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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 出願日、優先日、請求日 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1375746
審判番号 不服2020-3123  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-05 
確定日 2021-07-27 
事件の表示 特願2018- 85165「タッチスクリーンを有する携帯端末機及びそのユーザインターフェース提供方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 2日出願公開、特開2018-120636、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年8月29日(パリ条約による優先権主張 2011年8月30日、韓国)に出願した特願2012-188765号の一部を、平成30年4月26日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 1月22日付け:拒絶理由通知
令和 元年 7月 1日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年10月31日付け:拒絶査定(原査定)
令和 2年 3月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年 2月16日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知
令和 3年 5月28日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

1 分割要件違反
本願の請求項1に記載の「コールシグナル(call signal)の受信に伴って、前記スピーカーを介してサウンドが出力される間、前記タッチスクリーンを介してタッチ入力を検出し、前記タッチ入力に対応するタッチ領域の大きさが予め設定された条件を満たすことに対応して、前記コールシグナルに対応するサウンドの出力を中断し、前記予め設定された条件を満たすタッチ入力が予め設定された時間の間維持されることに対応して、前記携帯端末機のモードを変更する動作を実行する」及び当該記載に対応する請求項7及び13の記載(特に、上記下線部の「コールシグナル」に関する事項)は、分割の基礎となる原出願(特願2012-188765号)に最初に添付された特許請求の範囲、明細書又は図面に記載したものではないから、本願は、分割出願の要件を満たしておらず、出願日の遡及が認められない。

2 拒絶の理由(進歩性欠如)
前記1のとおり、本願は、出願日の遡及が認められないから、本願の請求項1ないし15に係る発明は、本願の現実の出願日である平成30年4月26日を基準として新規性及び進歩性に係る判断をする。
本願の請求項1ないし15に係る発明は、以下の引用文献A及びBに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[引用文献等一覧]
A 特開2015-118701号公報
B 特開2013-050952号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

[理由1](明確性要件違反)
本願の請求項2、4及び6に係る発明は、以下の点において明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1)請求項2、4及び6に記載の「少なくとも1つよって」は、日本語として明確ではない。
(2)請求項2、4及び6は、「1つ」の「座標」のみにより「領域」が「定義」される場合を含み、明確ではない。
(3)請求項2、4及び6の記載は、タッチされた「領域」の何に基づいて「パームタッチ入力」に関する判断をするのか明確ではない。

[理由2](サポート要件違反)
本願の請求項1ないし6に係る発明は、以下の点において発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(1)請求項1、3及び5の記載において、「パームタッチ入力」により「画面」を表示する動作を「終了」することは、発明の詳細な説明に記載したものではない。
(2)請求項2、4及び6の記載は、「領域」の「面積」以外の事項に基づいて「パームタッチ入力」に関する判断をする場合を含むから、発明の詳細な説明に記載したものではない。

[理由3](進歩性欠如)
本願請求項1ないし6に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[引用文献等一覧](いずれも当審において新たに引用した文献)
1 特開2010-277198号公報
2 特開2010-277183号公報
3 特表2006-527439号公報

第4 本願発明
本願請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、令和3年5月28日に提出された手続補正書に係る手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、このうち、本願発明1及び2は以下のとおりの発明である。(なお、下線は、補正された箇所を示す。)

「 【請求項1】
携帯端末機において、
タッチ入力を受信するタッチスクリーンと、
スピーカーと、
アプリケーションの活性化に対応して前記タッチスクリーン上に映像を再生し、前記スピーカーを介して音声を再生し、
前記映像及び音声が再生される間、前記タッチスクリーンを介してタッチ入力を検出し、
前記タッチ入力がパームタッチ入力であるか否かを判断し、
前記パームタッチ入力に対応するタッチ入力が予め設定された時間の間保持されることに対応し、前記映像の再生及び前記音声の再生を停止し、前記パームタッチ入力が解除されることに対応し、前記映像の再生及び前記音声の再生を継続する制御部と、を有することを特徴とする携帯端末機。」

「 【請求項2】
前記制御部は、前記タッチ入力の間、前記タッチ入力に対応する複数の座標によって前記タッチスクリーンのタッチされた面積を検出し、
前記検出された面積に基づき、前記タッチ入力が前記パームタッチ入力に対応するか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末機。」

