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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
管理番号 1376752
異議申立番号 異議2021-700065  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-21 
確定日 2021-07-30 
異議申立件数
事件の表示 特許第6727576号発明「麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6727576号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6727576号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、令和2年3月16日に特許出願され、同年7月3日に特許権の設定登録がされ、同年同月22日にその特許公報が発行され、その後、令和3年1月21日に、特許異議申立人 石澤 隆範(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年4月9日付けで当審から取消理由通知が通知され、同年5月28日に意見書が提出されたものである。

第2 特許請求の範囲の記載
本件の特許請求の範囲の請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」?「本件特許発明8」という。まとめて、「本件特許発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物であって、前記造粒物の比重が0.300?0.350であり、且つ粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下である麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物。
【請求項2】
前記麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重が0.310?0.350であって、且つ粒径250μm?470μmの粒度分布が35%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が41%以下である請求項1に記載の麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物。
【請求項3】
前記麦類若葉乾燥粉末が麦類若葉の搾汁乾燥粉末である請求項1又は2に記載の麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3何れか1項に記載の飲食品組成物を含有する機能性飲食品。
【請求項5】
麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法であって、
前記麦類若葉乾燥粉末を流動層造粒する造粒工程と、
前記麦類若葉乾燥粉末造粒物を乾燥させる乾燥工程と、を備え
前記麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重が0.300?0.350であり、且つ粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下となるように調製する麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法。
【請求項6】
前記麦類若葉乾燥粉末を流動層造粒する造粒工程と
前記麦類若葉乾燥粉末造粒物を乾燥させる乾燥工程と、を1サイクルとして該サイクルを複数回繰り返す請求項5に記載の麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法。
【請求項7】
前記麦類若葉乾燥粉末が麦類若葉の搾汁乾燥粉末である請求項5又は6に記載の麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法。
【請求項8】
前記麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重が0.310?0.350であって、且つ粒径250μm?470μmの粒度分布が35%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が41%以下となるように調製する請求項5乃至7何れか1項に記載の麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法。」

第3 取消理由及び特許異議申立理由
1 特許異議申立人が申し立てた理由
特許異議申立人は、下記の甲第1?27号証を提出し、以下の異議申立理由を主張している。
(1)新規性
異議申立理由1:甲第1?5号証(甲第2号証は発売予定日の記載の会社情報、甲第3号証は比重測定の測定報告書、甲第4号証は、粒度分布測定の測定報告書、甲第5号証は、水分散性測定の測定報告書)には、本件特許発明1、2、4の飲食品組成物に該当する原材料として大麦若葉粉末を配合した青汁が記載されているので、本件特許発明1、2、4は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当するものであり、その特許は同法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取消されるべきものである。

異議申立理由3:甲第6号証の実施例3表3試料15は、甲第7号証の技術常識を考慮すると、粒度分布が本件特許発明1、2、4に該当する蓋然性が高いので、本件特許発明1、2、4は、甲第6号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当するものであり、その特許は同法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取消されるべきものである。

異議申立理由5:甲第6号証の実施例3表3試料15は、甲第7号証の技術常識を考慮すると、粒度分布が本件特許発明5、6、8に該当する蓋然性が高く、実施例3には流動層造粒の記載があるので、本件特許発明5、6、8は、甲第6号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当するものであり、その特許は同法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取消されるべきものである。

(2)進歩性
異議申立理由2:甲第1?5号証(甲第2号証は発売予定日の記載の会社情報、甲第3号証は比重測定の測定報告書、甲第4号証は、粒度分布測定の測定報告書、甲第5号証は、水分散性測定の測定報告書)には、本件特許発明1、2、4の飲食品組成物に該当する原材料として大麦若葉粉末を配合した青汁が記載されているので、本件特許発明1、2、4は、甲第1?5号証記載の発明から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

異議申立理由4:甲第6号証の実施例3表3試料15は、甲第7号証の技術常識を考慮すると、粒度分布が本件特許発明1、2、4に該当する蓋然性が高いので、本件特許発明1、2、4は、甲第6号証記載の組成物の発明から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

異議申立理由6:甲第6号証の実施例3表3試料15は、甲第7号証の技術常識(本件特許発明6については、甲第8?11号証の流動層造粒で造粒と乾燥を複数回繰り返すという技術常識)を考慮すると、粒度分布が本件特許発明5、6、8に該当する蓋然性が高いので、本件特許発明5、6、8は、甲第6号証記載の組成物の製造方法の発明から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

異議申立理由7:甲第1?5号証(甲第2号証は発売予定日の記載の会社情報、甲第3号証は比重測定の測定報告書、甲第4号証は、粒度分布測定の測定報告書、甲第5号証は、水分散性測定の測定報告書)には、本件特許発明3、4の飲食品組成物又は機能性飲食品に該当する原材料として大麦若葉粉末を配合した青汁(甲第1号証には、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの栄養素が含まれることが示されている。)が記載されており、甲第12?14,18号証から青汁に使用される大麦若葉の搾汁末が粉砕末に比べて水に溶けやすいことが技術常識であるので、本件特許発明3、4は、甲第1?5号証記載の発明から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

異議申立理由8:甲第6号証の実施例3表3試料15は、健康食品であり、甲第7号証の技術常識を考慮すると、粒度分布が本件特許発明3、4に該当する蓋然性が高く、使用する大麦若葉が搾汁粉である点は、甲第12?14,18号証から青汁に使用される大麦若葉の搾汁末が粉砕末に比べて水に溶けやすいことが技術常識であるので、本件特許発明3、4は、甲第6号証記載の組成物の発明から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

異議申立理由9:甲第6号証の実施例3表3試料15は、甲第7号証の技術常識を考慮すると、粒度分布が本件特許発明7、8の造粒物に該当する蓋然性が高く、使用する大麦若葉が搾汁粉である点は、甲第12?14,18号証から青汁に使用される大麦若葉の搾汁末が粉砕末に比べて水に溶けやすいことが技術常識であるので、本件特許発明3、4は、甲第6号証記載の組成物の発明から当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

(3) 実施可能要件
異議申立理由10-1(1):実施例において、比重の測定で行われる衝撃の程度が記載されておらず、どのような条件で比重の測定がされたのか不明確であって、本件特許発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、その特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由10-1(2):実施例において、粒度分布の測定で行われる振動の程度が記載されておらず、どのような条件において、粒度分布の測定がされたのかが不明確であって、本件特許発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、その特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由10-1(3):実施例において、麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法について、詳細な記載がなされていないため、どのような条件において、麦類若葉乾燥粉末造粒物が製造されたかが不明確であって、本件特許発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、その特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由10-1(4):実施例において、大麦若葉搾汁乾燥粉末に、賦形剤、増量剤、結合剤といった添加剤や調剤用添加剤を配合した場合にも同様に造粒物を得られるかについて、詳細な説明がなされていないため、どのような条件において、麦類若葉乾燥粉末造粒物が製造されたかが不明確であって、本件特許発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、その特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。

(4) サポート要件
異議申立理由10-2(1):本件特許発明1、2、4、5、6、8に関して、実施例では、大麦若葉搾汁乾燥粉末を造立して得た大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の水分散性の効果しか実証しておらず、それ以外の場合の水分散性の効果が検証されておらず、乾燥粉末と搾汁乾燥粉末とでは水分散性が異なることが技術常識であるので(甲第12号証?甲第20号証参照)、本件特許発明1、2、4、5、6、8は、発明の課題を解決できない範囲を含むから、その特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由10-2(2):本件特許発明に関し、実施例では、大麦若葉搾汁乾燥粉末を造立して得た大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の粒径250μm?470μmの粒度分布が45.83%を超える場合に水分散性が良好となることは記載されておらず、粒径増加と水分散性の傾向も明らかではないため、発明の課題を解決できない範囲を含むから、その特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。

(5) 明確性要件
異議申立理由10-3(1):本件特許発明について、比重の種類が定義されておらず(甲第21号証?甲第23号証参照)、発明の範囲が不明確であるから、その特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由10-3(2):本件特許発明について、振動の程度等の粒度分布の測定条件が定義されておらず(甲第27号証参照)、発明の範囲が不明確であるから、その特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由10-3(3):本件特許発明について、粒度分布測定法として、ふるい分け法等が知られるところ(甲第26号証参照)、どのような原理で測定するのか、粒度分布の原理や測定条件が定義されておらず、原理が異なると測定結果が異なることは技術常識であり、発明の範囲が不明確であるから、その特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由10-3(4):本件特許発明について、比重の測定で行われる衝撃の程度が記載されておらず、衝撃の程度で比重は異なり、発明の範囲が不明確であるから、その特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。
異議申立理由10-3(5):本件特許発明について、水分散性の測定で使用する器具や測定の方法(ロートとビーカーの距離、ロートとスパーテルの材質、ロートの大きさ、スパーテルを引き抜く速度)が記載されておらず、それらの条件によって、水分散性が良いと判断されたり、そうでないと判断されたりするので、発明の範囲が不明確であるから、その特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取消されるべきものである。



