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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1375794
審判番号 不服2020-14734  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-22 
確定日 2021-07-27 
事件の表示 特願2018- 29349「滞在状況表示システムおよび滞在状況表示方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月29日出願公開、特開2019-144917、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成30年2月22日を出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年 4月23日付け:拒絶理由通知書(起案日)
令和2年 6月23日 :意見書,手続補正書の提出
令和2年 7月13日付け:拒絶査定(起案日)
令和2年10月22日 :審判請求書,手続補正書の提出


第2 原査定の概要

原査定の概要は次のとおりである。

理由1.(新規性)この出願の請求項1,4,5,7に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。

理由2.(進歩性)この出願の請求項1?7に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.引用文献1を主引用文献とした場合

●理由1(特許法第29条第1項第3号),理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 1,7
・引用文献等 1

●理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 2
・引用文献等 1?3

・請求項 3
・引用文献等 1,4

●理由1(特許法第29条第1項第3号),理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 4?5
・引用文献等 1 又は 1?3 又は 1,4

●理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 4-6
・引用文献等 1,5 又は 1?3,5 又は 1,4?5

2.引用文献2を主引用文献とした場合

●理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 1,7
・引用文献等 2

・請求項 2
・引用文献等 2

・請求項 3
・引用文献等 2,4

・請求項 4?5
・引用文献等 2 又は 2,4

<引用文献等一覧>
1.特開2002-260110号公報
2.特開2013-182450号公報
3.特開2001-186490号公報
4.特開2011-176599号公報
5.特開2011-123579号公報(周知技術を示す文献)


第3 審判請求時の補正について

1 本件補正の概要
令和2年10月22日付け手続補正書でする手続補正(以下,「本件補正」という。)により,
補正前請求項1の「前記対象エリアに滞在する人物が訪問者に応対できない状態であるか否かを検知し」を,「前記対象エリアに滞在する人物が通話状態,会話状態,ストレス状態のいずれかにあって訪問者に応対できない状態であるか否かを検知し」とし(以下,「補正事項1-1」という。),
補正前請求項1の「前記状態情報が訪問に相応しい状態に更新された場合に」を,「前記状態情報が,前記通話状態,前記会話状態,前記ストレス状態のいずれにも該当しない訪問に相応しい状態に更新された場合に」とする(以下,「補正事項1-2」という。)ものである。
また,本件補正により,
補正前請求項7の「前記対象エリアに滞在する人物が訪問者に応対できない状態であるか否かを検知し」を,補正後請求項4の「前記対象エリアに滞在する人物が通話状態,会話状態,ストレス状態のいずれかにあって訪問者に応対できない状態であるか否かを検知し」とし(以下,「補正事項7-1」という。),
補正前請求項7の「前記状態情報が訪問に相応しい状態に更新された場合に」を,補正後請求項4の「前記状態情報が,前記通話状態,前記会話状態,前記ストレス状態のいずれにも該当しない訪問に相応しい状態に更新された場合に」とする(以下,「補正事項7-2」という。)ものである。なお,上記下線は,いずれも当審が付与した。
さらに,本件補正により,補正前請求項4?6を削除し,これにより,補正前請求項7を補正後請求項4にするものである(これらをまとめて,以下,「補正事項3」という。)。

2 補正事項の検討
(1)補正事項1-1及び補正事項7-1について
補正事項1-1及び補正事項7-1は,補正前の「対象エリアに滞在する人物」を「対象エリアに滞在する人物が通話状態,会話状態,ストレス状態のいずれかにあって」と減縮するものであり,この補正前後で「産業上の利用分野」及び「解決しようとする課題」は同一であるから,補正事項1-1及び補正事項7-1は限定的減縮を目的とするものである。
また,補正事項1-1及び補正事項7-1は,新規事項を追加するものでもなく,発明の特別な技術的特徴を変更する補正でもないことは明らかである。

(2)補正事項1-2及び本件補正7-2について
補正事項1-2及び補正事項7-2は,補正前の「前記状態情報が訪問に相応しい状態」を「前記状態情報が,前記通話状態,前記会話状態,前記ストレス状態のいずれにも該当しない訪問に相応しい状態」と減縮するものであり,この補正前後で「産業上の利用分野」及び「解決しようとする課題」は同一であるから,補正事項1-2及び補正事項7-2は限定的減縮を目的とするものである。
また,補正事項1-2及び補正事項7-2は,新規事項を追加するものでもなく,発明の特別な技術的特徴を変更する補正でもないことは明らかである。

(3)補正事項3について
補正事項3は,請求項の削除を目的とするものであり,これに伴い請求項の番号を整理したものである。
そして,補正事項3が,新規事項を追加するものでもないことは明らかである。

(4)独立特許要件について
下記の「第4 本願発明」から「第6 当審の判断」までに示すように,補正後の請求項1?4に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。


第4 本願発明

本願請求項1?4に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」?「本願発明4」という。)は,本件補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりのものである。

