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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1375815
審判番号 不服2020-8647  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-23 
確定日 2021-07-30 
事件の表示 特願2016-189332「カバーガラス」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月 5日出願公開、特開2018- 55324、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月28日の出願であって、令和元年12月10日付けで拒絶理由が通知され、令和2年1月20日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、令和2年4月24日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和2年6月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、その後、令和3年5月11日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由」という。)、令和3年6月1日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、令和3年6月7日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年4月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1 本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献A-Fに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2016-145968号公報
B.特表2016-508954号公報
C.特開2005-086100号公報
D.特開2016-081531号公報
E.特開2003-022724号公報
F.米国特許出願公開第2011/0181514号明細書

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-3に係る発明は、引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.米国特許出願公開第2011/0181514号明細書(拒絶査定時の引用文献F)
2.特開2016-145968号公報(拒絶査定時の引用文献A)
3.特表2016-508954号公報(拒絶査定時の引用文献B)

第4 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和3年6月7日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
使用者からのタッチ操作を受け付けるように構成された板状のカバーガラスであって、使用者が何らかのタッチ操作を行うタッチ操作領域に対応する位置に少なくとも1設けられた可撓性操作部であって、他の箇所よりも厚みが薄くなるように構成された可撓性操作部を有し、
前記カバーガラスは第1の主面および第2の主面に圧縮応力層が形成されており、
前記可撓性操作部は、第1の主面側に形成された凸状の曲面形状を呈する湾曲部と、
第2の主面側に少なくとも曲面形状を含むように形成された凹部と、
を備えるとともに、
第1の主面側から荷重が加わると、前記凸部が第2の主面側に向かって撓み変形し、前記荷重が取り除かれると元の形状に復元することを特徴とするカバーガラス。」

なお、本願発明2-3は、本願発明1を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記
載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。訳は当審訳。以下同様。)。

ア 段落[0009]
「[0009] From the foregoing, it is seen that it is a problem in the art to provide a device meeting the above requirements. According to the present invention, a device is provided which meets the aforementioned requirements and needs in the prior art. Specifically, the device according to the present invention provides a touch keypad for touch screen devices having a thin flexible body which is substantially transparent and which provides a keyboard feel, and which can overlie a display portion of a touchscreen device.」
(当審訳:
[0009] 以上のことから、上記の要求を満たす装置を提供することには技術的な問題がみられる。本発明によれば、前述した要求と、先行技術でのニーズとを満たす装置が提供される。具体的には、本発明の装置は、実質的に透明であり、キーボードの感触を提供し、タッチスクリーン装置の表示部の上に重ねられる、薄い可撓性の本体を有する、タッチスクリーン装置のタッチキーパッドを提供する。)

イ 段落[0011]
「[0011] Alternatively, the device may instead include a flexible thin material, including thin woven or non-woven material, other than plastic. Such thin materials could include a thin glass material with molded raised or depressed portions corresponding to keys; extremely thin transparent steel with stamped or molded raised or depressed portions corresponding to specific keys of a touchscreen display; and even can include a paper material which is thin and provides raised portions to provide a tactile feel, the raised portions corresponding to specific keys of a touchscreen display.」
(当審訳:
[0011] あるいは、これに代えて、装置は、プラスチック以外の、薄い織材または不織材の材料に代表される、可撓性の薄い材料を含むことができる。このような薄い材料は、 キーに対応して成形された隆起または陥没部を有する、薄いガラス材料を含むこともでき、タッチスクリーンディスプレイの特定のキーに対応して型押しまたは成形された、隆起又は陥没した部分を備える、極めて薄い透明の鉄を含むことができ、さらに、薄く、隆起部分が触感を与え、隆起部分はタッチスクリーンディスプレイの特定のキーに対応する、紙の材料さえも含むことができる。)

ウ 段落[0033]
「[0033] FIG. 4 is a side view of the touch keypad 100 of FIG. 3 taken
along line 4-4 of FIG. 3. Here, the body portion 102 and raised portions 104 of the touch keypad 100 have a thickness t which is relatively thin so as to be readily deformable when touched by a user. The user can feel the raised portions 104, even as those raised portions 104 deform into contact with the touch screen display of the device 10.」
(当審訳:
[0033] 図4は、図3のタッチキー100についての、図3中の線4-4に沿った側面図である。ここで、タッチキーパッド100の本体部102と突出部104とは、比較的薄い厚さtを有しており、ユーザがタッチ操作することにより容易に変形できるようになっている。これらの突出部104が、装置10のタッチスクリーンディスプレイと接触するように変形されるときも、ユーザは突出部104を感じ取ることができる。)