なお、本願発明3及び4はそれぞれ、本願発明1及び2のそれぞれを「ユーザインターフェース提供方法」の発明として特定したものであり、本願発明5及び6はそれぞれ、本願発明1及び2のそれぞれを「記録媒体」の発明として特定したものであって、それぞれ、本願発明1又は2とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第5 分割要件違反について
本件補正後の請求項1ないし6に係る発明は、「コールシグナル」に関する事項を特定するものではなく、分割の基礎となる原出願(特願2012-188765号)に最初に添付された特許請求の範囲、明細書又は図面に記載したものであるから、本願は、分割出願の要件を満たしており、出願日の遡及が認められる。

第6 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1記載事項
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。」

「【0019】
[2.情報処理装置100の機能構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置100の機能構成例を示すブロック図である。情報処理装置100は、表示パネル101、遠隔センサ107、操作体検出部109、状態検出部111、記憶部113、表示制御部115、制御部117を含んで構成される。
【0020】
表示パネル101は、接触近接センサ103および表示部105として機能する。接触近接センサ103は、操作体Mの接触・近接状態を捉える。接触近接センサ103は、光学式、静電容量式等のセンサであるが、以下では、表示パネル101の受光状態に基づいて、操作体Mの接触・近接状態を捉える場合を想定する。表示部105は、表示制御部115の制御下で、オブジェクト、コンテンツ、アプリケーションの処理結果等を表示する。なお、オブジェクトとは、例えば、アイコン、ボタン、サムネイル等、GUIを構成する任意のオブジェクトである。」

「【0022】
操作体検出部109は、接触近接センサ103および遠隔センサ107を用いて操作体Mの状態を検出する。操作体検出部109は、操作体Mの接触・近接・移動状態、遠隔動作を検出する。操作体検出部109は、特に操作体Mの指示方向、所定のジェスチャ等を検出する。操作体検出部109は、表示パネル101に対する操作体Mの指示方向を検出し、特に、表示パネル101に接触して移動する操作体Mの指示方向および移動方向を検出する。なお、接触時とともに近接時にも操作体Mの指示方向を検出してもよい。」

「【0025】
記憶部113は、情報処理プログラム、アプリケーションプログラム、オブジェクトのデータ、ジェスチャ情報等を記憶している。制御部117は、情報処理プログラムの実行により各部を制御し、情報処理装置100全体の動作を制御する。」

「【0030】
操作体検出部109は、第1の領域A1の存在に基づいて、表示パネル101に対する操作体Mの接触を検出し、第2の領域A2の存在に基づいて、表示パネル101に対する操作体Mの近接を検出する。また、操作体検出部109は、第1および第2の領域A1、A2の面積を算出することで、操作体Mの接触面積および近接面積を各々に検出する。」

「【0039】
操作体Mの指示方向は、図7Aに示すように、例えば表示パネル101上で仮想的に設定される座標系に基づいて角度θ1として定義される。座標系は、表示パネル101の向きに依存せずに設定可能であるが、以下では表示パネル101の上下方向および左右方向に対応して通常の直交座標系が設定される場合を想定する。この場合、角度θは、直交座標系の第1象限から第4象限に至る反時計回りに定義される。」

「【0073】
[4-4.接触ジェスチャに基づく操作の特定処理]
以下では、表示パネル101上での操作体Mによる接触ジェスチャに基づいて、操作体Mにより入力される操作を特定する処理について説明する。
【0074】
図13および図14は、接触ジェスチャに基づく操作の特定処理を示すフロー図および模式図である。図14には、接触ジェスチャの一例として、オブジェクトを指定したポイントジェスチャ(図14A)、オブジェクトを指定したプッシュジェスチャ(図14B)、オブジェクトを指定しないカバージェスチャ(図14C)が示されている。
【0075】
例えば、ポイントジェスチャは、オブジェクトに指先を接触させる動作であり、プッシュジェスチャは、オブジェクトに指の腹を接触させる動作である。また、カバージェスチャは、例えば、表示パネル101を複数の指で覆う動作である。ここで、各接触ジェスチャは、表示パネル101に対する操作体Mの接触面積(および/または接触形状)に基づいて検出される。」

