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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1376638 |
審判番号 | 不服2020-11100 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-08-07 |
確定日 | 2021-08-05 |
事件の表示 | 特願2016- 91812号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月 2日出願公開、特開2017-196316号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年4月28日の出願であって、令和1年12月3日付けの拒絶理由通知に対して、令和2年1月29日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたところ、令和2年5月11日付け(謄本送達日:同年同月19日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、同年8月7日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和2年8月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年8月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 (1)本件補正は、明細書及び特許請求の範囲を補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前の令和2年1月29日付けの手続補正書において、 「【請求項1】 遊技球が始動口へ入球する始動入賞に起因して、図柄の変動表示条件が未成立であるときに数値データを抽出し、該抽出した数値データを保留記憶として所定の上限個数まで記憶可能な保留記憶手段と、 前記保留記憶に対応した保留図柄を表示する保留図柄表示手段と、 前記図柄の変動表示条件が成立したときに、前記保留記憶に基づいて図柄の変動表示を開始すると共に前記保留記憶を保留消化する変動開始手段と、 前記図柄の変動表示の開始時に、前記保留記憶に基づいて当たりとなるか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、 所定の変動時間が経過したことに因り、前記当否判定の結果に対応した確定図柄を表示すると共に図柄の変動表示を終了する変動終了手段と、 を備えた遊技機において、 新たな保留記憶が記憶されたときに該保留記憶に対応した新たな保留図柄が表示される旨を示す未保留図柄を表示する未保留図柄表示手段と、 前記未保留図柄を予告態様に変化させて、該予告態様によって前記新たな保留記憶に基づいて特定演出が実行される旨の予告を行う未保留図柄変化手段と、 前記新たな保留記憶に基づいて前記特定演出を実行するか否かの判定処理を、前記始動入賞、前記保留消化、又は前記変動表示の終了の何れかに起因して行う判定手段と、を備え、 前記未保留図柄変化手段は、前記予告を行うとき、最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの1つを前記予告態様に変化するものとし、 前記未保留図柄と前記保留図柄は、互いの表示領域が区画されない共通保留図柄表示領域に表示されること を特徴とする遊技機。」 とあったものを、 「【請求項1】 遊技球が始動口へ入球する始動入賞に起因して、図柄の変動表示条件が未成立であるときに数値データを抽出し、該抽出した数値データを保留記憶として所定の上限個数まで記憶可能な保留記憶手段と、 前記保留記憶に対応した保留図柄を表示する保留図柄表示手段と、 前記図柄の変動表示条件が成立したときに、前記保留記憶に基づいて図柄の変動表示を開始すると共に前記保留記憶を保留消化する変動開始手段と、 前記図柄の変動表示の開始時に、前記保留記憶に基づいて当たりとなるか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、 所定の変動時間が経過したことに因り、前記当否判定の結果に対応した確定図柄を表示すると共に図柄の変動表示を終了する変動終了手段と、 を備えた遊技機において、 新たな保留記憶が記憶されたときに該保留記憶に対応した新たな保留図柄が表示される旨を示す未保留図柄を表示する未保留図柄表示手段と、 前記未保留図柄を予告態様に変化させて、該予告態様によって前記新たな保留記憶に基づいて特定演出が実行される旨の予告を行う未保留図柄変化手段と、 前記新たな保留記憶に基づいて前記特定演出を実行するか否かの判定処理を、前記始動入賞、前記保留消化、又は前記変動表示の終了の何れかに起因して行う判定手段と、を備え、 前記未保留図柄変化手段は、前記予告を行うとき、最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの何れか1つを対象として決定し、該対象として決定された未保留図柄を前記予告態様に変化するものとし、 前記未保留図柄と前記保留図柄は、互いの表示領域が区画されない共通保留図柄表示領域に表示されること を特徴とする遊技機。」 と補正することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。)。 (2)請求項1に係る前記(1)の補正は、次の補正事項からなる。 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記未保留図柄変化手段」が「前記予告を行うとき」に関して、「最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの1つを前記予告態様に変化するものとし」との記載を「最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの何れか1つを対象として決定し、該対象として決定された未保留図柄を前記予告態様に変化するものとし」との記載とする補正(以下、「補正事項」という。)。 2 補正の適否について 2-1 補正の目的について 補正事項は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記未保留図柄変化手段」が、前記予告(前記未保留図柄を予告態様に変化させて、該予告態様によって前記新たな保留記憶に基づいて特定演出が実行される旨の予告)を行うとき、「最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの1つを前記予告態様に変化する」ことに関して、「最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの何れか1つを対象として決定し、該対象として決定された未保留図柄を前記予告態様に変化する」点で限定するものである。 そして、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 2-2 新規事項 本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0359】の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 2-3 独立特許要件について 前記2-1及び2-2で検討したとおりであるから、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)についてさらに検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、前記「1 補正の内容」において示した次のとおりのものである(記号A?Kは、分説するため当審で付与した。)。 (本願補正発明) 「【請求項1】 A 遊技球が始動口へ入球する始動入賞に起因して、図柄の変動表示条件が未成立であるときに数値データを抽出し、該抽出した数値データを保留記憶として所定の上限個数まで記憶可能な保留記憶手段と、 B 前記保留記憶に対応した保留図柄を表示する保留図柄表示手段と、 C 前記図柄の変動表示条件が成立したときに、前記保留記憶に基づいて図柄の変動表示を開始すると共に前記保留記憶を保留消化する変動開始手段と、 D 前記図柄の変動表示の開始時に、前記保留記憶に基づいて当たりとなるか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、 E 所定の変動時間が経過したことに因り、前記当否判定の結果に対応した確定図柄を表示すると共に図柄の変動表示を終了する変動終了手段と、 を備えた遊技機において、 F 新たな保留記憶が記憶されたときに該保留記憶に対応した新たな保留図柄が表示される旨を示す未保留図柄を表示する未保留図柄表示手段と、 G 前記未保留図柄を予告態様に変化させて、該予告態様によって前記新たな保留記憶に基づいて特定演出が実行される旨の予告を行う未保留図柄変化手段と、 H 前記新たな保留記憶に基づいて前記特定演出を実行するか否かの判定処理を、前記始動入賞、前記保留消化、又は前記変動表示の終了の何れかに起因して行う判定手段と、を備え、 I 前記未保留図柄変化手段は、前記予告を行うとき、最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの何れか1つを対象として決定し、該対象として決定された未保留図柄を前記予告態様に変化するものとし、 J 前記未保留図柄と前記保留図柄は、互いの表示領域が区画されない共通保留図柄表示領域に表示されること K を特徴とする遊技機。」 (2)引用文献1に記載された発明について 原査定の拒絶の理由に引用された特開2015-77337号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下、同じ。)。 ア「【技術分野】 【0001】 本発明は、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示部を備える変動表示装置を備え、始動条件の成立を契機に取得した乱数値に基づいて前記変動表示ゲームを実行する遊技機に関する。 【背景技術】 【0002】 従来の遊技機、例えばパチンコ遊技機においては、遊技領域に設けた始動入賞口に遊技球が入賞すると、乱数を抽出して始動記憶として所定の上限の範囲内で記憶し、最先の始動記憶から消化しながら表示装置において変動表示ゲームを行い、当該変動表示ゲームの結果態様が特定の結果態様になると特典の付与として特別遊技状態を生起するものが知られている。 この種の遊技機として、表示装置における演出効果を向上させるために、始動記憶として記憶された乱数に基づき変動表示ゲームの実行内容を事前判定し、その事前判定の結果を、当該始動記憶に基づく変動表示ゲームの実行前に遊技者に示唆可能な先読み演出(事前報知演出)を実行する遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】 特開2004-290254号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、従来の遊技機では、始動記憶の発生後でなければ先読み演出が実行されないので、遊技者の期待を高める演出を早くから実行することができなかった。 【0005】 本発明の目的は、遊技機において、遊技者の期待を高める演出を早くから行うことで、遊技の興趣を向上させることである。」 イ「【0039】 始動入賞口36への入賞球及び普通変動入賞装置37への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出される。始動入賞口36へ入賞した遊技球は第1特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、第1始動記憶として所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、普通変動入賞装置37へ入賞した遊技球は第2特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、第2始動記憶として所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶される。また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ始動記憶情報として大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器54、特図2保留表示器55)に表示されるとともに、センターケース40の表示装置41においても飾り特図始動記憶表示として表示される。 【0040】 遊技制御装置100は、始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて、特図1表示器51(変動表示装置)又は特図2表示器52(変動表示装置)で第1又は第2特図変動表示ゲームを行う。第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図、識別情報)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置(画像表示装置)41にて複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄等)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。