エ 図3、図4




オ 段落[0036]-[0037]
「[0036] FIG. 7 is a perspective view of an alternative touch keypad 100' having a body with the peaks 126' being level with the upper surface of the touch keypad 100' but with underlying solid portions 104' which directly overlie the displayed keypad elements of the electronic display device 10, where the solid portions 104' are in contact with the touch screen of the electronic display 10.
[0037] FIG. 8 is a perspective view of another embodiment of a touch keypad 200, having a plurality of raised elements 204, each element 204 having a peak 226 and conic al sidewall 228. Other shapes are contemplated as being within the scope of the present invention.」
(当審訳:
[0036] 図7は、本体部を備える代替的なタッチキーパッド100’の斜視図であって、頂部126’は、タッチキーパッド100’の上面と同じ高さであるが、電子表示装置10の表示されたキーパッド上に直接配置される、下部にある中実な(solid)部分104’は、同じ高さではなく、中実な部分104’は、電子ディスプレイ10のタッチスクリーンと接触している。
[0037] 図8は、タッチキーパッド200の別の実施形態の斜視図であり、複数の突出要素204を有し、各要素204は、頂部226と円錐状の側壁228とを有している。他の形状は、本発明の範囲内であると考えられる。)

カ 図7、図8
(当審注:図7には、右上部と右下部の2か所に、同じ参照番号「104’」が付加されている。しかし、右下部の「104’」については、段落[0036]の図7の説明における、中実な部分104’は表示部と直接接して配置される旨の記載と不整合であることから、「102’」(本体部)の誤記と認める。)




キ 段落[0041]
「[0041] FIG. 12 shows the touch keypad 10 of FIGS. 1-4 of the present invention, actuated by a finger of a user. The element 104 is deformed at its center into touching contact with the underlying touchscreen display of the electronic device 10.」
(当審訳:
[0041] 図12は、本発明の図1-図4の、ユーザの指によって作動される、タッチキーパッド10を示す。要素104は、その中心部が、下部にある電子装置10のタッチスクリーンディスプレイと接触するように変形される。)

ク 図12




(2) 引用発明
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「実質的に透明であり、キーボードの感触を提供し、タッチスクリーン装置の表示部の上に重ねられる、薄い可撓性の本体を有する、タッチスクリーン装置のタッチキーパッドであって、
装置は、プラスチック以外の、薄い織材または不織材の材料に代表される、可撓性の薄い材料を含むことができ、このような薄い材料は、 キーに対応して成形された隆起または陥没部を有する、薄いガラス材料を含むこともでき、
タッチキーパッド100の本体部102と突出部104とは、比較的薄い厚さtを有しており、ユーザがタッチ操作することにより容易に変形でき、
要素104は、その中心部が、下部にある電子装置10のタッチスクリーンディスプレイと接触するように変形される、
タッチスクリーン装置のタッチキーパッド。」

2 引用文献2、引用文献3
(1) 引用文献2
当審拒絶理由に引用した引用文献2の段落【0017】、【0041】の記載からみて、当該引用文献2には、「ガラスの強度を上げるために、「強化ガラス」、すわわち、表面に「圧縮応力層が形成されて」いるガラスを採用する」という周知技術が記載されているものと認められる。

(2) 引用文献3
当審拒絶理由に引用した引用文献3の段落【0094】の記載からみて、当該引用文献3には、「ガラスの表面保護や補強等の目的のために、ガラスに、ポリマー材料等の別の素材を積層、充填する」という周知技術が記載されているものと認められる。

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比

本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「実質的に透明であり、キーボードの感触を提供し、タッチスクリーン装置の表示部の上に重ねられる、薄い可撓性の本体」は、「プラスチック以外の、薄い織材または不織材の材料に代表される、可撓性の薄い材料を含むことができ、このような薄い材料は、 キーに対応して成形された隆起または陥没部を有する、薄いガラス材料を含む」から、本願発明1の「使用者からのタッチ操作を受け付けるように構成された板状のカバーガラス」と、「使用者からのタッチ操作を受け付けるように構成されたカバーガラス」である点で共通するといえる。

イ 引用発明の「実質的に透明であり、キーボードの感触を提供し、タッチスクリーン装置の表示部の上に重ねられる、薄い可撓性の本体」の「突出部104」は、「比較的薄い厚さtを有しており、ユーザがタッチ操作することにより容易に変形でき、要素104は、その中心部が、下部にある電子装置10のタッチスクリーンディスプレイと接触するように変形される」から、本願発明1の「使用者が何らかのタッチ操作を行うタッチ操作領域に対応する位置に少なくとも1つ設けられた可撓性操作部であって、他の箇所よりも厚みが薄くなるように構成された可撓性操作部を有」することと、「使用者が何らかのタッチ操作を行うタッチ操作領域に対応する位置に少なくとも1つ設けられた可撓性操作部である、可撓性操作部を有」する点で共通するといえる。

