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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1376400
審判番号 不服2020-15179  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-02 
確定日 2021-07-29 
事件の表示 特願2019- 27087号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月 9日出願公開、特開2019- 69373号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成20年12月25日(優先権主張 平成20年11月17日)に出願した特願2008-330175号の一部を平成25年12月26日に新たな特許出願(特願2013-269291号)とし、さらにその一部を平成27年9月30日にさらに新たな特許出願(特願2015-192437号)とし、さらにその一部を平成29年6月6日に新たな特許出願(特願2017-111241号)とし、さらにその一部を平成31年2月19日に新たな特許出願としたものであって、令和1年12月6日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年2月14日に意見書が提出され、令和2年7月31日付け(謄本送達日:同年8月4日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年11月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである(なお、記号AないしLは、分説するため合議体が付した。記号A等が付された事項を以下「特定事項A」等という。)。
「A 演出実行手段と、
B 情報を予め記憶している第1記憶手段と、
C 当該第1記憶手段に記憶されている情報に基づいて前記演出実行手段にて演出を実行させるための制御を実行する制御手段と、
D を備えた遊技機において、
E 前記第1記憶手段は、少なくとも特定状況において任意のタイミングで発生し得る特定事象が発生した場合に前記制御手段において任意対応制御を実行するために用いられる任意用情報を記憶しており、
F 本遊技機は、情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段に対して、前記第1記憶手段から読み出した任意用情報を記憶させる転送手段を備え、
G 前記第2記憶手段は、前記任意用情報が転送された後に前記特定事象が発生し得る状況が継続している場合に当該任意用情報を記憶保持し、
H 前記制御手段は、前記特定事象が発生した場合、前記第2記憶手段に記憶されている前記任意用情報を用いて前記任意対応制御を実行し、
I 本遊技機は、前記制御手段にて前記任意対応制御とは異なる特定制御を実行する場合に用いられる特定情報を、前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段の前記任意用情報が記憶されている領域の一部を含む領域に対して上書きする上書き手段を備え、
J 前記任意用情報には、異常が発生したことに対して異常報知を実行させる場合に前記制御手段により用いられる異常用情報と、一連の演出を前記演出実行手段にて開始させる場合に前記制御手段により用いられる開始演出情報とが含まれており、
K 前記異常用情報は、前記上書き手段による上書き対象から除外されており、
L 前記開始演出情報は、前記上書き手段による上書き対象に含まれている
D ことを特徴とする遊技機。」

第3 拒絶査定の拒絶の理由の概要
1 (新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1、2
・引用文献等 1

<引用文献等一覧>
1.特開2008-272324号公報

第4 引用例の記載及び引用発明
1 引用例
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の優先権主張の日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-272324号公報(平成20年11月13日公開)(以下「引用例」という。)には、パチンコ遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。
(1)「【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[1.パチンコ遊技機の全体構造]
・・・略・・・
【0030】
図1及び図2において、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域255(図7参照)を遊技者が視認し得る透明板であるガラス板60を具備したガラスユニット50と、該ガラスユニット50の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿30とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
・・・略・・・
【0105】
一方、遊技盤4の裏面には、遊技領域255に設けられる各種の遊技装置(例えば、大入賞口装置や一般入賞口等の入賞口)に入賞した球を下流側に整列して誘導する入賞空間形成カバー体265が取り付けられており、その入賞空間形成カバー体265の裏面に遊技領域255のほぼ中央に配置される表示装置としての液晶表示器(図示しない)の表示を制御する液晶制御基板や、各種ランプ及びスピーカ34等を制御するサブ統合基板が収納される演出制御基板ボックス266が取り付けられている。」

