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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G16H 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G16H |
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管理番号 | 1376621 |
審判番号 | 不服2019-17572 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-12-25 |
確定日 | 2021-08-06 |
事件の表示 | 特願2017-501128「疾病を準リアルタイムで監視するワイヤレスシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月24日国際公開、WO2015/143309、平成29年 6月15日国内公表、特表2017-516241〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2015年(平成27年)3月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年3月20日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成31年2月7日付けで拒絶理由が通知され、令和元年5月10日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年10月28日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年12月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 令和元年12月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和元年12月25日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「検査機器からデータを収集し送信するシステムであって、 複数の検査機器を含み、各検査機器は、テスト検定と対話する検出器を含み、 前記検査機器のそれぞれは、 (i)疾病関連分析物又は感染性病原体の存在に基づく検査結果を取得するために、テスト検定結果を検出及び分析することと、 (ii)前記テスト検定に複数の値を自動的に関連付けて、データセットを生成することであって、前記データセットは、前記検査機器のメモリ内に記憶され、前記複数の値は、テスト検定識別子、テスト検定結果、患者識別子、及び検査機器識別子のうちの1つ又は複数に関連する、生成することと、 (iii)前記データセットを第1のサーバに記憶させるために送信することと を実行するように構成され、 前記検査機器のそれぞれによって送信される前記データセットは、患者識別番号を省いたデータセットであり、前記システム内のサーバは、前記複数の検査機器内の各検査機器からの前記データセットに基づいて、データリポートを生成し、データベースサーバ又はエンドユーザワークステーションに収容されるデータベースに送信する、システム。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和元年5月10日になされた手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「検査機器からデータを収集し送信するシステムであって、 複数の検査機器を含み、各検査機器は、テスト検定と対話する検出器を含み、 前記検査機器は、 (i)疾病関連分析物又は感染性病原体の存在に基づく検査結果を取得するために、テスト検定結果を検出及び分析することと、 (ii)前記テスト検定に複数の値を自動的に関連付けて、データセットを生成することであって、前記データセットは、前記検査機器のメモリ内に記憶され、前記複数の値は、テスト検定識別子、テスト検定結果、患者識別子、及び検査機器識別子のうちの1つ又は複数に関連する、生成することと、 (iii)前記データセットを第1のサーバに記憶させるために送信することとを実行するように構成され、 前記システム内のサーバは、前記複数の検査機器内の各検査機器からの前記データセットに基づいて、データリポートを生成し、データベースサーバ又はエンドユーザワークステーションに収容されるデータベースに送信する、システム。」 2 補正の適否 上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「検査機器」及び「データセット」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献 ア 原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-10964号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次のとおりの記載がある。下線は、注目箇所に当審が付した。 【技術分野】 【0001】 本発明は、統計情報提供システム、統計情報提供サーバ、移動端末、端末、検査端末及びプログラムに関するものである。 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、従来では、簡便に病気であるか否かを検査できるものの、検査結果に基づく有益な情報を第三者に提供することができないという問題がある。 本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、病気の検査結果に基づく有益な情報を第三者に提供するための技術を提供する。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記問題を解決するために、本発明の一態様である統計情報提供システムは、被験者の疾病を検査するための検査端末と、疾病統計情報を生成するサーバとを含む統計情報提供システムであって、前記検査端末は、前記疾病を検査するための検査情報を取得する検査情報取得部と、前記検査情報を前記サーバに送信する送信部とを備え、前記サーバは、前記検査情報と前記被験者の位置情報とを受信する受信部と、前記検査情報と記憶部に記憶されている検査判定情報とを比較して前記疾病の有無又は程度を判定する手段を含む疾病判定部と、前記疾病判定部の判定結果である疾病判定情報と前記位置情報とに基づいて、前記疾病における地域別の前記疾病統計情報を作成する手段を含む疾病統計情報作成部と、前記疾病統計情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする。 【0016】 (第1の実施形態) 以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による統計情報提供システムを含むシステムの概念図である。図3乃至図6は、第1の実施形態による統計情報提供システムを説明するための説明図である。本発明の第1の実施形態による統計情報提供システム1は、図1に示すように、相互に通信する統計情報提供サーバ10と検査端末20とから構成される。検査端末20は、疾病(例えば、感染症の疾病、アレルギー性の疾病、等)の検査に用いる検査情報を取得するための端末である。統計情報提供サーバ10は、検査端末20からの送信される情報等に基づいて、疾病統計情報(詳細は後述)、外出動向情報(詳細は後述)を作成(生成)するためのサーバである。