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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G07G
管理番号 1375814
審判番号 不服2020-17918  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-28 
確定日 2021-07-08 
事件の表示 特願2019-187702号「商品登録装置、プログラム、及び制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和2年5月14日出願公開、特開2020-74082号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月23日に出願した特願2015-60188号(以下「原出願」という。)の一部を令和1年10月11日に新たな特許出願としたものであって、令和2年6月23日付けで拒絶理由が通知され、同年8月26日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月24日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年12月28日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和2年12月28日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年12月28日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
令和2年12月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正するものであって、請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。

(1)補正後の請求項1
「 【請求項1】
商品を認識する認識手段と、
顧客の動作を撮像して画像を生成する撮像手段と、
前記撮像手段によって生成された画像を用いて、前記認識手段によって前記商品が認識されるエリアである認識エリアを全て包含する検出対象エリア内の商品を検出する検出手段と、
前記検出手段において前記検出対象エリア内に前記商品が検出されたことをトリガとして、商品が前記認識手段によって認識されたか否かを判定する判定処理を行う判定手段と、
を有する商品登録装置。」

(2)補正前の請求項1
「 【請求項1】
商品を認識する認識手段と、
顧客の動作を撮像して画像を生成する撮像手段と、
前記撮像手段によって生成された画像を用いて、前記認識手段によって前記商品が認識されるエリアである認識エリアを含む検出対象エリア内の商品を検出する検出手段と、
前記検出手段において前記検出対象エリア内に前記商品が検出されたことをトリガとして、商品が前記認識手段によって認識されたか否かを判定する判定処理を行う判定手段と、
を有する商品登録装置。」

2 補正の適否
2-1 新規事項の追加の有無について
(1)
本件補正により補正された特許請求の範囲は、「認識エリアを全て包含する検出対象エリア」(以下「事項A」ともいう。)という事項を含むものである。
そこで、この補正が、願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」といい、特許請求の範囲及び図面を併せて「当初明細書等」という。)、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえるか否か、すなわち、「当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである」か否か(参考判決:知財高裁 平成20年5月30日特別部判決 平成18年(行ケ)第10563号)について、以下検討する。
(2)
事項Aは、以下に述べるとおり、当初明細書等に記載されていないし、それらの記載から自明な事項であるともいえない。

当初明細書等の【0015】には、「商品登録装置2000は、認識部2020、撮像部2040、検出部2060、及び判定部2080を有する。認識部2020は商品を認識する。撮像部2040は顧客の動作を撮像して画像を生成する。以下、撮像部2040によって生成される画像を、顧客画像と表記する。検出部2060は、顧客画像を用いて、検出対象エリアの中に商品が配置されたことを検出する。検出対象エリアは、認識部2020によって商品が認識されるエリア(以下、認識エリア)を含む空間である。判定部2080は、検出対象エリアの中に商品が配置されたことが検出された場合に、商品が認識部2020によって認識されたか否かを判定する。」と記載されていること、同段落【0017】には、「図3は、商品登録装置2000を正面から見た図である。検出対象エリア70は、前述の検出対象エリアを表す。認識エリア80は、リーダ40が商品を認識できる(バーコードを読み取ることができる)空間を表す。前述した通り、検出対象エリア70は認識エリア80を含む。例えば検出対象エリア70は、図3のように、正面から見た場合に筐体20を全て含む。」と記載されていること、及び、図3から、「正面から見た」場合には、「検出対象エリア70」は、「認識エリア80を全て包含する検出対象エリア70」であることが明らかである(下線は当審が付した。以下、同様である。)。