(2)「【0318】
[5-2-2.液晶制御基板]
液晶制御基板1750は、図119に示すように、マイクロプロセッサとしての液晶制御MPU1750a、各種処理プログラム、各種コマンド及び各種データを記憶する液晶制御ROM1750b、上述した液晶表示器1315を表示制御するVDP(Video Display Processorの略)1750c、液晶表示器1315に表示される画面の各種データを記憶するキャラROM1750d、このキャラROM1750dに記憶されている各種データが転送されてコピーされるキャラRAM1750zを備えて構成されている。
【0319】
液晶制御MPU1750aは、パラレル入出力ポート、シリアル入出力ポート等を内蔵しており、サブ統合基板1740から上述した表示コマンドを受信すると、その詳細な説明は後述するが、受信した表示コマンドに基づいてVDP1750cを制御して液晶表示器1315の描画制御を行う。なお、液晶制御MPU1750aは、正常に動作していると、上述したように、その旨を伝える動作信号をサブ統合基板1740に出力する。
【0320】
液晶制御ROM1750bは、液晶表示器1315に描画する画面を生成するための各種プログラムの他に、表示コマンドに対応するスケジュールデータ、表示コマンドに対応する非常駐領域転送スケジュールデータ等を複数記憶している。スケジュールデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、液晶表示器1315に描画する画面の順序が規定されている。非常駐領域転送スケジュールデータは、キャラROM1750dに記憶されている各種データをキャラRAM1750zの後述する非常駐領域に転送する際に、その順序を規定する非常駐領域転送データが時系列に配列されて構成されている。この非常駐領域転送データは、スケジュールデータの進行に従って液晶表示器1315に描画される画面データを、前もって、キャラROM1750dからキャラRAM1750zの非常駐領域に各種データを転送する順序が規定されている。なお、非常駐領域転送スケジュールデータの詳細な説明は後述する。
【0321】
液晶制御MPU1750aは、サブ統合基板1740から表示コマンドを受信すると、この表示コマンドに対応するスケジュールデータを抽出し、この抽出したスケジュールデータの先頭の画面データを液晶制御ROM1750bから抽出してVDP1750cに出力する。そして液晶制御MPU1750aは、先頭の画面データに続く画面データを抽出してVDP1750cに出力する。このように、液晶制御MPU1750aは、スケジュールデータに時系列に配列された画面データを、先頭の画面データから1つずつ、液晶制御ROM1750bから抽出してVDP1750cに出力する。
【0322】
VDP1750cは、液晶制御MPU1750aから出力された画面データが入力されると、その詳細な説明は後述するが、入力された画面データに基づいてキャラRAM1750zから後述するスプライトデータを抽出して液晶表示器1315に表示する描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示器1315に出力する。なお、VDP1750cは、液晶表示器1315の左右方向を描画する1ライン分の描画データをラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した1ライン分の描画データを液晶表示器1315に出力する、いわゆる、ラインバッファ方式が採用されている。
【0323】
キャラROM1750dは、極めて多くのスプライトデータを記憶しており、その容量が大きくなっている。キャラROM1750dの容量が大きくなると、つまり液晶表示器1315に描画するスプライトの数が多くなると、キャラROM1750dのアクセス速度が無視できなくなり、液晶表示器1315に描画する速度に影響することとなる。そこで、本実施形態では、その詳細な説明は後述するが、アクセス速度の速いキャラRAM1750zに、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータを転送してコピーし、このキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出している。スプライトデータは、スプライトをビットマップ形式に展開する前のデータである基データであり、圧縮された状態でキャラROM1750dに記憶されている。ここで、「スプライト」とは、液晶表示器1315にまとまった単位として表示されるイメージである。例えば、液晶表示器1315に種々の人物を表示させる場合にはそれぞれの人物を描くためのデータを「スプライト」と呼ぶ。これにより、液晶表示器1315に複数人の人物を表示させる場合には複数のスプライトを用いることとなる。また人物のほかに、背景を構成する家、山、道路等もスプライトであり、背景全体を1つのスプライトとすることもできる。これらのスプライトは、画面に配置される位置やスプライト同士が重なる場合の上下関係(以下、「スプライトの重ね合わせの順序」と記載する。)が設定されて液晶表示器1315に表示される。なお、スプライトは縦横それぞれ64画素の矩形領域を複数張り合わせて構成されている。この矩形領域を描くためのデータを「キャラクタ」と呼ぶ。小さなスプライトの場合には1つのキャラクタを用いて表現することができるし、人物など比較的大きいスプライトの場合には、例えば横2×縦3などで配置した合計6個のキャラクタを用いて表現することができる。背景のように更に大きいスプライトの場合には更に多数のキャラクタを用いて表現することができる。このように、キャラクタの数及び配置は、スプライトごとに任意に指定することができるようになっている。」

(3)「【0466】
[11-1.液晶制御基板の構成]
[11-1-1.液晶制御MPU]
液晶制御MPU1750aは、上述したように、サブ統合基板1740からの表示コマンドが入力されている。この表示コマンドは、上述したように、液晶表示器1315に表示させる画面を示すものであり、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aのシリアル入出力から出力(送信)されている。液晶制御MPU1750aは、図134に示すように、表示コマンドを液晶シリアルデータDSP-SERとして受信しており、この液晶シリアルデータDSP-SERを受信すると、その旨を伝えるDSP-ACK信号をサブ統合基板1740に出力する。
【0467】
液晶制御MPU1750aは、受信した液晶シリアルデータDSP-SERをパラレルデータに復元して表示コマンドを解析し、この解析した表示コマンドに対応するスケジュールデータを液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出したスケジュールデータから先頭の画面データを液晶制御ROM1750bから抽出してVDP1750cに出力する。このスケジュールデータは、上述したように、画面の構成を規定する画面データが時系列に配置されて構成されており、液晶表示器1315に描画する画面の順序が規定されている。画面データについての詳細な説明は後述する。
【0468】
液晶制御MPU1750aは、その詳細な説明は後述するが、転送IC1750mを制御することによって、キャラROM1750dに記憶されている、上述したスプライトデータを、アクセス速度の速いキャラRAM1750zに転送してコピーする。このキャラRAM1750zは、図134に示すように、常駐領域1750za、非常駐領域1750zbを備えて構成されている。常駐領域1750zaには、背景を液晶表示器1315に描画するスプライトデータや、「大当り」、「電源復旧中です」等の文字を液晶表示器1315に描画するスプライトデータが転送されてコピーされるようになっており、突発的に液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータが主として記憶される。一方、非常駐領域1750zbには、変動開始からその停止までの間、途中で液晶表示器1315に描画するスプライトデータや、大当り遊技状態開始からその停止までの間、途中で液晶表示器1315に描画するスプライトデータ等が、液晶表示器1315に描画するまでに間に合うように転送されてコピーされるようになっており、スケジュールデータに沿って液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータが主として記憶されている。非常駐領域1750zbは、液晶表示器1315に描画する内容に応じてスプライトデータが置き換えられる領域となっている。」