また、図1に示す、端末位置情報DB500、地図情報DB510、電子カルテDB520、検査判定情報DB540は、いずれも統計情報提供サーバ10の外部の記憶部(例、データベース)である。 【0023】 検査端末20は、検査デバイス80を装着する装着部(非図示)、入力受付部210、検査情報取得部220、送受信部240及び出力部250を備える。例えば、検査端末20は、検査デバイス80を用いて、遺伝子検査、微生物学的検査、免疫学的検査、生化学的検査、などの検査が可能である。 【0024】 検査情報取得部220は、検査デバイス80から、疾病の有無又は程度を判定するために用いられる検査情報を取得する。検査情報取得部220は、検査情報を取得した場合、当該検査情報を送受信部240に供給する。 【0025】 入力受付部210は、当該検査端末20の操作者(例えば、被験者)からの入力を受け付ける入力インターフェースを有する。入力受付部210は、操作者からの入力があった場合、入力情報を送受信部240に供給する。入力情報の一例は、被験者を特定する個人特定情報(例えば、個人ID)、被験者の属性情報(例えば、性別、生年月日、血液型、病歴(本人、家族)、医薬品の服用歴、家族構成等)である。入力受付部210は、操作者が直接入力した個人特定情報を受け付けてもよいし、操作者が入力した短縮コードに対応付けて登録されている個人特定情報を受け付けてもよい。また、入力受付部210は、操作者が直接入力した属性情報を受け付けてもよいし、先に受け付けた個人特定情報に対応付けて登録されている属性情報を受け付けてもよい。また、個人特定情報は、検査情報取得部220の検査によって得られる被験者のDNAに関する情報であってもよい。なお、検査情報取得部220は、被験者を特定する個人特定情報(例えば、DNAに関する情報)を含む検査情報を取得してもよい。また、検査情報取得部220が被験者を特定する個人特定情報を含む検査情報を取得した場合、操作者は、個人特定情報を入力しなくてもよい。 【0026】 送受信部240は、統計情報提供サーバ10に種々の情報を送信する。一例として、送受信部240は、検査情報取得部220から検査情報を取得した場合、当該検査情報を統計情報提供サーバ10に送信する。また、送受信部240は、入力受付部210から入力情報を取得した場合、当該入力情報を統計情報提供サーバ10に送信する。つまり、検査端末20から統計情報提供サーバ10への送信情報は、入力情報などに応じて異なる。 【0027】 例えば、送受信部240は、図3(a)に示すような、検査端末20を識別する端末ID(例、郵便番号+所定の数桁の英数字)、個人特定情報、及び、検査情報を含む送信情報を統計情報提供サーバ10に送信する。また例えば、送受信部240は、図3(b)に示すような、被験者の属性情報等を含む送信情報を統計情報提供サーバ10に送信してもよい。また例えば、送受信部240は、検査端末20の使用者(被験者)が一人に特定される場合には、統計情報提供サーバ10において検査端末20の端末IDから個人を特定することができるため、図3(c)に示すような、個人特定情報を含まない送信情報を統計情報提供サーバ10に送信してもよい。また例えば、送受信部240は、図3(d)に示すような、検査端末20の位置情報を含む送信情報を統計情報提供サーバ10に送信してもよい。 【0028】 なお、図3(d)における位置情報は、GPSを利用して取得されたものであってもよいし(なお、当該場合、検査端末20はGPS機能を有する)、基地局若しくは無線LANなどのアクセスポイントと通信することによって取得されたものであってもよい。 【0031】 統計情報提供サーバ10は、個人情報DB100、会員情報DB110、広告情報DB120、受信部130、疾病判定部140、疾病判定情報記憶部150、疾病統計情報作成部160、疾病統計情報記憶部170、及び、出力部180を備える。なお、受信部130、疾病判定部140及び疾病統計情報作成部160は纏めて疾病統計情報生成部165とも称される。また、後述するように疾病統計情報作成部160によって作成される疾病統計情報においては個人特定情報が秘匿化されるため疾病統計情報作成部160は秘匿化情報作成部とも称され、疾病統計情報記憶部170は秘匿化情報作成部とも称される。 【0032】 個人情報DB100は、例えば、図4(a)に示すような個人に関する個人情報を記憶する。図4(a)に示す例では、個人情報DB100は、個人特定情報、住所、氏名、連絡先、緊急連絡先、属性情報1?属性情報n(例えば、生年月日、性別、血液型、病歴(本人及び家族)、医薬品の服用歴、家族構成等)、認証用情報(例えば、パスワード、生体認証情報)、検査に利用する検査端末20の端末ID、所持する移動端末30の端末IDなどを記憶する。個人情報DB100は、例えば、個人特定情報、住所や属性情報1などを被験者の属性情報として記憶する。 【0042】 疾病判定部140は、疾病の有無又は程度を判定した場合、個人特定情報、属性情報、被験者の位置情報(例、検査端末20の位置情報、電子カルテDB520又は個人情報DB100の属性情報に基づく被験者の位置情報)、判定結果である疾病判定情報などを疾病判定情報記憶部150に記憶する。図4(d)は、疾病判定部140によって疾病判定情報記憶部150に記憶される情報の一例である、図4(d)に示す例では、疾病判定情報記憶部150は、判定日時、個人特定情報、属性情報1(例えば、生年月日)、属性情報2(性別)、検査端末20の位置情報、疾病判定情報、端末ID(検査端末、移動端末)を記憶する。 【0043】 疾病統計情報作成部160は、疾病判定部140の判定結果である疾病判定情報と被験者の位置情報(例、検査端末20の位置情報、電子カルテDB520又は個人情報DB100の属性情報に基づく被験者の位置情報)とに基づいて該位置情報に対応する地域における疾病を特定し、疾病別、地域別、属性別の疾病統計情報を作成する。一例として、疾病統計情報作成部160は、疾病判定情報記憶部150に記憶されている情報、地図情報DB510に記憶されている情報に基づいて疾病別、地域別、属性別の疾病統計情報を作成する。例えば、疾病統計情報作成部160は、疾病判定情報記憶部150に記憶されている判定日時を参照し、所定の時間(時間1という)内に判定されたデータを集計対象として、疾病別、地域別、属性別の疾病統計情報を作成する。但し、統計情報作成部160は、同一の被験者による短時間における重複した疾病判定情報が疾病統計情報に反映されないようにするため、所定の時間内(時間2:時間1と異なる時間であってもよい)における同一の被験者の疾病判定情報(即ち、同一の個人特定情報に係るレコード)が2以上存在するときは、当該2以上存在する疾病判定情報のうちの一の疾病判定情報(例えば、最新の疾病判定情報)に基づいて、疾病統計情報を作成する。 【0044】 例えば、疾病統計情報作成部160は、図5(a)に示すような、疾病別(疾病コード別、判定コード別)、地域別(地域コード別)、属性別(属性コード別)に集計した疾病統計情報を作成する。 【0045】 図5(a)における疾病コードは、疾病に関する集計単位を示すコードである。図5(a)における地域コードは、地域に関する集計単位を示すコードである。図5(a)における属性コードは、被験者の属性(年代・性別)に関する集計単位を示すコードである。なお、地域コードは、市町村コード、郵便番号などのような既存のコードであってもよいし、専用のコード(例えば、疾病統計情報の作成用に定めた商圏を示す商圏コード)であってもよい。 【0046】 図5(a)における判定コードは、各疾病コードによって示される各疾病について、疾病の有無又は程度に関する集計単位を示すコードである。判定コード「1」:「疾病無(未発病)」は、当該集計時現在(最新データ)において疾病が無く、かつ、過去(例えば、最新データ以外の過去所定期間のデータ)においても疾病が無かった状態である。