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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G06Q
審判 全部申し立て 発明者・出願人  G06Q
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G06Q
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06Q
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1376768
異議申立番号 異議2021-700400  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-28 
確定日 2021-08-13 
異議申立件数
事件の表示 特許第6774802号発明「共有に係る産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する管理方法、管理装置、および管理装置で実行されるプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6774802号の請求項1ないし16に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6774802号(以下「本件特許」という。)の請求項1?16に係る特許についての出願は、平成28年7月13日に出願され、令和2年10月7日にその特許権の設定登録がされ、同月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和3年4月28日に特許異議申立人山本光良(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。

第2 本件発明
特許第6774802号の請求項1?16の特許に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する管理方法であって、
前記顧客から依頼された前記産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースと、
前記書誌データベースにアクセス可能な処理装置とを有する管理装置に、
前記書誌データベースに基づいて、前記支払期限日を取得する期限日取得工程と、
前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、
前記顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、
共有に係る前記産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る前記産業財産権に関する全ての前記顧客に通知する回答通知工程とを実行させ、
前記産業財産権に関する前記全ての顧客の回答が一致するまで、前記回答受領工程と前記回答通知工程を繰り返し実行する、管理方法。
【請求項2】
前記回答通知工程において、前記顧客から回答を受領する度に、受領した前記回答を前記全ての顧客に通知する請求項1に記載の管理方法。
【請求項3】
前記回答通知工程において、二人目以降の回答を受領する度に、二人目以降の回答が一
人目の回答と一致するかを判定し、不一致の場合に各々の前記回答を前記全ての顧客に通知する請求項1に記載の管理方法。
【請求項4】
前記回答通知工程において、全ての回答を受領した後に各々の回答が一致か不一致かを判定し、不一致の場合に各々の前記回答を前記全ての顧客に通知する請求項1に記載の管理方法。
【請求項5】
共有の前記産業財産権について受領した回答が不一致である場合に、回答が不一致である旨および前記支払期限日を前記顧客に通知し、前記費用の支払いの要否を再び問い合わせる再問合わせ工程とを有する請求項1から4のいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項6】
前記再問合わせ工程の後に前記顧客から受領した再回答を、以前に受領した前記回答の履歴とともに、共有に係る前記産業財産権に関する前記全ての顧客に通知する請求項5に記載の管理方法。
【請求項7】
共有の前記産業財産権について受領した回答が一致した場合に、回答が一致した旨を前記顧客に通知する一致通知工程を有する請求項5または6に記載の管理方法。
【請求項8】
前記回答通知工程において、二人目以降の回答を受領する度に、二人目以降の回答が一人目の回答と一致するかを判定し、一人目の回答と異なる回答を受領したときに、前記再問合わせ工程を実行する請求項5から7のいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項9】
全ての回答を受領した後に、各々の回答が一致か不一致かを判定し、前記再問合わせ工程または前記一致通知工程を実行する請求項7に記載の管理方法。
【請求項10】
前記回答通知工程において、各々の前記回答を回答日時と共に通知する請求項1から9のいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項11】
前記再問合わせ工程において、各々の前記回答を回答日時と共に通知する請求項5に記載の管理方法。
【請求項12】
前記支払期限日の所定期間前の最終回答期限まで、前記回答受領工程と前記回答通知工程を繰り返し実行し、
前記最終回答期限の後に、前記回答が不一致であった場合に、前記顧客とあらかじめ契約により処理内容を定めた最終処理を実行する請求項1から11のいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項13】
前記回答通知工程において、前記顧客から回答を受領する度に、受領済みの全ての回答を前記全ての顧客に通知する請求項2に記載の管理方法。
【請求項14】
前記回答通知工程において、前記顧客から回答を受領する度に、回答を受領していない前記顧客からは回答を受領していない旨を前記全ての顧客に通知する請求項13に記載の管理方法。
【請求項15】
顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用の支払いを管理するための管理装置であって、
前記顧客から依頼された前記産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースと、
前記書誌データベースにアクセス可能な処理装置とを有し、
前記処理装置は、
前記書誌データベースに基づいて、前記費用の支払期限日を取得する期限日取得工程と、
前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、
前記顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、
共有に係る前記産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る前記産業財産権に関する前記全ての顧客に通知する回答通知工程とを実行し、
前記産業財産権に関する前記全ての顧客の回答が一致するまで、前記回答受領工程と前記回答通知工程を繰り返し実行する管理装置。
【請求項16】
顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用の支払いを管理する管理装置で実行可能なプログラムであって、
前記管理装置は、
前記顧客から依頼された前記産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースと、
前記書誌データベースにアクセス可能な処理装置とを有し、
前記プログラムが実行されると、前記処理装置は
前記書誌データベースに基づいて、前記支払期限日を取得する期限日取得工程と、
前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、
前記顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、
共有に係る前記産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る前記産業財産権に関する全ての前記顧客に通知する回答通知工程とを実行し、
前記産業財産権に関する前記全ての顧客の回答が一致するまで、前記回答受領工程と前記回答通知工程を繰り返し実行する、プログラム。」

第3 申立理由の概要
申立人は、主たる証拠として米国特許出願公開第2002/0091542号明細書(以下「文献1」という。)並びに従たる証拠としてインターネットホームページ(http://nomenclator.la.coocan.jp/ip/patent/h160401p.htm#sec-4-3、更新日不明)の写し(2019年8月19日印刷)(同「文献2」)、「知財実務マニュアル、首都圏北部4大学連合、平成25年3月、p.1-44」(同「文献3」)、「特許維持要否の考え方、国立大学法人 新潟大学、平成28年4月4日、p.1-8」(同「文献4」)、特開2008-176819号公報(同「文献5」)及び特開2007-65827号公報(同「文献6」)を提出し、請求項1、15及び16に係る特許は特許法第29条第1項第3号に該当する発明に対してされた旨(以下「理由1」という。)、請求項1?16に係る特許は、同条第2項の規定に違反してされたものである旨(同「理由2」)、請求項1?16に係る特許は、同条第1項柱書の発明に該当しないものに対してされた旨(同「理由3」)、請求項1?16に係る特許は、同法第36条第4項第1号の規定に反する出願に対してされた旨(同「理由4」)、及び請求項1?16に係る特許は、同条第6項第2号の規定に反する出願に対してされた旨(同「理由5」)、を主張し、請求項1?16に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。

第4 文献の記載
1 主たる証拠について
ア 文献1には、次のとおりの記載がある。
[0010]According to one embodiment, a computer-implemented method of allowing payment of an annuity or maintenance fee associated with a patent document is disclosed. In this embodiment the method includes (a) storing, on a computer readable medium accessible to a server system, patent information related to the patent application, the patent information including one or more of a patent claim and a summary section; (b) generating, from the server system, a notice of a due date for the annuity or the maintenance fee; (c) communicating the notice to a first designated client system via a Web page, wherein the Web page allows said client system to view the patent information and indicate whether the annuity or the maintenance fee should be paid; (d) receiving a payment instruction from the client system regarding payment of the annuity or the maintenance fee; (e) storing the payment instruction in a database; and (e) communicating the payment instruction to a second designated client system. In another embodiment the second designated client system is an annuity/maintenance fee payment service that pays the fee pays and thereafter, communicates confirmation of the payment to the server system.
[0010]一実施形態によれば、特許文献に関連付けられた年金または維持費の支払いをコンピュータで実行する方法が開示される。この実施形態において、前記方法は、(a)サーバーシステムにアクセス可能なコンピュータ可読媒体に特許出願に関する特許情報を格納する工程であって、前記特許情報は、1若しくはそれ以上の請求項および発明の概要部分を含むものである、前記格納する工程と、(b)前記サーバーシステムにより、年金または維持費の支払期限日に関する通知を生成する工程と、(c)第1の指定されたクライアントシステムにウェブページを介して前記通知を通信する工程であって、前記ウェブページは、前記クライアントシステムが、前記特許情報を閲覧し、前記年金または前記維持費の支払の要否について指定することを可能とするものである、前記通信する工程と、(d)前記クライアントシステムから前記年金または前記維持費の支払いに関する支払い指示を受信する工程と、(e)前記支払い指示をデータベースに格納する工程と、(e)前記支払い指示を第2の指定されたクライアントシステムに通信する工程とを含む。別の実施形態において、前記第2の指定されたクライアントシステムは、料金の支払いを行い、その後に、前記支払いの確認を前記サーバーシステムに通信する年金・維持費支払いサービスである。