ウ また、引用発明の上記「突出部104」は、「厚さtを有しており」、上側に向かって「突出」しているから(図4を参照。)、本願発明1の「前記可撓性操作部は、第1の主面側に形成された凸状の曲面形状を呈する湾曲部と、第2の主面側に少なくとも曲面形状を含むように形成された凹部と、を備える」ことと、「前記可撓性操作部は、第1の主面側に形成された凸状の湾曲部と、第2の主面側に形成された凹部と、を備える」点で共通するといえる。

エ さらに、引用発明の上記「突出部104」は、「比較的薄い厚さtを有しており、ユーザがタッチ操作することにより容易に変形でき、要素104は、その中心部が、下部にある電子装置10のタッチスクリーンディスプレイと接触するように変形される」から(図12を参照。)、本願発明1の「第1の主面側から荷重が加わると、前記凸部が第2の主面側に向かって撓み変形し、前記荷重が取り除かれると元の形状に復元する」ことと、少なくとも、「第1の主面側から荷重が加わると、前記凸部が第2の主面側に向かって撓み変形する」点で共通するといえる。

よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「使用者からのタッチ操作を受け付けるように構成されたカバーガラスであって、
使用者が何らかのタッチ操作を行うタッチ操作領域に対応する位置に少なくとも1つ設けられた可撓性操作部である、可撓性操作部を有し、
前記可撓性操作部は、第1の主面側に形成された凸状の湾曲部と、
第2の主面側に形成された凹部と、
を備えるとともに、
第1の主面側から荷重が加わると、前記凸部が第2の主面側に向かって撓み変形することを特徴とするカバーガラス。」

[相違点1]
本願発明1は、使用者からのタッチ操作を受け付けるように構成された板状のカバーガラスに係るものであるのに対して、引用発明の「薄い織材または不織材の材料に代表される、可撓性の薄い材料」は、「薄いガラス材料を含む」ものであるが、「板状のカバーガラス」であることは特定されていない点。

[相違点2]
本願発明1では、板状のカバーガラスの「可撓性操作部」が、「他の箇所よりも厚みが薄くなるように構成された」可撓性操作部であるのに対して、引用発明では、「タッチキーパッド100の本体部102と突出部104とは、比較的薄い厚さtを有しており」、突出部と他の部分の厚みは同じ「厚さt」を有しており、他の箇所よりも厚みが薄くなるように構成されていない点。

[相違点3]
本願発明1では、「前記カバーガラスは第1の主面および第2の主面に圧縮応力層が形成されて」いるのに対して、引用発明の「薄いガラス材料」は、「圧縮応力層が形成されて」いない点。

[相違点4]
本願発明1では、第1の主面側に形成された凸状の湾曲部が、「曲面形状を呈する」のに対して、引用発明では、「突出部104」が「曲面形状を呈する」ものではない点。

[相違点5]
本願発明1では、第2の主面側に形成された凹部が、「少なくとも曲面形状を含むように」形成されたものであるのに対して、引用発明では、「突出部104」が「曲面形状を呈する」ものではない点。

[相違点6]
本願発明1では、「前記凸部」が、「前記荷重が取り除かれると元の形状に復元する」のに対して、引用発明では、「突出部104」が、元の形状に復元することが明確には特定されていない点。

(2) 当審の判断
事案に鑑みて、タッチ操作を受け付けるカバーガラスの形状に関する点で互いに関連する上記[相違点1]及び[相違点2]について、まとめて先に検討する。
本願発明1の上記[相違点1]及び[相違点2]に係る、「使用者からのタッチ操作を受け付けるように構成された板状のカバーガラスであって、使用者が何らかのタッチ操作を行うタッチ操作領域に対応する位置に少なくとも1つ設けられた可撓性操作部であって、他の箇所よりも厚みが薄くなるように構成された可撓性操作部を有」するものは、上記引用文献1-3には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-3について
本願発明2-3も、本願発明1の上記[相違点1]及び[相違点2]に係る、「使用者からのタッチ操作を受け付けるように構成された板状のカバーガラスであって、使用者が何らかのタッチ操作を行うタッチ操作領域に対応する位置に少なくとも1つ設けられた可撓性操作部であって、他の箇所よりも厚みが薄くなるように構成された可撓性操作部を有」することと、同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和3年6月7日付けの補正により、補正後の請求項1-3は、本願発明1の上記[相違点1]及び[相違点2]に係る、「使用者からのタッチ操作を受け付けるように構成された板状のカバーガラスであって、使用者が何らかのタッチ操作を行うタッチ操作領域に対応する位置に少なくとも1つ設けられた可撓性操作部であって、他の箇所よりも厚みが薄くなるように構成された可撓性操作部を有」するという技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Fには記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-3は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Fに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-07-13 
出願番号 特願2016-189332(P2016-189332)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 円子 英紀  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 稲葉 和生
富澤 哲生
発明の名称 カバーガラス  
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