判定コード「2」:「疾病無(回復)」は、当該集計時現在において疾病が無く、かつ、過去においては疾病が有った状態である。判定コード「3」:「疾病有(軽度)」は、当該集計時現在において軽度の疾病がある状態である。判定コード「4」:「疾病有(中度)」は、当該集計時現在において中度の疾病がある状態である。判定コード「5」:「疾病有(重度)」は、当該集計時現在において、重度の疾病がある状態である。 【0047】 人数│対人口比(今回)は、一の疾病コード、一の地域コード、一の属性コード、一の判定コードに関する今回の集計時における、集計人数/当該集計人数の対人口比率である。例えば、太枠内の人数(今回)「200(人)」は、疾病コード「A」、地域コード「C00001」、属性コード「1」、判定コード「5」である被験者の人数である。即ち、疾病統計情報作成部160は、所定の時間内に判定されたデータを集計対象として、疾病判定情報記憶部150に記憶されている被験者の位置情報(例、検査端末20の位置情報、電子カルテDB520又は個人情報DB100の属性情報に基づく被験者の位置情報)が地域コード「C00001」によって示される地域内であって、疾病判定情報記憶部150に記憶されている属性情報が属性コード「1」に属し、疾病判定情報記憶部150に記憶されている疾病判定情報が疾病コード「A」に係る程度「重度」である、レコード数(被験者の人数)を集計する。また、太枠内の対人口比(今回)「1(%)」は、当該地域の人口を母集団としたときの人数(今回)「200(人)」の割合である。即ち、疾病統計情報作成部160は、各地域コードの人口を記憶し(又は、各地域コードの人口を記憶する記憶部(非図示)を参照し)、地域コード「C00001」によって示される地域の人口(例えば、2万人とする)と、人数(今回)「200(人)」とから、対人口比(今回)「1(%)」を算出する。 【0048】 図5(a)における人数│対人口比(前回)は、一の疾病コード、一の地域コード、一の属性コード、一の判定コードに関する前回の集計時における、集計人数/当該集計人数の対人口比率である。疾病統計情報作成部160は、疾病統計情報の次回の作成に備えて、今回作成した疾病統計情報を一時記憶しておいてもよい。 【0049】 図5(a)における増減は、人数│対人口比(前回)に対する人数│対人口比(今回)の増減値である。例えば、太枠内の増減人数(人)「50(人)」は、人数(前回)「150(人)」から人数(今回)「200(人)」に増加した人数である。即ち、疾病統計情報作成部160は、人数(今回)「200(人)」から人数(前回)「150(人)」を減算し、増減人数(人)「50(人)」を算出する。また例えば、太枠内の増減人数(%)「133(%)」は、人数(前回)「150(人)」から人数(今回)「200(人)」に増加した割合(疾病の有無又は程度の時間的な変化率)である。即ち、疾病統計情報作成部160は、人数(今回)「200(人)」を人数(前回)「150(人)」によって除算し、増減人数(%)「133(%)」を算出する。また例えば、太枠内の対人口比増減率(%)「0.25(%)」は、対人口比(前回)「0.75(%)」から対人口比(今回)「1(%)」に増加した割合(疾病の有無又は程度の時間的な変化率)である。即ち、疾病統計情報作成部160は、対人口比(今回)から対人口比(前回)「0.75(%)」を減算し、対人口比増減率(%)「0.25(%)」を算出する。 【0050】 以上のように、疾病統計情報作成部160は、個人特定情報(図4(d)参照)を秘匿化した疾病統計情報(図5(a)参照)を作成する。なお、図5(a)に示す疾病統計情報は一例であって、疾病統計情報作成部160が作成する疾病統計情報は、これに限定されない。例えば、疾病統計情報作成部160は、図5(a)に示すような判定コードと異なる判定コード(例えば、各区分の内容が異なる判定コード、段階数が5段階でない判定コード)によって、疾病別(疾病コード別、判定コード別)、地域別(地域コード別)、属性別(属性コード別)の疾病統計情報を作成してもよい。また例えば、疾病統計情報作成部160は、年代及び性別の組合せによる図5(a)に示すような属性コードと異なる組合せによる属性コードによって、疾病別(疾病コード別、判定コード別)、地域別(地域コード別)、属性別(属性コード別)の疾病統計情報を作成してもよい。 【0052】 なお、疾病統計情報作成部160が疾病統計情報を作成するタイミングは、特に、限定するものではないが、例えば、所定の時間帯毎に、疾病統計情報を作成することが好ましい。 【0060】 出力部180は、各会員の指定出力時間に、各会員の指定出力先に、各会員に応じた疾病統計情報を出力する。一例として、出力部180は、疾病統計情報記憶部170に記憶されている指定出力時間情報による各会員の出力タイミングにて、疾病統計情報記憶部170に記憶されている疾病統計情報のなかから、各会員に応じた疾病統計情報を抽出し、会員情報DB100に記憶されている各会員の指定出力先情報によって示される指定出力先に出力する。上述の各会員に応じた疾病統計情報とは、一例として、各会員によって指定された地域、被験者の属性、疾病(症状に関する指定も含む)などに関する疾病統計情報である。なお、出力部180は、同一会員(同一会員の会員端末40)に対して、疾病統計情報及び外出動向情報の両方を出力してもよい。 【0088】 以上、第1の実施形態によれば、病気の検査結果に基づく有益な情報(疾病統計情報、外出動向情報)を作成し、第三者に提供することができるようになる。例えば、国又は地方自治体は、疾病統計情報(又は外出動向情報)に基づいて、疾病に絡む適切な対策(例えば、国民、住民への情報提供、やホームページ上に情報を掲載)を講じることができる。医療業者等は、疾病統計情報(又は外出動向情報)に基づいて、医薬品の調達、勤務時間(開業時間)の変更、患者へのアドバイスなどを行うことができる。医薬品の流通業者等は、疾病統計情報(又は外出動向情報)に基づいて、医薬品の仕入れ、物流計画などを検討することができる。学術・開発研究機関は、疾病統計情報(又は外出動向情報)を研究の基礎データとして活用することができる。教育・学習支援業者は、疾病統計情報(又は外出動向情報)に基づいて、休校(休講)などを検討することができる。情報通信業者は、疾病統計情報(又は外出動向情報)に基づいて、疾病の流行に伴う回線の輻輳などに備えることができる。また、消費者向けの物品(医薬品を含む)の流通業者(卸売業者、小売業者)は、外出動向情報(又は疾病統計情報)に基づいて、消費者の出足を予測し、物品の仕入れ、物流計画などを検討することができる(宿泊業者、飲食サービス業者、生活関連サービス業者、娯楽業者、運輸業者、郵便業者についても同様である)。 【0091】 (第2の実施形態) 以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について説明する。図8は、本発明の第2の実施形態による統計情報提供システムを含むシステムの概念図である。図9は、第2の実施形態による統計情報提供システムを説明するための説明図である。本発明の第2の実施形態による統計情報提供システム2は、図8に示すように、相互に通信する統計情報提供サーバ11と検査端末21とから構成される。検査端末21は、疾病の検査に用いる検査情報を取得するための端末である。統計情報提供サーバ11は、検査端末21からの送信される情報等に基づいて、疾病統計情報、外出動向情報を作成(生成)するためのサーバである。 【0092】 第1の実施形態においては、図1に示すように、疾病の有無又は程度を判定する疾病判定部140は統計情報提供サーバ10側に存在する態様であったが、第2の実施形態においては、図8に示すように、疾病の有無又は程度を判定する疾病判定部230は検査端末21側に存在する態様である。