[0019] FIG.1 is a simplified block diagram showing the relationship between an intellectual property (IP) data processing system 100 according to one embodiment of the present invention and participants in the patent process. IP data processing system100 is a Web-enabled electronic platform that can be utilized by all participants in the patent process to convert the traditional paper-based patent prosecution system into an electronic workflow pipeline that allows every step in the process to be executed from a computer desktop.
[0019]図1は、本発明の一実施形態に係る知的財産(IP)データ処理システム100と、特許手続きに関わる参加者との関係を示した簡略ブロック図である。IPデータ処理システム100は、ウェブ対応電子プラットフォームであり、特許手続きの全参加者は、これを利用して、従来の紙ベースの特許出願経過システムを、電子ワークフロー・パイプラインに変換することができ、前記電子ワークフロー・パイプラインは、コンピュータ・デスクトップから当該手続きの全段階を実行可能にする。

[0020] The participants shown in FIG.1 include technology developers 110 , patent law firms120 , service providers130 , patent offices140 , prior art databases150 and potential licensees 160 . For convenience, each of these participants is referenced by a dotted line that encompasses individual entities of the participant type. For example, technology developers110 are shown in FIG. 1 as including individual technology developers 110 (1), 110 (2) through 110 (n). It is to be understood that, while shown in FIG. 1 as a group, these multiple technology developers are separate entities that likely have no relation to each other than their classification within this patent application as developers of technology. It is also to be understood that, while not shown, each individual participant system typically includes its own firewall system that implements access control functions to isolate the system from unwanted intrusions by others.
[0020]図1に示した参加者としては、技術開発者110、特許法律事務所120、サービス提供業者130、特許庁140、先行技術データベース150、および潜在的なライセンシー160などが含まれる。便宜上、これらの参加者は、それぞれ前記参加者タイプの各エンティティを含む点線の枠内に示されている。例えば、技術開発者110は、個々の技術開発者110(1)、110(2)から110(n)までを含むものとして図1に示されている。図1にはグループとして示しているが、これら複数の技術開発者は別個のエンティティであり、本特許出願において技術開発者という同じ分類に含まれていても、可能性としては互いに何の関係もないことを理解すべきである。また、図示はしていないが、参加者のシステムは、通常、それぞれ独自のファイアウォールシステムを含み、それによりアクセス制御機能を実行して他者による望ましくない侵入から当該システムを隔離していることを理解すべきである。

[0021] Each of the participants shown in FIG. 1 can communicate and exchange information through Internet 50. A person of ordinary skill in the art would recognize that in other embodiments the participants may communicate and exchange information using other communication network mediums including a local or wide area network (LAN or WAN), a wireless network, an intranet, a virtual private network and the like.
[0021]図1に示した前記参加者の各々は、インターネット50経由で情報を通信および交換できる。当業者であれば、他の実施形態では参加者が、ローカルエリアネットワークまたは広域ネットワーク(LANまたはWAN)、無線ネットワーク、イントラネット、バーチャル・プライベート・ネットワークなどを含む他の通信ネットワーク媒体を使って情報を通信および交換できることが理解されるであろう。

[0022] Technology developers110 include corporations, universities and individual inventors seeking to file patent applications and receive issued patents. Patent law firms120 include U.S. patent attorneys, patent agents and foreign patent attorneys and/or agents. Service providers130 include patent draftsman, prior art search companies, translation companies and other entities that provide services useful to the patent process as well as financial institutions and other parties that have tangential roles in the process. Prior art databases 150 include public and licensed private databases, such as online patent databases (e.g., issued U.S. patents, published European and Japanese patents, etc.) and non-patent databases. Patent offices 140 include patent offices worldwide including the USPTO, the European Patent Office (EPO), the Japanese Patent Office (JPO), the Taiwanese Patent Office, etc.
[0022]技術開発者110は、特許出願を行い特許交付を受けようとしている企業、大学、および個人発明家を含む。特許法律事務所120としては、米国弁理士、パテントエージェント、および外国の弁理士および/またはパテントエージェントなどが含まれる。サービス提供業者130としては、特許図面作成業者、先行技術調査会社、翻訳会社、および特許手続きに役立つサービスを提供する他のエンティティのほか、金融機関、および当該手続きに関わる役割を有する他の関係者などが含まれる。先行技術データベース150としては、公共データベースおよび認可を受けた民営データベース、例えばオンライン特許データベース(例えば、米国の発行済み特許、欧州および日本の公開済み特許など)、および特許以外のデータベースなどがある。特許庁140としては、米国特許商標庁(USPTO)、欧州特許庁(EPO)、日本国特許庁(JPO)、台湾特許庁などを含む世界各地の特許庁などがある。

[0023] Processing system100 provides technology developers 110 and their associated patent law firms 120 a highly secure, central data repository that can be shared between participants on an as-allowed basis. Information generated and used during the patent prosecution process can be shared between a technology developer110 and appropriate patent law firm(s) 120 and service provider(s)130 in order to create patent filings, prosecute such filings through issuance and then subsequently maintain patent rights after grant.
[0023]処理システム100は、技術開発者110および各々に関連した特許法律事務所120に対し、許可された場合に参加者間で共有可能になるセキュリティの高い中央データリポジトリを提供する。特許出願審査手続き中に生成され使用される情報は、特許出願を生成し、当該出願後から特許交付に至るまでの手続きを行ったのち、交付後には特許権を維持するため、技術開発者110、適切な特許法律事務所120、およびサービス提供業者130との間で共有することができる。

