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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1376662
審判番号 不服2021-1137  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-27 
確定日 2021-08-24 
事件の表示 特願2017- 51548「回路基板」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月 4日出願公開、特開2018-157027、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年3月16日の出願であって、令和2年9月10日付けで拒絶理由が通知され、令和2年10月28日に手続補正がなされ、令和2年12月10日付けで拒絶査定がなされたが、令和3年1月27日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 令和3年1月27日の手続補正について
審判請求時の補正によって請求項1に「前記第1の電子部品は、長手方向を有する直方体の外形形状を有し、前記第1の平面及び前記第2の平面は、前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、前記長手方向に沿って延びるとともに互いに直交し且つ隣接する2つの平面であり、前記第1の基板及び前記第2の基板の各々は、前記長手方向と同じ方向に長手方向を有する矩形平板状の形状を有し、前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、前記第1の電子部品の前記長手方向の両端面である2つの平面は露出している」という事項を追加する補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するための事項である「第1の電子部品」について外形形状等を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、追加された事項は図1より明らかなものであるから、出願当初の明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項であり、新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし4に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
よって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。

第3 原査定の概要
原査定(令和2年12月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項 1
・引用文献等 1-2
・請求項 2、4
・引用文献等 1-3
・請求項 3
・引用文献等 1-4

<引用文献等一覧>
1.実願昭58-67325号(実開昭59-173366号)のマイクロフィルム
2.特開2011-108955号公報
3.実願平3-49399号(実開平5-4574号)のCD-ROM
4.特開2015-46447号公報(周知技術を示す文献)」

第4 本願発明
本願請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和3年1月27日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし4は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
外形として第1の平面および第2の平面を含みブロック状もしくはそれに似た外形形状を有する第1の電子部品に対し、第1寸法に基づく寸法だけ間隔を空けて前記第1の平面に対向する状態で固定配置される第1の基板と、
前記第1の基板に対してほぼ垂直に配置され、前記第1寸法より小さい第2寸法に基づく寸法だけ間隔を空けて前記第2の平面に対向する状態で固定配置され、且つ前記第1の基板と電気回路が接続された第2の基板と、
を備え、
前記第1の電子部品よりも小さく、且つ前記第1の基板および前記第2の基板のいずれにも載置可能な複数の第2の電子部品のうち、基板の厚み方向寸法が前記第2寸法より大きく且つ前記第1寸法以下の前記第2の電子部品のみが選択的に前記第1の基板に載置され、基板の厚み方向寸法が前記第2寸法以下の前記第2の電子部品のみが選択的に前記第2の基板に載置され、
前記第1の電子部品は、長手方向を有する直方体の外形形状を有し、前記第1の平面及び前記第2の平面は、前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、前記長手方向に沿って延びるとともに互いに直交し且つ隣接する2つの平面であり、
前記第1の基板及び前記第2の基板の各々は、前記長手方向と同じ方向に長手方向を有する矩形平板状の形状を有し、
前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、前記第1の電子部品の前記長手方向の両端面である2つの平面は露出している、
ことを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記第1の電子部品はトランスであり、前記第1の電子部品および複数の前記第2の電子部品はDC/DCコンバータを構成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記DC/DCコンバータは、車載用として構成され、車載バッテリの電圧を降圧する機能を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記第1の基板、および前記第2の基板のうち、少なくとも1つは前記第2の電子部品の温度上昇を抑制するためのヒートシンクを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。」

第5 引用発明、引用文献等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
ア 「(イ) 産業上の利用分野
本考案は半導体素子及び小型電子部品等が固着される回路基板構造に関する。」(明細書第1頁第17-19行)

イ 「(ハ) 考案の目的
本考案は上述した点に鑑みて為され、通常のLSI等を直接固着してワイヤボンドできる基板を用いて、薄型化及び高密度化を実視し、更に、他の基板への装着を可能とした回路基板構造を提供することを目的とする。」(明細書第2頁第15-20行)