(4)「【図134】




(5)「【0473】
[11-1-2.転送IC]
転送IC1750mは、上述したように、液晶制御MPU1750aからの制御によって、キャラROM1750dに記憶さているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750za及び非常駐領域1750zbに転送してコピーする。
【0474】
転送IC1750mは、図134に示すように、レジスタ群1750maを備えて構成されている。このレジスタ群1750maは、転送元アドレス、転送先アドレス、転送バイト数を設定する各種レジスタを備えている。転送IC1750mは、液晶制御MPU1750aがそれらの各種レジスタに設定値を書き込むと、キャラROM1750dに記憶さているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750za及び非常駐領域1750zbに転送してコピーするようになっている。なお、レジスタ群1750maには、転送元アドレス、転送先アドレス、転送バイト数の他に、キャラROM1750d及びキャラRAM1750zに合ったアクセス条件を設定するレジスタも備えている。
【0475】
また転送IC1750mは、VDP1750cがスプライトデータを抽出する際に、キャラROM1750dに代えてキャラRAM1750zからそのスプライトデータを抽出するように回路構成されている。つまり、転送IC1750mは、VDP1750cがキャラROM1750dからスプライトデータを抽出しているように振る舞っている。キャラROM1750dは、上述したように、極めて多くのスプライトデータを記憶している。これにより、液晶表示器1315に描画するスプライトの数が多くなると、キャラROM1750dのアクセス速度が無視できなくなり、液晶表示器1315に描画する速度に影響することとなる。このため、液晶制御MPU1750aは、転送IC1750mを制御することによって、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータを、アクセス速度の速いキャラRAM1750zに転送してコピーしている。これにより、VDP1750cは、転送IC1750mの回路構成によって、キャラRAM1750zからスプライトデータを高速に抽出できるようになっている。したがって、VDP1750cは、液晶表示器1315に描画するスプライトの数が極めて多くなっても、高速にアクセスすることができる。
【0476】
なお、転送IC1750mは、図134に示すように、外部WDT1750kからのリセット信号が入力されるようになっており、リセット信号が入力されていない状態では、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送してコピーしたり、VDP1750cがキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出したりすることができる一方、リセット信号が入力されている状態では、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送してコピーすることができなくなったり、VDP1750cがキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出することができなくなったりする。」

(6)「【0777】
[16.液晶制御基板の各種制御処理]
次に、図119に示した、サブ統合基板1740(サブ統合MPU1740a)から表示コマンドを受信する液晶制御基板1750の各種処理について説明する。まず、液晶制御側電源投入時処理について説明し、続いてDMAFLAG割り込み処理、液晶制御側コマンド受信割り込み処理について説明する。図167は液晶制御側電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図168はDMAFLAG割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図169は描画データの生成を示すタイミングチャートであり、図170は液晶制御側コマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図171は液晶シリアルデータの送信及び受信確認を示すタイミングチャートである。なお、サブ統合側コマンド受信割り込み処理、DMAFLAG割り込み処理の順番で優先順位が設定されている。
【0778】
[16-1.液晶制御側電源投入時処理]
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aは、図167に示すように、液晶制御側電源投入時処理を行う。この液晶制御側電源投入時処理が開始されると、液晶制御MPU1750aは、ブート処理を行う(ステップS1000)。このブート処理では、図119に示した、液晶制御ROM1750bに記憶されている各種プログラムを、液晶制御MPU1750aに内蔵されたRAM(以下、「液晶内蔵RAM」と記載する。)にコピーしたりする。液晶制御MPU1750aは、必要に応じて液晶内蔵RAMから各種プログラムを読み出して行う。なお、本実施例では、液晶内蔵RAMの容量の制限によって上述したスケジュールデータについてはコピーせず液晶制御ROM1750bから抽出しているが、液晶内蔵RAMの容量に余裕があればスケジュールデータもコピーしてもよい。
・・・略・・・
【0781】
ステップS1004に続いて、スプライトデータ常駐領域転送開始処理を行う(ステップS1006)。このスプライトデータ常駐領域転送開始処理では、図134に示した、転送IC1750mのレジスタ群1750maに転送元アドレス、転送先アドレス、転送バイト数等の各種設定値を書き込んで設定し、スプライトデータ転送開始信号を転送IC1750mに出力する。このスプライトデータ転送開始信号が入力されると、転送IC1750mは、レジスタ群1750maに書き込まれた各種設定値に基づいてキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750zaに転送開始する。転送IC1750mは、スプライトデータ常駐領域転送開始処理を行うと、液晶制御MPU1750aによる制御を介すことなく、つまり独立して、レジスタ群1750maに書き込まれた各種設定値に基づいてキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750zaに転送開始する。具体的には、最初に電源復旧中である旨を伝えるため、液晶制御MPU1750aは、転送IC1750mのレジスタ群1750maに転送元アドレス、転送先アドレス、転送バイト数等の各種設定値を書き込んで設定し、スプライトデータ転送開始信号を転送IC1750mに出力する。転送IC1750mは、キャラRAM1750zの常駐領域1750zaに「電源復旧中です」という文字のスプライトデータを転送してコピーする。これにより、後述するDMAFLAG割り込み処理において、VDP1750cは、「電源復旧中です」のスプライトデータ(液晶表示器1315の所定の位置に描画する情報を含んでいる。)をキャラRAM1750zの常駐領域1750zaから抽出し、この抽出したスプライトデータを仮想スクリーンであるキャンバスCVでビットマップに展開して描画データを生成する。その後、液晶表示器1315には、この液晶電源投入時処理が開始されると、まず「電源復旧中です」という文字が描画されることとなる。そして、この「電源復旧中です」という文字が描画されている間では、背景のスプライトデータや、「大当り」の文字等のスプライトデータ等、突発的に液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータが、継続して常駐領域1750zaに転送されている。なお、本実施形態では、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータが極めて多いため、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750zaに転送開始してから転送完了するまでに、約10秒(s)かかっている。
・・・略・・・
【0786】
ここで、パチンコ遊技機1が設置されるホールには、他の多種多様なパチンコ遊技機が設置されている。このため、ホールの電力事情などによって、パチンコ遊技機1に供給される電力が一時停止する瞬停が発生するおそれがある。遊技者がパチンコ遊技機1で遊技を行っている最中に、瞬停が発生すると、復電時に、主制御基板1700の主制御MPU1700aは、図138に示した主制御側電源投入時処理を行い、サブ統合基板1740のサブ統合MPU1740aは、図158のサブ統合側電源投入時処理を行い、液晶制御基板1750の液晶制御MPU1750aは、図167に示した液晶制御側電源投入時処理を行う。」