しかしながら、上記アに併せ、当初明細書等の段落【0016】には、「図2は、商品登録装置2000を具体的に例示する図である。カメラ10は撮像部2040の一形態であるカメラである。筐体20は、リーダ40の筐体である。リーダ40は、認識部2020の一形態であるバーコードリーダである。リーダ40は、商品50に付されているバーコードを読み取ることで、商品50を認識する。リーダ40によって認識された商品は、精算対象の商品として登録される。台60は、商品や商品かごを置くための台である。なお、カメラ10は、筐体20の中に収められていてもよい。」と記載されていること、及び、図2を参照すると、撮像部2040の一形態であるカメラ10が撮影できる範囲が、実質的に検出対象エリア70となっていることが明らかであるが、カメラ10が、リーダ40自体やリーダ40に近接した認識エリア80まで撮影できるといえる根拠は、記載されていない(特に、図2において、筐体20の上に設置されたカメラ10は、筐体20の前面よりも後ろ側に位置しているようにも見えることから、カメラ10のレンズのほぼ真下を撮影することはできず、リーダ40に近接した認識エリア80まで撮影できるものではないと考えられる。)。
そうすると、側方(商品の進行方向の上流側又は下流側)から見た場合、「検出対象エリア70」は、「認識エリア80を全て包含する検出対象エリア70」であるとはいえない。

上記イを踏まえると、事項Aすなわち「認識エリアを全て包含する検出対象エリア」は、当初明細書等に記載されていないし、それらの記載から自明な事項であるともいえない。
(3)
上記(2)のとおりであり、事項Aを含む本件補正は、「当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである」とはいえず、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしていない。

2-2 独立特許要件について
仮に、本件補正が、上記2-1には該当せず、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものであり、また、本件補正に係る請求項1の補正は、補正前の請求項1に記載された「認識エリアを含む検出対象エリア」という事項について、「認識エリアを全て包含する検出対象エリア」との限定を付すものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであった場合、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、念のため以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献並びに引用文献に記載された事項及び発明
特開2014-132501号公報(以下「引用文献1」という。)