「【請求項1】
対象エリアに設置されたカメラにより撮影される映像をリアルタイムに取得して,前記対象エリアにおける現在の人物の滞在状況に関する表示情報を生成する処理をプロセッサにより実行する滞在状況表示システムであって,
前記プロセッサは,
前記カメラの映像に基づいて,前記対象エリアに人物が滞在しているか否かを検知し,
さらに,前記カメラの映像に基づいて,前記対象エリアに滞在する人物が通話状態,会話状態,ストレス状態のいずれかにあって訪問者に応対できない状態であるか否かを検知し,
前記対象エリアに人物が滞在しているか否かに関する滞在情報とともに,人物が訪問者に応対できない状態であるか否かに関する状態情報を表示した前記表示情報を生成し,
人物を選択して通知対象に設定するユーザの操作に応じて,前記通知対象に設定された人物に関する前記滞在情報が在席状態に更新され,かつ,前記状態情報が,前記通話状態,前記会話状態,前記ストレス状態のいずれにも該当しない訪問に相応しい状態に更新された場合に,その旨を表す通知をユーザ端末に送信することを特徴とする滞在状況表示システム。」

なお,本願発明2?4の概要は,以下のとおりである。
本願発明2及び3は,本願発明1を減縮した発明である。
本願発明4は,本願発明1に対応する方法の発明である。


第5 引用文献に記載されている事項

1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載されている事項
引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0083】図1に示されるように,実施の形態1に係る在席モニタリングシステムは,画像の要求先であるユーザが所有する要求元端末1,インターネット,イントラネットなどを含むネットワーク2,所定の領域を画像として撮影するカメラ部4,カメラ部4に接続されたカメラ接続端末3とを含む。ネットワーク2は,要求元端末1とカメラ接続端末3とを相互に接続する。また,カメラ接続端末3は,記録媒体8に記録されたプログラムを実行することが可能である。
【0084】要求元端末1は,所定の領域における被撮影者の存否を調査するための要求在席情報を生成し,ネットワーク2を介してカメラ接続端末3に要求在席情報を送信する。
【0085】カメラ接続端末3は,要求在席情報の受信に応答して特定時点にて撮影された画像と,特定時点と異なる時点の所定の領域に対応する画像(例えば,特定時点以前にて撮影された背景画像又は被撮影者が存在する画像)とに基づいて所定の領域における被撮影者の存否を判別し,判別の結果を示す在席情報をネットワーク2を介して要求元端末1に送信する。」

「【0087】カメラ接続端末3は,要求入力部31,在席判別処理部32,結果出力部33を備えている。
【0088】要求入力部31は,要求元端末1から送信された要求在席情報を受信する。
【0089】在席判別処理部32は,要求在席情報の受信に応答して特定時点にて撮影された画像と,特定時点と異なる時点の所定の領域に対応する画像(例えば,特定時点以前にて撮影された背景画像又は被撮影者が存在する画像)とに基づいて所定の領域における被撮影者の存否を判別し,判別の結果を示す在席情報を生成する。この在席判別処理部32は,予めカメラ部4で撮影された画像を画像情報として記憶するメモリ32aを備えている。在席判別処理部32は,カメラ部4で撮影された画像を画像情報として取得し,取得された画像情報と記憶された画像情報とから在席情報を判別する判別処理を行なう。この時,この判別処理を要求在席情報とは無関係に繰り返し行なってもよいし,また省電力のため,この判別処理を要求入力部31が要求在席情報を受信した時に開始し,終了条件を満たした時点で終了してもよい。終了条件として,在席情報の変化,ある一定時間の経過,ユーザによる中止命令の発生などがある。」

「【0125】次に,図7を参照して(2)常に判別処理を行う動作について説明する。
【0126】(2)常に判別処理を行う動作として,要求在席情報を受信した時点で得られている在席情報を送信することにより,判別処理を終えるまで送信を待つ必要がなく,応答時間の短縮を図れるなどの効果がある。
【0127】図7に示されるように,ユーザは,カメラ部4が設置されている場所にいる人物の在席状態を知りたいとき,要求在席情報を要求元端末1から入力する(ステップ101)。入力形態として,例えば,要求元端末1のディスプレイ上には,要求在席情報入力用ウィンドウが表示される。ユーザは,要求在席情報として,在席情報を知りたい相手の名前を選択する。このとき,ユーザは,相手の名前を選択することにより,選択された相手に対応するカメラ接続端末3が所有するアドレス先を指定することができる。要求元端末1は,選択された相手に対応するアドレス先に要求在席情報を送信する(ステップ102)。要求在席情報には,選択された相手の名前と,カメラ接続端末3が所有するアドレスと,要求元である要求元端末1が所有するアドレスとが含まれる。要求在席情報は,要求元端末1からネットワーク2を介して,指定されたアドレス先であるカメラ接続端末3に受信される(ステップ103)。
【0128】カメラ接続端末3の在席判別処理部32は,カメラ部4で撮影された画像を示す画像情報を取得し(ステップ121),被撮影者の在席,空席,会議中,電話中,面会拒否などの在席情報を判別し(ステップ122),ステップ121とステップ122を繰り返す。ここで,画像処理による在席情報の判別としては,前述した(A)?(D)の方法等を利用する。また,判別された在席情報は,在席判別処理部32のメモリ32aに記憶される。」

