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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23D
管理番号 1376775
異議申立番号 異議2021-700434  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-07 
確定日 2021-08-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第6784857号発明「植物油脂組成物及びそれを含有する容器詰め飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6784857号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6784857号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、令和2年1月9日に特許出願され、同年10月27日に特許権の設定登録がされ、同年11月11日にその特許公報が発行され、その後、令和3年5月7日に、特許異議申立人 斎藤 敏子(以下「特許異議申立人」という。)により、請求項1?5に係る特許に対して、特許異議の申立てがされたものである。

第2 特許請求の範囲の記載
本件の特許請求の範囲の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」?「本件特許発明5」という。まとめて、「本件特許発明」ということもある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
以下の成分(A)?(E):
(A)乳成分由来のホスファチジルコリン
(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン
(C)乳成分由来のスフィンゴミエリン
(D)植物油脂
(E)水
を含む、容器詰め飲料用の植物油脂組成物であって、
前記容器詰め飲料が、乳固形分の含有量が3.0重量%未満の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料であり、
前記植物油脂組成物が、水中油型エマルションであり、
前記組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、植物油脂組成物。
([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)
(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)
【請求項2】
さらに、成分(F)ミリスチン酸エチル及び成分(G)酪酸ブチルのうち少なくとも一方を含む、請求項1に記載の容器詰め飲料用植物油脂組成物。
【請求項3】
前記植物油脂がヤシ油である、請求項1又は2に記載の容器詰め飲料用植物油脂組成物。
【請求項4】
さらに、カゼインナトリウムを含む、請求項1?3のいずれかに記載の容器詰め飲料用植物油脂組成物。
【請求項5】
請求項1?4のいずれかに記載の容器詰め飲料用植物油脂組成物の製造方法であって、
前記成分(D)植物油脂に対して、使用する場合には前記成分(F)ミリスチン酸エチル及び前記成分(G)酪酸ブチルのうち少なくとも一方を溶解し、さらに、前記(A)乳成分由来のホスファチジルコリン、前記(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン、及び前記(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを混合するか、又は前記成分(A)?(C)を含む乳成分原料を混合した後、前記成分(E)水を混合し、乳化させて、水中油型エマルションとすることを含む、製造方法。」

第3 特許異議申立理由
1 新規性
異議申立理由1-1:請求項1,3,4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記の甲第3号証?甲第9号証を参照することで、本件特許出願前に日本国内において、頒布された下記の甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、請求項1,3,4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
異議申立理由1-2:請求項1,3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記の甲第3号証?甲第9号証を参照することで、本件特許出願前に日本国内において、頒布された下記の甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、請求項1,3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

2 進歩性
異議申立理由2-1:請求項1,3,4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、頒布された甲第1号証に記載された発明および甲第2号証?甲第9号証に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1,3,4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
異議申立理由2-2:請求項1,3,4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において、頒布された甲第2号証に記載された発明および甲第2号証?甲第9号証に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1,3,4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

3 サポート要件
異議申立理由3-1:請求項1?5に係る発明について、甲第1号鉦、甲第2号証および本件特許明細書【0031】に記載のように、牛乳や脱脂粉乳を食品の水中油型乳化物に添加すること自体は適宜なし得るものであり、本件特許発明は、リン脂質を多く含む特別な乳成分原料の使用が特徴で、【0028】?【0033】の記載から、【0032】記載の成分が課題解決手段であるのに本件特許発明において特定されていないので、当業者が課題を解決できると認識できる範囲を超えているから、本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
異議申立理由3-2:請求項1?5に係る発明について、「前記容器詰め飲料が、乳固形分の含有量が3.0重量%未満の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料であり」との発明特定事項を有し、【0010】の課題の記載でも、ペットボトルや缶等の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料において、カフェやチルド流通で提供されるような濃厚で新鮮なミルク感が味わえる植物油脂組成物及びそれを含有する容器詰め飲料を提供することを課題としているのにも関わらず、実施例では、殺菌を行っているだけで、甲第1,2,9号証で確認しているように、加温下での販売が可能な保存安定性を有しているか裏付けが一切ないから、当業者が課題を解決できると認識できる範囲を超えているから、本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。



甲第1号証:特開2005-341933号公報
甲第2号証:特開2007-166917号公報
甲第3号証:鷹尾 亨 編著,牛乳・乳製品の実際知識(第2版),東洋経済新報社,昭和56年4月16日,表紙,p.2,3,32?34,37
甲第4号証:特開昭57-189637号公報
甲第5号証:国際公開2020/137932号
甲第6号証:清澤 功,ホエータンパク質濃縮物とその機能性に関する最近の研究動向,Milk Science,Vol.51,No.1,2002年,p.13?26
甲第7号証:藤田 哲 著,食品の乳化-基礎と応用-,株式会社 幸書房,2006年2月10日,表紙,p.309
甲第8号証:香川芳子 監修,五訂食品成分表2002,女子栄養大学出版部,平成14年1月,表紙,p.206?207
甲第9号証:滝口 浩司 外1名,飲料自動販売機に用いる冷媒の技術動向,富士時報,Vol.82,No.4,2009年,p.11?14

第4 当審の判断
異議申立理由1-1,1-2(新規性)2-1,2-2(進歩性)について

1 甲号証の記載事項
(1)甲第1号証
本願の出願前頒布された刊行物である甲第1号証には、以下の記載がある。
(1a)「【請求項1】
植物油脂と、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、およびポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはレシチンを含むことを特徴とする、植物油脂組成物。
【請求項2】
ショ糖脂肪酸エステルが、ショ糖パルミチン酸エステルおよび/またはショ糖ステアリン酸エステルであり、有機酸グリセリン脂肪酸エステルが、コハク酸グリセリン脂肪酸エステルおよび/またはジアセチル酒石酸グリセリン脂肪酸エステルであり、ポリグリセリン脂肪酸エステルが、デカグリセリン脂肪酸エステルである乳化剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の植物油脂組成物。
【請求項3】
植物油脂がやし油であることを特徴とする、請求項1または2に記載の植物油脂組成物。
【請求項4】
さらにカゼインナトリウムが添加されていることを特徴とする、請求項1?3のいずれか1項に記載の植物油脂組成物。
【請求項5】
植物油脂が乳化されていることを特徴とする、請求項1?4のいずれか1項に記載の植物油脂組成物。」

(1b)「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、飲料、主として、レトルト殺菌あるいはUHT殺菌を行ったコーヒー、コーヒー入り乳飲料、紅茶、紅茶入り乳飲料、ココア、ココア入り乳飲料、並びにスープ類、乳含有スープ類等の飲料について、内容液の安定性を保持しながら、内容液の風味を良好とする技術に関し、特に高温殺菌、長期間の保存および冬季の製品ウォーマーでの加熱にも品質的に耐えうるような上記の飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、飲料、とりわけ、コーヒーあるいは紅茶の香味を良くするには、植物油脂を用いることが、コストの面からも優れていることに注目し、さらに、この植物油脂と、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、およびポリグリセリン酸エステルおよび/またはレシチン、好ましくはさらにカゼインナトリウムを組み合わせ、レトルト殺菌あるいはUHT殺菌を行ったコーヒー、コーヒー入り乳飲料、紅茶、紅茶入り乳飲料、ココア、ココア入り乳飲料、並びにスープ類、乳含有スープ類等の飲料に、上記の乳化剤により乳化された植物油脂を使用することにより、内容液の安定性を保持しつつ、内容液の風味を良好とし、特に高温殺菌、長期間の保存および冬季の製品ウォーマーでの加熱にも品質的に耐えうる上記飲料を提供できること、また、特に、植物油脂については、殺菌直後の風味の点で、やし油が最適であることを見出し、これらの知見に基づいてい本発明を完成させるに至った。」