(7)「【図167】




(8)「【0789】
[16-2.DMAFLAG割り込み処理]
次に、DMAFLAG割り込み処理について説明する。このDMAFLAG割り込み処理は、図134に示した、VDP1750cからのDMA実行中信号DMAFLAGに基づいて行う。このDMA実行中信号DMAFLAGは、上述したように、VDP1750cが液晶制御MPU1750aからの画面データ、詳しくはスプライト設定データを受け入れない旨を伝える信号であり、液晶制御MPU1750aは、DMA実行中信号DMAFLAGの出力が停止されたことを契機として、DMAFLAG割り込み処理を行う。DMA実行中信号DMAFLAGの出力は、上述したように、16ミリ秒(ms)ごとに停止されるため、液晶制御MPU1750aはDMAFLAG割り込み処理を16msごとに行う。なお、液晶制御MPU1750aは、その内蔵された入出力ポートから図134に示した外部WDTクリア信号を、このDMAFLAG割り込み処理を開始するごとに、図134に示したフリップフロップ1750iに出力するようになっている。
・・・略・・・
【0801】
ステップS1038に続いて、スプライトデータ非常駐領域転送開始処理を行う(ステップS1039)。このスプライトデータ非常駐領域転送開始処理では、ステップS1034のコマンド解析処理で解析した表示コマンドに対応する非常駐領域転送スケジュールデータを図134に示した液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出した非常駐領域転送スケジュールデータから先頭の非常駐領域転送データを抽出する。この抽出した先頭の非常駐領域伝送データに基づいて、図134に示した、転送IC1750mのレジスタ群1750maに転送元アドレス、転送先アドレス等を各種レジスタに書き込んで設定し、転送IC1750mがキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの非常駐領域1750zbに転送開始したり、又は非常駐領域転送スケジュールデータが進行中であるときには、非常駐領域転送スケジュールデータに時系列に配列された非常駐領域転送データを1つ進めて次の非常駐領域転送データを液晶制御ROM1750bから抽出し、この抽出した非常駐領域転送データに基づいて、転送IC1750mのレジスタ群1750maに転送元アドレス、転送先アドレス等を各種レジスタに書き込んで設定し、転送IC1750mがキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの非常駐領域1750zbに転送開始したりする。非常駐領域転送スケジュールデータは、上述したように、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの非常駐領域1750zbに転送する際に、その順序を規定する非常駐領域転送データが時系列に配列されて構成されている。この非常駐領域転送データは、スケジュールデータの進行に従って液晶表示器1315に描画される画面データを、前もって、キャラROM1750dからキャラRAM1750z非常駐領域1750zbにスプライトデータを転送する順序が規定されている。つまり非常駐領域転送スケジュールは、スケジュールデータに従ってスプライトが液晶表示器1315に描画される時期に間に合うようにキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送する時期が規定されている。これにより、キャラROM1750dからキャラRAM1750zへのスプライトデータの転送時期を管理することができる。このように、液晶制御MPU1750aは、表示コマンドに対応する、スケジュールデータ及び非常駐領域転送スケジュールデータの2本のスケジューラを平行(審決注:「並行」の誤記。)に進行することによって液晶表示器1315の描画の進行を行っている。なお、液晶制御MPU1750aは、転送IC1750mのレジスタ群1750maに各種設定値を書き込んで設定すると、スプライトデータ転送開始信号を転送IC1750mに出力する。このスプライトデータ転送開始信号が入力された転送IC1750mは、レジスタ群1750maに書き込まれた各種設定値に基づいて、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送開始する。」