「【0077】
操作体検出部109は、操作体Mの接触を検出すると(S401)、操作体Mの接触位置Pおよび接触面積Atを検出する(S403)。
【0078】
制御部117は、操作体Mの接触位置Pが特定のオブジェクトの領域内であるかを判定する(S405)。接触位置Pとオブジェクト領域との関係は、記憶部113に記憶されているオブジェクトの位置に基づいて判定される。また、接触位置Pが複数のオブジェクトの領域内にある場合、オブジェクトを指定しないジェスチャが検出される。
【0079】
そして、判定結果が肯定的である場合に、制御部117は、接触面積Atを所定の閾値Att1と比較する(S407)。そして、制御部117は、接触面積Atが閾値Att1未満であれば、ポイントジェスチャに対応する操作を特定し(S409)、閾値Att1以上であれば、プッシュジェスチャに対応する操作を特定する(S411)。
【0080】
一方、ステップS405の判定結果が否定的である場合に、制御部117は、接触面積Atを所定の閾値Att2(Att1<Att2)と比較する(S413)。そして、制御部117は、接触面積Aが閾値Att2以上であれば、カバージェスチャに対応する操作を特定する(S415)。」
[当審注]【0080】に記載の「接触面積A」は、「接触面積At」の誤記と認められる。

「【0082】
これにより、表示パネル101上での操作体Mによる接触ジェスチャに基づいて、様々な操作の入力が可能となる。特に、指先によるジェスチャに局所的な操作を対応付け、手の平によるジェスチャに大局的な操作を対応付ける等、各接触ジェスチャに任意の意味づけをすることで、ユーザは、直感的な操作を行うことができる。」

「【0091】
また、操作体Mの接触・近接状態を同時に検出する場合、ユーザが意図する接触ジェスチャを近接ジェスチャとして捉えてしまうことで、誤検出を生じる可能性が高くなる。しかし、所定の継続時間に亘って近接状態が検出される場合にのみ、近接ジェスチャとして捉えることで、誤検出を抑制できる。」

「【0118】
また、図22および図23は、アプリケーションの起動制御処理を示すフロー図および模式図である。
【0119】
制御部117は、状態検出部111による検出結果に応じて、自装置が縦向きにあるかを判定し(S901)、判定結果が肯定的である場合(図23A)に、操作体Mが副センサ104Rに接触しているかを判定する(S903)。次に、判定結果が肯定的である場合に、制御部117は、操作体Mが副センサ104Rに所定時間に亘って接触しているかを判定する(S905)。そして、判定結果が肯定的である場合に、制御部117は、ブックリーダを起動する(S907)。
【0120】
一方、自装置が横向きにある場合(例えば、表示パネル101の上部がユーザに対して左側にある場合)に、操作体Mが副センサ104Uおよび104Dに接触しているかを判定する(S909)。次に、判定結果が肯定的である場合に、制御部117は、操作体Mが副センサ104Uおよび104Dに所定時間に亘って接触しているかを判定する(S911)。そして、判定結果が肯定的である場合(図23B)に、制御部117は、ゲームを起動する(S913)。」

「【0123】
[6.情報処理装置100のハードウェア構成]
図24は、情報処理装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0124】
情報処理装置100は、主に、CPU901、ROM903、RAM905、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インタフェース913、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート923、通信装置925を含んで構成される。」

「【0127】
出力装置917は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、表示パネル101、ランプ等の表示装置、スピーカ、ヘッドフォン等の音声出力装置、プリンタ、携帯電話機、ファクシミリ等、取得された情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知可能な装置を含んで構成される。出力装置917は、情報処理装置100の処理結果を出力する。例えば、表示装置は、情報処理装置100による処理結果を、テキスト情報またはイメージ情報として表示し、音声出力装置は、再生された音声データ、音響データ等のオーディオ信号をアナログ信号
に変換して出力する。」