即ち、第1の実施形態においては、検査端末20が検査情報等を統計情報提供サーバ10に送信し、統計情報提供サーバ10が疾病の有無又は程度を判定する態様であったが、第2の実施形態においては、検査端末21が疾病の有無又は程度を判定し、疾病判定情報等を統計情報提供サーバ11に送信する態様である。なお、疾病判定部230は、第1の実施形態における疾病判定部140と同等の処理を行うことが可能である。 【0093】 図9は、検査端末21の送受信部240によって送信される送信情報の一例である。例えば、送受信部240は、図9(a)に示すような、検査端末21を識別する端末ID、個人特定情報、検査情報、及び、疾病判定情報を含む送信情報を統計情報提供サーバ11に送信する。なお、統計情報提供サーバ11において検査情報を電子カルテDB520に記憶しない態様の場合には、送受信部240は検査情報を統計情報提供サーバ11に送信しなくてもよい。また例えば、送受信部240は、図9(b)に示すような、被験者の属性情報を含む送信情報を統計情報提供サーバ10に送信してもよい。また例えば、送受信部240は、図9(c)に示すような、個人特定情報を含まない送信情報を統計情報提供サーバ10に送信してもよい。また例えば、送受信部240は、図9(d)に示すような、被験者の位置情報(例、検査端末21の位置情報、電子カルテDB520又は個人情報DB100の属性情報に基づく被験者の位置情報)を含む送信情報を統計情報提供サーバ10に送信してもよい。 【0094】 以下、図10を用いて、統計情報提供システム1の処理の流れを説明する。本フローチャートは、検査端末21が検査情報を取得することにより開始する。なお、図10の左側は検査端末21、中央は統計情報提供サーバ11の処理、右側は会員端末40の処理の流れを示している。 【0095】 検査端末21の検査情報取得部220は、疾病を検査するための検査情報を取得する(ステップS500)。検査情報取得部220は、検査情報を疾病判定部230に供給する。なお、検査情報取得部220は、入力受付部210から入力情報を取得していた場合、当該入力情報とともに検査情報を疾病判定部230に供給する。 【0096】 疾病判定部230は、受信部130から取得した情報(検査情報等)を用いて、疾病の有無又は程度を判定する(ステップS520)。疾病判定部230は、受信部130から取得した情報(検査情報等)、判定結果である疾病判定情報を統計情報提供サーバ11に送信する(ステップS530) (当審注:「受信部130から取得した情報(検査情報等)」とあるのは、図8及び【0095】の記載からみて、「検査情報取得部220から取得した情報(検査情報等)」の誤記である。) 【0097】 統計情報提供サーバ11の受信部130は、検査端末21によって送信された情報を受信する(ステップS600)。受信部130は、疾病統計情報作成部160及び出力部180の処理に必要となる情報であって検査端末21から受信した情報に含まれていなかった情報を、電子カルテDB520、個人情報DB100及び端末位置情報DB500にアクセスして受信する(ステップS610)。受信部130は、個人特定情報、属性情報、被験者の位置情報(例、検査端末21の位置情報、電子カルテDB520又は個人情報DB100の属性情報に基づく被験者の位置情報)、疾病判定情報などを疾病判定情報記憶部150に記憶する。また、受信部130は、検査端末21から受信した情報、電子カルテDB520及び個人情報DB100から受信した情報を出力部180に供給する。 【0098】 出力部180は、受信部130から取得した情報(個人特定情報、属性情報、検査情報)を電子カルテDB520に記憶する(ステップS620)。 【0099】 疾病統計情報作成部160は、疾病判定情報記憶部150に記憶されている疾病判定情報と被験者の位置情報(例、検査端末21の位置情報、電子カルテDB520又は個人情報DB100の属性情報に基づく被験者の位置情報)とに基づいて疾病統計情報を作成する(ステップS630)。例えば、疾病統計情報作成部160は、疾病別、地域別、属性別の疾病統計情報を作成する。また、疾病統計情報作成部160は、疾病統計情報に基づいて、地域住民の外出動向(外出指数)を示す外出動向情報を作成する(ステップS64 0)。疾病統計情報作成部160は、疾病統計情報及び外出動向情報を疾病統計情報記憶部170に記憶する。 【0100】 出力部180は、疾病統計情報記憶部170に記憶されている被験者と同じ地域の疾病統計情報を被験者の検査端末21(又は移動端末30)に送信する(ステップS650)。 【0101】 検査端末21の送受信部240は、統計情報提供サーバ11によって送信された疾病統計情報を受信する(ステップS540)。送受信部240は、受信情報(疾病統計情報)を出力部250に供給する。出力部250は、送受信部240から取得した情報(疾病判定情報及び疾病統計情報)を表示する(ステップS550)。なお、検査端末21(出力部250)は、疾病統計情報に基づく情報(非図示の処理部によって疾病統計情報を加工した情報)を表示してもよい。 【0102】 また、統計情報提供サーバ11の出力部180は、各会員の指定出力時間に応じて、各会員の指定出力先に、各会員に応じた疾病統計情報を出力する(ステップS660)。なお、出力部180は、疾病統計情報とともに広告情報を出力してもよい。出力部180は、課金実績情報(疾病統計情報提供の対価)を会員情報DB100に記憶する(ステップS670)。 【0103】 会員端末40の送受信部410は、統計情報提供サーバ11によって送信された疾病統計情報を受信する(ステップS800)。送受信部410は、受信情報(疾病統計情報)を出力部420に供給する。 【0104】 また、統計情報提供サーバ11の出力部180は、各会員の指定出力時間に応じて、各会員の指定出力先に、各会員に応じた指定地域の外出動向情報を出力する(ステップS680)。なお、出力部180は、外出動向情報とともに、広告情報を出力してもよい。出力部180は、課金実績情報(外出動向情報提供の対価)を会員情報DB100に記憶する(ステップS690)。また、例えば、統計情報提供サーバ11は、会員情報DB100から該課金実績情報を読み出してその課金実績情報に基づく請求金額情報を生成して、該請求金額情報を印刷サーバPS又は会員端末40に出力部180を介して出力する。これによって、ユーザは、課金実績情報に基づく情報提供の対価を会員に請求することができる。 【0105】 会員端末40の送受信部410は、統計情報提供サーバ11によって送信された外出動向情報を受信する(ステップS810)。送受信部410は、受信情報(外出動向情報)を出力部420に供給する。 【0106】 会員端末40の出力部420は、送受信部410から取得した情報(疾病統計情報及び外出動向情報)を表示する(ステップS820)。なお、会員端末40(出力部420)は、疾病統計情報に基づく情報又は外出動向情報に基づく情報(非図示の処理部によって疾病統計情報を加工した情報)を表示してもよい。そして、本フローチャートは終了する。 【0107】 以上、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、病気の検査結果に基づく有益な情報(疾病統計情報、外出動向情報)を作成し、第三者に提供することができるようになる。 【0111】 また、上述の第1の実施形態において、検査端末20は、検査デバイス80を装着する装着部を備え、検査デバイス80から検査情報を取得すると説明したが、検査端末20は、他の装置によって取得された検査情報を、有線又は無線通信によって、又は、USBメモリなどの媒体を介して、取得してもよい。これは上述の第2の実施形態についても同様である。 