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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正  F21S
審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  F21S
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  F21S
審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  F21S
審判 全部申し立て 特許請求の範囲の実質的変更  F21S
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  F21S
審判 全部申し立て 2項進歩性  F21S
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F21S
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  F21S
管理番号 1375854
異議申立番号 異議2020-700571  
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-07 
確定日 2021-04-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6646881号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6646881号の明細書,特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書,訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1について訂正することを認める。 特許第6646881号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第6646881号の請求項1に係る特許についての出願は,平成23年1月26日に出願した特願2011-13695号の一部を平成26年6月11日に新たな出願とした特願2014-120115号の一部を平成26年7月4日に新たな出願とした特願2014-138244号の一部を平成28年2月22日に新たな出願とした特願2016-31064号の一部を平成29年6月22日に新たな出願とした特願2017-122420号の一部をさらに平成30年7月10日に新たな特許出願としたものであって,令和2年1月16日にその特許権の設定登録がされ,同年2月14日に特許掲載公報が発行された。その後,その特許について,同年8月7日に特許異議申立人西村 太一,及び,特許異議申立人梯 京子により,それぞれ特許異議の申立てがされ,当審は,同年11月5日付けで取消理由を通知した。特許権者は,その指定期間内である令和3年1月8日付け意見書の提出及び訂正の請求を行い,同年1月14日付で訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、その訂正の請求に対して,同年2月19日付けで特許異議申立人西村 太一,及び,特許異議申立人梯 京子により,それぞれ意見書の提出があったものである。

第2.訂正の適否
1.訂正の内容
令和3年1月8日付けの訂正請求(以下,「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下の訂正事項1,2のとおりである(下線部は,訂正箇所を示し,当審で付与した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる器具本体と;
前記器具本体の開口を囲むように前面側に前記LEDパッケージが実装された基板と;
内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口に配設される円筒状の取付部と;
前記取付部を囲むように配設されているとともに,前記取付部の上端よりも前記器具本体の前面側に配設される点灯装置と;
前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと;
を具備していることを特徴とする照明器具。」という記載を,
「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と;
前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と;
内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と;
前記取付部を囲むように配設されているとともに,照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置と;
前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと;を具備し,
前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され,
前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置されることを特徴とする照明器具。」
に訂正する。
(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0007】の「本発明の実施形態による照明器具は,器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる器具本体と;前記器具本体の開口を囲むように前面側に前記LEDパッケージが実装された基板と;内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口に配設される円筒状の取付部と;前記取付部を囲むように配設されているとともに,前記取付部の上端よりも前記器具本体の前面側に配設される点灯装置と;前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと;を具備していることを特徴とする。」という記載を「本発明の実施形態による照明器具は,器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と;前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と;内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と;前記取付部を囲むように配設されているとともに,照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置と;前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと;を具備し,前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され,前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置されることを特徴とする。」に訂正する。

2.訂正要件についての判断
(1)訂正事項1
ア.訂正の目的について
訂正事項1は,請求項1の「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる器具本体と;」とあるのを,「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と;」へと訂正する事項(以下「訂正事項1-1」という。)を含む。
訂正後の請求項1記載の発明では,器具本体が金属製である旨を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1-1は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,訂正事項1は,請求項1の「前記器具本体の開口を囲むように前面側に前記LEDパッケージが実装された基板と;」とあるのを,「前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と;」へと訂正する事項(以下「訂正事項1-2」という。)を含む。
訂正後の請求項1記載の発明では,基板が,基板の裏面側か器具本体と熱的に結合するように器具本体に実装される旨を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1-2は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,誤記である「前記LEDパッケージ」を「LEDパッケージ」と訂正するものであり,当該訂正事項1-2は,特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
また,訂正事項1は,請求項1の「内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口に配設される円筒状の取付部と;」とあるのを,「内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と;」へと訂正する事項(以下「訂正事項1-3」という。)を含む。
訂正後の請求項1記載の発明では,取付部が,器具本体の開口から照射面方向へ延伸するように配設される旨を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1-3は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,訂正事項1は,請求項1の「前記取付部を囲むように配設されているとともに,前記取付部の上端よりも前記器具本体の前面側に配設される点灯装置と;」とあるのを,「前記取付部を囲むように配設されているとともに,照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置;」へと訂正する事項(以下「訂正事項1-4」という。)を含む。
訂正後の請求項1記載の発明では,点灯装置の厚みが,取付部の照射面方向の端から器具本体側の端までの範囲に収まるように,点灯装置を配設する旨を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1-4は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,訂正事項1は,請求項1の照明器具が具備する構成要素として,「前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され,」を追加する事項(以下「訂正事項1-5」という。)を含む。
訂正後の請求項1記載の発明では,基板に略全面に亘り配線パターンが形成される旨を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,訂正事項1は,請求項1の照明器具が具備する構成要素として,「前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置される」を追加する事項(以下「訂正事項1-6」という。)を含む。
訂正後の請求項1記載の発明では,基板に対するLEDパッケージの配置を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1-6は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって,訂正事項1-1?訂正事項1-6を含む訂正事項1は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである
イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
上記訂正事項1は,願書に添付した明細書の発明の詳細な説明又は図面に基づいて導き出される構成である。
例えば,段落【0013】には,「図2乃至図5に示すように,本体1は,冷間圧延鋼板等の金属材料の平板から円形状に形成されたシャーシであり,略中央部に,後述する取付部6を配設するための円形状の開口11が形成されている。」なる記載がされている。
また,例えば,段落【0023】には,「基板21は,絶縁性を有する表面上に配線パターン層21aが積層され,さらに,その上に反射層21bが積層されて形成されている。そして,基板21には,2列に亘って発光素子22である表面実装型のLEDパッケージが複数個実装されている。LEDパッケージは,外形的には,略直方体形状をなしていて,一方の短辺側にアノード側の電極Aeが設けられており,他方の短辺側にカソード側の電極Ceが設けられている。」なる記載がされている。また,例えば,段落【0024】には,「配線パターン層21aは,銅箔のパターンがエッチングによって形成されていて,基板21の表面上を略全面に亘って覆うように形成されている。」なる記載がされている。また,例えば,段落【0046】には,「したがって,基板21は,本体1と熱的に結合され,基板21からの熱が裏面側から本体1に伝導され放熱されるようになっている。」なる記載がされている。また,図14には,取付部6が,器具本体1の開口11から照射面方向へと延伸する点が明確に記載されている。また,図14には,点灯装置4における照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,取付部6における照射面方向の端から器具本体1側の端までの範囲に収まる点が明確に記載されている。また,図6,図7,図12には,LEDパッケージである発光素子22の一方の短辺側の電極が,器具本体1の開口側を向き,かつLEDパッケージである発光素子22の他方の短辺側の電極が,器具本体1の外周側を向くように配置される点が明確に記載されている。
このため,上記訂正事項1は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
上記ア.の理由から明らかなように,訂正事項1は,補正前の請求項1に記載されていた発明特定事項を減縮するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア.訂正の目的について
訂正事項2は,訂正前の明細書の段落【0007】に記載された課題を解決するための手段を,訂正事項1に係る訂正後の請求項1の記載にあわせて訂正するものである。
訂正前の明細書の段落【0007】には,課題を解決するための手段として,訂正前の請求項1に記載された発明が有する特徴が記載されていた。
しかしながら,上述した訂正事項1により,請求項1の記載を訂正したので,訂正後の請求項1と同様の訂正を,明細書の段落【0007】に対しても行うことで,訂正後の請求項1の記載と,明細書の記載とをあわせたものであるから,明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
以上のとおり,訂正事項2は,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項2は,訂正前の明細書の段落【0007】の記載を,訂正後の請求項1の記載にあわせるものである。
このため,訂正事項2は,訂正事項1と同様に,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
上述したように,訂正事項2は,訂正後の請求項1と同様の訂正を,明細書の段落【0007】に対しても行うことで,訂正後の請求項1の記載と,明細書の記載とをあわせたものである。
このように,訂正事項2については,訂正後の請求項1と明細書の記載とをあわせるためのものであり,訂正後の請求項1に記載された発明の構成を説明するものであるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。
(3)小括
以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号,第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって,明細書,特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書,訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1について訂正することを認める。

