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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G08C
管理番号 1376417
審判番号 不服2020-6257  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-08 
確定日 2021-07-28 
事件の表示 特願2018-544881号「2つ以上のメータアセンブリ用のメータ電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成29年8月31日国際公開、WO2017/143577、平成31年4月4日国内公表、特表2019-509562号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)2月26日を国際出願日とする外国語特許出願であって、平成30年9月20日に翻訳文が提出され、令和元年6月4日付けの拒絶理由通知に対し、同年8月27日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和2年1月9日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ(原査定の謄本の送達日:同年1月14日)、これに対して、令和2年5月8日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、以下の(1)に示される本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下の(2)に示される本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は、補正箇所を示す。

(1)本件補正前
「【請求項1】
2つ以上のメータアセンブリ(10a、10b)用のメータ電子機器(100)であって、
プロセッサ(110)と、
該プロセッサ(110)に通信可能に連結された1つ以上の信号プロセッサ(120)を備え、
該1つ以上の信号プロセッサ(120)は第1のメータアセンブリ(10a)と第2のメータアセンブリ(10b)に通信可能に連結されるように構成された、メータ電子機器(100)。」

(2)本件補正後
「【請求項1】
2つ以上のメータアセンブリ(10a、10b)用のメータ電子機器(100)であって、
プロセッサ(110)と、
該プロセッサ(110)に通信可能に連結され、第1のメータアセンブリ(10a)と第2のメータアセンブリ(10b)に通信可能に連結されるように構成された1つ以上の信号プロセッサ(120)と、
第1のメータアセンブリ(10a)に関連する第1の較正係数および第2のメータアセンブリ(10b)に関連する第2の較正係数を記憶したメモリ(130)を備えた、メータ電子機器(100)。」

2 本件補正についての当審の判断
本件補正は、請求項1において、本件補正前の「1つ以上の信号プロセッサ(120)」に係る記載を実質的に内容の変更をせずに一つにまとめるとともに、「メータ電子機器(100)」について、「第1のメータアセンブリ(10a)に関連する第1の較正係数および第2のメータアセンブリ(10b)に関連する第2の較正係数を記憶したメモリ(130)」という構成を付加することを含むものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、以下では、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否か、について検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、次に特定されるとおりのものである。
「2つ以上のメータアセンブリ(10a、10b)用のメータ電子機器(100)であって、
プロセッサ(110)と、
該プロセッサ(110)に通信可能に連結され、第1のメータアセンブリ(10a)と第2のメータアセンブリ(10b)に通信可能に連結されるように構成された1つ以上の信号プロセッサ(120)と、
第1のメータアセンブリ(10a)に関連する第1の較正係数および第2のメータアセンブリ(10b)に関連する第2の較正係数を記憶したメモリ(130)を備えた、
メータ電子機器(100)。」

(2)引用文献
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由において引用された米国特許出願公開第2014/0202238号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。日本語訳は当審が作成したものである。

「[0014] Methods, apparatuses, and systems for determining concentrations of components of a multiphase flow, for example, a mixture of HF mix and iC_(4), are described below. In general, one or more flowmeters, one or more separation vessels, and one or more valves can be operated to separate one of the components (for example, iC_(4)) from the multiphase flow (for example, a mixture of HF mix and iC_(4)), and to determine the concentration of the components of the multiphase flow (for example, HF, ASO, water, and iC_(4)). For instance, readings from the flowmeters can be used to determine, rather than estimate, a concentration of each component of the multiphase flow. In some implementations, the position of a valve through which a component passes can be regulated such that noise in the readings taken by the flowmeters can be decreased or eliminated.」
(日本語訳)
[0014] 多相流の成分、例えば、HF混合物及びiC_(4)の混合物の濃度を決定するための方法、装置及びシステムが、以下に記載されている。一般に、1つ以上の流量計、1つ以上の分離容器及び1つ以上のバルブが、成分の1つ(例えば、iC_(4))を多相流(例えば、HF混合物及びiC_(4)の混合物)から分離するため、並びに、多相流(例えば、HF、ASO、水、及びiC_(4))の成分の濃度を決定するために操作され得る。例えば、流量計からの読取値は、多相流中の各成分の濃度を、推定ではなく決定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、流量計によって得られる読取値においてノイズを低減し又はなくすことができるように、成分が通過するバルブの位置を調整することができる。

「[0016] FIG. 1 is an example of an acid catalyst analyzer system 100. The system 100 is implemented to determine the concentrations of the components of a multiphase flow, for example, HF mix that includes HF, water, and ASO. In general, the system 100 samples a volume of a combination of HF mix and hydrocarbons (for example, isobutane, iC_(4)) from a process sample point 102 using a valve 104. The system 100 includes a first flowmeter 108, a second flowmeter 106, and a third flowmeter 110. Each of the flowmeters 106, 108, 110 can be a Coriolis flowmeter using a bent tube or a Coriolis flowmeter using a straight flowtube.」
(日本語訳)
[0016] 図1は、酸触媒分析装置システム100の一例である。システム100は、多相流、例えば、HF、水及びASOを含むHF混合物の成分の濃度を決定するために実施される。一般に、システム100は、バルブ104を用いてプロセスサンプル点102から、HF混合物及び炭化水素(例えば、イソブタン(iC_(4)))の組み合わせを一定体積サンプリングする。システム100は、第1流量計108、第2流量計106及び第3流量計110を含む。各流量計106、108、110は、湾曲した管を用いたコリオリ流量計又は直線状流管を用いたコリオリ流量計とすることができる。

「[0017] The sample volume, which is a combination of iC_(4) and HF mix, is flowed through the second flowmeter 106. The iC_(4) is in the sample volume because it is an input into the alkylation process. The system 100 includes a 3-way valve 112 that receives the flow from the second flowmeter 106. The valve 112 can be set in a first configuration to flow the HF mix and the iC_(4) into a separation vessel 114 and in a second, separate configuration to cross-calibrate the three flowmeters.(以下省略)」
(日本語訳)
[0017] サンプルとなる体積は、iC_(4)及びHF混合物の組合せであり、第2流量計106を通って流される。iC_(4)は、アルキル化工程へ投入されるものであるためサンプルとなる体積中に存在する。システム100は、第2流量計106からの流れを受ける三方バルブ112を含む。バルブ112は、HF混合物及びiC_(4)が分離容器114内へ流れるような配置となっており、また、3つの流量計を相互に較正するような分離された他の配置となっている。

「[0018] Once the HF mix and the iC_(4) have been separated, when the second valve 116 is open, pure HF mix (that includes HF, water, and ASO) flows through a conductivity sensor and transmitter 118, the first flowmeter 108, and a pressure sensor and transmitter 120, which collectively can measure parameters-conductivity, density, pressure, respectively-of the pure HF mix. Using readings from the pressure sensor 120, the conductivity sensor 118, and the first flowmeter 108, a computer system 124 (for example, a flow computer) can determine the concentration of HF, water, and ASO, respectively, in the HF mix. Specifically, the computer system 124 can determine a percentage concentration of water based on the conductivity sensor measurements and a percentage concentration of either HF or ASO from the first flowmeter 108 and pressure sensor 120 measurements. The computer system 124 can infer the concentration of either ASO or HF as a difference, from 100%, of the sum of the percentage concentrations of water and either HF or ASO. Notably, at this stage, the concentrations of HF, water, and ASO are determined as a percentage of the HF mix, and not that of the sample volume.」
(日本語訳)
[0018] HF混合物及びiC_(4)が分離され、第2バルブ116が開くと、純粋なHF混合物(HF、水及びASOを含む)は、導電率センサー及び送信機118、第1流量計108、圧力センサー及び送信機120を流れ、これらは、共同して、純粋なHF混合物のパラメータ、すなわち、導電率、密度、圧力、を測定する。圧力センサー120、導電率センサー118及び第1流量計108からの読取値を使用して、コンピュータシステム124(例えば、フローコンピュータ)は、HF混合物中のHF、水及びASOの濃度をそれぞれ決定することができる。特に、コンピュータシステム124は、導電率センサーの測定に基づいて水のパーセント濃度を決定することができ、第1流量計108と圧力センサー120の測定からHF又はASOのいずれかのパーセント濃度を決定することができる。コンピュータシステム124は、水とHF又はASOのパーセント濃度の合計である100%からの差分としてASO又はHFのいずれかの濃度を推測することが可能である。とりわけ、この段階では、HF、水及びASOの濃度は、HF混合物のパーセントとして決定されるものであり、サンプルとなる体積のパーセントとして決定されるものではない。