(2-1)引用文献1について
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に刊行物1として示され、本願の原出願前に頒布された引用文献1には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様である。)。
(1a)
「【0021】
次に、本発明によるセルフPOS装置及びその動作方法の好適な実施例を、添付図面を参照して詳細に説明する。但し、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。
【0022】
先ず、図1は、本発明の主要部であるセルフPOSの概略全体構成を示し、図1(A)はセルフPOS10の正面図、図1(B)はセルフPOS10の右側面図及び図1(C)はセルフPOS10の斜視図である。
【0023】
このセルフPOS10は、本体部20及びこの本体部20の上方に設けられたコントロール(制御)部30により構成されている。本体部20は、店舗に陳列して販売される商品(図示せず)に添付された商品コード等の商品データ(以下、バーコードという)をスキャンするバーコードスキャナ(以下、単にスキャナという)21、このスキャナ21の近傍に配置されたカメラ(撮像手段)22及び各部を制御する電子回路や電源回路等を収容する筐体23により構成されている。他方、コントロール部30は、各種の文字や画像情報を表示する、例えば液晶表示パネル(LCD)等のディスプレイ(表示画面)31及び後述する各種の制御部を有する。
【0024】
このセルフPOS装置10は、本体部20の前面に配置された商品(図1中には不図示)のバーコードをスキャナ21によりスキャンして読み取ると同時にカメラ22で撮影された商品の3次元画像を抽出して、商品のバーコードと関連付けて記憶する。
【0025】
ここで、顧客が商品のバーコードをセルフPOS10のスキャナ21に読み取らせる際には、スキャナ21の読み取り用レーザー光(レーザービーム)の出力側には顧客の手等が妨害とならないようにスキャンさせる必要がある。そのために、カメラ22は、スキャナ21の側に設けるのが形状認識を容易にするので好ましい。
【0026】
図2は、図1に示すセルフPOS10のスキャナ21による商品のバーコード読み取り動作及びカメラ22による商品撮影動作の説明図である。更に、このセルフPOS10は、会計処理に使用する電子マネーマルチリーダ(非接触ICカードリーダ)24、レシートプリンタ25及び警報ランプ(図2(B)参照)27を備えている。図2(A)は、スキャナ21による読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲を斜線で示す。図2(B)は、図2(A)のスキャナ21部分の拡大図である。
【0027】
図2(B)に示す如く、スキャナ21は、その下方に配置した商品40の表面の少なくともバーコード41が貼付された部分をレーザー光26でスキャンしてバーコード41を読み取る。
【0028】
しかし、顧客が悪意を持って不正を働く場合には、例えばスキャナ21に向けた1つの商品の裏側(即ち、図2(B)の商品40の下側)に別の商品を隠してスキャンを行ったかのように見せかけることも想定される。斯かる不正行為を防止するために、カメラ22をスキャナ21と反対側に設けた方がよい。そこで、図2(B)中には、カメラ22をスキャナ21側とその下方の両方に図示している。このように、異なる位置に2台のカメラ22を配置し、これら2台のカメラ22により商品40の上下両面からスキャン操作を監視するのも効果的である。
【0029】
次に、図3を参照して、本発明によるセルフPOS10の好適な実施例の詳細な構成を説明する。図3(A)に示す如く、セルフPOS10の本体部20の一番下には、レシートプリンタ25が設置され、その上部に商品40のバーコード41を読み取るためのスキャナ(固定スキャナ)21が配置されている。このスキャナ21は、レーザー光の照射角度が斜めになるように設置されている。更に、このスキャナ21のレーザー光を遮るように電子マネーマルチリーダ(複数規格対応の非接触ICカードリーダ)24が設置されている。
【0030】
本体部20の上方に配置されたコントローラ部30は、大型のXGAディスプレイ(表示画面)31、磁気カードリーダ32及びスピーカ33を有する。本体部20とディスプレイ31は、約2mmの金属板の上に取り付けられており、安定的に設置されると共に設置場所に顧客が購入予定の商品40を載置するスペースを確保する役割を果たしている。上述した如く、カメラ22は、スキャナ21の近傍及びスキャナ21を下側から見上げる位置に2台取り付けられている。
【0031】
図3(B)には、図3(A)のコントロール部30、ディスプレイ部31、レシートプリンタ25、スキャナ21、電子マネーマルチリーダ24、スピーカ33及びカードリーダ32等の具体例の仕様を示す。」