[0024] As shown in FIG.1, IP data processing system100 includes a Web server 101, a database106 and paper mailroom 108 Web server 101 includes a server engine102 that generates and sends graphical documents including Web pages 104 to client systems as requested and an electronic mailroom 107 . In a distributed system such as that depicted in FIG. 1 , computer systems that request data or services are classified as client computer systems while computer systems that provide the data or services requested by client computers are classified as server systems. Accordingly, the computer system(s) of IP data processing system100 may be classified as server systems while computer systems of the participants may be classified as client systems. It should be apparent that a particular computer system may function both as a client system and a server system based upon whether the computer system is requesting data and/or services or receiving data and/or services. Thus, technology developers 110, patent law firms 120 , service providers130 and licensees160 typically include one or more client systems. For example, a large corporation (technology developer) may have 150 inventors, 4 patent administrators and 2 in-house patent attorneys. Each of these individuals likely has their own computer system and can thus become a client system. Specific categories of client systems are also sometimes referred to herein. For example, an "inventor client system" is any client system associated with an inventor from one of the technology developers 110 . Similarly, an "in-house client system" is any client system associated with a patent attorney, patent agent, patent administrator, secretary or other employee or contractor of a technology developer other than an inventor that has rights to create, edit or view information related to patent applications owned by the technology developer. An "outside representative client system" is an outside patent attorney, patent agent, patent administrator, secretary or other employee or contractor associated with a patent law firm120 that represents a particular technology developer.
[0024]図1に示すように、IPデータ処理システム100は、ウェブサーバー101と、データベース106と、紙文書メールルーム108とを含む。ウェブサーバー101はサーバーエンジン102を含み、このサーバーエンジン102は、ウェブページ104を含むグラフィック文書を生成し、要求に応じてクライアントシステムおよび電子メールルーム107に送信する。例えば図1に示した分散システムにおいて、データまたはサービスを要求するコンピュータシステムは、クライアントコンピュータシステムと分類され、クライアントコンピュータにより要求されたデータまたはサービスを提供するコンピュータシステムは、サーバーシステムと分類される。したがって、前記IPデータ処理システム100のコンピュータシステムは、サーバーシステムと分類でき、参加者のコンピュータシステムは、クライアントシステムと分類できる。特定のコンピュータシステムは、そのコンピュータシステムがデータおよび/またはサービスを要求するか、データおよび/またはサービスを受信するかに基づいて、クライアントシステムとしても、サーバーシステムとしても機能することが明確に理解されるべきである。このように、技術開発者110、特許法律事務所120、サービス提供業者130、およびライセンシー160は、通常、1若しくはそれ以上のクライアントシステムを含む。例えば、ある大手企業(技術開発者)は、150人の発明者と、4人の特許管理者と、2人の社内弁理士とを有する場合がある。これらの者は、各自コンピュータシステムを有する可能性が高いため、クライアントシステムになりうる。また、本明細書では特定のカテゴリーのクライアントシステムに言及する場合がある。例えば、「発明者クライアントシステム」とは、前記技術開発者110の1人である発明者に関連付けられた任意のクライアントシステムである。同様に、「内部クライアントシステム」とは、技術開発者における弁理士、パテントエージェント、特許管理者、秘書、または発明者以外の他の従業員か受託業者に関連付けられた任意のクライアントシステムであって、前記技術開発者が所有する特許出願に関する情報を作成、編集、または閲覧する権利を有するクライアントシステムである。「外部代理人クライアントシステム」とは、社外の弁理士、パテントエージェント、特許管理者、秘書、または他の従業員か受託業者であって、特定の技術開発者を代表する特許法律事務所120に関連付けられたものである。

[0025] Each client system can display the Web pages generated by server engine 102. Each of such Web pages is uniquely identifiable by a Uniform Resource Locator (URL) and is stored in a computer-readable memory (not shown) accessible to the server engine. To view a specific document, including a Web page, a client system uses a Web browser executing on the client system to specify the URL for the document in a request (e.g., a Hyper Text Transfer Protocol "HTTP" request) as is known to those of skill in the art. The request is forwarded to the Web server supporting the document (server system 101 in this instance), which when it receives the request, sends the requested document to the client system. The Web browser may then display a Web page contained in the document, e.g., HTML document.
[0025]各クライアントシステムは、サーバーエンジン102により生成された前記ウェブページを表示できる。そのようなウェブページは、それぞれユニフォームリソースロケータ(URL)により一意に識別可能であり、前記サーバーエンジンにアクセス可能なコンピュータ可読メモリ(図示せず)に格納される。ウェブページを含む特定の文書を閲覧するため、クライアントシステムは、前記クライアントシステム上で動作するウェブブラウザを使って、当業者に公知のとおり、要求(例えば、ハイパーテキスト転送プロトコル”HTTP”リクエスト)内で前記文書の前記URLを指定する。前記要求は、前記文書をサポートする前記ウェブサーバー(この場合、サーバーシステム101)に転送され、前記ウェブサーバーは、前記要求を受信すると、前記要求された文書を前記クライアントシステムに送信する。前記ウェブブラウザは、次に、前記文書に含まれたウェブページ、例えばHTML文書を表示する。

[0026] Database 106 stores information pertaining to the technology developers' intellectual property portfolios. Patent process participants (such as technology developer employees and outside law firm personnel) access this information as needed and only to extent that their access rights permit. The information in database 106 includes draft and completed invention disclosures, draft and completed patent application documents, draft and completed amendments messages and discussions pertaining to invention disclosures and patent applications, patent and patent application status information, prior art publications, office actions, assignment papers and other forms and papers filed in or generated by a patent office, etc. As described in detail below, much of this information for an individual patent application is easily accessible to a user through the user interface of the present invention.
[0026]データベース106は、前記技術開発者の知的財産ポートフォリオに関する情報を格納する。特許手続き参加者(例えば、技術開発者の従業員および外部法律事務所の人員)は、必要に応じて、各々のアクセス権が許可する範囲内でのみ、この情報にアクセスする。データベース106内の情報には、発明の開示の草稿および完成版、特許出願文書の草稿および完成版、補正書の草稿および完成版、発明の開示および特許出願に関する考察、特許および特許出願のステータス情報、先行技術文献、オフィスアクション、譲渡証、ならびに特許庁に提出された若しくは特許庁により起案された他の様式および文書などが含まれる。以下詳述するように、個々の特許出願に関するこの情報の大部分には、本発明のユーザーインターフェースを介して、ユーザーが容易にアクセスできる。

[0027] IP data processing system 100 communicates with patent offices 140 over Internet 50 through electronic mailroom 107 and through standard mail (e.g., U.S. Postal Office First Class and Express Mail) using paper mailroom 108 . For such communications in some embodiments, system 100 sets the correspondence address to mailroom 107 or 108 so that replies to the communications can be tracked and entered into database 106 as described below.
[0027]IPデータ処理システム100は、インターネット50経由で、電子メールルーム107を通じ、紙文書メールルーム108を使った標準的な郵便(例えば、米国郵便局第1種郵便および速達郵便)を通じて特許庁140と通信する。一部の実施形態において、このような通信について、システム100は、後述のとおり当該通信を追跡してデータベース106に入力できるよう、当該コレスポンダンスのアドレス・住所をメールルーム107または108に設定する。

[0030] As can be appreciated from the above description, IP data processing system 100 provides a system to track all correspondence, communications, relevant dates and relevant events for every patent application owned by a given technology developer 110 ( i ) or for every patent application for which a given patent law firm 120 ( i ) is responsible for. Of course system 100 can also be used to track correspondence, communications, relevant dates and relevant events for a subset of such patent applications. For example, for all applications related to a particular technology, owned by a particular company group, owned by a particular law firm client, or filed after a particular date.
[0030]上記から、IPデータ処理システム100は、所与の技術開発者110(i)が所有する各特許出願について、または所与の特許法律事務所120(i)が責任を負う各特許出願について、すべてのコレスポンダンス、通信、関連する日付、および関連する出来事を追跡するシステムを提供することが理解されるであろう。言うまでもなく、システム100は、そのような特許出願のサブセットに関するコレスポンダンス、通信、関連する日付、関連する出来事の追跡に使用することもできる。例えば、特定の技術に関わる、特定の企業グループにより所有される、特定の法律事務所クライアントにより所有される、または特定の日付後に出願された、すべての出願などである。

