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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1375798
審判番号 不服2020-283  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-09 
確定日 2021-07-27 
事件の表示 特願2017-567359「関連度を利用した関連ノート提供方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月29日国際公開、WO2016/209026、平成30年 8月16日国内公表、特表2018-523221、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2016年(平成28年)6月24日(優先権主張 2015年6月26日,大韓民国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 1月25日付け:拒絶理由通知書(起案日)
平成31年 4月25日 :意見書,手続補正書の提出
令和 元年 8月30日付け:拒絶査定(起案日)
令和 2年 1月 9日 :審判請求書,手続補正書の提出
令和 3年 2月10日付け:拒絶理由通知書(当審,起案日)
令和 3年 5月17日 :意見書,手続補正書の提出


第2 原査定の概要

原査定(令和元年8月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1?15に係る発明は,以下の引用文献A?Cに基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2011-128833号公報
B.高橋悠紀ほか,NeighborNote:ユーザ操作履歴に基づくノート連想機能を有するEvernoteアプリケーション,インタラクション2014論文集[online],日本,一般社団法人情報処理学会,2014年3月1日,p.694-698
C.シンプルなメモアプリだがMac,iOSユーザーなら超便利Memo,クラウドサービスビジネス活用術,日本,株式会社エイ出版社,2014年4月10日,p.56


第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1.(進歩性)本願請求項1?10に係る発明は,以下の引用文献1?8に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.高橋悠紀,NeighborNote:ユーザ操作履歴に基づくノート連想機能を有するEvernoteアプリケーション,インタラクション2014,一般社団法人情報処理学会,2014年3月1日,p.694-698(拒絶査定時の引用文献B)
2.田中拓也,EVERNOTE スゴ技ブック,ソフトバンククリエイティブ株式会社,2013年3月29日,p.277-281(当審において新たに引用した文献)
3.特開2008-26968号公報(当審において新たに引用した文献)
4.渡部徹太郎,ファイル検索におけるアクセスログから抽出した関連度の利用,情報処理学会研究報告Vol.2007,No.65,社団法人情報処理学会,2007年7月2日,p.503-508(当審において新たに引用した文献)
5.渡辺陽介,複数種類の関連度を組合せたファイル分類手法,第1回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム-DEIMフォーラム-論文集,電子情報通信学会データ工学研究専門委員会,2009年5月9日,p.1-8(当審において新たに引用した文献)
6.石田英次,ハイパーテキストにおける失方位問題解決のための改良ブラウザの提案,第40回(平成2年前期)全国大会講演論文集(III),社団法人情報処理学会,1990年3月,p.1499-1500(当審において新たに引用した文献)
7.シンプルなメモアプリだがMac,iOSユーザーなら超便利,シェルスクリプトマガジン,(有)USP研究所,Vol.58,p.56(拒絶査定時の引用文献C)
8.小原裕太,SECTION 60 メモを書く,はじめてのOutlook2013,株式会社秀和システム,2013年5月15日,p.172-173(当審において新たに引用した文献)

理由2.(明確性)この出願は,特許請求の範囲の記載が,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


第4 本願発明

本願請求項1?10に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」?「本願発明10」という。)は,令和3年5月17日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
ユーザ端末と連動する関連ノート提供サーバーで遂行される関連ノート提供方法において,
前記ユーザ端末から生成する少なくとも一つのノートを受信する段階;
前記少なくとも一つのノートとの関係を表すノート間の関連度を,設定可能な基準によって更新する段階;
前記ノート間の関連度に基づいて前記ユーザ端末に前記少なくとも一つのノートを提供する段階;および
ノートの共有を許容されるユーザグループと,前記少なくとも一つのノートを共有する段階を含み,
前記ノートの共有を許容されるユーザグループは,前記ユーザ端末を使用するユーザを含み,前記ユーザ端末によって設定または同期化され,
前記ノート間の関連度は,
前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および前記少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新されて,
前記の学習は,ノートの照会時間から連結時点の時間を差し引いた時間の要素と,ノートの照会数と照会頻度を加えた要素と,ノートの関連度の累積値に対する要素と,前記ユーザが指定した関連度点数に対する要素の各々の加重値を更新することを特徴とする,関連ノート提供方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つのノートを提供する段階は,
前記少なくとも一つのノートのうち選択されたノートを基準として,前記ノート間の関連度が高い順に前記少なくとも一つのノートを前記ユーザ端末に表示することを特徴とする,請求項1に記載の関連ノート提供方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つのノートは,
インラインタグを含み,前記インラインタグに相応するビュー機能と連動することを特徴とする,請求項1に記載の関連ノート提供方法。
【請求項4】
関連ノート提供サーバーと連動するユーザ端末で遂行される関連ノート提供方法において,
情報入力により少なくとも一つのノートを生成する段階;
前記少なくとも一つのノートとの関係を表すノート間の関連度に基づいて,前記少なくとも一つのノートを表示する段階;および
前記関連ノート提供サーバーを通じて,ノートの共有を許容されたユーザグループと,前記少なくとも一つのノートを共有する段階を含み,
前記ノートの共有を許容されるユーザグループは, 前記ユーザ端末を使用するユーザを含み,前記ユーザ端末によって設定または同期化され,
前記ノート間の関連度は,
前記関連ノート提供サーバーで設定可能な基準によって更新され,
前記ノート間の関連度は,
前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および前記少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新されて,
前記の学習は,ノートの照会時間から連結時点の時間を差し引いた時間の要素と,ノートの照会数と照会頻度を加えた要素と,ノートの関連度の累積値に対する要素と,前記ユーザが指定した関連度点数に対する要素の各々の加重値を更新することを特徴とする,関連ノート提供方法。
【請求項5】
前記少なくとも一つのノートを表示する段階は,
前記少なくとも一つのノートのうち選択されたノートを基準として,前記ノート間の関連度が高い順に表示することを特徴とする,請求項4に記載の関連ノート提供方法。
【請求項6】
前記少なくとも一つのノートは,
インラインタグを含み,前記インラインタグに相応するビュー機能と連動することを特徴とする,請求項4に記載の関連ノート提供方法。
【請求項7】
関連ノート提供サーバーと連動するユーザ端末で遂行される関連ノート提供方法において,
情報入力を通じて,インラインタグを含むノートを生成する段階;
前記インラインタグに相応するビュー機能を抽出する段階;および
前記抽出されたビュー機能を前記生成したノートと連動させる段階を含み,
前記インラインタグでタギングされる情報は,アプリケーションまたはウェブに同期化され,
前記生成したノートは,
他のノートとの関係を表すノート間の関連度を有し,
前記ノート間の関連度は,
前記関連ノート提供サーバーで設定可能な基準によって更新され,
前記ノート間の関連度は,
前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新されて,
前記の学習は,ノートの照会時間から連結時点の時間を差し引いた時間の要素と,ノートの照会数と照会頻度を加えた要素と,ノートの関連度の累積値に対する要素と,前記ユーザが指定した関連度点数に対する要素の各々の加重値を更新することを特徴とする,関連ノート提供方法。
【請求項8】
前記インラインタグは,
名前,電話番号,Eメール,日付,場所および時間のうち少なくとも一つを対象にタギングされることを特徴とする,請求項7に記載の関連ノート提供方法。
【請求項9】
前記抽出されたビュー機能は,
前記生成したノートの付加機能であることを特徴とする,請求項7に記載の関連ノート提供方法。
【請求項10】
前記抽出されたビュー機能は,
連絡先管理,Eメール伝送,カレンダー表示,地図表示,予定,スケジュール管理およびアラームのうち少なくとも一つの機能を遂行するアプリケーションまたはウェブによって支援されることを特徴とする,請求項7に記載の関連ノート提供方法。」