(9)「【図168】




2 上記1からみて、引用例には、次の発明が記載されている。なお、aないしlについては本願発明のAないしLに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 液晶表示器1315(【0105】、【0318】)と、
b 液晶表示器1315に表示される画面の各種データを記憶するキャラROM1750d(【0318】)と、
f、g このキャラROM1750dに記憶されている各種データが転送されてコピーされる、アクセス速度の速いキャラRAM1750z(【0318】、【0323】)と、
液晶制御MPU1750aからの制御によって、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750za及び非常駐領域1750zbに転送してコピーし(【0473】)、VDP1750cがスプライトデータを抽出する際に、キャラROM1750dに代えてキャラRAM1750zからそのスプライトデータを抽出するように回路構成されている転送IC1750m(【0475】)と、
c、h サブ統合基板1740から表示コマンドを受信すると、スケジュールデータに時系列に配列された画面データを、先頭の画面データから1つずつ、液晶制御ROM1750bから抽出してVDP1750cに出力する液晶制御MPU1750a(【0321】)と、
液晶制御MPU1750aから出力された画面データが入力されると、入力された画面データに基づいてキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出して液晶表示器1315に表示する描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示器1315に出力するVDP1750c(【0322】)と、
d を備えたパチンコ遊技機1(【0030】)であって、
e、i-l キャラRAM1750zは、常駐領域1750za、非常駐領域1750zbを備えて構成されており、常駐領域1750zaには、背景を液晶表示器1315に描画するスプライトデータや、「大当り」、「電源復旧中です」等の文字を液晶表示器1315に描画するスプライトデータが転送されてコピーされるようになっており、突発的に液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータが主として記憶されており、非常駐領域1750zbには、変動開始からその停止までの間、途中で液晶表示器1315に描画するスプライトデータや、大当り遊技状態開始からその停止までの間、途中で液晶表示器1315に描画するスプライトデータ等が、液晶表示器1315に描画するまでに間に合うように転送されてコピーされるようになっており、非常駐領域1750zbは、液晶表示器1315に描画する内容に応じてスプライトデータが置き換えられる領域となっており(【0468】)、
パチンコ遊技機1が設置されるホールの電力事情などによって、パチンコ遊技機1に供給される電力が一時停止する瞬停が発生するおそれがあり、瞬停が発生すると、復電時に、液晶制御側電源投入時処理を行うものであり(【0786】)、液晶制御側電源投入時処理におけるスプライトデータ常駐領域転送開始処理では、転送IC1750mは、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750zaに転送開始し(【0778】、【0781】)、
16msごとに行われるDMAFLAG割り込み処理では、液晶制御MPU1750aは、表示コマンドに対応する、スケジュールデータ及び非常駐領域転送スケジュールデータの2本のスケジューラを並行に進行することによって液晶表示器1315の描画の進行を行っており、非常駐領域転送スケジュールは、スケジュールデータに従ってスプライトが液晶表示器1315に描画される時期に間に合うようにキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送する時期が規定されている(【0789】、【0801】)、
d パチンコ遊技機1(【0030】)。」(以下「引用発明」という。)

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する(以下の(a)ないし(l)は、本願発明の特定事項AないしLに概ね対応する。)。

(a)引用発明の「a 液晶表示器1315」は、本願発明の「A 演出実行手段」に相当する。

(b)引用発明の「b 液晶表示器1315に表示される画面の各種データを記憶するキャラROM1750d」は、本願発明の「B 情報を予め記憶している第1記憶手段」に相当する。

(c)引用発明のc、hにおいて、VDP1750cは、液晶制御MPU1750aから出力された画面データが入力されると、入力された画面データに基づいてキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出して液晶表示器1315に表示する描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示器1315に出力するものである。
そして、引用発明において、キャラRAM1750zは、キャラROM1750d(第1記憶手段)に記憶されている各種データが転送されてコピーされたものであるから、キャラROM1750d(第1記憶手段)に記憶されている情報に基づいて液晶表示器1315(演出実行手段)にて演出を実行させる制御を実行するといえる。
そうすると、引用発明の「液晶制御MPU1750a」及び「VDP1750c」は、本願発明の「C 当該第1記憶手段に記憶されている情報に基づいて前記演出実行手段にて演出を実行させるための制御を実行する制御手段」に相当する。

(d)引用発明のdの「パチンコ遊技機1」は、本願発明の特定事項Dの「遊技機」に相当するから、引用発明のdは、本願発明の特定事項Dに相当する。

(e)引用発明において、液晶表示器1315(演出実行手段)に画像を表示する場合、何らかの事象を契機として表示の必要が生じ、これに対応して所定の表示制御処理を実行することにより表示がなされることは自明であるから、引用発明のe、i-lの「常駐領域1750zaに」「記憶されて」いる「突発的に液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータ」(以下、「常駐データ」という。)、及び、「非常駐領域1750zbに」「転送されてコピーされる」「スプライトデータ等」のうちの一部のデータ(以下、「一部の非常駐データ」という。)は、本願発明の「任意用情報」に相当する。
そして、引用発明の、「表示コマンドを受信」してから「描画データを液晶表示器1315に出力」するまでの液晶制御MPU1750a及びVDP1750cによる一連の表示制御処理であって常駐データ及び一部の非常駐データを用いて表示する表示制御処理は、本願発明の「任意対応制御」に相当し、引用発明における上記の表示制御処理の契機となる事象は、何らかの状況において何らかのタイミングで生じることは自明であるから、本願発明の「少なくとも特定状況において任意のタイミングで発生し得る特定事象」に相当する。
また、引用発明の常駐データ及び一部の非常駐データは、いずれもキャラROM1750d(第1記憶手段)に記憶されていたものを、キャラRAM1750zの常駐領域1750za及び非常駐領域1750zbに転送してコピーしたものであるから、もともとキャラROM1750d(第1記憶手段)が記憶しているものといえる。
してみると、引用発明e、i-lは、本願発明の特定事項Eを有する。