[0031] In tracking such information, system 100 tracks information that is useful when making decisions on whether or not to pay certain annuity or maintenance fees. As described in more detail below, system 100 provides an annuity and maintenance fee payment service that allows one or more decision makers to access this information in a quick and efficient manner. In various embodiments, The information that is accessible includes one or more of the originally filed application as well as the currently pending or allowed patent claims, the patent abstract or summary, a complete copy of the originally filed patent application including the detailed description and figures, previous decisions regarding payment of annuity and maintenance fees for the application as well as related applications and foreign counterpart applications among other data. In some embodiments, system 100 also enables comments to be entered by one or more users having appropriate access rights related to patent strategy, scope and other issues. Such comments may be used, for example, to indicate products the patent is intended to cover, advice or instructions on paying fees associated with the application including annuity or maintenance fees, advice or instructions on filing divisional applications or future claims, etc.
[0031]そのような情報を追跡するにあたり、システム100は、特定の年金または維持費を支払うべきかどうかについて意思決定を行ううえで有用な情報を追跡する。以下さらに詳しく説明するように、システム100は、1若しくはそれ以上の意思決定者が、すばやく効率的に、この情報にアクセスできる年金および維持費支払いサービスを提供する。種々の実施形態では、アクセス可能な情報として、最初に出願された文書に加え、現時点で係属中の若しくは許可された特許請求項、特許要約書または発明の概要、詳細な説明と図面を含む最初に出願された全特許出願文書、当該出願の年金と維持費の支払いに関するこれまでの決定のほか、関連出願および外国対応出願などのうち、1若しくはそれ以上などがある。一部の実施形態において、システム100は、特許戦略、範囲、および他の問題について適切なアクセス権を有する1若しくはそれ以上のユーザーがコメントを入力できるようにもする。そのようなコメントを使うと、例えば、当該特許が対象とするよう意図された製品を示し、年金または維持費を含め、当該出願に伴う料金支払いについて助言または指示を行い、分割出願または今後の請求項について助言または指示を行うことなどができる。

[0032] Prior to using system 100 to pay annuity and/or maintenance fees, a company or law firm typically performs a customer set-up or initiation routine that defines how instructions for fee payment should be routed, i.e., who is responsible for making the payment decisions or at least providing input on the decisions. For example, one customer may route all annuity/maintenance fee payment requests to an in-house patent attorney for initial consideration. These requests may appear on the client system for the in-house patent attorney as a docket alert entitled "Annuity payment due" or "Maintenance Fee payment due." The timing of the request (e.g., how many weeks before the payment is due) as well as the frequency of such requests (the number of reminders) can also be determined during the customer set-up process.
[0032]年金および/または維持費を支払うためシステム100を使用する前に、企業または法律事務所は、通常、どのようなルート(経路)で料金支払いに関する指示を送るべきか、すなわち支払いの意思決定を行う責任者または少なくともその意思決定に関する情報を提供する個人を定義する顧客設定または初期ルーティンの設定を行う。例えば、ある顧客は、すべての年金・維持費支払い要求を初期検討のために、決済ルートに基づいて社内弁理士に送信することができる。これらの要求は、「未払い年金」または「未払い維持費」というタイトルの案件アラート(docket alert)として、前記社内弁理士の前記クライアントシステムに表示される。前記要求のタイミング(例えば、支払期限日の何週間前か)のほか、当該要求の頻度(リマインダー数)も、前記顧客設定工程中に決定することができる。

[0033] FIGS. 2 A- 2 C are exemplary Web pages that can be used to define within routing rules within system 100 for requesting payment instructions for annuity and/or maintenance fee payments. FIG. 2A shows a Web page 200 that allows a customer, e.g., a corporation, to instruct system 100 as to a specific individual (fields 202 ) that will be responsible for decisions regarding annuity/maintenance fee payments as well as a specific individual who will oversee the annuity/maintenance fee payment process (fields 204 ). Page 200 also allows the corporation to select a third party annuity/maintenance fee payment service (field 206 ), such as SGA2, Inc. to make payments as instructed by the individuals identified in fields 202 and 204 . Further details of how such a third party service provider receives payment instructions and communicates confirmation of the payments is discussed in more detail below.
[0033]図2A?2Cは、システム100の決済ルートのルールの範囲内で、年金および/または維持費の支払いに関する支払い指示の要求を定義するために使用できる例示的なウェブページである。図2Aは、顧客、例えば、企業が、年金・維持費の支払いに関する意思決定の責任者となる特定の個人(フィールド202)、および年金・維持費の支払い処理を監督する特定の個人(フィールド204)をシステム100に指定することを可能とするウェブページ200を示したものである。また、ページ200は、前記企業が、第三者の年金・維持費支払いサービス(フィールド206)、例えばSGA2,Inc.を選択して、フィールド202および204で識別された前記個人の指示に従い支払いを行えるようにする。そのような第三者のサービス提供業者がいかに支払い指示を受け取り、その支払いの確認を通信するかについては、以下でさらに詳しく説明する。

[0034] FIG. 2B shows a Web page 210 that allows a customer to define multiple groups (field 212 ) with the possibility of each group having different individuals, entered through fields 214 and 216 , in charge of annuity/maintenance fee for that group. It is also possible for the different groups to select different third party annuity/maintenance fee payment services (field 218 ). FIG. 2C shows a Web page 220 that allows a customer to define payment decision making responsibility for a specific patent application through fields 222 , 224 and 226. In one embodiment, a customer typically enters appropriate data through a form such as Web page 200 to set default values for all annuity/maintenance fee payment instructions. Forms such as pages 210 and 220 can then be completed by the customer to override the default values for specific groups or divisions or specific cases.
[0034]図2Bは、顧客が、複数のグループ(フィールド212)を定義することを可能とするウェブページ210を示したもので、各グループは、当該グループの年金・維持費に関する責任者として異なる個人を有することができ、当該個人はフィールド214および216を介して入力される。また、それらの異なるグループは、異なる第三者の年金・維持費支払いサービス(フィールド218)を選択できる。図2Cは、顧客が、特定の特許出願に関する支払いの意思決定責任を、フィールド222、224、および226で定義することを可能とするウェブページ220を示したものである。一実施形態において、顧客は、通常、フォーム、例えばウェブページ200により適切なデータを入力して、すべての年金・維持費支払い指示のデフォルト値を設定する。フォーム、例えばページ210および220は、次に前記顧客が入力を完了させて、特定のグループか部署、または特定のケースに関し、前記デフォルト値をオーバーライドすることができる。

[0035] As previously mentioned, system 100 tracks all sorts of information related to patent applications for an individual company or law firm. The tracked information includes application filing dates and annuity and maintenance fee due dates. In one embodiment, annuity and maintenance fee due dates are calculated by rules specific to each country an application is filed in. Such calculations can be performed any time after the filing of the application in the particular country. In one embodiment the filing of an application is a triggering event that results in a docketing program associated with server system 100 calculating due dates for annuity payments when dictated by appropriate rules and the granting of a patent application is a triggering event that results in the docketing program calculating appropriate due dates for maintenance fee payments. The calculated due dates are then stored in database 100 and used to generate future reminder notices for annuity and maintenance fee payments. One example of how a docket system can be used to generate annuity and maintenance fee reminder and due dates is described in concurrently filed U.S. Application Ser. No. 09 /______ (Attorney Docket No. 020313-001810US), entitled "Docketing System," listing Cecily Anne Snyder as inventor, which is hereby incorporated by reference in its entirety.
[0035]前述のように、システム100は、個々の企業または法律事務所の特許出願に関する全種類の情報を追跡する。追跡される情報としては、出願日および年金と維持費の支払期限日などがある。一実施形態では、年金と維持費の支払期限日は、出願が行われる国々固有のルールにより計算される。このような計算は、特定の国で出願を行ったのち、随時実行することができる。一実施形態では、出願がトリガーイベントとなり、サーバーシステム100に関連付けられた期限管理プログラム(docketing program)が、適切なルールに基づいて年金の支払期限日を計算し、特許出願に特許が付与された場合もトリガーイベントとなり、前記期限管理プログラムが適切な維持費の支払期限日を計算する。計算された支払期限日は、次いでデータベース100に格納され、年金と維持費の支払いに関するその後のリマインダー通知を生成するために使用される。期限管理システムを使って年金と維持費のリマインダーおよび支払期限日を生成できる一例を説明しているのが、同時に出願された米国特許出願第09/ 号(代理人整理番号第020313-001810US)、「Docketing System」(期限管理システム)(発明者はCeci1y Anne Snyderと記載)であり、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

