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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B29C
管理番号 1375819
審判番号 不服2020-9988  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-16 
確定日 2021-07-30 
事件の表示 特願2019- 71310「複合プリフォームの殺菌方法および殺菌装置、複合容器の殺菌方法および殺菌装置、複合プリフォームおよび複合容器」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 9月 5日出願公開、特開2019-147382、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年1月29日を出願日とする特願2015-15911号(以下、「原出願」という。)の一部を、特許法第44条第1項の規定に基づき、平成31年4月3日に分割して新たな特許出願としたものであって、同年4月18日付けで上申書が提出されるとともに手続補正がされ、令和2年4月14日付けで拒絶理由が通知され、同年5月15日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年6月3日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年7月16日付けで拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、同年8月21日に前置報告がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(令和2年6月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1 本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.国際公開第2013/061956号
2.国際公開第2014/208746号


第3 審判請求時の補正について
1 補正の内容及び目的について
審判請求時の補正は、請求項1、3に「前記プリフォームと前記プラスチック製部材との間に前記殺菌剤が残留する」という事項を追加するものであるが、当該事項は吹き付けられた殺菌剤が残留する箇所を特定するものであって、補正の前後で発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。

2 新規事項の追加の有無、単一性について
当初明細書の段落【0086】には、過酸化水素成分を含む殺菌剤を吹き付けた実施形態において、プリフォーム10aとプラスチック製部材40aとの間に過酸化水素が残留することが明記されているから、当該補正は新規事項を追加するものではないといえる。また、当該補正の前後の発明が単一性を満たすのは明らかである。

3 独立特許要件について
後述する「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-4に係る発明は、上記引用文献1及び2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるということはできない。また、他に補正後の請求項1-4に係る発明について特許を受けることができないとする理由を発見しない。
よって、補正後の請求項1-4に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

4 小括
したがって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。


第4 本願発明
審判請求時の補正は上記のとおり要件を満たすので、本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、審判請求時に補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
加熱することにより殺菌される、複合プリフォームの製造方法において、
プラスチック材料製のプリフォームおよびプラスチック製部材を準備する工程と、
前記プリフォームの内面および外面に対して、殺菌剤を吹き付ける工程と、
前記プリフォームの外側にプラスチック製部材を設ける工程とを備え、
前記プリフォームの内面および外面に前記殺菌剤が吸着され、かつ前記プリフォームと前記プラスチック製部材との間に前記殺菌剤が残留する複合プリフォームを製造する、複合プリフォームの製造方法。
【請求項2】
前記殺菌剤は過酸化水素成分を含む、請求項1記載の複合プリフォームの製造方法。
【請求項3】
加熱することにより殺菌される、複合プリフォームにおいて、
プラスチック材料製のプリフォームと、
前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記プラスチック製部材は、前記プリフォームの外側に密着され、
前記プリフォームの内面および外面に吹き付けることにより吸着された殺菌剤が設けられ、かつ前記プリフォームと前記プラスチック製部材との間に前記殺菌剤が残留する、複合プリフォーム。
【請求項4】
前記殺菌剤は過酸化水素成分を含む、請求項3記載の複合プリフォーム。」