「【図1】



「【図2】



「【図14C】



(2)引用発明
前記(1)より、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 情報処理装置であって、
情報処理装置100は、表示パネル101、遠隔センサ107、操作体検出部109、状態検出部111、記憶部113、表示制御部115、制御部117を含んで構成され、
表示パネル101は、接触近接センサ103および表示部105として機能し、接触近接センサ103は、操作体Mの接触・近接状態を捉え、
表示部105は、表示制御部115の制御下で、オブジェクト、コンテンツ、アプリケーションの処理結果等を表示し、オブジェクトとは、例えば、アイコン、ボタン、サムネイル等、GUIを構成する任意のオブジェクトであり、
操作体検出部109は、接触近接センサ103および遠隔センサ107を用いて、操作体Mの接触・近接・移動状態、遠隔動作を検出し、
記憶部113は、情報処理プログラム、アプリケーションプログラム、オブジェクトのデータ、ジェスチャ情報等を記憶し、制御部117は、情報処理プログラムの実行により各部を制御し、情報処理装置100全体の動作を制御し、
操作体検出部109は、操作体Mの接触面積および近接面積を各々に検出し、
座標系は、表示パネル101の向きに依存せずに設定可能であり、
オブジェクトを指定しないカバージェスチャは、例えば、表示パネル101を複数の指で覆う動作であり、
操作体検出部109は、操作体Mの接触を検出すると、操作体Mの接触位置Pおよび接触面積Atを検出し、
制御部117は、接触面積Atが閾値Att2以上であれば、カバージェスチャに対応する操作を特定し、
これにより、表示パネル101上での操作体Mによる接触ジェスチャに基づいて、様々な操作の入力が可能となり、特に、指先によるジェスチャに局所的な操作を対応付け、手の平によるジェスチャに大局的な操作を対応付ける等、各接触ジェスチャに任意の意味づけをすることで、ユーザは、直感的な操作を行うことができ、
操作体Mの接触・近接状態を同時に検出する場合、ユーザが意図する接触ジェスチャを近接ジェスチャとして捉えてしまうことで、誤検出を生じる可能性が高くなるが、所定の継続時間に亘って近接状態が検出される場合にのみ、近接ジェスチャとして捉えることで、誤検出を抑制でき、
アプリケーションの起動制御処理として、制御部117は、状態検出部111による検出結果に応じて、自装置が縦向きにある場合、ブックリーダを起動し、自装置が横向きにある場合、ゲームを起動し、
情報処理装置100のハードウェアは、CPU901、ROM903、RAM905、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インタフェース913、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート923、通信装置925を含んで構成され、
出力装置917は、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、表示パネル101、ランプ等の表示装置、スピーカ、ヘッドフォン等の音声出力装置、プリンタ、携帯電話機、ファクシミリ等、取得された情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知可能な装置を含んで構成される、
情報処理装置。」

2 引用文献2について
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、編集装置、編集方法及び編集プログラムに関し、例えばタッチパネルを有する編集装置に適用して好適なものである。」

「【0026】
タッチパネル19Bは、タッチパネル19B上の任意の位置が指でタッチされると、タッチされた位置(以下、これをタッチ位置とも呼ぶ)を液晶ディスプレイ19Aの表示面の座標として検出する。そしてタッチパネル19Bは、このタッチ位置の座標に応じた入力信号をCPU20に送る。
【0027】
CPU20は、タッチパネル19Bからこの入力信号が送られると、タッチ位置の座標に基づいて、タッチ位置の動きを液晶ディプレイ19Aの表示面に対するジェスチャ操作(例えばタッチ操作、ドラッグ操作など)として検知する。CPU20は、このジェスチャ操作に応じて各部を制御するようになされている。」

「【0058】
CPU20は、選択画面においてタッチパネル19Bを介して対象クリップが選択されると、図4に示す編集画面40を液晶ディスプレイ19Aに表示させる。これと共にCPU20は、選択された対象クリップを再生し、編集画面40内の左側に横長の長方形状に設けられている対象クリップ再生領域41に表示させる。」

