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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て成立) G02F
管理番号 1376792
判定請求番号 判定2020-600025  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 判定 
判定請求日 2020-09-08 
確定日 2021-08-02 
事件の表示 上記当事者間の特許第4329828号発明「液晶表示装置」の判定請求事件(判定2020-600023号事件、判定2020-600024号事件及び判定2020-600025号事件(以下、それぞれ、「23事件」、「24事件」及び「25事件」という。))について、審理の併合の上、次のとおり判定する。 
結論 判定2020-600023号判定請求事件(23事件) イ号物件説明書に示す液晶ディスプレイは、特許第4329828号の特許請求の範囲の請求項1に記載された特許発明の技術的範囲に属する。判定2020-600024号判定請求事件(24事件) イ号物件説明書に示す液晶ディスプレイは、特許第4329828号の特許請求の範囲の請求項1に記載された特許発明の技術的範囲に属する。判定2020-600025号判定請求事件(25事件) イ号物件説明書に示す液晶ディスプレイは、特許第4329828号の特許請求の範囲の請求項1に記載された特許発明の技術的範囲に属する。 
理由 第1 請求の趣旨
23事件、24事件及び25事件の判定の請求の趣旨は、いずれも結論同旨である。

第2 本件特許及び23事件?25事件に係る手続の経緯等
本件特許及び23事件?25事件に係る手続の経緯等は以下のとおりである。
平成19年 2月26日 本件特許に係る出願(特願2007-45969)
平成21年 6月26日 特許登録(特許第4329828号)
令和 2年 9月 8日 判定請求(23事件?25事件)
令和 3年 1月19日 答弁書(23事件?25事件)

第3 本件発明
本件特許の請求項1に記載された発明(以下「本件発明」という。)は、本件特許に係る願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その内容は次のとおりである。なお、構成要件の分説は、23事件?25事件の判定請求書にならった。
A 絶縁層を介して形成された上部電極と下部電極を有し、前記上部電極に電界を通す電界開口部を形成し、前記上部電極と前記下部電極との間に電圧を印加して液晶分子を駆動する液晶表示装置であって、
B 前記下部電極の下部に層間絶縁膜を介して上部電極用配線が形成され、
C 前記下部電極に前記上部電極と前記上部電極用配線を接続するための下部電極開口部が設けられ、
D 前記下部電極開口部付近における前記電界開口部の長手方向の片側端部が、前記下部電極開口部と平面配置的に重なって配置されている
E ことを特徴とする液晶表示装置。

第4 23事件についての当審の判断
1 イ号物件について
(1)23事件の判定請求に係るイ号物件
型式番号TL061FVMF01-00C。

(2)イ号物件の構成
甲第2号証(調査報告書(特許第4329828号/TL061FVMF01-00C)、令和2年8月26日、弁護士 高橋雄一郎作成)(以下、証拠は、「第」及び「号証」を略して表記する。)によれば、イ号物件の構成について次の事実が認められる。なお、以下、断りがない限り、頁番号や図面番号は甲2のものを示し、色彩は甲2に基づいて特定する。
ア イ号物件は、「液晶ディスプレイ」である(4頁?5頁)。

イ(ア)図8は、イ号物件のTFTアレイ基板とされる基板(以下「本件基板」という。)の光学顕微鏡写真である。図8の各写真のうち、上段の左側にある写真(以下「図8上段左写真」という。以下、他の写真も同様に、図面番号にその写真が配置された位置を後置して表記する。)が本件基板の表面を撮影したものであり、その一部の領域を順次拡大して撮影した写真が、同下段左写真、同上段右写真及び同下段右写真である。

また、図16は、同左写真が本件基板を表面側から撮影した写真であり、同右写真が同じ領域を裏面側から撮影した写真である。

図8上段右写真によれば、イ号物件には、複数本の概ね縦方向に延びた線状構造(以下、概ね縦方向に延びた線状構造を「縦線状構造」という。)と複数本の概ね横方向に延びた線状構造(以下、概ね横方向に延びた線状構造を「横線状構造」という。)とが配されており、隣り合った縦線状構造と隣り合った横線状構造とによって略平行四辺形の領域が形成されていることが分かる(以下、液晶表示装置の表示面を正面からみるときの観測者の視点を「平面視」という。)。また、図16左写真と同右写真からみて、縦線状構造及び横線状構造の裏側に、それらに重なるように配された線状構造が存在することも分かる。
さらに、図8上段右写真の一部の領域の拡大写真である図8下段右写真によれば、縦線状構造と横線状構造の交点付近に、縦線状構造付近を一方の端部とするとともに横線状構造付近を他方の端部とする黄色のL字状(アルファベットの「L」を反時計回りに90°回転させた形状である。)の構造が配されているとともに、当該他方の端部付近に小さいサイズの構造(以下「小サイズ構造」という。)が配されていることが分かり、小サイズ構造は、図8上段右写真によれば、1の略平行四辺形の領域内において平面視下方に1つのみ配されていることが分かる。

(イ)ところで、液晶表示装置においては、複数行のゲート信号線と複数列の映像信号線とが配されること、隣り合ったゲート信号線と隣り合った映像信号線とで囲まれた各領域(以下「画素領域」という。)には、それぞれ画素電極があること、ゲート信号線及び映像信号線にそれぞれ接続される電極を有するTFTがそれらの信号線の交点付近に配されること、画素電極はゲート信号線を通るゲート信号によって駆動されるTFTを介して映像信号線と接続されること、がいずれも技術常識である。
そうすると、図8上段右写真及び同下段右写真においては、縦線状構造又はその裏側にある線状構造のいずれかが映像信号線、横線状構造又はその裏側にある線状構造のいずれかがゲート信号線、黄色のL字状構造がTFT、をそれぞれ意味しており、また、イ号物件は、隣り合った映像信号線と隣り合ったゲート信号線とによって区画された略平行四辺形からなる画素領域に、画素電極を備えると推認できる。
小サイズ構造については、当該構造が、TFTの両端部のうち、映像信号線の側の端部ではなく、映像信号線から離れた側の端部に近接していること、1個の画素領域の中に1個のみ存在すること、からみて、TFTと当該画素領域内の画素電極とを接続するための構造(以下「TFT画素電極接続構造」という。)であると推認できる。そして、TFT画素電極接続構造は、各画素領域内において、平面視下方に存在する。

(ウ)小括
以上によれば、イ号物件は、概ね縦方向に延びた複数本の映像信号線と概ね横方向に延びた複数のゲート信号線とをそれぞれ備えるとともに、それらの信号線で囲われた略平行四辺形の各領域からなる各画素領域にそれぞれ画素電極を備えている。そして、画素電極は、映像信号線から、TFT及びTFT画素電極接続構造をこの順に介して接続されている。

ウ(ア)図9は、図8下段右写真に関連する写真である。図9左写真は、図8下段右写真と実質的に同じものであり、図9中央写真は、図9左写真に対応するSEM像を表しており、図9右写真は、図9左写真及び図9中央写真に表されたa-a’切断部分を斜視したSEM像を表している。

図9中央写真(SEM写真)によれば、イ号物件には、SEM写真上の構造として、丸状の構造(以下「丸状構造」といい、その色が、中心から径が大きくなるにしたがって、順次、黒、わずかに明るい黒、白になっている。)と、丸状構造に接したやや明るい灰色の構造(以下「上方明灰色構造」という。)とが配されており、上方明灰色構造は、丸状構造に接してその近傍にある部分(以下「近傍部分」という。)と、近傍部分の平面視上方に結合して平面視でやや左に傾斜して上方に延びる2本の平行な線状部分(以下「上方線状部分」という。)とからなることが分かる。
また、丸状構造の平面視下方に、当該丸状構造から少し離れて、明灰色構造の色と同一の色をもつ構造(以下「下方明灰色構造」という。)が配されており、下方明灰色構造は、左右方向に延びる短い長さの線状部分と当該線状部分の一端及び他端付近を起点として平面視でやや左に傾斜して下方に延びる2本の平行な線状部分(以下「下方線状部分」という。)とからなることが分かる。
そして、上方線状部分の延びる方向と下方線状部分の延びる方向とがなす角度(以下、単に「上方明灰色構造と下方明灰色構造とがなす角度」などという。)は、180°よりもやや小さく、また、上方線状部分の各線の太さ及び間隔は、下方線状部分のそれらと同一であることが分かる。
しかし、上方明灰色構造及び下方明灰色構造は、それぞれ、同写真の上端及び下端で切れてしまっているため、同写真からは、上方明灰色構造及び下方明灰色構造の全体形状を見て取ることができない。

(イ)丸状構造について
a 上記(ア)を踏まえ、まず、丸状構造について検討する。
丸状構造が表れている図9中央写真と同左写真(上記イ(ア)のとおり、小サイズ構造が表れている。)とを対比すると、丸状構造は小サイズ構造(TFT画素電極接続構造)と同じ位置にあることが分かる。

b 上記aによれば、丸状構造は、小サイズ構造と同様に、TFT画素電極接続構造であるとみるのが相当である。

(ウ)上方明灰色構造及び下方明灰色構造について
次に、上方明灰色構造及び下方明灰色構造について検討する。
a 上方明灰色構造の断面構造について
(a)図10は、図9左写真及び同中央写真の双方に表されたa-a’切断部分(以下、当該切断部分の断面を「第1aa’断面」という。)に係る写真である。図10上段写真は、第1aa’断面におけるSEM像を表しており、図10下段左写真、同中央写真及び同右写真は、それぞれ、図10上段写真に表された第1aa’断面の一部の領域に対応する破線で囲まれた領域(図10上段写真において「b」と称された領域)におけるIn分布、O分布及びSi分布を表している。

図10上段写真及び図9右写真によれば、上方明灰色構造は、第1aa’断面において、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、極めて薄い厚さの領域として存在していることが分かる。そして、図10下段左写真及び同下段中央写真によれば、上方明灰色構造は、第1aa’断面の一部の領域において、InとOを含むことが分かる。