ウ 「(ホ) 実 施 例
第1図は本考案の回路基板構造の製造過程の一状態を示す平面図である。(1)は耐熱性絶縁材料例えばガラスエポキンからなる構成単位面積部で、連結条帯(2)(2)に連結片(3)(3)で連結され帯状に連らねられる。実際の製造に当っては約0.2mm厚さのガラスエポキシ板をテープ状に形成したものから図に示す形状に打ち抜きにより行う。前記構成単位面積部(1)(1)の一主面上には予めガラスエポキシ板に接着してあった銅箔のエッチング等によって形成された導電路(4)(4)と該導電路の形成時に形成され前記隣接する構成単位面積部(1)(1)同士を力学的に支持する連結部材(5)(5)を備える。(6)は前記導電路の一部でLSI等の電子小型部品の接着面を構成し、(7)は同じく導電路の一部でLSI用のワイヤボンデイング用の端子面を構成している。」(明細書第3頁第14行-第4頁第9行)(当審注、「同志」とある記載は「同士」の誤記であるので、修正した。)


エ 「第2図は構成単位面積部(1)(1)を連結片(3)(3)を切断して連結条帯(2)(2)から切り離し、連結部(5)(5)を適宜折曲して構成単位面積部を任意面に沿わせた后、構成単位面積部の一側辺端を主基板(8)に設けた穴(9)に固着した処を示している。(l0)(10)は主基板(8)に設けた他の部品例えばIFT、やトランス等である。」(明細書第4頁第10-16行)


オ 「第3図は第2図A-A断面図を示している。(1)は主基板(8)の裏面に設けたプリント配線、(l2)は主基板(8)の穴(9)に挿入された構成単位面積部(1)の導電路(4)の端部(13)とプリント配線(1)を固定及び電気接続を行う半田である。」(明細書第4頁第17行-第5頁第1行)


カ 「次いで製造工程順に説明する。単位面積部の厚さは約0.2mmの薄板であるがガラスエポキシであり固いため、LSI等のICを導電路の一部の部品接着面(6)に直接固着した后、ICの端子とワイヤボンディング用端面(7)間をアルミ線によるワイヤボンドによる結線が可能となる。電子部品固着后は、連結片(3)(3)を切断して単位面積部(1)(1)を連結条帯(2)から分離するが各面積部(1)(1)は連結部材(5)により互いに支持されている。
然る后、各単位面積部(l)を他の単体電子部品(10)(10)の間の空間内の任意面に沿うように前記連結部材(5)を折曲させる。次いで単位面積部(1)の一側辺端を主基板(8)に設けた穴(9)に挿入し半田(12)で固定する。」(明細書第5頁第2-15行)

キ 「(ヘ) 考案の効果
上述の如く本考案によれば、薄型で実装密度の高い回路基板構造が得られるものであり、回路をユニット化する場合の利点は非常に大きなものである。また、回路基板を組み立てる前にLSI等の電子部品の固着及びボンディングが行え、自動化に適したものとなり、生産性の向上となる。
更に回路基板が他の電子部品間の空間に沿って設ける事ができるから機器全体の実装密度を高めることができる」(明細書第5頁第16行-第6頁第5行)

(2)引用文献1に記載された技術事項
ア 上記(1)イより、引用文献1は、「LSI等を直接固着してワイヤボンドできる基板」に関するものであることがわかる。

イ 上記(1)ウより、「構成単位面積部(1)(1)」は、「一主面上に」「形成された導電路(4)(4)と」、「隣接する構成単位面積部(1)(1)同士を力学的に支持する連結部材(5)(5)を備え」ることを読み取ることができる。

エ 上記(1)エ、カより、「主基板(8)」に「IFT、やトランス等」の「他の単体電子部品(l0)(10)」を「設け」、「各単位面積部(l)を他の単体電子部品(10)(10)の間の空間内の任意面に沿うように前記連結部材(5)を折曲させ」、「次いで単位面積部(1)の一側辺端を主基板(8)に設けた穴(9)に挿入し半田(12)で固定する」ことを読み取ることができる。