そして、特図変動表示ゲームの結果として、特図1表示器51若しくは特図2表示器52の表示態様が特別結果態様(特別結果)となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる。また、これに対応して表示装置41に表示される飾り特図変動表示ゲームの結果態様も特別結果態様となる。 【0041】 表示装置41における飾り特図変動表示ゲームは、例えば、表示装置41において前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)を左変動表示領域(第1特別図柄)、右変動表示領域(第2特別図柄)、中変動表示領域(第3特別図柄)のそれぞれにおいて各図柄を識別困難な速さで変動表示(高速変動)する。そして、所定時間後に変動している図柄を左変動表示領域、右変動表示領域、中変動表示領域の順に順次停止させて、左変動表示領域、右変動表示領域、中変動表示領域の各々で停止表示された識別情報により構成される結果態様により特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。また、表示装置41では、特図始動記憶数に対応する飾り特別図柄による変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現など多様な演出表示が行われる。 【0042】 なお、特図1表示器51、特図2表示器52は、別々の表示器でも良いし同一の表示器でも良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように各特図変動表示ゲームが表示される。また、表示装置41も、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームで別々の表示装置や別々の表示領域を使用するとしても良いし、同一の表示装置や表示領域を使用するとしても良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように飾り特図変動表示ゲームが表示される。また、遊技機10に特図1表示器51、特図2表示器52を備えずに、表示装置41のみで特図変動表示ゲームを実行するようにしても良い。 【0043】 また、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶されて、始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに始動記憶に基づいて、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される。一方、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に第1若しくは第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶されることになる。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始される。以下の説明において、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。」 ウ「【0090】 次に、これらの制御回路において行われる遊技制御について説明する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111Aでは、普図始動ゲート34に備えられたゲートスイッチ34aからの遊技球の検出信号の入力に基づき、普図の当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。そして、普図表示器に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する処理を行う。この普図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、普図表示器に特別の結果態様を表示するとともに、普電ソレノイド37cを動作させ、普通変動入賞装置37の可動部材37bを所定時間(例えば、0.3秒間)上述のように開放する制御を行う。すなわち、遊技制御装置100が、変換部材(可動部材37b)の変換制御を行う変換制御実行手段をなす。なお、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、普図表示器にはずれの結果態様を表示する制御を行う。 【0091】 また、始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)を記憶し、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。また、普通変動入賞装置37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動記憶を記憶し、この始動記憶に基づき、第2特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第2特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。 【0092】 そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、上記の第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド)を、演出制御装置300に出力する。そして、特図1表示器51や特図2表示器52に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。すなわち、遊技制御装置100が、遊技領域32を流下する遊技球の始動入賞領域(第1始動入賞口36、普通変動入賞装置37)への入賞に基づき変動表示ゲームの進行制御を行う遊技制御手段をなす。」 エ「【0239】 先読み演出を実行してよい条件を満たしている場合(ステップA231;Y)に行われる先読み演出に関する処理では、まず、大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かにより大当りであるか否かを判定する大当り判定処理(ステップA232)を行う。そして、判定結果が大当りである場合(ステップA233;Y)は、対象の始動口スイッチに対応する大当り図柄乱数チェックテーブルを設定し(ステップA234)、大当り図柄乱数をチェックして対応する大当り停止図柄パターンを取得して(ステップA235)、停止図柄パターンを先読み停止図柄パターン領域にセーブする(ステップA237)。一方、判定結果が大当りでない場合(ステップA233;N)は、はずれ停止図柄パターンを設定し(ステップA236)、停止図柄パターンを先読み停止図柄パターン領域にセーブする(ステップA237)。」 オ「【0260】 〔特図1変動開始処理〕 次に、上述の特図普段処理における特図1変動開始処理(ステップA313)の詳細について説明する。特図1変動開始処理は、第1特図変動表示ゲームの開始時に行う処理である。図30に示すように、まず、実行する特図変動表示ゲームの種別(ここでは特図1)を示す特図1変動フラグを変動図柄判別領域にセーブし(ステップA331)、第1特図変動表示ゲームが大当りであるか否かを判別するための大当りフラグ1にはずれ情報や大当り情報を設定する大当りフラグ1設定処理(ステップA332)を行う。 【0261】 次に、特図1停止図柄(図柄情報)の設定に係る特図1停止図柄設定処理(ステップA333)を行った後、変動パターンを設定するためのパラメータである特図情報を設定する特図情報設定処理(ステップA334)を行い、第1特図変動表示ゲームの変動パターンの設定に関する種々の情報を参照するための情報が設定されたテーブルである特図1変動パターン設定情報テーブルを準備する(ステップA335)。その後、第1特図変動表示ゲームにおける変動態様である変動パターンを設定する変動パターン設定処理(ステップA336)を行い、第1特図変動表示ゲームの変動開始の情報を設定する変動開始情報設定処理(ステップA337)を行って、特図1変動開始処理を終了する。 【0262】 〔大当りフラグ1設定処理〕 図31には、上述の特図1変動開始処理における大当りフラグ1設定処理(ステップA332)を示した。この大当りフラグ1設定処理では、まず、大当りフラグ1領域にはずれ情報をセーブする(ステップA341)。次に、RWMの特図1大当り乱数格納領域(保留数1用)から大当り乱数をロードして準備する(ステップA342)。なお、保留数1用とは、消化順序が最先(ここでは特図1のうちで最先)の特図始動記憶についての情報(乱数等)を格納する領域である。その後、取得した大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かに応じて大当りであるか否かを判定する大当り判定処理(ステップA343)を行う。」 カ「【0299】 〔特図2変動開始処理〕 次に、上述の特図普段処理における特図2変動開始処理(ステップA311)の詳細について説明する。特図2変動開始処理は、第2特図変動表示ゲームの開始時に行う処理であって、図30に示した特図1変動開始処理での処理と同様の処理を、第2始動記憶を対象として行うものである。 【0300】 図39に示すように、まず、実行する特図変動表示ゲームの種別(ここでは特図2)を示す特図2変動フラグを変動図柄判別領域にセーブし(ステップA461)、第2特図変動表示ゲームが大当りであるか否かを判別するための大当りフラグ2にはずれ情報や大当り情報を設定する大当りフラグ2設定処理(ステップA462)を行う。 【0301】 次に、特図2停止図柄(図柄情報)の設定に係る特図2停止図柄設定処理(ステップA463)を行った後、変動パターンを設定するためのパラメータである特図情報を設定する特図情報設定処理(ステップA464、図34参照)を行い、第2特図変動表示ゲームの変動パターンの設定に関する種々の情報を参照するための情報が設定されたテーブルである特図2変動パターン設定情報テーブルを準備する(ステップA465)。その後、第2特図変動表示ゲームの変動パターンを設定する変動パターン設定処理(ステップA466、図35参照)を行い、第2特図変動表示ゲームの変動開始の情報を設定する変動開始情報設定処理(ステップA467、図38参照)を行って、特図2変動開始処理を終了する。 【0302】 〔大当りフラグ2設定処理〕 図40には、上述の特図2変動開始処理における大当りフラグ2設定処理(ステップA462)を示した。この処理は、図31に示した大当りフラグ1設定処理での処理と同様の処理を、第2始動記憶を対象として行うものである。この大当りフラグ2設定処理では、まず、大当りフラグ2領域にはずれ情報をセーブする(ステップA471)。次に、RWMの特図2大当り乱数格納領域(保留数1用)から大当り乱数をロードして準備する(ステップA472)。なお、保留数1用とは、消化順序が最先(ここでは特図2のうちで最先)の特図始動記憶についての情報(乱数等)を格納する領域である。その後、取得した大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かに応じて大当りであるか否かを判定する大当り判定処理(ステップA473、図32参照)を行う。」 キ「【0467】 次に、本実施形態の遊技機10が特徴とする先回り予告演出について説明する。 本実施形態では、飾り特図始動記憶表示42aの表示態様を変化させる先読み演出(事前報知演出)に加えて、先読み演出の対象となる始動記憶が発生する前に、当該先読み演出の実行を予告する先回り予告演出を行うよう構成されている。 【0468】 図96に示すように、表示装置41の表示領域(表示部)の下部等には、特図始動記憶数の上限数(本実施形態の場合、第1始動記憶数の上限数は4個であり、第2始動記憶数の上限数は4個であるので、特図始動記憶数の上限数は8個となる。)と同数の飾り特図始動記憶表示領域42(以下、単に「始動記憶表示領域42」という。)が設定されており、始動記憶表示領域42に対応する特図始動記憶が発生した場合には、当該始動記憶表示領域42に飾り特図始動記憶表示42a(以下、単に「始動記憶表示42a」という。)を表示し、始動記憶表示領域42に対応する特図始動記憶が発生していない場合には、当該始動記憶表示領域42に飾り特図始動記憶なし表示42b(以下、単に「始動記憶なし表示42b」という。)を表示するようになっている。 そして、特図始動記憶が消化される毎に、左右に一列に並ぶ8個の始動記憶表示領域42それぞれに表示されている始動記憶表示42a又は始動記憶なし表示42bが、左に一つずつずれるようになっている。すなわち、最も左側の始動記憶表示領域42に、未消化(保留中)の特図始動記憶のうちの最も古い特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aが表示される。 【0469】 図96には、特図始動記憶の記憶数(保留数)が3個である例を示している。 また、図96では、左から2番目の始動記憶表示領域42で先読み演出が行われている例を示している。すなわち、図96において、左から2番目の始動記憶表示領域42に表示されている始動記憶表示42aの表示態様は、通常表示態様とは異なる表示態様となっている。特に限定されるわけではないが、本実施形態の場合、先読み演出態様の画像(先読み演出態様の始動記憶表示42a2)は、無地の通常表示態様の画像(通常表示態様の始動記憶表示42a1)に模様を付した画像となっている。 また、図96では、右から3番目の始動記憶表示領域42で先回り予告演出が行われている例を示している。すなわち、図96において、右から3番目の始動記憶表示領域42に表示されている始動記憶なし表示42bの表示態様は、通常表示態様とは異なる表示態様となっている。