甲第1号証:「乳酸菌+酵素 大麦若葉|商品ラインアップ|青汁|アサヒグループ食品のウェブサイト,検索日:2021年1月13日,<URL;https//www.asahi-gf.co.jp/special/asa/aojirunyusankin/>
甲第2号証:「九州産 大麦若葉 使用!『乳酸菌+酵素 大麦若葉』8月28日(月)新発売!|アサヒグループ食品」のウェブサイト,検索日:2021年1月13日,<URL;https//www.asahi-gf.co.jp/company/newsrelease/2017/0807_03/>
甲第3号証:「乳酸菌+酵素 大麦若葉」の比重測定の「測定報告書」,2021年1月14日,株式会社セイシン企業
甲第4号証:「乳酸菌+酵素 大麦若葉」の粒度分布測定の「測定報告書」,2021年1月14日,株式会社セイシン企業
甲第5号証:「乳酸菌+酵素 大麦若葉」の水分散性測定の「測定報告書」,2021年1月14日,株式会社セイシン企業
甲第6号証:再公表特許WO2005/092124号公報
甲第7号証:粉の充填性(空間率)に及ぼす粒度分布の影響」のウェブサイト,検索日:2021年1月6日,<URL;https//web.archive.org/web/20150906162356/http://www.eng.u-hyogo.ac.jp/group/group42/hakaru/eikyo.html>
甲第8号証:特許協力条約に基づいて国際公開された日本語特許出願 特願平7-508045
甲第9号証:特開2004-91889号公報
甲第10号証:特開2009-126840号公報
甲第11号証:特開2013-241404号公報
甲第12号証:「タイセイ株式会社>>回帰水のサラダ青汁」のウェブサイト,検索日:2021年1月6日,<URL;https//www.kaikisui.co.jp/product/health/health03/>
甲第13号証:「タイセイ株式会社>>回帰水のサラダ青汁-Google検索」のウェブサイト,検索日:2021年1月6日,<URL;https//www.google.co.jp/search?q=・・・>
甲第14号証:「有機大麦若葉エキス バーリィグリーン」のウェブサイト,検索日:2021年1月6日,<URL;https//www.shizenkan.net/ic/healtyfoods011-17-01>
甲第15号証:「Amazon.co.jp:麦緑素 バーリィグリーン 60スティック:ドラッグストア」のウェブサイト,検索日:2021年1月6日,<URL;https//www.amazon.co.jp/バーリィグリーン-麦緑素-60スティック/dp/B004WMT9Y0>
甲第16号証:「研究発表|日本薬品開発株式会社」のウェブサイト,検索日:2021年1月6日,<URL;https//web.archive.org/web/20200228042310/http://www.jpd.gr.jp/research/>
甲第17号証:「究極の青汁エキス 麦緑素とは|日本薬品開発株式会社」のウェブサイト,検索日:2021年1月6日,<URL;https//web.archive.org/web/20100610232738/http://www.jpd.gr.jp:80/aojiru/bakuryokuso.html>
甲第18号証:「品質|日本薬品開発株式会社」のウェブサイト,検索日:2021年1月6日,<URL;https//web.archive.org/web/20100610232435/http://www.jpd.gr.jp:80/commitment/quality.html>
甲第19号証:「「違い」を生み出す生搾り製法|青汁OEMパートナー 日本薬品開発株式会社 違いが語れる青汁OEM」のウェブサイト,検索日:2021年1月14日,<URL;http://www.jpd-oem.jp/process/>
甲第20号証:「「違い」を生み出す生搾り製法-Google検索」のウェブサイト,検索日:2021年1月14日,<URL;https//www.google.com/search?q=・・・>
甲第21号証:「かさ比重?わかる粉体講座?-アルファ株式会社」のウェブサイト,検索日:2021年1月15日,<URL;https//alpha-kabu.com/solution/hunntaikouza/kasahijyu>
甲第22号証:「かさ比重?わかる粉体講座?-アルファ株式会社-Google検索」のウェブサイト,検索日:2021年1月15日,<URL;https//www.google.com/search?q=・・・>
甲第23号証:特表2004-519501号公報
甲第24号証:「バリデーションの考え方と実施例【実施例編(付属書)】固形製剤:流動層造粒乾燥工程」,平成28年5月,大阪府健康医療部薬務課,1/13?13/13
甲第25号証:五月女格 外7名,トウモロコシ澱粉の流動層造粒工程の解析-バインダ供給速度および噴霧圧が流動層含水率および顆粒の成長に及ぼす影響-,2012年12月,日本食品工学会誌,Vol.13,No.4,p.127-136
甲第26号証:高野正雄,粉体粒度分布測定技術,2007年,日本画像学会誌,第46巻,第6号,p.459-464
甲第27号証:日高重助,微粉体のふるい分け粒度測定法,1976年,粉体工学研究会誌,Vol.13,No.1,p.3-12

2 当審が通知した取消理由
理由:(明確性要件)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1?8の「麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物であって、前記造粒物の比重が0.300?0.350であり」との記載が、本件特許明細書【0037】の記載を考慮しても、どのようにして、造粒物の比重の測定が行われたのか、具体的な測定条件が判然とせず、条件によって、「造粒物の比重」の範囲「0.300?0.350」との特定事項が変化すると考えられるから、発明の範囲が不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

第4 当審の判断
当審は、請求項1?8に係る特許は、当審の通知した取消理由及び特許異議申立人が申し立てた理由によっては、取り消すことはできないと判断する。
理由は以下のとおりである。

当審が通知した取消理由(明確性要件)についての判断

1 乙号証の記載
本件特許権者は、上記取消理由に対して、乙第1号証、乙第2号証を提出して、本件特許発明は、発明の範囲が明確である旨意見書において主張している。

(1)乙第1号証
乙第1号証には、日本薬品開発株式会社 品質管理課の食品試験法に関するもので、試験方法として、「かさ比重・見かけ比重・比容積」の項目に、「1)かさ比重
試料5gを採取し,20mL容目盛り付試験管に静かにそそぎ込み,直ちに目盛りを読み取る。その際,振動させないように注意する。1試料に付き2検体行う。・・・」
「2)見かけ比重
かさ比重試験で用いた試験管を比容積試験器で20回振とうさせて,目盛りを読み,比重を求める。
見かけ比重で得られた値から,1g当りの容積を下記の計算により求める。」として、
「計算式 比容積(g/mL)=5(g)/見かけ比重で得られた値(mL)」が示され、同様のフローシートが示されている。

(2)乙第2号証
乙第2号証は、日本薬品開発株式会社大分工場品質管理課内で実施された大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物7検体を用い、株式会社石山科学器械製作所の比容積試験器を用いて本件特許明細書記載の見かけ比重測定方法を試験した実験成績証明書であって、タップ回数を20回以上30回まで伸ばしても比重に0.2%の誤差しか生じないこと、すべて本件特許発明の比重範囲となっていることが示されている。

2 判断
ア 本件特許権者が令和3年5月28日付け意見書で述べているように、本件特許発明における「比重」は、本件特許明細書【0037】の記載(本件特許明細書には、試験装置名、サンプル充填の方法とタッピング回数が20回で測定したこと、比重の計算式等が記載されている。)からみて、「見かけ比重」であることは明らかで、見かけ比重の測定方法は、食品試験法における一般試験の一つであり、造粒物の比重が一定値となること、造粒物が壊れるような試験方法であってはならないことは当業者の技術常識である。

イ そして、通常変更可能な条件であるタッピング回数が20回と特許明細書に条件が記載されていることのほか、特許権者は乙第1号証、乙第2号証を提出しているところ、実験成績報告書(乙第2号証)の結果にも示されるように、タッピングが20回以上と多数回になれば、本件特許発明の大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の比重は誤差範囲内(0.2%)のものとなることも技術常識であるといえる。

ウ したがって、本件特許発明の比重の範囲は、本件特許明細書の記載、及び食品分野の測定技術の上記アの技術常識や上記イの技術常識から、当業者であれば理解できるといえ、発明の範囲は、第三者に不測の不利益を生じるほどに不明確であるとはいえない。


エ 特許異議申立人は、甲第21号証?甲第23号証を提出して、比重の種類が定義されておらず、発明の範囲が不明確であるから、その特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨主張しているが、比重の種類の定義に複数あることは、周知であるとしても、上述のとおり、製品である大麦若葉乾燥粉末造粒物の性質や測定目的からみて、本件特許発明の比重は、見かけ比重の変化が実質的に生じなくなったタッピング回数20回とした見かけ比重であると当業者は理解できるのであるから、たとえ比重の種類が複数あることを考慮しても、本件特許発明の比重の数値範囲が、それによって不明確であるとはいえない。


3 取消理由についての判断のまとめ
以上のとおり、本件特許明細書、本件特許出願時の技術常識、乙第1号証、乙第2号証を考慮すれば、本件特許発明の比重の数値範囲は明確であり、本件特許発明1?8に関する取消理由は解消した。