オ 上記(1)オより、「半田」「(12)」は、「主基板(8)の穴(9)に挿入された構成単位面積部(1)の導電路(4)の端部(13)」と「主基板(8)の裏面に設けたプリント配線」「(11)」の「固定及び電気接続を行う」ことを読み取ることができる。

カ 第1図より、「各構成単位面積部(1)(1)」は、「矩形平板状の形状を有し」ていることが見て取れる。

キ 第2図より、「IFT、やトランス等」の「他の単体電子部品(l0)(10)」の外形形状が「四角柱(直方体)」であることが見て取れる。

ク 第2図より、「前記連結部材(5)を折曲させ」た状態において、「隣接する構成単位面積部(1)(1)同士」はほぼ直角をなし、「他の単体電子部品(l0)(10)」の隣接する2側面に沿っている」ことが見て取れる。

(3)引用発明1について
以上より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる(なお、単位面積部についての用語がばらついているので、「構成単位面積部」で統一した。)。
「LSI等を直接固着してワイヤボンドできる基板であって、
構成単位面積部(1)(1)は、一主面上に形成された導電路(4)(4)と、隣接する構成単位面積部(1)(1)同士を力学的に支持する連結部材(5)(5)を備え、
各構成単位面積部(1)(1)は、矩形平板状の形状を有し、
主基板(8)にIFT、やトランス等の他の単体電子部品(l0)(10)を設け、各構成単位面積部(l)を他の単体電子部品(10)(10)の間の空間内の任意面に沿うように前記連結部材(5)を折曲させ、次いで構成単位面積部(1)の一側辺端を主基板(8)に設けた穴(9)に挿入し半田(12)で固定し、
半田(12)は、主基板(8)の穴(9)に挿入された構成単位面積部(1)の導電路(4)の端部(13)と主基板(8)の裏面に設けたプリント配線(11)の固定及び電気接続を行い、
IFT、やトランス等の他の単体電子部品(l0)(10)の外形形状は四角柱(直方体)であり、
前記連結部材(5)を折曲させた状態において、隣接する構成単位面積部(1)(1)同士はほぼ直角をなし、他の単体電子部品(l0)(10)の隣接する2側面に沿っている、
基板。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
本発明はECU集中収容箱に関し、詳しくは、自動車に搭載される複数のECU基板(電子制御ユニットの回路基板)を集中的に収容する収容箱の小型化、薄型化を図るものである。」

「【0023】
図1に示すECU集中収容箱1はボックス2内に3枚のECU基板3(3A,3B、3C)を収容すると共に1枚の共通回路基板4を収容し、ECU基板3と共通回路基板4とをECU接続用コネクタ5(5A、5B、5B)を介して接続している。
なお、本実施形態ではECU基板を3枚収容しているが、3枚に限定されず、2枚、4枚以上でも良い。
【0024】
・・・(中略)・・・
ECU接続用コネクタ5(5A、5B、5C)は図4に示すように、カードエッジコネクタである。該ECU接続用コネクタ5のハウジング50の上下壁50aと50bの間の 中心位置を各コネクタ5の基準線50sとし、上下隣接配置するECU接続用コネクタ5Aと5B、5Bと5Cの搭載間隔L2は上下の基準線50s間の距離としている。該距離L2の1/2の寸法を、後述する電気電子部品の高さを判定する基準値L1としている。」

【図1】

「【0026】
図2に示すように、前記各ECU基板3(3A、3B、3C)は電装品30(30A、30B、30C)の制御用であり、入出力回路13、および該入出力回路13と接続したCPU6を備えている。かつ、ECU基板3の入出力回路13に、高さ寸法が前記基準値L1未満の高さの電気電子部品60(チップ抵抗、チップコンデンサ、トランジスタ等)を実装している。かつ、本第1実施形態では、前記各ECU基板3の入出力回路13は前記電装品30と接続するワイヤハーネス用のコネクタは実装していない。
ECU基板3に実装する部品の高さ寸法の基準値L1を、前記のように、隣接するECU接続用コネクタ5(5Aと5B、5Bと5C)の間隔長の1/2未満としているのは、ECU基板3の上下両面に導体を設け、該導体に接続する部品を実装する場合を考慮しているためである。前記基準値L1以上の高さの電気電子部品は共通回路基板4に実装している。本実施形態では基準値L1は10mmである。
【0027】
前記共通回路基板4は、電源回路20、通信回路21、入出力回路22を備え、高さ寸法が前記基準値L1を越える電気電子部品を実装し、かつ、ワイヤハーネスと接続するコネクタ23、24、25を実装している。」