「[0019] The separated iC_(4) flows through the first valve 122. From the valve, the separated iC_(4) stream flows through the third flowmeter 110, which takes density and mass flow rate readings of the iC_(4). Based on the readings measured by the third flowmeter 110, the computer system 124 can determine a concentration of iC_(4) in the sample volume. Having determined the concentration of iC_(4), the computer system 124 can determine a concentration of HF mix in the sample volume, and then determine the concentration of each component of the HF mix in the sample volume.(以下省略)」
(日本語訳)
[0019] 分離されたiC_(4)は第1バルブ122を通って流れる。分離されたiC_(4)流は、バルブから第3流量計110を通り、第3流量計110は、iC_(4)の密度及び質量流量の読取値を取得する。第3流量計110により測定された読取値に基づいて、コンピュータシステム124は、サンプルとなる体積中のiC_(4)の濃度を決定することができる。iC_(4)の濃度を決定した後、コンピュータシステム124は、サンプルとなる体積中のHF混合物の濃度を決定し、次いで、サンプルとなる体積中のHF混合物の各成分の濃度を決定することができる。

「[0022] The instrumentation shown in FIG. 1 (first, second, and third flowmeters 108, 106, 110, conductivity sensor and transmitter 118, pressure sensor and transmitter 120) are connected to the computer system 124. For example, the computer system 124 can include one or more computers or processors. In some implementations, the instrumentation transmits values of measured parameters to the computer system 124. For example, the second flowmeter 106 transmits density, mass flow rate, and volumetric flow rate values to the computer system 124. The computer system 124 can include a computer storage medium to store the values received from the instrumentation. The computer system 124 also includes a computer-readable medium storing computer software instructions executable by data processing apparatus to perform calculations related to mass balance, volumetric flow balance, and calculations to determine density, conductivity and concentration.」
(日本語訳)
[0022] 図1に示される計器(第1、2及び3流量計108、106、110、導電率センサー及び送信器118、圧力センサー及び送信機120)は、コンピュータシステム124に接続されている。例えば、コンピュータシステム124は、1つ以上のコンピュータ又はプロセッサを含むことができる。いくつかの実施形態では、計器は、測定されたパラメータの値をコンピュータシステム124に送信する。例えば、第2流量計106は、密度、質量流量及び体積流量値をコンピュータシステム124に送信する。コンピュータシステム124は、計器から受取った値を格納するためのコンピュータ記憶媒体を含むことができる。また、コンピュータシステム124は、物質収支、体積流量収支に関連した計算や、密度、導電率及び濃度を決定するための計算を実行するデータ処理装置によって実行可能なコンピュータソフトウェア命令を格納するコンピュータ読み取り可能な媒体を含む。

「[0023] In addition, the computer system 124 is coupled to the valves (the first valve 122, the second valve 116, the 3-way valve 112) to transmit instructions and control a state of each valve. For example, in response to receiving mass flow rate measurements from the flowmeters 106, 108, and 110, the computer system 124 can determine a level by which the first valve 122 should be opened (or closed). The computer system 124 can transmit a signal to open (or close) the first valve 122 by that level.(以下省略)」
(日本語訳)
[0023] また、コンピュータシステム124は、バルブ(第1バルブ122、第2バルブ116、三方バルブ112)に接続されており、命令を送信し、各バルブの状態を制御する。例えば、流量計106、108及び110からの質量流量測定値を受信することに応答して、コンピュータシステム124は、第1バルブ122が開かれるべき(又は閉じられるべき)レベルを決定することができる。コンピュータシステム124は、第1バルブ122をそのレベルで開放する(又は閉じる)ための信号を送信することができる。

「FIG.1



上記記載内容及び図示内容を総合すれば、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]
「多相流の成分、例えば、HF混合物及びiC_(4)の混合物の濃度を決定するためのシステムにおいて、([0014])
上記システム100は、第1流量計108、第2流量計106及び第3流量計110を含み、各流量計106、108、110は、コリオリ流量計であり、([0016])
サンプルとなる体積は、iC_(4)及びHF混合物の組合せであり、第2流量計106を通って流され、([0017])
三方バルブ112を通って分離容器114内へ流れるHF混合物及びiC_(4)は、分離容器114においてHF混合物とiC_(4)に分離され、
([0017]、[0018])
第2バルブ116が開くと、純粋なHF混合物(HF、水及びASOを含む)は、導電率センサー及び送信機118、第1流量計108、圧力センサー及び送信機120を流れ、純粋なHF混合物のパラメータ(導電率、密度、圧力)が測定され、([0018])
分離されたiC_(4)は、第1バルブ122と第3流量計110を通り、第3流量計110においてiC_(4)の密度及び質量流量の読取値が取得され、
([0019])
コンピュータシステム124は、導電率センサーの測定に基づいてHF混合物中の水のパーセント濃度を決定し、第1流量計108と圧力センサー120の測定からHF混合物中のHF又はASOのいずれかのパーセント濃度を決定し、([0018])
コンピュータシステム124は、第3流量計110により測定された読取値に基づいて、サンプルとなる体積中のiC_(4)の濃度を決定し、iC_(4)の濃度を決定した後、サンプルとなる体積中のHF混合物の濃度を決定し、次いで、サンプルとなる体積中のHF混合物の各成分の濃度を決定するものであり、([0019])
コンピュータシステム124は、フローコンピュータであり、計器(第1、2及び3流量計108、106、110、導電率センサー及び送信器118、圧力センサー及び送信機120)に接続され、1つ以上のプロセッサを含むものであり、([0018]、[0022])
コンピュータシステム124は、計器から送信される測定値を格納するためのコンピュータ記憶媒体を含み、物質収支、体積流量収支に関連した計算や、密度、導電率及び濃度を決定するための計算を実行するデータ処理装置によって実行可能なコンピュータソフトウェア命令を格納するコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、([0022])
コンピュータシステム124は、バルブ(第1バルブ122、第2バルブ116、三方バルブ112)に接続されており、命令を送信し、各バルブの状態を制御するものであり、例えば、流量計106、108及び110からの質量流量測定値を受信することに応答して、第1バルブ122が開かれるべき(又は閉じられるべき)レベルを決定し、第1バルブ122をそのレベルで開放する(又は閉じる)ための信号を送信する、([0023])
システム100。」

イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由において引用された特表2013-536446号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0006】
図1には、従来のコリオリ流量計用のアナログからデジタルへの変換器(ADC)の構成が示されている。左側ピックオフ(LPO)によって生成される左側ピックオフ信号は第一のADCの中に送られ、また右側ピックオフ(RPO)センサーによって生成される右側ピックオフ信号は第二のADCの中に送られる。各ADCは、それに対応するアナログ信号をデジタル化し、そのデジタル化されたピックオフ信号をプロセッサまたは他の回路に向けて出力し、さらなる処理を可能とする。たとえば、さらなる処理には、コリオリ効果に起因するピックオフセンサー信号とピックオフセンサー信号との間の位相差を求めることが含まれうる。位相差を用いてメータを流れる質量流量を求めることができる。」

「【0031】
図2には、メータ組立体10およびメータ電子機器20を備えているコリオリ流量計5が示されている。メータ組立体10は、プロセス物質の質量流量および密度に応答するようになっている。メータ電子機器20は、リード線100を介してメータ組立体100と接続されて、経路26を介して密度、質量流量、温度に関する情報および他の情報を提供する。コリオリ流量計の構成を説明する。ただし、当業者にとって明らかなように、本発明を振動管式デンシトメータとして実施してもよい。
【0032】
メータ組立体10は、1対のマニホルド150および150’と、フランジネック110および110’を有するフランジ103および103’と、1対の平行なフローチューブ130および130’と、ドライブ機構180と、温度センサー190と、1対の速度(ピックオフ)センサー170Lおよび170Rとを有している。フローチューブ130および130’は、フローチューブマウント用ブロック120および120’において互いの方向に向かって近づいていく2つの実質的に真っ直ぐな流入口脚部131および131’と流出口脚部134および134’とを有している。フローチューブ130および130’は、それらの長さ方向に沿った位置にある2つの対称な部位で曲がっており、かつ、それらの長さ方向に沿って実質的に平行になっている。ブレースバー140および140’は、軸線WおよびW’を規定する働きを有しており、各フローチューブがそれを中心として振動するようになっている。」

「【0036】
フローチューブ130および130’は、それぞれ対応する曲げ軸WおよびW’に対してかつフローメータ5の第一の逆位相曲げモードと呼ばれるモードで、互に反対方向にドライバ180により振動させられるようになっている。このドライブ機構180は、マグネットがフローチューブ130’にマウントされ反対側のコイルがフローチューブ130にマウントさているような複数の周知の構成のうちのいずれか一つの構成を有することができ、また、ドライブ機構には交流電流を流してこれらのフローチューブを振動させるようになっている。メータ電子機器20により適切なドライブ信号がリード110を通じてドライバ104へ加えられる。
【0037】
メータ電子機器20はRTD温度信号をリード線195を通じて受け取り、左側速度信号および右側速度信号がそれぞれリード線165Lおよびリード線165Rに現れる。メータ電子機器20は、リード線185を通じてドライブ要素180に向けてドライブ信号を発生し、チューブ130および130’を振動させる。メータ電子機器20は、左側速度信号および右側速度信号ならびにRTD信号を処理して、たとえばメータ組立体10を流れる物質の質量流量および/または密度を計算する。メータ電子機器20は、この情報を、他の情報とともに、パス26を通じて送る。」