第5 引用文献,引用発明等

1 引用文献1(引用文献B)について
(1)引用文献1(引用文献B)に記載された事項
令和3年2月10日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1(引用文献B)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「1. はじめに
Evernoteは,ユーザが残しておきたいと思った情報をノートという単位でインターネット上のサーバに蓄積しておき,自宅や外出先からパソコンや携帯電話を利用していつでもデータの閲覧・編集ができるクラウド型Webサービスである.Evernoteを利用すると,これまで個々の端末に散在していた情報を整理して一元的に管理できる.
ノートの数は日々増加していくため,効率的にノートを管理できる仕組みが必要となる.Evernoteでは,ノートにタグ付けを行い,あとで見つけやすいように分類しておくのが一般的であるが,1つひとつのノートにタグを貼り付けていく作業はユーザへの負担となる.キーワード検索もできるが,キーワードを含まないが関連しているノートを検索するのは困難であるという問題がある.
Evernoteではこれらの問題への解決法として,ノートに含まれている文字列,作成日時,場所などの類似性に基づいて関連するノートを提示する「関連ノート」機能を提供している.この機能を利用すると,ユーザはノートの分類をきちんとしていなくても,関連するノートを簡単に見つけられるようになる.しかし,探しているノートが必ずしも内容的に類似しているとは限らず,この機能では見つけられないが実際には関連しているノートというのも存在しうる.
そこで本研究ではユーザがアプリケーション上で行う操作に着目し,ユーザが同時に開いていたノートに関連性があるかもしれないこと,ノート間でのコピー&ペーストがそれらのノートの関連性を意味するという考えに基づいて,ノート間の関連度を算出するアプリケーション「NeighborNote」を開発した.
ユーザの操作履歴に着目して関連ファイルを探し出す研究としては,すでに2005年に大澤らが開発した俺デスク[2]がある.俺デスクでは,OSと一部の対応アプリケーションで発生したイベントを取得するが,未対応のアプリケーション上のファイルを扱うことができなかった.本研究のNeighborNoteは,Evernoteをプラットフォームに選択することによって,文章,画像,音声といった様々な形式のファイルを扱えるようにした.」(694?695頁)

「3.2 Evernote 連携
NeighborNote単体でメモアプリとして使うことができるが,Evernoteアカウントと連携すれば,Evernoteで作成したノートやWebページのクリップをNeighborNoteで閲覧したり,NeighborNoteで作成したノートをスマートフォンのEvernote アプリで閲覧したりできるようになる.Evernote連携を行うには,初回起動時にNeighborNoteを経由してユーザのEvernoteアカウントを認証する.」(696頁)

「3.3 ユーザ操作の取得
ユーザがアプリケーション上でノートに対する特定の操作を行った際に,その操作種類と,関わった2つのノートを取得する.例えばユーザがノートAの文章の一部をコピーしてノートBにペーストした場合,操作種類はコピー&ペースト,関わった2つのノートはノートAとノートBということになる.アプリケーション上でユーザが行う操作は多種多様であるが,本研究では多くのユーザが頻繁に行うと考えられる操作で,かつノート間の関連度算出に利用できそうなものとして表1に示す8種類の操作を取得することとした.操作の取得はユーザが特に意識せずに利用できるよう,バックグラウンドで自動的に行われる.」(696頁)


表1

「3.4 ノート間の関連度算出
3.3節で取得した操作履歴に基づいて,ノート間の関連度を算出する.本研究では,全ての操作種類において,その操作を行った回数に比例して関連度が増加すると仮定して2つのノート間の関連度を定義する.まず,2つのノート間の関連ポイントPは,操作種類の番号をk=1,2,…,n,重み付け係数をW_(k),操作回数をN_(k)とした時

で表される.その後,この関連ポイントPを全体の合計が100%となる百分率の形式に変換してから関連度としてユーザに提示する.操作種類ごとの重み付け係数は,システム側に用意されているプリセットモードの中から選択するか,1つひとつユーザが任意に設定することができる.」(696頁)

「4.1 Evernote API
Evernoteサービスと連携するためには,Evernote社が提供しているEvernote APIを利用する.Evernote APIにはローカルAPIとクラウドAPIの2種類が存在する.ローカルAPIは,端末にインストールされたEvernote公式アプリケーションを通してすべての命令が処理されるため,ユーザ認証無しで使えるが,一部の機能にしかアクセスできない.一方のクラウドAPIは,Evernoteサービスと直接対話することで,ノートの取得・変更等,ほぼ全ての機能にアクセスできる.ユーザ操作の取得はローカルAPIでは実現できないため,本研究ではクラウドAPIを利用して実装を行った.」(697頁)

(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。
Evernoteアカウントと連携することで,Evernoteで作成したノートやWebページのクリップをNeighborNoteで閲覧したり,NeighborNoteで作成したノートをスマートフォンのEvernoteアプリで閲覧する方法であって(「3.2」),
前記NeighborNoteは,ユーザが同時に開いていたノートに関連性があるかもしれないこと,ノート間でのコピー&ペーストがそれらのノートの関連性を意味するという考えに基づいて,ノート間の関連度を算出する機能を有し(「1」),Evernoteサービスと直接対話することで,ノートの取得・変更等,ほぼ全ての機能にアクセスできるEvernoteのクラウドAPIを利用して実装され(「4.1」),
ユーザがアプリケーション上でノートに対する特定の操作を行った際に,その操作種類と,関わった2つのノートを取得することであって,ユーザが頻繁に行うと考えられる操作で,かつノート間の関連度算出に利用できそうな操作は,ノートの同時閲覧,コピー&ペースト,新規ノート追加,連想ノートクリック,タグ追加,ノートブック変更,ノートマージ,ノート複製であって「3.3」,「表1」),
全ての操作種類において,その操作を行った回数に比例して関連度が増加すると仮定して2つのノート間の関連度を定義し,2つのノート間の関連ポイントPは,操作種類の番号をk=1,2,・・・,n,重み計数をW_(k),操作回数をN_(k)とした時