(1c)「【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、飲料、特には、レトルト殺菌あるいはUHT殺菌を行ったコーヒー、コーヒー入り乳飲料、紅茶、紅茶入り乳飲料、ココア、ココア入り乳飲料、またはスープ類もしくは乳含有スープ類等の飲料に、乳化剤により乳化された植物油脂(植物油脂組成物)を使用することにより、飲料内容液の風味を良好とし、植物油脂の植物油脂組成物中および飲料中での乳化分散性を良好にすることができる。特に、長期間の保存および冬季の製品ウォーマーでの保存にも品質的に耐えうる飲料、特には、コーヒー、コーヒー入り乳飲料、紅茶、紅茶入り乳飲料、ココア、ココア入り乳飲料、並びにスープ類、乳含有スープ類等の飲料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による植物油脂組成物は、植物油脂と、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(A)、有機酸グリセリン脂肪酸エステル(B)、およびポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはレシチン(C)を含むものであることは前記したところであり、本発明において上記乳化剤(A)、(B)、(C)は必須成分である。乳化剤(C)に関しては、ポリグリセリン脂肪酸エステル単独、レシチン単独、およびポリグリセリン脂肪酸エステルとレシチンンの組合せの使用があり得る。また、上記組成物中の植物油脂は、後述のように、通常水等の分散媒中に乳化された形態で飲料の製造に使用される。
【0012】
植物油脂としては、植物から得られる油脂であれば特に限定されず、例えばやし油、大豆油、サフラワー油、ゴマ油、なたね油、オリーブ油、コーン油等があげられるが、本発明における効果の点からやし油が特に好ましい。」

(1d)「【0020】
本発明は、また、上記のような植物油脂組成物を含有する飲料、特には、コーヒー、コーヒー入り乳飲料、紅茶、紅茶入り乳飲料、ココア、ココア入り乳飲料、並びにスープ類もしくは乳含有スープ類等の飲料にも関する。ここで、スープ類としては、コーンスープ、野菜スープ等が例示される。また、乳含有スープ類とは、上記スープ類に任意量の乳成分を含むスープ類を意味する。本発明において、上記の飲料は、代表的には、レトルト殺菌あるいはUHT殺菌を行った密封容器入り(缶、プラスチックボトル、ビン、紙容器等)の形態のものである。本発明による飲料は、実際には、上記のようにして乳化された植物油脂を飲料に添加し、常法によって容器に充填した後にレトルト殺菌を行う。あるいはUHT殺菌(超高温殺菌)を行い、無菌的に容器に充填し、通常の方法に従って密封する。
【0021】
上記のように乳化剤により乳化された植物油脂を使用して製造された飲料は、内容液の安定性が保持されると共に、内容液の風味が良好でありかつ長期間の保存および冬季の製品ウォーマーでの保存にも品質的に耐えうるものとなる。」

(1e)「【0027】
上記のように、コーヒーまたは紅茶製造における植物油脂と乳化剤の具体的な使用方法は図1に示されている。なお、以下の各配合表における数値は、いずれも、製品全体に対する重量%を示す。
【0028】
〔試験1〕
レトルト殺菌(124℃、20分間)による密閉容器入りコーヒーの製造において、植物油脂として、やし油を使用し、これの乳化剤としての、Aショ糖脂肪酸エステル、B有機酸グリセリン脂肪酸エステルおよび、Cポリグリセリン脂肪酸エステルもしくはレシチンの組み合わせについて、Aの一部およびCの一部を事前乳化用として使用する方法を採用して、最適な組み合わせ条件を評価した。」

(1f)「【0032】
〔試験2〕
植物油脂(やし油)と、Aショ糖脂肪酸エステル、B有機酸グリセリン脂肪酸エステルおよび、Cポリグリセリン脂肪酸エステルもしくはレシチン、Dその他原料、の組み合わせについて、さらに最適条件を検討した。評価方法およびコーヒー、コーヒー入り乳飲料の製造方法は、基本的には試験1と同様であり、細部については、フロー図(図1)によった。A,B,C,Dを同時に乳化用として使用する方法を採用して、最適な組み合わせ条件を評価した。
【0033】
【表3】

【0034】
【表4】



(1g)「【0040】
なお、試験1、2のコーヒーの組成を〔表7〕に、試験3の紅茶の組成を〔表8〕に示す。
【0041】
【表7】

表7において、各表とは、表1、表3に対応する表である。
・・・
【0043】
〔試験4〕
植物油脂として、香味的に最適なものを評価した。試験方法は、実施例4のコーヒーと同様の方法により、評価方法は、レトルト殺菌後の香味を、10名のパネルにて、1?5点(点数が高い程、香味評価が良い)の採点によって評価した。その結果を〔表9〕に示す。
【0044】
【表9】

【0045】
評価の結果は、やし油の香味評価点が最も高かった。」

(2)甲第2号証
本願の出願前頒布された刊行物である甲第2号証には、以下の記載がある。
(2a)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、冷蔵から高温保存に至る広い温度範囲での長期保存においても乳含有飲料中のオイルリングの発生、白色物の発生、油滴浮上等の品質劣化が防止できる安定な乳含有飲料の安定化法を提供することを目的とする。」

(2b)「【0012】
乳含有飲料の包装形態として缶、瓶、ペット容器、紙パック、プラスチック容器、チアパック等があげられ、密封された容器であれば容器形態には特に制限を受ける物ではないが、最近の傾向として、缶、ペットボトル、ボトル缶などの容器形態が高温販売、いわゆるホットベンダー販売される機会が多く、また長期保管される機会も多いためより不安定になる傾向が高いため、缶、ペットボトル、ボトル缶の容器形態が好ましい。」

(2c)「【0019】
タンパク質は例えば乳タンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質、ゼラチン、卵白等があげられ、乳化安定を高めるため何を使用しても良いが、風味の点で乳由来であるカゼインNa、カゼインK、ホエープロテインコンセントレート、ホエープロテインアイソレート、トータルミルクプロテイン等の使用が好ましい。添加量は0.01?10%、好ましくは0.1?8%、さらに好ましくは1?6%の範囲が良い。下限未満では安定化効果が不十分であり、上限以上では風味が悪くなることがあり好ましくない。」

(2d)「【0022】
具体的には衛生面は微生物レベルを低くすることを目的に厳しい加熱殺菌処理がなされることが望ましい。条件としては121℃、15秒の加熱と同等以上の殺菌条件が好ましく、更には121℃、4分の加熱と同等以上の殺菌処理がなされることが好ましい。物性的には乳化粒径が細かいことが好ましい。一般的な水中油型乳化油脂組成物の乳化粒径は数μm程度であるが、前述のように賞味期限が長い製品への添加を目的としているためより細かい乳化粒径であることが品質を高める目的には有利であり、好ましくは平均粒径で2μm以下、更に好ましくは平均粒径で1μm以下、最も好ましくは平均粒径で0.5μm以下で且つ最大粒径で1μm以下が良い。この乳化粒径を得ることができれば製造工程は何ら制限を受けない。ただし、乳化粒径を細かくするためには高圧ホモジナイザーを用いることが有利であり、可能であれば15MPa以上の高圧にて処理することが好ましい。」

(2e)「【0025】
水中油型乳化油脂組成物の調製
表1の配合に基づき水中油型乳化油脂組成物を調製した。具体的には以下の様に調製した。
(1)水に高HLB乳化剤、蛋白質、安定剤、塩類、糖類を攪拌分散後65℃以上まで加熱。
(2)油脂に低HLB乳化剤を攪拌分散後65℃以上まで加熱。
(3)(1)の水溶液に攪拌しつつ(2)の油脂成分を混合。
(4)(3)で調製した混合液を高圧ホモジナイザーにより20MPaの均質化処理を行い水中油型乳化油脂組成物を調製した。
【0026】
【表1】