(f)引用発明のf、gにおいて、「アクセス速度の速いキャラRAM1750z」は、スプライトデータへのアクセス速度を高速化するためにキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送してコピーしていることが明らかであって、キャラROM1750dよりもアクセス速度が速いことが明らかであるから、引用発明の「アクセス速度の速いキャラRAM1750z」は、本願発明の「情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段」に相当する。
また、引用発明のf、gの「転送IC1750m」は、「キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750za及び非常駐領域1750zbに転送してコピー」するものであるから、本願発明の「第2記憶手段に対して、前記第1記憶手段から読み出した任意用情報を記憶させる転送手段」に相当する。
してみると、引用発明のf、gは、本願発明の特定事項Fを有する。

(g)引用発明のf、gの「転送IC1750m」は、「VDP1750cがスプライトデータを抽出する際に、キャラROM1750dに代えてキャラRAM1750zからそのスプライトデータを抽出する」構成を有するものであり、そのためにスプライトデータをキャラROM1750dからキャラRAM1750zへ転送してコピーしているといえ、パチンコ遊技機1が稼働している状態にあれば、液晶表示器1315に表示するための契機となる何らかの事象(例.始動入賞、異常)(特定事象)が発生し得る状況が継続しているといえるから、引用発明のキャラRAM1750z(第2記憶手段)は、スプライトデータ(任意用情報)が転送された後、当該スプライトデータ(任意用情報)を用いる表示制御処理の契機となる事象が発生し得る状況が継続している場合には、当然に当該スプライトデータを記憶保持するものといえる。
してみると、引用発明のf、gは、本願発明の特定事項Gを有する。

(h)引用発明のc、hの「VDP1750c」(制御手段)は、「液晶制御MPU1750aから出力された画面データが入力されると、入力された画面データに基づいてキャラRAM1750zからスプライトデータを抽出して液晶表示器1315に表示する描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示器1315に出力する」から、表示制御処理の契機となる事象(特定事象)が発生した場合には、キャラRAM1750z(第2記憶手段)に記憶されているスプライトデータ(任意用情報)を用いて当該表示制御処理(任意対応制御)を実行するものといえる。
してみると、引用発明c、hは、本願発明の特定事項Hを有する。

(i)引用発明の、「表示コマンドを受信」してから「描画データを液晶表示器1315に出力」するまでの液晶制御MPU1750a及びVDP1750cによる一連の表示制御処理であって、「非常駐領域1750zbに」「転送されてコピーされる」「スプライトデータ等」のうちの他の一部のデータ(以下、「他の一部の非常駐データ」という。)を用いて表示する表示制御処理は、常駐データや一部の非常駐データを用いた表示制御処理とは表示内容が異なるから、本願発明の「前記任意対応制御とは異なる制御」に相当する。
そして、引用発明の「他の一部の非常駐データ」は、本願発明の「前記制御手段にて前記任意対応制御とは異なる制御を実行する場合に用いられる特定情報」に相当する。
また、引用発明の「液晶制御MPU1750a」は、「表示コマンドに対応する、スケジュールデータ及び非常駐領域転送スケジュールデータの2本のスケジューラを並行に進行することによって液晶表示器1315の描画の進行を行っており、非常駐領域転送スケジュールは、スケジュールデータに従ってスプライトが液晶表示器1315に描画される時期に間に合うようにキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zに転送する時期が規定されている」ものであるから、表示制御処理が実行されている状況において、その後に実行される他の表示制御処理に使用されるスプライトデータをキャラROM1750dからキャラRAM1750zの非常駐領域1750zbに転送するものであるといえる。
さらに、引用発明の、「表示コマンドを受信」してから「描画データを液晶表示器1315に出力」するまでの液晶制御MPU1750a及びVDP1750cによる一連の表示制御処理であって、「非常駐領域1750zbに」「転送されてコピーされる」「スプライトデータ等」のうちのさらに他の一部のデータ(以下、「さらに他の一部の非常駐データ」という。)を用いて表示する表示制御処理は、常駐データや一部の非常駐データを用いた表示制御処理とは表示内容が異なるから、本願発明の「前記任意対応制御とは異なる特定制御」に相当する。
そして、引用発明の「さらに他の一部の非常駐データ」は、本願発明の「前記制御手段にて前記任意対応制御とは異なる特定制御を実行する場合に用いられる特定情報」に相当する。
また、引用発明の「非常駐領域1750zb」は、「液晶表示器1315に描画する内容に応じてスプライトデータが置き換えられる領域となって」いるから、引用発明のe、i-lと、本願発明の「I 本遊技機は、前記制御手段にて前記任意対応制御とは異なる特定制御を実行する場合に用いられる特定情報を、前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段の前記任意用情報が記憶されている領域の一部を含む領域に対して上書きする上書き手段を備え、」とは、「I’本遊技機は、前記制御手段にて前記任意対応制御とは異なる特定制御を実行する場合に用いられる特定情報を第2記憶手段に記憶する手段を備え、」で共通する。