(b)このように、上方明灰色構造は、第1aa’断面の一部の領域において、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、InとOを少なくとも含む極めて薄い厚さの領域として存在している。

b 上方明灰色構造及び下方明灰色構造の平面視での全体形状について
(a)上記(ア)で説示したとおり、図9中央写真(SEM写真)における上方明灰色構造及び下方明灰色構造は、平面視での全体形状を見て取ることができない。
そこで検討すると、まず、図8下段左写真によれば、イ号物件では、縦方向に隣り合った画素領域は、それらの形状が互いに左右反転しており、それらの長手方向同士がなす角度が180°よりもやや小さいことが分かる。そして、当該長手方向同士がなす角度は、当該図8下段左写真と図9中央写真とを対比すると、上記(ア)で認定した上方明灰色構造と下方明灰色構造とがなす角度に、よく一致することが分かる。

(b)上記(a)に、丸状構造(TFT画素電極接続構造)は、画素領域内において、平面視下方に存在し(上記イ(イ))、上方明灰色構造は、丸状構造に接しつつ平面視で概ね上方に延びている(上記(ア))ことを併せ考慮すると、上方明灰色構造と、当該構造の平面視下方にある下方明灰色構造とは、縦方向に隣り合った2つの画素領域に、それぞれ属するとみるのが相当である。
このことに、上方明灰色構造の色と下方明灰色構造の色が同一であるとともに、上方線状部分の各線の太さ及び間隔が下方線状部分のそれらと同一であること(上記(ア))、画素領域内の構造の形状は各画素領域において一定の共通性があると考えられること、他方で、縦方向に隣り合った画素領域はそれらの形状が互いに左右反転していること(上記(a))、を併せ考慮すると、上方明灰色構造と下方明灰色構造は、属する画素領域が異なっていることを措けば、同じ構造に由来するものであって、そのため、上方明灰色構造の平面視での全体形状は、上方線状部分よりも平面視上方において、下方明灰色構造が左右反転して連結した形状(以下、この全体形状の構造を「第1形状構造」という。)となっており、下方明灰色構造の平面視での全体形状は、下方線状部分よりも平面視下方において、上方明灰色構造が左右反転して連結した形状(以下、この全体形状の構造を「第2形状構造」という。)となっていると推認できる。
そうすると、イ号物件では、縦方向に隣り合った2つの画素領域が、それぞれ第1形状構造と第2形状構造を備えていることになり、第1形状構造と第2形状構造(以下、これらの構造を総称して、「明灰色構造」という。)とは、左右反転した形状の関係にある。そして、明灰色構造の平面視での全体形状は、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形状(各辺で囲まれた領域は一つの開口を形成している。)からなる部分と、丸状構造に接してその近傍にある部分(上記一組の短辺のうちの一方を含んでいる。)とからなるといえる。

(c)以上によれば、イ号物件では、各明灰色構造は各画素領域にそれぞれ属しており、明灰色構造の平面視での全体形状は、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形状(各辺で囲まれた領域は一つの開口を形成している。)からなる部分と、丸状構造に接してその近傍にある部分(上記一組の短辺のうちの一方を含んでいる。)とからなる。また、明灰色構造の平面視での全体形状は、縦方向に隣り合った画素領域において、互いに左右反転した形状である。

c 明灰色構造の材料及び機能等について
(a)図11は、イ号物件のSIMS分析結果に関する写真である。図11左写真及び同右写真は、それぞれ、In及びSnの2次元マッピングを表している。

図11左写真によれば、イ号物件には、SIMS分析結果上の構造として、概ね金色の丸状の構造(以下「金色丸状構造」という。)が配されていること、各金色丸状構造付近を端部として平面視でやや右に傾斜して上方に延びるInの量が大きい値で一定となっている領域(以下「In大量一定領域」という。)が配されていること、In大量一定領域同士は互いに接していないこと、各金色丸状構造の近傍に存在し、当該金色丸状構造に接するとともにIn大量一定領域の端部にも接した、Inの量が少ない領域(以下「近傍In少量領域」という。)と、Inが存在しない領域(以下「In不存在領域」という。)とが配されていること、In大量一定領域の周辺を含む広い範囲(近傍In少量領域を除く。)においてInの量が少ない値で一定になっている領域(以下「In少量一定領域」という。In少量一定領域は、近傍In少量領域を含まない。)が配されていることが分かる。
図9中央写真と図11左写真とを対比すると、上記b(c)で認定した明灰色構造の平面視での全体形状とIn大量一定領域の形状とが、左右反転した形状も考慮すると、丸状構造の近傍を除いてよく一致することが分かり、また、金色丸状構造がIn大量一定領域に対して存在する位置が、丸状構造が明灰色構造(丸状構造の近傍を除いたもの)に対して存在する位置とよく一致することも分かる。そして、図11右写真から分かるSnの分布の大小は、同左写真のInの分布の大小に、概ね対応していることがうかがわれる。

(b)しかるに、明灰色構造は、上記aで認定したとおり、第1aa’断面の一部の領域において、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、InとOを含む極めて薄い厚さの領域として存在しているとともに、上記(ア)で認定したとおり、各丸状構造(TFT画素電極接続構造)にそれぞれ接して配されている。さらに、上記bで認定したとおり、各明灰色構造は、各画素領域に属しているから、各画素領域ごとに独立して存在していることになる。そして、液晶表示装置の技術分野においては、液晶駆動用の電極として膜状のITO(インジウム・スズ・オキサイド)が使用されること、そのための電極には画素電極と共通電極があること、画素電極は各画素領域で独立したものであり、共通電極は各画素領域にわたって共通したものであること、が技術常識である。
そうすると、図9中央写真における明灰色構造は、膜状のITOからなる画素電極であると推認できる。In大量一定領域は、明灰色構造(画素電極)に対応し、金色丸状構造は、丸状構造と同様に、TFT画素電極接続構造とみるのが相当である。そして、近傍In少量領域は、In大量一定領域に接するとともにTFT画素電極接続構造にも接していることから、後記エ(ウ)でも説示するとおり、明灰色構造(画素電極)に対応するというのが相当であって、このことは、In大量一定領域と近傍In少量領域とを併せた領域の形状と明灰色構造の平面視での全体形状との間に類似性があり、差異があるとはいえないことからも首肯できる。
また、画素電極は、TFTとの接続部付近を除いて平坦な構造となっていることが一般的であるから、イ号物件の画素電極は、TFT画素電極接続構造付近を除き、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、存在していると推認できる。
なお、明灰色構造(画素電極)におけるInの量は、In大量一定領域に属する部分と近傍In少量領域に属する部分との間で同じではないことになるが、それは見かけのものであって、後記エ(ウ)のとおり、In大量一定領域においては画素電極と共通電極との2層が存在することが反映されたものである。

(c)このように、丸状構造及び明灰色構造は、それぞれ、TFT画素電極接続構造及び画素電極であり、画素電極は、膜状のITOから構成されている。
画素電極は、TFT画素電極接続構造付近を除き、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、存在している。

(エ)小括
以上のとおり、図9中央写真(SEM写真)に表れている丸状構造及び明灰色構造は、それぞれ、TFT画素電極接続構造及び画素電極である。
画素電極は、膜状のITOから構成されており、平面視で、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形状からなる部分(各辺で囲まれた領域は一つの開口を形成しており、以下「画素電極開口部」という。)と、TFT画素電極接続構造に接してその近傍にある部分(上記一組の短辺のうちの一方を含んでいる。)とからなっている。
画素電極は、TFT画素電極接続構造付近を除き、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、存在している。
画素電極は、その一方の短辺付近において、TFT画素電極接続構造(小サイズ構造、丸状構造)と接続されており、当該構造を介して映像信号線に接続されている。

エ(ア)上記ウ(エ)のとおり、明灰色構造は画素電極であるから、次に、共通電極について検討する。

(イ)a まず、図10上段写真によれば、第1aa’断面において、画素電極(本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って存在している。)よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極と平行に延在する極めて薄い厚さの領域(以下「画素電極下側延在領域」という。)が存在することが分かる。そして、図10下段左写真及び同下段右写真によれば、画素電極下側延在領域の一部の領域には、InとOが少なくとも含まれていることが分かる。

b 次に、上記ウ(ウ)c(a)で認定したとおり、図11左写真には、In大量一定領域の周囲を含む広い範囲にわたるIn少量一定領域と金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)の近傍にあるIn不存在領域とが表れており、また、図11右写真から分かるSnの分布の大小は、同左写真のInの分布の大小に、概ね対応していることがうかがわれる。
そして、図11左写真によれば、In少量一定領域は、画素領域間で分断されていないことが分かる。

(ウ)このように、第1aa’断面の一部の領域においては、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、InとOを少なくとも含む画素電極下側延在領域が存在しており、他方、平面視では、画素電極の一部に該当するがInの量が多くなっているIn大量一定領域と、当該画素電極の周辺にある画素領域間で分断されないIn少量一定領域(その領域の形状に概ね整合して、Snの量も少なくなっている。)とが存在し、さらに、TFT画素電極接続構造の近傍にIn不存在領域が存在する。
そして、上記ウ(ウ)c(b)で認定したとおり、液晶表示装置の技術分野においては、液晶駆動用の電極として膜状のITO(インジウム・スズ・オキサイド)が使用されること、共通電極は各画素領域にわたって共通したものであること、が技術常識であり、これらに加えて、画素電極と共通電極とが短絡していないこと、同一基板内に画素電極と共通電極の双方が備わった構造が存在することも、技術常識である。
そうすると、第1aa’断面の一部の領域における画素電極下側延在領域は、共通電極に対応するものであって、当該共通電極は、平面視で、図11左写真のIn少量一定領域とIn大量一定領域とを合わせた形状(画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように、延在していることになる。)であると推認できる。すなわち、In大量一定領域は、画素電極の一部に該当する領域である(上記ウ(ウ)c(b))が、Inが大量になっている理由は、その真下に共通電極も存在することにあると理解できる。In少量一定領域においてInが少量になっている理由は、画素電極が存在せず、共通電極のみが存在することにあると理解できる。近傍In少量領域は、画素電極の一部に該当する領域である(上記ウ(ウ)c(b))が、金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)に接しているから、共通電極であってはならないと理解でき、その領域でInが少量になっていることは、画素電極のみが存在し、共通電極が存在しないことを意味する。In不存在領域は、画素電極も共通電極も存在しない領域である。
また、共通電極は、共通配線等との接続部付近を除いて平坦な構造となっていることが一般的であるから、イ号物件の共通電極は、当該接続部付近を除き、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、表面に沿って、存在していると推認できる。
さらに、金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)の周囲に共通電極が存在しない開口(以下「共通電極開口部」という。)が存在していると推認できる。すなわち、上記のとおり、画素電極の深さ方向下側に共通電極が存在する場合において、画素電極を、金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)に接するようにしつつ、共通電極に接しないようにするためには、TFT画素電極接続構造の周囲において共通電極が存在してはならない(換言すれば、共通電極に開口部が存在しなければならない。)ことが明らかであるし、また、このような共通電極開口部が存在することは、図11左写真において、In不存在領域及び近傍In少量領域の両者(上記のとおり、共通電極が存在しないといえる。)を併せた領域と金色丸状構造との配置関係からみても、首肯できる。