「【図1】



「【図2】


上記記載内容及び図示内容を総合すれば、引用文献2には以下の技術事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献2記載事項]
「メータ組立体10及びメータ組立体10と接続されたメータ電子機器20を備えるコリオリ流量計5において、(【0031】)
メータ組立体10は、プロセス物質の質量流量及び密度に応答するものであり、ドライブ機構180、温度センサー190、1対の速度(ピックオフ)センサー170L及び170Rを有しており、
(【0031】、【0032】)
メータ電子機器20は、メータ組立体10のピックオフセンサー170L及び170Rから左側速度信号及び右側速度信号を受け取り、温度センサー190からRTD温度信号を受け取り、(【0037】)
メータ電子機器20のAD変換器(ADC)により、ピックオフセンサー170L及び170Rからの左側速度信号及び右側速度信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、(【0006】)
メータ電子機器20のプロセッサにより、デジタル化された左側速度信号及び右側速度信号並びにRTD温度信号を処理して、メータ組立体10を流れる物質の質量流量及び/又は密度を計算し、
(【0006】、【0037】)
メータ電子機器20は、ドライブ機構180に向けてドライブ信号を発生し、第一の逆位相曲げモードと呼ばれるモードで互に反対方向にフローチューブ130及び130’を振動させること。
(【0036】、【0037】)」

ウ 引用文献3(周知技術を示す文献)
当審が新たに引用する特許第5188666号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0035】
本発明の上記およびその他の利点および特徴は、以下の記述を図面と合わせて読むことにより一層よく理解できるであろう。
詳細な説明
図1の説明
図1は、コリオリ流量計100および関連する計器電子回路125を示す。コリオリ流量計100は、リード線114、116、117、118を介して計器電子回路125に接続され、出力経路126を介して密度、質量流量、体積流量、総質量流量、温度およびその他の情報を提供する。当業者には明らかであるが、本発明は、ドライバの数、ピックオフ・センサの数および振動の動作モードにかかわらず、任意の種類のコリオリ流量計によって使用可能である。
【0036】
コリオリ流量計100は、1対のフランジ109、111と、ドライバDと、ピックオフLPO、RPOと、流管101、102とを備える。ドライバDおよびピックオフLPO、RPOは、流管101、102に結合される。」

「【0039】
流管101、102は、それぞれの曲げ軸W、W’に関して逆相で且つ流量計のいわゆる第1の位相ずれ曲げモードで、ドライバDによって駆動される。ドライバDは、流管101に取付けられた磁石と流管102に取付けられた対向するコイルなどの、多くの周知の配置のいずれか1つを備える。両方の管を逆相で振動させるため、交流が対向するコイルを通る。適切な駆動信号が計器電子回路125によって経路116を介してドライバDに印加される。図1の説明はコリオリ流量計の動作の一例として提示されたにすぎず、本発明の教示を限定するものではない。
【0040】
計器電子回路125は、経路114、118上に現れる右の速度信号と左の速度信号を、それぞれピックオフLPO、RPOから受信する。計器電子回路125は、ドライバDに流管101、102を逆相に振動させる駆動信号を経路116上に生成する。本明細書に記述したように本発明は、複数のドライバに対して複数の駆動信号を生成することができる。振動している流管101、102を通る材料の流れは、左のピックオフLPOおよび右のピックオフRPOによって検出されるコリオリ応答を流管に生成する。2つのピックオフからの信号は、材料の流量の大きさに比例する位相差を有する。ピックオフの出力情報は計器電子回路125に導体114、118を介して印加され、計器電子回路25は、受取った情報を処理し、質量流量を含む材料流量に関する出力情報を経路126を介して提供する。
【0041】
熱センサRTDは、流管の温度を検出して、温度情報を経路117を介して計器電子回路に与える。該計器電子回路はこの温度情報を用いて、経路114、118を介してピックオフLPO、RPOから与えられる位相差情報に応答して生成される質量流量出力データを補償する。必要なのは、経路117を介して提供される温度情報を、質量流量の決定の要求精度0.10%となるように、質量流量の決定に利用することである。」

「【0097】
図6の説明
図6は、図1に示す計器電子回路要素125の更なる詳細を示す。図6には、計器電子回路125が、プロセッサ608、読出し専用メモリ(ROM)609、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)610、A/Dコンバータ601、603、D/Aコンバータ602を備えるものと示されている。A/Dコンバータ601は、経路114を介して左のピックオフLPOから、また経路118を介して右のピックオフRPOから信号を受信する。A/Dコンバータ601は、これらの信号をアナログからディジタルに変換し、その結果生じたディジタル情報を経路604を介してプロセッサ608へ送る。A/Dコンバータ603は、温度情報をRTD要素から経路117を介して受信し、この情報をアナログからディジタルに変換し、ディジタル出力を経路607を介してプロセッサ608へ送る。D/Aコンバータ602は、ディジタル駆動信号を経路606を介してプロセッサ608から受信し、それをアナログに変換し、アナログ駆動信号を経路116を介してドライバDに与えて流管101、102を逆相に振動させる。
【0098】
プロセッサ608は、計器電子回路125の機能を実施するために必要な、マイクロ・プロセッサ、プロセッサ・アレイまたは任意の処理機能を備えることができる。プロセッサ608は、経路611を介して、プロセッサ608がその機能を実施するために必要とする永久データおよびプログラミング情報を記憶するROM609に接続される。RAM610は、プロセッサ608がその機能を実施するために必要とするプログラム情報、揮発性データおよびその他の揮発性情報を含む揮発性情報を記憶する複数のセグメントを有する。この情報は、セグメント615に記憶されたΔtおよびΔt_(0)、セグメント612に記憶された
【0099】
【外17】


の式の情報、セグメント613に記憶されたヤング率Eの測定値、セグメント614に記憶された、ヤング率Eから導出された非線形式、セグメント617に記憶された動作温度T、及び、セグメント618に記憶された流量校正係数FCFを含む。」

「【図1】



「【図6】



エ 引用文献4(周知技術を示す文献)
当審が新たに引用する特許第4787618号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る流量計監視システム100を示している。流量計監視システム100は個々の流量計、流量計送信機、遠隔ターミナル等を備えることができる。流量計監視システム100は測定流量データを収集し、1つ以上の各種流量計の動作を制御・調整する。或る実施の形態においては、流量計監視システム100は例えば1つの実施の形態におけるネットワーク170を介して1つ以上の流量計150と通信することができる。
【0020】
流量計150は例えばコリオリ流量計を備えることができる。流量計150は流量校正係数(FCF)151や静止高調波周波数(K1)152のような、記憶された計器校正値を含むことができる。FCFは特定の流量計装置の流管の構成を表す。FCFは製造期間における流管装置の大きさの変動を含むことができ、また、流管材料の特性の変動に起因する振動応答の変動をも含むことができる。K1値は、流管装置が空気で満たされ且つ0°Cの校正温度で測定したときの流管装置の静止高調波周波数を表す。典型的には、K1値は周波数又は時間(即ち波期間)を単位とする。他の計器校正値(図示せず)はK2値(K1と同じであるが流管装置に水を入れた場合である)、密度の流量効果に対するK3値、温度校正値等を含むことができるが、これに限られる訳ではない。他の計器校正値が考慮され、これは本発明及び請求項の範囲内に含まれる。」

「【0025】
計器校正値は、動作において、質量流量測定を校正するために流量計150の流量計電子装置によって使用される。典型的には、計器校正値はテスト条件下において工場で測定によって取得される。一般に、計器校正値が流量計電子装置に記憶されてから流量計が工場から出荷される。更に、現場でユーザーによって計器校正値を流量計電子装置にプログラムし又は再プログラムすることができる。有利なことに、当該流量計150が再構成されても、当該流量計150が本発明にしたがって識別されるよう、計器校正値を再プログラムすることができる。典型的には、このプログラミングは流量計に付けられたタグによって容易にされる。タグにはスタンプが押され、エンボス加工され、又は、工場で測定された計器校正値が印刷される。したがって、ユーザーは、流量計の電源断、記憶喪失、再構成等の場合のような必要なときに、正しい校正情報で流量計を再プログラムすることができる。」

「【図1】



オ 引用文献5(周知技術を示す文献)
当審が新たに引用する国際公開第2014/116404号(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。
なお、日本語訳は、引用文献5の日本語ファミリー文献である特表2016-510403号公報の記載を段落番号も含めてそのまま採用しており、日本語訳の段落番号と原文の段落番号は一致しない。