【図2】

「【0033】
・・・(中略)・・・
このように、積層するECU基板3A?3Cを薄く且つ小型化できるため、ECU基板の積層側を薄くできる。かつ、高さ寸法が基準値L1を越えるリレーや電解コンデンサを実装した共通回路基板4は、ECU基板3A?3Cの積層部の側部に垂直配置するため、ECU集中収容箱1の設置面積を減少でき、コンパクトにまとめることができる。」

(2)引用文献2に記載された技術事項
ア 段落【0023】より、「ボックス2内に3枚のECU基板3(3A,3B、3C)を収容すると共に1枚の共通回路基板4を収容し、ECU基板3と共通回路基板4とをECU接続用コネクタ5(5A、5B、5B)を介して接続し」ていることを読み取ることができる。

イ 段落【0024】より、「上下隣接配置するECU接続用コネクタ5Aと5B、5Bと5Cの搭載間隔」の「距離」「L2の1/2の寸法を」「電気電子部品の高さを判定する基準値L1と」することを読み取ることができる。

ウ 段落【0026】より、「ECU基板3」「に、高さ寸法が前記基準値L1未満の高さの電気電子部品60」「を実装し」ていることを読み取ることができる。

エ 段落【0027】より、「前記共通回路基板4は、」「高さ寸法が前記基準値L1を越える電気電子部品を実装し」ていることを読み取ることができる。

オ 段落【0033】より、「コンパクトにまとめることができる」ことを読み取ることができる。

(3)引用文献2に記載された技術
したがって、上記(2)アないしオより、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。
「ボックス2内に3枚のECU基板3(3A,3B、3C)を収容すると共に1枚の共通回路基板4を収容し、ECU基板3と共通回路基板4とをECU接続用コネクタ5(5A、5B、5B)を介して接続し、
上下隣接配置するECU接続用コネクタ5Aと5B、5Bと5Cの搭載間隔の距離L2の1/2の寸法を電気電子部品の高さを判定する基準値L1とし、
ECU基板3に、高さ寸法が前記基準値L1未満の高さの電気電子部品60を実装し、
前記共通回路基板4は、高さ寸法が前記基準値L1を越える電気電子部品を実装し、
コンパクトにまとめることができる」技術。

3 引用文献3に記載された技術
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、消費電力が大きい電子部品を備える混成集積回路装置に関し、特にDC/DCコンバータを構成する混成集積回路装置に関する。」

「【0011】
図1は、本考案に係わる混成集積回路装置を示す斜視図である。
【0012】
混成集積回路装置は、金属をベースにして絶縁層を介して回路を形成した金属基板11を有しており、金属基板11上の一側には、発熱量の大きな電子部品としてのトランス12、トランジスタ13、コンデンサ14が実装されている。そして、金属基板11の上部には、周囲に穿設された穴19に圧入された外部接続端子16を備えかつトランス12、トランジスタ13、コンデンサ14に臨む部分に開口部21を有するプリント基板18が載置されている。」

「【0013】
更に、プリント基板18と外部接続端子16とを半田付けすることにより、プリント基板18と金属基板11とを電気的に接続している。そして、プリント基板18には、発熱量の小さな電子部品としてのIC15および制御系部品20等が実装されている。」

「【0015】
トランス12、トランジスタ13、コンデンサ14、IC15および制御用部品20に電力および信号が入力されると、トランス12、トランジスタ13、コンデンサ14、IC15および制御用部品20は所定の動作を行う。この際、トランス12、トランジスタ13、およびコンデンサ14は熱を発生し、発生した熱はプリント基板18の開口部21および金属基板11から放熱される。」