「【0131】在席判別処理部32は,要求在席情報の受信後に少なくとも一回の在席情報を結果出力部33が送信したか否かを調べる(ステップ124)。調べた結果,結果出力部33のメモリ33aが在席情報を記憶していない場合(ステップ124?NO),在席判別処理部32は,在席情報を未送信(一回も送信していない)であると判断する。結果出力部33は,在席判別処理部32により判別された在席情報を要求元端末1に送信し(ステップ126),在席情報をメモリ33aに記憶する。調べた結果,結果出力部33のメモリ33aが在席情報を記憶している場合(ステップ124?YES),在席判別処理部32は,少なくとも一回の在席情報を送信済みであると判断する。
【0132】結果出力部33は,ステップ124にて在席判別処理部32により送信済みであると判断された場合(ステップ124?YES),例えば,空席や会議中から在席状態など,在席情報が以前から変化しているか否かを判断するために,判別された在席情報(メモリ32aに記憶された在席情報)とメモリ33aに記憶された在席情報とを比較する(ステップ125)。比較した結果,一致しない場合,即ち変化している場合(ステップ125?YES),結果出力部33は,判別された在席情報を要求元のアドレス先である要求元端末1へ送信し(ステップ126),判別された在席情報(メモリ32aに記憶された在席情報)をメモリ33aに記憶する。」

(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)の記載から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されている。

画像の要求先であるユーザが所有する要求元端末1,所定の領域を画像として撮影するカメラ部4とを含む在席モニタリングシステムの,カメラ部4に接続されたカメラ接続端末3であって(【0083】),
要求元端末1は,カメラ接続端末3に要求在席情報を送信し(【0084】),
カメラ接続端末3は,要求元端末1から送信された要求在席情報を受信し(【0087】?【0088】),所定の領域における被撮影者の存否を判別し,判別の結果を示す在席情報を生成し(【0089】),
常に判別処理を行う動作では(【0125】),
ユーザは,カメラ部4が設置されている場所にいる人物の在席状態を知りたいとき,要求在席情報を要求元端末1から入力するものであって,相手の名前を選択することで対応するカメラ接続端末3を指定することができ,要求在席情報は,要求元端末1からネットワーク2を介して,指定されたアドレス先であるカメラ接続端末3に受信され(【0127】),
カメラ接続端末3は,
カメラ部4で撮影された画像を示す画像情報を取得し,被撮影者の在席,空席,会議中,電話中,面会拒否などの在席情報を判別し(【0128】),
要求在席情報の受信後に少なくとも一回の在席情報を結果出力部33が送信したか否かを調べ,在席情報を未送信(一回も送信していない)であると判断すると,判別された在席情報を要求元端末1に送信し(【0131】),
送信済みであると判断された場合,空席や会議中から在席状態など,在席情報が以前から変化しているか否かを判断し,変化している場合,判別された在席情報を要求元のアドレス先である要求元端末1へ送信する(【0132】),
カメラ接続端末3。

2 引用文献2について
(1)引用文献2に記載されている事項
引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0015】
所在管理システム8は,利用者6a?6c及び訪問者7aの所在を判定及び通知する所在管理装置1と,利用者6a?6c及び訪問者7aを撮影するカメラ2a?2cと,利用者6a?6cが使用するパーソナルコンピュータ(PC)3a?3cと,携帯電話機等の携帯情報端末4と,上記した各装置を双方向に接続するネットワーク5とを有する。
【0016】
所在管理システム8の所在管理装置1は,上記構成によってカメラ2a?2cで撮影されている映像を解析して利用者6a?6cの在席状況,利用者6a?6cの訪問者の存在の有無等を判定し,当該判定結果をPC3a?3c及び携帯情報端末4に送信するものである。また,PC3a?3c及び携帯情報端末4は,判定結果を受信して,それぞれの表示部に判定結果を表示するものである。利用者6a?6cは,表示部に表示された判定結果を確認し,所望する利用者との通信手段等を検討する。」

「【0018】
また,カメラ2a?2cは,利用者6a?6c毎に設ける構成の他,1つのカメラによって複数の利用者を撮影する構成としてもよい。また,カメラの配置は利用者を正面から撮影する形態の他,天井等に配置して利用者を俯瞰して撮影する形態等であってもよく,撮影の方向は問わない。」

「【0020】
この所在管理装置1は,CPU(Central Processing Unit)等から構成され各部を制御するとともに各種のプログラムを実行する制御部10と,HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部11と,外部と通信する通信部12とを有する。なお,所在管理装置1は,例えば,サーバ等のコンピュータであり,PDA(Personal Digital Assistant)又は携帯電話機等でもよい。また,さらに,文や図形等を表示する液晶ディスプレイ等の表示部,操作入力用のキーボードやマウス等の操作部を有する構成であってもよい。
【0021】
制御部10は,後述する所在管理プログラム110を実行することで,映像受付手段100,利用者在席判定手段101,訪問者在席判定手段102及び所在情報出力手段103等として機能する。」