取消理由となった理由は、異議申立理由10-3(1)と実質的に同内容であるから、以下、それ以外の特許異議申立理由について検討する。

取消理由で採用しなかった特許異議申立理由についての検討

異議申立理由1?8(新規性)(進歩性)について

1 甲号証の記載事項
(1)甲第1号証
電子的情報である甲第1号証には、以下の記載がある。

(1a)「乳酸菌+酵素 大麦若葉|商品ラインアップ|青汁|アサヒグループ食品
・・・
九州地方で栽培した大麦若葉を使用。味やにおいのクセが少なく、さらりとした飲みやすい味が特長です。続けやすいように味と国産にこだわった青汁です。
2種類の乳酸菌を配合
1 乳酸菌EC-12を300億個^(※1)配合
2 熱や酸に強い有胞子性乳酸菌を1億個^(※1)配合
活性型酵素^(※2)、善玉菌の栄養になるフラクトオリゴ糖を1000mg^(※1)配合
※1 1袋(3g)当たり 製造時の配合菌数
※2 活性のある酵素を含有した穀物発酵エキス末を使用。

原材料名
大麦若葉粉末(九州産)、チコリ由来オリゴ糖、穀物発酵エキス末(小麦を含む)、有胞子性乳酸菌末、桑葉末、酵母エキス、殺菌乳酸菌粉末(乳成分を含む)

栄養成分表示 1袋(3g)当たり
・・・
製造時配合1袋(3g)当たり
有胞子性乳酸菌末:20mg(乳酸菌として1億個相当)、殺菌乳酸菌粉末:6mg(乳酸菌として300億個相当)、穀物発酵エキス:10mg、チコリ由来オリゴ糖(フラクトオリゴ糖として):1000mg」

(2)甲第2号証
本願の出願前の電子的情報である甲第2号証には、以下の記載がある。

(2a)「九州産 大麦若葉 使用!『乳酸菌+酵素 大麦若葉』8月28日(月)新発売!|アサヒグループ食品
・・・
2017年8月7日
九州産 大麦若葉 使用!
『乳酸菌+酵素 大麦若葉』
8月28日(月)新発売!
(画像)
アサヒグループ食品株式会社・・・は、九州産大麦若葉を使用、2種類の乳酸菌、活性型酵素、オリゴ糖を配合した青汁『乳酸菌+酵素 大麦若葉』を8月28日(月)から全国で新発売します。

・国産(九州産)大麦若葉使用
カリウム、カルシウム、マグネシウムなど様々な栄養素を含む大麦若葉。毎日飲むものだから国産にこだわり、九州産の大麦若葉を使用しました。味やにおいに癖が少ないのが特長です。
・2種類の乳酸菌
乳酸菌EC-12を300億個^(※)配合。熱や酸に強い有胞子性乳酸菌1億個^(※)配合。
※1袋(3g)当たり製造時の配合菌数
・活性型酵素
活性のある酵素を含有した穀物発酵エキス末を使用。
・オリゴ糖
善玉菌の栄養になるフラクトオリゴ糖を1000mg配合
・保存料、着色料 無添加。
・スティック包装を採用し、使いやすく、持ち運びにも便利な設計。
・・・」

(3)甲第3号証
測定報告書である甲第3号証には、以下の記載がある。

(3a)「
1 測定項目
比重測定

2 測定試料
「乳酸菌+酵素 大麦若葉」(アサヒグループ食品株式会社):賞味期限2019.8/A9、ロット80-2A91 ※別紙参照

計:1検体

3 使用機器・測定条件
使用容器:MT-1000((株)セイシン企業製)
測定条件:使用容器20ml ( 最小目盛0.2ml)
衝撃回数(タッピング回数)20回

4 測定方法
容積20mlの目盛付き容器(最小目盛0.2ml) に試料5gを入れ、多機能型粉体物性測定器(MT- 1000型)を用いて20回衝撃(タッピング)を与えた後、容器の目盛を読み取る。

容器の目盛りを読み取った後、以下の式にて比重を算出する。
比重=5/ (目盛付き容器の目盛)

5 測定結果
試料名 測定項目 1回目 2回目 3回目 平均
乳酸菌+酵素 目盛(ml)15.6 16.0 15.6 15.7
大麦若葉 比重 0.321 0.313 0.321 0.318


(3b)「(別紙)
測定試料:「乳酸菌+酵素 大麦若葉」
(アサヒグループ食品株式会社)
賞味期限2019.8/A9、ロット80-2A91

(1)外箱 正面



(3c)「(2)外箱 背面



(3d)「(3)外箱 左側面

(4)外箱 右側面



(3e)「(5)外箱 天面

(6)外箱 底面

(7)個包装 表、裏



(4)甲第4号証
測定報告書である甲第4号証には、以下の記載がある。

(4a)「粒度分布測定結果報告書
1 測定項目
粒度分布測定

2 測定試料
「乳酸菌+酵素 大麦若葉」(アサヒグループ食品株式会社):賞味期限2019.8/A9 、口ット80-2A91※別紙参照

計:1検体

3 使用機器・測定条件
使用機器:RPS- 85((株)セイシン企業製)
測定条件:使用ふるい目開き 75・106・250・425μm
ふるい分け時間 5分

4 測定方法
1. 75 φふるいを装置にセットする。
2. サンプルカップに試料10gを入れる。
3. 使用ふるい目開きを装置に記憶させる。
4. ふるい分けを行う。

5 測定結果
ふるいNo. μm MESH 重量g 累積% 各段%
1 425 35 1.31 86.93 13.07
2 250 60 3.49 52.10 34.83
3 106 140 3.89 13.27 38.83
4 75 200 0.46 8.68 4.59
受皿(ふるい通過) 0.87 0.00 8.68
全重量 10.02」
決定注:(別紙)甲第3号証と同じなので省略

(5)甲第5号証
測定報告書である甲第5号証には、以下の記載がある。

(5a)「 水分散性測定結果報告書

1 測定項目
水分散性測定

2 測定試料
「乳酸菌+酵素 大麦若葉」(アサヒグループ食品株式会社):賞味期限2019.8、ロット80-2A91※別紙参照

計:1検体

3 使用機器
右記写真を参照下さい。
※ロート出口からビーカー水面までの距離は100mmとする。

4 測定方法
1○(決定注:原文は丸数字。以下同様。)ロートの下方に100mlの水が入った300mlのビーカーを設置する。
2○ロートの出口をスパーテルで塞ぎ、各サンプルl gをロートに入れる。
3○ロートの出口を塞いでいたスパーテルを引き抜き、サンプルをビーカーの中に落下させる。
4○サンプル全体が水に浸透して水中に分散するまでの時間を測定する。

5 測定結果
試料名 1回目 2回目 3回目 平均
乳酸菌+酵素 5.53 6.21 5.90 5.88
大麦若葉」
決定注:(別紙)甲第3号証と同じなので省略

(6)甲第6号証
本願の出願前に頒布された刊行物である甲第6号証には、以下の記載がある。
(6a)「[0009]
本明細書において、食物繊維含有食品素材は、主として植物の繊維を含む、葉、 芽、茎、花、実、根、穂、種子、果実等の部分を意味し、典型的には、緑色植物の若 葉である。好ましい食品素材の例としては、いわゆる青汁を製造するための食品素材がより好ましく、その例としては、アシタバ末、麦若葉末、緑茶粉末、ケールのいずれか又はそれらの1以上の混合物である。アシタバは抗酸化ビタミンを豊富に含む点で好ましい。使用できる食物繊維含有食品材料の他の例、特開2003-334046、特開 2003-79339等多くの文献に記載されている。食物繊維含有食品素材は、必要であれば特開 2002-218945に記載されているような裁断、ブランチング等の予備処理を行 つて使用してもよい。食物含有食品素材が入手時に粉末状でないときは、75μm以下の粉末にして用いることが好ましい。
・・・
麦若葉末は、公知文献等(特開平 7-241176、特開 2001-112435、特開 2002-58449、 特開 2002-212、特開 2003-9812、特開 2003-178)によって種々の製法が知られているが、その製法は問わず、乾燥された麦若葉末であればよい。麦若葉は、麦類の若葉を指し、具体的には大麦、小麦、ライ麦、えん麦、はと麦等の若葉が例示される。 麦若葉はビタミン類、ミネラル類、食物繊維などに富み、有害物質の吸着、腸内環境 の改善、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の活性化などの効果を有する健康食品の素材として注目を浴びている。
・・・
[0011]
キシロオリゴ糖とは、コーンコブ、綿実殻等から得られるホモ多糖キシラン (へミセル ロース)を原料とし、キシロースが数個結合したもののことを言う。白色でわずかな甘味を有する無臭の結晶性の粉末である。・・・食品中のキシロオリゴ糖の含量は、各場合において造粒の様子を観察しながら適宜決定してよいが、目安としては全固形分に対して3?20重量%とする。キシロオリゴ糖の添加は、造粒工程前に食物繊維への混合により、または造粒工程中にキシロオリゴ糖を溶解した水を食物繊維に添加、噴霧、もしくは注加することにより行う。 造粒は、流動層造粒法、押出造粒法を含む任意の方法で行うことができるが、分散性の良い造粒物の得られる流動層造粒法を好適に用いることができる。その場合は、1)キシロオリゴ糖を予め食品素材に混合しておいて水を噴霧して造粒しても、あるいは、2)水に溶解したキシロオリゴ糖を、造粒中に食品素材に噴霧して造粒してもよい。本発明においてはいずれの造粒方法によっても、望まれる造粒物が得られるが、作業が容易であることを考えると、1)の方法を好適に用いることができる。」