で表され(「3.4」),
前記Evernoteは,ユーザが残しておきたいと思った情報をノートという単位でインターネット上のサーバに蓄積しておき,自宅や外出先からパソコンや携帯電話を利用していつでもデータの閲覧・編集ができるクラウド型Webサービスであって,ノートにタグ付けを行い,あとで見つけやすいように分類できる機能,ノートに含まれている文字列,作成日時,場所などの類似性に基づいて関連するノートを提示する「関連ノート」機能を有する(「1」),
方法。

2 引用文献2について
令和3年2月10日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

「Part11 ノートブックを共有する
複数のノートを共有するなら,ノートブックを共有しょう。ノートブックを共有するには,公開リンクを共有する方法か,招待メールを送信して特定の人と共有する方法が選べる。…(途中省略)…招待されたユーザー以外は利用できないので,仕事の資料を同じ部署で共有したり,旅行のプランを友達や家族間で共有したりするのに便利だ。」(ママ,277頁)
「技261 ノートブックを特定のユーザーと共有する
1 前の頁の3の画面で「個人を招待」をタップし,「+」をタップしてユーザーを追加する。「招待」をタップすると,招待メールが送信される
2 「参加したユーザの権限」カテゴリでは,権限が設定できる。プレミアムユーザーなら,ノートブックの変更や招待をメンバーごとに許可できる」(279頁)

3 引用文献3について
令和3年2月10日付けの拒絶の理由に引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0048】
次に,関連情報処理部55の関連情報更新部553の動作について説明する。
まず,関連情報更新部553の時間更新部553bによる関連情報更新処理について図8のフローチャートを参照して説明する。時間更新部553bは,この関連情報更新処理を,1週間毎,1ヶ月毎のように定期的に実行する。時間更新部553bは,関連情報更新処理を開始すると,関連情報DB43に登録されている関連情報の中から未処理の関連情報を1つ選択して(ステップS1),当該選択された関連情報中の更新日時情報436を参照する(ステップS2)。そして時間更新部553bは,参照された更新日時情報436の示す更新日時を現在日時と比較する(ステップS3)。そして時間更新部553bは,更新日時から現在日時までの経過期間が一定期間以内であるかを判定する(ステップS4)。つまり時間更新部553bは,
現在日時-更新日時≦一定期間
であるかを判定する。ここで一定期間は,時間更新部553bによる関連情報更新処理が1週間毎に行われる場合には1週間であり,1ヶ月毎に行われる場合には1ヶ月である。
【0049】(省略)
【0050】
もし,関連情報中の結合度435が下限に達していないならば(ステップS5),時間更新部553bは,当該結合度435を一定値,例えば0.1だけ減らす(ステップS6)。…(以下省略)」

4 引用文献4について
令和3年2月10日付けの拒絶の理由に引用された引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。

「 前節で作成したファイル使用時問表を基にファイル間の関連度を計算する.関連度の算出方法の説明の前に,関連度の大小関係を定義する.
本研究では,関連度の高いファイル同士は長い期間,各作業の度に,同じタイミングで利用されるものと仮定する.そのため,関連度の大小関係を考慮する上で以下の4つのルールを導入した.
ルール1 共起時間の累計が長いほど関連度は高い.
ルール2 共起回数が多いほど関連度は高い.
ルール3 ファイル使用開始パターンが類似しているほど関連度が高い.
ルール4 共起の間隔が離れているほど関連度が高い.
これらのルールについて例を挙げて説明する.
ルール1,ルール2に関して,ファイル使用時間表が図4のようになっている場合,ファイル使用時間表の重なっている部分を「共起時間表」と呼び,この例では共起時間の累計が100分であり共起回数が3回である.これらの値が大きいほど関連度が高いとする.
ルール3に関して,図5のA_(1),B_(2)の方がB_(1),B_(2)よりファイル使用開始時間が近いものが多く,より関連度が高いする.
ルール4に関して,図6のC_(1),C_(2)とD_(1),D_(2)を比較すると,D_(1),D_(2)の方が2番目の共起と3番目の共起の間に長い間隔がある.これは長期間経過後も二つのファイルを一緒に使ったことになるので,関連度は高いとする.」(ママ,505頁「3.2.1」)


5 引用文献5について
令和3年2月10日付けの拒絶の理由に引用された引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。

「3.1 テキスト類似度
従来からテキストデータの検索やクラスタリングなどでよく使われている尺度である[10].共通のキーワードが多く含まれているファイル同士には強い関連があるとみなす.」(2?3頁「3.1」)
「3.4 アクセス共起度
2つのファイルを同時にアクセスしていた場合,その2ファイルは同一作業に利用していた可能性が高い.そのような共起が長期間や複数回に渡って発生していれば,より強い関係であるとみなすことができる.ファイル使用の共起は,ファイルのオープンとクローズのログを記録することで知ることができる.[9]では,ファイルサーバのSamba[14]のログを用いており,ファイルオープン時刻の近さや共起間隔などの要素も考慮されている…(以下省略)」(3頁「3.4」)

6 引用文献6について
令和3年2月10日付けの拒絶の理由に引用された引用文献6には,図面とともに次の事項が記載されている。

「1.目的
(前略)…本研究では,過去のユーザーのアクセス状況を利用することによって,ノード・リンクの重要度を考慮した表示を行なうブラウザを提案する。」(1499頁「1」)
「2) 重要度の算出方法
ここで,最も問題となるのが重要度の算出方法である。本研究では,重要度を算出するために,過去にアクセスしたユーザーの行動の記録を利用する。過去のユーザーが,あるノード・リンクに対してどのような行動をとったかを記録し,それを解析することによって重要度を算出する。どの行動を記録し解析するかは議論のわかれるところであるが,現時点ではノードヘのアクセス回数・アクセス時間・情報複写の実行,リンクの通過回数などを利用する。」(1499頁「3.2」「2)」)

7 引用文献7(引用文献C)について
令和3年2月10日付けの拒絶の理由に引用された引用文献7(引用文献C)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「 MacやiPhone,iPadにプリインストールされている標準アプリが『メモ』。ただ単にテキストメモがとれるだけの,非常にシンプルなアプリなのだが,これをiCloud経由で同期させたとたん,その利便性が大いに上がるのだ。例えば,Mac上で翌日のスケジュールにまつわる事柄を書き留めておくとする。予定の詳細はもちろん,クライアントの住所や電話番号にメールなどといった連絡先を記述しておく。このメモは,iCloudを介してiPhoneのメモに同期される。すると,住所,電話番号やメール,さらにURLなどがハイライト表示され,住所をタップしたらマップが,電話番号なら電話アプリが,メールアドレスならメールなどと,関連アプリが立ち上がる。」(56頁,第1?3段)

8 引用文献8について
令和3年2月10日付けの拒絶の理由に引用された引用文献8には,図面とともに次の事項が記載されている。

「ワンポイント URLも入力できる
メモには,URLや電子メールアドレスを入力することもできます。URLや電子メールアドレスは,入力すると自動的にハイパーリンクになり,クリックするとWebブラウザーや電子メールソフトが起動します。」(173頁)