「[0013] Technical effects of certain embodiments of the disclosure may include decreasing the costs of manufacturing and maintaining meters located in the field. Further technical effects of certain embodiments of the disclosure may include faster and less expensive updates of services and/or application programs offered in conjunction with utilizing some or all of the signals or flow measurements. Further technical effects of certain embodiments of the disclosure may include increased use of and widespread use of data received by or otherwise obtained by installed meters.」
(日本語訳)
「【0012】
本開示の特定の実施形態の技術的効果は、現場に設けられるメータの製造および維持費を削減することを含んでよい。本開示の特定の実施形態のさらなる技術的効果は、信号もしくは流量測定値の一部または全部を利用することに関連して提供されるサービスおよび/またはアプリケーションプログラムをより速くより安価に更新することを含んでよい。本開示の特定の実施形態のさらなる技術的効果は、設置されるメータにより受信されるまたはその他の方法で得られるデータを一層使用することおよび広範に使用することを含んでよい。」

「[0014] FIG. 1 illustrates an example environment or system 100 for a cloud flowmeter or apparatus 102 according to an embodiment of the disclosure. The cloud flowmeter or apparatus 102 can be in communication with one or more servers 104 via at least one network 106, which is shown as a single block in FIG. 1 but can represent one or multiple networks. The apparatus 102 can be located at or otherwise associated with a premises or an installation, while the one or more servers 104 can be located at or otherwise associated with a utility service, such as a utility company, a utility provider, or an entity, delegate, or person that monitors, controls, administers, or provides a utility or utility service monitored by the apparatus 102.」
(日本語訳)
「【0013】
図1は、本開示の実施形態に係るクラウド流量計または装置102のための例示環境またはシステム100を例示する。クラウド流量計または装置102は、図1において単一のブロックとして示されるが1つまたは複数のネットワークを表し得る少なくとも1つのネットワーク106を介して、1つまたは複数のサーバ104と通信できる。装置102は構内または設備に設けるかまたはその他の方法で関連付けでき、一方1つまたは複数のサーバ104は、装置102により監視される公益設備または公益事業を監視、制御、管理、または提供する、公益会社、公益提供者、または実体、譲受者、もしくは人物のような、公益事業体に設けるかまたはその他の方法で関連付けできる。」

「[0015] The cloud flowmeter or apparatus 102 shown in FIG. 1 can include one or more transducer interfaces 108, a control device 110, a processor 112, one or more memory devices 114, and a communications interface 116. The one or more transducer interfaces 108 can be operable to communicate with one or more respective transducers 118A-118N, sensors, or other data measuring devices to receive or otherwise obtain data and/or signals from the respective transducers 118A-118N. In certain embodiments, the transducers 118A-118N can generate signals corresponding to a flow characteristic or meter characteristic associated with an amount of at least one utility being consumed, used, output, or otherwise being provided to a premises or installation. In certain embodiments, the transducers 118A-118N can measure an amount of at least one utility being consumed, used, output, or otherwise being provided to a premises or installation. A utility can include, but is not limited to, power, natural gas, water, data, sewer, fluid, gas, or any other measurable item or service provided by or regulated by a utility provider or utility service.」
(日本語訳)
「【0014】
図1に示すクラウド流量計または装置102は、1つまたは複数のトランスデューサインタフェース108、制御装置110、プロセッサ112、1つまたは複数のメモリ装置114、および通信インタフェース116を含むことができる。1つまたは複数のトランスデューサインタフェース108は、データおよび/または信号をそれぞれのトランスデューサ118A?118Nから受信するかまたはその他の方法で得るために1つまたは複数のそれぞれのトランスデューサ118A?118N、センサ、または他のデータ測定装置と通信するように動作可能にできる。特定の実施形態において、トランスデューサ118A?118Nは構内または設備で消費、使用、出力、またはその他の方法で提供されている少なくとも1つの公益設備の量に関連する流れ特性またはメータ特性に対応する信号を生成できる。特定の実施形態において、トランスデューサ118A?118Nは構内または設備で消費、使用、出力、またはその他の方法で提供されている少なくとも1つの公益設備の量を測定できる。公共設備には動力、天然ガス、水、データ、下水道、液体、気体、または公益提供者または公益事業体により提供されるまたは調整される任意の他の測定可能な項目もしくは事業が含まれ得るがこれらに限定されない。」

「[0016] The control device 110 can interact with the one or more transducer interfaces 108 as needed to communicate signals and/or data collected or received from the one or more transducers 118A-118N to the processor 112, or otherwise transmit instructions from the processor 112 to the one or more transducer interfaces 108 and/or transducers 118A-118N. In certain embodiments, the control device 110 can receive one or more control signals from the processor 112 and/or a remote processor, such as 120.」
(日本語訳)
「【0015】
制御装置110は、1つまたは複数のトランスデューサ118A?118Nから収集または受信される信号および/またはデータをプロセッサ112へ通信するか、またはそうでなくプロセッサ112からの命令を1つまたは複数のトランスデューサインタフェース108および/またはトランスデューサ118A?118Nに送信するために、必要に応じて1つまたは複数のトランスデューサインタフェース108と対話できる。特定の実施形態において、制御装置110は1つまたは複数の制御信号をプロセッサ112および/または120のような遠隔プロセッサから受信できる。」

「[0019] In one use example, one or more transducers 118A-118N can be mounted to a pipe through which a fluid flows. The transducers 118A-118N can detect or otherwise fluid flow parameters within the pipe, and the transducer interfaces 108 can receive one or more corresponding data and/or signals generated or otherwise transmitted by the transducers 118A-118N. The transducer interfaces 108 and/or control device 110 can communicate the corresponding data and/or signals to the processor 112 and/or memory storage devices 114 as needed. The processor 112 can receive the data and/or signals from the transducer interfaces 108, and the processor 112 can generate corresponding delta T, signals, signal files, and/or other parameters, and transmit encrypted or unencrypted delta T, signals, signal files, and/or other parameters to a remote server 104 or processor 120.」
(日本語訳)
「【0018】
一使用例では、1つまたは複数のトランスデューサ118A?118Nは流体が流れる管に装着できる。トランスデューサ118A?118Nは管内の流体流れパラメータを検出、その他でき、トランスデューサインタフェース108はトランスデューサ118A?118Nにより生成されるまたはそうでなく送信される1つまたは複数の対応するデータおよび/または信号を受信できる。トランスデューサインタフェース108および/または制御装置110は対応するデータおよび/または信号を必要に応じてプロセッサ112および/またはメモリ記憶装置114に通信できる。プロセッサ112はデータおよび/または信号をトランスデューサインタフェース108から受信でき、またプロセッサ112は対応するデルタT、信号、信号ファイル、および/または他のパラメータを生成し、暗号化したまたは暗号化していないデルタT、信号、信号ファイル、および/または他のパラメータを遠隔サーバ104またはプロセッサ120に送信できる。」

「【図1】



カ 引用文献6(周知技術を示す文献)
当審が新たに引用する特表2014-518391号公報(以下「引用文献6」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0054】
図2が、一実施の形態によるメータ電子機器20を示している。メータ電子機器20は、インターフェイス201および処理システム203を備えることができる。処理システム203は、ストレージシステム204を備えることができる。ストレージシステム204は、図示のとおりの内部メモリを備えることができ、あるいは代案として、外部メモリを備えることができる。メータ電子機器20は、駆動信号211を生成し、この駆動信号211を駆動装置104へと供給することができる。さらに、メータ電子機器20は、ピックオフセンサ信号など、下記に示す流量計10および/またはセンサアセンブリ10’からのセンサ信号210を受信することができる。いくつかの実施の形態においては、センサ信号210を、駆動装置104から受信することができる。メータ電子機器20は、濃度計として動作することができ、あるいはコリオリ質量流量計としての動作など、質量流量計として動作することができる。メータ電子機器20が、何らかの他の種類の振動式メータとしても動作でき、提示される特定の例が、この実施の形態の技術的範囲を限定するものではないことを、理解すべきである。メータ電子機器20は、導管103A,103Bを通って流れる物質の1つ以上の流れの特性を生成するために、センサ信号210を処理することができる。1つ以上の流れの特性を、保存された差分ゼロオフセット213を使用して生成することができる。いくつかの実施の形態においては、メータ電子機器20が、例えば1つ以上の抵抗温度素子(RTD)センサまたは他の温度測定装置から温度信号212を受信することができる。
【0055】
インターフェイス201が、駆動装置104またはピックオフセンサ105,105’からのセンサ信号210をリード線110,111,111’を介して受信することができる。インターフェイス201は、任意の様相のフォーマット処理、増幅、バッファ処理など、任意の必要または所望の信号の調節を実行することができる。あるいは、信号の調節の一部またはすべてを、処理システム203において実行することができる。さらに、インターフェイス201は、メータ電子機器20と外部の装置との間の通信を可能にすることができる。インターフェイス201は、任意の様相の電子、光、または無線通信が可能であってよい。
【0056】
一実施の形態におけるインターフェイス201は、センサ信号がアナログセンサ信号を含む場合に、デジタイザ(図示せず)を含むことができる。デジタイザは、アナログセンサ信号をサンプリングおよび2値化し、デジタルセンサ信号を生成することができる。また、デジタイザは、必要な間引き(decimation)を実行することができ、デジタルセンサ信号が、必要な信号処理の量を減らし、処理時間を短縮するために間引かれる。
【0057】
処理システム203は、メータ電子機器20の動作を指揮することができ、流量計10からの流れの測定値を処理することができる。処理システム203は、差分オフセット測定ルーチン213などの1つ以上の処理ルーチンを実行することができ、したがって流れの測定値を処理して、センサのゼロオフセットのドリフトに関して補償された1つ以上の流れの特性を生成することができる。」

