でき且つ寿命の長い振動モータ及び電子機器の提供を目的とし、
電子機器1は、携帯電話であり、電子機器1はタッチパネル3で操作する操作部5を備え、内部には回路基板4上に振動モータ7と、振動モータの駆動制御部9とを備え、
タッチパネル3は、例えば、液晶表示部6に電話番号や機能選択やメール文書を打ち込む為の数字や記号、文字等を示すボタン表示がされており、任意のボタン表示部分に指で触れると、接触圧(抵抗値、静電容量、光等が一般的)を検知して液晶表示部6から駆動制御部9に検知信号を送り、駆動制御部9の制御により振動モータ7を駆動し、
振動モータ7は、回転軸7bの先端に偏心した錘(振動子)7cを固定したものであり、振動モータ7に電流を通電することにより、偏心した錘7cが回転して電子機器1に振動を発生し、
第1実施の形態の動作において、操作部5の入力があると、CPU12は振動モータ7に駆動パルス電流AをT1時間流して駆動した後、逆方向の電流であるブレーキパルス電流BをT2時間流し、
ブレーキパルス電流Bの最適な通電時間T2について、駆動電流Aの通電時間T1を60msとした場合において、ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を種々変えたときの収束時間Tsを測定した結果であり、尚、電圧は3vであり、振動子の加速度αは0.8gで略一定であり、
駆動電流Aの通電時間T1が60msに対して、ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を略30msにした場合に、収束時間が最短(約75ms)となっており、即ち、電圧が同じ場合、ブレーキパルス電流Bの通電時間T2は、駆動パルス電流Aの通電時間T1よりも小さく、好ましくは略半分である、
電子機器において、最適な通電時間T2を備えるブレーキパルス電流Bを生成する方法。」

2 引用文献2ないし4について
(1)引用文献2について
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【請求項18】
触覚出力デバイスを制御するためのシステムであって、
プロセッサと、
触覚出力デバイスを含む触覚周辺装置であって、該触覚出力デバイスは、前記モータを自動的に始動させおよび前記モータに自動的にブレーキをかけるための内部制御を持つブラシレスの電気的なDCモータであって、該触覚出力デバイスは、前記プロセッサから制御信号を受信し、前記プロセッサからの該制御信号に応じて該触覚周辺装置に或るプロファイルを持つ触覚効果を出力するように構成される、触覚周辺装置と、
前記触覚出力デバイスに結合されたセンサであって、前記センサは、前記触覚出力デバイスへの位置、速度、または加速度を検知するように構成されるセンサとを含み、
前記プロセッサは、前記制御信号が、前記触覚効果のプロファイルに、前記望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少に本質的に一致する強度増加または強度減少を含ませるように、少なくとも1つの強度増加または強度減少を含む望まれる触覚効果の波形および前記センサから受信された信号に依存して、前記触覚出力デバイスに対する前記制御信号を変動させるように構成される、システム。」

「【0035】
より詳細には、図5を参照すると、第1の制御信号132は、望まれる触覚効果の波形130に厳密に一致するか、または従うプロファイルを用いて示されている。しかしながら、図1に関して記述したように、第1の制御信号132が特定の触覚出力デバイスに適用される場合、出力の触覚効果のプロファイルは、第1の制御信号132にも、望まれる触覚効果の波形130にも一致しないし従わない。本明細書の実施形態では、第1の制御信号132は、ホスト・コンピュータ104および/または触覚周辺装置100に格納される基礎制御信号とすることができる。図5の第2の制御信号533は、図4のフローチャートにより第1の制御信号132がどのように修正され得るかの実例である。入力として受信される触覚出力デバイスのそれぞれのセンサからの触覚出力デバイスの現在の動作状態情報を用いて、ホスト・コンピュータ104のプロセッサおよび/または触覚周辺装置100のプロセッサ108によって実行されたアルゴリズムは、触覚出力デバイスの現在の動作状態を補正または考慮するために、第1の制御信号132を第2の制御信号533へと修正または変更する。触覚出力デバイスに適用された場合、第2の制御信号533は、望まれる触覚効果の波形130に厳密にまたは本質的に一致するか、または従う触覚効果534を結果として生じさせる。」