(6b)「[0032]
すなわち、流動層造粒または押出造粒にて、顆粒を調整した。流動層造粒の場合の製造方法は実施例1に準じた。ただし、試料14では、キシロオリゴ糖を水に溶解した水溶液を噴霧させた。一方、押出造粒の場合では、仕込み量 200mgとし、乳棒・乳鉢を用いて適量の水で練合したものを孔径 0.8mmのスクリーンを用いて押出造粒し、棚乾燥したものを30号(500μm)の篩で篩過して造粒物を得た。
[0033]
結果を表 3に示す。実施例 1、 2同様に造粒性の評価を行い、75μm以下の微粉の割合が 50%未満である場合を〇、50%以上である場合を×とした。その結果、いずれの試料についても造粒性は良好であった。」

(6c)「



(7)甲第7号証
本願の出願前の電子的情報である甲第7号証には、以下の記載がある。

(7a)「粉の充填性(空間率)に及ぼす粒度分布の影響

空間率は粉体充填層内の粒子間に存在する空間の割合を表す値です。この空間率の値が大きいほど層内の空間が多く疎な充填状態になっていることを、値が小さいほど層内の空間が少なく密充填されていることを表します。」

(7b)「粒子径の大きな大粒子と粒子径の小さな小粒子を混合充填すると大粒子間の隙間に小粒子が入り込むために空間率が減少し、密に充填します。この図から分かるように、粒子径の比が大きいほど空閻率の減少は大きくなりますし、最も空間率が小さくなる、すなわち最も密に充填される混合分率も変化します。」

(8)甲第8号証
本願の出願前に頒布された刊行物である甲第8号証には、以下の記載がある。
(8a)「流動層造粒機には、混合、造粒、乾燥の工程があるが、スプレーガンSPによるスプレー状態に乱れを生じないため、造粒時間内でスプレーガンによる液体噴射が停止されている期間内に、この動作を繰り返す。」(5頁右下欄15?17行)

(9)甲第9号証
本願の出願前に頒布された刊行物である甲第9号証には、以下の記載がある。
(9a)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解質コンデンサを製造する原料などに用いられる金属ニオブ粉末、およびその製造方法に関する。」

(9b)「【0037】
スプレードライヤー以外の造粒方法の具体例は、(1)粉末を凝集後に解砕し篩い分けるメッシュ造粒法、(2)粉末を撹拌羽で撹拌混合しながら、バインダーを添加し造粒する撹拌混合造粒法、(3)粉末を圧縮空気で撹拌混合しながら、バインダーを添加し造粒する転動流動造粒乾燥法(以上、乾式法)、(4)粉末と水との懸濁液の噴霧、乾燥、コーティングを繰り返して造粒する流動層造粒法(湿式法)がある。しかし、本発明者らが実験したところ、これら他の造粒方法ではいずれも、球形の二次粒子が得られず、収率も低かった。」

(10)甲第10号証
本願の出願前に頒布された刊行物である甲第9号証には、以下の記載がある。
(10a)「【技術分野】
【0001】
本発明は粒状農薬組成物に関する。」

(10b)「【0044】
また、粒状物(B)は固体担体、界面活性剤及び結合剤等をヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、攪拌造粒機や流動層造粒機へ投入し、粉体を混合、転動、流動させながら水を噴霧、滴下、乾燥を繰り返して粒を形成させて造粒物を調製し、得られた造粒物を乾燥させて造粒物を篩機で所定の粒子径となるように調製する攪拌造粒法や流動層造粒法により製造されてもよい。」

(11)甲第11号証
本願の出願前に頒布された刊行物である甲第9号証には、以下の記載がある。
(11a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌薬であるレボフロキサシンを高含量に配合し、服用性の向上した小型化レボフロキサシン錠剤に関する。」

(11b)「【0029】
本実施形態における錠剤を製造する際には、流動層造粒法によって製造することが特に好ましい。流動層造粒法としては、慣用されている当該技術の全てを含むが、たとえば「気流により原料粉体の流動層を形成させ、乾燥させながら結合剤溶液を噴霧して造粒する方法で、溶液の噴霧と熱風による乾燥の繰り返しで造粒される」(薬剤学(改定第5版)、株式会社南江堂、1997年4月25日発行)方法のように定義される。」

(12)甲第12号証
本願の出願前の電子的情報であるとされる甲第12号証(公知日は、甲第13号証から)には、以下の記載がある。
(12a)「多くの青汁は「粉砕乾燥製法」作られますが、「回帰水のサラダ青汁」は大麦若葉を乾燥せず搾り出しているため、青汁成分の吸収性が高く、水にサッと溶けます。」(右欄5?8行)

(13)甲第14号証
電子的情報である甲第14号証(甲第15号証から商品の取り扱い日を示す。)には、以下の記載がある。
(13a)「バリィーグリーン・ネオメイトから新しくなりました!こだわりの国産大麦若葉をギュッ!と搾った青汁を生のまま粉末にした健康補助食品です。癖のない味はご年配の方から子供まで美味しく頂けます。」(2頁6?10行)

(13b)「粉末を水に溶かそうとしても、なかなか溶けないことがありませんか?
他社製品のものは、繊維を取り除かず、そのまま小さく粉砕して粉末にし、粒にするので、なかなか溶けづらいんです。
しかし!バーリィグリーンは一度青汁に搾って液体になったものを粉末にして粒にしているので、他社製品に比べ溶けやすく、しかも吸収されやすいんです!」(6頁17?21行)

(13c)「大麦若葉を搾ってあるかそれだけで品質が違います。」(11頁9行)

(14)甲第18号証
本願の出願前の電子的情報であるとされる甲第18号証には、以下の記載がある。
(14a)「サラッとした抹茶感覚の飲みやすさの中に凝縮された生の青汁としての効力。」(右欄1行)

2 甲号証に記載された発明
(1)甲第2号証に記載された発明
甲第2号証は、アサヒグループ食品のニュースリリースの記載であって、摘記(2a)から、九州産大麦若葉を使用し、2種類の乳酸菌、活性型酵素、オリゴ糖を配合した青汁である『乳酸菌+酵素 大麦若葉』が、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど様々な栄養素を含む大麦若葉国産(九州産)大麦若葉を使用し、乳酸菌EC-12を300億個(1袋(3g)当たり製造時の配合菌数)、熱や酸に強い有胞子性乳酸菌1億個(1袋(3g)当たり製造時の配合菌数)の2種類の乳酸菌、活性のある酵素を含有した穀物発酵エキス末の活性型酵素、善玉菌の栄養になるフラクトオリゴ糖を1000mg配合し、保存料、着色料が無添加であることが記載されているので、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる

「カリウム、カルシウム、マグネシウムなど様々な栄養素を含む九州産大麦若葉を使用し、乳酸菌EC-12を300億個(1袋(3g)当たり製造時の配合菌数)、熱や酸に強い有胞子性乳酸菌1億個(1袋(3g)当たり製造時の配合菌数)の2種類の乳酸菌、活性のある酵素を含有した穀物発酵エキス末の活性型酵素、善玉菌の栄養になるフラクトオリゴ糖を1000mg配合し、保存料、着色料は無添加である『乳酸菌+酵素 大麦若葉』との商品名の青汁」

また、甲第1号証にも、上記『乳酸菌+酵素 大麦若葉』との商品名の青汁の成分、組成がより詳細に示された記載はあるものの、本願の出願前の電子的情報とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当する発明と認定することはできない。

(2)甲第6号証に記載された発明
甲第6号証は、食物繊維を含有する食品素材を造粒する方法および該方法により製造された健康食品に関するもので、摘記(6b)、摘記(6c)の記載から、実施例3の表3に記載された試料番号15の造粒物に関する発明として以下の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されているといえる

「大麦若葉 40部、アシタバ末 30部、抹茶粉末 10部、キシロオリゴ糖 5部、乳糖 15部を原料として、押出造粒し、粒度分布が、500μmを超えたものが0.1重量%、350μm以下250μm超えたものが31.2重量%、250μm以下150μmを超えたものが10.0重量%、150μm以下75μmを超えたものが7.7重量%、75μm以下のものが3.2重量%である食物繊維を含有する食品素材造粒物」

また、摘記(6b)には、実施例3の表3に記載された試料番号15の造粒物の製造方法である、押出造粒の場合の製造方法に関して、「押出造粒の場合では、仕込み量 200mgとし、乳棒・乳鉢を用いて適量の水で練合したものを孔径 0.8mmのスクリーンを用いて押出造粒し、棚乾燥したものを30号(500μm)の篩で篩過して造粒物を得た。」と記載されているのであるから、摘記(6c)の記載と併せて考慮すれば、以下の発明(以下、「甲6製造方法発明」という。)も記載されているといえる。