・・・
【0029】
飲料の調製1
表3の配合に基づき飲料を調製した。具体的には以下の様に調製した。
(1)コーヒーエキス、牛乳、グラニュー糖、リョートーP-1670(三菱化学フーズ(株)製)、調整した水中油型乳化油脂組成物及び水を混合し、重曹を添加してpHを調整し調合液を得た。
(2)この調合液を60?65℃に加温し、高圧ホモジナイザーにより15MPaの均質化処理を行った。
(3)均質化処理調合液を80℃まで昇温し、缶に充填巻き締めした。
(4)121℃、30分間レトルト殺菌し、コーヒー飲料を得た。
【0030】
【表3】

【0031】
飲料の評価
得られたコーヒー液を以下の条件にて保存後、開缶してオイルリングの発生、白色物の発生、油滴浮上を観察した。(表4)
評価1 55℃、4週間保存
評価2 25℃、4週間保存後、2℃で1晩保存
評価3 2℃、4週間保存
【0032】
表4に示すように実施例1?15では比較例に対しオイルリングの発生、白色物の発生、油滴浮上が抑制されており良好な状態であった。
【0033】
【表4】

【0034】
飲料の調製2
表5の配合に基づき飲料を調製した。具体的には以下の様に調製した。
(1)コーヒーエキス、牛乳、グラニュー糖、リョートーP-1670(三菱化学フーズ(株)製)、調製した水中油型乳化油脂組成物及び水を混合し、重曹を添加してpHを調整し調合液を得た。
(2)この調合液を60?65℃に加温し、高圧ホモジナイザーにより15MPaの均質化処理を行った。
(3)均質化処理調合液を140℃、30秒間のUHT殺菌処理を行った。
(4)殺菌処理液をあらかじめ滅菌処理したペットボトルに無菌的に充填し、コーヒー飲料を得た。
【0035】
【表5】

【0036】
飲料の評価
得られたコーヒー液を以下の条件にて保存後、オイルリングの発生、白色物の発生、油滴浮上を観察した。(表6)
評価1 55℃、2週間保存
評価2 25℃、4週間保存、2℃で1晩保存
評価3 2℃、4週間保存
【0037】
表6に示すように実施例1?15では比較例に対しオイルリングの発生、白色物の発生、油滴浮上が抑制されており良好な状態であった。
【0038】
【表6】



(3)甲第3号証
本願出願前頒布された刊行物である甲第3号証には、以下の記載がある。
(3a)「27.「脱脂粉乳」とは,生乳,牛乳叉は特別牛乳の乳脂肪分を除去したものからほとんどすべての水分を除去し粉末状にしたものをいう.」(3頁下から3?2行)

(3b)「(b) ホエイたん白質 (whey protein, 乳清たん白質 milk serum protein)
牛乳のたん白質のうちカゼインを除いたものをホエイたん白質または乳清たん白質という.」(34頁7?9行)

(3c)「牛乳に含まれるリン脂質としてはレシチンおよびケファリンが主なもので,そのほかわずかにスフィンゴミエリンが含まれている.牛乳中のリン脂質の含量は0.08%程度である.」(37頁9?11行)

(4)甲第4号証
本願の出願前に頒布された刊行物である甲第4号証には、以下の記載がある。
(4a)「実施例1
脱脂粉乳(リン脂質含有量0.25%)」
(3頁右上欄5?6行)

(5)甲第5号証
本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった電子的情報である甲第5号証には、以下の記載がある。
(5a)「[0002]タンパク質含有粉末は、栄養補助食品等に用いられている。タンパク質含有粉末は、例えば、シェイカー等で水と混合、溶解して飲用に供される。
タンパク質含有粉末のタンパク源としてはホエイ(乳清)タンパク質が用いられることが多い。
ホエイタンパク質を含有する原料としては、ホエイタンパク質濃縮物(Whey Protein Concentrate)(以下、「WPC」とも記す。)が知られている。WPCは、ホエイを限外ろ過膜処理して得られるリテンテート(ホエイタンパク質の濃縮画分)を粉末化して製造される。」

(5b)「[0024]なお、WPC・・・は・・・、典型的には、以下の組成を有する。・・・
WPC:脂質3?8質量%(リン脂質1.2?3.2質量%)、タンパク質34?88質量%
・・・
[0025](WPC)
WPCとしては、市販品を用いてもよく、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。」

(6)甲第6号証
本願の出願前に頒布された刊行物である甲第6号証には、以下の記載がある。
(6a)「
表4 SWから調製したWPCおよび市販WPCの化学組成
組成分 WPC-A WPC-B WPC-C WPC-D 市販WPC
水分(%) 3.69 3.39 3.60 3.71 4.93
タンパク質(%) 67.4 67.5 64.0 57.6 77.0
非タンパク窒素(%)0.55 0.56 0.53 0.56 0.61
全脂質(%) 3.38 3.42 3.08 2.32 7.87
脂質/タンパク質 0.050 0.051 0.048 0.040 0.102
ラクトース(%) 18.5 18.7 19.9 27.4 27.4
灰分(%) 7.00 7.00 9.50 9.00 9.00
遊離脂肪酸 3.23 2.94 2.99 3.02 2.64
(全脂質中%)
リン脂質 13.35 17.40 15.09 18.90 23.00
(全脂質中%)
中性脂質 83.22 79.86 81.92 78.08 74.36
(全脂質中%)
Chol-エステル 2.92 2.87 3.74 3.48 1.69
(全脂質中%)
WPC-A, SW未加熱;WPC-B, SWを65℃, 1分間加熱;WPC-C, SWにCa 0.2 g/L添加,加熱;WPC-D, SWにCa 0.6 g/L添加,加熱。」(17頁表4)

(7)甲第7号証
本願の出願前に頒布された刊行物である甲第7号証には、以下の記載がある。
(7a)「2. 牛.乳 の 構 造
表2.1 乳脂肪球膜の組成^(2,3))

成 分 含有量
蛋白質 25?60%
全脂質 mg/mg蛋白質 0.5?1.1
リン脂質 mg/mg蛋白質 0.13?0.34
中性脂質 mg/mg蛋白質 0.25?0.88
スフィンゴ糖脂質 mg/mg蛋白質 0.013
ヘキソース mg/mg蛋白質 0.108
ヘキソースアミン mg/mg蛋白質 0.066
シアル酸 mg/mg蛋白質 0.020
DNA mg/mg蛋白質 0.020
脂質の成分組成(%) リン脂質組成(%)
トリグリセリド 62 スフィンゴミエリン 22
ジグリセリド 9 ホスファチジルコリン 36
リン脂質 26?31 ホスファチジルエタノールアミン 27
遊離脂肪酸 0.6?6 ホスファチジルイノシトール 11
ステロールなど1.5?3 ホスファチジルセリン 4
リゾレシチン 2
」(309頁 表2.1)

(7b)「この乳脂肪球膜は脂肪球の重量の2?6%を占め,表2.1に示すように,蛋白質,リン脂質,中性脂質,糖などで構成されている.乳脂肪球膜のリン脂質は,ホスファチジルコリン(レシチン),ホスファチジルエタノールアミン,スフィンゴミエリンの含量が多い.」(309頁下から9?3行)

(8)甲第8号証
本願の出願前に頒布された刊行物である甲第8号証には、以下の事項が示されている。
(8a)
普通牛乳の水分の列には、可食部100g当たり87.4g水分が含まれること、脱脂粉乳の水分の列には、可食部100g当たり3.8g水分が含まれることが示されている。(206頁普通牛乳及び脱脂粉乳の欄の水分の列)

(9)甲第9号証
本願の出願前頒布された刊行物である甲第9号証には、以下の記載がある。
(9a)「缶飲料の自動販売機の加熱商品の温度は55℃程度なので,」(14頁3行)