「【0038】
とりわけ、図4のフローチャートにより修正されるような第2の制御信号533は、第1の制御信号132および望まれる触覚効果の波形130とは異なるプロファイル/形状を持つ異なる信号または波形である。より詳細には、図5を参照すると、第1の制御信号132は、触覚効果の強度または振幅における増加を含むキック(kick:跳ね上がり)156と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第1の期間または時間区分172と、触覚効果の強度または振幅における減少を含む第1のブレーキ158と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第2の期間または時間区分174と、触覚効果の強度または振幅における減少を含む第2のブレーキ160と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第3の期間または時間区分176とを含む。反対に、第2の制御信号533は、触覚効果の強度または振幅における増加を含む第1のキック162と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第1の期間または時間区分178と、触覚効果の強度または振幅における減少を含む第1のブレーキ164と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第2の期間または時間区分180と、触覚効果の強度または振幅における増加を含む第2のキック166と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第3の期間または時間区分182と、触覚効果の強度または振幅における減少を含む第2のブレーキ168と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第4の期間または時間区分184と、触覚効果の強度または振幅における増加を含む第3のキック170と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第5の期間または時間区分186とを含む。」

「【図4】



「【図5】



よって、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「 触覚出力デバイスを制御するためのシステムであって、
プロセッサと、
触覚出力デバイスを含む触覚周辺装置であって、該触覚出力デバイスは、前記モータを自動的に始動させおよび前記モータに自動的にブレーキをかけるための内部制御を持つブラシレスの電気的なDCモータであって、該触覚出力デバイスは、前記プロセッサから制御信号を受信し、前記プロセッサからの該制御信号に応じて該触覚周辺装置に或るプロファイルを持つ触覚効果を出力するように構成される、触覚周辺装置と、
前記触覚出力デバイスに結合されたセンサであって、前記センサは、前記触覚出力デバイスへの位置、速度、または加速度を検知するように構成されるセンサとを含み、
前記プロセッサは、前記制御信号が、前記触覚効果のプロファイルに、前記望まれる触覚効果の波形の強度増加または強度減少に本質的に一致する強度増加または強度減少を含ませるように、少なくとも1つの強度増加または強度減少を含む望まれる触覚効果の波形および前記センサから受信された信号に依存して、前記触覚出力デバイスに対する前記制御信号を変動させるように構成される、システムにおいて、
第1の制御信号132は、望まれる触覚効果の波形130に厳密に一致するか、または従うプロファイルを用いて示されているが、第1の制御信号132が特定の触覚出力デバイスに適用される場合、出力の触覚効果のプロファイルは、第1の制御信号132にも、望まれる触覚効果の波形130にも一致しないし従うものでもなく、
第1の制御信号132は、ホスト・コンピュータ104および/または触覚周辺装置100に格納される基礎制御信号であり、
入力として受信される触覚出力デバイスのそれぞれのセンサからの触覚出力デバイスの現在の動作状態情報を用いて、ホスト・コンピュータ104のプロセッサは、第1の制御信号132を第2の制御信号533へと修正または変更し、
修正されるような第2の制御信号533は、第1の制御信号132および望まれる触覚効果の波形130とは異なるプロファイル/形状を持つ異なる信号または波形であり、
第2の制御信号533は、触覚効果の強度または振幅における増加を含む第1のキック162と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第1の期間または時間区分178と、触覚効果の強度または振幅における減少を含む第1のブレーキ164と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第2の期間または時間区分180と、触覚効果の強度または振幅における増加を含む第2のキック166と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第3の期間または時間区分182と、触覚効果の強度または振幅における減少を含む第2のブレーキ168と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第4の期間または時間区分184と、触覚効果の強度または振幅における増加を含む第3のキック170と、触覚効果が以前の強度で継続されるように、触覚効果の振幅または強度の変更のない第5の期間または時間区分186とを含む、こと。」

(2)引用文献3について
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
分野
一実施形態は、アクチュエータ、および特にハプティック効果を生成するために使用されるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0003】
電子デバイスの製造者はユーザにとって豊かなインターフェースを製造することに注力している。従来のデバイスは、ユーザにフィードバックを提供するために、視覚的及び聴覚的合図を用いている。一部のインターフェースデバイスにおいて、より一般的には総括して「ハプティックフィードバック(触覚フィードバック)」又は「ハプティック効果(触覚的効果)」として知られる、運動感覚フィードバック(作用力及び抵抗力フィードバック等)及び/又はタクタイル(触知的)フィードバック(振動、触感、及び熱等)もまた、ユーザに提供される。ハプティックフィードバックは、ユーザインターフェースを強化及び単純化するきっかけを提供し得る。具体的に、振動効果、すなわち振動ハプティック効果は、ユーザに特定のイベントを通知するために、電子デバイスのユーザへの合図を提供するのに有用であり得るか、又はシミュレート環境もしくは仮想環境内でより大きく感覚を集中させるために、現実的なフィードバックを提供し得る。」