「【0023】
利用者在席判定手段101は,映像受付手段100が受け付けた映像を解析し,利用者が在席しているか判定する。具体的には,利用者在席判定手段101は,差分検知方式を用いて映像のフレーム間の差分を検知し,予め定めた利用者判定領域に動体が存在するか否か判定する。さらに,動体が存在する場合で,画像中の動体が予め定めた割合(x%)以上の特定の色,例えば,肌の色を含む場合に,利用者在席判定手段101は利用者が在席すると判定する。また,天井等から利用者を俯瞰して撮影する場合は,肌の色の方向(顔の向いている方向)等に基づいて在席の判定を行なってもよい。
【0024】
訪問者在席判定手段102は,利用者在席判定手段101が利用者が在席すると判定した場合,映像受付手段100が受け付けた映像を解析し,訪問者がいるか判定する。具体的には,訪問者在席判定手段102は,差分検知方式を用いて映像のフレーム間の差分を検知し,予め定めた訪問者判定領域に動体が存在するか否か判定する。さらに,動体が存在する場合で,画像中の動体が予め定めた割合(y%)以上の特定の色,例えば,肌の色を含む場合に,訪問者在席判定手段102は利用者が在席すると判定する。
【0025】
所在情報出力手段103は,利用者在席判定手段101及び訪問者在席判定手段102の判定結果を所在情報112として出力し,記憶部11に格納するとともに,PC3a?3c及び携帯情報端末4等に各装置が受付可能な形式で出力する。」

「【0032】
まず,カメラ2a?2cは,各利用者6a?6cを撮影し,撮影された映像は逐次ネットワーク5を介して所在管理装置1に送信される。
【0033】
所在管理装置1の映像受付手段100は,通信部12を介してカメラ2a?2cが撮影した映像を受け付ける。
【0034】
映像受付手段100は,受け付けた映像を利用者在席判定手段101及び訪問者在席判定手段102に出力する。」

「【0036】
まず,利用者在席判定手段101は,映像受付手段100が受け付けた映像を解析し,差分検知方式を用いて映像のフレーム間の差分を検知し,図5(a)?(c)に示す利用者判定領域60aに動体が存在するか否か判定する(S1)。動体がない場合(S1;No),利用者6aは不在であると判定する(S2)。
【0037】
また,図5(c)に示すように,利用者判定領域60aに動体が存在する場合(S1;Yes)であっても,撮影画像20a3中の動体が後ろを向いている等して,予め定めた割合x以上の肌の色を含まない場合(S3;No),利用者在席判定手段101は,撮影されているのは背景人物6dであり,利用者6aは不在であると判定する(S4)。
【0038】
また,図5(a)に示すように,撮影画像20a1中の動体が予め定めた割合x以上の肌の色を含む場合(S3;Yes),訪問者在席判定手段102は,映像受付手段100が受け付けた映像を解析し,差分検知方式を用いて映像のフレーム間の差分を検知し,訪問者判定領域70aに動体が存在するか否か判定する(S5)。
【0039】
図5(a)に示すように,訪問者在席判定手段102が訪問者判定領域70aに動体がないと判断した場合(S5;No),利用者在席判定手段101は利用者6aが在席すると判定する(S6)。」

「【0042】
上記動作によって利用者在席判定手段101及び訪問者在席判定手段102が判定した判定結果(S2,S4,S6,S8,S9)は,所在情報出力手段103によって所在情報112として出力され,記憶部11に格納されるとともに,PC3a?3c及び携帯情報端末4等に各装置が受付可能な形式で出力する。」

(2)引用文献2に記載された発明
上記(1)の記載から,引用文献2には,次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されている。

利用者6a?6c及び訪問者7aの所在を判定及び通知する所在管理装置1と,利用者6a?6c及び訪問者7aを撮影するカメラ2a?2cと,携帯電話機等の携帯情報端末4とを有する所在管理システム8において(【0015】),
所在管理装置1は,カメラ2a?2cで撮影されている映像を解析して利用者6a?6cの在席状況,利用者6a?6cの訪問者の存在の有無等を判定し,当該判定結果を携帯情報端末4に送信するものであり,携帯情報端末4は,判定結果を受信して,表示部に判定結果を表示するものであって(【0016】),1つのカメラによって複数の利用者を撮影する構成としてもよく(【0018】),
所在管理装置1は,受け付けた映像を解析し,利用者が在席しているか判定し(【0020】?【0021】,【0023】),利用者が在席すると判定した場合,訪問者がいるか判定し(【0024】),判定結果を所在情報112として,携帯情報端末4が受付可能な形式で出力する(【0025】)ものであって,
カメラ2a?2cは,各利用者6a?6cを撮影し,撮影された映像は逐次所在管理装置1に送信され(【0032】),
所在管理装置1は,
カメラ2a?2cが撮影した映像を受け付け(【0033】),
受け付けた映像を解析し,利用者判定領域60aに動体が存在するか否か判定し(【0036】),
利用者判定領域60aに動体が存在する場合,訪問者判定領域70aに動体が存在するか否か判定し(【0037】?【0038】),
判定結果は,所在情報112として携帯情報端末4が受付可能な形式で出力する(【0042】),
所在管理システム8。