[0036] Once docketed, requests for annuity and maintenance fee payment instructions are routed according to the routing rules set up during the customer set up process. These routing rules dictate the frequency of the requests as well as which client systems the requests are sent to. A variety of different formats can be used to present the requests for payment instructions to an appropriate client system. FIG. 3 is an exemplary Web page 230 that is used in one embodiment of the invention to present such instruction requests. Web page 230 presents to the client system a list of all annuity and maintenance fee payments that are due within a certain period (e.g., one month) as defined during user set-up. This page view is useful if a particular customer has many patent files and prefers to make annuities payment decisions in a sort of batch process, for example, once a month. An individual client system can view FIG. 3 by selecting a menu selection (e.g., as a selection under "monitors" button 232 ), by selecting an alert message that shows up in the client systems alert monitor. In another embodiment, annuity and maintenance fee instructions can be requested and received when a client system is reviewing data or status information associated with a particular case.
[0036]期限日の入力が完了すると、年金と維持費の支払い指示に関する要求が、前記顧客設定工程中に設定された決済ルートのルールに基づいて送信される。これらの決済ルートのルールによって、前記要求の頻度のほか、どのクライアントシステムに前記要求が送信されるかが決定される。適切なクライアントシステムへの前記支払い指示に関する要求は、多種多様なフォーマットを使って提示できる。図3は、本発明の一実施形態で、そのような指示要求を提示するために使用される例示的なウェブページ230である。ウェブページ230は、ユーザー設定の際の定義に従って、前記クライアントシステムに対し、所定の期間(例えば、1か月)内に期限がくるすべての年金および維持費支払いのリストを提示する。このページビューは、特定の顧客が多数の特許を有し、年金支払いの意思決定をバッチ工程のようにして、例えば月に1回行うことを好む場合、有用である。個々のクライアントシステムは、メニューの選択肢(例えば、「モニター」ボタン232の下の選択肢)を選択することにより、当該クライアントシステムのアラートモニターに表示されるアラートメッセージを選択することにより、図3を表示できる。別の実施形態では、クライアントシステムが特定のケースに関連付けられたデータまたはステータス情報をレビューするときに、年金と維持費の指示を要求し、受け取ることができる。

[0037] As shown in FIG. 3 , two different annuity payment instructions 234 and 236 are presented to a client system via Web page 230 in this example. Instruction 234 is for payment of the sixth annuity fee in Taiwan for a case entitled "Variable Latency" while instruction 236 is for payment of the fourth annuity fee in Australia for a case entitled "A New Family of Penam Antibiotics." For each instruction the client system can select via fields 238 to pay the fee, not pay the fee or put the decision on hold until a later date. Although not shown, an additional "Pay All" button can be selected to expedite the process for customers that regularly pay all such fees.
[0037]図3に示すように、この例では、2つの異なる年金支払い指示234および236が、ウェブページ230を介してクライアントシステムに表示されている。指示234は、「Variable Latency」と題するケースのための6回目の台湾の年金支払いに関し、指示236は、「A New Fami1y of Penam Antibiotics」と題するケースのための4回目のオーストラリアの年金支払いに関するものである。各指示について当該クライアントシステムは、フィールド238により、年金を支払う、年金を支払わない、またはこの意思決定を後日まで保留にすることを選択できる。図示はされていないが、このような料金をすべて定期的に支払う顧客には、付加的な「Pay All」(すべて支払う)ボタンを選択して、当該工程を迅速化することもできる。]

[0046] Additionally, in some embodiments, if the client system would like to ask for an opinion from another (e.g., an outside attorney) regarding whether or not a specific annuity or maintenance should be paid, the client system can create an Alert that is sent to another appropriate client system (the outside attorney in this example). The Alert can be created by selecting a "Second Opinion" button displayed next to each case (not shown in FIG. 3 ). The created Alert will then appear in the outside attorney's alert list and the outside attorney will have access to all the same information (abstract, claims, etc.) as did the original client system (annuity decision maker). The outside attorney can then respond to the alert with his or her recommendation as to whether or not to pay the fee and the response will communicated to the annuity decision maker who created the initial alert.
[0046]追加的に、いくつかの実施形態において、特定の年金または維持費の支払いの要否について第三者(例えば、外部弁理士など)からの判断を仰ぎたい場合は、クライアントシステムは、別の適切なクライアントシステム(この場合外部弁理士)に送信されるアラートを作成することができる。当該アラートは、各案件の隣にある「セカンドオピニオン」ボタン(図3には図示しない)を選択することにより作成することができる。次に、作成されたアラートは外部弁理士のアラートリストに表示され、外部弁理士は、第1のクライアントシステム(年金に関する意思決定者)がアクセス可能な全ての情報(要約、請求項など)に対してアクセスが可能となる。次に、外部弁理士は、年金の支払いの要否についての助言とともにアラートに応答することができ、この応答は、最初にアラートを作成した、年金に関する意思決定者に対して通信される。

[0050] When payment of the annuity fee and/or maintenance fees are actually due, some embodiments system 100 can make the payments on behalf of the customer and automatically deduct the payment amounts directly from accounts associated with the client system. Alternatively, the amounts can be billed to the client system. In various embodiments, system 100 can submit an annuity or maintenance fee payment directly to the appropriate Patent Office pursuant along with information identifying the annuity being paid. A confirmation of the annuity payment will then be sent to the client system and a payment receipt will be sent to IP data processing system 100 from the Patent Office. The receipt will become a document within system 100 associated with the appropriate case. These receipts can be viewed by client system with appropriate rights just as other documents associated with the case and the receipts can be compared versus payment instructions as a final accounting measure to ensure payments were properly received. System 100 can even be set up to track such receipts and if they are not received within a time period specified during user set-up, send an alert to the appropriate client system of the technology developer indicating that a problem with the annuity payment may have occurred.
[0050]年金および/または維持費の実際の支払期限日がくると、いくつかの実施形態において、システム100は顧客の代わりに支払いを行うことができ、支払金額をクライアントシステムに関連付けられた口座から直接自動引き落としすることができる。代替的に、支払金額をクライアントシステムに請求することもできる。様々な実施形態において、システム100は、年金支払い処理を特定する情報とともに年金または維持費の支払いを直接所定の特許庁に対して行うことができる。次に、年金の支払い確認がクライアントシステムに送信され、特許庁からIPデータ処理システムに対して領収書が送信される。当該領収書は、システム100内で特定の案件に関連付けられた文書となる。適切な権利を有するクライアントシステムは、案件に関連付けられた他の文書と同様に当該領収書を閲覧することができ、最終的な経理処理として、支払い指示と領収書を比較することで適切に支払いが受領されたことを担保できる。領収書を追跡するようにシステム100を設定することもでき、領収書がユーザー設定時に設定した所定の期間内に受領されなかった場合は、システム100は、技術開発者の適切なクライアントシステムに対してアラートを送信し、年金の支払いについて問題があった可能性があることを通知する。