(j)引用発明のe、i-lにおいて、非常駐領域1750zbは、変動開始からその停止までの間、途中で液晶表示器1315に描画するスプライトデータや、大当り遊技状態開始からその停止までの間、途中で液晶表示器1315に描画するスプライトデータ等を記憶し、該スプライトデータ等は、一連の演出を液晶表示器1315(演出実行手段)にて開始させる場合に用いられる情報を含むといえる。
そうすると、引用発明の「非常駐領域1750zb」に記憶されている「スプライトデータ等」は、本願発明の「一連の演出を前記演出実行手段にて開始させる場合に前記制御手段により用いられる開始演出情報」を含むものである。
してみると、引用発明のe、i-lと、本願発明の特定事項Jとは、「前記任意用情報には、」「一連の演出を前記演出実行手段にて開始させる場合に前記制御手段により用いられる開始演出情報」「が含まれており、」で共通する。

以上のとおり、本願発明と引用発明とは、
「A 演出実行手段と、
B 情報を予め記憶している第1記憶手段と、
C 当該第1記憶手段に記憶されている情報に基づいて前記演出実行手段にて演出を実行させるための制御を実行する制御手段と、
D を備えた遊技機において、
E 前記第1記憶手段は、少なくとも特定状況において任意のタイミングで発生し得る特定事象が発生した場合に前記制御手段において任意対応制御を実行するために用いられる任意用情報を記憶しており、
F 本遊技機は、情報の読み出しに要する速度が前記第1記憶手段から読み出す場合よりも速い第2記憶手段に対して、前記第1記憶手段から読み出した任意用情報を記憶させる転送手段を備え、
G 前記第2記憶手段は、前記任意用情報が転送された後に前記特定事象が発生し得る状況が継続している場合に当該任意用情報を記憶保持し、
H 前記制御手段は、前記特定事象が発生した場合、前記第2記憶手段に記憶されている前記任意用情報を用いて前記任意対応制御を実行し、
I’ 本遊技機は、前記制御手段にて前記任意対応制御とは異なる特定制御を実行する場合に用いられる特定情報を第2記憶手段に記憶する手段を備え、
J’前記任意用情報には、一連の演出を前記演出実行手段にて開始させる場合に前記制御手段により用いられる開始演出情報が含まれている、
D 遊技機。」で一致し、以下の点で相違している。

・相違点1(特定事項J)
「前記任意用情報」には、
本願発明では、「異常が発生したことに対して異常報知を実行させる場合に前記制御手段により用いられる異常用情報」「が含まれて」いるのに対し、
引用発明では、常駐領域1750zaに記憶されているデータとして、瞬停発生後の復電時にも表示され得る「電源復旧中です」の文字のスプライトデータであって、突発的に液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータが含まれているが、該スプライトデータが本願発明の「異常用情報」といえるかどうかが明らかでない点。

・相違点2(特定事項I、K、L)
「前記制御手段にて前記任意対応制御とは異なる特定制御を実行する場合に用いられる特定情報」に関し、
本願発明では、「前記制御手段にて前記任意対応制御とは異なる特定制御を実行する場合に用いられる特定情報を、前記第1記憶手段から読み出して前記第2記憶手段の前記任意用情報が記憶されている領域の一部を含む領域に対して上書きする上書き手段を備え」、「前記異常用情報は、前記上書き手段による上書き対象から除外されており、前記開始演出情報は、前記上書き手段による上書き対象に含まれている」のに対し、
引用発明では、キャラRAM1750z(第2記憶手段)における常駐領域1750za及び非常駐領域1750zb(任意用情報が記憶されている領域)のうち、非常駐領域1750zbが液晶表示器1315に描画する内容に応じてスプライトデータ(特定情報)が置き換えられる領域となっているが、置き換えることが上書きといえるか、且つ、任意用情報が記憶されている領域の一部を含む領域に対して上書きする上書き手段を備えるといえるかどうか不明であり、さらに、各情報が上書き手段による上書き対象から除外又は該上書き対象に含まれるといえるかどうかも不明である点。


第6 判断
1 相違点1について
(1)引用発明は、瞬停後の復電時に行われる液晶制御側電源投入時処理において、常駐領域1750zaには、「電源復旧中です」等の文字を液晶表示器1315に描画するスプライトデータが転送されて記憶されるものである。そうすると、瞬停が異常であることは技術常識から自明であり、引用発明の「電源復旧中です」等の文字を液晶表示器1315に描画するスプライトデータが、通常遊技を行えないことを遊技者等に報知する画像を表示するためのデータであることから、本願発明の「異常報知を実行させる場合に用いられる異常用情報」に実質的に相当することは明らかである。
してみると、上記相違点1は実質的な相違点ではない。

(2)仮に上記相違点1が実質的な相違点であるとしても、引用発明において、常駐領域1750zaは、突発的に液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータが主として記憶されているものであるところ、遊技機の技術分野において、突発的に液晶表示器に描画するためのデータとして、異常が発生した場合に液晶表示器(報知手段)にて異常報知を実行させる場合に用いられる異常用情報が含まれることは、技術常識である。
してみると、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の特定事項となすことは当業者が適宜なし得たことである。