(エ)小括
以上のとおり、イ号物件では、共通電極は、膜状のITOから構成されており、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように延在している。また、共通電極には、TFT画素電極接続構造の周囲に共通電極開口部が存在している。

オ(ア)図13は、図10と同様に、a-a’切断部分に係る写真である。図13上段写真は、図10上段写真と同じく、第1aa’断面におけるSEM像を表しており、図13下段左写真、同下段中央写真及び同下段右写真は、それぞれ、図13上段写真に表された第1aa’断面の一部の領域に対応する破線で囲まれた領域(図13上段写真において「b」と称された領域)におけるIn分布、N分布及びSi分布を表している。

図13下段左写真は、図10下段左写真と同じものであって、画素電極とその深さ方向わずかに下側に存在する共通電極とに含まれるInを表していることになる。

(イ)そして、液晶表示装置の技術分野において、同一基板内に設けられた画素電極と共通電極との間に絶縁層が存在することは技術常識である。
そうすると、イ号物件では、画素電極と共通電極との間には、絶縁層が存在すると推認でき、このことは、図13下段中央写真及び同下段右写真からうかがわれるSiとNが存在する位置に反するものではない。

カ(ア)図14は、その上段左写真が図8下段右写真(及び図9左写真)と実質的に同じものであって、他の写真は当該上段左写真に関連する写真である。図14上段右写真は、図9中央写真と実質的に同じものであり、図14下段写真は、同上段左写真に表されたa-a’切断部分の断面(以下「第2aa’断面」という。)におけるSEM像を表している。


(イ)図15は、その上段写真が図14下段写真と実質的に同じものであって、下段の各写真は当該上段写真に関連する写真である。図15下段各写真は左から順に、同上段写真に表された第2aa’断面の一部の領域に対応する破線で囲まれた領域(図15上段写真において「b」と称された領域)におけるC分布、N分布、Si分布及びAl分布を表している(図15下段各写真を、左から順に、以下、「分析(5)第1写真」、「分析(5)第2写真」、「分析(5)第3写真」及び「分析(5)第4写真」という。)。


(ウ)図14下段写真によれば、第2aa’断面において、小サイズ構造(TFT画素電極接続構造、丸状構造)は、穴状であることが分かる。また、図14上段左写真及び同上段右写真から把握される第2aa’断面の位置を念頭に置きつつ、上記ウ及びエで認定した画素電極並びに共通電極の形状及び配置を踏まえて図14下段写真をみれば、第2aa’断面において、小サイズ構造(TFT画素電極接続構造、丸状構造)を含む所定の範囲(左右方向にわたる範囲)には共通電極が存在せず、当該所定の範囲以外には共通電極が存在することが分かる。
そして、分析(5)第4写真によれば、第2aa’断面の一部の領域において、TFT画素電極接続構造には、その底部にAlを含む薄い厚さの領域(以下「Al薄領域」という。)が存在することが分かる。さらに、図14下段写真を併せみれば、第2aa’断面において、画素電極は、TFT画素電極接続構造の穴状構造の側面に沿って底部に向けて延在し、Al薄領域に接することが分かる。また、図15上段写真(図14下段写真と同じである。)と分析(5)第1写真?同第3写真によれば、第2aa’断面の一部の領域において、共通電極から、その深さ方向下側にあるAl薄領域に至るまでの所定の厚さの領域に、C、Si及びNが存在することが分かるが、これらの元素は、直ちに導電性があるとはいえないものである。

(エ)そして、液晶表示装置の技術分野において、TFTと画素電極とを接続するために穴状構造(コンタクトホール)を採用すること、TFTと画素電極とを接続するための配線層を設けること、導通を防止する箇所を絶縁部材で形成すること、がいずれも技術常識である。
そうすると、第2aa’断面において穴状となっているTFT画素電極接続構造は、TFTと画素電極とを接続するためのコンタクトホールであると推認できる。第2aa’断面の一部の領域においてTFT画素電極接続構造の底部にあるAl薄領域は、TFTと画素電極とを接続するための配線層(以下「Al配線層」という。)であると推認でき、Al配線層が存在する位置はコンタクトホールの底部であると推認できる。
共通電極からその深さ方向下側にあるAl配線層に至るまでの所定の厚さの領域は絶縁層であると推認できる。
共通電極開口部は、TFT画素電極接続構造の周囲に存在する(上記エ(エ))ことから、コンタクトホールを取り囲むように形成されるものであり、このことから、図14下段写真(図15上段写真も同じである。)から分かる共通電極が存在しない所定の範囲(左右方向にわたる範囲)は、共通電極開口部を表していると推認できる。
画素電極とAl配線層とは、共通電極開口部及びコンタクトホールを介して接続されていると推認できる。

(オ)小括
以上のとおり、イ号物件では、共通電極がコンタクトホール(TFT画素電極接続構造)の周囲に共通電極開口部を有し、画素電極は、共通電極開口部及びコンタクトホールを介してその底部に存在するTFTと画素電極を接続するための配線層(Al配線層)に接続し、共通電極から、その深さ方向下側にある上記配線層(Al配線層)に至るまでは、絶縁層となっている。

キ(ア)図17は、その左写真が図9中央写真及び図14上段右写真と実質的に同じものであって、他の各写真は当該左写真に関連する写真である。図17左写真の一部拡大図が同上段右写真であり、同左写真のa-a’切断部分の断面(以下「第3aa’断面」という。)におけるSEM像が同下段右写真である。

a 図17左写真からは、丸状構造(TFT画素電極接続構造、コンタクトホール)の近傍に当該構造に接した画素電極の部分が存在し、さらに丸状構造の周囲に、角が取れた略四角形が存在することが分かる。そして、図17左写真から把握される第3aa’断面の位置を念頭に置きつつ、上記ウ及びエで認定した画素電極並びに共通電極の形状及び配置を踏まえて図17下段右写真をみれば、第3aa’断面に共通電極開口部があることが分かり、当該共通電極開口部の境界の位置と略四角形の外郭の位置とが概ね一致することが分かる。
また、図17左写真と図11左写真とを対比すると、略四角形の形状は、図11左写真から分かる共通電極開口部(上記エ(ウ)のとおり、In不存在領域と近傍In少量領域を併せた領域である。)の形状の一つと概ね同一であることが分かる。

b 図17左写真及び同上段右写真によれば、画素電極開口部は、その長手方向の一端が円弧状に形成されていることが分かる。そして、当該円弧状の部分の一部は、略四角形と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心とから観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度であることが分かる。

c 図11左写真によれば、共通電極開口部(In不存在領域と近傍In少量領域を併せた領域)には、金色丸状構造を1個のみ含むものと、隣り合う2個を含むものとが存在していることが分かる。
他方で、同写真によれば、共通電極開口部と画素電極開口部(概ね、In大量一定領域と金色丸状構造とで囲まれた領域)との平面視での重なりの程度は、画素領域ごとに特段の差異がないことがうかがわれる。

(イ)上記(ア)aの認定に、共通電極開口部の境界において、共通電極の有無の差に由来してSEM像に影響があると考えられることを併せ考慮すると、略四角形は、共通電極開口部の外郭形状を反映したものであると推認できる。また、上記イ(ア)のとおり、丸状構造(コンタクトホール)は、1個の画素領域の中に1個のみ存在することから、その周囲にある共通電極開口部(上記カ(オ))も、1個の画素領域の中に1個のみ存在し、画素電極開口部は、このような共通電極開口部付近にあるといえる。
よって、画素電極開口部がその長手方向の一端において平面視で重なっているものは共通電極開口部であり(重なりの程度は上記(ア)bのとおりである。)、そのような画素電極開口部は、共通電極開口部付近にあることになる。
そして、このような画素電極開口部と共通電極開口部との平面視での重なりは、上記(ア)cを踏まえると、共通電極開口部の形状に異なるものがあるとしても、各画素領域において共通していると推認できる。

(ウ)小括
以上によれば、イ号物件では、共通電極開口部付近における画素電極開口部は、その長手方向の一端の形状が円弧状であり、当該円弧状の部分の一部は共通電極開口部と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心とから観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度である。

ク 液晶表示装置の技術分野においては、画素電極と共通電極との間に電圧が印加されて液晶分子が駆動されることが技術常識である。よって、イ号物件は、画素電極と共通電極との間に電圧が印加されて液晶分子が駆動されるものと推認できる。
また、上記ウ(エ)及びエ(エ)で認定したとおり、イ号物件では、画素電極は画素電極開口部を備えており、共通電極は、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように延在しているところ、液晶表示装置の技術分野においては、画素電極と共通電極との間に電圧を印加すると、両者の間に電界が形成されることが技術常識である。そうすると、イ号物件は、画素電極と共通電極との間に電圧が印加された場合、画素電極と共通電極との間に、画素電極開口部を介して電界が形成されると推認できる。

ケ イ号物件の構成についての小括
以上によれば、イ号物件は、次のとおりの構成(以下「23事件当審認定構成」という。)を備えると認められる(以下、分説は当審が行った。)。
a 画素電極であって、膜状のITOから構成されており、平面視で、その形状が一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形状であり、各辺で囲まれた領域は一つの画素電極開口部を形成する、画素電極と、(上記ウ(エ))
共通電極であって、膜状のITOから構成されており、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように延在する、共通電極と、(上記エ(エ))
画素電極と共通電極との間に存在する絶縁層と、(上記オ(イ))
を含み、
画素電極と共通電極との間に電圧が印加されて液晶分子が駆動され、画素電極と共通電極との間に電圧が印加された場合、画素電極と共通電極との間に、画素電極開口部を介して電界が形成される液晶ディスプレイであって、(上記ク)
b 共通電極から、その深さ方向下側にあるTFTと画素電極とを接続するためのAlを含む配線層に至るまでは、絶縁層となっており、(上記カ(オ))
c 共通電極が、TFTと画素電極とを接続するためのコンタクトホールの周囲に共通電極開口部を有し、画素電極は、共通電極開口部及びコンタクトホールを介して、その底部に存在するTFTと画素電極を接続するためのAlを含む配線層に接続し、(上記カ(オ))
d 画素電極開口部は、その長手方向の一端の形状が円弧状であり、当該円弧状の部分の一部は共通電極開口部と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心から観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度である、(上記キ(ウ))
e 液晶ディスプレイ。