2 甲号証に記載された発明
(1)甲第1号証に記載された発明
ア 甲第1号証は、コーヒー等の飲料に関し、内容液の安定性を保持しながら、内容液の風味を良好とする技術に関する文献であって、請求項5に対応する実施例8,9,10に係る発明として、[試験2]として、[試験1]に記載されているのと同様に、レトルト殺菌(124℃、20分間)による密閉容器入りコーヒーの製造において水と混合して乳化に用いたものとして、植物油脂としてやし油を使用すること、その乳化剤として使用した乳化剤A,乳化剤B,乳化剤C、及びその他原料Dの配合成分組成として【表3】が示されている。
したがって、水を混合して乳化された組成物として、甲第1号証には、
「水と混合して乳化された、レトルト殺菌(124℃、20分間)による密閉容器入りコーヒー製造用の、植物油脂(やし油)と、乳化剤A(ショ糖脂肪酸エステル:ショ糖パルミチン酸エステル0.08重量%+ショ糖ステアリン酸エステル0.04重量%)と、乳化剤B(有機酸脂肪酸グリセリンエステル:コハク酸グリセリン脂肪酸エステル5.5重量%)と、乳化剤C(ポリグリセリン脂肪酸エステル0.05重量%)と、その他原料D(カゼインNa0.05重量%と、牛乳5重量%)からなる、組成物」に係る発明(以下「甲1-1発明」という。)、
「水と混合して乳化された、レトルト殺菌(124℃、20分間)による密閉容器入りコーヒー製造用の、植物油脂(やし油)と、乳化剤A(ショ糖脂肪酸エステル:ショ糖パルミチン酸エステル0.08重量%+ショ糖ステアリン酸エステル0.04重量%)と、乳化剤B(有機酸脂肪酸グリセリンエステル:コハク酸グリセリン脂肪酸エステル5.5重量%)と、乳化剤C(ポリグリセリン脂肪酸エステル0.05重量%)と、その他原料D(カゼインNa0.05重量%と、牛乳10重量%)からなる、組成物」に係る発明(以下「甲1-2発明」という。)、
「水と混合して乳化された、レトルト殺菌(124℃、20分間)による密閉容器入りコーヒー製造用の、植物油脂(やし油)と、乳化剤A(ショ糖脂肪酸エステル:ショ糖パルミチン酸エステル0.08重量%+ショ糖ステアリン酸エステル0.04重量%)と、乳化剤B(有機酸脂肪酸グリセリンエステル:コハク酸グリセリン脂肪酸エステル5.5重量%)と、乳化剤C(ポリグリセリン脂肪酸エステル0.05重量%)と、その他原料D(カゼインNa0.05重量%と、牛乳5重量%、脱脂粉乳0.65重量%)からなる、組成物」に係る発明(以下「甲1-3発明」という。)が記載されているといえる。

(2)甲第2号証に記載された発明
ア 甲第2号証には、【表1】に水中油型乳化油脂組成物として、発明品14として、ヤシ油4.5、綿実油20.5、ポリグリセリン脂肪酸エステル1、グリセリン脂肪酸エステル1、WPC1、水72からなるものが記載され、【表3】には、その発明品14を用い、コーヒーエキス、牛乳、グラニュー糖、リョートーP-1670(三菱化学フーズ(株)製)、調整した水中油型乳化油脂組成物及び水を混合し、重曹を添加してpHを調整し調合液を得た後、この調合液を60?65℃に加温し、高圧ホモジナイザーにより15MPaの均質化処理を行い、均質化処理調合液を80℃まで昇温し、缶に充填巻き締めし、121℃、30分間レトルト殺菌し、コーヒー飲料を得たことが記載され、実施例14のコーヒー飲料(コーヒーエキス(Bx25)6、牛乳12、グラニュー糖5、リョートーP-1670 0.05、発明品14、重曹0.15、水を100までの成分組成)に発明品14を用いたことが示されている。

したがって、甲第2号証には、
「コーヒーエキス、牛乳、グラニュー糖、リョートーP-1670(三菱化学フーズ(株)製)、調整した水中油型乳化油脂組成物及び水を混合し、重曹を添加してpHを調整し調合液を得た後、この調合液を60?65℃に加温し、高圧ホモジナイザーにより15MPaの均質化処理を行い、均質化処理調合液を80℃まで昇温し、缶に充填巻き締めし、121℃、30分間レトルト殺菌し、コーヒー飲料を得るのに用いる、ヤシ油4.5、綿実油20.5、ポリグリセリン脂肪酸エステル1、グリセリン脂肪酸エステル1、WPC1、水72からなる水中油型乳化油脂組成物」に係る発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。

3 対比・判断
異議申立理由1-1、異議申立理由2-1について(甲第1号証に記載された発明との対比・判断)
(1)本件特許発明1について
ア 甲1-1発明との対比・判断
(ア)対比
本件特許発明1と甲1-1発明とを対比すると、甲1-1発明の「レトルト殺菌(124℃、20分間)による密閉容器入りコーヒー製造用の」は、本件特許発明1の「容器詰め飲料用の」及び「前記容器詰め飲料が、」「殺菌済み容器詰め飲料であり」に相当し、甲1-1発明の「植物油脂(やし油)」、「水と混合された」「植物油脂(やし油)と、・・・からなる、組成物」は、それぞれ、本件特許発明1の「(D)植物油脂」、「(D)植物油脂(E)水・・・を含む」「植物油脂組成物」に相当する。
また、甲1-1発明の組成物は、「乳化」されているのであるから「エマルション」であることは明らかである。

したがって、本件特許発明1は、甲1-1発明と、
「(D)植物油脂(E)水を含む、容器詰め飲料用の植物油脂組成物であって、
前記容器詰め飲料が、殺菌済み容器詰め飲料であり、
前記植物油脂組成物が、エマルションである、
植物油脂組成物。」の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1-1:本件特許発明1においては、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことが特定されているのに対して、甲1-1発明においては、「牛乳」が含まれているものの、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことについて特定のない点。

相違点2-1:殺菌済み容器詰め飲料に関し、本件特許発明1においては、「乳固形分の含有量が3.0重量%未満の常温流通及び加温販売が可能な」と特定されているのに対して、甲1-1発明においては、そのような特定のない点。

相違点3-1:植物油脂組成物がエマルションであることに関し、本件特許発明1においては、「水中油型エマルションであり」と特定されているのに対して、甲1-1発明においては、乳化状態の特定のない点。

相違点4-1:本件特許発明1においては、「植物油脂組成物」「中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、」「([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)」と特定されているのに対して、甲1-1発明においては、そのような成分の含有割合の式の関係の特定のない点。

(イ)判断
事案に鑑み、技術的に関連している相違点1-1及び相違点4-1について、併せて検討する。

a 相違点1-1及び相違点4-1について
(a)甲第1号証においては、甲1-1発明の認定の根拠となった[試験1][試験2]【表3】及び他の記載においても、(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンに関して明記がない。

(b)そして、甲第3号証の摘記(3c)の「牛乳に含まれるリン脂質としてはレシチンおよびケファリンが主なもので,そのほかわずかにスフィンゴミエリンが含まれている.牛乳中のリン脂質の含量は0.08%程度である.」との記載や、甲第4号証の摘記(4a)の「実施例1
脱脂粉乳(リン脂質含有量0.25%)」との記載や、甲第7号証の摘記(7a)の表2.1の「乳脂肪球膜の組成」と題する表のリン脂質組成のスフィンゴミエリン、ホスファチジルコリンホスファチジルエタノールアミンの割合(%)の記載及び「この乳脂肪球膜は脂肪球の重量の2?6%を占め,表2.1に示すように,蛋白質,リン脂質,中性脂質,糖などで構成されている.乳脂肪球膜のリン脂質は,ホスファチジルコリン(レシチン),ホスファチジルエタノールアミン,スフィンゴミエリンの含量が多い.」との記載及びその他の文献の記載を参照しても、甲1-1発明の組成物に含まれている牛乳と甲第3号証や甲第7号証等の牛乳やリン脂質や乳脂肪球膜との関係は不明であり、技術常識であるともいえないのであるから、甲1-1発明に牛乳が入っているとの記載のみから、何ら上記(A)?(C)の成分や、リン脂質や乳脂肪球膜でさえ着目する記載がないにもかかわらず、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことが記載されているに等しいとはいえない。