「【0061】
図3は、一実施の形態による流体フローシステム300のブロック図を示している。流体フローシステム300が、典型的な燃料効率システムとして示されているが、燃料が1つの典型的な流体にすぎず、流体フローシステム300が他の流体にも等しく適用可能であることを、理解すべきである。したがって、燃料の使用は、決して本実施の形態の技術的範囲を限定するものではない。
【0062】
流体フローシステム300は、燃料供給部301と、配管302と、配管302に配置された第1のセンサアセンブリ10と、燃料出口304と、配管302に配置された第2のセンサアセンブリ10’とを備える。したがって、配管302が、第1および第2のセンサアセンブリ10,10’の間の流体連通路をもたらしている。第2のセンサアセンブリ10’は、図1に示したとおりの第1のセンサアセンブリ10と同様のセンサアセンブリを備えることができる。典型的には、エンジンまたは他の燃料消費装置が、燃料出口304において第1および第2のセンサアセンブリ10,10’の間に位置すると考えられるが、この装置は、図面の複雑さを減らすために図からは省略されている。
【0063】
さらに図3には、リード線100,100’を介して該当のセンサアセンブリ10,10’に電気的に連絡した第1および第2のメータ電子機器20,20’が示されている。さらに、第1のメータ電子機器20が、リード線26を介して第2のメータ電子機器20’に電気的に連絡している。したがって、第2のメータ電子機器20’は、両方のセンサアセンブリ10,10’からのセンサ信号を受け取ることができる。あるいは、第1のメータ電子機器20が、第1のセンサアセンブリ10からのセンサ信号を処理し、測定された流れの特性を第2のメータ電子機器20’へと供給することができる。第2のメータ電子機器20’は、リード線26’を介してシステムコントローラ310に電気的に連絡して図示されている。システムコントローラ310が、ホストシステム(図示せず)へと情報を出力することができる。したがって、システムコントローラ310は、両方のメータ電子機器20,20’から受信される信号を処理することができる中央処理システム、汎用のコンピュータ、あるいは何らかの他の種類の汎用または専用の処理装置を備えることができる。したがって、システムコントローラ310は、振動式メータ5,5’の一部分を含まなくてよく、むしろ振動式メータ5,5’からの信号を処理するように構成されてよい。さらに、システムコントローラ310は、ユーザインターフェイス(図示せず)に電気的に連絡することができる。これは、ユーザが、ユーザの好みまたは必要に応じてシステムコントローラ310を設定することを可能にできる。
【0064】
他の実施の形態においては、両方のセンサアセンブリ10,10’を、同じメータ電子機器へと直接接続することができる。あるいは、両方のメータ電子機器20,20’を、システムコントローラ310へと接続することができる。一実施の形態によれば、第1および第2の振動式メータ5,5が、コリオリ流量計を備える。しかしながら、振動式メータは、コリオリ流量計の測定能力を欠く他の種類の振動式センサを備えることができる。したがって、本実施の形態は、コリオリ流量計に限定されない。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



キ 引用文献7(周知技術を示す文献)
当審が新たに引用する特表2008-531990号公報(以下「引用文献7」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0024】
図2は、本発明の或る実施形態による、入力が1つで、出力が2つの流量計200を示している。流量計200は、図示の様に2つの出力計を備えていてもよいし、3つ以上でもよい。流量計200は、燃料の様な流体の第1の流れと第2の流れを計量するのに用いられる。燃料には、ガソリン及びディーゼルオイルの様な従来型の燃料と、圧縮天然ガス(CNG)、液化石油ガス(LPG)の様な代替燃料と、様々な割合の液体成分と気体成分から成る燃料を含む、ガソリンやディーゼルオイルのこの他の代替物とが含まれる。また、他の流動物質を計量することも考えられ、それらも説明と請求項の範囲に含まれる。
【0025】
流量計200は、ケーシング201、吸入導管202、分流器203、第1流量センサー要素204とそれに対応する第1出力導管206、少なくとも第2流量センサー要素205とそれに対応する第2出力導管207、及び流量計電子機器20を含んでいる。」

「【0027】
分流器203は、吸入導管202に連結されており、更に、第1流量センサー要素204と第2流量センサー要素205へと連結されている。第1流量センサー要素204は第1出力導管206に連結されており、第2流量センサー要素205は第2出力導管207に連結されている。流体は、吸入導管202と分流器203を通って進入する。分流器203で、流体を、第1流量センサー要素204だけに流すこともできるし、第2流量センサー要素205だけに流すこともできるし、第1流量センサー要素204と第2流量センサー要素205に同時に流すこともできる。流体は、第1流量センサー要素204と第2流量センサー要素205の一方又は両方を通って流れ、第1出力導管206と第2出力導管207の一方又は両方を出る。第1流量信号及び/又は第2流量信号は、第1流量センサー要素204と第2流量センサー要素205によって生成され、リード線100a及び/又は100bを介して流量計電子機器20に送られる。流量計電子機器20は、第1流量信号及び/又は第2流量信号を受信し、対応する第1燃料流量測定値及び/又は対応する第2燃料流量測定値を生成する。第1及び第2燃料流量測定値は、流量計電子機器20によって用いられ、燃料処理を行い、更に、経路26を介してオペレーター又は他のコンピューター装置に送られる。その結果、入力流れは、第1出力導管206を通して第1流量センサー要素204によって計量することもでき、第2出力導管207を通して第2流量センサー要素205によって計量することもでき、又は同時に、第1出力導管206を
通して第1流量センサー要素204によって、そして第2出力導管207を通して第2流量センサー要素205によって計量することもできる。流量計200は、3つ以上の出力導管と3つの流量センサー要素を含んでいてもよいものと理解されたい。」

「【0029】
第1流量センサー要素204と第2流量センサー要素205は、どの様な様式の流量センサー要素でもよい。或る実施形態では、第1流量センサー要素204と第2流量センサー要素205は、コリオリ流量計センサー要素を備えている。或る実施形態では、第1流量センサー要素204と第2流量センサー要素205は、安定性と性能の問題を回避するため、2つのセンサー要素が僅かに異なる振動特性を有するように設計されている。」

「【0032】
第1流量センサー要素204は、更に、少なくとも1つの第1流れ導管103aを振動させるための第1駆動機構104aと、少なくとも1つの第1流れ導管103aに生じる振動運動を測定して、第1流量信号を生成するための2つ又はそれ以上の第1ピックオフセンサー105aと105a’とを備えている。第2流量センサー要素205は、同様に更に、少なくとも1つの第2流れ導管103bを振動させるための第2駆動機構104bと、少なくとも1つの第2流れ導管103bに生じる振動運動を測定して、第2流量信号を生成するための2つ又はそれ以上の第2ピックオフセンサー105bと105b’とを備えている。」