【0113】 また、上述の第1の実施形態において、統計情報提供サーバ10が、個人情報DB100、会員情報DB110及び広告情報DB120を備える構成を説明したが、個人情報DB100、会員情報DB110及び広告情報DB120は、統計情報提供サーバ10の外部に存在してもよい。これは上述の第2の実施形態についても同様である。 引用文献1の上記記載によれば、第2の実施形態に関し、以下のことがいえる。 (ア) 図8、【0091】の記載によると、引用文献1には、「検査端末と、前記検査端末と相互に通信可能な情報提供サーバとから構成される統計情報提供システム。」が記載されている。 (イ) 図8によれば、上記(ア)の「検査端末」は、入力受付部と、検査情報取得部と、疾病判定部と、送受信部とを有し、【0095】、【0096】の記載によると、「検査情報取得部」は、検査情報と入力受付部からの入力情報とを疾病判定部に供給するものであり、【0093】、【0095】、【0096】の記載及び図9(b)によると、「疾病判定部」は、検査情報取得部から取得した検査情報等を用いて、疾病の有無又は程度を判定し、検査端末を識別する端末ID、個人特定情報、検査情報、及び、判定結果である疾病判定情報を含む送信情報を統計情報提供サーバに送信するものである。 【0092】の記載によると、第2の実施形態では、疾病判定部が検査端末側にあること以外は、第1の実施形態と同じと考えてよく、図8に「検査デバイス」との記載があること、【0111】の記載によると、第2の実施形態においても、装着部を備えること、検査可能な内容は、第1の実施形態と同様と考えてよいから、【0016】、【0023】の記載から、上記(ア)の「検査端末」は、疾病(例えば、感染症の疾病、アレルギー性の疾病)の検査に用いられる検査情報を取得するための端末であり、検査デバイスを装着する装着部を有し、検査デバイスを用いて、遺伝子検査、微生物学的検査、免疫学的検査、生化学的検査などの検査が可能なものであるといえる。 上記の「検査情報取得部」は、第1の実施形態の【0024】の記載によると、検査デバイスから、検査情報を取得するものであり、上記の「入力受付部」は、第1の実施形態の【0025】の記載によると、操作者から、被験者を特定する個人特定情報(例えば、個人ID)、被験者の属性情報(例えば、性別、生年月日、血液型、病歴(本人、家族)、医薬品の服用歴、家族構成等)の入力を受け付けるものであり、受け付けた個人特定情報に対応付けて登録されている属性情報を受け付けてもよいものである。 よって、上記(ア)の「検査端末」は、「疾病(例えば、感染症の疾病、アレルギー性の疾病)の検査に用いられる検査情報を取得するための端末であり、検査デバイスを装着する装着部と、入力受付部と、検査情報取得部と、疾病判定部と、送受信部とを有し、前記装着部に装着された検査デバイスを用いて、遺伝子検査、微生物学的検査、免疫学的検査、生化学的検査などの検査が可能なものであり、前記入力受付部は、操作者から、被験者を特定する個人特定情報(例えば、個人ID)の入力を受け付け、個人特定情報に対応付けて登録されている被験者の属性情報(例えば、性別、生年月日、血液型、病歴(本人、家族)、医薬品の服用歴、家族構成等)を受け付け、前記検査情報取得部は、装着部に装着された検査デバイスから検査情報を取得し、当該検査情報と前記入力受付部で受け付けられた前記個人特定情報と前記属性情報とを前記疾病判定部に供給し、前記疾病判定部は、供給された検査情報等を用いて、疾病の有無又は程度を判定し、検査端末を識別する端末ID、個人特定情報、検査情報、及び、判定結果である疾病判定情報を含む送信情報を統計情報提供サーバに送信する」ものである。 (ウ) 図8によると、上記(ア)の「統計情報提供サーバ」は、疾病判定情報記憶部と疾病統計情報作成部と疾病統計情報記憶部とを有し、上記(イ)、【0042】、【0097】、【0099】の記載、図9(d)によると、前記検査端末から送信された前記送信情報を受信し、判定日時、個人特定情報、属性情報、疾病判定情報、端末IDを含む情報を疾病判定情報記憶部に記憶するものであり、上記の「疾病統計情報作成部」は、疾病判定情報記憶部に記憶されている疾病判定情報等に基づいて、疾病別、地域別、属性別等に集計した疾病統計情報を作成し、当該疾病統計情報を疾病統計情報記憶部に記憶するものであり、【0102】、【0103】の記載によると、「統計情報提供サーバ」は、会員端末に疾病統計情報を送信するものである。 第2の実施形態では、疾病判定部が検査端末側にあること以外は、第1の実施形態と同じと考えてよいから、第2の実施形態の疾病統計情報の作成は、第1の実施形態と同様であり、【0042】、【0050】の記載によると、「疾病統計情報作成部」は、個人特定情報を秘匿化して疾病統計情報を作成するものであるといえる。 よって、上記(ア)の「統計情報提供サーバ」は、「疾病判定情報記憶部と疾病統計情報作成部と疾病統計情報記憶部とを有し、前記検査端末から送信された前記送信情報を受信し、判定日時、個人特定情報、属性情報、疾病判定情報、端末IDを含む情報を前記疾病判定情報記憶部に記憶し、前記疾病統計情報作成部は、前記疾病情報記憶部に記憶されている疾病判定情報等に基づいて、個人特定情報を秘匿化して、疾病別、地域別、属性別等に集計した疾病統計情報を作成し、当該疾病統計情報を疾病統計情報記憶部に記憶し、前記統計情報提供サーバは、会員端末に疾病統計情報を送信する」ものである。 (エ) 以上、(ア)?(ウ)によると、引用文献1には、 「検査端末と、前記検査端末と相互に通信可能な情報提供サーバとから構成される統計情報提供システムであって、 前記検査端末は、疾病(例えば、感染症の疾病、アレルギー性の疾病)の検査に用いられる検査情報を取得するための端末であり、検査デバイスを装着する装着部と、入力受付部と、検査情報取得部と、疾病判定部と、送受信部とを有し、前記装着部に装着された検査デバイスを用いて、遺伝子検査、微生物学的検査、免疫学的検査、生化学的検査などの検査が可能なものであり、 前記入力受付部は、操作者から、被験者を特定する個人特定情報(例えば、個人ID)の入力を受け付け、個人特定情報に対応付けて登録されている被験者の属性情報(例えば、性別、生年月日、血液型、病歴(本人、家族)、医薬品の服用歴、家族構成等)を受け付け、 前記検査情報取得部は、前記装着部に装着された検査デバイスから検査情報を取得し、当該検査情報と前記入力受付部で受け付けられた前記個人特定情報と前記属性情報とを前記疾病判定部に供給し、 前記疾病判定部は、供給された検査情報等を用いて、疾病の有無又は程度を判定し、検査端末を識別する端末ID、個人特定情報、検査情報、及び、判定結果である疾病判定情報を含む送信情報を統計情報提供サーバに送信し、 前記統計情報提供サーバは、疾病判定情報記憶部と疾病統計情報作成部と疾病統計情報記憶部とを有し、前記検査端末から送信された前記送信情報を受信し、判定日時、個人特定情報、属性情報、疾病判定情報、端末IDを含む情報を疾病判定情報記憶部に記憶し、 前記疾病統計情報作成部は、疾病情報記憶部に記憶されている疾病判定情報等に基づいて、個人特定情報を秘匿化して、疾病別、地域別、属性別等に集計した疾病統計情報を作成し、当該疾病統計情報を疾病統計情報記憶部に記憶し、 前記統計情報提供サーバは、会員端末に疾病統計情報を送信する、 情報提供システム。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 イ 当審において、新たに引用する特開2007-141192号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次のとおりの記載がある。下線は、注目箇所に当審が付した。 