第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は、合議体による。以下同じ。)
「【0024】 以下に本発明を実施するための形態について説明する。
<実施の形態1>
この実施の形態1におけるインラインシステムによれば、最終製品として図3(I)に示す包装体を製造することができる。
【0025】 この包装体は、容器であるボトル2と、蓋であるキャップ3とを備える。」
「【0030】 まず、プリフォーム1が所望の速度で連続的に搬送される。
【0031】 プリフォーム1は、PETの射出成形等によって試験管状の有底筒状体として形成される。プリフォーム1は、図3(I)に示したボトル2におけると同様な口部2aをその成形当初に付与される。この口部2aにはプリフォーム1の成形と同時に雄ネジが形成される。
【0032】 プリフォーム1の搬送が開始されると、図1(A)に示すように、プリフォーム1が予熱される。具体的には、プリフォーム1が図4に示す加熱炉50内に搬入されることにより予熱される。
【0033】 加熱炉50は一方向に長く伸びる炉室を有する。炉室内には、水平面上で対向配置された一対のプーリ51a,51b間に無端チェーン19が架け渡される。無端チェーン19等は多数のプリフォーム1を垂下状態で搬送する無端コンベアを構成する。炉室の内壁面には、無端チェーン19の往路と復路に沿うように赤外線ヒータ19aが取り付けられる。
【0034】 プリフォーム1が加熱炉50内に搬入されると、無端チェーン19の往路上を走行しつつ、赤外線ヒータ19aによって加熱される。この往路を走行する間にプリフォーム1は大体40℃?80℃に予熱される。」
「【0038】 次に、図1(B)に示すように、走行中のプリフォーム1内に過酸化水素ミストK又はガスが供給され、プリフォーム1の予備殺菌が行われる。過酸化水素ミストK又はガスの供給は、プリフォーム1の予熱が完了した時点で行われる。例えば、プリフォーム1が無端チェーン19の往路から復路へと転じる時点において行われる。
【0039】 過酸化水素ミストK又はガスの供給は、具体的には上記スピンドル43の軸芯上に貫通穴43aが形成され、このスピンドル43が過酸化水素ミストK又はガスをプリフォーム1内に吹き込むノズルとして用いられることによって行われる。
【0040】 ここでプリフォーム1内に吹き込まれる過酸化水素ミストK又はガスは、後述するミスト生成器7と同様な構造のミスト生成器によって生成される。この過酸化水素ミストK又はガスが、上記スピンドル43からプリフォーム1内に流入しその内表面に接触することにより、35重量%換算の過酸化水素の凝結皮膜となって望ましくは0.001μL/cm^(2)?0.01μL/cm^(2)の範囲で付着する。」
「【0043】 このように、予備加熱したプリフォーム1に過酸化水素の凝結皮膜を付着させるので、過酸化水素がプリフォーム1の表面上で活性化され、プリフォーム1の表面の殺菌効果が向上する。また、これにより予備殺菌に用いる過酸化水素の量を低減することが可能となり、過酸化水素のプリフォーム1やボトル2での残留も低減する。
【0044】 なお、図1(B)に示すように、プリフォーム1の下方にノズル24を配置し、このノズル24からプリフォーム1の外面に向かって、上記プリフォーム内面に供給した過酸化水素ミストK又はガスと同様な過酸化水素ミストK又はガスを吹き付けるようにしてもよい。」
「【0046】 図1(C)に示すように、上記過酸化水素の凝結皮膜が付着し予備殺菌されたプリフォーム1は、無端チェーン19の復路へと向かい、この復路上を走行する間に赤外線ヒータ19aにより更に加熱され、加熱炉50を出る頃にブロー成形に適した温度まで均一に加熱される。この温度は90℃から130℃程度である。」
「【0048】 予備殺菌され、かつ、ブロー成形に適した加熱状態とされプリフォーム1は、図2(D)に示すように、ブロー成形に付されて容器であるボトル2に成形される。」
「【0053】 ボトル2は成形後も連続走行しつつ、図2(F)に示すように本殺菌される。この本殺菌は、殺菌剤である過酸化水素のミストM又はガスGが殺菌用ノズル6により吹き付けられることによって行われる。殺菌用ノズル6はプリフォーム1の口部2aに対峙するように配置される。過酸化水素のミストM又はガスGは殺菌用ノズル6の先端から流下し、ボトルの口部2aからボトル2内に侵入してボトル2の内面を殺菌する。
【0054】 また、このボトル2の連続走行箇所にはトンネル44が形成され、殺菌用ノズル6から吐出された過酸化水素のミストM又はガスGがボトル2の外面に沿って流れ落ち、さらにトンネル44内に滞留することから、ボトル2の外面も効果的に殺菌される。」
「【図1】


「【図3】



2 引用文献1に記載された発明
引用文献1には、上記1における摘記事項の下線部を中心に整理すると、次の発明(以下、「引用発明1A」という。)が記載されていると認められる。
「PETの射出成形等によって試験管状の有底筒状体として形成されたプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームの内面及び外面に対して、過酸化水素ミストK又はガスを吹き付ける工程とを備え、
前記プリフォームの内面及び外面に過酸化水素の凝結皮膜を付着させたプリフォームを製造する、プリフォームの製造方法」
また、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1B」という。)も記載されていると認められる。
「PETの射出成形等によって試験管状の有底筒状体として形成されたプリフォームと、
前記プリフォームの内面及び外面に過酸化水素ミストK又はガスを吹き付けることにより付着させた過酸化水素の凝結皮膜が設けられた、プリフォーム。」