(c)また、甲第3号証の「牛乳中のリン脂質の含量は0.08%程度である.」との記載や、甲第4号証の摘記(4a)の「実施例1
脱脂粉乳(リン脂質含有量0.25%)」との記載や、甲第7号証の摘記(7a)の表2.1の「乳脂肪球膜の組成」と題する表のリン脂質組成のスフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンの割合(%)の記載は、上述のとおり、甲1-1発明との関係が不明確であるとともに、「程度である」とか(甲第3号証)、単なる一実施例における含有量や(甲第4号証)、表自体の位置づけが不明確な割合の記載である。
したがって、そのような記載に基づいて、甲1-1発明において、成分(D)に相当する植物油脂の含有量が【表7】にコーヒーの組成として、2.5重量%含まれる記載があることを考慮しても、特定されてもいない(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンが含まれることを仮定した場合の植物油脂との組成物中における含有量の関係が本件特許発明1の式(1)を満たすかどうかの計算をすることはできない。

(d)よって、相違点1-1及び相違点4-1は、ともに実質的な相違点である。

(e)また、甲1-1発明は、植物油脂と3種又は4種の乳化剤を含む植物油脂組成物の具体例として、組成に関してその他の原料Dも含めて発明として完結しており、甲第3号証、甲第7号証に、牛乳中のリン脂質や乳脂肪球膜のリン脂質組成の記載があるからといって、その他の証拠(甲第4号証:単なる一実施例における脱脂粉乳中のリン脂質の含有量、甲第5号証:ホエイタンパク質濃縮物(WPC)に関する典型的には、リン脂質1.2?3.2質量%等の組成の証拠、甲第6号証:WPCの化学組成に関する証拠、甲第8号証:普通牛乳及び脱脂粉乳の可食部100gあたりの水分に関する証拠、甲第9号証:缶飲料自動販売機の加熱商品の温度は55℃程度との記載のある証拠)及び甲第1号証に成分(D)に相当する植物油脂の含有量が【表7】にコーヒーの組成として、2.5重量%含まれる記載があることを含めて考慮しても、甲1-1発明において、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンが含まれること」に着目し、組成物中に含有していることを特定したり、特定されてもいない(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンが含まれることを仮定した場合の植物油脂との組成物中における含有量の関係に着目して、本件特許発明1の式(1)を満たすように、成分組成を変更し、特定の数値範囲に設定する動機付けがあるとはいえない。
したがって、甲1-1発明において、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことを特定すること(相違点1-1)、および「植物油脂組成物」「中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、」「([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)」と特定すること(相違点4-1)は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。

b 本件特許発明1の効果について
本件特許発明1は、前記第2の請求項1に特定したように、
「 (A)乳成分由来のホスファチジルコリン
(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン
(C)乳成分由来のスフィンゴミエリン
(D)植物油脂
(E)水
を含む、容器詰め飲料用の植物油脂組成物であって、」
「前記容器詰め飲料が、乳固形分の含有量が3.0重量%未満の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料であ」ること、
「前記植物油脂組成物が、水中油型エマルションであ」ること、
「前記組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、植物油脂組成物。
([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)
(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)」との構成を採用することで、本件明細書【0013】に記載される「ペットボトルや缶等の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料において、カフェやチルド流通で提供されるような濃厚で新鮮なミルク感が味わえる植物油脂組成物及びそれを含有する容器詰め飲料を提供することができる。」という顕著な効果を奏している。

(ウ)甲1-1発明との対比・判断のまとめ
したがって、相違点2-1および相違点3-1について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第1号証記載の発明(甲1-1発明)とはいえないし、本件特許発明1は、甲1-1発明及び甲第3号証?甲第9号証記載の技術的事項から当業者が容易に発明することができるものとはいえない。

イ 本件特許発明1と甲1-2発明又は甲1-3発明との対比について
上記アで対比したのと同様にして、一致点・相違点が認定できる。

(ア)本件特許発明1と甲1-2発明の一致点・相違点
一致点:(D)植物油脂(E)水を含む、容器詰め飲料用の植物油脂組成物であって、
前記容器詰め飲料が、殺菌済み容器詰め飲料であり、
前記植物油脂組成物が、エマルションである、
植物油脂組成物。

相違点1-1’:本件特許発明1においては、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことが特定されているのに対して、甲1-2発明においては、「牛乳」が含まれているものの、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことについて特定のない点。

相違点2-1’:殺菌済み容器詰め飲料に関し、本件特許発明1においては、「乳固形分の含有量が3.0重量%未満の常温流通及び加温販売が可能な」と特定されているのに対して、甲1-2発明においては、そのような特定のない点。

相違点3-1’:植物油脂組成物がエマルションであることに関し、本件特許発明1においては、「水中油型エマルションであり」と特定されているのに対して、甲1-2発明においては、乳化状態の特定のない点。

相違点4-1’:本件特許発明1においては、「植物油脂組成物」「中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、」「([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)」と特定されているのに対して、甲1-2発明においては、そのような成分の含有割合の式の関係の特定のない点。

(イ)本件特許発明1と甲1-3発明の一致点・相違点
一致点:(D)植物油脂(E)水を含む、容器詰め飲料用の植物油脂組成物であって、
前記容器詰め飲料が、殺菌済み容器詰め飲料であり、
前記植物油脂組成物が、エマルションである、
植物油脂組成物。

相違点1-1’’:本件特許発明1においては、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことが特定されているのに対して、甲1-3発明においては、「牛乳」及び「脱脂粉乳」が含まれているものの、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことについて特定のない点。

相違点2-1’’:殺菌済み容器詰め飲料に関し、本件特許発明1においては、「乳固形分の含有量が3.0重量%未満の常温流通及び加温販売が可能な」と特定されているのに対して、甲1-3発明においては、そのような特定のない点。

相違点3-1’’:植物油脂組成物がエマルションであることに関し、本件特許発明1においては、「水中油型エマルションであり」と特定されているのに対して、甲1-3発明においては、乳化状態の特定のない点。

相違点4-1’’:本件特許発明1においては、「植物油脂組成物」「中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、」「([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)」と特定されているのに対して、甲1-3発明においては、そのような成分の含有割合の式の関係の特定のない点。

ウ 本件特許発明1と甲1-2発明又は甲1-3発明との相違点の判断について
(ア)本件特許発明1と甲1-2発明との相違点の判断
上記アで判断したのと同様にして、相違点1-1’及び相違点4-1’は、ともに実質的な相違点であり、かつ当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。

(イ)本件特許発明1と甲1-3発明との相違点の判断
上記アで判断したのと同様にして、相違点1-1’’及び相違点4-1’’は、ともに実質的な相違点であり、かつ当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。

(ウ)甲1-2発明又は甲1-3との対比・判断のまとめ
したがって、相違点2-1’および相違点3-1’について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第1号証記載の発明(甲1-2発明)とはいえないし、本件特許発明1は、甲1-2発明及び甲第3号証?甲第9号証記載の技術的事項から当業者が容易に発明することができるものとはいえない。
また、相違点2-1’’および相違点3-1’’について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第1号証記載の発明(甲1-3発明)とはいえないし、本件特許発明1は、甲1-3発明及び甲第3号証?甲第9号証記載の技術的事項から当業者が容易に発明することができるものとはいえない。