「【0007】
一実施形態は、偏心回転質量(「ERM」)アクチュエータを用いてハプティック効果を生成するシステムである。このシステムは、ERMアクチュエータの逆起電力(「EMF」)を決定し、1つ以上のパラメータを含むハプティック効果信号を受信し、そのパラメータのうちの1つは時間の関数として電圧振幅レベルである。そのシステムは、少なくとも逆EMFに基づいて電圧振幅レベルを変化させ、変化させたハプティック効果信号をERMアクチュエータに適用する。」

「【0027】
図5は、本発明の一実施形態に係るERM18のブレーキ時間を決定するためのERMドライブモジュール22の機能のフロー図である。
【0028】
501において、試験時間T3は5msなどの低い初期値に設定されるが、T3についての初期値は、ERM18についてのブレーキ時間より少ない可能性のある任意の値であってもよい。
【0029】
503において、定格またはオーバードライブ電圧は、少なくとも立ち上がり時間T2の間、ERM18に印加される。定格電圧を使用する場合、電圧がどれくらいの時間印加され得るかという典型的な制限はない。オーバードライブ電圧を使用する場合、一実施形態における電圧は、ほぼ立ち上がり時間T2の間、印加され、それより長くならない。オーバードライブ電圧を印加する目的は、一旦平衡に達してから、アクチュエータを標的加速電圧回転にすることである。
【0030】
505において、十分な逆オーバードライブ電圧が試験時間T3(システム10の作動の間、オーバードライブ電圧を使用する場合)の間、ERM18に印加されるか、またはそうでなければ、十分な逆定格電圧が試験時間T3の間、印加される。
【0031】
507において、逆EMFは定常信号としてERM18から読み取られる。509において、逆EMFが、ブレーキ時間の下限の閾値、例えばSSCEの10%より低い場合、511において、ブレーキ時間がT3の値に設定される。そうでなければ、513において、システムは、ゼロに戻るまでERM18の逆EMFを待ち、515において、増分ブレーキ時間値、例えば5msがT3に加えられる。次いでその機能を503で継続する。ブレーキ時間の下限閾値は任意の値であってもよいが、典型的な値はSSCEの0%?20%の範囲であり得る。増分ブレーキ時間値もまた、任意の値であってもよいが、典型的な値は、作動の間、オーバードライブ電圧を使用するシステム10の実施形態について5ms?40msの範囲であり得る。」

「【図5】



よって、引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「 アクチュエータ、および特にハプティック効果を生成するために使用されるアクチュエータに関し、
一部のインターフェースデバイスにおいて、より一般的には総括して「ハプティックフィードバック(触覚フィードバック)」又は「ハプティック効果(触覚的効果)」として知られ、具体的に、振動効果、すなわち振動ハプティック効果は、ユーザに特定のイベントを通知するために、電子デバイスのユーザへの合図を提供するのに有用であり、
一実施形態は、偏心回転質量(「ERM」)アクチュエータを用いてハプティック効果を生成するシステムであり、このシステムは、ERMアクチュエータの逆起電力(「EMF」)を決定し、1つ以上のパラメータを含むハプティック効果信号を受信し、そのパラメータのうちの1つは時間の関数として電圧振幅レベルであり、そのシステムは、少なくとも逆EMFに基づいて電圧振幅レベルを変化させ、変化させたハプティック効果信号をERMアクチュエータに適用し、
ERM18のブレーキ時間を決定するためのERMドライブモジュール22の機能のフローは、
501において、試験時間T3は5msなどの低い初期値に設定され、
503において、定格またはオーバードライブ電圧は、少なくとも立ち上がり時間T2の間、ERM18に印加され、
505において、十分な逆オーバードライブ電圧が試験時間T3(システム10の作動の間、オーバードライブ電圧を使用する場合)の間、ERM18に印加されるか、またはそうでなければ、十分な逆定格電圧が試験時間T3の間、印加され、
507において、逆EMFは定常信号としてERM18から読み取られ、509において、逆EMFが、ブレーキ時間の下限の閾値、例えばSSCEの10%より低い場合、511において、ブレーキ時間がT3の値に設定され、そうでなければ、513において、システムは、ゼロに戻るまでERM18の逆EMFを待ち、515において、増分ブレーキ時間値、例えば5msがT3に加えられ、次いでその機能を503で継続する、こと。」