「【0062】
ここでユーザによりタッチパネル19Bをタッチした後すぐ離す操作(以下、これをタップ操作とも呼ぶ)が対象クリップ再生領域41内の任意位置に対して行われたとする。
【0063】
このときCPU20は、タッチパネル19Bを介して当該タップ操作を検知すると、対象クリップの再生を一時停止すると共に、半透明のドーナツ状でなるジョグシャトルJSを対象クリップ再生領域41の右側部分に一部重なるようにして表示させる。またCPU20は、対象クリップの再生位置を示すタイムコードTCを、ジョグシャトルJSに重ねて表示させる。
【0064】
尚CPU20は、ジョグシャトルJSを表示させた状態で、再度、対象クリップ再生領域41内に対するタップ操作が行われたことを検知すると、ジョグシャトルJSを非表示にし、対象クリップを一時停止されている時点から再生するようになされている。」

「【0298】
例えば、音声が共に記録された動画像を編集する際に、音声レベルが所定レベル以上となった時点に対応するフレーム画像のサムネイルを補完サムネイルPsとして表示させるようにしてもよい。」

以上から、引用文献2には、以下の技術的事項が記載されているといえる。

「 タッチパネルを有する編集装置において、
タッチパネル19Bは、タッチパネル19B上の任意の位置が指でタッチされると、タッチされた位置(以下、これをタッチ位置とも呼ぶ)を液晶ディスプレイ19Aの表示面の座標として検出し、
CPU20は、タッチ位置の座標に基づいて、タッチ位置の動きを液晶ディプレイ19Aの表示面に対するジェスチャ操作(例えばタッチ操作、ドラッグ操作など)として検知し、このジェスチャ操作に応じて各部を制御し、
CPU20は、選択画面においてタッチパネル19Bを介して対象クリップが選択されると、選択された対象クリップを再生し、編集画面40内の左側に横長の長方形状に設けられている対象クリップ再生領域41に表示させ、
ユーザによりタッチパネル19Bをタッチした後すぐ離す操作(以下、これをタップ操作とも呼ぶ)が対象クリップ再生領域41内の任意位置に対して行われたときCPU20は、対象クリップの再生を一時停止し、
CPU20は、再度、対象クリップ再生領域41内に対するタップ操作が行われたことを検知すると、対象クリップを一時停止されている時点から再生すること、及び、
音声が共に記録された動画像を編集する際に、音声レベルが所定レベル以上となった時点に対応するフレーム画像のサムネイルを補完サムネイルPsとして表示させるようにしてもよいこと。」

3 引用文献3について
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
本発明は、ユーザインタフェース、特にモバイル計算装置、PDA、携帯電話機やスマートフォンなどの携帯通信装置などの小型ディスプレイを有する装置のユーザインタフェースによる問題を解決するものである。しかしながら、本発明の効果はこのような装置に限定されず、本発明はまた、デスクトップ、ラップトップ及びノートブック計算装置、並びにデータボードなどの大型ディスプレイを有する装置に対しても効果的である。さらに本発明は、計算を主要な機能とする電子装置による利用に限定されず、ユーザとの対話が実行可能なディスプレイを有する任意の電子装置により利用可能である。」

「【0126】
図12は、本発明のインタフェースにおける利用に適したさらなるオーバーロードされたコントロール要素380を示す。このコントロール要素は、メディアプレーヤー装置を操作するのに利用可能であり、2次元ジェスチャ群による単一のオーバーロードされたコントロール要素が、従来必要とされた5つのアイコン又はコントロール要素384を置換することができる。コントロール要素は、それがその形態を変更し、ワープロなどのアプリケーションのインタフェースなどのユーザが注目するディスプレイ領域上を移動可能となるように、アニメーション化することができる。従って、ユーザは、現在のフォーカスから視野を動かす必要なく、巻き戻し、早送り、再生、一時停止又は停止機能を呼び出すため、2次元ジェスチャ382の適切なものを実行することにより、メディアプレーヤーを容易に制御することができる。」

「【図12】



以上から、引用文献3には、以下の技術的事項が記載されているといえる。

「 特にモバイル計算装置、PDA、携帯電話機やスマートフォンなどの携帯通信装置などの小型ディスプレイを有する装置のユーザインタフェースにおいて、
巻き戻し、早送り、再生、一時停止又は停止機能を呼び出すため、2次元ジェスチャ382の適切なものを実行することにより、メディアプレーヤーを容易に制御すること。」