3 引用文献3について
引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0068】図6はユーザ端末装置の画面の一部を示す図である。81は他のユーザの勤務状況の画像である。82はそのユーザの勤務状況データである文字情報が表示される勤務状況データ表示部である。83はそのユーザの個室オフィススペースを示す図形画像である。この3つを合わせたものが,このユーザの仮想的な個室オフィスである。
【0069】尚,本実施形態では,同一の画面上に9つの個室オフィスを表示しているが,個室オフィスの数はこれより多くても少なくてもよい。そして,全体の表示スペース84を個室オフィスエリアとする。また,個室オフィスと隣の個室オフィスとの間のスペースは仮想的な廊下部分である。
【0070】個室オフィスの一部として表示されているユーザの勤務状況の画像81は,そのユーザが使用するユーザ端末装置に備わっている後方用カメラ65または正面用カメラ66であらかじめ決められた一定のフレームレートによって撮像された画像である。この画像の処理動作について示す。
【0071】撮像された画像は各カメラからパーソナルコンピュータ本体61のビデオ入力端子を通じてパーソナルコンピュータ18に入力され,プログラムコンポーネント部73の画像圧縮送信プログラムコンポーネントによってQCIFフォーマット(176×144pixels)の圧縮画像として圧縮符号化され,信号線74(図5参照)を介してホストサーバ装置11に速やかに転送される。
【0072】ホストサーバ装置11は,圧縮画像を受信すると,その画像をサーバマネージャ部41のソフトウェアの動作により,この画像を撮像したユーザ端末装置以外のすべてのユーザ端末装置に送信する。
【0073】これらのユーザ端末装置は受信した圧縮画像をプログラムコンポーネント部73の画像伸長表示プログラムコンポーネントを用いてそれぞれの画面上の個室オフィスの勤務状況の画像として表示する。尚,ユーザ端末装置の表示画面の大きさによっては受信した本来の画像フォーマット(176×144Pixels)を縮小して表示する。
【0074】つぎに,ユーザの勤務状況データ表示部82にある文字情報の処理動作について示す。通常,ユーザがホームオフィスなどで個人的業務を遂行中である場合,この部分にはユーザの名前だけが表示されているが,この名前に関する情報はホストサーバ装置11のデータベース部53にユーザの名称に関する情報として格納されている。」

4 引用文献4について
引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0085】
図9は,表示端末4の表示部41に表示される画面表示の例を示す図である。図9に例示する表示画面70は,人や機器等を検索するための検索ウインドウ71,撮像データに人や機器等のID関連情報に基づいて作成した属性情報を画面に重畳して表示する映像表示ウインドウ72,映像表示ウインドウ72に表示されるオブジェクトのリストを表示するオブジェクトリスト73から構成される。
【0086】
表示端末4は,映像表示ウインドウ72での属性情報表示75に際し,各ID端末1の測位データと撮像パラメータに基づいて,撮像データ上のID端末1の位置を決定し,その位置に属性情報表示75を重畳して表示する。
【0087】
ここで,属性情報表示75は,当該IDデータに対応付けられた1又は複数のID関連情報が表示される。属性情報表示75は,ID端末1の位置に表示される。つまり,属性情報表示75は,ID端末1の映像と重畳するように表示される。
【0088】
また,ID端末1の映像に属性情報表示75が重畳されると,属性情報表示75の内容が見えにくくなるので,ID端末1の映像領域付近に表示されるようにしても良い。例えば,ID端末1の位置から,水平方向及び又は垂直方向に所定量だけ位置をずらした位置に,属性情報表示75を表示するようにしても良い。
【0089】
また,映像表示ウインドウ72には,表示領域指定の操作インタフェース74が備わっており,ユーザはこの操作インタフェース74を操作して撮像装置5の撮像パラメータを制御する。これにより,映像表示ウインドウ72に映し出される空間映像の方向(水平方向,垂直方向)の移動や,ズーム量の調整によりズームアップやズームダウンを行うことができる。」

5 引用文献5について
引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0038】
[カメラ21c]
カメラ21cは,従業員端末2の操作者(従業員)を撮影するWebカメラである。
本体21aの制御部は,当該カメラ21cで従業員の笑顔認識を行い,笑顔回数を測定して管理サーバ1に送信する。管理サーバ1は,受信した笑顔回数が通常の当該従業員の平均的な笑顔回数に比べて,笑顔回数が少ない場合は,従業員にストレスがあると判定する。
【0039】
また,本体21aの制御部は,カメラ21cを用いて従業員の離席時間,離席回数を測定し,管理サーバ1に送信する。管理サーバ1は,当該従業員の平均的な離席時間,離席回数に比べて,離席時間が長い場合,離席回数が多い場合はストレスがあると判定する。」