【図1】

「【0018】
【考案の効果】
以上説明したように本考案によれば、・・・(省略)・・・発熱量の大きな電子部品から発熱量の小さな電子部品を離間して、発熱量の小さな電子部品に発熱量の大きな電子部品と同様の温度保証された部品を使用する必要がなくなり、部品コストを低減できる。」

よって、引用文献3には、次の技術(以下、「引用文献3に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。
「DC/DCコンバータを構成する混成集積回路装置において(【0001】)、
金属基板11上には、発熱量の大きな電子部品が実装され、金属基板11の上部には、プリント基板18が載置され(【0012】)、
プリント基板18には、発熱量の小さな電子部品が実装され(【0013】)、
発熱量の小さな電子部品に発熱量の大きな電子部品と同様の温度保証された部品を使用する必要がなくなり、部品コストを低減できる(【0018】)」技術。

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に、周知技術を示す文献として引用された引用文献4には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0009】
本実施形態における電子回路装置は、振動環境で使用される車載用DCDCコンバータ(電源装置)を想定している。・・・(以下、省略)・・・」

よって、引用文献4には、「DC/DCコンバータを車載用として構成する」技術(以下、「引用文献4に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1における「IFT、やトランス等の他の単体電子部品(l0)(10)」(以下、単に「単体電子部品(l0)(10)」ということがある。)は、その「外形形状」か「四角柱(直方体)」であるから、本願発明1における「外形として第1の平面および第2の平面を含みブロック状もしくはそれに似た外形形状を有する第1の電子部品」に相当する。

イ 引用発明1における「各構成単位面積部(1)」の一方は、「主基板(8)」に「設け」た「他の単体電子部品(10)(10)の間の空間内の任意面に沿うように」され、「次いで構成単位面積部(1)の一側辺端を主基板(8)に設けた穴(9)に挿入し半田(12)で固定」されているから、本願発明1における「第1の電子部品に対し、第1寸法に基づく寸法だけ間隔を空けて前記第1の平面に対向する状態で固定配置される第1の基板」に相当する。

ウ 引用発明1における「各構成単位面積部(l)」の他方は、「主基板(8)」に「設け」た「単体電子部品(10)(10)の間の空間内の任意面沿うように」「前記連結部材(5)を折曲させ」、「次いで構成単位面積部(1)の一側辺端を主基板(8)に設けた穴(9)に挿入し半田(12)で固定」し、「前記連結部材(5)を折曲させた状態において、隣接する構成単位面積部(1)(1)同士はほぼ直角をなし」ているから、本願発明1の「第2の基板」とは、「前記第1の基板に対してほぼ垂直に配置され、第2寸法に基づく寸法だけ間隔を空けて前記第2の平面に対向する状態で固定配置され、且つ前記第1の基板と電気回路が接続された第2の基板」で一致する。
しかしながら、本願発明1では、「第2の基板」と「第2の平面」との「間隔」である「第2寸法」が、「第1の基板」と「第1の平面」との「間隔」である「第1寸法」より「小さい」のに対し、引用発明1では、そのような大小関係は特定されていない点で相違する。

エ 引用発明1における「LSI等」が、「IFT、やトランス等の他の単体電子部品(l0)(10)」より小さいことは明らかであるから、引用発明1における「隣接する構成単位面積部(1)(1)同士」に「LSI等を直接固着」することは、本願発明1における、「前記第1の電子部品よりも小さく、且つ前記第1の基板および前記第2の基板のいずれにも載置可能な複数の第2の電子部品」が、「前記第1の基板に載置され、」また「前記第2の基板に載置され」ることと一致する。
しかしながら、本願発明1では、第1の基板に載置される複数の第2の電子部品が、「基板の厚み方向寸法が前記第2寸法より大きく且つ前記第1寸法以下の前記第2の電子部品のみ」「選択的に載置」されたものであり、第2の基板に載置される複数の第2の電子部品が「基板の厚み方向寸法が前記第2寸法以下の前記第2の電子部品のみ」「選択的に載置」されたものであるのに対し、引用発明1では、「LSI等」の電子部品を「基板の厚み方向寸法」で類別して載置することは特定されていない点で相違する。