第7 当審拒絶理由について
1 理由1(明確性要件違反)について
本件補正前の請求項2、4及び6に記載されていた「複数の座標の内の少なくとも1つよって定義される前記タッチスクリーンのタッチされた領域を検出し」は、本件補正により「複数の座標によって前記タッチスクリーンのタッチされた面積を検出し」に補正された。
よって、請求項2、4及び6に係る発明は、明確となり、理由1(明確性要件違反)は解消した。

2 理由2(サポート要件違反)について
本件補正前の請求項1、3及び5に記載されていた「パームタッチ入力」により「画面」を表示する動作を「終了」することは、本件補正により「前記映像の再生及び前記音声の再生を停止し」に補正された。
また、本件補正により請求項2、4及び6は前記1で述べたように補正された。
よって、請求項1ないし6に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものとなり、理由2(サポート要件違反)は解消した。

3 理由3(進歩性欠如)について
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明において、「情報処理装置」の例示である「情報処理装置100」は、引用文献1の【図1】、【図14C】を参酌すれば、携帯型の端末機を含む。
よって、引用発明の「情報処理装置」は、本願発明1の「携帯端末機」に相当する。

(イ)引用発明は、「表示パネル101上での操作体Mによる接触ジェスチャに基づいて、様々な操作の入力が可能」なものであり、「操作体検出部109」は、「接触近接センサ103」を用いて、「操作体Mの接触・近接・移動状態」を検出するものであり、「表示パネル101」は、「接触近接センサ103および表示部105として機能」するものである。また、「接触」は、「タッチ」、「表示部105」は「スクリーン」といい得るものである。
以上から、引用発明の「表示パネル101」は、「接触近接センサ103」により自身に対する「接触(ジェスチャ)」による「入力」といえる「タッチ入力」を受け付ける(受信する)とともに、「表示部105」(スクリーン)としても機能するものであるから、本願発明1の「タッチ入力を受信するタッチスクリーン」に相当する。

(ウ)引用発明において、「情報処理装置100のハードウェア」を構成する「出力装置917」である「音声出力装置」の例として挙げられている「スピーカ」は、本願発明1の「スピーカー」に相当する。

(エ)引用発明は、「制御部117は、情報処理プログラムの実行により各部を制御し、情報処理装置100全体の動作を制御し」との構成を備えることから、「制御部117」は、「情報処理装置100」における種々の操作を制御するものといえる。

(オ)引用発明は、「アプリケーションの起動制御処理として、制御部117は、状態検出部111による検出結果に応じて、自装置が縦向きにある場合、ブックリーダを起動し、自装置が横向きにある場合、ゲームを起動し」との構成を備え、ここで、「アプリケーション」として、「ブックリーダ」又は「ゲーム」を「起動」することは、本願発明1の「アプリケーションの活性化」に相当する。
また、「アプリケーション」(特に「ゲーム」)の起動に応じて、対応する何らかの「映像」を「表示パネル101」上に「再生」することは自明である。
よって、前記(イ)を参酌すれば、引用発明と本願発明1の「アプリケーションの活性化に対応して前記タッチスクリーン上に映像を再生し、前記スピーカーを介して音声を再生し」とは、「アプリケーションの活性化に対応して前記タッチスクリーン上に映像を再生し」との構成を備える点において共通する。

(カ)引用発明は、「表示パネル101は、接触近接センサ103および表示部105として機能し」及び「操作体検出部109は、接触近接センサ103および遠隔センサ107を用いて、操作体Mの接触・近接・移動状態、遠隔動作を検出し」との構成を備えることから、「表示部105」内の「接触近接センサ103」及び「操作体検出部109」を介して、「操作体M」による「表示パネル101」への「接触」を検出するものである。
ここで、「操作体M」による「表示パネル101」への「接触」は、「タッチ入力」といい得るものである。
なお、引用発明は、「アプリケーション」(特に「ゲーム」)が起動され、「映像」が「再生」される間に「接触」による操作を検出することを具体的に特定していない。
よって、前記(イ)を参酌すれば、引用発明と本願発明1の「前記映像及び音声が再生される間、前記タッチスクリーンを介してタッチ入力を検出し」とは、「前記タッチスクリーンを介してタッチ入力を検出し」との構成を備える点において共通する。