(1b)
「【0032】
次に、セルフPOS10の動作を簡単に説明する。店舗へ買い物に来た顧客は、自分が購入を希望する商品(図2(B)の40)を選択して(又は買い物カゴに入れて)セルフPOS10の前に運び精算する。セルフPOS10の足となる板金には、右側に黄色い枠の中に「スキャン前」本体部正面の青色枠の中に「スキャンエリア」、左側には緑色の枠の中に「スキャン後」と表示されている。そこで、先ず右側の「スキャン前」のエリアに商品を載せる。
【0033】
その後、商品を1個ずつスキャンエリアに移動させ、スキャナ21で商品40のバーコード41を順次読み取らせる。通常のPOS(セルフPOSを含む)では、バーコード41を読み取ると読み取り完了を知らせるために「ピッ」等の読み取り完了音を出す。しかし、本発明のセルフPOS10では、この時点では読み取り完了音は出さない。
【0034】
セルフPOS10は、読み取った商品40のバーコード41を店舗内に設置されたPLUサーバ(図6を参照して後述)に問い合わせを行う。そして、その商品の商品名、商品の単価等の売上集計処理に必要なデータをバーコード41に関連付けて記憶されている基本図形とサンプル数のデータを得る。
【0035】
また、セルフPOS10のスキャンエリアには上述の如く2台のカメラ22が上下に設置されているので、スキャンエリアに人間(顧客)の手が入ったことを認識する。そこで、顧客が持っている商品(物体)40の形状認識をバーコード41の読み取りを、PLUサーバへの問い合わせと同時進行で行う。
【0036】
顧客の手を認識は、既知の手法(例えば、特開2006-350434号公報に開示されている手法)による。また、顧客の手に一部が隠れている商品(物体)40の認識は、例えば図4に示す既知の「ダイナミックスペースカービング法」等を使用してもよい。」
(1c)
「【0071】
以上、本発明によるセルフPOS装置及びその動作方法の好適な実施例について詳述した。しかし、本発明は、斯かる実施例に限定されるべきではなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能である。
【0072】
例えば顧客の手に一部が隠れている商品(物体)の認識を行うダイナミックスペースカービング法(図4(A)?(E)参照)等は、実際には認識率が余りよくない。その場合に、手の動きを認識する認識方法の研究が進んでいる。例えば、複数のカメラを用いて人間の手の動きを認識させると、その認識率は相当に改善できる。例えば、セルフPOSは、手に持った商品の形状認識を行わせず、手の動作の認識のみを行わせる。
【0073】
また、セルフPOS10による商品のバーコード読取部の前を手が通過したことを認識すると、バーコードの読み取りがあったか確認する。手の通過を認識し、バーコードの読み取りが確認されたとき、バーコード読取完了音「ピッ」を出力し、PLUサーバ110に商品40の商品名及び価格等の精算に必要な商品データを問い合わせる。PLUサーバ110から得られた商品名及び価格をディスプレイ31に表示し、精算可能なようにデータを記憶する。
【0074】
手の動きが認識できず、バーコードの読み取りのみを検知した場合にも、バーコード読取完了音「ピッ」を出力し、PLUサーバ110に商品名及び価格等の精算に必要なデータを問い合わせ、PLUサーバ110から得られた商品名及び価格をディスプレイ31に表示し、精算可能なように商品データを記憶する。
【0075】
手の通過を認識したがバーコード41の読み取り不能であった場合には、「もう一度読み取らせてください」等のメッセージを出力し、顧客に再度の商品スキャンを促す。その結果、バーコード41の読み取りができれば、バーコード41の読取完了音「ピッ」を出力し、PLUサーバ110に商品名及び価格等の精算に必要なデータを問い合わせる。そして、PLUサーバ110から得られた商品名及び価格をディスプレイ31に表示し、精算可能なようにデータを記憶する。
【0076】
「もう一度読み取らせてください」の再スキャンメッセージを出力した後も手の通過のみを認識して、バーコードの読み取りができない場合には、店員に異常を知らせるためにセルフPOS10の後部に設けられた警報ランプ27を点灯させて店員に異常を知らせる。
【0077】
更に、他の実施例を説明する。現在の画像認識技術では、手に隠れた商品(物体)40を完全に認識することができないのが現状である。しかし、手に商品(物体)40を持っているか否かの認識は略確実にできる。
【0078】
上述した実施例にあるような動作を、スキャンエリアを手が通過したことを認識して行うのではなく、スキャンエリアを商品(物体)10を持った手が通過したときに行うようにすることで、単に手が通過しただけで、再読み取りのメッセージを出力することを防止できる。」
(1d)
図2(A)、図2(B)、図3(A)、図4は、以下のとおりである。