第3.訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下,「本件発明」という。)は,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と;
前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と;
内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と;
前記取付部を囲むように配設されているとともに,照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置と;
前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと;
を具備し,
前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され,
前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置されることを特徴とする照明器具。」

第4.取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して,当審が令和2年11月5日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は,次のとおりである。
「1)(サポート要件)本件特許に係る特許出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2)(明確性)本件特許に係る特許出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
3)本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。) は,その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。

<理由1>
・・・
3.特許法第36条第6項第1号についての結論
上記1.,2.のとおり,請求項1に記載された発明特定事項を具備する発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないし,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえないから,請求項1において,発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されていないため,発明の詳細な説明に記載された範囲を超えて特許を請求することになり,特許法第36条第6項第1号の規定に適合するものではない。

<理由2>
請求項1の「前記LEDパッケージ」との記載は,それ以前に「LEDパッケージ」という記載が存在しないから,明確でない。

<理由3>
1.刊行物等一覧
引用文献1:特開2002-140918号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第1号証)
引用文献2:特開2009-272263号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第2号証)引用文献3:登録実用新案第3162973号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第3号証)
引用文献4:登録実用新案第3154761号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第4号証)
引用文献5:特開2009-302148号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第5号証)
引用文献6:特開2009-301810号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第6号証)
引用文献7:特開2009-289709号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第7号証)
引用文献8:特開平10-275515号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第8号証)
引用文献9:特開平10-275519号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第9号証)」

2.引用文献の記載事項,引用発明
(1)引用文献1
引用文献1には,図面とともに以下の記載がある(下線部は,当審が付与した。)
・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,照明器具に関するものである。」
・「【0006】本発明は上記問題点の解決を目的とするものであり,気密性を保ちつつ組立作業性を向上してコスト低減を図った照明器具を提供する。」
・「【0013】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本実施形態の照明器具は天井取付型であって,図1及び図2に示すように,例えば金属部材などからなる器具本体10と,蛍光ランプLaと,器具本体10に取り付けられ,蛍光ランプLaに電力を供給して点灯させる電子式安定器20と,電子式安定器20を覆うように蛍光ランプLaと器具本体10との間に配置される反射板30と,蛍光ランプLa及び反射板30等を開口部から導入して内部に収め,開口部の周縁を器具本体10に略対向させて取り付けられる透光性のグローブ40とを備えている。
【0014】蛍光ランプLaは環形のものであって,定格出力並びに管径が異なる大小2種類の蛍光ランプ(例えば,FCL40/38とFCL32/30など)が用いられる。
【0015】また,電子式安定器20は,商用電源を整流する整流器やインバータ回路等を具備して低周波の商用電源を高周波に変換して蛍光ランプLaを高周波点灯させる従来周知の構成を有し,プリント配線板から成る略コ字形の回路基板22上に上記インバータ回路等を構成する回路部品が実装されて構成されている。ここで,この回路基板22上には上記インバータ回路等の構成部品以外に,常夜灯たる豆球が抜き差し自在に装着される豆球ソケット23と,電子式安定器20から蛍光ランプLaへの電源供給を入切して点灯,消灯するためのスイッチ24とが実装されている。
【0016】器具本体10は,略中央に円形の開口部11を有する略円盤状に形成されるとともに周縁端には全周に渡って周壁12が立設されている。また,器具本体10の開口部11周縁の下面側には,後述の取付アダプタ1が挿入され且つ固定される円筒部13が結合される。さらに,器具本体10の下面周縁近傍にはグローブ40に設けられた後述の被係止部44が係脱自在に係止固定される4つの固定部14が器具本体10の周方向に沿って略等間隔に器具本体10から一体に突設されている。これらの固定部14は,断面形状が略L形で外側に開口するとともに器具本体10下面との間の隙間が大きい方の挿入部14a並びに上記隙間が小さい方の係止部14bから成り,挿入部14aにおける周方向に沿った一端側が開口している。また,4つの係止部14bにおける器具本体10下面との間の隙間寸法をそれぞれ略等しくしている。なお,上述の器具本体10を非導電性の合成樹脂(例えば,ポリカーボネイトのような熱可塑性樹脂等)により形成しても良い。
【0017】取付アダプタ1は略円筒形の本体1aと,本体1aの上面に設けられ,天井に配設された引掛シーリング2や埋込ローゼット等の配線器具(図示せず)に取り付けて機械的な結合と電気的な接続が同時に行われる配線器具接続部1bと,本体1aの外周面から進退自在に突出して器具本体10の係合突部13a(後述する)に係脱自在に係止する一対の係止片1cと,本体1aの下面からスライド自在に突出し各係止片1cを進退させる一対の操作つまみ1dとを具備している。そしてこの取付アダプタ1から電源線を介して電子式安定器20等に商用電源の供給が行われる。
【0018】上述の器具本体10を取付アダプタ1を用いて天井などに取り付けるときには,器具本体10の円筒部13の内周面に全周に渡って係合突部13aが突設されているので,器具本体10の上面側から開口部1a(「11」の誤記)を通して,引掛シーリング2に取り付けられた取付アダプタ1を挿入し,挿入時に取付アダプタ1の本体1a内に退避させていた一対の係止片1cを進出させて円筒部13の係合突部13aに係合する。これにより,器具本体10が取付アダプタ1に機械的に結合されて固定される。なお,取付アダプタ1の操作つまみ1dを操作して係止片1cを本体1a内に退避させれば,係合突部13aと係止片1cとの係合状態を解除して器具本体10を取付アダプタ1から取り外すことができる。
【0019】反射板30は板状の金属部材によって略椀形に形成され,その開口端周縁には全周に渡って4つの外鍔31が突設されている。また,反射板30の平坦な底面には,円筒部13内に位置する取付アダプタ1を露出する略円形の露出孔32が略中央に設けられ,その周辺には豆球ソケット23に装着される豆球が挿通される挿通孔33が設けてある。また,反射板30の斜面には蛍光ランプLaを支持する一対の支持ばね34が取着される。」
・図1,図2には,以下の内容が示されている。