3 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0004】 ところで、従来の2軸延伸ブロー成形法では、例えばPETやPP等の単層材料、多層材料又はブレンド材料等を含むプリフォームを用いて容器形状に成形している。しかしながら、従来の2軸延伸ブロー成形法においては、単にプリフォームを容器形状に成形するだけであるのが一般的である。このため、容器に対して様々な機能や特性(バリア性や保温性等)を持たせる場合、例えばプリフォームを構成する材料を変更する等、その手段は限定されてしまう。とりわけ、容器の部位(例えば胴部や底部)に応じて、異なる機能や特性を持たせることは難しい。
先行技術文献
特許文献
【0005】 特許文献1:特開2009-241526号公報
【0006】 本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、容器に対して様々な機能や特性を付与することが可能な、ブロー成形方法、複合プリフォーム、複合容器、内側ラベル部材およびプラスチック製部材を提供することを目的とする。
【0007】 本発明は、複合容器を成形するためのブロー成形方法において、プラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、前記プリフォームの外側を取り囲むようにプラスチック製部材を設けることにより、前記プリフォームと、前記プリフォームの外側に密着された前記プラスチック製部材とを有する複合プリフォームを作製する工程と、前記複合プリフォームを加熱するとともにブロー成形金型内に挿入する工程と、前記ブロー成形金型内で前記複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、前記複合プリフォームの前記プリフォームおよび前記プラスチック製部材を一体として膨張させる工程とを備えたことを特徴とするブロー成形方法である。」
「【0018】 本発明は、複合プリフォームにおいて、プラスチック材料製のプリフォームと、前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材とを備え、前記プラスチック製部材は、前記プリフォームの外側に密着されていることを特徴とする複合プリフォームである。」
「【0068】 本発明によれば、ブロー成形金型内で複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォームのプリフォームおよびプラスチック製部材を一体として膨張させる。このためプリフォーム(容器本体)とプラスチック製部材とを別部材から構成することができ、プラスチック製部材の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器に様々な機能や特性を付与することができる。」
「【0114】 次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図5(b)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。このプラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。
【0115】 この場合、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、後述するように、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
【0116】 このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図5(a)?(b))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図5(c)?(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
【0117】 次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図5(c)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
【0118】 続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図5(d)参照)。
【0119】 複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型50は互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(図5(d)参照)。図5(d)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
【0120】 次に図5(e)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。次にプリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
【0121】 このことにより、ブロー成形金型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
【0122】 このようにして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。」
「【図5】



4 引用文献2に記載された技術的事項
引用文献2には、上記3における摘記事項の下線部を中心に整理すると、以下の発明が記載されていると認められる。
「プリフォームの外側を取り囲むようにプラスチック製部材を設けることにより、前記プリフォームと、前記プリフォームの外側に密着された前記プラスチック製部材とを有する複合プリフォームを作製する方法」(以下、「引用発明2」という。)