特に限定されるわけではないが、本実施形態の場合、先回り予告演出態様の画像(先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2)は、通常表示態様の画像(通常表示態様の始動記憶なし表示42b1)に、所定の画像を付加した画像となっている。」 ク「【図96】 」 ケ「【0470】 図97に、本実施形態における、始動記憶表示42a及び始動記憶なし表示42bの一例を示す。 図97(a)に示すように、始動記憶表示42aとして、通常表示態様の画像や先読み演出態様A?Dの画像を表示するようになっている。具体的には、先読み演出に当選しなかった特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aとして、通常表示態様の画像(通常表示態様の始動記憶表示42a1)を表示し、先読み演出に当選した特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aとして、先読み演出態様A?Dの画像(先読み演出態様の始動記憶表示42a2)の何れかを表示するようになっている。 なお、第1始動記憶に対応する始動記憶表示42aと、第2始動記憶に対応する始動記憶表示42aと、の色合いや形状を異ならせてもよい。これにより、始動記憶表示42aによって、第1始動記憶の保留数や先読み情報などの情報と、第2始動記憶の保留数や先読み情報などの情報と、を区別して認識することが可能となる。 【0471】 また、始動記憶なし表示42bとして、通常表示態様の画像(通常表示態様の始動記憶なし表示42b1)や、先回り予告演出態様の画像(先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2)を表示するようになっている。特に限定されるわけではないが、本実施形態の場合、通常表示態様の始動記憶なし表示42b1として、閉じた襖の画像を表示し、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2として、閉じた襖の画像に、シルエット画像(襖の後ろに始動記憶表示42aが隠れているかのように見せるための、始動記憶表示42aのシルエットを示す画像)や吹き出し画像を付加した画像を表示するよう構成されている。 そして、特図始動記憶が発生した場合には、図97(b)に示すように、当該特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42(すなわち、当該特図始動記憶に対応する始動記憶表示42a(当該特図始動記憶を示す始動記憶表示42a)が表示される始動記憶表示領域42)において、襖が開き当該襖の後ろに隠れていた始動記憶表示42aが出現するといった演出を行うようことによって、始動記憶なし表示42bを始動記憶表示42aに切り替えるようになっている。」 コ「【図97】 」 サ「【0488】 〔先回り予告設定処理〕 次に、前述のメイン処理における演出表示編集処理(ステップD12)にて行う先回り予告設定処理について説明する。 図94に示すように、先回り予告設定処理では、まず、特図変動表示ゲームの実行回数(回転数)をカウントする先読み頻発ゾーン監視カウンタは、セット済みであるか否か判定する(ステップD201)。 ステップD201で、先読み頻発ゾーン監視カウンタはセット済みであると判定した場合(ステップD201;Yes)には、特図変動表示ゲームの開始情報を受信したか否か判定する(ステップD202)。 ステップD202で、特図変動表示ゲームの開始情報を受信したと判定した場合(ステップD202;Yes)には、先読み頻発ゾーン監視カウンタを-1更新して(ステップD203)、更新後の先読み頻発ゾーン監視カウンタが「0」であるか否か判定する(ステップD204)。 【0489】 ステップD204で、先読み頻発ゾーン監視カウンタが「0」であると判定した場合(ステップD204;Yes)には、先読み頻発ゾーンフラグがあるか(オンか)否か判定する(ステップD205)。 ステップD205で、先読み頻発ゾーンフラグがあると判定した場合(ステップD205;Yes)には、先読み頻発ゾーンフラグをオフし(ステップD206)、先読み頻発ゾーン監視カウンタに「100」をセットして(ステップD207)、先回り予告設定処理を終了する。 一方、ステップD205で、先読み頻発ゾーンフラグがないと判定した場合(ステップD205;No)には、先読み頻発ゾーンフラグをオンし(ステップD208)、先読み頻発ゾーン監視カウンタに「10」をセットして(ステップD209)、先回り予告設定処理を終了する。 【0490】 また、ステップD204で、先読み頻発ゾーン開始タイマが「0」でないと判定した場合(ステップD204;No)には、先読み頻発ゾーンフラグがあるか(オンか)否か判定する(ステップD210)。 ステップD210で、先読み頻発ゾーンフラグがあると判定した場合(ステップD210;Yes)には、普電サポート中(時短状態中)であるか否か判定する(ステップD211)。 【0491】 ステップD211で、普電サポート中でないと判定した場合(ステップD211;No)には、先回り予告演出に当選したか否か判定する(ステップD212)。ここで、先回り予告演出に当選したか否か判定する手法は適宜任意に選択可能であり、例えば、開始する特図変動表示ゲーム(すなわち、ステップD202にて受信したと判定された開始情報に対応する特図変動表示ゲーム)の当り/はずれや演出モードなどの各条件に基づいて先回り予告演出を実行するか否かを決定するための先回り予告抽選処理を行い、その抽選結果に基づいて判定してもよいし、また、先回り予告演出の当選タイミングを予め設定しておき、今回のステップD212が先回り予告演出の当選タイミングであるか否かによって判定してもよい。 【0492】 ステップD212で、先回り予告演出に当選したと判定した場合(ステップD212;Yes)には、対象の始動記憶表示領域42(本実施形態の場合、最も右側の始動記憶表示領域42)にて行う先回り予告演出を設定して(ステップD213)、先回り予告設定処理を終了する。 一方、ステップD210で、先読み頻発ゾーンフラグがないと判定した場合(ステップD210;No)、ステップD211で、普電サポート中であると判定した場合(ステップD211;Yes)、あるいは、ステップD212で、先回り予告演出に当選しなかったと判定した場合(ステップD212;No)には、先回り予告演出を設定せずに、先回り予告設定処理を終了する。したがって、本実施形態の場合、先読み頻発ゾーンフラグがない(オフの)場合、普電サポート中である場合、及び先回り予告演出に当選しなかった場合は、先回り予告演出は実行されない。 【0493】 また、ステップD202で、特図変動表示ゲームの開始情報を受信していないと判定した場合(ステップD202;No)には、普電サポート(時短状態)の終了情報を受信したか否か判定する(ステップD214)。 ステップD214で、普電サポートの終了情報を受信していないと判定した場合(ステップD214;No)には、先回り予告設定処理を終了する。 一方、ステップD214で、普電サポートの終了情報を受信したと判定した場合(ステップD214;Yes)には、先読み頻発ゾーンフラグをオフし(ステップD215)、先読み頻発ゾーン監視カウンタに「92」をセットして(ステップD216)、先回り予告設定処理を終了する。 【0494】 また、ステップD201で、先読み頻発ゾーン監視カウンタはセット済みでないと判定した場合(ステップD201;No)、すなわち当該先回り予告設定処理が遊技機10の電源投入後に最初に行う先回り予告設定処理である場合には、先読み頻発ゾーンフラグをオフし(ステップD215)、先読み頻発ゾーン監視カウンタに「92」をセットして(ステップD216)、先回り予告設定処理を終了する。 【0495】 ここで、図98を用いて、本実施形態における、先回り予告設定処理の具体的な流れを説明する。 まず、先読み頻発ゾーン監視カウンタがセット済みでない場合(すなわち、遊技機10の電源投入時である場合)や、普電サポート(時短状態)の終了情報を受信した場合(すなわち、時短状態の終了時である場合)に、先読み頻発ゾーンフラグをオフし(ステップD215)、先読み頻発ゾーン監視カウンタに「92」をセットする(ステップD216)。これにより、遊技機10の電源投入後や時短状態の終了後に最初に実行される特図変動表示ゲーム(1回転目の特図変動表示ゲーム)の始動記憶から先読み低確率ゾーンの特図始動記憶になる。 【0496】 その後、特図変動表示ゲームを開始する(すなわち、特図始動記憶を消化する)毎に先読み頻発ゾーン監視カウンタを-1更新し(ステップD203)、このステップD203を先読み頻発ゾーン監視カウンタが「0」になる(ステップD204;Yes)まで繰り返す。ここでは先読み頻発ゾーン監視カウンタに「92」をセットしたので、92回転目の特図変動表示ゲームの開始時に、先読み頻発ゾーン監視カウンタが「0」になり(ステップD204;Yes)、先読み頻発ゾーンフラグがオンされ(ステップD208)、先読み頻発ゾーン監視カウンタに「10」がセットされる(ステップD209)。これにより、次の93回転目の特図変動表示ゲームの開始により発生可能となる特図始動記憶(すなわち、101回転目の始動記憶)から先読み高確率ゾーン(先読み頻発ゾーン)の特図始動記憶になる。 【0497】 次の93回転目の特図変動表示ゲームの開始時には、先読み頻発ゾーン監視カウンタを-1更新し(ステップD203)、先回り予告演出に当選すれば(ステップD212;Yes)、対象の始動記憶表示領域42(本実施形態の場合、最も右側の始動記憶表示領域42)に表示される始動記憶なし表示42bに先回り予告演出態様を設定する(ステップD213)。これにより、対象の始動記憶表示領域42に、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2が表示される。 【0498】 仮に、93回転目の特図変動表示ゲームの実行中、特図始動記憶の記憶数(保留数)が8個になれば、94?101回転目の始動記憶に対応する始動記憶表示42aが表示される。その際、101回転目の始動記憶に対応する始動記憶表示42aは、最も右側の始動記憶表示領域42に表示される。本実施形態の場合、94?100回転目の始動記憶は先読み低確率ゾーンの特図始動記憶であり、101回転目の始動記憶は先読み高確率ゾーンの特図始動記憶であるので、93回転目の特図変動表示ゲームが開始してから終了するまでの間、最も右側の始動記憶表示領域42は、先読み高確率ゾーンの特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42となる。 ここで、本発明では、特図始動記憶が発生した場合に当該特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aが表示される始動記憶表示領域42を、当該特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42と呼んでいる。したがって、特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42には、当該特図始動記憶が発生している場合には、始動記憶表示42aが表示され、当該当該特図始動記憶が発生していない場合には、始動記憶なし表示42bが表示される。 【0499】 前述したように、本実施形態では、先読み高確率ゾーンの特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を行い、先読み低確率ゾーンの特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42では先回り予告演出を行わないようになっている。 したがって、93回転目の特図変動表示ゲームの開始時に、先回り予告演出に当選した場合には、最も右側の始動記憶表示領域42に、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2が表示されて、最も右側の始動記憶表示領域42で先回り予告演出が実行される。また、93回転目の特図変動表示ゲームの開始時に、先回り予告演出に当選しなかった場合には、最も右側の始動記憶表示領域42に、通常表示態様の始動記憶なし表示42b1が表示されて、最も右側の始動記憶表示領域42で先回り予告演出は実行されない。 【0500】 このように、101回転目の始動記憶(先読み高確率ゾーンの特図始動記憶のうち、遊技機10の電源投入後や時短状態の終了後に最初に発生する特図始動記憶)に対応する始動記憶表示領域42が出現した時点で、当該始動記憶表示領域42において先回り予告演出が実行可能となるよう、ステップD216で先読み頻発ゾーン監視カウンタに「92」をセットしている。したがって、ステップD216にて先読み頻発ゾーン監視カウンタにセットされる値は、先読み低確率ゾーンの特図始動記憶の個数や特図始動記憶数の上限数に応じて適宜変更可能である。また、ステップD207にて先読み頻発ゾーン監視カウンタにセットされる値は、先読み低確率ゾーンの特図始動記憶の個数に応じて適宜変更可能であり、ステップD209にて先読み頻発ゾーン監視カウンタにセットされる値は、先読み高確率ゾーンの特図始動記憶の個数に応じて適宜変更可能である。 【0501】 次の94回転目の特図変動表示ゲームの開始時には、先読み頻発ゾーン監視カウンタを-1更新し(ステップD203)、先回り予告演出に当選すれば(ステップD212;Yes)、対象の始動記憶表示領域42(本実施形態の場合、最も右側の始動記憶表示領域42)に表示される始動記憶なし表示42bに先回り予告演出態様を設定する(ステップD213)。 