・段落【0016】の下線部の記載事項と図1からみて,蛍光ランプLaは,器具本体10の開口部11を囲むように前面側に配置されていることが理解できる。
・段落【0018】の下線部の記載事項と図1からみて,内周面に取付アダプタ1が係合するための係合突部13aが形成された円筒部13が理解でき,段落【0016】の下線部の記載事項から,円筒部13が,器具本体10の開口部11から照射面方向へと延伸するように結合されることが理解できる。
・段落【0015】の下線部の記載事項と図1,図2からみて,蛍光ランプLaを高周波点灯させる電子式安定器20を含む回路基板22が円筒部13を囲むように器具本体10の前面側に配設されていることが理解できる。
・図1,図2からみて,反射板30の底面と,斜面と円筒部13を内周壁とする空間に電子安定器20を含む回路基板22を包囲することが理解できる。
・図1,図2からみて,照明器具は,取付アダプタ1と,器具本体10と,蛍光ランプLaと,円筒部13と,電子式安定器20を含む回路基板22と,反射板30とを具備していることが理解できる。
そうすると,引用文献1には,以下の発明(以下「引用発明」という)が記載されていると認められる。
「天井に配設された引掛シーリング2等の配線器具に取り付けて機械的な結合と電気的な接続が同時に行われる配線器具接続部1bを具備した取付アダプタ1と,
器具本体10の上面側から開口部11を通して,引掛シーリング2に取り付けられた取付アダプタ1を挿入し,取付アダプタ1を円筒部13の係合突部13aに係合し,取付アダプタ1に機械的に結合されて固定される,金属部材などからなる器具本体10と,
器具本体10の開口部11を囲むように前面側に配置される蛍光ランプLaと,
内周面に取付アダプタ1が係合するための係合突部13aが形成され,器具本体10の開口部11から照射面方向へと延伸するように結合される円筒部13と,
前記円筒部13を囲むように前記器具本体10の前面側に配設される,蛍光ランプLaを高周波点灯させる電子式安定器20を含む回路基板22と,
前記円筒部13内に位置する前記取付アダプタ1を露出する略円形の露出孔32が略中央に設けられた反射板30の平坦な底面と,蛍光ランプLaを支持する一対の支持ばね34が取着される反射板30の斜面と,前記底面と前記斜面と円筒部13を内周壁とする空間に電子安定器20を含む回路基板22を包囲する反射板30と,
を具備している照明器具。」

3.当審の判断
(1)特許法第36条第6項第1号について
本件発明は,訂正により,器具本体,および基板の記載について,
「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と;
前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と;」とされた。
この訂正により,本件発明は,LEDパッケージで発生した熱が,基板から,金属製の器具本体に伝導されて,放熱されることが明確となり,発明の課題を解決するための手段が反映された。
したがって,本件発明は,特許法第36条第6項第1号の要件を満たしている。

(2)特許法第36条第6項第2号について
「LEDパッケージ」について「前記」を削除したことにより,「LEDパッケージ」の記載が明確になり,本件発明は,特許法第36条第6項第2号の要件を満たしている。

(3)特許法第29条第2項について
ア.発明の対比
(ア)本件発明と引用発明とを対比すると,後者の「天井」は前者の「器具取付面」に相当し,以下同様に,「引掛シーリング2等の配線器具」又は「引掛シーリング2」は「配線器具」に,「取付アダプタ1」は「アダプタ」に,「金属部材などからなる器具本体10」は「金属製の器具本体」に,器具本体10の「開口部11」は器具本体の「開口」に,「内周面」は「内周側」に,「円筒部13」は「円筒状の取付部」又は「取付部」に,円筒部13の「係合突部13a」は取付部の「係合口」に,「結合される」ことは「配設される」ことに,「反射板30」は「点灯装置カバー」に,「底面」は「前面壁」に,「斜面」は「外周壁」に,反射板30の「露出孔32」は点灯装置カバーの「開口」に,「電子安定器20を含む回路基板22」は「点灯装置」に,それぞれ相当する。
(イ)
a.(ア)の相当関係を踏まえると,後者の「天井に配設された引掛シーリング2等の配線器具に取り付けて機械的な結合と電気的な接続が同時に行われる配線器具接続部1bを具備した取付アダプタ1」は前者の「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタ」に相当する。
b.(ア)の相当関係と,後者の「器具本体10の開口部11に結合される円筒部13」を踏まえると,後者の「器具本体10の上面側から開口部11を通して,引掛シーリング2に取り付けられた取付アダプタ1を挿入し,取付アダプタ1を円筒部13の係合突部13aに係合し,取付アダプタ1に機械的に結合されて固定される,金属部材などからなる器具本体10」は,器具本体10が取付アダプタ1を介して引掛シーリング2に取り付けられているから,前者の「アダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体」に相当する。
c.上記a.,b.を踏まえると,後者の「天井に配設された引掛シーリング2等の配線器具に取り付けて機械的な結合と電気的な接続が同時に行われる配線器具接続部1bを具備した取付アダプタ1と,器具本体10の上面側から開口部11を通して,引掛シーリング2に取り付けられた取付アダプタ1を挿入し,取付アダプタ1を円筒部13の係合突部13aに係合し,取付アダプタ1に機械的に結合されて固定される,金属部材などからなる器具本体10」は,前者の「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体」に相当する。
(ウ)後者の「器具本体10の開口部11を囲むように前面側に配置される蛍光ランプLa」と前者の「前記器具本体の開口を囲むように前面側に前記LEDパッケージが実装された基板」とは,「前記器具本体の開口を囲むように前面側に配置された光源」において共通する。
(エ)後者の「内周面に取付アダプタ1が係合するための係合突部13aが形成され,器具本体10の開口部11から照射面方向へと延伸するように結合される円筒部13」は,(ア)の相当関係を踏まえると,前者の「内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向に延伸するように配設される円筒状の取付部」に相当する。
(オ)後者の「前記円筒部13を囲むように前記器具本体10の前面側に配設される,蛍光ランプLaを高周波点灯させる電子式安定器20を含む回路基板22」と,前者の「前記取付部を囲むように配設されているとともに,照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置」とは,(ア)の相当関係を踏まえると,「前記取付部を囲むように配設されている,点灯装置」において共通する。
(カ)
a.後者の「略円形の露出孔32」により「前記円筒部13内に位置する前記取付アダプタ1を露出する」ためには,円筒部13の下側の開口部に対応した位置に露出孔32が形成されることは明らかであるから,後者の「前記円筒部13内に位置する前記取付アダプタ1を露出する略円形の露出孔32が略中央に設けられた反射板30の平坦な底面」は,(ア)の相当関係を踏まえると,前者の「前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁」に相当する。
b.後者の「反射板30の平坦な底面と,蛍光ランプLaを支持する一対の支持ばね34が取着される反射板30の斜面と,前記底面と前記斜面と円筒部13を内周壁とする空間に電子安定器20を含む回路基板22を包囲する反射板30」は,(ア)の相当関係を踏まえると,前者の「前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバー」に相当する。
c.上記a.,b.を踏まえると,後者の「前記円筒部13内に位置する前記取付アダプタ1を露出する略円形の露出孔32が略中央に設けられた反射板30の平坦な底面と,蛍光ランプLaを支持する一対の支持ばね34が取着される反射板30の斜面と,前記底面と前記斜面と円筒部13を内周壁とする空間に電子安定器20を含む回路基板22を包囲する反射板30」は前者の「前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバー」に相当する。
(キ)そうすると,両者は,
「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と,
前記器具本体の開口を囲むように前面側に配置された光源と,
内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と,
前記取付部を囲むように配設されている点灯装置と,
前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと,
を具備している照明器具。」
の点で一致し,以下の各点で相違するものと認められる。
<相違点1>
前記器具本体の開口を囲むように前面側に配置された光源に関して,光源が,本件発明では,「LEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板」であるのに対して,引用発明では,「蛍光ランプLa」である点。
<相違点2>
前記取付部を囲むように配設されている点灯装置に関し,点灯装置が,本件発明では,「照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される」のに対して,引用発明では,そのような特定はなされていない点。
<相違点3>
本件発明では,「前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され,前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置される」のに対して,引用発明では,そもそも,LEDを実装する基板が存在しない点。