「仕込み量 200mgとし、乳棒・乳鉢を用いて適量の水で練合したものを孔径 0.8mmのスクリーンを用いて押出造粒し、棚乾燥したものを30号(500μm)の篩で篩過して造粒物を得る、大麦若葉 40部、アシタバ末 30部、抹茶粉末 10部、キシロオリゴ糖 5部、乳糖 15部を原料として、押出造粒し、粒度分布が、500μmを超えたものが0.1重量%、350μm以下250μm超えたものが31.2重量%、250μm以下150μmを超えたものが10.0重量%、150μm以下75μmを超えたものが7.7重量%、75μm以下のものが3.2重量%とする食物繊維を含有する食品素材造粒物の製造方法」

3 対比・判断
異議申立理由1,2,7に関して(甲2発明との対比・判断について)
(1)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲2発明とを対比する。
ア 対比
甲2発明の「九州産大麦若葉」は、本件特許発明1の「麦類若葉乾燥粉末造粒物」と、「麦類若葉」という限りにおいて、共通している。
また、甲2発明の「『乳酸菌+酵素 大麦若葉』との商品名の青汁」は、本件特許発明1の「飲食品組成物」に該当することは、明らかである。
したがって、本件特許発明1と甲2発明とは、「麦類若葉の飲食品組成物。」の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1-2:麦類若葉に関して、本件特許発明1においては、「乾燥粉末造粒物」であると特定されているのに対して、甲2発明においては、「乾燥粉末造粒物」であるとの特定のない点。
相違点2-2:本件特許発明1においては、麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重が0.300?0.350であると特定されているのに対して、甲2発明においては、麦類若葉の比重が明らかでない点。
相違点3-2:本件特許発明1においては、麦類若葉乾燥粉末造粒物の粒度分布が、粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下であると特定されているのに対して、甲2発明においては、麦類若葉の粒度分布が明らかでない点。

イ 判断
事案に鑑み、相違点2-2から検討する。

(ア)相違点2-2の判断
a 甲2発明の『乳酸菌+酵素 大麦若葉』との商品名の青汁の比重測定を行ったとされる測定報告書である甲第3号証においては、「乳酸菌+酵素 大麦若葉」(アサヒグループ食品株式会社):賞味期限2019.8/A9、ロット80-2A91のものが測定試料として用いられたことから、本願出願前に製造されたことが賞味期限から推定される「乳酸菌+酵素 大麦若葉」を測定していると考えられるものの、甲2発明と甲第3号証の測定試料との商品名と原材料成分名とが一致しているからといって、両者の比重までもが、製造段階で一致しているのかおよび製造時から測定時まで変化せず一致しているかどうかは明らかとはいえないといえる。

b さらに、本件特許発明1の「乾燥粉末造粒物・・・であって、前記造粒物の比重が0.300?0.350であり」との特定は、あくまでも大麦若葉自体の造粒物の比重を特定したものであるのに対して、甲第3号証は、「乳酸菌+酵素 大麦若葉」(アサヒグループ食品株式会社):賞味期限2019.8/A9、ロット80-2A91という、大麦若葉粉末に2種類の乳酸菌や活性型酵素やオリゴ糖(商品3gに対して1000mgも添加されている。)を加えた商品包装体の青汁原料全体を対象として比重を測定しており、その測定結果が、本件特許発明1で特定している数値範囲自体に該当したからといって、各成分の比重は種々であり、甲2発明の大麦若葉粉末の比重が0.300?0.350であるとはいえず、上記相違点2-2は、実質的相違点である。

c また、甲2発明において、大麦若葉粉末の比重を0.300?0.350の範囲に設定する動機付けは全くなく、相違点2-2は、当業者が容易になし得た技術的事項であるとはいえない。

(イ)相違点3-2の判断
a 甲2発明の『乳酸菌+酵素 大麦若葉』との商品名の青汁の粒度分布測定を行ったとされる測定報告書である甲第4号証においては、「乳酸菌+酵素 大麦若葉」(アサヒグループ食品株式会社):賞味期限2019.8/A9、ロット80-2A91のものが測定試料として用いられたことから、本願出願前に製造されたことが賞味期限から推定される「乳酸菌+酵素 大麦若葉」を測定していると考えられるものの、甲2発明と甲第4号証の測定試料との商品名と原材料成分名とが一致しているからといって、粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下であるとの両者の粒度分布までもが、製造段階で一致しているのかおよび製造時から測定時まで変化せず一致しているかどうかは明らかとはいえないといえる。

b さらに、本件特許発明1の「乾燥粉末造粒物・・・前記造粒物の・・・粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下である」との特定は、あくまでも大麦若葉自体の造粒物の粒度分布を特定したものであるのに対して、甲第4号証は、「乳酸菌+酵素 大麦若葉」(アサヒグループ食品株式会社):賞味期限2019.8/A9、ロット80-2A91という、大麦若葉粉末に2種類の乳酸菌や活性型酵素やオリゴ糖(商品3gに対して1000mgも添加されている。)を加えた商品包装体の青汁原料全体を対象として粒度分布を測定しており、その測定結果が、本件特許発明1で特定している数値範囲自体に該当したからといって、各成分を混合した後の粒度分布は同じであるとはいえないのであるから、甲2発明の大麦若葉粉末の粒度分布が、粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下であるとはいえず、上記相違点3-2は、実質的相違点である。

c また、甲2発明において、大麦若葉粉末の粒度分布を粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下に設定する動機付けは全くなく、相違点3-2は、当業者が容易になし得た技術的事項であるとはいえない。

ウ 本件特許発明1の効果について
本件特許発明1は、前記第2の請求項1に特定したように、「麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物」において、「前記造粒物の比重が0.300?0.350であり」、且つ「粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下である」との構成を採用することで、本件明細書【0010】に記載される「比重及び特定の粒度分布を一定の数値範囲に調製していることから水に迅速且つ均一に分散するため、飲料などの液状の商品を速やかに消費者に提供することができ」「特に飲料用途に用いられる顆粒状の機能性飲食品として利用され得る」という顕著な効果を奏している。

エ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、甲第5号証の水分散性測定の測定報告書を提出して、甲第1号証?甲第4号証の「乳酸菌+酵素 大麦若葉」の水分散性が良好であることを主張しているが、「乳酸菌+酵素 大麦若葉」(アサヒグループ食品株式会社):賞味期限2019.8/A9、ロット80-2A91のものが測定試料として用いられたことから、甲第3号証?甲第5号証の測定試料が一応同一ロットのものが測定されたことは確認できるものの、甲2発明との関係において、上述のとおり、同一商品名の商品における時期的な商品としての変化、試料の経時的特性変化、測定試料の対象自体の本件特許発明との相違の点から、甲第5号証の測定結果によって、「乳酸菌+酵素 大麦若葉」(アサヒグループ食品株式会社):賞味期限2019.8/A9、ロット80-2A91のものが測定試料の水分散性が良好であるからといって、上記結論に影響のあるものとはいえない。

オ まとめ
したがって、相違点1-2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第3号証?甲第5号証を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、又甲第2号証に記載された発明および甲第3号証?甲第5号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(2)本件特許発明2?4について
本件特許発明2は、本件特許発明1の比重及び粒度分布をさらに限定したものであり、本件特許発明3は、本件特許発明1、2の麦類若葉乾燥粉末が麦類若葉の搾汁乾燥粉末であることをさらに限定したものであり、本件特許発明4は、本件特許発明1?3の飲食品組成物を、それを含有する機能性飲食物として記載したものであるから、上記(1)において、本件特許発明1で検討したのと同様に、本件特許発明2、4は、甲第3号証?甲第5号証を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、又甲第2号証に記載された発明および甲第3号証?甲第5号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものともいえないし、甲第12号証の「回帰水のサラダ青汁」との商品名の青汁が、大麦若葉を乾燥せず搾り出しているため、青汁成分の吸収性が高く、水にサッと溶けます。」との記載や、甲第14号証の「バーリィグリーン」との商品名の青汁について「一度青汁に搾って液体になったものを粉末にして粒にしているので、他社製品に比べ溶けやすく、しかも吸収されやすいんです」との記載や、甲第18号証の「サラッとした抹茶感覚の飲みやすさの中に凝縮された生の青汁としての効力。」との記載を併せて考慮しても、本件特許発明3、4は、甲第3号証?甲第5号証を参照しても、甲第2号証に記載された発明および甲第3号証?甲第5号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(3)異議申立理由1,2,7に関しての小括
したがって、異議申立理由1,2,7には、理由がない。

異議申立理由3?6,8,9に関して(甲6発明、甲6製造方法発明との対比・判断)
(1)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲6発明とを対比する。
ア 対比
甲6発明の成分として含まれている「大麦若葉」は、本件特許発明1の「麦類若葉乾燥粉末造粒物」と、「麦類若葉」という限りにおいて、共通している。
また、甲6発明の「食物繊維を含有する食品素材造粒物」は、本件特許発明1の「飲食品組成物」に該当することは、明らかである。
したがって、本件特許発明1と甲6発明とは、「麦類若葉を含有する飲食品組成物。」の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1-6:麦類若葉に関して、本件特許発明1においては、「乾燥粉末造粒物」であると特定されているのに対して、甲6発明においては、「大麦若葉 40部、アシタバ末 30部、抹茶粉末 10部、キシロオリゴ糖 5部、乳糖 15部を原料として、押出造粒した」造粒物であるものの大麦若葉に関しては「乾燥粉末造粒物」であるとの特定のない点。
相違点2-6:本件特許発明1においては、麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重が0.300?0.350であると特定されているのに対して、甲6発明においては、比重が明らかでない点。
相違点3-6:本件特許発明1においては、麦類若葉乾燥粉末造粒物の粒度分布が、粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下であると特定されているのに対して、甲6発明においては、原料全体を、押出造粒し、その粒度分布が、500μmを超えたものが0.1重量%、350μm以下250μm超えたものが31.2重量%、250μm以下150μmを超えたものが10.0重量%、150μm以下75μmを超えたものが7.7重量%、75μm以下のものが3.2重量%である点。