[0051] In other embodiments, however, payments are made by a third party annuity fee payment service 130 ( i ). FIG. 7 is a simplified diagram showing how requests 300 for annuity/maintenance fee payment instructions are generated by IP data processing system 100 , instructions 305 for such annuity/maintenance fee payments are generated by a client system at a technology provider 110 ( i ) [or, alternatively, by a patent attorney at a law firm 120 ( i )], payment instructions 310 are then communicated from system 100 to an annuity/maintenance fee service provider 130 ( i ) and instructions 315 confirming such payment are then communicated back to IP data processing system 100 . In one embodiment, payment instructions 310 are communicated from system 100 to service provider 130 ( i ) in real time upon selecting a "Send to Agent" icon 242 (shown in FIG. 3 ). In other embodiments, instructions are sent in batch mode at one or more predetermined times and in still other embodiments, agent 130 ( i ) logs onto system 100 to retrieve annuity payment instructions.」
[0051]但し、別の実施形態においては、支払いは外部の年金支払いサービス業者130(i)によって行われる。図7は、IPデータ処理システム100によって年金/維持費支払い指示要求300が生成され、技術開発者110(i)(または、代替的に法律事務所の特許弁護士120(i))のクライアントシステムによって年金/維持費支払い指示305が生成され、次に支払い指示310がシステム100から年金/維持費支払いサービス業者130(i)に対して通信され、さらに支払い確認の指示315がIPデータ処理システム100に対して通信される処理工程を示す概略図である。1実施形態において、(図3に示す)「代理人に送信」アイコン242を選択することで支払い指示310がシステム100からサービス業者130(i)にリアルタイムで通信される。別の実施形態では、指示は1若しくはそれ以上の所定の時点においてバッチモードで送信され、さらに別の実施形態では、代理人130(i)がシステム100にログオンして年金の支払い指示を取得する。

イ [0037]と図3(図示省略)によれば、顧客のクライアントシステムに年金または維持費の支払期限日に関する通知として通信され表示されるウェブページは、顧客に所定の期間(例えば、1か月)内に期限がくるすべての年金および維持費支払いのリストを提示して、それぞれの支払いについて、年金を支払う、年金を支払わない、またはこの意思決定を後日まで保留にすることのいずれかの回答として、年金または維持費の支払の要否の指定を可能とするものである。また、顧客がこのウェブページにおいて入力した回答がクライアントシステムからIPデータ処理システムに送信されてIPデータ処理システムで受信されることは、明示されずとも当然のことといえる。

ウ してみると、文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

(引用発明)
a 特許文献に関連付けられた年金または維持費の支払いをコンピュータで実行する方法であって、([0010])
b 特許出願を行い特許交付を受けようとしている企業、大学、および個人発明家を含む技術開発者の知的財産ポートフォリオに関する情報として、発明の開示の草稿および完成版、特許出願文書の草稿および完成版、補正書の草稿および完成版、発明の開示および特許出願に関する考察、特許および特許出願のステータス情報、先行技術文献、オフィスアクション、譲渡証、ならびに特許庁に提出された若しくは特許庁により起案された他の様式および文書などの情報を格納するデータベースと、([0022][0026])
c 前記データベースにアクセス可能であり、サーバシステムであるIPデータ処理システムと、([0024][0035])
を含むシステムにおいて、
d サーバーシステムにより、年金または維持費の支払期限日に関する通知を生成する工程であって、[0010]
IPデータ処理システムに関連付けられた期限管理プログラム(docketing program)によって、適切なルールに基づいて、出願をトリガーイベントとして年金の支払期限日を計算し、特許出願に対する特許付与をトリガーイベントとして適切な維持費の支払期限日を計算し、計算された支払期限日は、年金と維持費の支払いに関するその後のリマインダー通知を生成するために使用されるべく、データベースに格納され、([0035])
e 第1の指定されたクライアントシステムに特許情報の閲覧と年金または維持費の支払の要否の指定を可能とするウェブページを介して年金または維持費の支払期限日に関する通知を通信する工程であって、([0010])
このウェブページは、顧客に所定の期間(例えば、1か月)内に期限がくるすべての年金および維持費支払いのリストを提示して、それぞれの支払いについて、年金を支払う、年金を支払わない、またはこの意思決定を後日まで保留にすることのいずれかの回答として、年金または維持費の支払の要否の指定を可能とするものであり、(上記イ)
f クライアントシステムからの、年金を支払う、年金を支払わない、またはこの意思決定を後日まで保留にすることのいずれかである回答を受信し、(上記イ)
g 顧客は、年金・維持費の支払いについての意思決定のための決済ルートを自由に設定できるものであり、この決済ルートは、特許権者毎や特許出願毎に、1または2以上の意思決定者及び承認者を含めることができるものであり、([0032]-[0034]、[0050]-[0051])
h 顧客は、年金支払いの要否についての回答要求のタイミング及び頻度のルールを、自由に設定できるものである、([0032][0036])
方法。

2 従たる証拠について
(1) 文献2には、平成15年改正(平成16年4月1日施行)特許法第107条が記載されている。(摘記省略)

(2) 文献3には、次のとおりの記載がある。
「3.特許の維持
特許料(年金)は年を経るごとに高くなるので、年数を区切って(・・・)特許料の納付を継続するか否かいついて知的財産評価委員会等で審査するのが好ましい。あるいは、ライセンスしていない特許については、年限を区切り(・・・)、年金の支払いを中止するよう定める方法もある。」(18頁15?19行)

「第1章?第5章では、知的財産(発明)を特許出願し、特許にするまでを述べた。この知的財産を生み出す活動としては、他大学、公的研究機関、企業等との共同研究もある。また共同研究の結果得られた成果を共同出願することもある。さらに特許化した後には、発明を実施許諾(・・)したり、特許権を譲渡(・・)することもある。
これらは通常の金銭の授受を伴うものであり、立場の異なる機関等が協力し、それぞれの利益になる関係を築くべきものである。又お互いの責任や金銭負担について交渉・合意し、契約書として文書化する必要がある。」(19頁2行?7行)

(3) 文献4には、次のとおりの記載がある。(丸数字は半角括弧付き数字で示す。)
「特許維持要否の判断基準
次のいずれかが肯定的な回答である場合には、特許維持する
・・・中略・・・
(5) 共有特許で共有相手が特許維持料を負担する場合は、(1)?(4)のいずれにも該当しなくとも共有者が維持すると判断した場合には特許維持する」(4頁)

(4) 文献5には、次のとおりの記載がある。
「【0094】
一方、ステップS406において、共同発明者が存在すると判定した場合、システムは他の共同発明者に対して譲渡承認手続を行うことを要求する。図10は、発明が共有に係る場合に、発明届出書500の作成者以外の共同発明者に譲渡承認手続を行うよう要求するための譲渡回覧メールの一例を示す説明図である。システムは、既に作成された発明届出書500を添付した譲渡回覧メール1000を生成し、発明届出書500中の譲渡履歴表示部516(図6および図8参照)における発明者の表示順序に従って、次の発明者に生成した譲渡回覧メール1000を送信する(S407:本発明の情報送信工程に該当する)。なお、発明届出書500を作成した発明者と区別するために、他の発明者のことを共同発明者と記述することにする。
【0095】
譲渡回覧メール1000の送信を受けた共同発明者は、図10に示した譲渡回覧メール1000に記載された作業手順に従って、特許を受ける権利の譲渡手続を行う(S408)。共同発明者は、ステップS408において、作成者によって作成された発明届出書500の内容を確認すると共に、譲渡ボタン514または否認ボタン515をクリックすることによって、自己の特許を受ける権利を会社に譲渡することに関する承認手続を行う。」