(キ)引用発明は、「操作体検出部109は、操作体Mの接触面積および近接面積を各々に検出し」、「オブジェクトを指定しないカバージェスチャは、例えば、表示パネル101を複数の指で覆う動作であり、操作体検出部109は、操作体Mの接触を検出すると、操作体Mの接触位置Pおよび接触面積Atを検出し、制御部117は、接触面積Aが閾値Att2以上であれば、カバージェスチャに対応する操作を特定し」、「これにより、表示パネル101上での操作体Mによる接触ジェスチャに基づいて、様々な操作の入力が可能となり、特に、指先によるジェスチャに局所的な操作を対応付け、手の平によるジェスチャに大局的な操作を対応付ける等、各接触ジェスチャに任意の意味づけをすることで、ユーザは、直感的な操作を行うことができ」との構成を備えることから、「操作体検出部109」により検出された「操作体M」の「接触面積At」により、「操作体M」による「接触」が「カバージェスチャ」であるか否かを判断しているといえる。
また、引用発明の「カバージェスチャ」は、引用文献1の図14Cからすると、「手の平によるジェスチャ」と同義であるから、「手の平」(パーム)によるタッチ入力、すなわち、「パームタッチ入力」といい得るものである。
よって、引用発明は、本願発明1の「前記タッチ入力がパームタッチ入力であるか否かを判断し」の構成を備える。

(ク)引用発明は、「カバージェスチャ」(手の平によるジェスチャ)に対応して、「カバージェスチャに対応する操作」又は「大局的な操作」を行うものである。
ここで、引用発明の「カバージェスチャに対応する操作」又は「大局的な操作」と、本願発明1の「前記映像の再生及び前記音声の再生を停止」する操作とは、「所定の操作」をすることである点において共通する。
なお、引用発明は、「操作体Mの接触・近接状態を同時に検出する場合、ユーザが意図する接触ジェスチャを近接ジェスチャとして捉えてしまうことで、誤検出を生じる可能性が高くなるが、所定の継続時間に亘って近接状態が検出される場合にのみ、近接ジェスチャとして捉えることで、誤検出を抑制でき」との構成を備えるものの、当該構成は、「近接ジェスチャ」を正確に検出するための技術に関するものであって、「接触ジェスチャ」(「カバージェスチャ」を含む。)に関する事項ではない。
よって、引用発明と本願発明1の「前記パームタッチ入力に対応するタッチ入力が予め設定された時間の間保持されることに対応し、前記映像の再生及び前記音声の再生を停止し、前記パームタッチ入力が解除されることに対応し、前記映像の再生及び前記音声の再生を継続する」とは、「前記パームタッチ入力に対応し、所定の操作を行う」との構成を備える点において共通する。

(ケ)前記(エ)ないし(ク)を参酌すれば、引用発明の「制御部117」と、
本願発明1の「 アプリケーションの活性化に対応して前記タッチスクリーン上に映像を再生し、前記スピーカーを介して音声を再生し、
前記映像及び音声が再生される間、前記タッチスクリーンを介してタッチ入力を検出し、
前記タッチ入力がパームタッチ入力であるか否かを判断し、
前記パームタッチ入力に対応するタッチ入力が予め設定された時間の間保持されることに対応し、前記映像の再生及び前記音声の再生を停止し、前記パームタッチ入力が解除されることに対応し、前記映像の再生及び前記音声の再生を継続する制御部」とは、
「 アプリケーションの活性化に対応して前記タッチスクリーン上に映像を再生し、
前記タッチスクリーンを介してタッチ入力を検出し、
前記タッチ入力がパームタッチ入力であるか否かを判断し、
前記パームタッチ入力に対応し、所定の操作を行う制御部」
である点において共通する。

イ 一致点、相違点
したがって、本願発明1と引用発明とは、次の点において一致ないし相違する。

[一致点]
「 携帯端末機において、
タッチ入力を受信するタッチスクリーンと、
スピーカーと、
アプリケーションの活性化に対応して前記タッチスクリーン上に映像を再生し、
前記タッチスクリーンを介してタッチ入力を検出し、
前記タッチ入力がパームタッチ入力であるか否かを判断し、
前記パームタッチ入力に対応し、所定の操作を行う制御部と、を有することを特徴とする携帯端末機。」