イ 判断
事案に鑑み、相違点2-6から検討する。

(ア)相違点2-6の判断
a 甲6発明において、造粒物又は原材料である大麦若葉の比重は特定されていないし、その比重が0.300?0.350であることは、本願出願時の技術常識でもない。
したがって、相違点2-6は、実質的な相違点である。

b また、甲6発明において、造粒物又は原材料である大麦若葉の比重を0.300?0.350にすることが、甲第6号証や粉の充填性(空間率)に及ぼす粒度分布の影響に関する甲第7号証の記載を考慮しても、示唆されているとはいえず、何ら動機付けもないのであるから、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。

(イ)相違点3-6の判断
a 甲6発明において、粒度分布自体は、「350μm以下250μm超えたものが31.2重量%、250μm以下150μmを超えたものが10.0重量%、150μm以下75μmを超えたものが7.7重量%、75μm以下のものが3.2重量%である」のだから、本件特許発明1の「粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下である」に数値としては該当するといえるものの、甲6発明の粒度分布は、原料全体の粒度分布を測定したものであるのに対して、本件特許発明1においては、麦類若葉乾燥粉末造粒物の粒度分布であり、測定対象が異なるので、結果的に甲6発明の測定結果が本件特許発明1に該当しているとはいえず、相違点3-6は、実質的な相違点である。

b また、甲6発明において、原材料である大麦若葉の粒度分布を、粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下にすることが、甲第6号証や粉の充填性(空間率)に及ぼす粒度分布の影響に関する甲第7号証の記載を考慮しても、示唆されているとはいえず、何ら動機付けもないのであるから、相違点3-6は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。

ウ 本件特許発明1の効果について
本件特許発明1は、前記甲2発明との対比・判断で述べたように、「麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物」において、「前記造粒物の比重が0.300?0.350であり」、且つ「粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下である」との構成を採用することで、本件明細書【0010】に記載される「比重及び特定の粒度分布を一定の数値範囲に調製していることから水に迅速且つ均一に分散するため、飲料などの液状の商品を速やかに消費者に提供することができ」「特に飲料用途に用いられる顆粒状の機能性飲食品として利用され得る」という顕著な効果を奏している。一方、甲6発明は、摘記(6c)の表3の結果から再分散性が△との評価となっている。

エ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、甲第7号証を提出して、比重は粒径に依存し、比重の違いによる効果は示されていないから、比重の限定は実質的構成ではない旨主張しているが、比重は、本件特許発明1の発明特定事項であり、甲第7号証を考慮しても、本件特許発明1の粒度分布を満たせばかならず比重が特定されている範囲になることが示されているわけでもないのであるから、比重の限定が実質的構成ではないとの主張には根拠がなく(なお、本件特許明細書表3?5では各試料の比重も示した上で、分散性の測定結果が示されている。)、上記主張を採用することはできない。

オ まとめ
したがって、相違点1-6について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第7号証を参照しても、甲第6号証に記載された発明とはいえないし、又甲第6号証に記載された発明および甲第7号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(2)本件特許発明2?4について
本件特許発明2は、本件特許発明1の比重及び粒度分布をさらに限定したものであり、本件特許発明3は、本件特許発明1,2の麦類若葉乾燥粉末が麦類若葉の搾汁乾燥粉末であることをさらに限定したものであり、本件特許発明4は、本件特許発明1?3の飲食品組成物を、それを含有する機能性飲食物として記載したものであるから、上記(1)において、本件特許発明1で検討したのと同様に、本件特許発明2、4は、甲第7号証を参照しても、甲第6号証に記載された発明とはいえないし、又甲第6号証に記載された発明および甲第7号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものともいえないし、甲第12号証の「回帰水のサラダ青汁」との商品名の青汁が、大麦若葉を乾燥せず搾り出しているため、青汁成分の吸収性が高く、水にサッと溶けます。」との記載や、甲第14号証の「バーリィグリーン」との商品名の青汁について「一度青汁に搾って液体になったものを粉末にして粒にしているので、他社製品に比べ溶けやすく、しかも吸収されやすいんです」との記載や、甲第18号証の「サラッとした抹茶感覚の飲みやすさの中に凝縮された生の青汁としての効力。」との記載を併せて考慮しても、本件特許発明3、4は、甲第7号証を参照しても、甲第6号証に記載された発明および甲第7号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(3)本件特許発明5について
本件特許発明5と甲6製造方法発明とを対比する。
ア 対比
甲6製造方法発明の「仕込み量 200mgとし、乳棒・乳鉢を用いて適量の水で練合したものを孔径 0.8mmのスクリーンを用いて押出造粒し、棚乾燥したものを30号(500μm)の篩で篩過して造粒物を得る、大麦若葉 40部、アシタバ末 30部、抹茶粉末 10部、キシロオリゴ糖 5部、乳糖 15部を原料として、押出造粒し、粒度分布が、500μmを超えたものが0.1重量%、350μm以下250μm超えたものが31.2重量%、250μm以下150μmを超えたものが10.0重量%、150μm以下75μmを超えたものが7.7重量%、75μm以下のものが3.2重量%である」ことは、本件特許発明5の「前記麦類若葉乾燥粉末を流動層造粒する造粒工程と、前記麦類若葉乾燥粉末造粒物を乾燥させる乾燥工程と、を備え」「前記麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重が0.300?0.350であり、且つ粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下となるように調製する」ことと、「造粒工程と乾燥工程とを備え」るという限りにおいて、共通している。
また、甲6製造方法発明の「食物繊維を含有する食品素材造粒物の製造方法」は、本件特許発明5の「麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法」と「造粒物の製造方法」という限りにおいて、共通している。
したがって、本件特許発明5と甲6製造方法発明とは、「造粒工程と乾燥工程とを備える造粒物の製造方法。」の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1-6’:本件特許発明5は、「麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法」であるのに対して、甲6製造方法発明は、「食物繊維を含有する食品素材造粒物の製造方法」である点。
相違点2-6’:本件特許発明5においては、麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重が0.300?0.350であると特定されているのに対して、甲6製造方法発明においては、比重が明らかでない点。
相違点3-6’:本件特許発明5においては、前記麦類若葉乾燥粉末を流動層造粒する造粒工程と、前記麦類若葉乾燥粉末造粒物を乾燥させる乾燥工程と、を備え、麦類若葉乾燥粉末造粒物の粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下となるように調製すると特定されているのに対して、甲6製造方法発明においては、仕込み量 200mgとし、乳棒・乳鉢を用いて適量の水で練合したものを孔径 0.8mmのスクリーンを用いて押出造粒し、棚乾燥したものを30号(500μm)の篩で篩過して造粒物を得る、大麦若葉 40部、アシタバ末 30部、抹茶粉末 10部、キシロオリゴ糖 5部、乳糖 15部を原料として、押出造粒し、その粒度分布が、500μmを超えたものが0.1重量%、350μm以下250μm超えたものが31.2重量%、250μm以下150μmを超えたものが10.0重量%、150μm以下75μmを超えたものが7.7重量%、75μm以下のものが3.2重量%とする点。

イ 判断
事案に鑑み、相違点2-6’から検討する。

(ア)相違点2-6’の判断
a 甲6製造方法発明において、造粒物又は原材料である大麦若葉の比重は特定されていないし、その比重が0.300?0.350であることは、本願出願時の技術常識でもない。
したがって、相違点2-6’は、実質的な相違点である。

b また、甲6製造方法発明において、造粒物又は原材料である大麦若葉の比重を0.300?0.350にすることが、甲第6号証や粉の充填性(空間率)に及ぼす粒度分布の影響に関する甲第7号証の記載を考慮しても、示唆されているとはいえず、何ら動機付けもないのであるから、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。

(イ)相違点3-6’の判断
a 甲6製造方法発明において、粒度分布自体は、「350μm以下250μm超えたものが31.2重量%、250μm以下150μmを超えたものが10.0重量%、150μm以下75μmを超えたものが7.7重量%、75μm以下のものが3.2重量%とする」のだから、本件特許発明5の「粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下となるように調製する」ことに数値としては該当するといえるものの、甲6製造方法発明の粒度分布は、原料全体の粒度分布を測定したものであるのに対して、本件特許発明5においては、麦類若葉乾燥粉末造粒物の粒度分布であり、測定対象が異なるので、結果的に甲6製造方法発明の測定結果が本件特許発明5に該当しているとはいえず、相違点3-6’は、実質的な相違点である。

b また、甲6製造方法発明において、原材料である大麦若葉の粒度分布を、粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下にすることが、甲第6号証や粉の充填性(空間率)に及ぼす粒度分布の影響に関する甲第7号証の記載を考慮しても、示唆されているとはいえず、何ら動機付けもないのであるから、相違点3-6’は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。