【技術分野】 【0001】 本発明は機微な個人情報を含む入力ファイルを処理し出力ファイルを生成するデータ処理制御装置、データベース、情報処理・制御方法及びプログラム記録媒体に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より統計調査の目的で個人情報を含むデータを電子的に収集、集計処理することが行われてきた。このプロセスは、1)データの保有者からのデータ提供、2)収集集計処理者におけるデータ処理、3)利用者におけるデータ参照利用の3つのステップからなるが、1)のステップ、データの保有者からのデータ提供において個人情報を含むデータの提供が、情報漏洩、事故予防の点から、また近年の国際的な法規制強化の点から制限され、その結果として収集集計処理者におけるデータ処理が制約され、統計調査目的であっても利用者が参照利用したいデータが制約されるという課題が生じてきていた。 【0003】 例えば健康診断、医療診断、処方調剤など医療情報の加齢に伴う経年的な傾向を追う場合、個人が識別されないデータでは、これが困難となる。 【0004】 また個人の氏名、住所など個人の基本情報の代わりとして個人を識別する番号を用いた 場合、前記医療情報など機微な情報を扱う場合においては、個人を識別する情報が漏洩し、それにより機微な情報が個人特定された場合の影響が甚大であり、予め漏洩対策を考慮する必要がある。また漏洩対策が用意されていなければ機微な情報に関するデータ提供は事実上実施できない。 【0005】 このように機微な情報を扱う統計調査、そのデータ処理においては、他の情報を容易に照合することができる場合を含め、個人を識別する情報を与えずに、また万一、個人を識別する情報の漏洩した場合でも、機微な情報と個人を特定できないようにし、かつ統計調査の利用目的の妨げにならないようなデータ処理技術が必要であるが、これまでこれを十分安全にかつ系統的に対応できるデータ処理制御装置はなかった。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は上記説明の従来の技術では解決されていない課題を解決するデータ処理制御装置である。 従来の技術による課題とはすなわち以下の通りである。 個人情報および機微な情報を扱う統計調査、そのデータ処理における、データの保有者からのデータ提供のステップにおいて、他の情報を容易に照合することができる場合を含め、個人を識別する情報を与えずに、また万一、個人を識別する情報の漏洩した場合でも、機微な情報と個人を特定できないようにし、かつ統計調査の利用目的の妨げにならないようなデータ処理技術が必要であるが、これまでこれを十分安全にかつ系統的に対応できるデータ処理制御装置はなかった。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明は上記従来の技術の課題を有効に解決するため、個人情報および機微な情報を含む入力ファイルから、個人単位での経年変化を統計的追跡することが可能でかつ機微な情報を個人情報から分離した出力ファイルを生成し、データ処理制御装置やその一部を構成するデータベースの一部またはすべてが漏洩しても出力ファイル中の機微な情報と個人を特定することができないデータ処理制御装置である。 【発明の効果】 【0008】 本発明によれば、個人情報および機微な情報を含むデータ、ファイルから、データの保有者は、機微な情報を取り扱う上で考慮すべき情報漏洩対策に対応して安全に、統計調査用のデータ、ファイルを生成し、かつそのデータ、ファイルを収集、集計した統計調査において個人単位での加齢に伴う経年変化を統計的追跡することが可能である。 【0011】 図1において、個人情報を含むファイル(101)は、個人情報および機微な情報を含むデータ、ファイルであり、これを入力ファイルとして、データ処理制御装置(102)は図2に説明される情報処理・制御方法により、個人名寄せデータベース(103)とファイル集計一時データベース(104)を使い分け、個人情報抹消済みファイル(105)と集計情報ファイル(106)を出力ファイルとして生成する。 【0020】 この識別番号は個人名寄せデータベース(103)において機械的にただし一意的に付与される番号であり、それ自体が電話番号とか、被保険者番号のように現実の世界で個人情報として意味を持つものではない。しかし、個人情報と紐付けられた識別番号であることは間違いなく、個人名寄せデータベース(103)が漏洩した場合は、先に述べた「他の情報を容易に照合することができる場合」に相当し、かつこの識別番号が、機微な情報を含むファイルに仮に付与されていれば重大な事態を招くことになる。本発明では識別番号を一切機微な情報に付与することなく以下処理を行う。 【0022】 次にステップ207においてステップ202に入力ファイルから読み込まれたデータのうち、個人情報、個人を識別しうる情報を定義に従い抹消したものを個人情報抹消済みファイル(105)として出力する。ここでいう定義は、別途定義ファイルとして、また別途データベースとして、またプログラム中に記憶されている。 【0030】 以上、実施例1として本発明の基本的な装置構成と情報処理・制御方法を説明したが、当発明で特徴的であるのは、機微な情報な情報を含む出力ファイルである個人情報抹消済みファイル(105)には、個人の特定につながる一切の情報を付与することなく、また本発明によるにデータ処理制御装置やその一部を構成するデータベースの一部またはすべてが漏洩したとしても、個人情報抹消済みファイル(105)に対して特定個人への紐付け、関係付け可能な他の情報が一切存在しない仕組みとなっているということ、かつ統計調査の目的を達するにあたり、十分な属性情報を集計情報ファイル(106)より得ることができ、また経年変化、経時変化を追跡することも同じく集計情報ファイル(106)より得ることができるという点にある。 以上、上記記載によると、引用文献2には、 「個人情報を含む医療情報に関するデータを統計調査の目的で、データ保有者から提供する場合、識別番号を含む個人の特定につながる一切の情報を抹消してデータを提供することにより、個人情報の漏洩を防止すること」(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されている。 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「検査端末」、「検査デバイス」は、それぞれ、本件補正発明の「検査機器」、「テスト検定」に相当し、引用発明において、検査端末の検査情報取得部が、装着部に装着された検査デバイスから検査情報を取得することは、検査端末が、検査デバイスに対して、検査情報を取得するための何らかの操作を行い、検査情報取得部が検査デバイスから、遺伝子、微生物、免疫、生化学などに関する物理的な値を検査情報として検出することであるから、引用発明の「検査情報取得部」は、本件補正発明の「検出器」の機能を有し、引用発明の検査端末の「検査情報取得部」は、検査デバイスと対話しているといえる。 よって、引用発明の「検査端末」が、「装着部」に装着された「検査デバイス」から検査情報を取得する「検査情報取得部」を備えることは、本件補正発明の「検査機器は、テスト検定と対話する検出器を含」むことに相当する。 そして、引用発明の「検査端末」は、「端末ID」で識別されるから、1つに限られたものではなく、複数であることは明らかであり、また、検査端末のそれぞれは、同様の構成であることは明らかである。 よって、引用発明の「情報提供システム」は、本件補正発明と同様に「複数の検査機器を含み、」「前記検査機器のそれぞれは、」同様の構成を有するものであるといえる。 