(3)引用文献4について
当審拒絶理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0013】
電子装置がその現在動作状態を自律的に観察しそしてそれに応じてユーザアラートを調整できるようにする電子装置の実施形態が開示される。電子装置は、一連のセンサ特性を通してその現在動作環境(例えば、屋内、屋外、ハンドバッグ又はバッグ内、等)を決定する。これらのセンサ測定に基づいて、電子装置は、現在動作環境に適するようにユーザアラートを選択し及び/又は最適化する。例えば、ある実施形態では、センサ測定を使用して、考えられるユーザアラートのどれが電子装置の現在動作環境に最も適するか決定することができ、例えば、現在動作環境が屋内の会議室である場合には、聴覚アラートは、この動作環境に最も適したユーザアラートではない。他の実施形態では、センサ測定を使用してユーザアラートを最適化することができる。例えば、ある実施形態では、モータを動作して電子装置を振動させ、そして触覚作用を通してユーザの注意を得ることを含む。これらの実施形態では、センサの測定を使用して、電子装置がその電子装置の現在動作環境に最良に対応するターゲット周波数を達成するように、モータを能動的に同調させることができる。」

「【0017】
二次機能の別の例として、センサ(1つ又は複数)は、触覚装置の動作パラメータを決定するのに使用される。より特定の例として、加速度計からの測定値は、一次的に、装置100の配向を決定するためにしばしば使用される。しかしながら、ある場合には、加速度計によって出力される信号を双方向ソフトウェア(ビデオゲームのような)と共に使用して、ユーザゲームプレイのための付加的な入力装置をなし、加速度計の二次機能とすることができる。この例を続けると、加速度計は、触覚装置の動作を決定するように転用されてもよい。例えば、触覚装置が動作するときに、加速度計を使用して、触覚装置の動作パラメータ(周波数のような)を直接測定し、触覚フィードバックが低下したかどうか決定することができる。加速度計は、動作中の触覚装置の動きの範囲を記憶されたプロフィールと比較して、触覚フィードバックが強過ぎるか弱過ぎるか決定することができる。以下に詳細に述べるように、決定された動作範囲からの逸脱を修正するために、フィードバック制御ループを設けることができる。」

「【0047】
更に別の実施形態では、基準値を増分的にステップさせることにより最大ターゲット周波数が決定される。例えば、記憶ユニット605に記憶された基準値は、実質的にゼロであり(例えば、数ヘルツ程度)、この基準値は、この初期値から最大基準値までステップアップされる。この基準値がステップされ、そしてこの変化する基準値に制御システム600が反応するときに、加速度計510の測定値は、電子装置500の最大ターゲット周波数を見出すためにプロセッサ516により記憶される。このように基準値の範囲を通してステップすることにより、プロセッサ516は、電子装置500のターゲット周波数スペクトルに複数のターゲット周波数高調波があるかどうか決定すると共に、それら高調波のどれが電子装置500の最大ターゲット周波数を生じるか決定する。」
よって、引用文献4には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「 電子装置がその現在動作状態を自律的に観察しそしてそれに応じてユーザアラートを調整できるようにする電子装置において、
ある実施形態では、センサ測定を使用して、考えられるユーザアラートのどれが電子装置の現在動作環境に最も適するか決定することができ、
ある実施形態では、モータを動作して電子装置を振動させ、そして触覚作用を通してユーザの注意を得ることを含み、センサの測定を使用して、電子装置がその電子装置の現在動作環境に最良に対応するターゲット周波数を達成するように、モータを能動的に同調させることができ、
触覚装置が動作するときに、加速度計を使用して、触覚装置の動作パラメータ(周波数のような)を直接測定し、触覚フィードバックが低下したかどうか決定することができる。加速度計は、動作中の触覚装置の動きの範囲を記憶されたプロフィールと比較して、触覚フィードバックが強過ぎるか弱過ぎるか決定することができ、
別の実施形態では、基準値を増分的にステップさせることにより最大ターゲット周波数が決定され、例えば、記憶ユニット605に記憶された基準値は、実質的にゼロであり(例えば、数ヘルツ程度)、この基準値は、この初期値から最大基準値までステップアップされ、この基準値がステップされ、そしてこの変化する基準値に制御システム600が反応するときに、加速度計510の測定値は、
電子装置500の最大ターゲット周波数を見出すためにプロセッサ516により記憶される、こと。」