2 充足性の有無
(1)本件発明の技術的意義
ア 本件特許の明細書及び図面(以下「本件明細書等」という。)には、次の記載がある。
(ア)「【技術分野】」、
「本発明は、液晶表示装置に係り、特に、絶縁層を介して形成された上部電極と下部電極を有し、前記上部電極に電界を通す電界開口部を形成し、前記下部電極との間に電圧を印加して液晶分子を駆動する液晶表示装置に関する。」(【0001】)

(イ)「【発明が解決しようとする課題】」、
「このように、ディスクリネーションが発生すると、その部分で透過率が低下する。一般的には、ディスクリネーションが発生すると、画質が低下したと評価されることがある。上記のように、ディスクリネーションは、上部電極の開口部の長手方向端部が、エッチング等の工程能力のために円弧状形状となり、開口部を通る下部電極と上部電極との間の電界がこの円弧状形状のパターンに沿って形成されることに起因する。したがって、ディスクリネーションの発生を抑制するには、上部電極における開口部の形状、配置等を下部電極との関係で検討することが必要である。」(【0010】)、
「また、上部電極へ所定の電位を供給する配線は、上部電極よりも下層側に配置されているので、その配線と上部電極を接続するために、下部電極、絶縁層等を除去することが必要となる。そこで、電位供給のための配線と上部電極とを接続するためのコンタクトホールが設けられるが、コンタクトホールの近辺は段差構造となるため、上部電極の開口部を配置するときに、その段差の影響を考慮することが必要である。」(【0011】)、
「このように、上部電極における開口部の配置については、ディスクリネーション、コンタクトホール近辺の段差等の制約条件があるが、開口部の配置は、液晶表示装置の表示品質に影響を及ぼす。」(【0012】)、
「本発明の目的は、絶縁層を介して形成された上部電極と下部電極を有し、前記上部電極に電界を通す電界開口部を形成し、前記下部電極との間に電圧を印加して液晶分子を駆動する構成において、表示品質を向上できる液晶表示装置を提供することである。」(【0013】)

(ウ)「【課題を解決するための手段】」、
「本発明に係る液晶表示装置は、絶縁層を介して形成された上部電極と下部電極を有し、前記上部電極に電界を通す電界開口部を形成し、前記下部電極との間に電圧を印加して液晶分子を駆動する液晶表示装置であって、前記下部電極の下部に層間絶縁膜を介して上部電極用配線が形成され、前記下部電極に前記上部電極と前記上部電極用配線を接続するための下部電極開口部が設けられ、前記下部電極開口部付近における前記電界開口部の長手方向の片側端部が、前記下部電極開口部と平面配置的に重なって配置されていることを特徴とする。」(【0014】)、
「上記構成により、電界開口部は、下部電極開口部と平面的に重なって配置されるので、電界開口部を広く配置することができ、表示品質を改善できる。また、電界開口部の片側端部の下部には下部電極が除去されているので、片側端部の形状が円弧形状となっていても、上部電極と下部電極の間の電界は、この円弧形状部分にかからないので、ディスクリネーションの発生を抑制でき、表示品質を改善できる。」(【0015】)

(エ)「・・・図4では、ディスクリネーションが生じる領域をDで示してある。」(【0036】)、

「図4において、領域Dはどのような領域かを見ると、スリット43の縁のエッジ部分である。詳しく述べれば、スリット43の法線方向が、液晶分子Lの初期配向方向、すなわちラビング方向R-Rと一致するところから、さらに時計方向回りに90°の角度をなすところまでの範囲である。図4のこの範囲においては、電界がかけられると、液晶分子Lが時計方向に回転して、エッジ部分の縁に直交するようになるが、これ以外の領域においては、液晶分子Lは反時計方向に回転して、スリット43の縁に直交する。換言すれば、スリット43のエッジ部分のディスクリネーションが生じる領域Dは、スリット43のエッジ部分の法線方向がラビング方向R-Rと一致するところから、さらに時計方向回りに90°の角度をなすところまでの範囲である。」(【0037】)、
「換言すれば、図4のように、スリット43のように開口部の端部が円弧状になる場合においては、ディスクリネーションの発生する領域Dは、スリット43の長手方向端部の延びる方向がラビング方向R-Rとなす傾斜角度が正方向、すなわち時計方向回りの角度であるときは、スリット43の長手方向の延びる方向をX軸としその垂直方向をY軸とした円形の第2象限部分と第4象限部分である。また、傾斜角度が負方向、すなわち反時計方向回りの角度であるときは、この円形の第1象限部分と第3象限部分である。」(【0038】)、
「さらに、図12に示されるように、窓状開口部100の近傍領域に配置されるスリット43は、その長手方向の両端部のうちの片側端部が、窓状開口部100と平面配置的に重なって配置される様子が示されている。重なり量は、少なくとも、長手方向の端部の円弧形状の部分が窓状開口部100の内側になるようにされることが好ましい。このように配置されることで、スリット43の長手方向の端部の円弧形状の下に対応する箇所において、下部電極である共通電極38が除去されている状態にすることができる。このことによって、スリット43の長手方向の端部の円弧形状の部分には、下部電極である共通電極38と上部電極である画素電極42との間の電界が形成されない。したがって、窓状開口部100の近傍領域において、スリット43の端部の円弧形状に起因するディスクリネーションの発生を抑制することができる。」(【0056】)、


(オ)「図14は、コンタクトホール102を避けてスリット43を配置する際に、段差構造の複雑な窓状開口部100の近傍領域を避けて、窓状開口部100に重ならない範囲でスリット43の長手方向を短くして配置する方法である。この方法は、図11、図12と比較して容易に理解されるように、窓状開口部100の近傍におけるスリット43の開口部面積が減少し、さらに、そのスリット43の端部の円弧形状の下部には共通電極38が配置されていて、ディスクリネーションが発生しやすい状況にある。したがって、図14の配置方法は、図11、図12の配置方法に比較し、窓状開口部100の近傍領域において液晶分子を駆動する電界が十分でなくなり、さらに、長手方向の長さを犠牲にして設けたスリット43にディスクリネーションの発生の可能性があるので、窓状開口部100の近傍領域における表示品質が十分でなくなる。これに対し図11、図12はそのような恐れが少なく、表示品質が図13の配置方法に比較し、優れている。」、


イ 上記アで認定した本件明細書等の記載によれば、本件発明の技術的意義は、絶縁層を介して形成された上部電極と下部電極を有し、前記上部電極に電界を通す電界開口部を形成し、前記下部電極との間に電圧を印加して液晶分子を駆動する液晶表示装置(【0001】)においては、上部電極における開口部(本件発明の「電界開口部」)の配置が液晶表示装置の表示品質に影響を及ぼす(【0012】)ことから、下部電極開口部付近における電界開口部の長手方向片側端部が、下部電極開口部と平面配置的に重なって配置されるようにすることにより、電界開口部を広く配置することができて、表示品質を改善でき、また、電界開口部の片側端部の下部には下部電極が除去されているので、片側端部の形状が円弧形状となっていても、上部電極と下部電極の間の電界は、この円弧形状部分にかからないので、ディスクリネーションの発生を抑制でき、表示品質を改善できる(【0014】・【0015】)ことにあると認められる。

(2)構成要件A及びEについて
ア イ号物件の「画素電極」及びそれよりも「深さ方向わずかに下側に」「延在する」「共通電極」は、それぞれ、構成要件Aの「上部電極」及び「下部電極」を充足する。そして、イ号物件は、「画素電極と共通電極との間に存在する絶縁層」を備えるから、構成要件Aの「絶縁層を介して形成された上部電極と下部電極を有し」を充足する。

イ 構成要件Aの「前記上部電極と前記下部電極の間に電圧を印加して液晶分子を駆動する」は、その文言上、「液晶表示装置」の機能を特定していると解されるところ、当該機能のうち、「前記上部電極と前記下部電極の間に電圧を印加」することも液晶表示装置それ自体が行う必要があるのか(この場合、液晶表示装置それ自体が、電源その他の「電圧を印加」する機能を備えている必要がある。)、それとも、「前記上部電極と前記下部電極の間に電圧を印加して液晶分子を駆動する」という機能を、それ全体としてみて「液晶表示装置」が行っていると評価できれば足りるのか(この場合、外部の電源により「電圧を印加」する態様を直ちに排除するものではない。)のかは、構成要件Aの文言からは直ちには判然としない。
しかしながら、液晶表示装置の技術分野において、「液晶表示装置」が、「電圧を印加」する機能を備えなければならないという技術常識を示す証拠はなく、むしろ、外部の電源により駆動される「液晶表示装置」が通常に存在するのが技術常識である。そうすると、構成要件A及びEの「液晶表示装置」は、「前記上部電極と前記下部電極の間に電圧を印加」する機能を備える必要はないというべきである。とすれば、構成要件Aの「前記上部電極と前記下部電極の間に電圧を印加して液晶分子を駆動する」も、液晶表示装置が「前記上部電極と前記下部電極の間に電圧を印加して液晶分子を駆動する」という機能をそれ全体としてみて「液晶表示装置」が行っていると評価できれば足り、そのように評価するためには、上記技術常識に照らせば、やはり、「液晶表示装置」が「前記上部電極と前記下部電極の間に電圧を印加」する機能を備える必要はないというべきである。そして、以上の理解は、上記(1)イで認定した本件発明の技術的意義に反しないし、その他、この理解に反する本件明細書等の記載も存在しない。
これをイ号物件についてみると、イ号物件の「画素電極と共通電極との間に電圧が印加されて液晶分子が駆動される」「液晶ディスプレイ」は、構成要件A及びEの「液晶表示装置」を充足し、構成要件Aの「前記上部電極と前記下部電極の間に電圧を印加して液晶分子を駆動する」を充足する。