エ 特許異議申立人の主張の検討
特許異議申立人は、甲第1号証の【表3】の実施例8,9,10および【表7】の基づき、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第9号証に示された記載を、甲第1号証には何ら記載されていない計算式の前提となる数値として用い、本件特許発明1の式(1)の計算や乳固形分の含有量の計算をし(甲第9号証については、加温販売が可能であることの証拠として用いている。)、一致点及び相違点を認定し、本件特許発明1が新規性および進歩性を欠如している旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、計算式の前提が不明確であることから、異議申立人の計算結果に基づく甲第1号証に記載された発明の認定、一致点、相違点の認定を採用することはできない。
また、甲第1号証に記載された実施例8,9,10の記載に基づく発明は、【表3】に記載された発明として完結しており、牛乳や脱脂粉乳は、その他成分として記載されているだけで、何ら示唆のない本件特許発明1の成分(A)?(C)を含有することや、ましてやそれらの成分と植物油脂(D)との関係式(1)を特定範囲にする動機付けもない。
よって、上記特許異議申立人の主張は採用できない。

オ 小括
したがって、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明および甲第3?9号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(2)本件特許発明3及び4について
本件特許発明3及び4は、いずれも、本件特許発明1において、さらに技術的限定を加えた発明であって、少なくとも上記(1)で論じたのと同様の相違点を有する(本件特許発明3は、本件特許発明1において、植物油脂がヤシ油であることを、本件特許発明4は、さらに、カゼインナトリウムを含むことが特定されているものの、甲1-1発明、甲1-2発明、甲1-3発明との間で新たな相違点とはならない。)。
したがって、上記(1)で論じたのと同様の理由により、本件特許発明3及び4は、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第3?9号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

(3)異議申立理由1-1、異議申立理由2-1についてのまとめ
以上のとおり、異議申立理由1-1、異議申立理由2-1については理由がない。

異議申立理由1-2、異議申立理由2-2について(甲第2号証に記載された発明との対比・判断)
(1)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「コーヒーエキス、牛乳、グラニュー糖、リョートーP-1670(三菱化学フーズ(株)製)、調整した水中油型乳化油脂組成物及び水を混合し、重曹を添加してpHを調整し調合液を得た後、この調合液を60?65℃に加温し、高圧ホモジナイザーにより15MPaの均質化処理を行い、均質化処理調合液を80℃まで昇温し、缶に充填巻き締めし、121℃、30分間レトルト殺菌し、コーヒー飲料を得るのに用いる」ことは、本件特許発明1の「容器詰め飲料用の」及び「前記容器詰め飲料が、」「殺菌済み容器詰め飲料であ」ることに該当する。
また、甲2発明の「ヤシ油」及び「綿実油」は、本件特許発明1の「(D)植物油脂」に該当し、甲2発明の「ヤシ油4.5、綿実油20.5、ポリグリセリン脂肪酸エステル1、グリセリン脂肪酸エステル1、WPC1、水72からなる水中油型乳化油脂組成物」は、本件特許発明1の「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン
(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン
(C)乳成分由来のスフィンゴミエリン
(D)植物油脂
(E)水
を含む、」「植物油脂組成物であって、」「前記植物油脂組成物が、水中油型エマルションであ」ることと、
「(D)植物油脂(E)水を含む、」「植物油脂組成物であって、」「前記植物油脂組成物が、水中油型エマルションであ」る点で共通している。

したがって、本件特許発明1は、甲2発明と、
「(D)植物油脂(E)水を含む、容器詰め飲料用の植物油脂組成物であって、
前記容器詰め飲料が、殺菌済み容器詰め飲料であり、
前記植物油脂組成物が、水中油型エマルションである、
植物油脂組成物。」の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1-2:本件特許発明1においては、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことが特定されているのに対して、甲2発明においては、「WPC」が含まれているものの、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことについて特定のない点。

相違点2-2:殺菌済み容器詰め飲料に関し、本件特許発明1においては、「乳固形分の含有量が3.0重量%未満の常温流通及び加温販売が可能な」と特定されているのに対して、甲2発明においては、そのような特定のない点。

相違点3-2:本件特許発明1においては、「植物油脂組成物」「中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、」「([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)」と特定されているのに対して、甲2発明においては、そのような成分の含有割合の式の関係の特定のない点。

イ 判断
事案に鑑み、技術的に関連している相違点1-2及び相違点3-2について、併せて検討する。

(ア)相違点1-2及び相違点3-2について
a 甲第2号証においては、甲2発明の認定の根拠となった【表1】【0029】【表3】及び他の記載においても、(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンに関して明記がない。

b そして、甲第3号証の摘記(3c)の「牛乳に含まれるリン脂質としてはレシチンおよびケファリンが主なもので,そのほかわずかにスフィンゴミエリンが含まれている.牛乳中のリン脂質の含量は0.08%程度である.」との記載や、甲第4号証の摘記(4a)の「実施例1
脱脂粉乳(リン脂質含有量0.25%)」との記載や、甲第5号証の摘記(5b)の「なお、WPC・・・は、・・・典型的には、以下の組成を有する。・・・WPC:脂質3?8質量%(リン脂質1.2?3.2質量%)、タンパク質34?88質量%」との記載、甲第6号証の摘記(6a)の表4に示された種々のWPCの化学組成の記載、甲第7号証の摘記(7a)の表2.1の「乳脂肪球膜の組成」と題する表のリン脂質組成のスフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンの割合(%)の記載及び「この乳脂肪球膜は脂肪球の重量の2?6%を占め,表2.1に示すように,蛋白質,リン脂質,中性脂質,糖などで構成されている.乳脂肪球膜のリン脂質は,ホスファチジルコリン(レシチン),ホスファチジルエタノールアミン,スフィンゴミエリンの含量が多い.」との記載及びその他の文献の記載を参照しても、甲2発明の組成物に含まれているWPCと甲第3号証や甲第7号証等の牛乳やリン脂質や乳脂肪球膜との関係は不明であり、技術常識であるともいえないのであるから、甲2発明にWPCが入っているとの記載のみから、何ら上記(A)?(C)の成分や、リン脂質や乳脂肪球膜でさえ着目する記載がないにもかかわらず、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことが記載されているに等しいとはいえない。

c また、甲第3号証の「牛乳中のリン脂質の含量は0.08%程度である.」との記載や、甲第4号証の摘記(4a)の「実施例1
脱脂粉乳(リン脂質含有量0.25%)」との記載や、甲第5号証の摘記(5b)の「典型的には、以下の組成・・・」との記載や、甲第6号証の表に示された種類によって変化しているWPCの組成の記載、甲第7号証の摘記(7a)の表2.1の「乳脂球膜の組成」と題する表のリン脂質組成のスフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンの割合(%)の記載は、上述のとおり、甲2発明との関係が不明確であるとともに、「程度である」とか(甲第3号証)、単なる一実施例における含有量や(甲第4号証)、組成が定まっていない比率や化学組成に関する記載(甲第5,6号証)、表自体の位置づけが不明確な割合の記載である。
したがって、そのような記載に基づいて、甲2発明において、特定されてもいない(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンが含まれることを仮定した場合の植物油脂との組成物中における含有量の関係が本件特許発明1の式(1)を満たすかどうかの計算をすることはできない。

d よって、相違点1-2及び相違点3-2は、ともに実質的な相違点である。

e また、甲2発明は、水中油型乳化油脂組成物を含有する乳含有飲料の水中油型乳化油脂組成物の具体例の発明として完結しており、甲第3号証、甲第7号証に、牛乳中のリン脂質や乳脂肪球膜のリン脂質組成の記載があるからといって、その他の証拠を考慮しても、甲2発明において、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンが含まれること」に着目し、組成物中に含有していることを特定したり、特定されてもいない(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンが含まれることを仮定した場合の植物油脂との組成物中における含有量の関係に着目して、本件特許発明1の式(1)を満たすように、成分組成を変更し、特定の数値範囲に設定する動機付けがあるとはいえない。
したがって、甲2発明において、「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを含む」ことを特定すること(相違点1-2)、および「植物油脂組成物」「中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、」「([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)」と特定すること(相違点3-2)は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。