94回転目の特図変動表示ゲームの実行中、最も右側(右から1番目)の始動記憶表示領域42は、102回転目の始動記憶(先読み高確率ゾーンの特図始動記憶)に対応する始動記憶表示領域42となり、右から2番目の始動記憶表示領域42は、101回転目の始動記憶(先読み高確率ゾーンの特図始動記憶)に対応する始動記憶表示領域42となる。 【0502】 101回転目の始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行するか否かの判定(ステップD212)は、93回転目の特図変動表示ゲームの開始時に行ったので、ここでは(すなわち、94回転目の特図変動表示ゲームの開始時には)、102回転目の始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行するか否かの判定を行う。102回転目の始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行すると判定した場合、すなわち先回り予告演出に当選した場合には、最も右側の始動記憶表示領域42に、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2が表示されて、最も右側の始動記憶表示領域42で先回り予告演出が実行される。その際、93回転目の特図変動表示ゲームの開始時に101回転目の始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行すると判定した場合であって、101回転目の始動記憶が発生していない場合には、右から2番目の始動記憶表示領域42にも、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2が表示されて、先回り予告演出が実行される。 【0503】 その後、102回転目の特図変動表示ゲームの開始時に、先読み頻発ゾーン監視カウンタが「0」になり(ステップD204;Yes)、先読み頻発ゾーンフラグがオフされ(ステップD206)、先読み頻発ゾーン監視カウンタに「100」がセットされる(ステップD207)。これにより、次の103回転目の特図変動表示ゲームの開始により発生可能となる特図始動記憶(すなわち、111回転目の始動記憶)から先読み低確率ゾーンの特図始動記憶になる。 【0504】 すなわち、演出制御装置300が、所定数に対応して表示部に複数配置された保留表示部(始動記憶表示領域42)のうちの、始動記憶保留手段(遊技制御装置100)に記憶されている始動記憶に対応する保留表示部に、所定の表示態様で保留表示画像(始動記憶表示42a)を表示する始動記憶表示手段をなす。 また、演出制御装置300が、保留表示部(始動記憶表示領域42)に特定の演出画像(先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2)を表示する特定演出(先回り予告演出)を実行可能な特定演出実行手段をなす。そして、特定演出実行手段(演出制御装置300)は、保留表示画像(始動記憶表示42a)が表示されていない保留表示部(始動記憶表示領域42)に特定の演出画像(先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2)を表示し、その後、少なくとも当該特定の演出画像を表示している保留表示部(始動記憶表示領域42)に対応する始動記憶が始動記憶保留手段(遊技制御装置100)に記憶されるまでは、当該特定の演出画像の表示を継続するよう構成されている。 【0505】 〔先読み系コマンド処理〕 次に、前述の受信コマンド解析処理における先読み系コマンド処理(ステップD134)について説明する。この先読み系コマンド処理は、特図始動記憶が発生し、それに伴い準備された先読み系コマンド(先読み図柄コマンドや先読み変動パターンコマンドなど)を受信した場合に実行される。 図95に示すように、先読み系コマンド処理では、まず、対象の特図始動記憶は先読み高確率ゾーン(先読み頻発ゾーン)の特図始動記憶であるか否か判定する(ステップD301)。 【0506】 ステップD301で、対象の特図始動記憶が先読み高確率ゾーン(先読み頻発ゾーン)の特図始動記憶であると判定した場合(ステップD301;Yes)には、対象の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果は大当りであるか否か判定する(ステップD302)。 ステップD302で、対象の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果は大当りであると判定した場合(ステップD302;Yes)には、例えば図99に示す先読み演出振分けテーブル1(大当り時)をセットして(ステップD303)、ステップD308に移行する。 一方、ステップD302で、対象の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果は大当りでないと判定した場合(ステップD302;No)、すなわち、はずれである場合には、例えば図99に示す先読み演出振分けテーブル1(はずれ時)をセットして(ステップD304)、ステップD308に移行する。 【0507】 また、ステップD301で、対象の特図始動記憶が先読み高確率ゾーン(先読み頻発ゾーン)の特図始動記憶でないと判定した場合(ステップD301;No)、すなわち、対象の特図始動記憶が先読み低確率ゾーンの特図始動記憶である場合には、対象の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果は大当りであるか否か判定する(ステップD305)。 ステップD305で、対象の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果は大当りであると判定した場合(ステップD305;Yes)には、例えば図99に示す先読み演出振分けテーブル2(大当り時)をセットして(ステップD306)、ステップD308に移行する。 一方、ステップD305で、対象の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果は大当りでないと判定した場合(ステップD305;No)、すなわち、はずれである場合には、例えば図99に示す先読み演出振分けテーブル2(はずれ時)をセットして(ステップD307)、ステップD308に移行する。 【0508】 ステップD308では、対象の特図始動記憶が先読み演出に当選したか否か判定する(ステップD308)。具体的には、ステップD303、ステップD304、ステップD306、又はステップD307でセットした先読み演出振分けテーブルと、対象の特図始動記憶に関する事前判定結果情報(先読み系コマンド)等と、に基づいて始動記憶表示42aの表示態様を選択し、表示態様として通常表示態様を選択した場合には先読み演出に当選していないと判定し、表示態様として先読み演出態様A?Dの何れかを選択した場合には先読み演出に当選したと判定する。 【0509】 ここで、先読み演出振分けテーブルは、先読み演出を行うか否か、先読み演出を行う場合の演出内容(始動記憶表示42aの表示態様)を決定するためのものである。対象の特図始動記憶が先読み高確率ゾーンの特図始動記憶である場合にセットされる先読み演出振分けテーブル1には、対象の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果が大当りである場合にセットされる先読み演出振分けテーブル1(大当り時)と、結果がはずれである場合にセットされる先読み演出振分けテーブル1(はずれ時)とがある。 図99に示すように、先読み演出振分けテーブル1(大当り時)と先読み演出振分けテーブル1(はずれ時)とでは表示態様の選択率が異なっている。先読み演出振分けテーブル1(はずれ時)では、通常表示態様(すなわち、先読み演出の実行なし)や、最も信頼度の低い先読み演出態様である先読み演出態様Aの選択率が高くなっている。一方、先読み演出振分けテーブル1(大当り時)では、比較的信頼度の高い先読み演出態様である先読み演出態様B?Dの選択率が高くなっている。 【0510】 また、対象の特図始動記憶が先読み低確率ゾーンの特図始動記憶である場合にセットされる先読み演出振分けテーブル2には、対象の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果が大当りである場合にセットされる先読み演出振分けテーブル2(大当り時)と、結果がはずれである場合にセットされる先読み演出振分けテーブル2(はずれ時)とがある。 図99に示すように、先読み演出振分けテーブル2(大当り時)と先読み演出振分けテーブル2(はずれ時)とでは表示態様の選択率が異なっている。先読み演出振分けテーブル2(はずれ時)では、通常表示態様(すなわち、先読み演出の実行なし)の選択率がと高く、先読み演出態様はほとんど選択されないようになっている。また、先読み演出振分けテーブル2(大当り時)では、通常表示態様(すなわち、先読み演出の実行なし)や、最も信頼度の高い先読み演出態様である先読み演出態様Dの選択率が高くなっている。 【0511】 ステップD308で、先読み演出に当選したと判定した場合(ステップD308;Yes)には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行しているか否か判定する(ステップD309)。 ステップD309で、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行していると判定した場合(ステップD309;Yes)には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aに特別先読み演出態様を設定して(ステップD310)、先読み系コマンド処理を終了する。これにより、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aとして、特別先読み演出態様の始動記憶表示42a3(図101(b)参照)が表示される。 一方、ステップD309で、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行していないと判定した場合(ステップD309;No)には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aに、表示態様として選択した先読み演出態様(先読み演出態様A?Dの何れか)を設定して(ステップD311)、先読み系コマンド処理を終了する。これにより、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aとして、先読み演出態様の始動記憶表示42a2が表示される。 【0512】 また、ステップD308で、先読み演出に当選していないと判定した場合(ステップD308;No)には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行しているか否か判定する(ステップD312)。 ステップD312で、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行していると判定した場合(ステップD312;Yes)には、当該先回り予告演出をクリアし(ステップD313)、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aに通常表示態様を設定して(ステップD314)、先読み系コマンド処理を終了する。これにより、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で実行されていた先回り予告演出がクリア(中止)されて、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aとして、通常表示態様の始動記憶表示42a1が表示される。 一方、ステップD312で、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行していないと判定した場合(ステップD312;No)には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aに通常表示態様を設定して(ステップD314)、先読み系コマンド処理を終了する。これにより、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aとして、通常表示態様の始動記憶表示42a1が表示される。 【0513】 ここで、図100及び図101を用いて、本実施形態における、先読み演出及び先回り予告演出の一例を説明する。 図100に、先回り予告演出の一例を示す。 この例では、図100(a)に示すように、まず、5個の特図始動記憶が保留されていて、何れの始動記憶表示領域42でも先読み演出や先回り予告演出が実行されていない状態で、特図変動表示ゲームが実行されている。 そして、図100(b)に示すように、特図変動表示ゲームが終了して、図100(c)に示すように、次の特図変動表示ゲームが開始すると、始動記憶表示42aや始動記憶なし表示42bが左に一つずつずれて、最も右側の始動記憶表示領域42の新たな始動記憶なし表示42bが出現する。この例では、最も右側の始動記憶表示領域42に対応する特図始動記憶(この特図始動記憶はまだ発生していない)は、先読み高確率ゾーンの特図始動記憶であり、先回り予告演出に当選している。