9 引用文献Aについて
(1)引用文献Aに記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献Aには,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0023】
<第一実施形態>
図1は,第一実施形態における文書検索システムの概略構成の例を示す図である。図1の例の文書検索システムは,文書管理サーバ10,ログ管理サーバ20,クライアント端末30,および画像形成装置40がネットワーク50を介して互いに接続された構成を有する。文書管理サーバ10は,文書検索システムで検索される文書を管理する。ログ管理サーバ20は,クライアント端末30および画像形成装置40において文書に対して実行された操作の履歴(ログ)を管理する。また,第一実施形態では,ログ管理サーバ20は,データベースに記憶されたログを用いて,指定された文書に関連する文書を検索する。クライアント端末30は,電子文書に対する操作を実行する端末装置であり,例えばPC(Personal Computer)などの情報処理装置であってよい。画像形成装置40は,文書の画像の形成を伴う機能を有する装置であり,紙文書に関する操作を実行する。画像形成装置40は,例えば,電子文書の印刷,紙文書のコピー,スキャン,およびFAX(ファクシミリ)送信のうちの1以上の機能を有する装置であってよい。ネットワーク50は,例えばインターネットやLAN(Local Area Network)などの通信手段であってよい。なお,図1には,クライアント端末30および画像形成装置40を1つずつ図示するが,文書検索システムは,クライアント端末30および画像形成装置40をそれぞれ複数含んでいてよい。
【0024】
図2に,文書管理サーバ10の内部構成の概略の例を示す。文書管理サーバ10は,文書DB(データベース)12,文書登録部14,および文書取得部16を備える。
【0025】
文書DB12は,文書の識別子と,当該文書の内容を特定するための情報と,を対応づけて記憶する記憶手段である。図3に,文書DB12のデータ内容の一例を示す。
【0026】
図3を参照し,文書DB12には,各文書の文書IDに対応づけて,文書タイプおよび文書パスの各項目の値が登録されている。文書IDは,各文書に対して付与される,システム内で一意な識別子である。文書IDとして,例えば,UUID(Universal Unique Identifier)を用いる。文書タイプは,文書の種類(文書に含まれるデータの種類等)を表す情報である。文書パスは,文書本体のファイルを記憶した記憶手段における格納位置を表す。文書本体のファイルは,文書DB12に格納されていてもよいし,文書管理サーバ10とネットワーク50を介して接続された他の情報処理装置が備える記憶手段に格納されていてもよい。いずれにしても,文書パスは,文書本体のファイルを取得可能とする参照情報であればよい。
【0027】
再び図2を参照し,文書登録部14は,文書DB12に未登録の文書を文書DB12に新規登録する。例えば,文書登録部14は,文書ID,文書タイプ,および文書本体のデータをクライアント端末30または画像形成装置40から受信すると,文書本体のデータを含むファイルを文書DB12または他の情報処理装置の記憶手段に記憶させると共に,文書DB12において新たなレコードを生成する。この新たなレコードにおいて,クライアント端末30または画像形成装置40から受信した文書IDおよび文書タイプの値が設定され,受信した文書本体のデータのファイルの格納位置が文書パスの値として設定される。なお,クライアント端末30または画像形成装置40から文書本体のデータを受信する代わりに,文書本体のファイルの格納位置を受信し,受信した格納位置を新たなレコードの文書パスとしてもよい。」

「【0032】
次に,図6を参照し,ログ管理サーバ20について説明する。ログ管理サーバ20は,文書に対して実行された操作のログを管理すると共に,本発明の第一実施形態の例における文書検索装置として機能する。図6の例のログ管理サーバ20は,ログDB22,検索条件DB24,ログ登録部26,および文書検索部28を備える。」