第6 当審拒絶理由についての判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明において、「CPU12」が「振動モータ7」に対して流す「ブレーキパルス電流B」は、「振動モータ7」に対する「ブレーキ信号」すなわち「モータブレーキ信号」といい得るものである。
よって、引用発明において、「最適な通電時間T2」を備える「ブレーキパルス電流B」を生成する方法は、本願発明1の「モータブレーキ信号の生成方法」に相当する。

イ 引用発明の「振動モータ」は、本願発明1の「モータ」に相当する。
また、引用発明の「ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を種々変えたとき」は、「通電時間T2」が異なる複数の「ブレーキパルス電流B2」を用いることを意味する。
よって、引用発明の「ブレーキパルス電流Bの最適な通電時間T2について、駆動電流Aの通電時間T1を60msとした場合において、ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を種々変えたときの収束時間Tsを測定した結果であり、尚、電圧は3vであり、振動子の加速度αは0.8gで略一定であり」との構成は、「通電時間T2」(時間長)が異なるが「電圧」(振幅)が「3v」である複数の「ブレーキパルス電流B2」を用いて、「駆動電流Aの通電時間T1を60msとした場合」及び「(振動モータの)振動子の加速度αは0.8gで略一定」との条件下における「振動モータ」(モータ)をそれぞれ制御して、各「ブレーキパルス電流B2」に対応する「収束時間Ts」が得られるステップを実行するものといえ、当該ステップを「ステップS1」と称することは任意である。
よって、引用発明において、「通電時間T2」が異なるが「電圧」が「3v」である複数の「ブレーキパルス電流B2」は、本願発明1の「時間長及び/又は振幅が異なる複数のブレーキ信号」に含まれる。
また、本願発明1の「モータの振動残量」は、「各前記ブレーキ信号の終了後の対応する前記モータの最大振動量」であることからすれば、引用発明の「収束時間Ts」と本願発明1の「モータの振動残量」とは、「モータ」に複数の「ブレーキ信号」を適用した後に得られる「ブレーキ信号」に対応する「モータのデータ」である点において共通する。
以上より、引用発明と本願発明1の「時間長及び/又は振幅が異なる複数のブレーキ信号を用いてモータをそれぞれ制御して、各前記ブレーキ信号に対応する前記モータの振動残量が得られるステップS1」とは、「時間長及び/又は振幅が異なる複数のブレーキ信号を用いてモータをそれぞれ制御して、各前記ブレーキ信号に対応する前記モータのデータが得られるステップS1」との構成を備える点において共通する。

ウ 引用発明は、「駆動電流Aの通電時間T1が60msに対して、ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を略30msにした場合に、収束時間が最短(約75ms)となっており、即ち、電圧が同じ場合、ブレーキパルス電流Bの通電時間T2は、駆動パルス電流Aの通電時間T1よりも小さく、好ましくは略半分である」との構成を備えることから、「振動モータの振動を瞬時に収束でき」との目的を実現するために、「振動モータの振動」の「収束時間Ts」が「最短」となる「通電時間T2」を備える「ブレーキパルス電流B2」が「性能の優れた」「ブレーキパルス電流B2」として選択されるステップを実行するものといえ、当該ステップを「ステップS2」と称することは任意である。
また、前記した構成と「振動モータの振動を瞬時に収束でき」との目的からすれば、引用発明においては、前記「収束時間Ts」の値が小さいほど、対応する「ブレーキパルス電流B2」の「性能が優れる」と評価することは明らかである。
以上より、前記イを参酌すると、引用発明と、本願発明1の「前記モータの振動残量に応じて、各前記ブレーキ信号のうち、性能の優れたブレーキ信号がモータブレーキ信号として選択され、また、前記モータの振動残量が小さいほど、対応するブレーキ信号の性能が優れるステップS2」とは、「前記モータのデータに応じて、各前記ブレーキ信号のうち、性能の優れたブレーキ信号がモータブレーキ信号として選択され、また、前記モータのデータが小さいほど、対応するブレーキ信号の性能が優れるステップS2」との構成を備える点において共通する。