第6 当審の判断

1 引用文献1が主引用文献の場合
(1)本願発明1について
ア 対比
(ア)引用発明1の「カメラ接続端末3」は,後述する相違点は別にして,「滞在状況表示システム」に相当する。

(イ)引用発明1の「カメラ部4」は,本願発明1の「カメラ」に相当し,引用発明1の「所定の領域」は,本願発明1の「対象エリア」に相当し,引用発明1の「カメラ部4」が,「所定の領域」を撮影するためには,所定の場所に設置されていなければならない点で,この所定の場所への設置は,本願発明1の「対象エリアに設置された」に相当する。
そうすると,引用発明1の「カメラ部4」が「所定の領域を画像として撮影する」ことは,本願発明1の「対象エリアに設置されたカメラにより撮影される」に相当し,引用発明1の撮影された「所定領域の画像」は,本願発明1の「映像」に相当する。
また,引用発明1の,在席情報の生成のために「常に判別処理を行う」ことは,本願発明1の「対象エリアに設置されたカメラにより撮影される映像をリアルタイムに取得して」に相当する。

(ウ)引用発明1の「被撮影者」は,その存否の判定の対象者であることから,本願発明1の「現在の人物」に相当する。引用発明1の,「所定の領域」における「被撮影者」の「存否を判別し」,「判別の結果」を示す「在席情報」は,被撮影者の現在の在又は不在の状況を示す情報であるから,後述する相違点は別にして,本願発明1の「滞在状況に関する表示情報」に相当する。また,引用発明1の「カメラ接続端末3」が,「プロセッサ」を有することは明らかである。そうすると,引用発明1の「カメラ接続端末3」が「所定の領域における被撮影者の存否を判別し,判別の結果を示す在席情報を生成する」ことは,カメラ接続端末3のプロセッサが実行する処理である点で,本願発明1の「前記対象エリアにおける現在の人物の滞在状況に関する表示情報を生成する処理をプロセッサにより実行する」ことに相当する。

(エ)引用発明1の「被撮影者の在席,空席,会議中」は,本願発明1の「人物が滞在しているか」ということに相当し,引用発明1の「被撮影者の」「電話中」は,本願発明1の「通話状態」「であって訪問者に応対できない状態」に相当する。そして,引用発明1の「カメラ接続端末3」が「カメラ部4で撮影された画像を示す画像情報を取得し,被撮影者の在席,空席,会議中,電話中,面会拒否などの在席情報を判別」することは,「前記対象エリアに人物が滞在しているか否かを検知し」,「さらに」,「前記対象エリアに滞在する人物」が「通話状態,会話状態,ストレス状態のいずれかにあって訪問者に応対できない状態であるか否かを検知」するものではない点で相違するものの,本願発明1の「前記カメラの映像に基づいて,前記対象エリアに人物が滞在しているか」,「通話状態」「であって訪問者に応対できない状態であるか否かを検知」することに相当する。

(オ)以上より,本願発明1と引用発明1とは,次の点で,一致及び相違する。

<一致点>
対象エリアに設置されたカメラにより撮影される映像をリアルタイムに取得して,前記対象エリアにおける現在の人物の滞在状況に関する表示情報を生成する処理をプロセッサにより実行する滞在状況表示システムであって,
前記プロセッサは,
前記カメラの映像に基づいて,前記対象エリアに人物が滞在しているか,通話状態であって訪問者に応対できない状態であるか否かを検知する,
滞在状況表示システム。

<相違点>
(相違点1)
本願発明1は,「前記対象エリアに人物が滞在しているか否かを検知し」,「さらに」,「前記対象エリアに滞在する人物」が「通話状態,会話状態,ストレス状態のいずれかにあって訪問者に応対できない状態であるか否かを検知」するものであるのに対し,引用発明1では,カメラ部4で撮影された画像を示す画像情報を取得し,被撮影者の在席,空席,会議中,電話中,面会拒否などの在席情報を判別するものであって,在席,空席を検知して,さらに,在席している者に対して電話中であるか否かを検知しているか,すなわち,在席・空席の検知,訪問者に対応できるか否かの検知の順で,検知を行っているか定かではない点。

(相違点2)
本願発明1は,「人物を選択して通知対象に設定するユーザの操作に応じて,前記通知対象に設定された人物に関する前記滞在情報が在席状態に更新され,かつ,前記状態情報が,前記通話状態,前記会話状態,前記ストレス状態のいずれにも該当しない訪問に相応しい状態に更新された場合に,その旨を表す通知をユーザ端末に送信する」のに対し,引用発明1では,相手の名前の選択は,対応するカメラ接続端末3を指定するためのものであり,「訪問に相応しい状態に更新された場合に,その旨を表す通知をユーザ端末に送信する」ためのものではなく,通知を行うために,「前記通知対象に設定された人物に関する前記滞在情報が在席状態に更新され,かつ,前記状態情報が,前記通話状態,前記会話状態,前記ストレス状態のいずれにも該当しない訪問に相応しい状態に更新された」ことを判定する処理も行っていない点。