第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1Aとを対比すると、次のことがいえる。
引用発明1Aにおける「過酸化水素」、「過酸化水素の凝結皮膜を付着させた」は、それぞれ本願発明1における「殺菌剤」、「前記殺菌剤が吸着され」に相当する。
また、上記第5の1の摘記事項を鑑みれば、引用発明1Aの「過酸化水素の凝結皮膜を付着させた」「プリフォーム」に関して、予備加熱したプリフォームの表面上で過酸化水素が活性化され、プリフォームの表面の殺菌効果が向上している。さらに、上記「プリフォーム」は、過酸化水素の凝結皮膜を付着させた後、ブロー成形に適した温度まで加熱されるところ、この加熱によっても凝結被膜中の過酸化水素が活性化され、プリフォームの表面の殺菌効果が発揮されるといえる。すなわち、引用発明1Aにおける「過酸化水素の凝結皮膜を付着させた」「プリフォーム」は、「加熱することにより殺菌される」ものであるといえる。
したがって、本願発明1と引用発明1Aとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「加熱することにより殺菌される、プリフォームの製造方法において、
プラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームの内面および外面に対して、殺菌剤を吹き付ける工程とを備え、
前記プリフォームの内面および外面に前記殺菌剤が吸着されたプリフォームの製造方法。」
(相違点)
(相違点1)本願発明1は「前記プリフォームの外側にプラスチック製部材を設ける」という構成を備え、その結果「複合プリフォーム」が製造されるのに対し、引用発明1Aは当該構成を備えておらず、その結果製造されるのは「プリフォーム」であって「複合プリフォーム」ではない点。
(相違点2)本願発明1は「前記プリフォームと前記プラスチック製部材との間に前記殺菌剤が残留する」という構成を備えるのに対し、引用発明1Aは当該構成を備えていない点。
(2)相違点についての検討
事案に鑑み、相違点2から検討する。
引用発明1Aのプリフォームは、引用文献1の段落【0048】の記載より、ブロー成形に付されて、容器が成形されるものである。また、引用文献1の段落【0053】、【0054】の記載より、当該容器に飲料を充填する以前に、容器の内面及び「外面」を殺菌する必要がある。そして、引用発明1Aは、ブロー成形前のプリフォームの段階においても、予めプリフォームの内面及び「外面」に過酸化水素ミストK又はガスを吹き付けて予備殺菌を行うものである。そうすると、引用発明1Aの過酸化水素ミストK又はガスを吹き付ける対象であるプリフォームの「外面」は、ブロー成形後に容器の「外面」となるものである。
一方、引用発明2のプリフォームの外側に密着されたプラスチック製部材を有する複合プリフォームも、引用文献2の段落【0117】?【0122】の記載より、ブロー成形に付されて、容器が成形されるものである。そして、引用発明2の複合プリフォームの「外面」も、文献2の図5等より、ブロー成形後に容器の「外面」となるものである。
してみると、仮に、引用発明1Aにおいて、引用発明2を適用して、プリフォームの外側にプラスチック製部材を設けて「複合プリフォーム」を製造する場合、過酸化水素ミストK又はガスを吹き付ける箇所として、ブロー成形後に容器の「外面」となる「複合プリフォーム」の「外面」とすることは導き出せたとしても、「プリフォームとプラスチック製部材との間」とすることは、引用文献1及び引用文献2にも記載もされていないし、当該構成とする動機付けもない。したがって、引用発明1A及び引用発明2からは、本願発明1の上記相違点2に係る「前記プリフォームと前記プラスチック製部材との間に前記殺菌剤が残留する」という構成を導き出すことはできない。
そして、本願発明1は、当該構成により、「プリフォームとプラスチック製部材との間に残留する殺菌剤を、複合プリフォームの外部から加熱することにより活性化させて、プリフォームの外面およびプラスチック製部材の内面を適切に殺菌することができる」という、引用発明1A及び引用発明2から導出できない効果を奏するものである。
(3)本願発明1についての小活
そうすると、本願発明1は、相違点1の検討をするまでもなく、引用発明1A及び引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2も、本願発明1の「前記プリフォームと前記プラスチック製部材との間に前記殺菌剤が残留する」と同一の構成を備えるものであるから、上記1で検討したのと同じ理由により、当業者であっても、引用発明1A及び引用発明2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明3、4について
本願発明3、4は、本願発明1、2に対応する物(複合プリフォーム)の発明であり、本願発明1の「前記プリフォームと前記プラスチック製部材との間に前記殺菌剤が残留する」に対応する構成を備えるものであるから、上記1で検討したのと同様の理由により、当業者であっても、引用発明1B及び引用発明2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第7 原査定について
原査定の拒絶の理由は概略、上記第2のとおりであり、その理由に理由がないのは、上記第3ないし6で検討したとおりである。
したがって、原査定の拒絶の理由を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-07-16 
出願番号 特願2019-71310(P2019-71310)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B29C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 理絵清水 研吾  
特許庁審判長 細井 龍史
特許庁審判官 岩本 昌大
大島 祥吾
発明の名称 複合プリフォームの殺菌方法および殺菌装置、複合容器の殺菌方法および殺菌装置、複合プリフォームおよび複合容器  
代理人 堀田 幸裕  
代理人 中村 行孝  
代理人 朝倉 悟  
代理人 永井 浩之  
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