「【0097】
そして、システムは、ステップS408の譲渡承認手続に基づいて、共同発明者が譲渡を承認したか否かを判定する(S409)。ステップS409において、共同発明者が譲渡を承認していない、即ち、否認ボタン515をクリックした場合、発明届出書は再び作成者の元に返送される。ここで、否認ボタン515をクリックする場合には、否認の理由
を発明届出書500に記載する必要がある。
【0098】
図11は、共同発明者の一人が特許を受ける権利の譲渡を否認した結果の一例を示す説明図である。図11においては、第3番目の発明者が譲渡を否認した例を示している。図11に示すように、否認ボタン515がクリックされると、譲渡履歴表示部516の該当する個所に否認したという結果が表示される。なお、図11においては、譲渡を否認した発明者のサインと否認時の日付が表示されていないが、これらを表示することにしても良い。
【0099】
そして、システムは、共同発明者の一人が譲渡を否認すると、その発明届出書500を作成者に返送する。作成者は、否認した発明者の否認理由を参照し、発明届出書を書き直す等の処理を行った後、再度上述した共同発明者全員による譲渡の承認手続を再開する。」

「【0102】
一方、ステップS412において、全ての発明者に譲渡回覧メール1000が送信されたと判定した場合には、発明届出書500を一旦作成者に返送する。図12は、全ての共同発明者が譲渡を承認した結果の一例を示す説明図である。図12に示すように、全ての共同発明者について譲渡を承認した結果,サインおよび譲渡を承認した日付が表示されている。」

「【0115】
なお、本実施の形態においては、特許出願ワークフローに電子承認方法を適用することを前提として説明したが、承認の対象を特許に受ける権利に限定するものではない。すなわち、他の知的所有権に関する譲渡の承認のみならず、一般的なワークフローにおける承認手続にも用いることができる。特に、電子譲渡同意書のような書類等を用いて承認者の承認権限を個々に設定しておくことにより、柔軟かつ厳格な承認手続の管理を行うことができる。」

(5) 文献6には、次のとおりの記載がある。
「【0037】
図6は、図1の出席可否回答状況監視・通知手段121が、出席可否回答依頼状況を監視し、関係者にフォローを行う処理の流れ図である。
【0038】
まずステップS501で、「必須」メンバの揃う候補日程が1つもないかどうかを判定する。1つもないときは、ステップS506で、会議主催者131にその旨を通知し候補日程の再検討を促す。「必須」メンバの揃う候補日程があったときは、ステップS502で、出席可否回答依頼通知先の会議関係者132の全員について出席可否回答が完了しているかどうかを判定する。全員の回答が完了していたら、ステップS507で、会議主催者131にその旨を通知すると同時に、候補日程再検討手段122を起動する。ステップS502で全員の回答が完了していないときは、ステップS503で、現在の日付・時刻が出席可否回答締切日時より以前かどうかを判定する。以前であれば、ステップS501に戻って、一定時間後に再処理を開始する。現在の日付・時刻が出席可否回答締切日時より以前でなければ、ステップS504で、会議主催者に、未回答者一覧とともに締切の延長を行った旨を通知する。またステップS505で、未回答者全員に対して、再締切日までに出席可否を回答するよう催促通知する。ステップS505の後、ステップS501に戻って、一定時間後に再処理を開始する。」

「【0043】
再び図1に戻って、会議主催者131は、出席可否回答状況監視・通知手段121から、出席可否回答が出席依頼先全員から得られた旨の通知を受け取るか、候補日程の再検討を促す通知を受け取った後、再検討後候補日程参照手段123により、候補日程の再検討結果を参照する。会議主催者131が、適当と思われる日程を決定入力すると、図1の会議日程決定・登録手段124は、出席者の個人スケジュールデータベース102に、当該会議の日程を登録する。全ての「必須」メンバが揃う候補日程が存在しない場合や、或いはどの候補日程でも「重要」メンバの参加人数が不足する場合など、適当な候補日程が得られなかった場合には、会議主催者131は、会議の開催条件を変更して、出席依頼等入力手段112から一連の手続きを再度実行する。最終的に日程が決定されると、図1の会議日程等通知手段125は、会議関係者132に会議の開催通知を送付する。」

第5 当審の判断
1 理由1、2について
(1)請求項1について
ア 対比
(ア)引用発明の「特許出願に対する年金または維持費の支払い」は、本件発明1の「産業財産権を維持するために必要な費用支払い」に相当し、引用発明のaは、本件発明1と同様の「顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する管理方法」といえる。
(イ)引用発明の「データベース」が格納する、特許出願を行い特許交付を受けようとしている企業、大学、および個人発明家を含む技術開発者の知的財産ポートフォリオに関する情報のうち、特許および特許出願のステータス情報に、費用支払いに係る支払期限日を算出するために必要となる情報(出願や特許付与がなされた日付等)が含まれていることは明らかであるから、引用発明のbは、本件発明1の「顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベース」に相当するといえる。
(ウ)引用発明のcの「IPデータ処理システム」は、データベースにアクセス可能であるサーバシステムとしてIPデータを管理する装置であるから、本件発明1と同様の「書誌データベースにアクセス可能な処理装置」を有する「管理装置」であるといえる。
(エ)引用発明のdは、出願をトリガーイベントとして年金の支払期限日を計算し、特許出願に対する特許付与をトリガーイベントとして適切な維持費の支払期限日を計算するものであり、その際、費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースが参照されることは明らかであるから、引用発明のdの「IPデータ処理システムに関連付けられた期限管理プログラム(docketing program)によって、適切なルールに基づいて、出願をトリガーイベントとして年金の支払期限日を計算し、特許出願に対する特許付与をトリガーイベントとして適切な維持費の支払期限日を計算」することは、本件発明1の「前記書誌データベースに基づいて、前記支払期限日を取得する期限日取得工程」に相当するといえる。
(オ)引用発明のeは、所定の期間(例えば、1か月)内に期限がくるすべての年金および維持費支払いのリストを提示して、それぞれの支払いについて、年金または維持費の支払の要否の指定を可能とするウェブページを顧客に通知するものであり、本件発明1の「前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程」に相当するといえる。
(カ)引用発明のfは、顧客から費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程である点で、本件発明1の「前記顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程」と共通する。

(キ)してみると、本件発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
顧客から依頼された産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する管理方法であって、
前記顧客から依頼された前記産業財産権を維持するために必要な費用の支払期限日を算出するために必要な書誌情報を含む書誌データベースと、
前記書誌データベースにアクセス可能な処理装置とを有する管理装置に、
前記書誌データベースに基づいて、前記支払期限日を取得する期限日取得工程と、
前記支払期限日の所定期間前となった前記産業財産権について、前記支払期限日を前記顧客に通知し前記費用の支払いの要否を問い合わせる期限日通知工程と、
前記顧客から費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程と、
を実行させる管理方法。

<相違点>
(相違点1)
本件発明1の顧客から費用支払いの要否の回答を受領する回答受領工程は、顧客から「それぞれ」回答を受領するのに対し、引用発明ではそうではない点。
(相違点2)
本件発明1は、「共有に係る前記産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る前記産業財産権に関する全ての前記顧客に通知する回答通知工程」を実行するのに対し、引用発明は、これを実行するものでない点
(相違点3)
本件発明1は、「前記産業財産権に関する前記全ての顧客の回答が一致するまで、前記回答受領工程と前記回答通知工程を繰り返し実行する」のに対し、引用発明は、これを実行するものでない点。