ウ イ号物件は、「画素電極と共通電極との間に電圧が印加された場合、画素電極と共通電極との間に、画素電極開口部を介して電界が形成される」ものであるから、イ号物件は、構成要件Aの「前記上部電極に電界を通す電界開口部を形成し、」を充足する。

エ 以上に対し、被請求人は次のとおり主張するが、いずれも採用できない。なお、23事件の答弁書の記載箇所に加えて、24事件及び25事件の答弁書の記載箇所についても付記する(以下同じ。)。
(ア)被請求人は、イ号物件がITOを含む上部電極(23事件当審認定構成の「画素電極」)とITOを含む下部電極(23事件当審認定構成の「共通電極」)を有しているとは言えない旨主張し、その根拠として、(i)甲2の図10下段中央写真では、同下段左写真のInと同じ位置にOが存在することを確認できないこと、(ii)仮にそれが確認できるとしても、Inを含む2層とOを含む2層とが平面方向で同じ位置に存在することを確認できないこと、(iii)図11右写真のSnの分布とされるものは判然としないこと、(iv)仮に図11右写真でInを含む領域とSnを含む領域とが平面方向に同じ位置にあることを確認できるとしても、同写真からは、InとOがそれぞれ2層で存在することを確認できないし、Inを含む2層とSnを含む2層とが深さ方向で同じ位置に存在することを確認できないこと、(v)図12は、イ号物件のどの部分を分析した結果なのか不明であること、を挙げる。(23事件答弁書3頁14行?5頁8行、24事件答弁書3頁14行?5頁8行、25事件答弁書3頁14行?5頁7行)
しかしながら、(i)については、甲2の図10下段中央写真は、薄くではあるが、同下段左写真のInと同じ位置にOが存在することを、明らかに確認できる。(ii)?(iv)については、上記1(2)ウ及びエにおいて、液晶駆動用の電極として膜状のITO(インジウム・スズ・オキサイド)が使用される等の技術常識を踏まえて認定したとおりである。(v)については、上記1(2)の認定は、甲2の図12を用いていないし、また、当該図12の内容が上記認定に反することもない。

(イ)被請求人は、上部電極(23事件当審認定構成の「画素電極」)と下部電極(23事件当審認定構成の「共通電極」)の間に絶縁膜の存在を確認できない旨主張し、その根拠として、甲2の図13下段中央写真及び同下段右写真は不鮮明であって境界がぼやけていることを挙げる(23事件答弁書5頁9行?17行、24事件答弁書5頁9行?17行、25事件答弁書5頁8行?17行)。
しかしながら、上記1(2)オにおいて、同一基板内に設けられた画素電極と共通電極との間に絶縁層が存在するという技術常識を踏まえて認定したとおりであり、図13下段中央写真及び同下段右写真に判然としないところがあるとしても、上記認定に反するものとはいえない。

(ウ)被請求人は、構成要件Aの「前記上部電極と前記下部電極との間に電圧を印加して液晶分子を駆動する」は、文理上、「液晶表示装置」が「前記上部電極と前記下部電極との間に電圧を印加して液晶分子を駆動する」機能を有していることを規定しているが、請求人は、イ号物件それ自体が当該機能を有していることを示しておらず、また、イ号物件それ自体はバッテリを有していないから、当該機能を有しておらず、よって、イ号物件は構成要件Aの「前記上部電極と前記下部電極との間に電圧を印加して液晶分子を駆動する液晶表示装置」を充足しない旨主張する(23事件答弁書5頁下から8行?7頁4行、24事件答弁書5頁下から8行?7頁4行、25事件答弁書5頁下から8行?7頁6行)。
しかしながら、上記イで説示したとおりである。

オ 以上のとおりであるから、イ号物件は、構成要件A及びEを充足する。

(3)構成要件Bについて
ア イ号物件の「画素電極とを接続するためのAlを含む配線層」は、構成要件Bの「上部電極用配線」を充足する。

イ イ号物件の「絶縁層」は、「共通電極からその深さ方向下側にあるTFTと画素電極とを接続するためのAlを含む配線層に至るまで」に存在するから、「共通電極」と「Alを含む配線層」との間にあるといえる。そして、「共通電極」は、「膜状のITO」から構成されているから、「層」を構成しているといえる。
このように、イ号物件の「絶縁層」は、「共通電極」の「層」と「配線層」との間にあるから、構成要件Bの「層間絶縁膜」を充足する。

ウ イ号物件は、「Alを含む配線層」と「絶縁層」が、いずれも「共通電極からその深さ方向下側にある」ところ、構成要件Bでは、「上部電極用配線」と「層間絶縁膜」が、いずれも「前記下部電極の下部」に形成されることを要するといえるから、構成要件Bの(下部電極の)「下部」の意味が問題となる。
そこで検討すると、「下部」の字義は、「下の部分」(広辞苑第六版)であるから、真下を必ずしも意味するわけではない。そして、本件明細書等の図1をみても、ドレイン配線32(本件発明の「上部電極用配線」)と絶縁膜36(本件発明の「層間絶縁膜」)が、いずれも、共通電極38(本件発明の「下部電極」)の真下にあるわけではないことが理解できる。さらに、本件明細書等の【0011】には「また、上部電極へ所定の電位を供給する配線は、上部電極よりも下層側に配置されているので、その配線と上部電極を接続するために、下部電極、絶縁層等を除去することが必要となる。」と記載されているところ、当該記載では、上部電極へ所定の電位を供給する配線(本件発明の「上部電極用配線」)が配置される位置が、下部電極との関係ではなく上部電極との関係であるが、上部電極よりも「下層側」であると説明されており、構成要件Bの「下部」を「下層側」と解すれば、上記図1における各部材の配置関係を整合的に理解できる。
そうすると、構成要件Bの(下部電極の)「下部」とは、下層側(すなわち、深さ方向下側を意味し、真下であることを要しない。)を意味すると解するのが相当である。そして、以上の理解は、上記(1)イで認定した本件発明の技術的意義に反しないし、その他、この理解に反する本件明細書等の記載も存在しない。
これをイ号物件についてみると、イ号物件は、「共通電極から、その深さ方向下側にあるTFTと画素電極とを接続するためのAlを含む配線層に至るまでは、絶縁層となって」いるところ、「共通電極」の下層側に、「絶縁層」を介して、「Alを含む配線層」が形成されているといえるから、構成要件Bの「前記下部電極の下部に層間絶縁膜を介して上部電極用配線が形成され」を充足する。

エ これに対し、被請求人は次のとおり主張するが、いずれも採用できない。
(ア)被請求人は、イ号物件の下部電極(23事件当審認定構成の「共通電極」)とされている部分の下部に、Cが検出される赤色の部分(甲2の分析(5)第1写真)が存在することが示されているが、当該部分にC以外にどのような元素が含まれているのかが示されていないから、当該部分が絶縁膜であることは示されていない旨主張する(23事件答弁書7頁下から10行?末行、24事件答弁書7頁下から10行?末行、25事件答弁書7頁下から9行?8頁1行)。
しかしながら、上記1(2)カにおいて、導通を防止する箇所を絶縁部材で形成するという技術常識を踏まえて認定したとおりである。

(イ)被請求人は、イ号物件の上部電極用配線とされている部分(23事件当審認定構成の「Alを含む配線層」)は、下部電極とされている部分(23事件当審認定構成の「共通電極」)の下部に対して明らかに外側に存在しているとか、また、上部電極用配線とされている部分は、下部電極開口部(23事件当審認定構成の「共通電極開口部」)の下部に形成されているが、当該下部電極開口部は、構成要件Bの「下部電極」に該当しないなどと主張する(23事件答弁書8頁1行?下から2行、24事件答弁書8頁1行?下から2行、25事件答弁書8頁2行?末行)。
被請求人は、構成要件Bの「下部」を真下の意味で解しているようであるが、それが相当ではないことは、上記ウで説示したとおりである。

オ 以上のとおりであるから、イ号物件は、構成要件Bを充足する。

(4)構成要件Cについて
ア イ号物件の「共通電極」に有された「共通電極開口部」は、それ「及びコンタクトホールを介して」、「画素電極」を「TFTと画素電極を接続するためのAlを含む配線層に接続」するものであるから、構成要件Bの「前記下部電極に」設けられた「前記上部電極と前記上部電極用配線を接続するための下部電極開口部」を充足する。

イ これに対し、被請求人は、甲2の図15では、上部電極(23事件当審認定構成の「画像電極」)とされる領域とAlが検出された領域との位置関係が何ら示されておらず、両者が接触しているかどうか、また、重複しているかどうか不明であるし、これらの領域が垂直方向に重なっているとしても、両者の間にはSiとNの領域が介在している旨主張する(23事件答弁書9頁4行?18行、24事件答弁書9頁4行?18行、25事件答弁書9頁5行?下から9行)。
しかしながら、図15上段写真によれば、極めて薄い厚さの画素電極が、コンタクトホールの側面に沿って底部に向けて延在し、最終的に、当該画素電極は、ほぼ真下の方向に伸びてAl薄領域に接することを明らかに確認できるし、また、イ号物件が液晶表示装置として動作するためにはそのように解するほかない。

ウ 以上のとおりであるから、イ号物件は、構成要件Cを充足する。

(5)構成要件Dについて
ア イ号物件の「共通電極開口部」は、上記(4)アのとおり、構成要件Dの「下部電極開口部」を充足する。また、イ号物件の「画素電極開口部」は、上記(1)ウのとおり、構成要件Dの「電界開口部」を充足する。