イ.相違点の判断
事案に鑑み,まず,相違点3について検討する。
LED基板について,その基板に形成させる配線パターンとしては,特にLED搭載基板の場合,LEDからの熱を放出させることが重要であることは,明らかである。
それは,異議申立人西村 太一が令和3年2月19日付け意見書において新たに引用する引用文献12(特開2010-97939号公報)の【図9】とその説明である段落【0026】には,「基板4のおもて面は,図8(図9の誤記)に示すように,LED10が接続される配線パターン40によってほぼ全面が覆われている。各配線パターン40は,銅箔で形成されており,それぞれに接続されたLED10の放熱板(放熱手段)の機能も有している。」と記載されていることからも明らかである。同じく同意見書にて,新たに引用する引用文献13(特開2007-35881号公報)の【図1】とその説明である段落【0016】にも,導体パターン3a?3dがLED基板の略全面に配置されている。
このように,配線パターンを基板全面に亘って配置させることは,特に照明の分野において周知の技術である。
また,同じく,同意見書において,新たに引用する引用文献14(特開2005-347279号公報)に,天井面などに取り付ける照明器具であって(段落【0017】),「・・・本実施形態では図8(a)に示すように各LED素子11の発光分布の短幅方向が放射線上に配置されるように各LED素子11を配置したり,図8(b)に示すように各LED素子11の発光分布の長手方向が放射線上に配置されるように各LED素子11を配置し(て)おり・・・」と記載されているように(段落【0027】),各LED素子の11の発光分布の長手方向を円周方向に配置するもの(図8(a)),半径方向に配置するもの(図8(b))がある。
また,同意見書にて,新たに引用する引用文献15(特開2009-117228号公報),これは例えば製品の外観検査に用いる照明装置に関するが,その図14,図15にLEDを半径方向に配置したものが,さらに,同意見書にて新たに引用する引用文献16(特開平11-66918号公報)は,CCDカメラ等の照明用光源に関するが,その図1にもLEDを長手方向を半径方向に配置のものが記載されている。
しかしながら,これらの引用文献14?16に示されるものは,いずれも,「LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置される」(以下「構成A」という。)とまではいえるものではない。
また,上記構成Aは,異議申立人西村 太一が提出したいずれの文献(甲第1号証?甲第9号証,引用文献10?引用文献16)にも,異議申立人梯 京子が提出したいずれの文献(甲第1号証?甲第9号証,引用文献10?12)」にも記載されていない。
したがって,上記相違点3に係る本件発明の構成とすることは,異議申立人西村 太一が提出したいずれの文献(甲第1号証?甲第9号証,引用文献10?引用文献16),及び,異議申立人梯 京子が提出したいずれの文献(引用文献10?12)」にも記載されていないから,当業者が容易に想到し得たものではない。
よって,相違点1,2を検討するまでもなく,本件発明は,引用発明に基いて,その余の証拠を参照しても当業者が容易に発明することができたものではない。