「【0036】
再び図6を参照し,検索条件DB24は,文書検索部28がログDB22中のログレコードを検索するときに用いる検索条件を記憶する記憶手段である。ここで,検索条件は,ログDB22の中から,あるログレコードに関連するログレコードを検索するための条件である。検索条件DB24のデータ内容は,例えばシステムの管理者などにより予め設定される。
【0037】
図8に,検索条件DB24のデータ内容の一例を示す。図8の表の各行は,1つの検索条件の情報を表すレコードに対応する。図8の表の各レコードは,条件ID,検索条件,およびログ関連度の各項目の値を含む。条件IDは,検索条件の識別子である。検索条件は,ログレコード間に「関連がある」と判定するための条件である。例えば,条件ID「0001」の検索条件「PC上で同時にオープン」は,それぞれ異なる文書IDを含む2つのログレコードが,同一のPC(つまりクライアント端末30)上で,同時に,操作種類「オープン」の操作が実行されたことを表す場合に,これら2つのログレコード間に関連があると判定することを表す。なお,操作の実行が「同時」であるとは,2つのログレコードの操作日時が同一である場合に加えて,2つのログレコードの操作日時の差が予め設定された時間の範囲内(例えば,1分以内など)である場合も含む。本実施形態の例では,「同時」の条件を含むすべての検索条件について,「同時」であるか否かの判定のための時間の範囲が同一の値に設定されているとする。変形例では,検索条件に応じて異なる時間の範囲に設定しておいてもよい。ログ関連度は,対応する検索条件を満たすログレコード間の関連の程度を示す値である。図8の例の表では,ログ関連度の数値が大きい程,関連の程度が高いことを表す。例えば,同一のクライアント端末30上で同時にオープンされた文書同士より,同じ電子メールに添付されて送信された文書同士の方が,対応するログレコード間の関連の程度が高いと考えられる。よって,図8の表では,検索条件「PC上で同時にオープン」のログ関連度「1」よりも,検索条件「PC上でメールに同梱して送信」のログ関連度「2」の方が大きく設定されている。同様に,同時にFAX送信された文書同士,およびクライアント端末30上で同一のフォルダに格納された文書同士は,対応するログレコード間の関連の程度が比較的高いと推測される。よって,図8の例では,検索条件「PC上で同じフォルダに格納」および「MFP上で同時に同一番号に対してFAX送信」のログ関連度は「2」に設定されている。図8では,ログ関連度の値として「1」および「2」だけを例示する。しかしながら,より結びつきが強い(関連の程度が高い)と判断される場合は,ログ関連度として3以上の値を設定してもよいし,より結びつきは弱いけれども関連があるかもしれない検索条件に対しては,0?1の間の値をログ関連度として設定してもよい。
【0038】
図6の説明に戻り,ログ登録部26は,文書に対して操作を実行したクライアント端末30または画像形成装置40から当該操作のログを受信し,ログDB22に登録する処理を行う。ログ登録部26は,例えば,操作のログを受信すると,ログDB22において新たなログレコードを生成し,生成した新たなログレコードの各項目(図7参照)の値を,受信したログに含まれる値に設定する。
【0039】
文書検索部28は,ログDB22および検索条件DB24を参照し,指定された文書(指定文書)の文書IDを含む文書検索要求に応じて,指定文書に関連する文書の文書IDを検索する。文書検索要求は,例えばクライアント端末30によって行われ,文書検索部28は,検索結果の文書IDを要求元のクライアント端末30に対して返送する。文書検索部28は,関連ログ抽出部280,ログ関連度合計算出部282,文書関連度算出部284,および結果送信部286を含む。
【0040】
関連ログ抽出部280は,ログDB22中のあるログレコードに関連するログレコードをログDB22から抽出する処理を行う。例えば,関連ログ抽出部280は,指定文書の文書IDを含むログDB22中のログレコードのそれぞれについて,当該ログレコードとの間で検索条件DB24に登録された検索条件を満たすログレコードを抽出する。抽出されたログレコードに含まれる文書IDは,指定文書に関連する文書の文書IDであると言える。また,関連ログ抽出部280は,指定文書に関連する文書の文書IDそれぞれについて,さらに,当該文書IDを含む各ログレコードとの間で検索条件DB24中の検索条件を満たすログレコードを抽出することもある。
【0041】(省略)
【0042】
ログ関連度合計算出部282は,関連ログ抽出部280が抽出したログレコードに含まれる文書IDごとに,各ログレコードが満たす検索条件に対応するログ関連度の合計を算出する。上述の指定文書X,文書Y,および文書Zの例を用いて,ログ関連度の合計の算出処理の具体例を説明する。まず,関連ログ抽出部280により,指定文書Xのログレコードを基に文書Yのログレコードが複数抽出されたとする。これらの複数のログレコードのそれぞれについて,ログ関連度合計算出部282は,指定文書Xのログレコードとの間で満たされた検索条件に対応づけられたログ関連度を検索条件DB24から取得する。例えば,指定文書Xのログレコードとの間で検索条件「PC上で同時にプリント」を満たす文書Yのログレコードについてログ関連度「1」を取得し,検索条件「PC上でメールに同梱して送信」を満たす文書Yのログレコードについてログ関連度「2」を取得する(図8参照)。そして,ログ関連度合計算出部282は,取得したログ関連度の合計を求める。指定文書Xおよび文書Yに関する本例では,取得したログ関連度「1」および「2」の合計である「3」を求める。このように求めた合計を,以下では,「指定文書Xと文書Yとの間の」ログ関連度の合計と言う。同様に,文書Yに関連する文書Zについても,ログ関連度合計算出部282は,抽出された文書Zの各ログレコードが文書Yのログレコードとの間で満たす検索条件に対応するログ関連度を取得し,取得したログ関連度の合計を求める。求めた合計は,文書Yと文書Zとの間のログ関連度の合計である。
【0043】
文書関連度算出部284は,指定文書に直接的に関連する文書および間接的に関連する文書のそれぞれについて,指定文書との間の関連の程度を表す文書関連度を算出する。文書関連度算出部284は,ログ関連度合計算出部282が求めた文書間のログ関連度の合計を用いて文書関連度の算出を行う。文書関連度算出部284の処理の詳細は後述する。
【0044】
結果送信部286は,指定文書に直接的に関連する文書および間接的に関連する文書の文書IDと,当該文書について算出された指定文書との間の文書関連度と,を対応づけて,文書検索要求の要求元のクライアント端末30または画像形成装置40に対して送信する。結果送信部286は,さらに,より大きい文書関連度に対応づけられた文書ID程より高い優先順位で表示手段に表示することを指示する表示制御情報を送信してもよい。」

「【0087】
図11の例の手順の処理の結果,文書検索要求の要求元のクライアント端末30は,指定文書に(直接的にあるいは間接的に)関連する文書の文書IDと,関連する各文書と指定文書との間の文書関連度と,をログ管理サーバ20の文書検索部28から受信する。要求元のクライアント端末30の検索処理部38は,例えば,ログ管理サーバ20から受信した文書IDと対応する文書関連度とを,指定文書についての検索結果として表示部39に表示させる。本例では,検索処理部38は,結果送信部286から送信された表示制御情報に従って,より大きい文書関連度に対応する文書IDを優先して表示部39に表示させる。」

(2)引用文献Aに記載された発明
上記(1)から,引用文献Aには,次の発明(以下,「引用発明A」という。)が記載されている。

文書管理サーバ10,ログ管理サーバ20,クライアント端末30がネットワーク50を介して互いに接続されており(【0023】),
文書管理サーバ10は,文書ID,文書タイプ,および文書本体のデータをクライアント端末30から受信すると,文書本体のデータを含むファイルを記憶し(【0027】),
ログ管理サーバ20は,文書に対して実行された操作のログを管理するものであって(【0032】),あるログレコードに関連するログレコードを検索するための条件である検索条件を記憶し,システムの管理者などにより予め設定され(【0036】),検索条件を表すレコードは,条件ID,検索条件,およびログ関連度の各項目の値を含み,ログ関連度は,対応する検索条件を満たすログレコード間の関連の程度を示す値であり(【0037】),指定された文書(指定文書)の文書IDを含む文書検索要求に応じて,指定文書に関連する文書の文書IDを検索し要求元のクライアント端末30に対して返送することであって(【0039】),指定文書の文書IDを含むログレコードを抽出し,当該ログレコードとの間で検索条件を満たすログレコードを抽出し(【0040】),抽出したログレコードに含まれる文書IDごとに,各ログレコードが満たす検索条件に対応するログ関連度の合計を算出し(【0042】),文書間のログ関連度の合計を用いて文書関連度の算出を行い(【0043】),指定文書に直接的に関連する文書および間接的に関連する文書の文書IDと,当該文書について算出された指定文書との間の文書関連度と,を対応づけて,文書検索要求の要求元のクライアント端末30に対して送信する(【0044】【0087】)
方法。


第6 対比・判断(当審拒絶の理由の理由1(進歩性)について)

1 本願発明1について
(1)対比
ア 引用発明において,Evernoteは,ユーザが残しておきたいと思った情報をノートという単位でインターネット上のサーバに蓄積しておき,自宅や外出先からパソコンや携帯電話を利用していつでもデータの閲覧・編集ができるクラウド型Webサービスであって,当該サービスはユーザがパソコンや携帯電話を利用して作成したノートをサーバに蓄積するものであるから,引用発明の「パソコン」や「携帯電話」は,本願発明1の,「ユーザ端末」に相当し,引用発明の「サーバ」は,本願発明1の「ユーザ端末と連動する関連ノート提供サーバー」に相当し,さらに,引用発明の「サーバ」が,ユーザにノートを提供する処理を実行するものは,後述する相違点は別にして,本願発明1の「ユーザ端末と連動する関連ノート提供サーバーで遂行される関連ノート提供方法」に相当し,引用発明のパソコンや携帯電話で作成したノートをサーバに蓄積させることは,本願発明1の「前記ユーザ端末から生成する少なくとも一つのノートを受信する段階」に相当する。