オ 引用発明1における「単体電子部品(l0)(10)」の「外形形状」をなす「四角柱(直方体)」は、いずれかの方向に長手方向を有していることは明らかであって、本願発明1における「長手方向を有する直方体」に相当する。

カ 上記オを踏まえると、引用発明1における「単体電子部品(l0)(10)の外形形状は四角柱(直方体)であり」、「各構成単位面積部(l)を他の単体電子部品(10)(10)の間の空間内の任意面に沿うように前記連結部材(5)を折曲させ」、「前記連結部材(5)を折曲させた状態において、隣接する構成単位面積部(1)(1)同士はほぼ直角をなし」、「単体電子部品(l0)(10)の隣接する2側面に沿って」おり、「各構成単位面積部(1)(1)は、矩形平板状の形状を有し」ていることは、本願発明1における「前記第1の電子部品は、長手方向を有する直方体の外形形状を有し、前記第1の平面及び前記第2の平面は、前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、」「互いに直交し且つ隣接する2つの平面であり、前記第1の基板及び前記第2の基板の各々は、」「矩形平板状の形状を有し」ていることと一致する。
しかしながら、本願発明1では、「第1の基板」及び「第2の基板」の各々は、「第1の電子部品」の「長手方向と同じ方向に長手方向を有する」のに対し、引用発明1では、「各構成単位面積部(1)(1)」の長手方向が「単体電子部品(l0)(10)」の長手方向と特定されていない点で相違する。

キ 引用発明1では、「主基板(8)」に設けられた「単体電子部品(l0)(10)の外形形状は四角柱(直方体)であ」り、「前記連結部材(5)を折曲させた状態において、隣接する構成単位面積部(1)(1)同士はほぼ直角をなし、他の単体電子部品(l0)(10)の隣接する2側面に沿っている」ことから、引用発明1は、「単体電子部品(l0)(10)」の外側表面を構成する6つの平面のうち3つの平面が露出したものである。
したがって、引用発明1は、本願発明1における「前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、」「少なくとも2つの平面は露出している」ことと一致する。
しかしながら、本願発明1では「前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、前記第1の電子部品の前記長手方向の両端面である2つの平面は露出している」のに対し、引用発明1では、「主基板(8)」と2つの「構成単位面積部(1)(1)」により、「単体電子部品(l0)(10)」の連接する3つの面が隠蔽されているので、「単体電子部品(l0)(10)」における外側表面を構成する6つの平面のうち、両端面である2つの平面は露出していない点で相違する。

ク 引用発明1における「LSI等を直接固着してワイヤボンドできる基板」は、「一主面上に」「導電路(4)(4)」が「形成され」ているから、本願発明1における「回路基板」に相当する。

上記アないしクより、本願発明1と引用発明1との一致点、相違点は次のとおりである。
(一致点)
「外形として第1の平面および第2の平面を含みブロック状もしくはそれに似た外形形状を有する第1の電子部品に対し、第1寸法に基づく寸法だけ間隔を空けて前記第1の平面に対向する状態で固定配置される第1の基板と、
前記第1の基板に対してほぼ垂直に配置され、第2寸法に基づく寸法だけ間隔を空けて前記第2の平面に対向する状態で固定配置され、且つ前記第1の基板と電気回路が接続された第2の基板と、
を備え、
前記第1の電子部品よりも小さく、且つ前記第1の基板および前記第2の基板のいずれにも載置可能な複数の第2の電子部品が、前記第1の基板に載置され、また前記第2の基板に載置され、
前記第1の電子部品は、長手方向を有する直方体の外形形状を有し、前記第1の平面及び前記第2の平面は、前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、互いに直交し且つ隣接する2つの平面であり、
前記第1の基板及び前記第2の基板の各々は、矩形平板状の形状を有し、
前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、少なくとも2つの平面は露出している、
ことを特徴とする回路基板。」