イ イ号物件は、「画素電極開口部は、その長手方向の一端の形状が円弧状であり、当該円弧状の部分の一部は共通電極開口部と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心から観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度である」。そうすると、イ号物件は、その「画素電極開口部」の「長手方向の一端」にある「円弧状の部分」は、構成要件Dの「電界開口部の長手方向の片側端部」に該当し、構成要件Dでいうと、「前記下部電極開口部付近における前記電界開口部の長手方向の片側端部が、前記下部電極開口部」と、液晶表示装置を正面からみる視点である平面視において、部分的に「重なって配置されている」ことになる。
そこで、構成要件Dの「平面配置的に重なって配置されている」ことの意味が問題となる。
(ア)まず、「平面配置的」の文言の意味について検討する。
当該文言自体は、辞書に載録されていないものの、「平面」の語については、辞書に、「平らな面」(乙1)のほか、「物体を真上から垂直に見た形。水平に見た立面に対していう。」(広辞苑第六版)との意味が載録されている。仮に、「平面」を「平らな面」と解する場合は、「平面配置的」は、同一平面上にあるという配置関係の意味と解する余地があり、他方で、「物体を真上から垂直に見た形。」と解する場合は、「平面配置的」は、平面視したときの配置関係の意味と解するのが自然である。
そこで、本件明細書等の記載をみると、【0056】(上記(1)ア(エ))には、「さらに、図12に示されるように、窓状開口部100の近傍領域に配置されるスリット43は、その長手方向の両端部のうちの片側端部が、窓状開口部100と平面配置的に重なって配置される様子が示されている。」と記載されている。しかるに、図12は、画素電極42を平面視した図であることが明らかであるところ、スリット43(本件発明の「電界開口部」)の長手方向の片側端部が、窓状開口部100(本件発明の「下部電極開口部」)に、平面視で重なって配置されていることが自然に理解できる。他方で、同図からは、スリット43と窓状開口部100とが同一平面上に配置されていることを自然に理解できることはなく、このことは、スリット43が設けられる「上部電極」と窓状開口部100が設けられる「下部電極」とが同一平面上にないことからも首肯できる。
以上によれば、構成要件Dの「平面配置的に重なって配置されている」は、平面視で「重なって配置されている」ことを意味すると解される。

(イ)次に、「重なって」の文言の意味について検討する。
a 「重なる」の字義は、「物の上に別の同じような物が乗る。」(広辞苑第六版)であり、上にある物が下にある物を完全に隠していることまでを必ずしも要さないと解される。
そして、本件明細書等の【0056】(上記(1)ア(エ))には、「重なり量は、少なくとも、長手方向の端部の円弧形状の部分が窓状開口部100の内側になるようにされることが好ましい。」と記載されているとおり、「重なり量」との文言があるところ、当該文言は、「長手方向の端部の円弧形状の部分」のうち、どの程度の部分が、「窓状開口部100の内側」にあるのかを意味すると解されるから、本件明細書等では、「重なる」の意味について、「重なる」か否かではなく、「重なる」程度が念頭に置かれていることが理解できる。
また、上記記載では、「円弧形状の部分が窓状開口部100の内側」にあることが「好ましい」とされているにとどまり、必須とはされていないから、「長手方向の端部の円弧形状の部分」が、「窓状開口部100の内側」に、ある程度の「重なり量」をもって存在していれば、構成要件Dの「重なって」というに足りると解される。

b(a)そこで、どの程度の「重なり量」であれば足りるかについてみると、まず、上記(1)イで認定したとおり、本件発明の技術的意義は、下部電極開口部付近における電界開口部の長手方向片側端部が、下部電極開口部と平面配置的に重なって配置されるようにすることにより、電界開口部を広く配置することができて、表示品質を改善でき、また、電界開口部の片側端部の下部には下部電極が除去されているので、片側端部の形状が円弧形状となっていても、上部電極と下部電極の間の電界は、この円弧形状部分にかからないので、ディスクリネーションの発生を抑制でき、表示品質を改善できるということにある。

(b)このように、本件発明は、構成要件Dにより、電界開口部を広く配置して表示品質を改善し、電界開口部の片側端部の下部の下部電極を除去して片側端部の形状が円弧形状となっていた場合のディスクリネーションの発生を抑制するものである。
そうすると、電界開口部を広く配置したことによる表示品質改善の観点からは、上記の「重なり量」は、わずかであっても足りるというべきであり、そのことを踏まえて、構成要件Dの「重なって」が特定されていると解される。
また、ディスクリネーションの発生抑制の観点からみると、以下のとおり、スリット43の「長手方向の端部の円弧形状の部分」のうち中心角でみて少なくとも90°の範囲が、「窓状開口部100の内側」に存在する程度の「重なり量」であれば足りるというべきであり、そのことを踏まえて、構成要件Dの「重なって」が特定されていると解される。
すなわち、本件明細書等の【0037】及び【0038】(上記(1)ア(エ))からすると、スリット43の「長手方向の端部の円弧形状の部分」のうち中心角でみて90°の範囲(当該90°の範囲を構成する図形(円弧となる。)の一方の端点と当該図形に係る円弧の中心とを結んだ方向は、液晶分子Lの初期配向方向と平行である。)にディスクリネーションが生じる領域があることが理解できる。そうすると、「長手方向の端部の円弧形状の部分」のうち中心角でみて少なくとも90°の範囲が「窓状開口部100の内側」に存在すれば、液晶分子Lの初期配向方向によらず、上記のディスクリネーションが生じる領域のうち少なくとも一部の領域が「窓状開口部100の内側」に存在できることになり、その結果、ディスクリネーションの発生を多少なりとも抑制できることになるといえる。

ウ 上記ア及びイを踏まえ、イ号物件の構成要件D充足性を検討すると、イ号物件は、「共通電極開口部付近における画素電極開口部は、その長手方向の一端の形状が円弧状であり、当該円弧状の部分の一部は共通電極開口部と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心から観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度である」から、構成要件Dを充足する。

エ これに対し、被請求人は次のとおり主張するが、いずれも採用できない。
(ア)被請求人は、構成要件Dの「平面配置的に重なって配置されている」は、その文言上、「深さや厚みをもたずに平らになるように(同一平面上に位置するように)重なって配置され得る」ことを意味するが、イ号物件はそうはなっていない旨主張する(23事件答弁書9頁下から5行?11頁9行、24事件答弁書9頁下から5行?11頁7行、25事件答弁書9頁下から4行?11頁9行)が、上記イ(ア)で説示したとおりである。

(イ)被請求人は、構成要件Dの「前記電界開口部の長手方向の片側端部」とは、電界開口部の長手方向の片側端部の円弧状部分全体を意味するものと理解されるが、イ号物件は、下部電極開口部とされる円弧形状の部分のうち、その大部分(少なくとも50%を超える部分)は、平面視で電界開口部とされる略四角形状の領域の外側になるように配置されているから、イ号物件は、少なくとも、下部電極開口部とされるスリット状の領域の端部の円弧形状の部分が平面視で電界開口部とされる略四角形状の領域の内側に配置されることは示されていない旨主張する(23事件答弁書11頁10行?12頁末行、24事件答弁書11頁8行?12頁下から6行、25事件答弁書11頁10行?12頁下から4行)。
しかしながら、上記イ(イ)及びウで説示したとおりである。

(ウ)被請求人は、本件特許の審査経過からみて、構成要件Dは、窓状開口部付近においてディスクリネーションの発生を抑制することを達成する構成に特定されるものと理解されるが、請求人は、イ号物件において実際にディスクリネーションの発生が抑制されているかどうかを具体的に示していない旨主張する(23事件答弁書13頁1行?下から6行、24事件答弁書12頁下から5行?13頁16行、25事件答弁書12頁下から3行?13頁18行)。
a そこで、本件特許の審査経過をみると、次の事実が認められる。
(a)平成20年3月17日提出の手続補正書により補正された本件特許に係る出願の特許請求の範囲のうち、請求項1及び3は、次のとおりであった。(乙2)
「【請求項1】
絶縁層を介して形成された上部電極と下部電極を有し、前記上部電極に電界を通す電界開口部を形成し、前記下部電極との間に電圧を印加して液晶分子を駆動する液晶表示装置であって、
前記下部電極の下部に層間絶縁膜を介して配置される上部電極用配線と、前記上部電極とを接続するために前記下部電極を一部除去する窓状開口部が設けられ、
前記窓状開口部付近における前記電界開口部の長手方向の片側端部が、前記窓状開口部と平面配置的に重なって配置されていることを特徴とする液晶表示装置。」、
「【請求項3】
請求項1または2に記載の液晶表示装置において、
前記電界開口部の長手方向の片側端部が前記窓状開口部と平面配置的に重なる領域は、前記窓状開口部付近においてディスクネーションの発生を抑制する領域であることを特徴とする液晶表示装置。」

(b)これに対して、審査官は、平成21年3月15日付け拒絶理由通知書において、請求項3について、次の指摘をした(下線は審査官が付したものである。)。(乙3)
「請求項3において、「前記電界開口部の長手方向の片側端部が前記窓状開口部と平面配置的に重なる領域は、前記窓状開口部付近においてディスクネーションの発生を抑制する領域である」と記載されているが、「窓状開口部付近においてディスクネーションの発生を抑制する領域」が何を意味するのか不明確である。
すなわち、段落【0056】の記載によれば、スリット43の長手方向の端部の円弧形状の部分が窓状開口部100(下部電極である共通電極38が除去されている部分)の内側になるように配置されることで、スリット端部の円弧形状の部分には電界が形成されず、このことによって結果的に、窓状開口部100の近傍領域において、スリット端部の円弧形状に起因するディスクリネーションの発生を抑制することができるものであって、請求項1に記載された「電界開口部の長手方向の片側端部が、前記窓状開口部と平面配置的に重なって配置されている」との事項により、「窓状開口部付近においてディスクネーションの発生を抑制する」ことは達成されているわけであるから、請求項3の上記記載により、発明特定事項をどのように限定するものであるのか不明確である。
よって、請求項3およびこれに従属する請求項4-7に係る発明は明確でない。(請求項3の必要性についても検討されたい。)」

(c)特許権者(請求人)は、平成21年4月28日提出の手続補正書により、請求項3を削除した上で、同日提出の意見書において、次の主張をした。(乙4)
「そして、ご指摘されました請求項3を削除しました。」

b 上記aによれば、特許権者(請求人)は、請求項3を削除した意味について何ら説明していないことが明らかであり、そうであれば、特許権者が、審査経過において、本件発明が、「窓状開口部付近においてディスクリネーションの発生を抑制する」ものであることを認めた上で、特許査定を受けたということはできない。
よって、本件特許の審査経過からみて、構成要件Dが、窓状開口部付近においてディスクリネーションの発生を抑制することを達成する構成に特定されるものと理解されるということはできない。