相違点の判断
相違点の性質に鑑み,相違点2について検討をする。
引用発明1は,在席情報は少なくとも一回は送信されるものであり,一回送信されるとその後は,空席や会議中から在席状態など,在席情報が以前から変化しているか否かを判断し,変化している場合,判別された在席情報を要求元のアドレス先である要求元端末1へ送信することから,要求元端末1を利用するユーザは,常に最新の在席情報を取得することができるものであって,カメラ接続端末3が要求元端末1にプッシュ通知している点で,機能を共通にしている。そして,引用発明1において,相手の名前の選択は,対応するカメラ接続端末3を指定するためのものであるものの,要求元端末1を利用するユーザは,選択した相手の在席情報を知りたいことは明らかであるから,「訪問に相応しい状態に更新された場合に,その旨を表す通知をユーザ端末に送信する」構成とすることは,当業者が容易になし得た事項である。
しかしながら,引用文献1には,在席情報の変化の判定に「ストレス状態」を含めることは,記載も示唆もされておらず,技術常識でもないことから,引用発明1において,「訪問に相応しい状態に更新された場合に,その旨を表す通知をユーザ端末に送信する」構成とするときに,「訪問に相応しい状態」の更新の判定に,「ストレス状態」を含めようとする動機はない。
引用文献2は,上記「第5」の2(2)のとおりであって,「訪問に相応しい状態」の判定に,「ストレス状態」を含めることは,記載も示唆もされていない。
引用文献3,4に記載されている事項は,上記「第5」の3,4のとおりであって,本願発明1の「訪問に相応しい状態」の更新の判定に,「ストレス状態」を含めることは,記載も示唆もされていない。
引用文献5に記載されている事項は,上記「第5」の5のとおり,笑顔認識に基づく従業員のストレスの判定を行うものであって,「訪問に相応しい状態」の更新の判定に,「ストレス状態」を含めることは,記載も示唆もされていない。
また,「訪問に相応しい状態」の更新の判定に,「ストレス状態」を含めることは,技術常識でもない。
よって,引用発明1に,引用文献2?5に記載された事項を適用しても,上記相違点2の構成とすることは,当業者が容易に想到することができたとはいえない。

ウ 効果について
上記相違点2の構成とすることで,通話状態,会話状態およびストレス状態を総合的に考慮して,訪問に適したタイミンクであることを表す通知を行うという特有の効果を奏するものである。

エ 小括
以上のとおりであるから,本願発明1は,相違点1を検討するまでもなく,当業者であっても引用発明1及び引用文献2?5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本願発明2及び3について
本願発明2及び3は,本願発明1を減縮した発明であり,本願発明1と同じ「人物を選択して通知対象に設定するユーザの操作に応じて,前記通知対象に設定された人物に関する前記滞在情報が在席状態に更新され,かつ,前記状態情報が,前記通話状態,前記会話状態,前記ストレス状態のいずれにも該当しない訪問に相応しい状態に更新された場合に,その旨を表す通知をユーザ端末に送信する」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明1及び引用文献2?5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本願発明4について
本願発明4は,本願発明1に対応する方法の発明であり,本願発明1と同じ「人物を選択して通知対象に設定するユーザの操作に応じて,前記通知対象に設定された人物に関する前記滞在情報が在席状態に更新され,かつ,前記状態情報が,前記通話状態,前記会話状態,前記ストレス状態のいずれにも該当しない訪問に相応しい状態に更新された場合に,その旨を表す通知をユーザ端末に送信する」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明1及び引用文献2?5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 引用文献2が主引用文献の場合
(1)本願発明1について
ア 対比
(ア)引用発明2の「所在管理システム8」は,後述する相違点は別にして,本願発明1の「滞在状況表示システム」に相当する。

(イ)引用発明2の「カメラ2a?2c」は,「1つのカメラによって複数の利用者を撮影する構成」とすることもできる点で,本願発明1の「対象エリアに設置されたカメラ」に相当する。また,引用発明2の「カメラ2a?2cは,各利用者6a?6cを撮影し,撮影された映像は逐次所在管理装置1に送信」することは,所在管理装置1が,カメラ2a?2cで撮影された映像を逐次受信することであるから,本願発明1の「対象エリアに設置されたカメラにより撮影される映像をリアルタイムに取得」することに相当する。

(ウ)引用発明2の「複数の利用者」は,「1つのカメラによって」「撮影される」点で,本願発明1の「対象エリアにおける現在の人物」に相当する。引用発明2の「受け付けた映像を解析し,利用者が在席しているか判定し」た「判定結果」である「所在情報112」は,本願発明1の「滞在状況に関する表示情報」に相当する。そして,引用発明2において,所在管理装置1は「プロセッサ」を有することは明らかであり,所在管理装置1が所在情報112を生成することから,引用発明2の「所在管理装置1は,受け付けた映像を解析し,利用者が在席しているか判定し」,「判定結果を所在情報112として」,「出力する」ことは,本願発明1の「前記対象エリアにおける現在の人物の滞在状況に関する表示情報を生成する処理をプロセッサにより実行する」ことに相当する。