イ 引用発明の,Evernoteが,ノートにタグ付けを行い,あとで見つけやすいように分類できる機能,ノートに含まれている文字列,作成日時,場所などの類似性に基づいて関連するノートを提示する機能における「類似性」は,関連するノートを提示する(「関連ノート」機能)ために用いられる基準となるものであって,「ノートに含まれている文字列,作成日時,場所など」に基づき得られるものであり,「関連ノート」機能は,サーバの機能であって,上記基準の値に変更があると「類似性」に変更が生じる点で,本願発明1の「前記少なくとも一つのノートとの関係を表すノート間の関連度を,設定可能な基準によって更新する」ことに相当し,引用発明において,類似性に基づき関連するノートを提供することは,本願発明1の「前記ノート間の関連度に基づいて前記ユーザ端末に前記少なくとも一つのノートを提供する」ことに相当する。

ウ そうすると,本願発明1と,引用発明とは,次の点で一致又は相違する。

<一致点>
ユーザ端末と連動する関連ノート提供サーバーで遂行される関連ノート提供方法において,
前記ユーザ端末から生成する少なくとも一つのノートを受信する段階;
前記少なくとも一つのノートとの関係を表すノート間の関連度を,設定可能な基準によって更新する段階;
前記ノート間の関連度に基づいて前記ユーザ端末に前記少なくとも一つのノートを提供する段階;
を含む方法。

<相違点>
(相違点1-1)
本願発明1は,「ノートの共有を許容されるユーザグループと,前記少なくとも一つのノートを共有する段階を含み,前記ノートの共有を許容されるユーザグループは,前記ユーザ端末を使用するユーザを含み,前記ユーザ端末によって設定または同期化され」る段階を含むのに対し,引用発明は,そのような段階を含んでいない点。

(相違点1-2)
「ノート間の関連度」が,本願発明1は,「前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および前記少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新され」るものであり,「前記の学習」が,「ノートの照会時間から連結時点の時間を差し引いた時間の要素と,ノートの照会数と照会頻度を加えた要素と,ノートの関連度の累積値に対する要素と,前記ユーザが指定した関連度点数に対する要素の各々の加重値を更新すること」であるのに対し,引用発明では,「ノートに含まれている文字列,作成日時,場所などの類似性」であって,学習の具体的な内容は特定されていない点。

(2)相違点についての判断
ア 相違点1-1について
引用文献2は,Evernoteの機能を説明する文献であって,上記「第5」の2のとおり,Evernoteにはノートブックの共有機能があり,共有する特定のユーザーを設定することができるものである。そして,この機能により,仕事の資料を同じ部署で共有したり,旅行のプランを友達や家族間,すなわちユーザ端末を使用するユーザを含むユーザグループ間で共有できるものである。そうすると,引用発明に引用文献2に記載された,ノートブックの共有機能を適用して,相違点1-1の構成とすることは,当業者が容易になし得た事項である。

イ 相違点1-2について
(ア)「関連度を初期設定した後に経過した時間」
本願発明1の「経過した時間」について,その意味を確認するために,発明の詳細な説明【0076】を参照すると「時間の経過が大きくなるほど関連度は低くなり得」るものとしている。
引用文献3には,文書間の関連情報が,更新日時から現在日時までの経過時間が一定期間経過していると,関連情報中の関連度を0.1だけ減らす周知技術が記載されている。そして,引用文献3に記載されている周知技術は,更新日時から経過期間が長いほど関連情報中の結合度は小さくなるものであるから,当該周知技術を引用発明に適用するときに,経過期間を算出する基準を「更新日時」から「初期設定」とすることは設計的事項である。

(イ)「関連照会回数」及び「ユーザ指定関連度点数」
引用発明は,NeighborNoteの機能として,ユーザがアプリケーション上でノートに対する特定の操作を行った際に,その操作種類と,関わった2つのノートを取得することであって,操作の種類は,ノートの同時閲覧,コピー&ペースト,新規ノート追加,連想ノートクリック,タグ追加,ノートブック変更,ノートマージ,ノート複製であって,全ての操作種類において,その操作を行った回数に比例して関連度が増加すると仮定して2つのノート間の関連度を定義することを含む。このうち,タグの追加は,ユーザが付与し,タグの内容に関連するノート間の関連度を高くすることに寄与する点で,「ユーザ指定関連点数」に相当するといえる。
そうすると,引用発明におけるNeighborNoteは,少なくとも,本願発明1の「関連参照回数」,「ユーザ指定関連点数」に相当する「ノートの同時閲覧」,「タグ追加」に基づき関連度である関連ポイントPを算出する機能を有しているといえる。
また,引用文献4には,共起回数が多いほどファイル間の関連度は高いとすること,引用文献5には,2つのファイルを同時にアクセスしたという共起が複数発生した場合に強い関係があること,すなわちノート間の関連度を得るために関連参照回数を使用するという周知技術が記載されている。

(ウ)「照会時間」
本願発明1の「照会時間」には,どのような「時間」が含まれるかを確認するために発明の詳細な説明【0075】を参照すると,「照会時間は該当ノートを照会した時点」であるとされている。
引用文献6には,ハイパーテキストにおけるノード・リンクの重要度を算出するために,ユーザーの過去に取った行動の記録を解析するものであって,アクセス時間を利用する,すなわち,参照時間を利用する周知技術が記載されている。また,引用文献5には,ファイル共起度を得るために,ファイルオープン時刻の近さを利用する周知技術が記載されている。

(エ)「ユーザが関連ノートをクリックする順序」について
本願発明1の「ユーザが関連ノートをクリックする順序」には,どのような「順序」が含まれるかを確認するために発明の詳細な説明【0075】を参照すると,「ユーザがノートをクリックして確認した順序またはパターンについての情報を意味し得る」ものとされている。
引用文献4には,ファイル使用開始パターンが近いほど関連度が高い,共起の間隔が離れているほど関連度が高いとすること,引用文献5には,ファイル共起度を得るために,ファイルオープン時刻の近さや共起間隔というパターンを用いること,すなわち,ノート間の関連度を得るために,「ユーザが関連ノートをクリックする順序」を使用するという周知技術が記載されている。

(オ)「少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性」について
本願発明1の「少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性」は,どのような場合に「類似」しているかを確認するために発明の詳細な説明【0075】を参照すると,「ノートのコンテンツに対する分析を通じて算出され得,例えば,ノートに含まれたインラインタグを基準とした分析,形態素分析技法などが利用され得る」ものである。
引用文献5には,ファイル同士の強い関連を「共通のキーワード」により解析する周知技術が記載されている。