(6)小括
したがって、イ号物件は、本件発明の構成要件をすべて充足する。

3 23事件についてのまとめ
以上のとおり、イ号物件は、本件発明の構成要件をすべて充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。

第5 24事件についての当審の判断
1 イ号物件について
(1)24事件の判定請求に係るイ号物件
型式番号TL062FVMC70-00。

(2)イ号物件の構成
甲第2号証(調査報告書(特許第4329828号/TL062FVMC70-00)、令和2年8月26日、弁護士 高橋雄一郎作成)(以下、証拠は、「第」及び「号証」を略して表記する。)によれば、イ号物件の構成について次の事実が認められる。なお、以下、断りがない限り、頁番号や図面番号は甲2のものを示し、色彩は甲2に基づいて特定する。
ア イ号物件は、「液晶ディスプレイ」である(5頁?6頁)。

イ(ア)図10は、イ号物件のTFTアレイ基板とされる基板(以下「本件基板」という。)の光学顕微鏡写真である。図10の各写真のうち、上段の左側にある写真(以下「図10上段左写真」という。以下、他の写真も同様に、図面番号にその写真が配置された位置を後置して表記する。)が本件基板の表面を撮影したものであり、その一部の領域を順次拡大して撮影した写真が、同下段左写真、同上段右写真及び同下段右写真である。
なお、図10の上記各写真は、23事件の図8の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。

また、図18は、同左写真が本件基板を表面側から撮影した写真であり、同右写真が同じ領域を裏面側から撮影した写真である。
なお、図18の上記各写真は、23事件の図16の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。

図10上段右写真によれば、イ号物件には、複数本の概ね縦方向に延びた線状構造(以下、概ね縦方向に延びた線状構造を「縦線状構造」という。)と複数本の概ね横方向に延びた線状構造(以下、概ね横方向に延びた線状構造を「横線状構造」という。)とが配されており、隣り合った縦線状構造と隣り合った横線状構造とによって略平行四辺形の領域が形成されていることが分かる(以下、液晶表示装置の表示面を正面からみるときの観測者の視点を「平面視」という。)。また、図18左写真と同右写真からみて、縦線状構造及び横線状構造の裏側に、それらに重なるように配された線状構造が存在することも分かる。
さらに、図10上段右写真の一部の領域の拡大写真である図10下段右写真によれば、縦線状構造と横線状構造の交点付近に、縦線状構造付近を一方の端部とするとともに横線状構造付近を他方の端部とする黄色のL字状(アルファベットの「L」を反時計回りに90°回転させた形状である。)の構造が配されているとともに、当該他方の端部付近に小さいサイズの構造(以下「小サイズ構造」という。)が配されていることが分かり、小サイズ構造は、図10上段右写真によれば、1の略平行四辺形の領域内において平面視下方に1つのみ配されていることが分かる。

(イ)ところで、液晶表示装置においては、複数行のゲート信号線と複数列の映像信号線とが配されること、隣り合ったゲート信号線と隣り合った映像信号線とで囲まれた各領域(以下「画素領域」という。)には、それぞれ画素電極があること、ゲート信号線及び映像信号線にそれぞれ接続される電極を有するTFTがそれらの信号線の交点付近に配されること、画素電極はゲート信号線を通るゲート信号によって駆動されるTFTを介して映像信号線と接続されること、がいずれも技術常識である。
そうすると、図10上段右写真及び同下段右写真においては、縦線状構造又はその裏側にある線状構造のいずれかが映像信号線、横線状構造又はその裏側にある線状構造のいずれかがゲート信号線、黄色のL字状構造がTFT、をそれぞれ意味しており、また、イ号物件は、隣り合った映像信号線と隣り合ったゲート信号線とによって区画された略平行四辺形からなる画素領域に、画素電極を備えると推認できる。
小サイズ構造については、当該構造が、TFTの両端部のうち、映像信号線の側の端部ではなく、映像信号線から離れた側の端部に近接していること、1個の画素領域の中に1個のみ存在すること、からみて、TFTと当該画素領域内の画素電極とを接続するための構造(以下「TFT画素電極接続構造」という。)であると推認できる。そして、TFT画素電極接続構造は、各画素領域内において、平面視下方に存在する。

(ウ)小括
以上によれば、イ号物件は、概ね縦方向に延びた複数本の映像信号線と概ね横方向に延びた複数のゲート信号線とをそれぞれ備えるとともに、それらの信号線で囲われた略平行四辺形の各領域からなる各画素領域にそれぞれ画素電極を備えている。そして、画素電極は、映像信号線から、TFT及びTFT画素電極接続構造をこの順に介して接続されている。

ウ(ア)図11は、図10下段右写真に関連する写真である。図11左写真は、図10下段右写真と実質的に同じものであり、図11中央写真は、図11左写真に対応するSEM像を表しており、図11右写真は、図11左写真及び図11中央写真に表されたa-a’切断部分を斜視したSEM像を表している。
なお、図11の上記各写真は、23事件の図9の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。

図11中央写真(SEM写真)によれば、イ号物件には、SEM写真上の構造として、丸状の構造(以下「丸状構造」といい、中心近傍は模様のあるやや明るい灰色であり、その径方向外側は白色になっている。)と、丸状構造に接したやや明るい灰色の構造(以下「上方明灰色構造」という。)とが配されており、上方明灰色構造は、丸状構造に接してその近傍にある部分(以下「近傍部分」という。)と、近傍部分の平面視上方に結合して平面視でやや左に傾斜して上方に延びる3本の概ね等間隔で平行な線状部分(以下「上方線状部分」という。)とからなることが分かる。
また、丸状構造の平面視下方に、当該丸状構造から少し離れて、上方明灰色構造の色と同一の色をもつ構造(以下「下方明灰色構造」という。)が配されており、下方明灰色構造は、左右方向に延びる短い長さの線状部分と当該線状部分の一端、中点及び他端付近を起点として平面視でやや左に傾斜して下方に延びる3本の概ね等間隔で平行な線状部分(以下「下方線状部分」という。)とからなることが分かる。
そして、上方線状部分の延びる方向と下方線状部分の延びる方向とがなす角度(以下「上方明灰色構造と下方明灰色構造とがなす角度」などという。)は、180°よりもやや小さく、また、上方線状部分の各線の太さ及び間隔は、下方線状部分のそれらと同一であることが分かる。
しかし、上方明灰色構造及び下方明灰色構造は、それぞれ、同写真の上端及び下端で切れてしまっているため、同写真からは、上方明灰色構造及び下方明灰色構造の全体形状を見て取ることができない。
なお、23事件のイ号物件と24事件のイ号物件とは、丸状構造の色合い等が異なる点のほか、上方線状部分及び下方線状部分が、23事件は平行な2本からなるのに対し、24事件は平行な概ね等間隔の3本からなる点で相違している。

(イ)丸状構造について
a 上記(ア)を踏まえ、まず、丸状構造について検討する。
丸状構造が表れている図11中央写真と同左写真(上記イ(ア)のとおり、小サイズ構造が表れている。)とを対比すると、丸状構造は小サイズ構造(TFT画素電極接続構造)と同じ位置にあることが分かる。

b 上記aによれば、丸状構造は、小サイズ構造と同様に、TFT画素電極接続構造であるとみるのが相当である。

(ウ)上方明灰色構造及び下方明灰色構造について
次に、上方明灰色構造及び下方明灰色構造について検討する。
a 上方明灰色構造の断面構造について
(a)図12は、図11左写真及び同中央写真の双方に表されたa-a’切断部分(以下、当該切断部分の断面を「第1aa’断面」という。)に係る写真である。図12上段写真は、第1aa’断面におけるSEM像を表しており、図12下段左写真、同中央写真及び同右写真は、それぞれ、図12上段写真に表された第1aa’断面の一部の領域に対応する破線で囲まれた領域(図12上段写真において「b」と称された領域)におけるIn分布、O分布及びSi分布を表している。
なお、図12の上記各写真は、23事件の図10の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。

図12上段写真及び図11右写真によれば、上方明灰色構造は、第1aa’断面において、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、極めて薄い厚さの領域として存在していることが分かる。そして、図12下段左写真及び同下段中央写真によれば、上方明灰色構造は、第1aa’断面の一部の領域において、InとOを含むことが分かる。

(b)このように、上方明灰色構造は、第1aa’断面の一部の領域において、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、InとOを少なくとも含む極めて薄い厚さの領域として存在している。

b 上方明灰色構造及び下方明灰色構造の平面視での全体形状について
(a)上記(ア)で説示したとおり、図11中央写真(SEM写真)における上方明灰色構造及び下方明灰色構造は、平面視での全体形状を見て取ることができない。
そこで検討すると、まず、図10下段左写真によれば、イ号物件では、縦方向に隣り合った画素領域は、それらの形状が互いに左右反転しており、それらの長手方向同士がなす角度が180°よりもやや小さいことが分かる。そして、当該長手方向同士がなす角度は、当該図10下段左写真と図11中央写真とを対比すると、上記(ア)で認定した上方明灰色構造と下方明灰色構造とがなす角度に、よく一致することが分かる。

(b)上記(a)に、丸状構造(TFT画素電極接続構造)は、画素領域内において、平面視下方に存在し(上記イ(イ))、上方明灰色構造は、丸状構造に接しつつ平面視で概ね上方に延びている(上記(ア))ことを併せ考慮すると、上方明灰色構造と、当該構造の平面視下方にある下方明灰色構造とは、縦方向に隣り合った2つの画素領域に、それぞれ属するとみるのが相当である。
このことに、上方明灰色構造の色と下方明灰色構造の色が同一であるとともに、上方線状部分の各線の太さ及び間隔が下方線状部分のそれらと同一であること(上記(ア))、画素領域内の構造の形状は各画素領域において一定の共通性があると考えられること、他方で、縦方向に隣り合った画素領域はそれらの形状が互いに左右反転していること(上記(a))、を併せ考慮すると、上方明灰色構造と下方明灰色構造は、属する画素領域が異なっていることを措けば、同じ構造に由来するものであって、そのため、上方明灰色構造の平面視での全体形状は、上方線状部分よりも平面視上方において、下方明灰色構造が左右反転して連結した形状(以下、この全体形状の構造を「第1形状構造」という。)となっており、下方明灰色構造の平面視での全体形状は、下方線状部分よりも平面視下方において、上方明灰色構造が左右反転して連結した形状(以下、この全体形状の構造を「第2形状構造」という。)となっていると推認できる。
そうすると、イ号物件では、縦方向に隣り合った2つの画素領域が、それぞれ第1形状構造と第2形状構造を備えていることになり、第1形状構造と第2形状構造(以下、これらの構造を総称して、「明灰色構造」という。)とは、左右反転した形状の関係にある。そして、明灰色構造の平面視での全体形状は、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形に、一組の短辺の中点同士を結ぶ線分を追加した形状(これらの辺又は線分により囲まれた領域は2個の開口を形成している。)からなる部分と、丸状構造に接してその近傍にある部分(上記一組の短辺のうちの一方を含んでいる。)とからなるといえる。