ウ 本件特許発明5の効果について
本件特許発明5は、前記第2に記載したように、「麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法」において、「前記麦類若葉乾燥粉末を流動層造粒する造粒工程と、前記麦類若葉乾燥粉末造粒物を乾燥させる乾燥工程と、を備え」「前記麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重が0.300?0.350であり」、且つ「粒径250μm?470μmの粒度分布が31%以上、粒径106μm?250μmの粒度分布が44%以下となるように調製する」との構成を採用することで、本件明細書【0011】に記載される「麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重及び特定の粒度分布を一定の数値範囲に調製することで、水に迅速且つ均一に分散する麦類若葉乾燥粉末造粒物を容易に製造することができる」という顕著な効果を奏している。一方、甲6製造方法発明は、押出造粒による製造方法であり、摘記(6c)の表3の結果から再分散性が△との評価となっている。

エ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、本件特許発明1と同様に、甲第7号証を提出して、比重は粒径に依存し、比重の違いによる効果は示されていないから、比重の限定は実質的構成ではない旨主張しているが、上述のとおり、比重は、本件特許発明5の発明特定事項であり、甲第7号証を考慮しても、本件特許発明5の粒度分布を満たせばかならず比重が特定されている範囲になることが示されているわけでもないのであるから、比重の限定が実質的構成ではないとの主張には根拠がなく、上記主張を採用することはできない。

オ まとめ
したがって、相違点1-6’について検討するまでもなく、本件特許発明5は、甲第7号証を参照しても、甲第6号証に記載された発明とはいえないし、又甲第6号証に記載された発明および甲第7号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(4)本件特許発明6?8について
本件特許発明6は、本件特許発明5の造粒工程と乾燥工程を1サイクルとして該サイクルを複数回繰り返すことをさらに限定したものであり、本件特許発明7は、本件特許発明5,6の麦類若葉乾燥粉末が麦類若葉の搾汁乾燥粉末であることをさらに限定したものであり、本件特許発明8は、本件特許発明5?7の麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法において、粒度分布の範囲をさらに限定したものであるので、上記(3)において、本件特許発明5で検討したのと同様に、甲第8号証?甲第11号証にみられるように流動層造粒で、造粒と乾燥を複数回繰り返すことが知られていたとしても、本件特許発明6、8は、甲第7号証を参照しても、甲第6号証に記載された発明とはいえないし、又甲第6号証に記載された発明および甲第7号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものともいえないし、甲第12号証の「回帰水のサラダ青汁」との商品名の青汁が、大麦若葉を乾燥せず搾り出しているため、青汁成分の吸収性が高く、水にサッと溶けます。」との記載や、甲第14号証の「バーリィグリーン」との商品名の青汁について「一度青汁に搾って液体になったものを粉末にして粒にしているので、他社製品に比べ溶けやすく、しかも吸収されやすいんです」との記載や、甲第18号証の「サラッとした抹茶感覚の飲みやすさの中に凝縮された生の青汁としての効力。」との記載を併せて考慮しても、本件特許発明7、8は、甲第7号証を参照しても、甲第6号証に記載された発明および甲第7号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものともいえない。

4 特許異議申立理由1?9の判断のまとめ
以上のとおり、本件特許発明1?8は、甲第2号証記載の発明または甲第6号証記載の発明及び甲第1号証?甲第11号証、甲第14号証、甲第18号証記載の技術的事項から当業者が容易に発明をすることができるものとはいえないので、異議申立理由1?9には、理由がない。

5 異議申立理由10-1(実施可能要件)について
(1)発明の詳細な説明の記載および判断
発明の詳細な説明には、【0014】?【0018】には、麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物に関して、水に迅速且つ均一に分散することができる麦類若葉乾燥粉末造粒物の粒度分布、分散性向上の機構の説明、飲食品組成物の添加剤、調剤用添加剤、用途が記載され、【0019】 ?【0024】には、麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法に関して、麦類若葉乾燥粉末の種類およびそれらに応じた製造方法、造粒方法、造粒工程および乾燥工程の条件設定、造粒工程および乾燥工程の繰り返しの記載、結合剤について記載されており、【0026】?【0048】には、大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の粒度分布と分散性についての試験結果、大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の粒径と水分散性についての試験結果、水分散性、比重、粒度分布のサンプルの検査方法(【0036】?【0039】)、大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の粒子状態の変化と水分散性についての試験結果、大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の造粒工程の実施回数および粒度分布と分散性についての試験結果の記載があり、特許請求の範囲の発明特定事項に対応した説明の記載や実施例の記載があるのであるから、本件特許発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。

(2)特許異議申立人は、第3 1(3)に記載のように実施可能要件違反について理由を述べているので、検討する。

ア 異議申立理由10-1(1)では、甲第21号証を提出し、実施例において、比重の測定で行われる衝撃の程度が記載されておらず、どのような条件で比重の測定がされたのか不明確であって、その特許は発明の詳細な説明の記載に不備がある旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、【0037】には、比重の測定方法の記載があり、本件特許権者が令和3年5月28日付け意見書で述べているように、本件特許発明の比重は、「見かけ比重」であることは明らかで、見かけ比重の測定方法は、食品試験法における一般試験の一つであり、造粒物の比重が一定値となること、造粒物が壊れるような試験方法であってはならないことは当業者の技術常識であるから、本件特許発明の比重測定の衝撃の程度は明記がなくとも、本件特許明細書の記載、及び食品分野の測定技術の技術常識から、当業者であれば理解でき、本件の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。
したがって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

イ 異議申立理由10-1(2)では、甲第27号証を提出し、実施例において、粒度分布の測定で行われる振動の程度が記載されておらず、どのような条件において、粒度分布の測定がされたのかが不明確であって、その特許は、発明の詳細な説明の記載に不備がある旨主張している。
しかしながら、振動の程度等によって、篩を通過する粉体の量が異なることは、留意点として知られている事項にすぎず、できるだけ誤差を生じないような適切な振動の程度等を当業者は理解できるといえるので、振動の程度等の明記がないからといって、本件の発明の詳細な説明の記載に不備があるとはいえない。
したがって、本件の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。
よって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

ウ 異議申立理由10-1(3)では、甲第24号証および甲第25号証を提出し製造条件は粒度や比重に影響を与えるところ、実施例において、麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法について、詳細な記載がなされていないため、どのような条件において、麦類若葉乾燥粉末造粒物が製造されたかが不明確であって、その特許は、発明の詳細な説明の記載が不備である旨主張している。
しかしながら、製造条件が粒度や比重に影響を与えるからといって、発明の詳細な説明に記載された製造方法に関する説明の記載や実施例の記載等に基づき、当業者であれば技術常識も考慮して製造条件を設定すればよく詳細な製造条件の明記がないからといって、本件の発明の詳細な説明の記載に不備があるとはいえない。
したがって、本件の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。
よって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

エ 異議申立理由10-1(4)では、甲第24号証を提出して、実施例において、大麦若葉搾汁乾燥粉末に、賦形剤、増量剤、結合剤といった添加剤や調剤用添加剤を配合した場合にも同様に造粒物を得られるかについて、詳細な説明がなされていないため、どのような条件において、麦類若葉乾燥粉末造粒物が製造されたかが不明確であって、その特許は、発明の詳細な説明の記載が不備である旨主張している。
しかしながら、本件特許発明は、麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重や粒度分布を特定したものであり、実施例において、裏付けられているといえ、添加剤や調剤用添加剤を配合した場合の製造方法についての説明の記載もあるのであるから、当業者であれば技術常識も考慮して製造条件を設定すればよく、本件の発明の詳細な説明の記載が不備であるとはいえない。
したがって、本件の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。
よって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

(3)異議申立理由10-1の判断のまとめ
以上のとおり、本願の発明の詳細な説明の記載は、請求項1?8に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものといえるので、異議申立理由10-1には、理由がない。

異議申立理由10-2(サポート要件)について
(1)本件特許発明の課題と特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の対比による判断
ア 本件特許発明の課題
本件特許発明1?4の課題は、本件明細書【0010】等の記載から、「水に迅速且つ均一に分散する」麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物の提供であり、本件特許発明5?8の課題は、本件明細書【0011】等の記載から、「水に迅速且つ均一に分散する麦類若葉乾燥粉末造粒物」の製造方法の提供であるといえる。

イ 特許請求の範囲には、請求項1?4には、麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物として、少なくとも、麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重および特定範囲の粒度分布によって特定した物の発明が記載され、請求項5?8には、麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法として、少なくとも、麦類若葉乾燥粉末造粒物の流動層造粒工程と乾燥工程を備えることと、麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重および特定範囲の粒度分布によって特定した方法の発明が記載されている。