イ 引用文献1に記載された発明
(ア)
摘記(1a)の段落【0027】の「図2(B)に示す如く、スキャナ21は、その下方に配置した商品40の表面の少なくともバーコード41が貼付された部分をレーザー光26でスキャンしてバーコード41を読み取る。」という記載、摘記(1a)の段落【0026】の「図2は、図1に示すセルフPOS10のスキャナ21による商品のバーコード読み取り動作及びカメラ22による商品撮影動作の説明図である。・・・図2(A)は、スキャナ21による読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲を斜線で示す。図2(B)は、図2(A)のスキャナ21部分の拡大図である。」という記載、及び、図2(A)、図2(B)から、セルフPOS10は、読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲で、商品40の表面の少なくともバーコード41が貼付された部分をレーザー光26でスキャンしてバーコード41を読み取る、スキャナ21が設置された、セルフPOS10であることが、明らかである。
(イ)
摘記(1b)の段落【0035】の「セルフPOS10のスキャンエリアには上述の如く2台のカメラ22が上下に設置されているので、スキャンエリアに人間(顧客)の手が入ったことを認識する。」という記載、摘記(1b)の段落【0036】の「顧客の手を認識は、既知の手法(例えば、特開2006-350434号公報に開示されている手法)による。また、顧客の手に一部が隠れている商品(物体)40の認識は、例えば図4に示す既知の「ダイナミックスペースカービング法」等を使用してもよい。」という記載を総合すると、「2台のカメラ22」自体が、「認識」を「行う」手段を備えているか否かは不明であるが、それぞれのカメラ22が撮影した画像を合成して商品の3次元画像を抽出する(段落【0024】等参照)などして「商品(物体)40」の「認識」を行う手段などのような、何らかの、2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段が、引用文献1の各「認識」を「行う」ことは、明らかである。
このことを踏まえると、摘記(1b)の段落【0035】の「また、セルフPOS10のスキャンエリアには上述の如く2台のカメラ22が上下に設置されているので、スキャンエリアに人間(顧客)の手が入ったことを認識する。そこで、顧客が持っている商品(物体)40の形状認識をバーコード41の読み取りを、PLUサーバへの問い合わせと同時進行で行う。」という記載、及び」、【0078】の「上述した実施例にあるような動作を、スキャンエリアを手が通過したことを認識して行うのではなく、スキャンエリアを商品(物体)10を持った手が通過したときに行うようにすることで、単に手が通過しただけで、再読み取りのメッセージを出力することを防止できる。」という記載(「商品(物体)10」は、「商品(物体)40」の誤記と認められる。以下同様である。)、から、「スキャンエリアには」、「2台のカメラ22が上下に設置され」、2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段が、「スキャンエリアに」「商品40を持った」「人間(顧客)の手が入ったことを認識」し、「顧客が持っている商品(物体)40の形状認識を」「行う」という事項が特定できる。
(ウ)
摘記(1c)の【0071】の「以上、本発明によるセルフPOS装置及びその動作方法の好適な実施例について詳述した。しかし、本発明は、斯かる実施例に限定されるべきではなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能である。」という記載、摘記(1c)の【0078】の「上述した実施例にあるような動作を、スキャンエリアを手が通過したことを認識して行うのではなく、スキャンエリアを商品(物体)10を持った手が通過したときに行うようにすることで、単に手が通過しただけで、再読み取りのメッセージを出力することを防止できる。」という記載、及び、上記(イ)を踏まえると、摘記(1c)の段落【0075】の「手の通過を認識したがバーコード41の読み取り不能であった場合には、「もう一度読み取らせてください」等のメッセージを出力し、顧客に再度の商品スキャンを促す。」という実施例は、2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段が「スキャンエリアを商品40を持った手が通過した」こと「を認識したがバーコード41の読み取り不能であった場合には、「もう一度読み取らせてください」等のメッセージを出力し、顧客に再度の商品スキャンを促す。」という実施例としてもよいことが、明らかである。
(エ)
上記(ア)?(ウ)、摘記(1a)?(1c)及び図2(A)、図2(B)、図3(A)、図4(摘記(1d)参照)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]
「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲で、商品40の表面の少なくともバーコード41が貼付された部分をレーザー光26でスキャンしてバーコード41を読み取る、スキャナ21が設置され、
セルフPOS10の足となる板金には、右側に黄色い枠の中にスキャン前、本体部正面の青色枠の中にスキャンエリア、左側には緑色の枠の中にスキャン後と表示され、先ず右側のスキャン前のエリアに商品を載せ、その後、商品を1個ずつスキャンエリアに移動させ、スキャナ21で商品40のバーコード41を順次読み取らせ、
スキャンエリアには2台のカメラ22が上下に設置され、
2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段が、スキャンエリアに商品40を持った顧客の手が入ったことを認識し、顧客が持っている商品40の形状認識を行い、
2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段がスキャンエリアを商品40を持った手が通過したことを認識したがバーコード41の読み取り不能であった場合には、メッセージを出力し、顧客に再度の商品スキャンを促す、
セルフPOS装置10。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「商品40」及び「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲で、商品40の表面の少なくともバーコード41が貼付された部分をレーザー光26でスキャンしてバーコード41を読み取る、スキャナ21」は、それぞれ、本件補正発明の「商品」及び「商品を認識する認識手段」に相当する。