ウ.小括
したがって,当該取消理由通知書に記載した取消理由によっては,本件発明を取り消すことはできない。

第5.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1.特許異議申立人西村 太一の特許異議申立理由
(1)特許法第36条第6項第1号
ア.器具本体の取付関係について
異議申立人は,本件発明1 は,「器具本体」について,「前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体」と規定する。この規定によれば,「器具本体」は,直接「配線器具」に取り付けられてよいこととなるが,明細書の詳細な説明によれば,「器具本体」は「アダプタ」に取り付けらるものであり,これ以外の取付けについての記載はないから,本件発明は,発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。
しかしながら,本件発明は「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体」と特定されており,本件発明の「器具本体」はアダプタを介して間接的に「配線器具に取り付けられ」るものであるから,発明の詳細な説明に記載されており,特許法第36条第6項第1号の要件を満たすものである。
(2)特許法第36条第6項第2号
異議申立人は,請求項1に係る発明の,ア.「器具本体の開口を囲む」,「取付部を囲む」について,イ.「開口」,「開口部」,「係合口」について,ウ.「外周壁」,「内周壁」について,不明である旨主張する。
しかしながら,上記ア.,イ.,ウ.について,本件発明の発明特定事項は,明確であるから,特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものである。
2.特許異議申立人梯 京子の特許異議申立理由
(1)特許法第36条第6項第2号
異議申立人は,請求項1に係る発明の記載は以下のように明確でない旨の主張をしていた
「<2>「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる器具本体」との記載では,配線器具,アダプタと,器具本体,LEDパッケージが実装された基板などとの電気的接続関係が明瞭でないし,また,器具本体の配線器具への取り付けと,器具本体の開口へのアダプタの配設との電気的,機械的接続についての関連も明瞭でない。
<3>「内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口に配設される円筒状の取付部と;前記取付部を囲むように配設されているとともに,前記取付部の上端よりも前記器具本体の前面側に配設される点灯装置」との記載において,「取付部」と「点灯装置」は,「配設された」ではなく,「配設される」という過去形で表現されたものでないことからみて,それぞれ,“器具本体の開口に対する配設前の取付部”,“取付部の上端よりも器具本体の前面側に対する配設前の点灯装置”を言及したものと解される。そうすると,”,“器具本体の開口に対する取付部の配設時期”,“取付部の上端よりも器具本体の前面側に対する点灯装置の配設時期”,及び,“配線器具に対する器具本体の取付時期”のそれぞれ相互間の関連が明瞭でない。また,本件発明は,器具本体の開口に対する取付部の配設前,または,後のどちらの「照明器具」を請求しているのか,取付部の上端よりも器具本体の前面側に対する点灯装置の配設前, または,後のどちらの「照明器具」を請求しているのか,交換できないように配設固定された取付部や点灯装置を具備する「照明器具」を請求していないのかなども明瞭でない。
<4>「点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバー」との記載では,「・・・外周壁」が如何なる文節を修飾しているのか明らかでないこともあって,その意味が明瞭でない。例えば,“外周壁と・・・内周壁とする空間“と解しても,その意味が明瞭でない。
<5>「・・・を囲む外周壁と,・・・を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバー」との記載において,「空間に」における「に」は,動作,作用の行われる場所を示す格助詞と解されるが,該「に」は「包囲する」との動詞に対応するものではないなど(すなわち,“点灯装置カバーが点灯装置を空間に包囲する”との表現は意味が不明であるなど),「空間に」がどの文節を修飾するのか等が明らかでない。それ故,「・・・を囲む外周壁と,・・・を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバー」との記載は,その意味が明瞭でない。」
しかしながら,<2>?<5>について検討しても,本件発明の発明特定事項は,明確であり,特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものである。
(2)特許法第36条第4項第1号
異議申立人は,本件発明と「発光素子の温度上昇を抑制できる照明器具を提供することを目的とする」(段落【0006】)という目的との関連などが発明の詳細な説明に記載されていない旨の主張していたが,本件発明が訂正され,目的との関連が明確となった。
そして,発明の詳細な説明は,本件発明が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているから,特許法第4項第1号の要件を満たすものである。
(3)特許法第29条第2項
「第4.3.(3)イ.」で示したように,本件発明は,「前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され,前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置される」ことを含むものであるところ,上記構成A,すなわち,「前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置される」ことは,上述したように,異議申立人梯 京子の提出したいずれの文献(甲第1号証?甲第9号証,引用文献10?12)にも記載されていないから,本件発明は,異議申立人梯 京子の提出した文献に基いて,当業者が容易に発明することができたものではない。