エ 引用発明において、「ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を種々変え」ることにより、「通電時間T2」が異なる複数の「ブレーキパルス電流B2」を生成するにあたり、「通電時間T2を変え」る元となる、最初に生成される「ブレーキパルス電流B2」は、本願発明1の「初期ブレーキ信号」に相当し、上記イからすれば、最初に生成される「ブレーキパルス電流B2」は、所定の、すなわち「予め設定された」「通電時間T2」(信号時間長)及び「電圧(3V)」(信号振幅)とを含む「信号パラメータ」に応じたものといえる。
よって、引用発明において、「通電時間T2」が異なる複数の「ブレーキパルス電流B2」を生成するステップS1は、本願発明1の「予め設定された、信号時間長と信号振幅とを含む信号パラメータに応じて、初期ブレーキ信号を生成」する処理を含む。

オ 引用発明の「ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を種々変え」ることは、前記エを参酌すると、「信号パラメータ」に含まれる「信号時間長」を「少なくとも1回調整」することといえる。
よって、引用発明において、「通電時間T2」が異なる複数の「ブレーキパルス電流B2」を生成するステップS1と、本願発明1の「予め設定されたステップサイズで前記信号パラメータを少なくとも1回調整」する処理とは、「前記信号パラメータを少なくとも1回調整」する処理を含む点において共通する。
また、引用発明において、「通電時間T2」を「変え」た後の「ブレーキパルス電流B」は、「新しいブレーキ信号」といい得るものである。
そうすると、引用発明の「通電時間T2」が異なる複数の「ブレーキパルス電流B2」と、本願発明1の「前記複数のブレーキ信号」が「毎回前記信号パラメータを調整したあとに、調整された前記信号パラメータに応じて、新しいブレーキ信号を生成することにより、生成されるもの」であることとは、「前記信号パラメータを調整したあとに、調整された前記信号パラメータに応じて、新しいブレーキ信号を生成することにより、生成されるもの」であることを含む点において共通する。

カ 前記エ及びオを参酌すると、引用発明と、本願発明1の「前記複数のブレーキ信号は、前記初期ブレーキ信号と、毎回前記信号パラメータを調整したあとに生成された新しいブレーキ信号とを含む」とは、「前記複数のブレーキ信号は、前記初期ブレーキ信号と、前記信号パラメータを調整したあとに生成された新しいブレーキ信号とを含む」との共通の構成を備える。

(2)一致点、相違点
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の点において一致ないし相違する。

[一致点]
「 モータブレーキ信号の生成方法であって、
時間長及び/又は振幅が異なる複数のブレーキ信号を用いてモータをそれぞれ制御して、各前記ブレーキ信号に対応する前記モータのデータが得られるステップS1と、
前記モータのデータに応じて、各前記ブレーキ信号のうち、性能の優れたブレーキ信号がモータブレーキ信号として選択され、また、前記モータのデータが小さいほど、対応するブレーキ信号の性能が優れるステップS2とを含み、
前記ステップS1における前記複数のブレーキ信号は、
予め設定された、信号時間長と信号振幅とを含む信号パラメータに応じて、初期ブレーキ信号を生成し、
前記信号パラメータを少なくとも1回調整し、
前記信号パラメータを調整したあとに、調整された前記信号パラメータに応じて、新しいブレーキ信号を生成することにより、生成されるものであり、
前記複数のブレーキ信号は、前記初期ブレーキ信号と、前記信号パラメータを調整したあとに生成された新しいブレーキ信号とを含むことを特徴とするモータブレーキ信号の生成方法。」

[相違点]
<相違点1>
共通点である「モータのデータ」が、本願発明1は、「モータの振動残量」であって、「前記モータの振動残量は、各前記ブレーキ信号の終了後の対応する前記モータの最大振動量であり」との構成を備えるのに対し、引用発明は、「振動モータの振動」の「収束時間Ts」である点。

<相違点2>
共通点である「前記信号パラメータを少なくとも1回調整」する処理が、本願発明1は、「予め設定されたステップサイズで」なされるのに対し、引用発明は、「ブレーキパルス電流Bの通電時間T2を種々変え」る処理において、「ブレーキパルス電流Bの通電時間T2」を変える(信号パラメータを調整する)手法を具体的に特定していない点。