「【図2】



ク 引用文献8(技術常識を示す文献)
当審が新たに引用する特表2002-532798号公報(以下「引用文献8」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0003】
【発明の背景】
発明の分野
この発明は概略としてパイプラインや導管を通る液体及び気体の流れを測定しまた制御するためのコンピュータシステムに関する。さらに詳しくは、本発明は遠隔式及びローカルにアクセスできるフローコンピュータに関する。さらにまた本発明はオペレータがフローコンピュータを制御してインターネット、イントラネット及び同様な技術を介してフローコンピュータから流れ測定を得ることができるようにするウェブサーバとして機能するフローコンピュータに関する。
【0004】
発明の背景
フローコンピュータはパイプライン内の液体及び気体の流れをし制御しかつ測定するために世界中で利用されている。フローコンピュータは油やガス産業及び水処理産業のような様々な産業において利用されている。一般には多数のフローセンサに接続されているフローコンピュータは液体や気体の流れを示す信号を受け取る。フローコンピュータはこれらの信号を処理して所望の流れ計算結果を得る。或る産業においては、これらの流れの計算結果はパイプラインを通過する油や気体のような生産物の量を決定するのに利用される。或る場合には流れの計算結果は、或る者から別の者へと所有が変わった生産物の体積を決定するために、商取引の基礎として利用される。それに関わる量と金額との理由から、フローコンピュータはそれが利用される環境によらず極めて正確でかつ極めて信頼性が高いものであることが重要である。このような正確な流れの測定を提供する重要な役割に加えて、フローコンピュータはまた液体或いは気体の作用及び流れを制御するためのバルブ、メータ、電子スイッチ及びその他の装置のような様々なパイプライン設備を自動制御するのに利用できる。
【0005】
図1に示すように、便宜的なフローコンピュータ10は関連する補助記憶装置13,キーパッド14,LCDディスプレイ15及びデータポート17?23を備えたプロセッサ11を有している。フローコンピュータ10はまたフロッピー(登録商標)ドライブ16を有することもできる。フローコンピュータ10にはデータポート17?23を介して様々な流れ測定トランスデューサ24?26,制御装置29?30、モデム27,及びホストコンピュータ31のようなシリアル入力/出力装置28が接続できる。データポート17?23はRS-232或いはRS?485データポートであってよい。
【0006】
マイクロプロセッサ(すなわち“プロセッサ”)11はフローコンピュータ10の“頭脳”として動作する。マイクロプロセッサ11は例えば流れ測定トランスデューサ24?26によりパイプラインに接続されている。データをアナログ電圧、アナログ電流、周波数その他のフォーマットで提供する様々な適当なトランスデューサ24?26が知られているが、これらのトランスデューサは全てパイプラインを通る流体の量及び特性に関するモニタリングデータを提供するものである。マイクロプロセッサ11はトランスデューサからのデータをモニタして計算を行い、その他の機能を実行するものである。補助記憶装置13にはマイクロプロセッサ11がこれらの機能を行えるようにするソフトウェアが埋め込まれている。補助記憶装置13は一般には“フラッシュディスク”として知られる高価なソリッドステート装置或いはROMチップであり、フローコンピュータがしばしば利用されるところの過酷な環境や極限的な天候条件に耐えることができるものである。
【0007】
フローコンピュータ10は“現場”のオペレータによって制御できる。オペレータはキーボード14によって、例えば流れ測定の読みが取り出されまた計算結果を生じる周波数を決定するコマンドのような情報を入力することができる。オペレータはまたフローコンピュータ10にデータをロードして記憶するのにフロッピードライブ16或いはその他の適当な記憶装置を利用するように選択することができる。プロセッサ11はLCDディスプレイスクリーン15によってオペレータに可視フィードバックを提供する。それに代えて、オペレータはラップトップコンピュータ或いはその他のインターフェース装置31をデータポート17?23の一つを介してフローコンピュータに”プラグイン“するように選択することができる。これによって、フローコンピュータ10の所有者或いはオペレータは流れ測定情報をフローコンピュータから容易に得ることができ、また必要な場合にはフローコンピュータのソフトウェアを再プログラムしたり変更したりすることができる。」

「【図1】



ケ 引用文献9(技術常識を示す文献)
当審が新たに引用する特表2015-521284号公報(以下「引用文献9」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0002】
石油およびガス生産産業において使用されるような監視制御およびデータ収集(SCADA)システムは、しばしば、(例えば、水源地の)生産処理システムにおける機器の中心となる構成要素としてフローコンピュータを含む。フローコンピュータは、流量計算の実行、システムの制御、システムの最適化、履歴アーカイブの作成、および/またはSCADAネットワークとの通信を行うために使用される。フローコンピュータを介した処理システムの観測および/または制御は、フローコンピュータとフィールド装置(例えば、バルブ、バルブポジショナ、スイッチ、センサ、トランスミッタなど)とを相互作用させることによって達成される。このフィールド装置は、バルブの開閉などの制御機能および処理パラメータの測定を実行するように構成される。そのようなフィールド装置は、任意の所望の通信媒体(例えば、ハードワイヤード、無線など)によるアナログ、デジタル、またはアナログとデジタルとを組み合わせたバスのいずれかを介して、そしてプロトコル(例えば、Fieldbus、Profibus(登録商標)、HART(登録商標)、Modbus(登録商標)など)によって、フローコンピュータと相互作用する。」

「【0005】
図1は、本明細書に開示した教示に従い実施した、例示のフローコンピュータ102を備えた例示のシステム100を図示する。図示する例では、フローコンピュータ102は、流量計104と通信する。一部の例では、フローコンピュータ102は、監視制御およびデータ収集(SCADA)ホストシステム106、一以上の外部デバイス(複数可)108(例えば、SCADAシステム内の他のコンポーネント、ラップトップコンピュータ、携帯フィールド通信機など)の少なくとも一つ、または一以上の他の流量計(複数可)110とも通信できる。
【0006】
図1に図示する流量計104は、流量計104の性能および完全性を検証するための診断を実行する内部機能性を包含する任意の適切な流量計でもよい。例えば、流量計104は、Micro Motion,a division of Emerson Process Managementによって開発されたSmart Meter Verification診断ツールを用いた、コリオリ効果を利用した流量計でもよい。それ故、例示のシステム100における流量計104は、流量計104についての試験および/または診断を実行するための一以上の診断アプリケーション(複数可)112を含む。図示する例では、流量計104は、流量計104の構成部品についての検証試験を実行するための診断アプリケーション112を含む。診断アプリケーション112は、内部メモリ114内に記憶できる、検証試験に関連する診断データを作り出す。いくつかの公知の流量計104では、診断データを記憶する内部メモリ114は、レジスタを備えている。診断データは、試験の動作状態(例えば、試験が実行中か否か)の表示、検証試験の進行および/もしくは完了(例えば、初期化、測定、解析、完了および/もしくは進捗度)、検証試験中に測定および/もしくは計算された二次パラメータの値、検証試験の結果(例えば、検証試験を通した流量計104の成功または不合格)、ならびに/または不合格の検証試験に関連する任意のエラーを含むことができる。流量計104の成功または不合格は、測定した二次パラメータが、工場仕様において規定された境界限界内にあるか否かに基
づいて決定できる。
【0007】
例えば、標準的な流量計を使用して、パイプ内の流体の質量流量を測定できる。流量計は、パイプと直列に接続し、流体がそこを通りパイプ内に流れることができる入口および出口アパーチャを画定する一以上の管または導管を含むことができる。流量計は、物質がパイプ内を流れている間、管(複数可)を振動刺激することによって流量を決定できる。パイプ内を流れている物質から生じる慣性力は、振動管(複数可)と組み合わさり、コリオリ効果を生じさせることがある。これによって、入口および出口アパーチャに隣接する箇所などの、管(複数可)に沿う種々の箇所に、管(複数可)の振動における位相シフトが生じる。そのような流量計およびコリオリ効果の使用により、パイプ内の流体の質量流量は、管(複数可)に沿う個々の箇所における時間遅延または位相差に比例する。そのようなものとして、質量流量は、時間遅延と、流量計の管(複数可)の剛性パラメータに関係し得る管(複数可)の材料特性および形状に基づく較正定数とを乗じることによって決定できる。従って、かかる例では、二次パラメータは、管の個々の箇所における振動の位相差、および位相差から計算した剛性を含む。そのような二次パラメータから、コリオリ効果を利用した流量計の完全性および性能を決定できる。この決定は、物質が対応するパイプ内を流れている間に、流量計が、制御された振動によって管(複数可)を刺激する検証試験を実施し、複数の箇所における管(複数可)の振動応答を測定し、各箇所における測定した位相シフトに基づいて管(複数可)に沿う各箇所における剛性パラメータを決定し、そして剛性パラメータと製造時に定められた流量計についての事前設定された限界とを比較することによって行われる。工場仕様の範囲内に収まらない剛性パラメータは、パイプ内の物質の流量を流量計が正確には測定できないことを示す。
【0008】
流量計104が検証試験を受けた後、結果生じた診断データをオペレータが入手して、結果に基づいて任意の適切な対応を起こす(例えば、流量計が検証試験に不合格になった場合に流量計104を交換する)ことができる。しかしながら、そのような診断ツールを実装する多くの公知の流量計が提供するデータは、通常、流量計に関連して開発された所有者アプリケーションを通してのみ入手できる。この結果、流量計の診断結果は、SCADAシステムなどの処理システム全体に直接には含ませることができない。このため、オペレータは、システムのより完全な状況を取得し、システムホストアプリケーションを通じて流量計と遠隔において相互作用し、システムホストアプリケーションを介して検証試験を遠隔においてスケジュールおよび/または開始し、そして検証試験を実行した時(例えば、開始時および/または中断時)を、システム内の他のイベントおよび/または警報に関連するその後の解析、検査および/または訓練のために、SCADAシステムに付随する監査証跡のイベントログに、タイムスタンプおよびアーカイブすることができない。
【0009】
そのような障害は、本明細書に開示した教示に従う、流量計104と相互作用する、図1に図示する例示のフローコンピュータ102によって克服される。図示する例の例示のフローコンピュータ102は、例示のプロセッサ116を含む。図示する例のプロセッサ116は、ハードウェアである。プロセッサ116は、例えば、任意の所望の団体または製造業者が提供する一以上の集積回路、論理回路、マイクロプロセッサまたはコントローラによって実施できる。
【0010】
図示する例のプロセッサ116は、ローカルメモリ118(例えば、キャッシュメモリ)を含む。図示する例のプロセッサ116は、バス122を介して、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含むメインメモリ120と通信する。メインメモリ120の揮発性メモリは、同期型ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUSダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM)、および/または任意の他の種類のランダムアクセスメモリデバイスによって実施できる。メインメモリ120の不揮発性メモリは、フラッシュメモリおよび/または任意の他の所望の種類のメモリデバイスによって実施できる。メインメモリ120へのアクセスは、メモリコントローラによって制御される。
【0011】
図示する例のフローコンピュータ102は、一以上のインターフェース(複数可)124も含む。インターフェース(複数可)124は、イーサネット(登録商標)インターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)、PCIエクスプレスインターフェース、シリアル周辺インターフェース(SPI)バスなどの任意の種類のインターフェース規格、ならびに/または内部および/もしくは外部コンポーネント(複数可)と通信するための、SCADAおよび他のプロセス制御システムに利用されるインターフェース(例えば、Fieldbus、Profibus(登録商標)、HART(登録商標)、Modbus(登録商標)など)によって実施できる。これらのインターフェースによって、オペレータは、入力データ、コマンドおよび/または他の情報をフローコンピュータ102に入力し、かつ/またはフローコンピュータ102からデータおよび/または他の情報を受信する。図示する例の内部コンポーネント(複数可)は、例えば、表示画面、キーボード、ボタン、インジケータライトなどを含むことができるオペレータディスプレイ(例えば、オペレータディスプレイ126)などの、フローコンピュータ102に不可欠なコンポーネントを含む。図示する例の外部コンポーネント(複数可)は、例えば、SCADAホストシステム106および/または例えばラップトップコンピュータ、携帯フィールド通信機、プリンタなどの他の外部デバイス(複数可)108を含む。また、例示のフローコンピュータ102は、フィールド装置ならびに/または流量計104および/もしくは他の流量計110などのSCADAシステム100内の他のコンポーネントと相互作用できる。」