(ク)よって、本件発明1は、引用発明と同一のものではなく、文献1に記載された発明ではないから、理由1は成り立たない。

相違点の判断
(ア)相違点1、相違点2及び相違点3は、関連する相違点であり、まとめて検討する。
これらの相違点に係る本件発明1の技術的事項は、共有に係る産業財産権についての全ての顧客において、各々の意向を決定する際に他の共有者の意向を参考にしにくい(本件明細書段落【0005】)との課題を解決するためのものであるところ、文献1には、このような課題について何ら記載がなく、のみならず、そもそも、共有に係る産業財産権の共有者である複数の顧客を想定したコンピュータの処理を示す記載もないから、引用発明は、ある顧客における支払いの要否の回答を他の顧客にすることを想定したものといえない。引用発明は、「決済ルート」を自由に設定でき、この「決済ルート」は、特許権者毎や特許出願毎に、1または2以上の意思決定者及び承認者を含めることができるものでもよいものの、引用発明の「決済ルート」は、1つの顧客の中での承認にかかる意思決定者及び承認者についてのものであり、共有に係る産業財産権の共有者についてのものではない。よって、引用発明は、各々の顧客の回答を全ての顧客に通知して再度顧客からの回答が通知される処理を繰り返すように変更するための動機付けを欠くものである。
(イ)また、異議申立人は、この技術的事項を開示する副引用例を提示していない。文献2は法律の内容、文献3と文献4は、大学における知財管理の実務の内容を示すものであって、いずれも、共有に係る産業財産権における権利の維持にあたって共有者全員の同意を得ることが必要となることを示すものである。文献3は、年数を区切って特許料の納付継続を審査するのが好ましいことやライセンスしていない特許の年限を区切って年金の支払いを中止するように定めることができること、立場の異なる共有者が協力してそれぞれの利益となる関係を築くべきことや金銭負担について合意し文書化することの必要性、等を示すものであり、文献4は、権利の維持について各々の意向を決定する際に他の共有者の意向を参考にすることを示すものといえる。しかし、いずれの文献も、他の共有者の意向を確認するための処理や手段を開示するものでない。
さらに、文献5は、従業員の権利(特許を受ける権利)の譲渡や一般的なワークフローにおける承認手続に関するものであり、文献6は、会議の日程調整に関するものであり、いずれも、権利の維持に係る処理や手段を開示するものでない。
(ウ)異議申立人は、相違点2、3に係る本件発明1の構成は、システムの単なる一使用態様を規定したものにすぎない、共有に係る特許権について、各共有者間で自己の持ち分に応じた年金額を支払い意思があるか否かについて情報を共有し、費用等の調整・確認を行い、最終的かつ自発的にその意思決定を一致させることは、本件特許に係る出願以前に実務上一般的に行われていた処理である、と主張しているが、上記(ア)に照らして、この主張を採用することはできない。
さらに、異議申立人は、文献5を示して、コンピュータシステムの構築において、2以上の共有に係る権利者が存在する場合に、回答を管理する装置により権利者全員で回答状況・履歴を通知・共有できるようにシステム化することは周知の構成であるとも主張しているが、文献5は、上記(イ)に示したとおり、従業員の権利(特許を受ける権利)の譲渡や一般的なワークフローにおける承認手続に関するシステムを示すにとどまり、共有された権利に係る費用の支払いのような権利の維持に係るシステムを示すものでないし、このようなシステムが周知のものであるとも認められない。
(エ)よって、これらの相違点について、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえず、本件発明1は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、理由2は成り立たない。

ウ 小括
以上のとおり、本件発明1は、文献1に記載された発明ではなく、理由1は成り立たないし、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、理由2も成り立たない。

(2)請求項2?16について
請求項2?14は、請求項1を引用する請求項であり、請求項15及び請求項16は、それぞれ、請求項1の方法発明に対応する装置発明及びプログラム発明を記載したものであるから、これらの請求項に係る発明は、いずれも、上記(1)ア(キ)に示した相違点に対応する発明特定事項を含み、引用発明と同一であるということはできないし、上記(1)イのとおり、この相違点について当業者が容易になし得たものということはできない。
よって、請求項2?16に係る発明は、いずれも、引用発明と同一のものでなく、引用発明ではないから、理由1は成り立たないし、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、理由2も成り立たない。

2 理由3について
(1)請求項1?16には、顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する旨、共有に係る産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る産業財産権に関する全ての顧客に通知する旨、及び、産業財産権に関する全ての顧客の回答が一致するまで、回答受領工程と前記回答通知工程を繰り返し実行する旨が記載されており、これらは、共有に係る産業財産権の維持について各々の共有者が意向を決定する際に他の共有者の意向を参考にしにくいことからこれを確認できるようにするという課題(段落【0005】【0006】)に対応する課題解決手段を特定するものであるといえる。
また、これらの請求項の記載に対応して、発明の詳細な説明の段落【0034】?【0050】(摘記省略)には、コンピュータにおける回答受領処理(図2のステップ03、図3のステップ19)と回答通知処理(図2,図3のステップ5)及びこれらの回答受領処理と回答通知処理を繰り返す処理(図3のステップ16、18)について、具体的に記載されている。
これらの記載を踏まえれば、請求項1?16及び発明の詳細な説明には、上記課題に対応する課題解決手段として、顧客からの回答及び顧客への通知並びにこれらの回答と通知を繰り返す旨を含む具体的なコンピュータの処理の内容が記載されているといえる。
(2)これらの記載によれば、請求項1?16においては、上記のコンピュータの処理に係る自然法則を利用した技術的思想の創作としての発明が特定されているといえる。
この点、異議申立人は、請求項1?16が年金の支払い管理に必要な手順をコンピュータがごく当たり前に有する基本的な機能を用いて行うことを示したものであり、コンピュータソフトウェアとしての具体的なしくみを根拠として構成されたものでない、等と主張するところ、(1)で上記したとおり、請求項1?16及び発明の詳細な説明には、年金の支払い管理に必要な手順をコンピュータの基本的な機能を用いて行うことのみならず、産業財産権の維持について各々の意向を決定する際に他の共有者の意向を確認できるようにするためのコンピュータの処理が具体的に記載されているから、申立人の主張は、採用の余地がない。
(3)よって、請求項1?16に係る特許は、このようなコンピュータの処理に係る、特許法第29条第1項柱書の発明に対してなされたものであるから、理由3は、成り立たない。

3 理由4について
発明の詳細な説明には、2(1)で上記したとおり、請求項1?16の、顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する旨、共有に係る産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る産業財産権に関する全ての顧客に通知する旨、及び、産業財産権に関する全ての顧客の回答が一致するまで、回答受領工程と前記回答通知工程を繰り返し実行する旨について、具体的なコンピュータの処理が記載されているから、本件の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1?16に記載された発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものである。
よって、請求項1?16に係る発明について、本件の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の規定に反するものではなく、理由4は成り立たない。

4 理由5について
請求項1?16には、2(1)で上記したとおり、顧客からそれぞれ費用支払いの要否の回答を受領する旨、共有に係る産業財産権について、各々の前記回答を、共有に係る産業財産権に関する全ての顧客に通知する旨、及び、産業財産権に関する全ての顧客の回答が一致するまで、回答受領工程と前記回答通知工程を繰り返し実行する旨が、記載されており、特許請求の範囲の記載は明確である。
よって、請求項1?16に係る特許についての出願は、特許法第36条第6項第2項の規定に反するものではなく、理由5は成り立たない。

5 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?16に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-08-05 
出願番号 特願2016-138831(P2016-138831)
審決分類 P 1 651・ 113- Y (G06Q)
P 1 651・ 537- Y (G06Q)
P 1 651・ 121- Y (G06Q)
P 1 651・ 536- Y (G06Q)
P 1 651・ 15- Y (G06Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加舎 理紅子  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 相崎 裕恒
畑中 高行
登録日 2020-10-07 
登録番号 特許第6774802号(P6774802)
権利者 NGB株式会社
発明の名称 共有に係る産業財産権を維持するために必要な費用支払いを管理する管理方法、管理装置、および管理装置で実行されるプログラム  
代理人 矢口 太郎  
代理人 特許業務法人 信栄特許事務所  
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