したがって、最も右側の始動記憶表示領域42には、新たな始動記憶なし表示42bとして、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2(この例では、閉じた襖の画像に、それに重なるシルエット画像(襖の後ろに始動記憶表示42aが隠れているかのように見せるための、始動記憶表示42aのシルエットを示す画像)と、「ここで何か起きる?!」というセリフの吹き出し画像と、を付加した画像)が表示されている。 【0514】 その後、図100(d)に示すように、特図変動表示ゲームが終了して、図100(e)に示すように、次の特図変動表示ゲームが開始すると、始動記憶表示42aや始動記憶なし表示42bが左に一つずつずれて、最も右側の始動記憶表示領域42の新たな始動記憶なし表示42bが出現する。したがって、図100(c)の時点で新たに出現した始動記憶なし表示42b(先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2)は、右から2番目の始動記憶表示領域42に移動する。その際、この例のように、吹き出し画像のセリフの内容を変更する等して表示態様を変化させてもよい。この例では、最も右側の始動記憶表示領域42に対応する特図始動記憶(この特図始動記憶はまだ発生していない)は、先読み高確率ゾーンの特図始動記憶であるが、先回り予告演出に当選していない。したがって、最も右側の始動記憶表示領域42には、新たな始動記憶なし表示42bとして、通常表示態様の始動記憶なし表示42b1(この例では、閉じた襖の画像のみ)が表示されている。 【0515】 すなわち、始動記憶表示手段(演出制御装置300)は、始動記憶保留手段(遊技制御装置100)に記憶された始動記憶について、変動表示ゲームの実行内容を当該変動表示ゲームの実行前に遊技者に示唆可能な事前報知演出(先読み演出)の対象にするか否か判定し、事前報知演出(先読み演出)の対象にすると判定した場合に、当該始動記憶に対応する保留表示部(始動記憶表示領域42)に、事前判定結果情報(先読み図柄コマンドや先読み変動パターンコマンドなど)に基づく表示態様(先読み演出態様)で保留表示画像(始動記憶表示42a)を表示するよう構成されている。 【0516】 図101に、先読み演出及び先回り予告演出の一例を示す。 この例では、図101(a)に示すように、まず、4個の特図始動記憶が保留されていて、右から4番目の始動記憶表示領域42で先回り予告演出が実行されているが、それ以外の始動記憶表示領域42では先読み演出も先回り予告演出も実行されていない状態で、特図変動表示ゲームが実行されている。 そして、この特図変動表示ゲームが終了する前に、新たな特図始動記憶が発生すると、右から4番目の始動記憶表示領域42、すなわち先回り予告演出が実行されている始動記憶表示領域42に、当該新たな特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aが表示される。 その際、当該新たな特図始動記憶が先読み演出に当選した場合には、図101(b)に示すような始動記憶表示42a(特別先読み演出態様の始動記憶表示42a3)が表示され、当該新たな特図始動記憶が先読み演出に当選しなかった場合には、図101(e)に示すような始動記憶表示42a(通常表示態様の始動記憶表示42a1)が表示される。 【0517】 この例では、対象の特図始動記憶(当該新たな特図始動記憶)に対応する始動記憶表示領域42(この例では、右から4番目の始動記憶表示領域42)で先回り予告演出を実行しているので、図101(b)に示すように、当該新たな特図始動記憶が先読み演出に当選した場合には、当該新たな特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aとして、特別先読み演出態様の始動記憶表示42a3が表示される。ここでは、特別先読み演出態様の始動記憶表示42a3として、先読み演出振分けテーブル等に基づき選択した先読み演出態様(先読み演出態様A?Dの何れか)の画像と、先回り予告演出態様の画像の一部(この例では、吹き出し画像)と、を合わせた画像が表示されている。すなわち、対象の特図始動記憶が先読み演出に当選した場合には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で、先読み演出と先回り予告演出とを合わせたような演出を行うようになっている。これにより、先読み演出のみを行う場合よりも、遊技者の期待感を高めることができる。 【0518】 その後、図101(c)に示すように、特図変動表示ゲームが終了して、図101(d)に示すように、次の特図変動表示ゲームが開始すると、始動記憶表示42aや始動記憶なし表示42bが左に一つずつずれる。したがって、図101(b)の時点で出現した特別先読み演出態様の始動記憶表示42a3は、右から5番目の始動記憶表示領域42に移動する。すなわち、先読み演出に当選した場合、先回り予告演出は、先読み演出が実行された後も実行され、特図始動記憶の消化に応じて先読み演出とともに移動するようになっている。 【0519】 また、この例では、対象の特図始動記憶(当該新たな特図始動記憶)に対応する始動記憶表示領域42(この例では、右から4番目の始動記憶表示領域42)で先回り予告演出を実行しているので、図101(e)に示すように、当該新たな特図始動記憶が先読み演出に当選しなかった場合には、当該新たな特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で実行されている先回り予告演出がクリアされて、当該新たな特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aとして、通常表示態様の始動記憶表示42a1が表示される。ここでは、図101(e)?(g)に示すように、当該新たな特図始動記憶の発生時に実行していた特図変動表示ゲームの次の特図変動表示ゲームが開始するまでは、先読み演出を実行しないことを示唆する画像(この例では、「シーン・・・」というセリフの吹き出し画像)が表示されている。これにより、先回り予告演出がクリアされた原因を示唆することができるので、先回り予告演出が突然クリアされたのではという不信感を遊技者が抱くことを抑制することが可能となる。 【0520】 すなわち、特定演出実行手段(演出制御装置300)は、特定の演出画像(先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2)を表示している保留表示部(始動記憶表示領域42)に対応する始動記憶が始動記憶保留表示手段(遊技制御装置100)に記憶された場合に、当該始動記憶が事前報知演出(先読み演出)の対象であるか否かによって、当該特定の演出画像をそれぞれ異なる態様に変化させるよう構成されている。 本実施形態の場合、特定演出実行手段(演出制御装置300)は、特定の演出画像(先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2)を表示している保留表示部(始動記憶表示領域42)に対応する始動記憶が始動記憶保留手段(遊技制御装置100)に記憶された場合であって、当該始動記憶が事前報知演出(先読み演出)の対象である場合に、当該特定の演出画像の少なくとも一部を、始動記憶表示手段(演出制御装置300)によって表示される事前判定結果情報に基づく表示態様の保留表示画像(先読み演出態様の始動記憶表示42a2)とともに表示するよう構成されている。 一方、特定の演出画像(先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2)を表示している保留表示部(始動記憶表示領域42)に対応する始動記憶が始動記憶保留手段(遊技制御装置100)に記憶された場合であって、当該始動記憶が事前報知演出(先読み演出)の対象でない場合に、当該特定の演出画像を消去するよう構成されている。 このように、本実施形態では、不確定的な演出(先回り予告演出)を行い、その後発生した始動記憶に対する情報(先読み情報)をもとに、既に行っている不確定的な演出に確定的な演出(先読み演出)を合わせ込んでいくよう構成される。 先回り予告演出は、先読み演出の対象となる始動記憶が発生する前に、当該先読み演出の実行を予告する演出である。したがって、発生する始動記憶がどのような始動記憶であるか(結果が当りとなるか否かや、先読み演出の対象となるか否かなど)が分からないため、先回り予告演出として、不確定的な演出を行う。ここで、「不確定的な演出」とは、大当りの確定等を示唆するような演出ではない演出のことである。 不確定的な演出(先回り予告演出)を行った後、始動記憶が実際に発生した後にその演出内容を補正していくので、演出内容が流動的になり、遊技者が演出内容の最終結果を予測することが困難になる。そのため、変動表示ゲームの結果が導出される瞬間まで興趣を高めた状態を維持することができる。 また、近年の遊技機では、先読み演出の発生が大当り信頼度の大部分を占めるものが多く、先読み演出が発生しないと、その変動表示ゲームに対する遊技者の期待感が低下してしまうという問題がある。これに対し、本実施形態のように、先回り予告演出を行い、演出内容の最終結果を予測することが困難となるよう構成することによって、このような問題を解決することが可能となる。」 シ「【図100】 【図101】 」 ス 認定事項 引用文献1の【0091】には「始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)を記憶し、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。また、普通変動入賞装置37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動記憶を記憶し、この始動記憶に基づき、第2特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第2特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。」と記載されている。 【0091】において「大当り判定用乱数値」を抽出しているのであれば、当該乱数値を記憶する処理が存在するはずであるが、本願の明細書においては、【0091】の上記記載以外に「大当り判定用乱数値」なる用語は記載されていない。 この点、【0039】には「この始動入賞球の検出時にそれぞれ始動記憶情報として大当り乱数値・・・が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される」と記載されている。また、【0239】、【0260】?【0262】、【0299】?【0302】にも、「大当り乱数値」に基づいて、(第1又は第2特図変動表示ゲームが)大当りであるか否かを判定することが記載されている。これらの記載に照らせば、引用文献1の【0091】において第1又は第2特図変動表示ゲームの当り外れ(大当りであるか否か)を判定するための乱数値として記載されている「大当り判定用乱数値」は、「大当り乱数値」と同義であると認める(以下、本審決では「大当り乱数値」に統一して記載する)。 セ そして、前記ア?スを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?kは、本願補正発明のA?Kに概ね対応させて当審にて付与した。また、丸括弧内に示された段落番号は、引用文献における引用箇所を示す。)。 (引用発明) 「a1 始動入賞口36へ入賞した遊技球は第1特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、第1始動記憶として所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、普通変動入賞装置37へ入賞した遊技球は第2特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、第2始動記憶として所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶され(【0039】)、 a2 この始動入賞球の検出時にそれぞれ始動記憶情報として大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶され(【0039】)、 a3 第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶されて、始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに始動記憶に基づいて、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算され(【0043】)、 a4 第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に第1若しくは第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶され(【0043】)、 b 始動記憶表示領域42に対応する特図始動記憶が発生した場合には、当該始動記憶表示領域42に飾り特図始動記憶表示42a(以下、単に「始動記憶表示42a」という。)