イ 引用発明の、感染症やアレルギー性の疾病による検査を行うための、検査デバイスを用いた遺伝子検査、微生物学的検査、免疫学的検査、生化学的検査は、本件補正発明と同様の「疾病関連分析物又は感染性病原体の存在に基づく検査」といえるから、引用発明の「検査端末」が、感染症やアレルギー性の疾病による検査を行うために、検査デバイスを用いて遺伝子検査、微生物学的検査、免疫学的検査、生化学的検査のための検査情報を取得し、疾病判定部により、疾病の有無又は程度を判定した検査結果を得ることは、本件補正発明の「(i)疾病関連分析物又は感染性病原体の存在に基づく検査結果を取得するために、テスト検定結果を検出及び分析すること」に相当する。 ウ 引用発明の「検査端末」において、「入力受付部」が、個人特定情報を受け付け、個人特定情報に対応付けて登録されている属性情報を受け付けることは、個人特定情報を入力することにより、個人特定情報と属性情報とが、検査対象の検査デバイスに、自動的に関連して生成されることにほかならない。 引用発明において、「検査端末」から「検査端末を識別する端末ID、個人特定情報、検査情報、及び、判定結果である疾病判定情報を含む送信情報」が「統計情報提供サーバ」に送信されるから、検査端末が、送信情報を記憶するメモリを備えていることは明らかである。 引用発明の「検査端末を識別する端末ID」、「個人特定情報」、「判定結果である疾病判定情報」は、それぞれ、本件補正発明の「検査機器識別子」、「患者識別子」、「テスト検定結果」に相当するから、引用発明の「検査端末を識別する端末ID、個人特定情報、検査情報、及び、判定結果である疾病判定情報を含む送信情報」は、本件補正発明の選択的に記載された「テスト検定識別子、テスト検定結果、患者識別子、及び検査機器識別子のうちの1つ又は複数」のうちの「テスト検定識別子」を除いた「テスト検定結果、患者識別子、及び検査機器識別子のうちの1つ又は複数」に相当する。 そして、引用発明の「検査端末を識別する端末ID、個人特定情報、検査情報、及び、判定結果である疾病判定情報を含む送信情報」は、「検査デバイス」に関連し、「複数の値を持つデータセット」ということができるから、引用発明において、「検査端末を識別する端末ID、個人特定情報、検査情報、及び、判定結果である疾病判定情報を含む送信情報」を検査デバイスに自動的に関連して生成し、検査端末のメモリに記憶させることは、本件補正発明の選択的に記載された「テスト検定識別子」を除いた「(ii)前記テスト検定に複数の値を自動的に関連付けて、データセットを生成することであって、前記データセットは、前記検査機器のメモリ内に記憶され、前記複数の値は、テスト検定結果、患者識別子、及び検査機器識別子のうちの1つ又は複数に関連する、生成すること」に相当する。 エ 引用発明の「統計情報提供サーバ」は、本件補正発明の「第1のサーバ」に相当し、引用発明において、「検査端末」が、「検査端末を識別する端末ID、個人特定情報、検査情報、及び、判定結果である疾病判定情報を含む送信情報」を「統計情報提供サーバ」に送信し、当該送信情報が、統計情報提供サーバにより、疾病判定情報記憶部に記憶されることは、本件補正発明の「(iii)前記データセットを第1のサーバに記憶させるために送信すること」に相当する。 オ 本件補正発明の「前記システム内のサーバ」は、前記「第1のサーバ」のことであることは明らかであり、引用発明の「情報提供システム」の「統計情報提供サーバ」は、本件補正発明の「システム内のサーバ」に相当し、引用発明の「疾病統計情報」は、本件補正発明の「データリポート」に相当するものであり、引用発明の「統計情報提供サーバ」の「疾病統計情報作成部」が、複数の検査端末から送信され、疾病判定情報記憶部に記憶された「判定日時、個人特定情報、属性情報、疾病判定情報、端末IDを含む情報」を集計して「疾病統計情報」を作成することは、本件補正発明の「前記システム内のサーバは、前記複数の検査機器内の各検査機器からの前記データセットに基づいて、データリポートを生成」することに相当する。 そして、引用発明の「統計情報提供サーバ」の「疾病統計情報作成部」は、作成した疾病統計情報を統計情報提供サーバ内の疾病統計時報記憶部に記憶し、また、引用発明の「統計情報提供サーバ」は疾病統計情報を会員端末に送信するものであるから、引用発明の「疾病統計情報記憶部」と本件補正発明の「データベースサーバ」とは、いずれも、「データ記憶手段」である点で共通し、また、引用発明の「会員端末」と、本件補正発明の「エンドユーザワークステーション」とは、いずれも、「エンドユーザ端末」である点で共通する。 よって、引用発明の「統計情報提供サーバ」の「疾病統計情報作成部」が、複数の検査端末から送信され、疾病判定情報記憶部に記憶された「判定日時、個人特定情報、属性情報、疾病判定情報、端末IDを含む情報」を集計して「疾病統計情報」を作成し、「統計情報提供サーバ」の「疾病統計情報作成部」は、作成した疾病統計情報を「統計情報提供サーバ」内の「疾病統計時報記憶部」に記憶し、また、「統計情報提供サーバ」は「疾病統計情報」を「会員端末」に送信することは、本件補正発明の「前記システム内のサーバは、前記複数の検査機器内の各検査機器からの前記データセットに基づいて、データリポートを生成し、データベースサーバ又はエンドユーザワークステーションに収容されるデータベースに送信する」ことと、いずれも、「前記システム内のサーバは、前記複数の検査機器内の各検査機器からの前記データセットに基づいて、データリポートを生成し、データ記憶手段又はエンドユーザ端末に送信する」点で共通する。 カ 引用発明の「情報提供システム」は、「統計情報提供サーバ」が、「検査端末」から「送信情報」を受信し、疾病統計情報を疾病統計情報記憶部に記憶し、また、疾病統計情報を会員端末に送信するから、本件補正発明と同様の「検査機器からデータを収集し送信するシステム」であるといえる。 キ 以上、上記ア?カによると、本件補正発明と引用発明とは次の一致点、相違点を有する。 [一致点] 検査機器からデータを収集し送信するシステムであって、 複数の検査機器を含み、各検査機器は、テスト検定と対話する検出器を含み、 前記検査機器のそれぞれは、 (i)疾病関連分析物又は感染性病原体の存在に基づく検査結果を取得するために、テスト検定結果を検出及び分析することと、 (ii)前記テスト検定に複数の値を自動的に関連付けて、データセットを生成することであって、前記データセットは、前記検査機器のメモリ内に記憶され、前記複数の値は、テスト検定結果、患者識別子、及び検査機器識別子のうちの1つ又は複数に関連する、生成すること (iii)前記データセットを第1のサーバに記憶させるために送信することと を実行するように構成され、 前記検査機器のそれぞれによって送信される前記データセットは、前記システム内のサーバは、前記複数の検査機器内の各検査機器からの前記データセットに基づいて、データリポートを生成し、データ記憶手段又はエンドユーザ端末に送信する、システム。」 [相違点1] 検査機器のそれぞれによって送信されるデータセットが、本件補正発明では、患者識別番号を省いたデータセットであるのに対し、引用発明では、疾病統計情報を作成するときに、個人特定情報を秘匿しているものの、検査機器から送信されるデータセットには患者識別番号を含んでいる点。 [相違点2-1] データリポートが送信される「データ記憶手段又はエンドユーザ端末」の「データ記憶手段」が、本件補正発明では、「データベースサーバ」であるのに対し、引用発明では、「サーバ内の疾病統計情報記憶部」である点。 [相違点2-2] データリポートが送信される「データ記憶手段又はエンドユーザ端末」の「エンドユーザ端末」が、本件補正発明では、「エンドユーザワークステーションに収容されるデータベース」であるのに対し、引用発明では、会員端末であり、どのような端末か特定されていない点。 (4)判断 上記[相違点1]、[相違点2-1]及び[相違点2-2]について検討する。 