(カ)上記(ア)?(オ)の全ての要素を用いることについて
引用発明は,ノート間の関連度を得るためにノートの同時閲覧,コピー&ペースト,新規ノート追加,連想ノートクリック,タグ追加,ノートブック変更,ノートマージ,ノート複製という複数の要素を用いている。また,引用文献4,5にあるように,複数の要素を用いてファイル等の間の共起度,すなわち関連度を得ることは周知技術であるから,引用発明に上記周知技術を適用することは当業者が容易になし得た事項である。このとき,引用発明のNeighborNoteは,関連度を操作回数等の時間的に変動する要素を計算に用いる構成を有していることから,上記周知技術を適用するときに,ノート間の関連度を学習によって更新する構成とすることも,当然に行われる当業者が容易になし得た事項である。

(キ)「学習」について
しかしながら,本願発明1「学習」について,上述したように,引用文献2には,Evernoteにはノートブックの共有機能が記載されるのみで,引用文献3?6には,「関連照会回数」,「ユーザ指定関連度点数」,「照会時間」,「ユーザが関連ノートをクリックする順序」及び「少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性」に関する事項が記載されているものの,これらに基づき「ノートの照会時間から連結時点の時間を差し引いた時間の要素と,ノートの照会数と照会頻度を加えた要素と,ノートの関連度の累積値に対する要素と,前記ユーザが指定した関連度点数に対する要素の各々の加重値を更新する」という「学習」をすることは,記載も示唆もされていない。
また,引用文献7には,メモにハイライト表示を設定すること,ハイライト表示されたものを選択することで関連するアプリが起動することは周知技術,引用文献8には,メモを入力すると,メモの内容に自動的にハイパーリンクを付与する周知技術が記載されているもの,「ノートの照会時間から連結時点の時間を差し引いた時間の要素と,ノートの照会数と照会頻度を加えた要素と,ノートの関連度の累積値に対する要素と,前記ユーザが指定した関連度点数に対する要素の各々の加重値を更新する」という「学習」をすることは,記載も示唆もされていない。
そうすると,引用発明において,引用文献2?8に記載された事項を適用しても,「ノート間の関連度」が,「前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および前記少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新され」るものであって,「前記の学習」が,「ノートの照会時間から連結時点の時間を差し引いた時間の要素と,ノートの照会数と照会頻度を加えた要素と,ノートの関連度の累積値に対する要素と,前記ユーザが指定した関連度点数に対する要素の各々の加重値を更新すること」とすることは,当業者が容易に想到することができたとはいえない。

ウ 効果について
上記相違点1-2の「学習」によって,「ノート感の関連度」を更新する構成とすることで,ユーザ便宜性を増進することができるという,格別顕著な作用効果を奏するものである。

(2)まとめ
以上より,本願発明1は,引用発明及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2,3について
本願発明2,3も,本願発明1の「前記ノート間の関連度は,前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および前記少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新されること」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明4について
(1)本願発明4との比較
本願発明4と本願発明1を比較すると,次のとおりである。本願発明4の下線は,本願発明1と異なる箇所であり,当審が付与した。
ア 本願発明1が「ユーザ端末と連動する関連ノート提供サーバーで遂行される関連ノート提供方法」であるのに対し,本願発明4が「関連ノート提供サーバーと連動するユーザ端末で遂行される関連ノート提供方法」である点。

イ 本願発明1が「前記ユーザ端末から生成する少なくとも一つのノートを受信する段階」であるのに対し,本願発明4が「情報入力により少なくとも一つのノートを生成する段階」である点。

ウ 本願発明1が「前記少なくとも一つのノートとの関係を表すノート間の関連度を,設定可能な基準によって更新する段階;前記ノート間の関連度に基づいて前記ユーザ端末に前記少なくとも一つのノートを提供する段階」であるのに対し,本願発明4が「前記少なくとも一つのノートとの関係を表すノート間の関連度に基づいて,前記少なくとも一つのノートを表示する段階」である点。

エ 本願発明1が「ノートの共有を許容されるユーザグループと,前記少なくとも一つのノートを共有する段階を含み」であるのに対し,本願発明4が「前記関連ノート提供サーバーを通じて,ノートの共有を許容されたユーザグループと,前記少なくとも一つのノートを共有する段階を含み」である点。

オ 本願発明には,本願発明4の「前記ノート間の関連度は,前記関連ノート提供サーバーで設定可能な基準によって更新され」がない点。

カ 以上をまとめると,本願発明1と本願発明4との実質的な相違は,本願発明1は,方法の動作の主体が「関連ノート提供サーバー」であるのに対し,本願発明4は,方法の動作の主体が「関連ノート提供サーバーと連動するユーザ端末」である点である。

(2)本願発明4と引用発明との対比
ア 引用発明は,上記「第5」の1(2)のとおりである。以下,上記(1)で比較した,本願発明4の本願発明1と相違する箇所について引用発明と対比を行う。

イ 上記(1)アについて,引用発明の「スマートフォン」は,Evernoteアプリを有し,これにより,ユーザが残しておきたいと思った情報をノートという単位でインターネット上のサーバに蓄積することができる点で,ユーザが本願発明4の「関連ノート提供サーバーと連動するユーザ端末」に相当する。

ウ 上記(1)イについて,引用発明のスマートフォンのEvernoteアプリは,スマートフォン上で動作し,ノートを作成する機能がある点で,引用発明のEvernoteアプリの機能は,本願発明4の「情報入力により少なくとも一つのノートを生成する」に相当する。

エ 上記(1)ウについて,引用発明の,Evernoteが,ノートにタグ付けを行い,あとで見つけやすいように分類できる機能,ノートに含まれている文字列,作成日時,場所などの類似性に基づいて関連するノートを提示する機能,すなわち,類似性に基づいて関連するノートを表示する機能における,「類似性」は,関連するノートを表示するため(「関連ノート」機能)に用いられる基準となるものであって,「ノートに含まれている文字列,作成日時,場所など」に基づき得られるものであり,「関連ノート」機能は,サーバの機能である点で,本願発明4の「前記少なくとも一つのノートとの関係を表すノート間の関連度に基づいて,前記少なくとも一つのノートを表示する」こと,及び,「前記ノート間の関連度は,前記関連ノート提供サーバーで設定可能な基準によって更新され」ることに相当する。

オ そうすると,本願発明4と引用発明とは,次の点で一致又は相違する。

<一致点>
関連ノート提供サーバーと連動するユーザ端末で遂行される関連ノート提供方法において,
情報入力により少なくとも一つのノートを生成する段階;
前記少なくとも一つのノートとの関係を表すノート間の関連度に基づいて,前記少なくとも一つのノートを表示する段階;
を含み,
前記ノート間の関連度は,
前記関連ノート提供サーバーで設定可能な基準によって更新される,
方法。

<相違点>
(相違点4-1)
本願発明4が「前記関連ノート提供サーバーを通じて,ノートの共有を許容されたユーザグループと,前記少なくとも一つのノートを共有する段階を含み,前記ノートの共有を許容されるユーザグループは,前記ユーザ端末を使用するユーザを含み,前記ユーザ端末によって設定または同期化され」る段階を含むのに対し,引用発明は,そのような段階を含んでいない点。