(イ)本件特許発明1の効果について
本件特許発明1は、前記第2の請求項1に特定したように、
「 (A)乳成分由来のホスファチジルコリン
(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン
(C)乳成分由来のスフィンゴミエリン
(D)植物油脂
(E)水
を含む、容器詰め飲料用の植物油脂組成物であって、」
「前記容器詰め飲料が、乳固形分の含有量が3.0重量%未満の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料であ」ること、
「前記植物油脂組成物が、水中油型エマルションであ」ること、
「前記組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす、植物油脂組成物。
([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)
(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)」との構成を採用することで、本件明細書【0013】に記載される「ペットボトルや缶等の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料において、カフェやチルド流通で提供されるような濃厚で新鮮なミルク感が味わえる植物油脂組成物及びそれを含有する容器詰め飲料を提供することができる。」という顕著な効果を奏している。

(ウ)特許異議申立人の主張の検討
特許異議申立人は、甲第2号証の【表1】の発明品14および【表3】の実施例14の記載に基づき、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第9号証に示された記載を、甲第2号証には何ら記載されていない計算式の前提となる数値として用い、本件特許発明1の式(1)の計算や乳固形分の含有量の計算をし(甲第9号証については、加温販売が可能であることの証拠として用いている。)、一致点及び相違点を認定し、本件特許発明1が新規性および進歩性を欠如している旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、計算式の前提が不明確であることから、異議申立人の計算結果に基づく甲第2号証に記載された発明の認定、一致点、相違点の認定を採用することはできない。
また、甲第2号証に記載された発明品14および実施例14の記載に基づく発明は、【表1】【表3】に記載された発明として完結しており、WPCは、乳化安定のため加えられた成分の一例にすぎず(摘記(2c)【0019】)、何ら示唆のない本件特許発明1の成分(A)?(C)を含有することや、ましてやそれらの成分と植物油脂(D)との関係式(1)を特定範囲にする動機付けもない。
よって、上記特許異議申立人の主張は採用できない。

ウ 甲2発明との対比・判断のまとめ
したがって、相違点2-2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第2号証記載の発明(甲2発明)とはいえないし、本件特許発明1は、甲2発明及び甲第3号証?甲第9号証記載の技術的事項から当業者が容易に発明することができるものとはいえない。

(2)本件特許発明3及び4について
本件特許発明3及び4は、いずれも、本件特許発明1において、さらに技術的限定を加えた発明であって、少なくとも上記(1)で論じたのと同様の相違点を有する(本件特許発明3は、本件特許発明1において、植物油脂がヤシ油であることを、特定しているものの、甲2発明との間で新たな相違点とはならない。本件特許発明4は、さらに、カゼインナトリウムを含むことが特定されており、甲2発明との対比において、さらに相違点4-2(本件特許発明は、さらに、カゼインナトリウムを含むことが特定されているのに対して、甲2発明においては、カゼインナトリウムが含まれていない点。)を有している。
したがって、上記(1)で論じたのと同様の理由により、本件特許発明3及び4は、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第3?9号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

(3)異議申立理由1-2、異議申立理由2-2についてのまとめ
以上のとおり、異議申立理由1-2、異議申立理由2-2については理由がない。

4 異議申立理由1(1-1,1-2)および2(2-1、2-2)の判断のまとめ
以上のとおり、本件特許発明1,3,4は、甲第3号証?甲第9号証の記載を参照しても、甲第1号証記載の発明又は甲第2号証記載の発明とはいえないし、本件特許発明1,3,4は、甲第1号証記載の発明又は甲第2号証記載の発明及び甲第3号証?甲第9号証記載の技術的事項から当業者が容易に発明することができるものとはいえないので、異議申立理由1および2には、理由がない。

異議申立理由3-1、3-2(サポート要件)について
特許異議申立人は、前記第3 3に記載のようにサポート要件について理由を述べている。
1 異議申立理由3-1、3-2の概要
請求項1?5に係る発明について、本件特許発明は、リン脂質を多く含む特別な乳成分原料の使用が特徴で、【0028】?【0033】の記載から、【0032】記載の成分が課題解決手段であるのに本件特許発明において特定されていないので、当業者が課題を解決できると認識できる範囲を超えているから、本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備であり(異議申立理由3-1)、本件特許発明は、「前記容器詰め飲料が、乳固形分の含有量が3.0重量%未満の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料であり」との発明特定事項を有し、【0010】の課題の記載でも、ペットボトルや缶等の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料において、カフェやチルド流通で提供されるような濃厚で新鮮なミルク感が味わえる植物油脂組成物及びそれを含有する容器詰め飲料を提供することを課題としているのにも関わらず、実施例では、殺菌を行っているだけで、甲第1,2,9号証で確認しているように、加温下での販売が可能な保存安定性を有しているか裏付けが一切ないから、当業者が課題を解決できると認識できる範囲を超えており、本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備である。

2 判断
(1)本願発明に関する特許法第36条第6項第1号の判断の前提
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2)本件特許発明の課題
本件特許発明の課題は、【0008】の【背景技術】の記載、【0010】の【発明が解決しようとする課題】の記載及び明細書全体の記載からみて、ペットボトルや缶等の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料において、カフェやチルド流通で提供されるような濃厚で新鮮なミルク感が味わえる植物油脂組成物及び該植物油脂組成物の製造方法を提供することにあるといえる。

(3)特許請求の範囲の記載
請求項1には、「容器詰め飲料用の植物油脂組成物」において、
「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン (C)乳成分由来のスフィンゴミエリン(D)植物油脂(E)水を含む」こと、「容器詰め飲料が、乳固形分の含有量が3.0重量%未満の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料であ」ること、植物油脂組成物が、水中油型エマルションであ」ること、「組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす」「([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)」ことが特定された物の発明は記載されている。
また、請求項2には、請求項1において、「さらに、成分(F)ミリスチン酸エチル及び成分(G)酪酸ブチルのうち少なくとも一方を含む」ことが特定された物の発明が記載されている。
そして、請求項3には、請求項1又は2において、「植物油脂がヤシ油である」ことが特定され、請求項4には、請求項1?3において、「さらに、カゼインナトリウムを含む」ことが特定された物の発明が記載されている。
さらに、請求項5には、「請求項1?4のいずれかに記載の容器詰め飲料用植物油脂組成物の製造方法」として、「成分(D)植物油脂に対して、使用する場合には前記成分(F)ミリスチン酸エチル及び前記成分(G)酪酸ブチルのうち少なくとも一方を溶解し、さらに、前記(A)乳成分由来のホスファチジルコリン、前記(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン、及び前記(C)乳成分由来のスフィンゴミエリンを混合するか、又は前記成分(A)?(C)を含む乳成分原料を混合した後、前記成分(E)水を混合し、乳化させて、水中油型エマルションとすることを含む」ことを特定した方法の発明が記載されている。