第6.むすび
以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
照明器具
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LED等の発光素子を用いた発光装置及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、LEDの高出力化、高効率化及び普及化に伴い、光源としてLEDを用いた屋内又は屋外で使用される長寿命化が期待できる照明器具が開発されている。このような照明器具は、LEDを基板に複数実装して所定の光量を得るようにしたものである。
【0003】
位峰、LED等の発光素子は、発光時、その温度が上昇するに従い、光の出力が低下し、耐用年数も短くなる。このため、LEDやEL素子等の固体発光素子を光源とする照明器具にとって、耐用年数を延したり発光効率等の特性を改善したりするために、発光素子の温度が上昇するのを抑制することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2008-124008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の照明器具においては、製造工程が複雑化する可能性がある。
【0006】
本発明は、発光素子の温度上昇を抑制できる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による照明器具は、器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し、前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と;前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され、裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と;内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され、前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と;前記取付部を囲むように配設されているとともに、照射面側の端から裏面側の端までの厚みが、前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置と;前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに、点灯装置の外側を囲む外周壁と、前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと;を具備し、前記基板には、略全面に亘り配線パターンが形成され、前記LEDパッケージは、略直方体形状であり、一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き、かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、発光素子の温度上昇を抑制できる照明器具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る照明器具を示す斜視図である。
【図2】同照明器具を示す分解斜視図である。
【図3】同照明器具においてカバー部材及び点灯装置カバーを取外して下方から見て示す概略の平面図である。
【図4】同照明器具を示す断面図である。
【図5】図4中、点線で囲まれた範囲を示す拡大図である。
【図6】同照明器具における基板を示す平面図である。
【図7】同1枚の基板を示す平面図である。
【図8】同基板の配線パターン層を示す平面図である。
【図9】同基板に反射層を形成した状態を示す平面図である。
【図10】図9中、発光素子の位置関係を示す平面図である。
【図11】図8における部分的拡大図である。
【図12】図11中、発光素子の位置関係を示す平面図である。
【図13】発光素子の接続状態を示す結線図である。
【図14】同照明器具の天井面への取付完了状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図1乃至図14を参照して説明する。各図においてリード線等による配線接続関係は省略して示している場合がある。なお、同一部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
本実施形態の照明器具は、器具取付面に設置された配線器具としての引掛けシーリングボディに取付けられて使用される一般住宅用のものであり、基板に実装された複数の発光素子を有する発光装置から放射される光によって室内の照明を行うものである。
【0012】
図1乃至図4において、照明器具は、器具本体1と、発光装置2と、拡散部材3と、点灯装置4と、点灯装置カバー5と、取付部6と、カバー部材7とを備えている。また、器具取付面としての天井面Cに設置された引掛けシーリングボディCbに電気的かつ機械的に接続されるアダプタAを備えている。このような照明器具は、丸形の円形状の外観に形成され、前面側を光の照射面とし、背面側を天井面Cへの取付面としている。
【0013】
図2乃至図5に示すように、本体1は、冷間圧延鋼板等の金属材料の平板から円形状に形成されたシャーシであり、略中央部に、後述する取付部6を配設するための円形状の開口11が形成されている。また、発光装置2が取付けられる内面側の平坦部12の外周側には、背面側に向かう段差部13が形成されて樋状の凹部14が形成されている。そして、前記段差部13には、カバー部材7が着脱可能に取付けられるカバー受部材が配置されている。カバー受部材は、より詳しくは、カバー受金具75であり、段差部13によって形成される凹部14に配置されるようになっている。さらに、本体1の背面側の4箇所には、照明器具取付用ばね部材15が設けられている。ばね部材15は、ステンレス鋼等の金属製からなり、略長方形状の板ばねを折曲して形成されている。
【0014】
発光装置2は、図2乃至図6に示すように、基板21と、この基板21に実装された複数の発光素子22とを備えている(図2においては発光素子22の図示を省略している)。基板21は、所定の幅寸法を有した円弧状の4枚の基板21が繋ぎ合わされるように配設されて全体として略サークル状に形成されている。つまり、全体として略サークル状に形成された基板21は、4枚の分割された基板21から構成されている。
【0015】
このように分割された基板21を用いることにより、基板21の分割部で熱的収縮を吸収して基板21の変形を抑制することができる。なお、複数に分割された基板21を用いることが好ましいが、略サークル状に一体的に形成された一枚の基板を用いるようにしてもよい。
【0016】
基板21は、絶縁材であるガラスエポキシ樹脂の平板からなり、表面側には銅箔によって配線パターンが形成されている。また、配線パターンの上、つまり、基板21の表面には反射層として作用する白色のレジスト層が施されている。なお、基板21の材料は、絶縁材とする場合には、セラミックス材料又は合成樹脂材料を適用できる。さらに、金属製とする場合は、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れたべース板の一面に絶縁層が積層された金属製のべース基板を適用できる。
【0017】
発光素子22は、LEDであり、表面実装型のLEDパッケージである。このLEDパッケージが複数個サークル状の基板21の周方向に沿って、つまり、取付部6を中心とする略円周上に複数列、本実施形態では、内周側及び外周側の2列に亘って実装されている。また、LEDパケージには、発光色が昼白色Nのものと電球色Lのものとが用いられており、これらが交互又は混在して並べられていて、各列の隣接する発光素子22は所定の間隔を空けて配設されている。
【0018】
なお、特定の基板21a(図3及び図6中、右側)には、常夜灯用の発光素子22aが
【0019】
実装されている。この発光素子22aには、サークル状に実装された主光源における電球色のものと同じ仕様のLEDパッケージが用いられている。これにより部材の共通化が図られている。
【0020】
なお、発光素子22は、必ずしも複数列に実装する必要はない。例えば、周方向に沿って1列に実装するようにしてもよい。所望する出力に応じて発光素子22の列数や個数を適宜設定することができる。
【0021】
LEDパッケージは、概略的にはセラミックスや合成樹脂で形成された本体に配設されたLEDチップと、このLEDチップを封止するエポキシ系樹脂やシリコーン樹脂等のモールド用の透光性樹脂とから構成されている。LEDチップは、青色光を発光する青色のLEDチップである。透光性樹脂には、昼白色や電球色の光を出射できるようにするために蛍光体が混入されている。また、本体には、LEDチップと接続されたアノード側の電極とカソード側の電極とが設けられている。
【0022】
次に、図7乃至図13を参照して発光装置2の構成を詳細に説明する。図7乃至図10は、分割された基板21の1枚を示しており、図11及び図12は、部分的に拡大した状態を示している。
【0023】
まず、図7において、基板21は、絶縁性を有する表面上に配線パターン層21aが積層され、さらに、その上に反射層21bが積層されて形成されている。そして、基板21には、2列に亘って発光素子22である表面実装型のLEDパッケージが複数個実装されている。LEDパッケージは、外形的には、略直方体形状をなしていて、一方の短辺側にアノード側の電極Aeが設けられており、他方の短辺側にカソード側の電極Ceが設けられている。なお、説明上、カソード側の電極Ce側の短辺を太線で示している。