「【図1】



コ 周知技術の認定
(ア)引用文献3の記載事項(【0097】?【0099】、【図6】)及び引用文献4の記載事項(【0020】、【0025】、【図1】)から、次の技術事項は周知であると認められる(以下「周知技術1」という。)

[周知技術1]
「コリオリ流量計の電子装置が、流量校正係数(FCF)を記憶するメモリを備えること。」

(イ)引用文献5の記載事項(日本語訳の【0014】?【0015】、【0018】、【図1】)、引用文献6の記載事項(【0063】?【0064】)及び引用文献7の記載事項(【0027】、【図2】)から、次の技術事項は周知であると認められる(以下「周知技術2」という。)

[周知技術2]
「2つ以上の流量計センサアセンブリに対応して、流量計の電子装置を1つ設けること。」

サ 技術常識の認定
引用文献8の記載事項(段落【0004】?【0007】、【図1】)、引用文献9の記載事項(段落【0002】、【0005】?【0011】、【図1】)から、フローコンピュータについて次の技術常識が認定できる。

[技術常識]
「一般に、フローコンピュータとは、導管を通る流体の流れを測定する流量計に現場で接続・設置され、現場のオペレータがディスプレイを見ながら操作可能な電子機器であって、流量計から測定値を示す信号を受け取って、内部にあるプロセッサによって、当該信号を処理して所定の計算を行い、流体の流れを制御するためのバルブ、メータ、電子スイッチ等を自動制御する際に利用されるものであること。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明を対比する。

ア 引用発明の「コリオリ流量計」である「第1流量計108、第2流量計106及び第3流量計110」は、本件補正発明の「2つ以上のメータアセンブリ」に相当する。

イ 引用発明の「コンピュータシステム124」は、「第1、2及び3流量計108、106、110」「に接続され」た「フローコンピュータ」であり、「流量計106、108及び110からの質量流量測定値を受信」して、「物質収支、体積流量収支に関連した計算」「を実行するデータ処理装置によって実行可能なコンピュータソフトウェア命令を格納するコンピュータ読み取り可能な媒体を含」むから、引用発明の「コンピュータシステム124」は、「第1、2及び3流量計108、106、110」用の「フローコンピュータ」であるといえる。

ウ 上記(2)のサにおいて認定したフローコンピュータについての技術常識に沿って検討すると、引用発明の「フローコンピュータ」である「コンピュータシステム124」は、「第1、2及び3流量計108、106、110」に現場で接続・設置され、現場のオペレータがディスプレイを見ながら操作可能な電子機器であって、「流量計106、108及び110からの質量流量測定値を受信」して、内部にある「1つ以上のプロセッサ」によって信号を処理して、「物質収支、体積流量収支に関連した計算や、密度、導電率及び濃度を決定するための計算」を行い、「バルブ(第1バルブ122、第2バルブ116、三方バルブ112)に接続されており、命令を送信し、各バルブの状態を制御するもの」である。

エ 他方、本願明細書及び図面における「メータ電子機器」に係る記載を考慮すると、本件補正発明の「メータ電子機器」は、上述の意味でのフローコンピュータとしての機能を概ね有しているといえるものの、本願明細書の段落【0038】の「例えば、メータ電子機器100は、第1及び第2の駆動信号14a、14bを第1及び第2のメータアセンブリ10a、10bに供給することができる。特に、プロセッサ110は、1つ以上の信号プロセッサ120に信号を供給する。プロセッサ110によって供給される信号は、第1及び第2のメータアセンブリ10a、10bに供給される駆動信号の1つまたは複数のパラメータ(例えば、振幅、周波数、位相角など)を制御することができる。1つまたは複数の信号プロセッサ120は、プロセッサ110によって供給される信号を受信し、プロセッサ110によって供給される信号に基づいて、第1及び第2の駆動信号14a、14bを供給することができる。」という記載からみて、本件補正発明の「メータ電子機器」は、メータアセンブリに駆動信号を供給して、振幅、周波数、位相角などのパラメータを制御するものである。

オ そうすると、本件補正発明の「メータ電子機器」と引用発明の「コンピュータシステム124」は、2つ以上のメータアセンブリ用の電子機器であって、当該2つ以上のメータアセンブリからの測定値を示す信号を処理して所定の計算を行い、制御信号を供給する電子機器である点で共通するといえる。

カ 引用発明の「コンピュータシステム124」に含まれる「1つ以上のプロセッサ」及び「コンピュータ記憶媒体」は、それぞれ本件補正発明の「プロセッサ」及び「メモリ」に相当する。

キ 上記ア?カを総合すると、本件補正発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1及び相違点2で相違する。

[一致点]
「2つ以上のメータアセンブリ用の電子機器であって、
当該2つ以上のメータアセンブリからの測定値を示す信号を処理して所定の計算を行い、制御信号を供給する電子機器であり、
プロセッサと、メモリを備えた、電子機器。」

[相違点1]
本件補正発明は、「プロセッサ(110)に通信可能に連結され、第1のメータアセンブリ(10a)と第2のメータアセンブリ(10b)に通信可能に連結されるように構成された1つ以上の信号プロセッサ(120)」を備えており、メータアセンブリに駆動信号を供給して、振幅、周波数、位相角などのパラメータを制御する「メータ電子機器」であるのに対して、引用発明は、そのような「信号プロセッサ」を備えておらず、各バルブの状態を制御する命令を送信するものである点。

[相違点2]
「メモリ」について、本件補正発明は、「第1のメータアセンブリ(10a)に関連する第1の較正係数および第2のメータアセンブリ(10b)に関連する第2の較正係数を記憶した」ものであるのに対して、引用発明は、そのような較正係数を記憶したものであるか明らかではない点。

(4)判断
ア 相違点1について検討すると、本件補正発明の「1つ以上の信号プロセッサ(120)」に関し、本願明細書の段落【0032】には、「1つ以上の信号プロセッサ120を、第1及び第2のエンコーダ/デコーダ(CODEC)122、124とアナログ-デジタル変換器(ADC)126とで構成されたものとして示している。1つ以上の信号プロセッサ120はアナログ信号を調整し、調整されたアナログ信号をデジタル化し、かつ/もしくはデジタル化信号を供給してもよい。第1及び第2のCODEC122、124は、左右の第1及び第2のピックオフセンサ17al、17ar及び17bl、17brから左右のセンサ信号を受信するように構成されている。第1及び第2のCODEC122、124はまた、第1及び第2の駆動機構18a、18bに第1及び第2の駆動信号14a、14bを供給するように構成されている。」との記載がある(下線は当審が付した。)。