引用発明では、「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段が、スキャンエリアに商品40を持った顧客の手が入ったことを認識し、顧客が持っている商品40の形状認識を行」うことから、引用発明の「スキャンエリアに」「上下に設置され」た「2台のカメラ22」は、いずれも、「スキャンエリアに」「入った」「商品40を持った顧客の手」と「顧客が持っている商品40」を「撮影」して「画像」を生成することが明らかであり、本件補正発明の「顧客の動作を撮像して画像を生成する撮像手段」に相当する。

(ア)
上記イから、引用発明の「2台のカメラ22が撮影した画像」が、「スキャンエリアに」「入った」「商品40を持った顧客の手」と「顧客が持っている商品40」の「画像」を含むことは明らかであり、引用発明の「スキャンエリアに」「入った」「商品40を持った顧客の手」と「顧客が持っている商品40」の画像を含む「2台のカメラ22が撮影した画像」は、本件補正発明の「前記撮像手段によって生成された画像」に相当する。
(イ)
引用発明の「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段が、スキャンエリアに商品40を持った顧客の手が入ったことを認識し、顧客が持っている商品40の形状認識を行い」とう事項から、引用発明の「認識」は、「2台のカメラ22が撮影した画像」の「商品40を持った顧客の手」や「顧客が持っている商品40の形状」を認識するものであり、「バーコード41の読み取り」を認識するものではなく、本件補正発明の「認識」に相当するものではない(上記ア参照。)。
引用発明の「認識」は、「2台のカメラ22が撮影した画像」の「商品を持った顧客の手」や「顧客が持っている商品40の形状」を認識すなわち検出するものであり、本件補正発明の「検出」に相当する。
(ウ)
引用発明において、「2台のカメラ22」により撮影できる範囲(以下「2台のカメラ22の撮影範囲」という。)が存在することは、自明な事項である。
この「2台のカメラ22の撮影範囲」と、「スキャンエリア」との関係について、以下のことがいえる。
引用発明において、「セルフPOS10の足となる板金には、右側に黄色い枠の中にスキャン前、本体部正面の青色枠の中にスキャンエリア、左側には緑色の枠の中にスキャン後と表示され、先ず右側のスキャン前のエリアに商品を載せ、その後、商品を1個ずつスキャンエリアに移動させ、スキャナ21で商品40のバーコード41を順次読み取らせ、スキャンエリアには2台のカメラ22が上下に設置され」いることから、「スキャンエリア」は、立体的な空間であることが明らかであり、「スキャンエリア」と「2台のカメラ22の撮影範囲」が重なる部分が存在することも明らかであるから、「スキャンエリア」内には、「2台のカメラ22の撮影範囲」が存在するといえる。
引用発明の「2台のカメラ22の撮影範囲」は、本件補正発明の「検出対象エリア」に相当する。
(エ)
上記(ア)?(ウ)を踏まえると、引用発明の「スキャンエリアに商品40を持った顧客の手が入ったことを認識し、顧客が持っている商品40の形状認識を行」う「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段」は、本件補正発明の「前記撮像手段によって生成された画像を用いて」、「検出対象エリア内の商品を検出する検出手段」に相当する。
したがって、引用発明の「スキャンエリアに商品40を持った顧客の手が入ったことを認識し、顧客が持っている商品40の形状認識を行」う「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段」と、本件補正発明の「前記撮像手段によって生成された画像を用いて、前記認識手段によって前記商品が認識されるエリアである認識エリアを全て包含する検出対象エリア内の商品を検出する検出手段」とは、「前記撮像手段によって生成された画像を用いて、」「検出対象エリア内の商品を検出する検出手段」において共通している。