ア[相違点1]について 個人情報の漏洩を防止するということは周知の課題であり、統計調査の目的で医療情報データを提供する場合に、識別番号を含む個人情報を抹消して提供することは引用文献2記載技術のように周知技術であるから、引用発明において、個人情報の漏洩防止を確実にするために、検査機器から統計情報を作成するサーバに検査に係るデータセットを送信する際に、データセットから個人識別情報を省いて送信することは当業者が容易に想到し得た事項である。 イ [相違点2-1]について 引用文献1の【0052】の記載によれば、疾病統計情報は、所定の時間帯毎に作成されるものであり、引用文献1の【0060】の記載によれば、引用発明の「統計情報提供サーバ」内の「疾病統計情報記憶部」から、各会員に応じた疾病統計情報が抽出されて会員に指定出力先に送信されるから、引用発明の「疾病統計情報記憶部」は、継続的にデータが格納され、条件に従ってデータを抽出する点で、データベースともいえるものである。 そして、このようなデータベースを統計情報提供サーバが備える構成とするか、統計情報提供サーバの外部に設けるかは、引用文献1の【0113】に記載されているように、当業者が適宜選択し得る事項であるから、引用発明の「疾病統計情報記憶部」を外部の「データベースサーバ」とすることは当業者が容易に想到し得た事項である。 ウ [相違点2-2]について 引用文献1の【0088】には、「病気の検査結果に基づく有益な情報(疾病統計情報、外出動向情報)を作成し、第三者に提供することができるようになる。例えば、国又は地方自治体は、疾病統計情報(又は外出動向情報)に基づいて、疾病に絡む適切な対策(例えば、国民、住民への情報提供、やホームページ上に情報を掲載)を講じることができる。」と、疾病統計情報の提供先の例として、国又は地方自治体であることが記載されている。 そして、エンドユーザの端末としてどのようなものを採用するかは、処理の内容、取り扱うデータの量や重要性を鑑みて適宜決定する設計事項であり、国や地方自治体が、国民や住民の健康に関する情報を提供するために、高性能な端末を使うこと、継続的な対策を行うために、疾病統計情報をデータベースに格納することは当然考えられることであるから、引用発明において、エンドユーザ端末を、ワークステーションに収容されたデータベースとすることは当業者が容易に想到し得た事項である。 エ 作用効果について 請求人が審判請求書の請求の理由において主張する、引用発明は、個人特定情報が秘匿化されたとしても個人特定情報は依然として疾病統計情報内に存在するため、個人特定情報に対するセキュリティは万全とは言えず、疾病に関連づけて個人が特定されてしまう可能性があるが、本件補正発明では、サーバに送信されるデータセットは「患者識別番号を省いたデータセット」であることから、サーバにおいて、データセットをどのように処理したとしても、検査結果に関連づけて個人が特定されてしまう可能性はないという作用効果は、引用文献2の【0030】に「個人情報抹消済みファイル(105)には、個人の特定につながる一切の情報を付与することなく、また本発明によるにデータ処理制御装置やその一部を構成するデータベースの一部またはすべてが漏洩したとしても、個人情報抹消済みファイル(105)に対して特定個人への紐付け、関係付け可能な他の情報が一切存在しない仕組みとなっている」と記載されていることから、引用文献2記載技術から当然得られる作用効果であり、引用発明及び引用文献2記載技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 オ むすび したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 補正の却下の決定についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和元年12月25日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和元年5月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、仮に、特許法29条1項3号に該当しなかったとしても、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2012-10964号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、(i)、(ii)、(iii)の構成を備える「検査機器」が「それぞれ」であるいう限定事項、及び、「データセット」が、「患者識別番号を省いた」ものであるという限定事項を削除したものである。 よって、前記第2の[理由]2(3)と同様に、本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明と引用発明とは、次の一致点、相違点を有する。 [一致点] 検査機器からデータを収集し送信するシステムであって、 複数の検査機器を含み、各検査機器は、テスト検定と対話する検出器を含み、 前記検査機器は、 (i)疾病関連分析物又は感染性病原体の存在に基づく検査結果を取得するために、テスト検定結果を検出及び分析することと、 (ii)前記テスト検定に複数の値を自動的に関連付けて、データセットを生成することであって、前記データセットは、前記検査機器のメモリ内に記憶され、前記複数の値は、テスト検定結果、患者識別子、及び検査機器識別子のうちの1つ又は複数に関連する、生成すること (iii)前記データセットを第1のサーバに記憶させるために送信することと を実行するように構成され、 前記検査機器のそれぞれによって送信される前記データセットは、前記システム内のサーバは、前記複数の検査機器内の各検査機器からの前記データセットに基づいて、データリポートを生成し、データ記憶手段又はエンドユーザ端末に送信する、システム。」 [相違点2-1] データリポートが送信される「データ記憶手段又はエンドユーザ端末」の「データ記憶手段」が、本件補正発明では、「データベースサーバ」であるのに対し、引用発明では、「サーバ内の疾病統計情報記憶部」である点。 [相違点2-2] データリポートが送信される「データ記憶手段又はエンドユーザ端末」の「エンドユーザ端末」が、本件補正発明では、「エンドユーザワークステーションに収容されるデータベース」であるのに対し、引用発明では、会員端末であり、どのような端末か特定されていない点。 [相違点2-1]及び[相違点2-2]に係る構成は、前記第2の[理由]2(4)で検討したとおり、当業者が引用発明に基いて容易に想到し得た事項である。 したがって、本願発明は、当業者が引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2021-03-11 |
結審通知日 | 2021-03-12 |
審決日 | 2021-03-25 |
出願番号 | 特願2017-501128(P2017-501128) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G16H)
P 1 8・ 575- Z (G16H) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加舎 理紅子 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
後藤 嘉宏 高瀬 勤 |
発明の名称 | 疾病を準リアルタイムで監視するワイヤレスシステム |
代理人 | 大貫 敏史 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 江口 昭彦 |
代理人 | 内藤 和彦 |