イ すなわち、前記段落【0032】の記載とともに、上記段落【0038】の記載も考慮すると、本件補正発明の「1つ以上の信号プロセッサ(120)」は、左右ピックオフセンサからの左右センサ信号及び温度センサからの信号を受信して、アナログ信号をデジタル信号に変換するとともに、振幅、周波数、位相角などのパラメータを制御する駆動信号をメータアセンブリに供給する「メータ電子機器」内の手段であると認められる。

ウ ここで、引用文献2記載事項の「メータ組立体10と接続されたメータ電子機器20」は、「メータ組立体10のピックオフセンサー170L及び170Rから左側速度信号及び右側速度信号」及び「温度センサー190からRTD温度信号を受け取り」、「左側速度信号及び右側速度信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し」、「左側速度信号及び右側速度信号並びにRTD温度信号を処理して、メータ組立体10を流れる物質の質量流量及び/又は密度を計算し」、「ドライブ機構180に向けてドライブ信号を発生し、第一の逆位相曲げモードと呼ばれるモードで互に反対方向にフローチューブ130及び130’を振動させる」ものであり、このような「第一の逆位相曲げモード」で「互に反対方向にフローチューブ130および130’を振動させる」「ドライブ信号」は、振幅、周波数、位相角などのパラメータを制御する駆動信号であるといえるから、本件補正発明の「メータ電子機器」の「1つ以上の信号プロセッサ」は、引用文献2記載事項に開示されているように公知のものである。

エ そして、引用発明の「第1流量計108、第2流量計106及び第3流量計110」は「コリオリ流量計」であり、各流量計の流管を振動させるための駆動信号が必要であることは自明であるから、当該駆動信号は「フローコンピュータ」である「コンピュータシステム124」から供給されると考えるのが自然である。
また、引用発明の「コンピュータシステム124」が「受信」する「流量計106、108及び110からの質量流量測定値」はいずれもアナログ信号であり、「物質収支、体積流量収支に関連した計算」はデジタル信号に変換後に行われると考えるのが自然であるから、引用発明の「コンピュータシステム124」はAD変換手段を備えていると認められる。

オ そうすると、引用発明の「コンピュータシステム124」に引用文献2記載事項を適用して、上記3つの流量計106、108及び110からの信号を受信してAD変換するとともに、流管の振動に係るパラメータを制御する駆動信号を上記3つの流量計に供給するメータ電子機器として構成することにより、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

カ 相違点2について検討すると、コリオリ流量計の電子装置が流量校正係数(FCF)を記憶するメモリを備えることは、周知の技術であり(周知技術1参照)、引用発明の「コリオリ流量計」である「第1、2及び3流量計108、106、110」「に接続され」た「コンピュータシステム124」に含まれる「コンピュータ記憶媒体」に上記周知技術1を適用して、各流量計に関連する較正係数(FCF)を「コンピュータ記憶媒体」に記憶するようにして、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

キ 本件補正発明の奏する効果についても、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術1から当業者が予測可能な範囲内のものにすぎず、格別顕著なものであるということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2記載事項及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ク なお、本件補正発明は、周知技術を示す文献として当審が新たに引用した引用文献3?7に記載された発明に基づいても当業者が容易に発明をすることができたものである。例えば、引用文献3を主引用例とした場合には、以下のように対比・判断される。
(ア)本件補正発明と引用文献3に記載された発明を対比すると、両者は、「メータアセンブリ用のメータ電子機器であって、プロセッサと、該プロセッサに通信可能に連結され、メータアセンブリに通信可能に連結されるように構成された1つ以上の信号プロセッサと、メータアセンブリに関連する較正係数を記憶したメモリを備えた、メータ電子機器。」という点で一致し、本件補正発明の「メータ電子機器」が「2つ以上のメータアセンブリ用」であり、「1つ以上の信号プロセッサ」や「メモリ」が「2つ以上のメータアセンブリ」に対応しているのに対して、引用文献3に記載された発明が、そのような構成を備えてない点で相違する。

(イ)しかしながら、2つ以上の流量計センサアセンブリに対応して、流量計の電子装置を1つ設けることは、周知の技術であり(周知技術2参照)、現場に設けられるメータの製造および維持費を削減することは、引用文献5の日本語訳の段落【0012】に記載されているように当業者ならば当然採用すべき設計指針であるから、かかる設計指針に従って引用文献3記載の発明に周知技術2を適用して、「メータ電子機器」を「2つ以上のメータアセンブリ用」とし、「1つ以上の信号プロセッサ」や「メモリ」を「2つ以上のメータアセンブリ」に対応させることにより、本件補正発明のごとく構成することは当業者が容易に想到し得たものである。

(ウ)したがって、本件補正発明は、引用文献3に記載された発明及び周知技術2に基づいても当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、以下の主張(ア)及び(イ)をしている。
(ア)「引用文献1にあっては、コンピュータシステム124は流量計106から、密度、質量流量、および体積流量値を受信するが、デジタル化されたセンサ信号を受信するのではない。従って、引用文献1のコンピュータシステム124は「コンピュータ記憶媒体を含むことができる」ものの、該コンピュータ記憶媒体にはセンサ信号を較正するための較正係数は記憶され得ないと解する。」

(イ)「引用文献2の明細書[0032]に「メータ組立体10は、1対のマニホルド150および150’と、…1対の速度(ピックオフ)センサー170Lおよび170Rとを有している。」とあるように、引用文献2は1つのメータ組立体10からの信号が、処理デバイス330に入力される内容を開示している。引用文献2には、本願のメモリ(130)に相当する構成は開示されていないが、たとえ本願のメモリ(130)に相当する構成が設けられたとしても、該メモリは2つのメータアセンブリ(10a)に関連する第1及び第2の較正係数を記憶し得ない。」

イ 主張(ア)について検討すると、「(4)判断」のエにおいて説示したように、引用発明では、「流量計106、108及び110からの質量流量測定値」をデジタル信号に変換した後に「物質収支、体積流量収支に関連した計算」が行われると考えるのが自然である。
また、カにおいて説示したとおり、コリオリ流量計の電子装置が流量校正係数(FCF)を記憶するメモリを備えることは、周知の技術であり(周知技術1参照)、引用発明の「コンピュータ記憶媒体」に各流量計に関連する較正係数(FCF)を記憶するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、請求人の主張(ア)を採用することはできない。

ウ 主張(イ)について検討すると、2つ以上の流量計センサアセンブリに対応して、流量計の電子装置を1つ設けることは、周知の技術であるから(周知技術2参照)、2つのメータアセンブリに関連する第1及び第2の較正係数を記憶するメモリを1つのメータ電子機器に設けることに当業者ならば格別の困難性はない。
よって、請求人の主張(イ)を採用することはできない。

(6)小括
上記検討内容をまとめると、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反する。
したがって、本件補正は、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2において説示したとおり却下されたので、本願の請求項1?15に係る発明は、令和元年8月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次に特定されるとおりである。

「【請求項1】
2つ以上のメータアセンブリ(10a、10b)用のメータ電子機器(100)であって、
プロセッサ(110)と、
該プロセッサ(110)に通信可能に連結された1つ以上の信号プロセッサ(120)を備え、
該1つ以上の信号プロセッサ(120)は第1のメータアセンブリ(10a)と第2のメータアセンブリ(10b)に通信可能に連結されるように構成された、メータ電子機器(100)。」

2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。

本願発明は、下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1:米国特許出願公開第2014/0202238号明細書
引用文献2:特表2013-536446号公報
(いずれも再掲)

3 引用文献に記載された事項
上記引用文献1には、前記第2の2(2)アにおける[引用発明]において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められ、上記引用文献2には、前記2の2(2)アにおける[引用文献2記載事項]において認定したとおりの技術事項が記載されていると認められる。

4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「第1のメータアセンブリ(10a)に関連する第1の較正係数および第2のメータアセンブリ(10b)に関連する第2の較正係数を記憶したメモリ(130)を備えた」という構成、すなわち、[相違点2]の構成(前記第2の2(3)キ参照)を省いたものであり、その他の構成は、本件補正発明の構成と実質的に同じである。
そうすると、相違点1の構成は、前記第2の2(4)において説示したとおり、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであり、格別顕著な効果を認めることはできないから、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-02-18 
結審通知日 2021-02-24 
審決日 2021-03-10 
出願番号 特願2018-544881(P2018-544881)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G08C)
P 1 8・ 575- Z (G08C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩本 太一菅藤 政明深田 高義  
特許庁審判長 岡田 吉美
特許庁審判官 濱野 隆
濱本 禎広
発明の名称 2つ以上のメータアセンブリ用のメータ電子機器  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  

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