(エ)引用発明2の「所在管理装置1は,受け付けた映像を解析し,利用者が在席しているか判定し」,「利用者が在席すると判定した場合,訪問者がいるか判定し」,「判定結果を所在情報112として,携帯情報端末4が受付可能な形式で出力する」ことは,利用者が在席するか判定することと,訪問者がいるか判定することとの,2つの判定を行っており,訪問者がいる場合,これから訪問しようとする者に対応できず,現在対応している訪問者と会話をしている蓋然性が高い点で,本願発明1の「前記カメラの映像に基づいて,前記対象エリアに人物が滞在しているか否かを検知し,さらに,前記カメラの映像に基づいて,前記対象エリアに滞在する人物が」「会話状態」「にあって訪問者に応対できない状態であるか否かを検知し」に相当する。
また,引用発明2の「所在情報112」は,「所在管理装置1は,受け付けた映像を解析し,利用者が在席しているか判定し」,「利用者が在席すると判定した場合,訪問者がいるか判定し」た「判定結果」であるから,本願発明1の「前記対象エリアに人物が滞在しているか否かに関する滞在情報とともに,人物が訪問者に応対できない状態であるか否かに関する状態情報を表示した前記表示情報」に相当する。

(オ)以上より,本願発明1と引用発明2とは,次の点で,一致及び相違する。

<一致点>
対象エリアに設置されたカメラにより撮影される映像をリアルタイムに取得して,前記対象エリアにおける現在の人物の滞在状況に関する表示情報を生成する処理をプロセッサにより実行する滞在状況表示システムであって,
前記プロセッサは,
前記カメラの映像に基づいて,前記対象エリアに人物が滞在しているか否かを検知し,
さらに,前記カメラの映像に基づいて,前記対象エリアに滞在する人物が会話状態にあって訪問者に応対できない状態であるか否かを検知し,
前記対象エリアに人物が滞在しているか否かに関する滞在情報とともに,人物が訪問者に応対できない状態であるか否かに関する状態情報を表示した前記表示情報を生成する,
滞在状況表示システム。

<相違点>
(相違点A)
本願発明1は,「人物を選択して通知対象に設定するユーザの操作に応じて,前記通知対象に設定された人物に関する前記滞在情報が在席状態に更新され,かつ,前記状態情報が,前記通話状態,前記会話状態,前記ストレス状態のいずれにも該当しない訪問に相応しい状態に更新された場合に,その旨を表す通知をユーザ端末に送信する」のに対し,引用発明2は,人物を選択して通知対象に設定するものではなく,このため,訪問に相応しい状態に更新された場合に,その旨を表す通知をユーザ端末に送信するものでなく,さらに,通知を行うために,「前記通知対象に設定された人物に関する前記滞在情報が在席状態に更新され,かつ,前記状態情報が,前記通話状態,前記会話状態,前記ストレス状態のいずれにも該当しない訪問に相応しい状態に更新された」ことを判定する処理も行っていない点。

相違点の判断
当該相違点Aは上記1(1)ア(オ)の相違点2と同じ相違点であり,上記1(1)イのとおり,引用文献1,3?5には,本願発明1の「訪問に相応しい状態」の更新の判定に,「ストレス状態」を含めることは,記載も示唆もされておらず,技術常識でもない。
よって,引用発明2に,引用文献1,3?5に記載された事項を適用しても,上記相違点Aの構成にすることは,当業者が容易に想到することができたとはいえない。

ウ 効果について
上記相違点Aの構成とすることで,通話状態,会話状態およびストレス状態を総合的に考慮して,訪問に適したタイミンクであることを表す通知を行うという特有の効果を奏するものである。

エ 小括
以上のとおりであるから,本願発明1は,当業者であっても引用発明2及び引用文献1,3?5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本願発明2及び3について
本願発明2及び3は,本願発明1を減縮した発明であり,本願発明1と同じ「訪問に相応しい状態」の更新の判定に,「ストレス状態」を含めることと同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明2及び引用文献1,3?5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)本願発明4について
本願発明4は,本願発明1に対応する方法の発明であり,本願発明1と同じ「訪問に相応しい状態」の更新の判定に,「ストレス状態」を含めることと同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明2及び引用文献1,3?5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。


第7 むすび

以上のとおり,本願発明1?4は,引用発明1及び引用文献2?5に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,本願発明1?4は,引用発明2及び引用文献1,3?5に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
さらに,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-07-08 
出願番号 特願2018-29349(P2018-29349)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石坂 博明相澤 祐介  
特許庁審判長 畑中 高行
特許庁審判官 松田 直也
吉田 誠
発明の名称 滞在状況表示システムおよび滞在状況表示方法  
代理人 特許業務法人 大島特許事務所  
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