(4) 発明の詳細な説明の記載
本件特許明細書には、特許請求の範囲の実質的繰り返し記載を除き、【0008】【0010】の【発明が解決しようとする課題】に関係した記載、【0011】の「乳固形分の含有量が3.0重量%未満」の容器詰め飲料の技術的意義の記載、【0013】の【発明の効果】の記載、【0023】の「水中油型エマルション」の用語の意味とその技術的意義の記載、【0025】?【0027】の「植物油脂」及び「植物油脂組成物」に関する記載(【0027】は植物油脂組成物における植物油脂の含有量の測定に関する記載)、【0028】?【0040】のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリンの技術的意味、それらが含まれる乳成分原料、「乳固形分の含有量が3.0重量%未満であり「乳飲料」の規格に該当せずに、濃厚で新鮮なミルク感を付与する観点では、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、及びスフィンゴミエリンの植物油脂に対する重量基準の含有割合が特定の範囲である場合に、本発明の効果が得られることを見出した。」(【0039】)との式(1)に対応する技術的意義の記載、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、及びスフィンゴミエリンの含有量の測定方法の記載、【0041】?【0043】のミリスチン酸エチル、酪酸ブチルに関する記載、【0044】?【0050】の好ましいカゼインナトリウムを含めて安定剤に関する記載、【0051】?【0052】の植物油脂組成物の製造方法に関する記載、【0053】?【0055】の容器詰め飲料に関する記載(【0054】には、「本発明の容器詰め飲料において使用する容器は、特に限定されず、ペットボトル、缶、アルミパウチ、紙容器、プラスチックカップ、ビン等、シール性を有するものであれば使用できる。
本発明の容器詰め飲料において、飲料を殺菌することが好ましい。殺菌方法は、特に限定されず、UHT殺菌、レトルト殺菌等を採用することができる。殺菌強度は、常温流通において変敗のおそれがない条件で行えばよい。」との記載もある。)がそれぞれある。
さらに、実施例として、[調整例1]では、容器詰め飲料としてコーヒー飲料を製造し、官能評価の結果、「【0067】
・・・乳成分由来のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンとスフィンゴミエリンを、特定の含有割合で植物油脂と組み合わせることにより、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味を付与できることが分かった。
【0068】
また、乳化剤やカゼインナトリウム等の安定剤を配合していない、実施例5の植物油脂組成物を使用した実施例11の容器詰め飲料においても、官能評価の結果は実施例9と同等であった。乳化剤やカゼインナトリウム等の安定剤の添加の有無に関わらず、乳成分由来のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンとスフィンゴミエリンを、特定の含有割合で植物油脂と組み合わせることにより、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味を付与できることが分かった。
【0069】
脱脂濃縮乳の代わりにバターミルクパウダーを配合した、実施例6の植物油脂組成物を使用した実施例12も、官能評価の結果は、実施例9や実施例11と同等であった。乳成分由来のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンとスフィンゴミエリンを、特定の含有割合で植物油脂と組み合わせることにより、他の乳成分原料を使用した場合でも、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味を付与できることが分かった。」との考察結果が示され、[調整例2]では、ミリスチン酸エチル、酪酸ブチルを植物油脂組成物にさらに添加した例が示され、官能評価の結果、「実施例17?18の植物油脂組成物を使用して調製した、実施例23?24の容器詰め飲料において、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味が3.0点以上であることから、ミリスチン酸エチルと植物油脂を特定の含有割合で配合することにより、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味を付与できることが分かった。
・・・
【0079】
実施例19?20の植物油脂組成物を使用して調製した、実施例25?26の容器詰め飲料において、点数がそれぞれ3.0点以上であることから、ミリスチン酸エチルと植物油脂を特定の含有割合で配合することにより、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味を付与できることが分かった。
【0080】
実施例21?22の植物油脂組成物を使用して調製した、実施例27?28の容器詰め飲料において、実施例9よりも官能評価点が高かったことから、乳成分由来のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンとスフィンゴミエリンを、特定の含有割合で植物油脂と組み合わせ、さらにミリスチン酸エチル及び酪酸ブチルの少なくとも一方を含有することにより、より優れた効果を示すことが分かった。」との考察結果が示され、[調整例3]では、紅茶、ほうじ茶、抹茶、ココア、酸味料を加えた酸性飲料を作成し、官能評価結果として、「紅茶、ほうじ茶、抹茶、ココア、酸味料を加えた酸性飲料ともに、濃厚で新鮮な牛乳や生クリームのような風味が3.0点以上であった。このことから、本発明の植物油脂組成物は、コーヒーに限らず、種々の容器詰め飲料に適用できることが分かった。」との考察結果が示されている。

(5)判断
上記(4)のとおり、本件特許発明1の各発明特定事項に対応して、本件特許明細書には、発明特定事項の用語の意味や技術的意義の一般的記載が存在し、各特定事項間に技術的矛盾はなく、各特定事項を満たす場合に本件特許発明の効果を奏した具体的検証結果の記載も存在する(満たさない比較例の結果もある。)のであるから、本件特許発明1の構成によって、当業者であれば上記本件特許発明1の課題を解決できることを認識できるといえる。

また、本件特許発明2?5に関しても、【0017】?【0021】及び【0041】?【0043】の(F)ミリスチン酸エチル及び/又は(G)酪酸ブチルを含む態様及び技術的意義に関する記載、【0075】?【0084】の(F)ミリスチン酸エチル及び/又は(G)酪酸ブチルを含む[調整例2]の実施例の記載、【0025】の植物油脂の種類と好ましい例の記載、実施例で用いられたヤシ油の記載、【0044】のカゼイン酸ナトリウム等の安定剤の記載、実施例で用いられたカゼイン酸ナトリウムの記載、【0051】【0052】の植物油脂組成物の製造方法に関する記載も併せて考慮すれば、本件特許発明1と同様に、本件特許発明2?5の構成によって、当業者であれば上記本件特許発明の課題を解決できることを認識できるといえる。

特許異議申立人は、【0032】記載の成分が課題解決手段であるのに本件特許発明において特定されていないので、当業者が課題を解決できると認識できる範囲を超えている旨の主張をしている。
しかしながら、【0032】の各パラメータの記載は、本件特許発明に使用できる乳成分原料の例示記載にすぎず、本件特許発明の技術的思想である、それらの例示された乳成分原料から組成物に添加された「(A)乳成分由来のホスファチジルコリン(B)乳成分由来のホスファチジルエタノールアミン (C)乳成分由来のスフィンゴミエリン・・・を含む」こと、「組成物中の前記成分の重量基準の含有割合が式(1)を満たす」「([A]+[B]+[C])/[D]=0.0005?0.0157 (1)(式(1)中、[A]?[D]は、それぞれ、前記組成物中における前記成分(A)?(D)の重量基準の含有割合を示す。)」ことが特定され、それらを含めた特定事項によって、本件特許発明の課題が解決できることが当業者に認識できるのであるから、【0032】の記載が特許請求の範囲で特定されていないからといって、課題解決手段が本件特許発明において特定されていないとはいえない。
したがって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

また、特許異議申立人は、本件特許発明は、常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料であり」との発明特定事項や課題の記載でも、ペットボトルや缶等の常温流通及び加温販売が可能な殺菌済み容器詰め飲料を課題としているのにも関わらず、実施例では、殺菌を行っているだけで、甲第1,2,9号証で確認しているように、加温下での販売が可能な保存安定性を有しているか裏付けが一切ないから、当業者が課題を解決できると認識できる範囲を超えている旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、【0054】には、「本発明の容器詰め飲料において使用する容器は、特に限定されず、ペットボトル、缶、アルミパウチ、紙容器、プラスチックカップ、ビン等、シール性を有するものであれば使用できる。
本発明の容器詰め飲料において、飲料を殺菌することが好ましい。殺菌方法は、特に限定されず、UHT殺菌、レトルト殺菌等を採用することができる。殺菌強度は、常温流通において変敗のおそれがない条件で行えばよい。」との記載があり、実施例でもUHT殺菌を行って容器詰め飲料を作成した結果があるのであるから、当業者であれば、加温下での販売が可能な保存安定性を有していることを技術常識から理解できるといえる。
したがって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

3 異議申立理由3の判断のまとめ
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載について、請求項1?5に係る発明は、発明の詳細な説明の記載に記載されているといえるので、異議申立理由3には、理由がない。

第5 むすび
したがって、請求項1?5に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2021-07-30 
出願番号 特願2020-2351(P2020-2351)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (A23D)
P 1 651・ 113- Y (A23D)
P 1 651・ 121- Y (A23D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 澤田 浩平  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 冨永 みどり
瀬良 聡機
登録日 2020-10-27 
登録番号 特許第6784857号(P6784857)
権利者 ザ コカ・コーラ カンパニー
発明の名称 植物油脂組成物及びそれを含有する容器詰め飲料  
代理人 特許業務法人平和国際特許事務所  
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