を表示し(【0468】)、 c 始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され(【0043】)、 d1 遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111A(【0090】)は、 d2 始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)を記憶し、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当り乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行い(【0091】、上記ス)、 d3 普通変動入賞装置37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動記憶を記憶し、この始動記憶に基づき、第2特図変動表示ゲームの大当り乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第2特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行い(【0091】、上記ス)、 d4 そして、上記の第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド)を、演出制御装置300に出力し、特図1表示器51や特図2表示器52に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理を行い(【0092】)、 e 表示装置41における飾り特図変動表示ゲームは、例えば、表示装置41において前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)を左変動表示領域(第1特別図柄)、右変動表示領域(第2特別図柄)、中変動表示領域(第3特別図柄)のそれぞれにおいて各図柄を識別困難な速さで変動表示(高速変動)し、所定時間後に変動している図柄を左変動表示領域、右変動表示領域、中変動表示領域の順に順次停止させて、左変動表示領域、右変動表示領域、中変動表示領域の各々で停止表示された識別情報により構成される結果態様により特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われ(【0041】)、 f 特図始動記憶が発生した場合には、当該特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aが表示される始動記憶表示領域42において、襖が開き当該襖の後ろに隠れていた始動記憶表示42aが出現するといった演出を行うことによって、始動記憶なし表示42bを始動記憶表示42aに切り替えるようになっており(【0471】)、 g1 先回り予告演出に当選した場合には、始動記憶表示領域42に、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2が表示されて、先回り予告演出が実行され(【0499】)、 g2 先回り予告演出は、先読み演出の対象となる始動記憶が発生する前に、当該先読み演出の実行を予告する演出であり(【0467】、【0520】)、 g3 特定演出実行手段(演出制御装置300)は、特定の演出画像(先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2)を表示している保留表示部(始動記憶表示領域42)に対応する始動記憶が始動記憶保留手段(遊技制御装置100)に記憶された場合であって、当該始動記憶が事前報知演出(先読み演出)の対象である場合に、当該特定の演出画像の少なくとも一部を、始動記憶表示手段(演出制御装置300)によって表示される事前判定結果情報に基づく表示態様の保留表示画像(先読み演出態様の始動記憶表示42a2)とともに表示することで、先読み演出を行い(【0520】) h1 先回り予告演出に当選したか否か判定する処理は、特図変動表示ゲームの開始情報を受信したと判定した場合に行われ(【0488】、【0491】)、 h2 対象の特図始動記憶が先読み演出に当選したか否か判定する処理は、特図始動記憶が発生し、それに伴い準備された先読み系コマンド(先読み図柄コマンドや先読み変動パターンコマンドなど)を受信した場合に実行される先読み系コマンド処理において行われ(【0505】、【0508】)、 i 先回り予告演出に当選した場合に、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2が表示され、先回り予告演出が実行される表示領域は、最も右側の始動記憶表示領域42であり(【0499】、【0513】)、 j 始動記憶表示領域42には、始動記憶表示42a又は始動記憶なし表示42bが左右に一列に表示され、特図始動記憶が消化される毎に左に一つずつずれるようになっており、最も古い特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aは最も左側に表示されるものである(【0468】) k 遊技機10(【0467】)。」 (3)引用文献1の変形例1 引用文献1には上記(2)の引用発明とは別に、以下の事項も記載されている。 ア「【0521】 <変形例1> 本実施形態の変形例1について説明する。 対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行している際、対象の特図始動記憶が先読み演出に当選しなかった場合には、当該始動記憶表示領域42で実行している先回り予告演出をクリアするのではなく、当該先回り予告演出を他の始動記憶表示領域42で実行するよう構成することも可能である。 【0522】 〔先読み系コマンド処理〕 変形例1では、図95に示す先読み系コマンド処理に代えて、図102に示す先読み系コマンド処理を行う。 変形例1の先読み系コマンド処理では、図102に示すように、ステップD308で、先読み演出に当選していないと判定した場合(ステップD308;No)には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行しているか否か判定する(ステップD312)。 ステップD312で、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行していないと判定した場合(ステップD312;No)には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aに通常表示態様を設定して(ステップD314)、先読み系コマンド処理を終了する。 【0523】 一方、ステップD312で、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行していると判定した場合(ステップD312;Yes)には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42の次の始動記憶表示領域42(次の空き保留)も先読み高確率ゾーン(先読み頻発ゾーン)内であるか否か、すなわち、次の始動記憶表示領域42も先読み高確率ゾーンの特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42であるか否か判定する(ステップD321)。 ステップD321で、次の始動記憶表示領域42は先読み高確率ゾーン(先読み頻発ゾーン)内でないと判定した場合(ステップD321;No)、すなわち、次の始動記憶表示領域42が先読み低確率ゾーンの特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42である場合には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で実行されている先回り予告演出をクリアし(ステップD313)、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aに通常表示態様を設定して(ステップD314)、先読み系コマンド処理を終了する。 【0524】 一方、ステップD321で、次の始動記憶表示領域42も先読み高確率ゾーン(先読み頻発ゾーン)内であると判定した場合(ステップD321;Yes)、すなわち、次の始動記憶表示領域42も先読み高確率ゾーンの特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42である場合には、先回り予告演出態様の設定先を、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42に表示されている始動記憶なし表示42bから、次の始動記憶表示領域42に表示される始動記憶なし表示42bへと移動させ(ステップD323)、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aに通常表示態様を設定して(ステップD314)、先読み系コマンド処理を終了する。これにより、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42の次の始動記憶表示領域42で先回り予告演出が実行される。なお、本変形例では、次の始動記憶表示領域42で既に先回り予告演出を実行している場合には、さらにその次の始動記憶表示領域42が先読み高確率ゾーン(先読み頻発ゾーン)内であれば、既に実行されている先回り予告演出の設定先を、当該さらにその次の始動記憶表示領域42に移動させて、既に実行されている先読み予告演出をクリアしないこととするが、これに限定されるものではなく、例えば、さらにその次の始動記憶表示領域42が先読み高確率ゾーン(先読み頻発ゾーン)内であるか否かにかかわらず、既に実行されている先回り予告演出をクリアしてもよい。 【0525】 ここで、図103を用いて、変形例1における、先回り予告演出の一例を説明する。 この例では、図103(a)に示すように、まず、4個の特図始動記憶が保留されていて、右から4番目の始動記憶表示領域42で先回り予告演出が実行されているが、それ以外の始動記憶表示領域42では先読み演出も先回り予告演出も実行されていない状態で、特図変動表示ゲームが実行されている。 そして、この特図変動表示ゲームが終了する前に、新たな特図始動記憶が発生すると、右から4番目の始動記憶表示領域42、すなわち先回り予告演出が実行されている始動記憶表示領域42に、当該新たな特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aが表示される。 【0526】 その際、当該新たな特図始動記憶が先読み演出に当選しなかった場合であって、当該新たな特図始動記憶の次に発生する特図始動記憶(この特図始動記憶はまだ発生していない)が先読み高確率ゾーンの特図始動記憶である場合には、図103(b)に示すように、当該新たな特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aとして、通常表示態様の始動記憶表示42a1が表示される。また、先読み演出を実行しないことを示唆する画像(この例では、「シーン・・・」というセリフの吹き出し画像)が表示されて、当該新たな特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で実行されている先回り予告演出がクリアされたかのような演出が実行される。 その後、図103(c)に示すように、当該新たな特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42の次の始動記憶表示領域42(すなわち、当該新たな特図始動記憶の次に発生する特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42)で先読み予告演出が実行される。このように先読み予告演出をクリアせずに、次の始動記憶表示領域42で行うことによって、遊技の興趣が低下してしまうことを抑制している。」 イ「【図103】 」 前記記載事項ア?イを総合すると、引用文献1には、引用発明とは別に、次の技術事項(以下、同じく「変形例1」という。)が記載されていると認められる(g’、i’は、本願補正発明のA?KのうちG、Iに概ね対応させて当審にて付与した。また、丸括弧内に示された段落番号は、引用文献における引用箇所を示す。)。 「g’対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行している際、対象の特図始動記憶が先読み演出に当選しなかった場合には、当該始動記憶表示領域42で実行している先回り予告演出をクリアするのではなく、当該先回り予告演出を他の始動記憶表示領域42で実行するよう構成し(【0521】)、 i’前記他の始動記憶表示領域42は、次の始動記憶表示領域42とし(【0524】、【0526】、【図103】(c))、次の始動記憶表示領域42で既に先回り予告演出を実行している場合には、さらにその次の始動記憶表示領域42とする(【0524】)遊技機10(【0467】)。」 審決注:引用文献1の変形例1の記載範囲(【0521】?【0526】)に、「遊技機10」という文言は明記されていないが、変形例1は【0467】等に記載の「本実施形態の遊技機10」を前提として、【0521】?【0526】に記載の変形を加えるものである。形式的には【0467】は変形例1の記載範囲に含まれないが、変形例1が「遊技機10」に関する技術事項であることを明確にすべく、本審決では【0467】の記載により変形例1の前提事項を補って、変形例1の技術事項を認定している。なお、この点は、(4)にて後述する引用文献1の変形例3についても同様である。 ウ なお、引用文献1には変形例1を含む各種変形例について、以下の記載がある。 「【0594】 また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、前述の実施形態及び変形例の各構成を組み合わせて適用しても良い。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。」 (4)引用文献1の変形例3 引用文献1には上記(2)の引用発明及び上記(3)の変形例1とは別に、以下の事項も記載されている。 ア「【0533】 <変形例3> 本実施形態の変形例3について説明する。 