(相違点1)
本願発明1では、「第2の基板」と「第2の平面」との「間隔」である「第2寸法」が、「第1の基板」と「第1の平面」との「間隔」である「第1寸法」より「小さい」のに対し、引用発明1では、そのような大小関係は特定されていない点。

(相違点2)
本願発明1では、第1の基板に載置される複数の第2の電子部品が、「基板の厚み方向寸法が前記第2寸法より大きく且つ前記第1寸法以下の前記第2の電子部品のみ」「選択的に載置」されたものであり、第2の基板に載置される複数の第2の電子部品が「基板の厚み方向寸法が前記第2寸法以下の前記第2の電子部品のみ」「選択的に載置」されたものであるのに対し、引用発明1では、「LSI等」の電子部品を「基板の厚み方向寸法」で類別して載置することは特定されていない点。

(相違点3)
本願発明1では、「第1の基板」及び「第2の基板」の各々は、「第1の電子部品」の「長手方向と同じ方向に長手方向を有する」のに対し、引用発明1では、「各構成単位面積部(1)(1)」の長手方向が「単体電子部品(l0)(10)」の長手方向と特定されていない点。

(相違点4)
本願発明1では「前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、前記第1の電子部品の前記長手方向の両端面である2つの平面は露出している」のに対し、引用発明1では、「単体電子部品(l0)(10)」における外側表面を構成する6つの平面のうち、両端面である2つの平面は露出していない点。

(2)判断
事案に鑑み、先ず、上記相違点4について検討する。
ア 上記「(1)」「キ」に記載したとおり、引用発明1では「主基板(8)」と2つの「構成単位面積部(1)(1)」により、「単体電子部品(l0)(10)」の連接する3つの面が隠蔽されている。
そして、引用発明1では、「主基板(8)に」「単体電子部品(l0)(10)を設け」、「単位面積部(1)の一側辺端を主基板(8)に設けた穴(9)に挿入し半田(12)で固定し、半田(12)は、主基板(8)の穴(9)に挿入された構成単位面積部(1)の導電路(4)の端部(13)と主基板(8)の裏面に設けたプリント配線(11)の固定及び電気接続を行」っているのであるから、引用発明1において「単体電子部品(l0)(10)」の連接する3つの面を隠蔽する「主基板(8)」及び各「構成単位面積部(1)(1)」は、それらが力学的に相互に連結、「固定」されているだけでなく、「電気」的にも相互に「接続」され、一体不可分のものとなっていることがわかる。
したがって、引用発明1において「単体電子部品(l0)(10)」の連接する3つの面のうち、「単体電子部品(l0)(10)」の長手方向の両端面である2つの平面を露出させ、上記相違点4に係る構成とすることは、「単体電子部品(l0)(10)」の長手方向がどの方向にあったとしても困難なことである。

イ また、引用文献2ないし4に記載された技術には、上記「前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、前記第1の電子部品の前記長手方向の両端面である2つの平面は露出している」に相当する構成(相違点4に係る構成)は示されていないから、引用文献2ないし4に記載された技術を引用発明1に適用しても、上記相違点4に係る構成とはならない。

ウ よって、上記相違点4は、当業者であっても、容易になし得たことではない。

(3)まとめ
以上のとおり、上記相違点1ないし3について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2ないし4に記載された技術に基づいて容易に発明できたもとはいえない。

2 本願発明2ないし4について
本願発明2ないし4も、本願発明1の「前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、前記第1の電子部品の前記長手方向の両端面である2つの平面は露出している」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2ないし4に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
進歩性(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1ないし4は「前記第1の電子部品の外側表面を構成する6つの平面のうち、前記第1の電子部品の前記長手方向の両端面である2つの平面は露出している」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-08-04 
出願番号 特願2017-51548(P2017-51548)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小南 奈都子原田 貴志黒田 久美子  
特許庁審判長 山田 正文
特許庁審判官 清水 稔
山本 章裕
発明の名称 回路基板  
代理人 特許業務法人栄光特許事務所  
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