【0024】
図8は、基板21における配線パターン層21aを示している。配線パターン層21aは、銅箔のパターンがエッチングによって形成されていて、基板21の表面上を略全面に亘って覆うように形成されている。
【0025】
配線パターン層21aは、発光素子22の実装個数に対応して複数のブロックに線状の絶縁領域iによって区画されていて、発光素子22のアノード側の電極Ae及びカソード側の電極Ceがブロック間の比較的狭い線状の絶縁領域iを跨って接続されるようになっている。
【0026】
配線パターン層21aは、発光素子22に電力を供給する電気的導通路であるとともに、発光素子22から発生する熱を拡散するヒートスプレッダとしての機能を有している。
【0027】
図9は、基板21において、配線パターン層21aの上に反射層21bが形成された状態を示している。反射層21bは、各発光素子22が実装され電極Ae、Ceが接続される部分やコネクタが接続される部分を除いて略全面に亘って形成されている。つまり、各発光素子22が実装され電極Ae、Ceが接続される部分やコネクタが接続される部分は、配線パターン層21aが表面上に露出する状態となっている。
【0028】
反射層21bは、具体的には、白色のフォトソルダータイプのレジストインキ材料を用いて形成したものであり、光の反射率が良好な白色のレジスト層である。このレジスト層は、膜厚寸法が約40μmに形成されている。
【0029】
図10は、配線パターン層21aの上に反射層21bが形成された状態、すなわち、発光素子22のアノード側の電極Ae及びカソード側の電極Ceが接続される部分に対応して配線パターン層21aが表面上に露出された状態において、発光素子22との位置関係を示すため、説明上、発光素子22を一部(2個)のみ実装した場合を示している。
【0030】
続いて、図11は、配線パターン層21aの一部を拡大して示し、図12は、その配線パターン層21aに発光素子22(点線で示している)が実装された場合の位置関係を示している。
【0031】
図12に示すように、線状の絶縁領域iによって区画された複数のブロック間において、比較的狭い線状の絶縁領域iを跨って発光素子22のアノード側の電極Ae及びカソード側の電極Ceが配線パターン層21aに半田付けされて接続されている。
【0032】
より詳しくは、発光素子22のアノード側の電極Aeが接続される配線パターン層21a側の領域Saよりカソード側の電極Ceが接続される配線パターン層21a側の領域Scの方の面積が広くなるように形成されている。つまり、Sa<Scの関係になるように形成されている。
【0033】
この種、発光素子22は、発光時、主としてカソード側に熱が発生し、カソード側の電極Ceの温度が高くなる。このため、カソード側の電極Ceが接続される配線パターン層21a側の領域Scを広くすることにより、発生した熱を広い面積で効果的に拡散し、放熱させて発光素子22の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0034】
なお、発光素子22のアノード側の電極Aeが接続される配線パターン層21a側の領域Saと、カソード側の電極Ceが接続される配線パターン層21a側の領域Scとは、領域Scが広くなるように形成できれば、その形状等は格別限定されるものではない。
【0035】
図13は、1枚の基板21における各発光素子22の結線状態を示している。具体的には、6個の発光素子22が直列に接続された直列回路が4個並列に接続された2つのラインから構成されている。したがって、合計48個の発光素子22が接続されている。また、これらの直列回路は、発光色が昼白色の発光素子群と電球色の発光素子群とに分けられて接続されている。つまり、一つの直列回路に昼白色と電球色の発光素子22が混在することはない。さらに、2つのラインの端部は、コネクタCnに接続されていて、隣接する基板21のコネクタ又は電源側のコネクタに接続できるようになっている。
【0036】
拡散部材3は、レンズ部材であり、図5に代表して示すように、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の絶縁性を有する透明合成樹脂からなり、前記発光素子22の配置に沿って略サークル状に一体的に形成されていて、発光素子22を含めて基板21の全面を覆うように配設されている。
【0037】
また、レンズ部材は、略サークル状の内周側部分と外周側部分とに発光素子22に対向して円周方向に2条の山形であって、断面形状が一定の突条部31が連続して形成されている。この突条部31の内側には、U字状の溝32が円周方向に沿って連続して形成されている。したがって、U字状の溝32は、複数の発光素子22と対向して配置されるようになっており、複数の発光素子22は、U字状の溝32内に収められて覆われている状態となっている。
【0038】
さらに、これら突条部31からは幅方向に延出する平坦部33が形成されており、これにより基板21の全面が覆われるようになっている。
【0039】
このように構成されたレンズ部材によれば、複数の発光素子22から出射された光は、突条部31によって、主として円周上の内周方向及び外周方向に拡散されて放射される。
【0040】
すなわち、発光素子22から出射された光は、発光素子22が配置されたところのサークル状の中心を原点とする半径方向へ主として拡散して放射されるようになる。
【0041】
したがって、レンズ部材によって複数の発光素子22から出射される光による照射光の均斉度を向上することが可能となる。さらに、各発光素子22の輝度による粒々感を抑制することができる。
【0042】
また、拡散部材3には、平坦部33が形成されて基板21の全面を覆うようになっているので、充電部が拡散部材3によって覆われ保護される。
【0043】
なお、拡散部材3は、略サークル状に一体的に形成されていなくてもよい。例えば、分割された基板21に対応して、これらの基板21ごとに分割して形成するようにしてもよい。この場合には、一つの基板21に実装された複数の発光素子22ごとに連続して拡散部材3によって覆われるようになる。
【0044】
また、拡散部材3は、レンズ部材に限らず、拡散シート等を適用するようにしてもよい。
【0045】
上記のように構成された発光装置2は、図4及び図5に代表して示すように、基板21が取付部6の周囲に位置して、発光素子22の実装面が前面側、すなわち、下方の照射方向に向けられて配設されている。また、基板21の裏面側が本体1の内面側の平坦部12に密着するように面接触して取付けられている。具体的には、基板21の前面側から拡散部材3が重ね合わされ、この拡散部材3を例えば、ねじS等の固定手段によって本体1に取付けることにより、基板21は、本体1と拡散部材3との間に挟み込まれて押圧固定されるようになっている。つまり、1本のねじSによって基板21と拡散部材3とが共締めされている。
【0046】
したがって、基板21は、本体1と熱的に結合され、基板21からの熱が裏面側から本体1に伝導され放熱されるようになっている。なお、基板21と本体1との面接触は、基板21の全面が本体1に接触する場合に限らない。部分的な面接触であってもよい。
【0047】
加えて、拡散部材3における平坦部33は、基板21の実装面側に密着するように面接触しているので、基板21の実装面側から熱が拡散部材3に伝わり、拡散部材3を経由して放熱することが可能となる。つまり、基板21の前面側からも放熱できるようになっている。
【0048】
点灯装置4は、図2乃至図4に示すように、回路基板41と、この回路基板41に実装された制御用IC、トランス、コンデンサ等の回路部品42とを備えている。回路基板41は、取付部6の周囲を囲むように略円弧状に形成されていて、アダプタA側が電気的に接続されて、アダプタAを介して商用交流電源に接続されている。したがって、点灯装置4は、この交流電源を受けて直流出力を生成し、リード線を介してその直流出力を発光素子22に供給し、発光素子22を点灯制御するようになっている。
【0049】
このような点灯装置4は、取付部6と発光装置2、すなわち、基板21との間に配設されている。
【0050】
点灯装置カバー5は、図2及び図4に示すように、冷間圧延鋼板等の金属材料によって略短円筒状に形成され、点灯装置4を覆うように本体1に取付けられている。側壁51は、背面側に向かって拡開するように傾斜状をなしており、前面壁52には、取付部6と対応するように開口部53が形成されている。したがって、発光素子22から出射される一部の光は、側壁51によって前面側に反射され有効に利用されるようになる。また、この開口部53に周縁には背面側へ凹となる円弧状のガイド凹部54が形成されている。
【0051】
取付部6は、略円筒状に形成されたアダプタガイドであり、このアダプタガイドの中央部には、アダプタAが挿通し、係合する係合口61が設けられている。このアダプタガイドは、本体1の中央部に形成された開口11に対応して配設されている。アダプタガイドの外周部には、この外周部から突出するように基台が形成されていて、この基台には赤外線リモコン信号受信部や照度センサ等の電気的補助部品62が配設されている。
【0052】
なお、取付部6は、必ずしもアダプタガイド等と指称される部材である必要はない。例えば、本体1等に形成される開口であってもよく、要は、配線器具としての引掛けシーリングボディCbに対向し、アダプタAが係合される部材や部分を意味している。
【0053】
カバー部材7は、アクリル樹脂等の透光性を有し、乳白色を呈する拡散性を備えた材料から略円形状に形成されており、中央部には不透光性の円形状の化粧カバー71が取付けられている。また、この化粧カバー71には、前記電気的補助部品62と対向するように略三角形状の透光性を有する受光窓72が形成されている。さらに、カバー部材7の内面側の中央寄りには、内面方向に突出する突出ピン73が形成されている。