以上から、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「商品を認識する認識手段と、
顧客の動作を撮像して画像を生成する撮像手段と、
前記撮像手段によって生成された画像を用いて、検出対象エリア内の商品を検出する検出手段と、
を有する商品登録装置。」
<相違点1>
「検出対象エリア」が、本件補正発明では、「前記認識手段によって前記商品が認識されるエリアである認識エリアを全て包含する」検出対象エリアであるのに対して、引用発明では、「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲で、商品40の表面の少なくともバーコード41が貼付された部分をレーザー光26でスキャンしてバーコード41を読み取る、スキャナ21が設置され、」「スキャンエリアには2台のカメラ22が上下に設置され、2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段が、スキャンエリアに商品40を持った顧客の手が入ったことを認識し、顧客が持っている商品40の形状認識を行」う点。
<相違点2>
本件補正発明は、「前記検出手段において前記検出対象エリア内に前記商品が検出されたことをトリガとして、商品が前記認識手段によって認識されたか否かを判定する判定処理を行う判定手段」「を有する」のに対して、引用発明は、「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段がスキャンエリアを商品40を持った手が通過したことを認識したがバーコード41の読み取り不能であった場合には、メッセージを出力し、顧客に再度の商品スキャンを促す」点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
(ア)
上記(3)アを踏まえると、引用発明の「スキャナ21」が「商品40の表面の少なくともバーコード41が貼付された部分をレーザー光26でスキャンしてバーコード41を読み取る」範囲である「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲」(摘記(1a)の段落【0026】の「図2(A)は、スキャナ21による読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲を斜線で示す」という記載も参照。)は、「前記認識手段によって前記商品が認識されるエリアである認識エリア」に相当する。
(イ)
引用発明において、「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲」は、「商品40の表面の少なくともバーコード41が貼付された部分」が入る範囲であれば足るが、すなわち、「バーコード41が貼付された部分」以外の「商品40の表面」が入らないものであっても足るが(図2(B)等を参照。)、「2台のカメラ22の撮影範囲」は、「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段が、スキャンエリアに商品40を持った顧客の手が入ったことを認識し、顧客が持っている商品40の形状認識を行」うことができる範囲であることが必要であり、実質的に、「顧客が持っている商品40」全体と「顧客の手」を撮影できる範囲といえるから(図4等も参照。)、引用発明において、「2台のカメラ22の撮影範囲」が、「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲」より、広い範囲であることは、明らかである。
(ウ)
上記(ア)、(イ)と、引用文献1の「カメラ22は、スキャナ21の近傍及びスキャナ21を下側から見上げる位置に2台取り付けられている」(摘記(1a)の段落【0030】)こと及び図2、図3(A)とを踏まえると、「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲」全てについて、どの部分で「バーコード41を読み取」っても、確実に「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段が、スキャンエリアに商品40を持った顧客の手が入ったことを認識し、顧客が持っている商品40の形状認識を行」うことができるように、「2台のカメラ22の撮影範囲」を、「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲」を全て包含するように設定すること、すなわち、検出対象エリア(上記(3)ウ(ウ)参照)を、前記認識手段によって前記商品が認識されるエリアである認識エリア(上記(ア)参照)を全て包含するように設定することで、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たといえる。

イ 相違点2について
(ア)
上記(3)ウを踏まえると、「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段」は、「顧客が持っている商品40の形状認識を行」うから、「商品40」を検出しているといえる。
そうすると、引用発明の「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段がスキャンエリアを商品40を持った手が通過したことを認識した」場合も、実質的に「スキャンエリア」内の「商品40を持った手」とその「商品40」を検出しているといえる。
したがって、引用発明の「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段がスキャンエリアを商品40を持った手が通過したことを認識した」ことは、実質的に「商品40」も検出するものであり、本件補正発明の「前記検出手段において前記検出対象エリア内に前記商品が検出されたこと」に相当する。
(イ)
上記(3)アを踏まえると、引用発明の「バーコード41の読み取り不能であった場合」は、本件補正発明の「商品が前記認識手段によって認識されたか否か」に相当する。
そして、引用発明は、「バーコード41の読み取り不能であった場合には、メッセージを出力し、顧客に再度の商品スキャンを促す」ことから、「バーコード41の読み取り不能であった場合」を判定する判定処理を行う判定手段を備えていることが明らかである。
(ウ)
上記(ア)、(イ)から、引用発明の「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段がスキャンエリアを商品40を持った手が通過したことを認識したがバーコード41の読み取り不能であった場合には、メッセージを出力し、顧客に再度の商品スキャンを促す」ことは、本件補正発明の「前記検出手段において前記検出対象エリア内に前記商品が検出されたことをトリガとして、商品が前記認識手段によって認識されたか否かを判定する判定処理を行う判定手段」に相当する。
したがって、上記相違点2は、実質的な相違点とはいえない。
(エ)
仮に、上記相違点2が、実質的な相違点であったとしても、引用発明の「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段がスキャンエリアを商品40を持った手が通過したことを認識した」場合に、実質的に「商品40」も検出するようにすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎず、上記(ア)、(イ)を踏まえると、その「商品40」の検出をトリガとすることも、「商品40を持った手が通過したことを認識したが」という記載により示唆されているといえるから、引用発明の「2台のカメラ22が撮影した画像を処理する手段がスキャンエリアを商品40を持った手が通過したことを認識したがバーコード41の読み取り不能であった場合には、メッセージを出力し、顧客に再度の商品スキャンを促す」ことから、「前記検出手段において前記検出対象エリア内に前記商品が検出されたことをトリガとして、商品が前記認識手段によって認識されたか否かを判定する判定処理を行う判定手段」を想到すること、すなわち、上記相違点2に係る本件補正発明の構成を想到することは、当業者が適宜なし得たといえる。