ウ 一方、発明の詳細な説明には、【0014】?【0018】には、麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物に関して、水に迅速且つ均一に分散することができる麦類若葉乾燥粉末造粒物の粒度分布、分散性向上の機構の説明、飲食品組成物の添加剤、調剤用添加剤、用途が記載され、【0019】 ?【0024】には、麦類若葉乾燥粉末造粒物の製造方法に関して、麦類若葉乾燥粉末の種類およびそれらに応じた製造方法、造粒方法、造粒工程および乾燥工程の条件設定、造粒工程および乾燥工程の繰り返しの記載、結合剤について記載されており、【0026】?【0048】には、大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の粒度分布と分散性についての試験結果、大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の粒径と水分散性についての試験結果、水分散性、比重、粒度分布のサンプルの検査方法(【0036】?【0039】)、大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の粒子状態の変化と水分散性についての試験結果、大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の造粒工程の実施回数および粒度分布と分散性についての試験結果の記載があり、特許請求の範囲の発明特定事項に対応した説明の記載や実施例において、本件特許発明の課題である水に迅速且つ均一に分散するという効果が達成されたことを実証する記載があるのであるから、本件特許発明は、本件特許発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものであり、発明の詳細な説明に記載された発明であるといえる。

(2)特許異議申立人は、前記第3 1(4)に記載のようにサポート要件違反について理由を述べているので、検討する。

ア 異議申立理由10-2(1)では、甲第12号証?甲第20号証を提出し、本件特許発明1、2、4、5、6、8に関して、実施例では、大麦若葉搾汁乾燥粉末を造立して得た大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の水分散性の効果しか実証しておらず、それ以外の場合の水分散性の効果が検証されておらず、乾燥粉末と搾汁乾燥粉末とでは水分散性が異なることが技術常識であるので、本件特許発明1、2、4、5、6、8は、発明の課題を解決できない範囲を含むから、その特許は、特許請求の範囲の記載に不備がある旨主張している。
しかしながら、【0019】には、「麦類若葉乾燥粉末には、麦類若葉を乾燥して粉末化した乾燥粉末、麦類若葉を圧縮して得られた搾汁液を乾燥した搾汁乾燥粉末、水または有機溶剤で抽出して得られた抽出エキスを乾燥した抽出エキス粉末等がある。麦類若葉の搾汁乾燥粉末の場合は、麦類若葉の搾汁液を低温濃縮により所定の固形分濃度にまで濃縮し、当該濃縮液を噴霧乾燥または凍結乾燥することで製造される。これは、新鮮な生の麦類若葉の風味と栄養価を保ったまま搾汁乾燥粉末を製造するためである。本発明に用いる麦類若葉としては、例えば、大麦、小麦、ライ麦、えん麦などを挙げることができる。」との麦類若葉乾燥粉末の種類やそれらに応じた製造方法に関する記載があり、当業者であればこれらの記載や実施例の搾汁乾燥粉末を用いた例の記載を技術常識を加味して理解すれば、本件特許発明1、2、4、5、6、8が課題解決できることを認識できるといえる。
したがって、本件特許発明1、2、4、5、6、8は、発明の詳細な説明に記載された発明である。
よって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

イ 異議申立理由10-2(2)では、本件特許発明に関し、実施例では、大麦若葉搾汁乾燥粉末を造立して得た大麦若葉搾汁乾燥粉末造粒物の粒径250μm?470μmの粒度分布が45.83%を超える場合に水分散性が良好となることは記載されておらず、粒径増加と水分散性の傾向も明らかではないため、発明の課題を解決できない範囲を含むから、その特許は、特許請求の範囲の記載に不備がある旨主張している。
しかしながら、本件特許発明は、【0015】に「麦類若葉乾燥粉末の造粒物は、実際試験を行ってみると、比較的大きい粒径である250μm?470μmの粒子が増加するにつれて水への分散性が向上した。これは、造粒を繰り返すことで麦類若葉乾燥粉末の相互間に形成された空隙が造粒により押しつぶされて、逆に造粒物の凝集力が弱まり水へ分散性が向上したと考えられる。つまり、麦類若葉乾燥粉末造粒物の比重の値と特定の粒度分布の値とを一定に保つことにより、麦類若葉乾燥粉末造粒物内の粒子間に形成される空隙を一定の状態に保持することができ、良好な水への分散性を維持することになる。」と記載されるように、比較的大きい粒径である250μm?470μmの粒子が増加するにつれて水への分散性が向上したことを技術的思想とする発明であり、機構の説明もなされているのであるから、粒径250μm?470μmの粒度分布が45.83%を超える場合の実験結果の明記がないからといって、本件特許発明の課題が一定程度解決できることは、技術常識から当業者であれば理解でき、本件特許発明は、発明の詳細な説明の記載に記載された発明である。
したがって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

(3)異議申立理由10-2の判断のまとめ
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載について、請求項1?8に係る発明は、発明の詳細な説明の記載に記載されているといえるので、異議申立理由10-2には、理由がない。

異議申立理由10-3(2)?(5)(明確性要件)について
(1)特許異議申立人は、前記第3 1(5)に記載のように明確性要件違反について理由を述べているので、検討する。

ア 異議申立理由10-3(2)では、甲第27号証を提出して、本件特許発明について、振動の程度等の粒度分布の測定条件が定義されておらず、発明の範囲が不明確であるから、その特許は、特許請求の範囲の記載が不備である旨主張している。
しかしながら、上記(2)において異議申立理由10-1(2)について述べたように、甲第27号証に記載される、振動の程度等によって、篩を通過する粉体の量が異なることは、留意点として知られている事項にすぎず、できるだけ誤差を生じないような適切な振動の程度等を当業者は理解できるといえるので、振動の程度等の粒度分布の測定条件が定義の明記がないからといって、第三者の不測の不利益を生ずるほどに不明確な点はなく、発明の範囲は明確であるといえる。
よって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

イ 異議申立理由10-3(3)では、甲第26号証を提出して、本件特許発明について、粒度分布測定法として、ふるい分け法等が知られるところ、どのような原理で測定するのか、粒度分布の原理や測定条件が定義されておらず、原理が異なると測定結果が異なることは技術常識であり、発明の範囲が不明確であるから、その特許は、特許請求の範囲の記載が不備である旨主張している。
しかしながら、本件明細書【0038】には、原理を含めて粒度分布測定法の記載があるのであるから、当業者であればこの記載を基に、技術常識を参酌して粒度分布の原理や測定条件を理解できるといえるので、第三者の不測の不利益を生ずるほどに不明確な点はなく、発明の範囲は明確であるといえる。
よって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

ウ 異議申立理由10-3(4)では、本件特許発明について、比重の測定で行われる衝撃の程度が記載されておらず、衝撃の程度で比重は異なり、発明の範囲が不明確であるから、その特許は、特許請求の範囲の記載が不備である旨主張している。
しかしながら、上記(2)において異議申立理由10-1(1)について述べたように、【0037】には、比重の測定方法の記載があり、本件特許権者が令和3年5月28日付け意見書で述べているように、本件特許発明の比重は、「見かけ比重」であることは明らかで、見かけ比重の測定方法は、食品試験法における一般試験の一つであり、造粒物の比重が一定値となること、造粒物が壊れるような試験方法であってはならないことは当業者の技術常識であるから、本件特許発明の比重測定の衝撃の程度は明記がなくとも、本件特許明細書の記載、及び食品分野の測定技術の技術常識から、当業者であれば理解できので、第三者の不測の不利益を生ずるほどに不明確な点はなく、発明の範囲は明確であるといえる。
よって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

エ 異議申立理由10-3(5)では、本件特許発明について、水分散性の測定で使用する器具や測定の方法が記載されておらず、水分散性が良いと判断されたり、そうでないと判断されたりするので、発明の範囲が不明確であるから、その特許は、特許請求の範囲の記載が不備である旨主張している。
しかしながら、水分散性の測定で使用する器具や測定の方法(ロートとビーカーの距離、ロートとスパーテルの材質、ロートの大きさ、スパーテルを引き抜く速度)によって水分散性の測定値に一定の変化があるとしても、本件特許発明の発明特定事項であるわけでもなく、技術的思想に直接関係がないのであるから(分散性を絶対値で特定しているわけではない。)、当業者であれば理解できので、第三者の不測の不利益を生ずるほどに不明確な点はなく、発明の範囲は明確であるといえる。
よって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

(2)異議申立理由10-3(2)?(5)の判断のまとめ
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載について、請求項1?8に係る発明は、特許請求の範囲の記載が明確であるといえるので、異議申立理由10-3には、理由がない。

第5 むすび
したがって、請求項1?8に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び証拠によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1?8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2021-07-19 
出願番号 特願2020-44965(P2020-44965)
審決分類 P 1 651・ 113- Y (A23L)
P 1 651・ 121- Y (A23L)
P 1 651・ 536- Y (A23L)
P 1 651・ 537- Y (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 飯室 里美  
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 瀬良 聡機
冨永 保
登録日 2020-07-03 
登録番号 特許第6727576号(P6727576)
権利者 日本薬品開発株式会社
発明の名称 麦類若葉乾燥粉末造粒物の飲食品組成物及びその製造方法  
代理人 田中 信治  
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