(相違点4-2)
「ノート間の関連度」が,本願発明4は,「前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および前記少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新され」るものであり,「前記の学習」が,「ノートの照会時間から連結時点の時間を差し引いた時間の要素と,ノートの照会数と照会頻度を加えた要素と,ノートの関連度の累積値に対する要素と,前記ユーザが指定した関連度点数に対する要素の各々の加重値を更新すること」であるのに対し,引用発明では,「ノートに含まれている文字列,作成日時,場所などの類似性」であって,学習の具体的な内容は特定されていない点。

(3)相違点の判断
相違点4-1は,上記1の相違点1-1と実質的に同じであるから,同(2)アで検討したとおり,当業者が容易になし得た事項である。
相違点4-2は,上記1(1)ウの相違点1-2と同じであるから,同(2)イで検討したとおり,当業者が容易になし得た事項ではない。
よって,本願発明4は,引用発明及び引用文献2?8に記載された事項に基づき,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

4 本願発明5,6について
本願発明5,6も,本願発明4の「前記ノート間の関連度は,前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および前記少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新されること」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明4と同じ理由により,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

5 本願発明7について
(1)本願発明4との比較
本願発明7と本願発明4を比較すると,次のとおりである。本願発明7の下線は,本願発明4と異なる箇所であり,当審が付与した。
ア 本願発明4が「情報入力により少なくとも一つのノートを生成する段階」であるのに対し,本願発明7は「情報入力を通じて,インラインタグを含むノートを生成する段階」であって,「前記インラインタグに相応するビュー機能を抽出する段階;および前記抽出されたビュー機能を前記生成したノートと連動させる段階を含み,前記インラインタグでタギングされる情報は,アプリケーションまたはウェブに同期化され」る点。

イ 本願発明7には,本願発明4の「前記少なくとも一つのノートとの関係を表すノート間の関連度に基づいて,前記少なくとも一つのノートを表示する段階」がない点。

ウ 本願発明7には,本願発明4の「前記関連ノート提供サーバーを通じて,ノートの共有を許容されたユーザグループと,前記少なくとも一つのノートを共有する段階を含み,前記ノートの共有を許容されるユーザグループは,前記ユーザ端末を使用するユーザを含み,前記ユーザ端末によって設定または同期化され」る構成がない点。

エ このように,本願発明4と本願発明7の相違は,本願発明7にはノートの生成において,インラインタグを含むとの限定がなされ,ノートを表示する段階及びノートの共有に関する機能がない点である。

(2)本願発明7と引用発明との対比
ア 引用発明は,上記「第5」の1(2)のとおりである。以下,上記(1)で比較した,本願発明4の本願発明1と相違する箇所について引用発明と対比を行うと,一致点及び相違点は,次のとおりである。

<一致点>
関連ノート提供サーバーと連動するユーザ端末で遂行される関連ノート提供方法において,
情報入力により少なくとも一つのノートを生成する段階;
を含み,
前記ノート間の関連度は,
前記関連ノート提供サーバーで設定可能な基準によって更新される,
方法。

<相違点>
(相違点7-1)
本願発明7は,「情報入力を通じて,インラインタグを含むノートを生成」し,「前記インラインタグに相応するビュー機能を抽出する段階;および前記抽出されたビュー機能を前記生成したノートと連動させる段階を含み,前記インラインタグでタギングされる情報は,アプリケーションまたはウェブに同期化」するのに対し,引用発明には,生成されるノートにインラインタグを含めるものではない点。

(相違点7-2)
「ノート間の関連度」が,本願発明7は,「前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新され」るものであり,「前記の学習」が,「ノートの照会時間から連結時点の時間を差し引いた時間の要素と,ノートの照会数と照会頻度を加えた要素と,ノートの関連度の累積値に対する要素と,前記ユーザが指定した関連度点数に対する要素の各々の加重値を更新すること」であるのに対し,引用発明では,「ノートに含まれている文字列,作成日時,場所などの類似性」であって,学習の具体的な内容は特定されていない点。

(3)相違点の判断
ア 相違点7-1について
引用文献8は,Outlookの機能を説明するものであって,上記1(2)イ(キ)で示したとおり,Outlookには,メモを入力すると,メモの内容に自動的にハイパーリンクを付与する機能があり,パイパーリンクが付与された箇所には,その状況がユーザに視覚的に分かるように表示を他の箇所と異ならせることは周知技術であって,ハイパーリンクの付与は,メモに対するタグの付与により実現されることも,一般的な事項である。さらに,引用文献8には,ハイパーリンクであるURLや電子メールアドレスをクリックすると,Webブラウザーや電子メールソフトが起動する周知技術も記載されている。
そして,引用発明と当該周知技術は,ノート(メモ)にタグを付与できるとの共通の機能を有していることから,引用発明に当該周知技術を適用して,上記相違点7-1の構成とすることは,当業者が容易なし得た事項である。

イ 相違点7-2について
相違点7-2は,上記1(1)ウの相違点1-2と同じであるから,同(2)イで検討したとおり,当業者が容易になし得た事項ではない。

ウ よって,本願発明7は,引用発明及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

6 本願発明8?10について
本願発明8?10も,本願発明7の「前記ノート間の関連度は,前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および前記少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新されること」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明7と同じ理由により,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。


第7 当審拒絶の理由の理由2(明確性)について

当審では,補正前請求項1,4の記載において,「ユーザ端末」は,「ユーザグループ」とどのような関係にあるのか不明であるとの拒絶の理由を通知したが,令和3年5月17日提出の手続補正書により,「前記ノートの共有を許容されるユーザグループは,前記ユーザ端末を使用するユーザを含み,前記ユーザ端末によって設定または同期化され,」(下線は,補正箇所。請求人が付与した。)と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。


第8 原査定についての判断

令和3年5月17日提出の手続補正書による補正後の独立請求項1,4,7は,「前記ノート間の関連度は,前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および前記少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新される」(上記相違点1-2,相違点4-2,相違点7-2)という技術的事項を有するものとなった。当該「前記ノート間の関連度は,前記関連度を初期設定した後に経過した時間,関連照会回数,照会時間,ユーザ指定関連度点数,ユーザが関連ノートをクリックする順序および前記少なくとも一つのノートに含まれる情報間の類似性に基づいた学習によって更新される」は,原査定における引用文献A?Cには記載されておらず,本願優先日前における周知技術でもないので,本願発明1?10は,当業者であっても,原査定における引用文献A?Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。


第9 むすび

以上のとおり,原査定の理由及び当審において通知した拒絶の理由によって,本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-07-08 
出願番号 特願2017-567359(P2017-567359)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西村 直史山本 俊介  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 松田 直也
上田 智志
発明の名称 関連度を利用した関連ノート提供方法および装置  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
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