[相違点]
<相違点1>
「アプリケーションの活性化」に対応した動作として、本願発明1は、「前記タッチスクリーン上に映像を再生」するだけでなく「前記スピーカーを介して音声を再生」するのに対し、引用発明は、「アプリケーション」(特に「ゲーム」)の起動に応じて、「音声を再生」することを具体的に特定していない点。

<相違点2>
「タッチ入力を検出」するタイミングが、本願発明1は、「前記映像及び音声が再生される間」であるのに対し、引用発明は、当該構成を具体的に特定していない点。

<相違点3>
本願発明1は、「パームタッチ入力」に対する所定の操作がなされる条件として、「前記パームタッチ入力に対応するタッチ入力が予め設定された時間の間保持されること」を規定するのに対し、引用発明は、「カバージェスチャ」の対してそのような条件を規定していない点。

<相違点4>
「パームタッチ入力」に対する「所定の操作」として、本願発明1は、「前記映像の再生及び前記音声の再生を停止」するのに対し、引用発明は、「カバージェスチャに対応する操作」又は「大局的な操作」として、具体的な操作を特定していない点。

<相違点5>
本願発明1は、「前記パームタッチ入力が解除されること」に対応し、「前記映像の再生及び前記音声の再生を継続する」のに対し、引用発明は、「カバージェスチャ」が解除されることに対応した操作を具体的に特定していない点。

ウ 相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点5について先に検討する。
上記相違点5に係る本願発明1の上記構成の「前記パームタッチ入力」は、「前記映像の再生及び前記音声の再生を停止」するためになされた「パームタッチ入力」を指しているから、上記相違点5に係る本願発明1の構成は、映像及び音声の再生を「停止」するためになされた「パームタッチ入力」の「解除」により前記再生を「継続」(再開)するという技術思想を有するものといえる。
しかしながら、映像及び音声の再生を「停止」するためになされた「パームタッチ入力」の「解除」により前記再生を「継続」(再開)するという構成は、上記引用文献1ないし3のいずれにも記載されておらず、本願優先日前の周知技術であるともいえない。
なお、引用文献2及び3に記載された事項より、タッチパネルに対するタップ操作又はジェスチャ入力により、動画(映像及び音声)の一時停止及び再生を指示することは、本願優先日前の周知技術であると認められる。しかしながら、当該周知技術は、タップ操作又はジェスチャ入力により動画の再生の一時停止を指示するものの、動画の再生の一時停止を指示するタップ操作又はジェスチャ入力の解除により動画の再生の継続を指示するものではないから、本願発明1とは技術思想が異なるものである。
よって、引用発明に引用文献2及び3に記載された周知技術を適用しても、上記相違点5に係る本願発明1の構成には至らない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1ないし3に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本願発明2について
本願発明2は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1ないし3に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本願発明3ないし6について
本願発明3ないし6は、本願発明1又は2とカテゴリ表現が異なるだけの発明であって、本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1ないし3に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

以上のとおりであるから、理由3(進歩性欠如)は、解消した。

第8 原査定についての判断
1 分割要件違反について
上記第5で述べたとおり、本願は、分割出願の要件を満たしており、出願日の遡及が認められる。

2 拒絶の理由(進歩性欠如)について
前記1のとおり、本願は、分割出願のy要件を満たしているから、出願日の遡及が認められ、また、そのことにより原出願と同様に優先権主張の効果も認められる。
そして、原査定の引用文献A及びBは、本願優先日の後に公知となった刊行物であるから、引用文献A及びBの記載内容にかかわらず、本願発明1ないし6は、引用文献A及びBに基いて進歩性を有さないということはできない。
よって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-07-06 
出願番号 特願2018-85165(P2018-85165)
審決分類 P 1 8・ 03- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 富澤 哲生
林 毅
発明の名称 タッチスクリーンを有する携帯端末機及びそのユーザインターフェース提供方法  
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所  
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