対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行している際、対象の特図始動記憶よりも前に発生した保留中(未消化)の特図始動記憶が所定の特殊演出条件を満たす場合には、特殊モード(先読みモード)演出を実行するよう構成することも可能である。 また、対象の特図始動記憶が所定の特定演出条件を満たす場合には、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42よりも後ろの始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行するよう構成することも可能である。 ・・・ 【0540】 〔先回り予告設定処理〕 変形例3では、図94に示す先回り予告設定処理に代えて、図107に示す先回り予告設定処理を行う。 変形例3の先回り予告設定処理では、図107に示すように、まず、先回り予告設定フラグがあるか(オンか)否か判定する(ステップD221)。 ステップD221で、先回り予告設定フラグがないと判定した場合(ステップD221;No)には、ステップD201以降の処理を行う。 【0541】 一方、ステップD221で、先回り予告設定フラグがあると判定した場合(ステップD221;Yes)には、対象の特図始動記憶(先回り予告設定フラグをオンしたときに対象となっていた特図始動記憶)に対応する始動記憶表示領域42よりも後ろの始動記憶表示領域42にて行う先回り予告演出を設定し(ステップD222)、先回り予告設定フラグをオフして(ステップD223)、先回り予告設定処理を終了する。 このように、本変形例では、対象の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果が大当りである場合には、対象の特図始動記憶や対象の特図始動記憶の後に発生する特図始動記憶が先読み高確率ゾーンの特図始動記憶であるか否かにかかわらず、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42よりも後ろの始動記憶表示領域42で、先回り予告演出を実行することができる。なお、対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42よりも後ろの始動記憶表示領域42が複数ある場合には、当該複数の始動記憶表示領域42のうちの何れの始動記憶表示領域42で先回り予告演出を行ってもよい。」 前記記載事項アを総合すると、引用文献1には、引用発明、変形例1とは別に、次の技術事項(以下、同じく「変形例3」という。)が記載されていると認められる(i’ ’は、本願補正発明のA?KのうちIに概ね対応させて当審にて付与した。)。 「i’ ’ 対象の特図始動記憶(先回り予告設定フラグをオンしたときに対象となっていた特図始動記憶)に対応する始動記憶表示領域42よりも後ろの始動記憶表示領域42が複数ある場合には、当該複数の始動記憶表示領域42のうちの何れの始動記憶表示領域42で先回り予告演出を行ってもよい(【0541】)遊技機10(【0467】)。」 (5)対比 本願補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。 ア 引用発明の構成a1の「始動入賞口36」及び「普通変動入賞装置37」は、本願補正発明の構成Aの「始動口」に相当する。引用発明の構成a2の「大当り乱数値」、「特図始動記憶」は、それぞれ、本願補正発明の構成Aの「数値データ」、「保留記憶」に相当する。 引用発明の構成a1、a2によれば、特図始動記憶は、「始動入賞口36」、「普通変動入賞装置37」に遊技球が入賞(入球)したことに起因して、それぞれ4個(合計8個)を上限として記憶するものであるから、引用発明は、本願補正発明の構成Aと同様に「遊技球が始動口へ入球する始動入賞に起因して、数値データを保留記憶として所定の上限個数まで記憶可能な保留記憶手段」を有しているといえる。 また、引用発明の構成a4によれば、既に第1若しくは第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態のように、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態に、特図始動記憶への記憶が行われるから、引用発明は、本願補正発明の構成Aと同様に「図柄の変動表示条件が未成立であるときに数値データを抽出」するものであるといえる。 そうすると、引用発明の構成a1、a2、a4は、本願補正発明の構成Aに相当する。 イ 引用発明の構成bの「始動記憶表示42a」は、特図始動記憶(保留記憶)に対応して表示されるものであるから、本願補正発明の構成Bの「前記保留記憶に対応した保留図柄」に相当する。 そうすると、引用発明の構成bは、本願補正発明の構成Bに相当する。 ウ 引用発明の構成cの「始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)」は、本願補正発明の構成Cの「前記図柄の変動表示条件が成立したとき」に相当する。引用発明の構成cの「始動記憶数が1減算される」処理と、「記憶された始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され」る処理は、それぞれ、本願補正発明の構成Cの「前記保留記憶を保留消化する」処理と、「前記保留記憶に基づいて図柄の変動表示を開始する」処理に相当する。 そうすると、引用発明の構成cは、本願補正発明の構成Cに相当する。 エ 引用発明の構成d1?d3において、遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111Aが行う処理、すなわち、始動記憶に基づき、第1(又は第2)特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1(又は第2)特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理は、本願補正発明の構成Dの「保留記憶に基づいて当たりとなるか否かの当否判定を実行する」に相当する。 なお、上記アにおいて、「特図始動記憶」が「保留記憶」に相当すると認定し、本願補正発明の構成Dでは「保留記憶に基づいて」当否判定を行うとされているところ、引用発明のd2、d3(引用文献1の【0091】)においては、単に「始動記憶に基づいて」第1(又は第2)特図変動表示ゲームの当り外れ(当否判定)行うとのみ記載されていて、「特図指導記憶に基づいて」当否判定を行うことは明記されていない。 しかしながら、引用発明は、始動入賞球を検出すると、第1(又は第2)始動記憶として「入賞球」(が入賞したこと)を記憶する(引用発明のa1)とともに、始動入賞球の検出時に大当り乱数値等を特図始動記憶として記憶する(引用発明のa2)ものである(引用文献1の【0039】参照)。すると、引用発明の構成d2、d3において「始動記憶に基づき」当り外れの当否判定を行うことは、始動記憶として「入賞球」(が入賞したこと)を記憶する際に記憶された大当り乱数値等の特図始動記憶(保留記憶)に基づき当り外れを判定するものとも評価できる。 以上より、エの冒頭で述べたとおり、引用発明のd1?d3の処理は本願補正発明の構成Dの「保留記憶に基づいて当たりとなるか否かの当否判定を実行する」処理に相当する。 また、引用発明のd4によれば、d1?d3の処理が行われると、第1(又は第2)特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド)が演出制御装置300に出力されて特図変動表示ゲームを表示する処理が行われるのであるから、引用発明のd1?d3の処理は本願補正発明の構成Dと同様に「前記図柄の変動表示の開始時」に行われるものであるといえる。 そうすると、引用発明の構成d1?d4は、本願補正発明の構成Dに相当する。 オ 引用発明の構成eの「所定時間」は、本願補正発明の構成Eの「所定の変動時間」に相当する。また、引用発明の構成eにおいて「所定時間後に変動している図柄を左変動表示領域、右変動表示領域、中変動表示領域の順に順次停止」させた各図柄は、本願補正発明の構成Eの「確定図柄」に相当する。さらに、引用発明において、全ての変動領域の図柄を停止させることは、本願補正発明の構成Eの「図柄の変動表示を終了する」ことに相当する。 なお、引用発明においては、構成d2・d3により判定された「当り外れ」(当否判定)に基づき、構成d4で判定結果が演出制御装置300に出力され、それに基づいて特図変動表示ゲームが表示されるのであるから、引用発明の構成eの「特図変動表示ゲームの結果を表示する」ことは、本願補正発明の構成Eの「前記当否判定の結果に対応した確定図柄を表示する」ことに相当するといえる。 また、引用発明の構成kの「遊技機10」は、本願補正発明の構成Eの「遊技機」に相当する。 そうすると、引用発明の構成e、kは、本願補正発明の構成Eに相当する。 カ 引用発明の構成fの「始動記憶なし表示42b」は、特図始動記憶(保留記憶)が発生した場合に、始動記憶表示42a(保留図柄)に切り替えられて表示されるものであるから、本願補正発明の構成Fの「未保留図柄」に相当する。 引用発明の構成fは、本願補正発明の構成Fに相当する。 キ 引用発明の構成g2、g3の「先読み演出」は、本願補正発明の構成Gの「特定演出」に相当する。また、引用発明の構成g2、g3にあるように「先回り予告演出」は、先読み演出(特定演出)の対象となる始動記憶(保留記憶)が発生する前に、当該先読み演出の実行を予告する演出であり、「特定の演出画像(先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2)を表示している保留表示部(始動記憶表示領域42)に対応する始動記憶が始動記憶保留手段(遊技制御装置100)に記憶された場合」に先読み演出(特定演出)が行われるのである。 もっとも、本願補正発明の構成Gは「未保留図柄を予告態様に変化」させるものであるのに対して、引用発明においては、構成g1にあるとおり、先回り予告演出に当選した場合には、(当初から)「先回り予告演出態様」で表示されるため、「未保留図柄を予告態様に変化」するものではない。 そうすると、引用発明の構成g1?g3と、本願補正発明の構成Gとは、「前記未保留図柄を予告態様」で表示し、「該予告態様によって前記新たな保留記憶に基づいて特定演出が実行される旨の予告を行う」「手段」で一致する。 ク 本願補正発明の構成Hの「前記新たな保留記憶に基づいて前記特定演出を実行するか否かの判定処理」を行うことに関して、請求項の文言上、「未保留図柄を予告態様」とするか否かを判定しているようにも、「特定演出」を実行するか否かを判定しているようにも解する余地がある。この点、本願の【0362】?【0363】には、明細書と「特許請求の範囲との対応」として、「未保留表示処理(図32)のS875、S880(当審注:未保留図柄を予告態様とするか否かの判定)、保留表示処理1および2のS625(当審注:特定演出の一種である先読み演出を実行するか否かの判定)が、判定手段の一例に相当する」と記載されている。当該記載に照らして、本審決では、本願補正発明の構成Hは、「未保留図柄を予告態様」とするか否かの判定と、「特定演出」を実行するか否かの判定の双方を含むものと解して対比を行う。 引用発明の構成h1の「先回り予告演出に当選したか否か判定する」処理は、上記の「未保留図柄を予告態様」とするかを判定する処理に対応する。当該処理は、特図変動表示ゲームの開始情報を受信したと判定した場合に行われるものである。そして、引用発明において特図変動表示ゲームは、始動入賞(構成a3参照)、保留消化(構成a3、cの始動記憶数を1減算する箇所を参照)、変動表示終了(構成c参照)に起因して開始されるものであるから、h1の処理もこれらの事象に起因して行われるものといえる。 また、引用発明の構成h2の「対象の特図始動記憶が先読み演出に当選したか否か判定する」処理は、上記の「特定演出」を実行するか否かを判定する処理に相当する。構成h2の処理は「特図始動記憶が発生し、それに伴い準備された先読み系コマンド(先読み図柄コマンドや先読み変動パターンコマンドなど)を受信した場合に実行される先読み系コマンド処理において行われ」るものである。そして、構成h2の「特図始動記憶が発生」するのは、始動入賞口36又は普通変動入賞装置37へ遊技球が入賞したとき(構成a1参照)であるから、構成h2の処理は始動入賞に起因して行われるといえる。 そうすると、引用発明の構成h1、h2は本願補正発明の構成Hに相当する。 ケ 引用発明の構成iでは、先回り予告演出に当選した場合に、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2が表示され、先回り予告演出が実行される表示領域は、最も右側の始動記憶表示領域42である。また、引用発明の構成jにあるように、始動記憶表示領域42においては、始動記憶表示42a又は始動記憶なし表示42bが左右に一列に表示され、特図始動記憶が消化される毎に左に一つずつずれるようになっている(最も古い特図始動記憶に対応する始動記憶表示42aは最も左側に表示される)ものである。 そうすると、引用発明の構成iにおいて、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2が、最も右側の始動記憶表示領域42に表示されるということは、始動記憶表示42a(最新のものを含む全ての保留図柄)よりも右側に表示される(すなわち「後続して表示」される)ことを意味する。 もっとも、本願補正発明の構成Iでは「最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの何れか1つを対象として決定し、該対象として決定された未保留図柄を前記予告態様に変化する」のに対して、引用発明ではそのようなことは明示されていない(引用発明では常に一番右側が決定される)。