ウ 作用効果について
そして、本件補正発明が奏する作用効果は、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ 審判請求人の主張について
(ア)審判請求人の主張
審判請求書の「【請求の理由】」「(3)本願発明が特許されるべき理由」「(3.2)理由1(新規性)および理由2(進歩性)について」「(ii)本願発明と引用文献記載の発明との比較」において、審判請求人は、
「また、拒絶査定においてご指摘されているように、引用文献1から、「検出対象エリアが認識エリアを多少なりとも含んでいること」は、当業者が考えられたとしても、本願発明のように、検出対象エリアが、認識エリアを全て包含することは、いずれの引用文献にも記載も示唆もされておりません。
また、引用文献1では、商品(バーコード)と手の通過とを個別に認識しているため、撮像手段22の撮像範囲がスキャナ21の読み取り範囲を全て包含するという包含関係は必要ではありません。例えば、引用文献1では、スキャナ21の読み取り範囲が撮像手段22の撮像範囲を含むという本願発明とは逆の包含関係でも問題ないと思います。つまり、引用文献1に接した当業者が、認識エリアを全て包含するように検出対象エリアを設定することは、容易ではないと思います。」
と主張する。
(イ)検討
引用発明における「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲」(認識エリア)と「2台のカメラ22の撮影範囲」(検出対象エリア)との関係は、ア(イ)で述べたとおりであって、これらの範囲が重複していることは明らかであるが、引用文献1の図2(B)における、斜線で示される「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲」と「2台のカメラ22」の設置された位置を見れば、スキャナ21の読み取り範囲が撮像手段22の撮像範囲を全て含むという本願発明とは逆の包含関係は、想定し得ない事項といえる。
そして、上記アで述べたとおり、「2台のカメラ22の撮影範囲」(検出対象エリア)を、「読み取り用レーザー光26によるスキャン範囲」(認識エリア)を全て包含するように設定することは、当業者が容易になし得たといえる。
したがって、上記(ア)の主張は採用できない。

(5)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしていないものであり、又は、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年12月28日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?11に係る発明は、令和2年8月26日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」ともいう。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、また、この出願の請求項1、3、4、10、11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、この出願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物1、2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、この出願の請求項9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物1、2、3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

[刊行物等]
1.特開2014-132501号公報
2.特開2007-206996号公報
3.特開2013-145526号公報

3 引用文献に記載された事項等
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1は、引用文献1であり、その記載事項等は、前記第2の[理由]2 2-2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2 2-2で検討した本件補正発明から、「認識エリアを全て包含する検出対象エリア」という事項について、実質的に「全て」という限定事項を削除し、「認識エリアを含む検出対象エリア」としたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2 2-2(3)、(4)、(5)に記載したとおり、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-04-20 
結審通知日 2021-04-27 
審決日 2021-05-18 
出願番号 特願2019-187702(P2019-187702)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G07G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 泰二郎  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 出口 昌哉
佐々木 一浩
発明の名称 商品登録装置、プログラム、及び制御方法  
代理人 速水 進治  

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