<相違点3>
本願発明1の「新しいブレーキ信号」は、「毎回前記信号パラメータを調整したあとに」生成され、よって、「前記複数のブレーキ信号」は、「毎回前記信号パラメータを調整したあとに」生成される「新しいブレーキ信号」を含むのに対し、引用発明は、「ブレーキパルス電流Bの通電時間T2」を変える処理が、「毎回」「通電時間T2」を変えたあとに(毎回前記信号パラメータを調整したあとに)なされるよう具体的に特定しておらず、よって、「通電時間T2」が異なる複数の「ブレーキパルス電流B2」が「毎回」「通電時間T2」を変えたあとに生成される「ブレーキパルス電流B2」を含むことを具体的に特定していない点。

<相違点4>
本願発明1は、
「生成されるモータブレーキ信号のセグメント数Nが1より大きく、前記ステップS2で得られたモータブレーキ信号が第1セグメントモータブレーキ信号とし、
直近に前記モータの振動残量に応じて得られたモータブレーキ信号を既存ブレーキ信号とし、前記複数のブレーキ信号をそれぞれ前記既存ブレーキ信号とつなぎあわせて、
更新された複数のブレーキ信号が得られ、更新された複数のブレーキ信号を用いてモータをそれぞれ制御して、更新された各前記ブレーキ信号に対応する前記モータの振動残量が得られるステップS3と、
前記モータの振動残量に応じて、更新された各前記ブレーキ信号のうち、性能の優れた更新されたブレーキ信号がモータブレーキ信号として選択され、前記モータブレーキ信号のセグメント数に1を加算するステップS4と、
前記ステップS4で得られたモータブレーキ信号のセグメント数が前記Nになると、前記ステップS4で得られたモータブレーキ信号が最終のモータブレーキ信号とされ、前記ステップS4で得られたモータブレーキ信号のセグメント数が前記N未満であると、前記ステップS4で得られたモータブレーキ信号のセグメント数が前記Nになるまで、前記ステップS3に戻って処理を繰り返すステップS5とを、さらに含む」
との構成を備えるのに対し、引用発明は、当該構成を具体的に特定するものではない点。

(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討する。
相違点4に係る本願発明1の構成は、要するに、複数のブレーキ信号のセグメントのそれぞれを用いてモータを制御することによって得られるモータの振動残量に基づいて最適なブレーキ信号のセグメントを選択して既存のブレーキ信号につなげるという処理をN回繰り返すことによって、N個のブレーキ信号のセグメントをつなぎ合わせた最終のブレーキ信号を決定する、というものである。
しかしながら、当該構成は、上記引用文献2ないし4には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
なお、引用文献2記載事項にあるように、所望の触覚効果の波形130が得られるように触覚生成デバイスを制御する第2制御信号を、加速度を検知するセンサから受信した信号(振動)に基づいて生成すること、及び、当該第2制御信号が、第1の期間または時間区分178ないし第2の期間又は時間区分186(複数(5つ)のセグメント)からなることは本願優先日前の周知技術といえるが、引用文献2には、加速度を検知するセンサから受信した信号(振動)に基づいて最適な制御信号を選択して既存の制御信号につなぎ合わせるという処理を、期間又は時間区分(セグメント)の数だけ繰り返すことにより第2制御信号を生成することは記載されておらず、そのことが自明ともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし4について
本願発明2ないし4も、上記相違点4に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明5及び6について
本願発明5は、本願発明1ないし4のいずれかの生成方法を実行する「生成装置」として特定したものであり、本願発明6は、記憶されるコンピュータプログラムが実行されることにより本願発明1ないし4のいずれかの生成方法が実施される「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」として特定したものである。
よって、本願発明5及び6は、いずれも上記相違点4に係る本願発明1の構成に対応する技術的事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
本件補正により、補正後の請求項1ないし6は、上記相違点4に係る本願発明の構成又はこれに対応する技術的事項を有するものとなった。当該構成又は技術的事項は、原査定における引用文献A(当審拒絶理由の引用文献1)には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし6は、当業者であっても、原査定における引用文献Aに記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-07-13 
出願番号 特願2018-248842(P2018-248842)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H02P)
最終処分 成立  
前審関与審査官 池田 聡史  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 林 毅
小田 浩
発明の名称 モータブレーキ信号的生成方法と装置  
代理人 西内 盛二  
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