2 相違点2について
(1)引用発明における、16msごとに行われるDMAFLAG割り込み処理において、非常駐領域転送スケジュールに従って、スプライトが液晶表示器1315に描画される時期に間に合うように、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750z(第2記憶手段)の非常駐領域1750zbに転送されるようになっており、常駐領域1750za及び非常駐領域1750zb(任意用情報が記憶されている領域)のうち、該非常駐領域1750zbが液晶表示器1315に描画する内容に応じてスプライトデータ(特定情報)が置き換えられる領域となっているものである。そして、置き換えられる前のスプライトデータ(任意用情報)が記憶されている領域(以下「第1領域」という。)と、置き換え後のスプライトデータ(特定情報)が記憶されている領域(以下「第2領域」という。)とは、同一であり、言い換えれば、第1領域の一部を含む領域に対して、スプライトデータ(特定情報)を置き換えているともいえる。そうしてみると、技術常識からみて、データを置き換えるということは、上書きすることに相当することは自明であるから、引用発明は、本願発明の特定事項Iの「上書き手段」を実質的に備えるといえる。
また、引用発明は、「液晶制御側電源投入時処理におけるスプライトデータ常駐領域転送開始処理では、転送IC1750mは、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータをキャラRAM1750zの常駐領域1750zaに転送開始」するものであるから、引用発明の「常駐領域1750za」は、電源投入時にキャラROM1750dに記憶されているスプライトデータが転送されるものである。そして、引用発明は、瞬電後の復電を含め、電源投入時よりも後に、キャラROM1750dに記憶されているスプライトデータを常駐領域1750zaに転送することは記載されていない。また、引用発明の「常駐領域1750za」は、「常駐」という名称から、スプライトデータが常時記憶されている領域であるといえるし、「突発的に液晶表示器1315に描画するためのスプライトデータが主として記憶されて」いることから、スプライトデータを常時記憶することにより、突発的に発生する描画の要求に対応しているものといえる。
そうすると、引用発明の「常駐領域1750za」に記憶された常駐データは、電源投入時にキャラROM1750dから転送された後には、当該常駐領域に常時記憶され、上書き(スプライトデータの置き換え)の対象から除外されていると解するのが相当である。
また、引用発明の「非常駐領域1750zb」に記憶された非常駐データは、16msごとに行われるDMAFLAG割り込み処理で置き換えられる(上書きされる)のであるから、上書き(スプライトデータの置き換え)の対象に含まれていると解するのが相当である。そうすると、引用発明は、本願発明の特定事項K及びLを備えるといえる。
以上のとおり、上記相違点2は実質的な相違点ではない。

(2)仮に上記相違点2が実質的な相違点であるとした場合について検討する。
引用発明において、第1領域と第2領域とが同一でないとしても、スプライトデータの容量に応じて、置き換え後のスプライトデータ(特定情報)を、第1領域(任意用情報が記憶されている領域)を超えて、すなわち、第1領域(任意用情報が記憶されている領域)の一部を含む領域に対して置き換える(上書きする)ようになすことは当業者が適宜なし得たことである。
また、引用発明において、データを「置き換える」ことに換えて、「上書きする」ことを採用することは当業者が技術常識を考慮すれば適宜なし得たことである。
また、引用発明において、本願発明の特定事項K及びLを備えるようになすことも、上記(1)で示した事項、上記1(1)及び(2)で示した事項のように、当業者が容易になし得たことである。
してみると、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の特定事項のようになすことは当業者が容易に想到できたことである。

3 小括
上記1及び2からみて、引用発明は、本願発明の全ての特定事項を実質備えるといえるから、引用発明は本願発明と実質的に同一である。
仮に引用発明が本願発明と実質的に同一でないとしても、上記1及び2で示したとおり、引用発明において、本願発明の特定事項となすことは当業者が容易になし得たものである。

4 請求人の主張について
(1)請求人は、審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」において、以下のとおり主張する。
「(2)拒絶査定に対する意見
・・・略・・・・
これに対して、引用文献1には常駐領域1750zaに記憶されたスプライトデータを敢えて上書きする構成は記載も示唆もされていない。つまり、引用文献1には、上記相違点1に係る構成は記載も示唆もされていない。したがって、引用文献1に接した当業者が当該引用文献1に記載された発明から出発して上記相違点1に係る構成を導出することは不可能である。
・・・略・・・
これに対して、引用文献1にはそもそも常駐領域1750zaに記憶されたスプライトデータを敢えて上書きする構成が記載も示唆もされていないため、当然のことながら常駐領域1750zaに記憶されたスプライトデータを機能で分けて上書き対象としたり、上書き対象としなかったりするという内容は記載も示唆もされていない。したがって、引用文献1に接した当業者が当該引用文献1に記載された発明から出発して上記相違点2に係る構成を導出することは不可能である。」

(2)請求人の主張について検討する。
請求人の主張するとおり、引用文献1には常駐領域1750zaに記憶されたスプライトデータを敢えて上書きする構成は記載されていないが、上記2(1)で示したように、引用文献1(引用例)において、上書き対象としているのは、キャラRAM1750z(第2記憶手段)における常駐領域1750za及び非常駐領域1750zb(任意用情報が記憶されている領域)のうち、常駐領域1750zaではなく、非常駐領域1750zbであって、上書き対象から除外しているのは常駐領域1750zaであるとして、本願発明の新規性及び進歩性について検討している。
したがって、請求人の主張は、本件の判断に影響を及ぼすものではないから、請求人の上記主張は採用できない。

5 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明であるか、又は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-05-18 
結審通知日 2021-05-25 
審決日 2021-06-08 
出願番号 特願2019-27087(P2019-27087)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠崎 正  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 鉄 豊郎
佐藤 高之
発明の名称 遊技機  
代理人 安藤 悟  
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