また、上記キで述べたとおり、引用発明は予告態様に「変化」するものではない。 引用発明の構成iと、本願補正発明の構成Iとは、「前記予告を行う手段は、前記予告を行うとき、最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの」「1つを前記予告態様」とするものとしている点で一致する。 コ 引用発明の構成jによれば、引用発明の始動記憶表示42a(保留図柄)と始動記憶なし表示42b(未保留図柄)は、いずれも始動記憶表示領域42に表示されるのであるから、引用発明の始動記憶表示42a(保留図柄)の表示領域と、始動記憶なし表示42b(未保留図柄)は区画せずに表示されているといえる。 そうすると、引用発明の構成jは、本願補正発明の構成Jに相当する。 サ 引用発明の構成kの「遊技機10」は、本願補正発明の構成Kの「遊技機」に相当する。 そうすると、本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。 (一致点) 「A 遊技球が始動口へ入球する始動入賞に起因して、図柄の変動表示条件が未成立であるときに数値データを抽出し、該抽出した数値データを保留記憶として所定の上限個数まで記憶可能な保留記憶手段と、 B 前記保留記憶に対応した保留図柄を表示する保留図柄表示手段と、 C 前記図柄の変動表示条件が成立したときに、前記保留記憶に基づいて図柄の変動表示を開始すると共に前記保留記憶を保留消化する変動開始手段と、 D 前記図柄の変動表示の開始時に、前記保留記憶に基づいて当たりとなるか否かの当否判定を実行する当否判定手段と、 E 所定の変動時間が経過したことに因り、前記当否判定の結果に対応した確定図柄を表示すると共に図柄の変動表示を終了する変動終了手段と、 を備えた遊技機において、 F 新たな保留記憶が記憶されたときに該保留記憶に対応した新たな保留図柄が表示される旨を示す未保留図柄を表示する未保留図柄表示手段と、 G’前記未保留図柄を予告態様で表示し、該予告態様によって前記新たな保留記憶に基づいて特定演出が実行される旨の予告を行う手段と、 H 前記新たな保留記憶に基づいて前記特定演出を実行するか否かの判定処理を、前記始動入賞、前記保留消化、又は前記変動表示の終了の何れかに起因して行う判定手段と、を備え、 I’前記未保留図柄変化手段は、前記予告を行うとき、最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの1つを前記予告態様とするものとし、 J 前記未保留図柄と前記保留図柄は、互いの表示領域が区画されない共通保留図柄表示領域に表示される K 遊技機。」 (相違点1)(構成G) 「予告態様によって前記新たな保留記憶に基づいて特定演出が実行される旨の予告を行う」ために、 本願補正発明は、未保留図柄を「予告態様に変化」させる構成を備えるのに対し、 引用発明は、始動記憶なし表示42b2(未保留図柄)を(当初から)先回り予告演出態様(予告態様)で表示するものの、「予告態様に変化」させる構成を有しない点。 (相違点2)(構成I) 「前記予告を行うとき、最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの1つを前記予告態様とする」ものに関し、 本願補正発明では、「前記未保留図柄のうちの何れか1つを対象として決定し、該対象として決定された未保留図柄を前記予告態様」とするのに対し、 引用発明では、先回り予告演出態様の始動記憶なし表示42b2(未保留図柄)が表示されるのが、最も右側の始動記憶表示領域42であり、「前記未保留図柄のうちの何れか1つを対象として決定し、該対象として決定された未保留図柄」を予告態様とするといえるかどうか明らかでない点。 (6)相違点についての当審の判断 ア 相違点1について 上記(3)のとおり、引用文献1には変形例1として「g’対象の特図始動記憶に対応する始動記憶表示領域42で先回り予告演出を実行している際、対象の特図始動記憶が先読み演出に当選しなかった場合には、当該始動記憶表示領域42で実行している先回り予告演出をクリアするのではなく、当該先回り予告演出を他の始動記憶表示領域42で実行するよう構成」することが記載されている。 変形例1の構成g’は、先回り予告演出の実行対象とされた他の始動記憶表示領域42(当審注:図103(c)の右から3番目)を、先回り予告態様ではない始動記憶なし表示42b2(未保留図柄)から先回り予告態様に変化させることで、次の特図始動記憶(新たな保留記憶)に基づいて先読み演出(特定演出)が実行される旨の予告を行うものであるから、本願補正発明の構成Gの「予告態様に変化」に相当する構成を含むものである。 引用発明と、上記変形例1は、いずれも同一の引用文献(引用文献1)に記載された事項であり、引用文献1の【0594】に「前述の実施形態及び変形例の各構成を組み合わせて適用しても良い」と記載されているように、引用発明(【0594】でいうところの「実施形態」)に上記変形例1を適用することは引用文献1に示唆されているといえる。 したがって、当業者が引用発明に上記変形例1を適用して、引用発明に変形例1の構成g’を備えることで、相違点1に係る本願補正発明の構成を備えることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点2について (ア)上記(3)のとおり、引用文献1の変形例1においては、先回り予告演出を他の始動記憶表示領域42で実行する際(すなわち、当該他の始動記憶表示領域42を、先回り予告態様ではない始動記憶なし表示42b2(未保留図柄)から先回り「予告態様に変化」させる際)、「i’前記他の始動記憶表示領域42は、次の始動記憶表示領域42とし(【0524】、【0526】、【図103】(c))、次の始動記憶表示領域42で既に先回り予告演出を実行している場合には、さらにその次の始動記憶表示領域42とする(【0524】)遊技機10(【0467】)。」が記載されている。 変形例1の構成i’は、最新の始動記憶表示42a(保留図柄)(当審注:図103(c)の右から4番目)に後続して表示可能な始動記憶なし表示42b2(未保留図柄)が複数(当審注:図103(c)の右から3?1番目)あるときに、「次の始動記憶表示領域42」(当審注:図103(c)の右から3番目)又は「さらに次の始動記憶表示領域42」(当審注:図103(c)の右から2番目)というように(予告態様に変化させる)対象として決定し、該対象として決定された始動記憶なし表示42b2(未保留図柄)を予告態様に変化させるものである。したがって、変形例1の構成i’は、本願補正発明の構成Iに相当する構成を含むものである。 アで述べたとおり、引用発明と変形例1はいずれも同一の文献に記載された事項であり、引用発明に変形例1を適用することは引用文献1に示唆されている。したがって、当業者が引用発明に上記変形例1を適用して、引用発明に変形例1の構成i’も備えることで、相違点2に係る本願補正発明の構成を備えることは、当業者が容易になし得たことである。 (イ)仮に、本願補正発明の構成Iが、ランダムに未保留予告の位置を決定するものを意味し、引用発明及び変形例1のような構成を含まないとしても、以下に示すように、相違点2に係る構成を引用発明に備えることは当業者が容易になし得たことである。 そもそも、引用発明は、「従来の遊技機では、始動記憶の発生後でなければ先読み演出が実行されないので、遊技者の期待を高める演出を早くから実行することができなかった」(【0004】)という課題に対して、先回り予告演出を実行することで「遊技機において、遊技者の期待を高める演出を早くから行うことで、遊技の興趣を向上させる」(【0005】)ものであり、「未発生の保留記憶に係る特定演出への期待感や興趣を確実に抱くことができる」(本願【0008】)と同種の効果を奏するものである。そのような効果は、先回り予告演出の対象をいずれにしようとも大きく変わるものではない。 加えて、上記「(4)引用文献1の変形例3」で述べたとおり、引用文献1には変形例3として「i’ ’ 対象の特図始動記憶(先回り予告設定フラグをオンしたときに対象となっていた特図始動記憶)に対応する始動記憶表示領域42よりも後ろの始動記憶表示領域42が複数ある場合には、当該複数の始動記憶表示領域42のうちの何れの始動記憶表示領域42で先回り予告演出を行ってもよい(【0541】)遊技機10(【0467】)。」が記載されている。ここで、複数の候補のうち何れを対象に選択してもよい場合における選択基準として、固定的な選択基準(例えば引用発明のように一番右側を選択する)の他に、ランダムな選択基準が含まれ得ることは技術常識であることに鑑みれば、変形例3の構成i’ ’に基づいてランダムな選択基準を採用することは、当業者が適宜決定し得た設計的事項にすぎない。 してみれば、引用発明1において変形例1を適用する際、予告態様に変化する対象を、ランダムに決定するよう構成し、本願補正発明に想到することは、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。 (7)効果について 本願補正発明により奏される効果は、引用発明、変形例1及び変形例3から、当業者が予測可能な範囲内のものである。 (8)小括 よって、本願補正発明は、引用発明、変形例1及び変形例3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 (9)請求人の主張について 本願補正発明の構成Iで「最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの何れか1つを対象として決定し、該対象として決定された未保留図柄を前記予告態様」とする点について、審判請求人は、引用発明が、「最も右側の始動記憶表示領域42」に表示された始動記憶なし表示42bに固定されているのに対して、本願発明が構成Iに係る相違点により、「常に保留上限数である4個目の保留図柄に対応した位置に未保留予告態様の未保留図柄が表示されるというマンネリ感が生まれることを防止し、ランダムに未保留予告の位置が決定されることで、遊技者は未保留予告が発生する位置がどこになるのかを興味を抱きつつ遊技が出来、興趣が向上する」(【0359】)という効果を有する旨を審判請求書において主張している。 しかしながら、本願補正発明(請求人の上記主張における「本願発明」)の構成Iは、上記【0359】のいうような「ランダム」に予告の対象を決定するもののみならず、変形例1の構成i’のように、「次の始動記憶表示領域42」(それが既に先回り予告演出を実行している場合には)「さらに次の始動記憶表示領域42」というように予告の対象を決定する構成も含むものである。 また、上記(6)イ(イ)で示したように、本願補正発明の構成Iが、ランダムに未保留予告の位置を決定するものを意味するとしても、引用発明において、変形例3を考慮すれば、ランダムな選択基準を採用することは、当業者が適宜なし得た事項である。 したがって、本願補正発明は、引用発明に変形例1及び変形例3を適用することで当業者が容易に想到し得たものであり、請求人の上記主張は採用できない。 2-4 まとめ 本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、前記第2のとおり却下されることとなったので、令和2年1月29日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の「1 補正の内容」に示した令和2年1月29日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1のとおりのものであると認める。 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.特開2015-77337号公報 3 引用文献に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(前記第2の「2-3(2)」における「引用文献1」に対応する。)の記載事項及び引用発明の認定については、前記第2の「2-3(2)」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の2-3で検討した本願補正発明の構成Iの「前記予告を行うとき、最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの何れか1つを対象として決定し、該対象として決定された未保留図柄を前記予告態様に変化するものとし」に関して、下線部分の限定事項を削除し「前記予告を行うとき、最新の前記保留図柄に後続して表示可能な前記未保留図柄のうちの1つを前記予告態様に変化するものとし」とするものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに上記の限定事項も含む本願補正発明が、前記第2の2-3(6)に記載したとおり、引用発明及び変形例1(仮に構成Iがランダムな選択手法に限定して解釈されるべきものであるとしたら、引用発明、変形例1及び変形例3)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-05-26 |
結審通知日 | 2021-06-01 |
審決日 | 2021-06-16 |
出願番号 | 特願2016-91812(P2016-91812) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 下村 輝秋 |
特許庁審判長 |
鉄 豊郎 |
特許庁審判官 |
太田 恒明 千本 潤介 |
発明の名称 | 遊技機 |