【0054】
そして、カバー部材7は、発光装置2を含めた本体1の前面側を覆うように本体1の外周縁部に着脱可能に取付けられるようになっている。具体的には、カバー部材7を回動することによって、カバー部材7に設けられたカバー取付金具74を本体1の外周部の段差部13における凹部14に配設されたカバー受金具75に係合することにより取付けられる。また、カバー部材7を取外す場合には、カバー部材7を取付時とは反対方向に回動して、カバー取付金具74とカバー受金具75との係合を解くことにより、取外すことができる。
【0055】
このようにカバー部材7が本体1に取付けられた状態においては、主として図5に示すように、カバー部材7の内面側は、点灯装置カバー5の前面壁52に面接触するようになる。したがって、点灯装置4等から発生する熱を点灯装置カバー5へ伝導し、さらにカバー部材7へ伝導させて放熱を促進することが可能となる。
【0056】
ここで、カバー部材7は、回動させて本体1に取付けられるが、受光窓72の位置を電気的補助部品62と対向するように位置合わせをする必要がある。このため、本実施形態においては、詳細な説明は省略するが、カバー部材7側に形成された突出ピン73と点灯装置カバー5に形成されたガイド凹部54とによって位置規制手段が構成されている。この位置規制手段によって受光窓72が電気的補助部品62と対向して位置されるようになり、例えば、赤外線リモコン信号受信部が赤外線リモコン送信器からの制御信号を受信できるようになる。
【0057】
アダプタAは、天井面Cに設置された引掛けシーリングボディCbに、上面側に設けられた引掛刃によって電気的かつ機械的に接続されるもので略円筒状をなし、周壁の両側には一対の係止部A1が、内蔵されたスプリングによって常時外周側へ突出するように設けられている。この係止部A1は下面側に設けられたレバーを操作することにより没入するようになっている。また、このアダプタAからは、前記点灯装置4へ接続する電源コードが導出されていて、点灯装置4とコネクタを介して接続されるようになっている(図3参照)。
【0058】
次に、照明器具の天井面Cへの取付状態について図14を参照して説明する。まず、予め天井面Cに設置されている引掛けシーリングボディCbにアダプタAを電気的かつ機械的に接続する。この状態から取付部6としてのアダプタガイドの係合口61をアダプタAに合わせながら、アダプタAの係止部A1がアダプタガイドの係合口61に確実に係合するまで器具本体1を照明器具取付用ばね部材15の弾性力に抗して下方から手で押し上げて取付け操作を行う。
【0059】
次いで、カバー部材7を本体1に取付ける。これは、カバー部材7を回動することによって、カバー部材7に設けられたカバー取付金具74を本体1のカバー受金具75に係合することにより取付けられる。
【0060】
また、照明器具を取外す場合には、カバー部材7を取外し、アダプタAに設けられているレバーを操作してアダプタAの係止部A1の係合を解くことにより取外すことができる。
【0061】
照明器具の天井面Cへの取付状態において、点灯装置4に電力が供給されると、基板21の配線パターン層21aを通じて各発光素子22のアノード側の電極Ae及びカソード側の電極Ceに通電され、各発光素子22が点灯する。発光素子22から出射された光は、複数の発光素子22を連続して覆う拡散部材3によって半径方向へ拡散されるとともに、前面側へ放射される。前面側へ放射された光は、カバー部材7によって拡散され透過して外方へ照射される。したがって、照射光の均斉度の向上を図ることができるとともに、各発光素子22の輝度による粒々感を抑制することが可能となる。
【0062】
また、半径方向の内周側へ向かう一部の光は、点灯装置カバー5における傾斜状の側壁51によって前面側に反射され有効に利用されるようになる。
【0063】
一方、発光素子22から発生する熱は、カソード側の電極Ceが接続される配線パターン層21a側の広い面積で形成された領域Scによって拡散され放熱される。
【0064】
また、基板21の裏面側が本体1と熱的に結合しているため、本体1に効果的に伝導され、本体1の広い面積で放熱されるようになる。また、基板21の外周側近傍には、基板21の外周に沿って段差部13が位置しているため、この段差部13によって放熱面積を増大させることができ、本体1外周部での放熱効果を高めることが可能となる。
【0065】
点灯装置4は、取付部6と基板21との間に配設されているため、点灯装置4は、基板21から熱的影響を受けるのを軽減される。これは、基板21の熱は、本体1の外周方向に向かって伝導し、放熱される傾向にあることに起因するものである。
【0066】
さらに、カバー部材7は、点灯装置カバー5に面接触するようになっているので、点灯装置4から発生する熱を点灯装置カバー5へ伝導し、さらにカバー部材7へ伝導させて放熱をさせることができる。
【0067】
加えて、拡散部材3における平坦部33は、基板21の実装面側に面接触しているので、基板21の実装面側から拡散部材3を経由して前面側からも放熱することが可能となる。また、この場合、拡散部材3は、基板21の全面を覆うようになっているので充電部が保護されるようになる。
【0068】
以上のように本実施形態によれば、配線パターン層を有効に利用して、発光素子の温度上昇を抑制できる発光装置及び照明器具を提供することが可能となる。
【0069】
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、例えば、発光素子は、LEDや有機EL等の固体発光素子が適用でき、この場合、発光素子の個数は特段限定されるものではない。また、照明器具としては、屋内又は屋外で使用される各種照明器具やディスプレイ装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1・・・器具本体、2・・・発光装置、3・・・拡散部材(レンズ部材)、4・・・点灯装置、5・・・点灯装置カバー、6・・・取付部(アダプタガイド)、7・・・カバー部材、21・・・基板、21a・・・配線パターン層、22・・・発光素子(LED)、Ae・・・アノード側の電極、Sa・・・アノード側の電極が接続される領域、Ce・・・カソード側の電極、Sc・・・カソード側の電極が接続される領域、A・・・アダプタ、C・・・器具取付面(天井面)、Cb・・・配線器具(引掛けシーリングボディ)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し、前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と;
前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され、裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と;
内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され、前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と;
前記取付部を囲むように配設されているとともに、照射面側の端から裏面側の端までの厚みが、前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置と;
前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに、点灯装置の外側を囲む外周壁と、前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと;
を具備し、
前記基板には、略全面に亘り配線パターンが形成され、
前記LEDパッケージは、略直方体形状であり、一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き、かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置されることを特徴とする照明器具。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-04-13 
出願番号 特願2018-130858(P2018-130858)
審決分類 P 1 651・ 854- YAA (F21S)
P 1 651・ 121- YAA (F21S)
P 1 651・ 537- YAA (F21S)
P 1 651・ 852- YAA (F21S)
P 1 651・ 855- YAA (F21S)
P 1 651・ 536- YAA (F21S)
P 1 651・ 853- YAA (F21S)
P 1 651・ 851- YAA (F21S)
P 1 651・ 841- YAA (F21S)
最終処分 維持  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 佐々木 一浩
特許庁審判官 島田 信一
藤井 昇
登録日 2020-01-16 
登録番号 特許第6646881号(P6646881)
権利者 東芝ライテック株式会社
発明の名称 照明器具  
代理人 河野 仁志  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 熊谷 昌俊  
代理人 熊谷 昌俊  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 河野 仁志  
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