(c)以上によれば、イ号物件では、各明灰色構造は各画素領域にそれぞれ属しており、明灰色構造の平面視での全体形状は、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形に、一組の短辺の中点同士を結ぶ線分を追加した形状(これらの辺又は線分により囲まれた領域は2個の開口を形成している。)からなる部分と、丸状構造に接してその近傍にある部分(上記一組の短辺のうちの一方を含んでいる。)とからなる。また、明灰色構造の平面視での全体形状は、縦方向に隣り合った画素領域において、互いに左右反転した形状である。
なお、イ号物件と23事件のイ号物件とは、明灰色構造の平面視での全体形状が異なる。

c 明灰色構造の材料及び機能等について
(a)図13は、イ号物件のSIMS分析結果に関する写真である。図13中央写真及び同右写真は、それぞれ、In及びSnの2次元マッピングを表している。
なお、図13中央写真及び同右写真が、それぞれ、23事件の図11左写真及び同右写真と同じ位置付けのものとなっているが、図13左写真と同じ位置付けの写真は、23事件の図11には存在しない。

図13中央写真によれば、イ号物件には、SIMS分析結果上の構造として、概ね金色の丸状の構造(以下「金色丸状構造」という。)が配されていること、各金色丸状構造付近を端部として平面視でやや左に傾斜して上方に延びるInの量が大きい値で一定となっている領域(以下「In大量一定領域」という。)が配されていること、In大量一定領域同士は互いに接していないこと、各金色丸状構造の近傍に存在し、当該金色丸状構造に接するとともにIn大量一定領域にも接した、Inの量が少ない領域(以下「近傍In少量領域」という。)と、Inが存在しない領域(以下「In不存在領域」という。)とが配されていること、In大量一定領域の周辺を含む広い範囲(近傍In少量領域を除く。)においてInの量が少ない値で一定になっている領域(以下「In少量一定領域」という。In少量一定領域は、近傍In少量領域を含まない。)が配されていることが分かる。
図11中央写真と図13中央写真とを対比すると、上記b(c)で認定した明灰色構造の平面視での全体形状とIn大量一定領域の形状とが、丸状構造の近傍を除いてよく一致することが分かり、また、金色丸状構造がIn大量一定領域に対して存在する位置が、丸状構造が明灰色構造(丸状構造の近傍を除いたもの)に対して存在する位置とよく一致することも分かる。そして、図13右写真から分かるSnの分布の大小は、同左写真のInの分布の大小に、概ね対応していることがうかがわれる。
なお、23事件のイ号物件と24事件のイ号物件とは、In大量一定領域の傾斜する方向が異なる。

(b)しかるに、明灰色構造は、上記aで認定したとおり、第1aa’断面の一部の領域において、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、InとOを含む極めて薄い厚さの領域として存在しているとともに、上記(ア)で認定したとおり、各丸状構造(TFT画素電極接続構造)にそれぞれ接して配されている。さらに、上記bで認定したとおり、各明灰色構造は、各画素領域に属しているから、各画素領域ごとに独立して存在していることになる。そして、液晶表示装置の技術分野においては、液晶駆動用の電極として膜状のITO(インジウム・スズ・オキサイド)が使用されること、そのための電極には画素電極と共通電極があること、画素電極は各画素領域で独立したものであり、共通電極は各画素領域にわたって共通したものであること、が技術常識である。
そうすると、図11中央写真における明灰色構造は、膜状のITOからなる画素電極であると推認できる。In大量一定領域は、明灰色構造(画素電極)に対応し、金色丸状構造は、丸状構造と同様に、TFT画素電極接続構造とみるのが相当である。そして、近傍In少量領域は、In大量一定領域に接するとともにTFT画素電極接続構造に接していることから、後記エ(ウ)でも説示するとおり、明灰色構造(画素電極)に対応するというのが相当であって、このことは、In大量一定領域と近傍In少量領域とを併せた領域の形状と明灰色構造の平面視での全体形状との間に類似性があり、差異があるとはいえないことからも首肯できる。
また、画素電極は、TFTとの接続部付近を除いて平坦な構造となっていることが一般的であるから、イ号物件の画素電極は、TFT画素電極接続構造付近を除き、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、存在していると推認できる。
なお、明灰色構造(画素電極)におけるInの量は、In大量一定領域に属する部分と近傍In少量領域に属する部分との間で同じではないことになるが、それは見かけのものであって、後記エ(ウ)のとおり、In大量一定領域においては画素電極と共通電極との2層が存在することが反映されたものである。

(c)このように、丸状構造及び明灰色構造は、それぞれ、TFT画素電極接続構造及び画素電極であり、画素電極は、膜状のITOから構成されている。
画素電極は、TFT画素電極接続構造付近を除き、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、存在している。

(エ)小括
以上のとおり、図11中央写真(SEM写真)に表れている丸状構造及び明灰色構造は、それぞれ、TFT画素電極接続構造及び画素電極である。
画素電極は、膜状のITOから構成されており、平面視で、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形に、一組の短辺の中点同士を結ぶ線分を追加した形状からなる部分(これらの辺又は線分により囲まれた領域は2個の開口を形成しており、以下「画素電極開口部」という。)と、TFT画素電極接続構造に接してその近傍にある部分(上記一組の短辺のうちの一方を含んでいる。)とからなっている。
画素電極は、TFT画素電極接続構造付近を除き、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、存在している。
また、画素電極は、その一方の短辺付近において、TFT画素電極接続構造(小サイズ構造、丸状構造)と接続されており、当該構造を介して映像信号線に接続されている。
なお、23事件のイ号物件と24事件のイ号物件とは、画素電極の平面視における形状が異なる。

エ(ア)上記ウ(エ)のとおり、明灰色構造は画素電極であるから、次に、共通電極について検討する。

(イ)a まず、図12上段写真によれば、第1aa’断面において、画素電極(本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って存在している。)よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極と平行に延在する極めて薄い厚さの領域(以下「画素電極下側延在領域」という。)が存在することが分かる。そして、図12下段左写真及び同下段右写真によれば、画素電極下側延在領域の一部の領域には、InとOが少なくとも含まれていることが分かる。

b 次に、上記ウ(ウ)c(a)で認定したとおり、図13中央写真には、In大量一定領域の周囲を含む広い範囲にわたるIn少量一定領域と金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)の近傍にあるIn不存在領域とが表れており、また、図13右写真から分かるSnの分布の大小は、同左写真のInの分布の大小に、概ね対応していることがうかがわれる。
そして、図13中央写真によれば、In少量一定領域は、画素領域間で分断されていないことが分かる。

(ウ)このように、第1aa’断面の一部の領域においては、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、InとOを少なくとも含む画素電極下側延在領域が存在しており、他方、平面視では、画素電極の一部に該当するがInの量が多くなっているIn大量一定領域と、当該画素電極の周辺にある画素領域間で分断されないIn少量一定領域(その領域の形状に概ね整合して、Snの量も少なくなっている。)とが存在し、さらに、TFT画素電極接続構造の近傍にIn不存在領域が存在する。
そして、上記ウ(ウ)c(b)で認定したとおり、液晶表示装置の技術分野においては、液晶駆動用の電極として膜状のITO(インジウム・スズ・オキサイド)が使用されること、共通電極は各画素領域にわたって共通したものであること、が技術常識であり、これらに加えて、画素電極と共通電極とが短絡していないこと、同一基板内に画素電極と共通電極の双方が備わった構造が存在することも、技術常識である。
そうすると、第1aa’断面の一部の領域における画素電極下側延在領域は、共通電極に対応するものであって、当該共通電極は、平面視で、図13中央写真のIn少量一定領域とIn大量一定領域とを合わせた形状(画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように、延在していることになる。)であると推認できる。すなわち、In大量一定領域は、画素電極の一部に該当する領域である(上記ウ(ウ)c(b))が、Inが大量になっている理由は、その真下に共通電極も存在することにあると理解できる。In少量一定領域においてInが少量になっている理由は、画素電極が存在せず、共通電極のみが存在することにあると理解できる。近傍In少量領域は、画素電極の一部に該当する領域である(上記ウ(ウ)c(b))が、金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)に接しているから、共通電極であってはならないと理解でき、その領域でInが少量になっていることは、画素電極のみが存在し、共通電極が存在しないことを意味する。In不存在領域は、画素電極も共通電極も存在しない領域である。
また、共通電極は、共通配線等との接続部付近を除いて平坦な構造となっていることが一般的であるから、イ号物件の共通電極は、当該接続部付近を除き、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、表面に沿って、存在していると推認できる。
さらに、金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)の周囲に共通電極が存在しない開口(以下「共通電極開口部」という。)が存在していると推認できる。すなわち、上記のとおり、画素電極の深さ方向下側に共通電極が存在する場合において、画素電極を、金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)に接するようにしつつ、共通電極に接しないようにするためには、TFT画素電極接続構造の周囲において共通電極が存在してはならない(換言すれば、共通電極に開口部が存在しなければならない。)ことが明らかであるし、また、このような共通電極開口部が存在することは、図13中央写真において、In不存在領域及び近傍In少量領域の両者(上記のとおり、共通電極が存在しないといえる。)を併せた領域と金色丸状構造との配置関係からみても、首肯できる。

(エ)小括
以上のとおり、イ号物件では、共通電極は、膜状のITOから構成されており、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように延在している。また、共通電極には、TFT画素電極接続構造の周囲に共通電極開口部が存在している。

オ(ア)図15は、図13と同様に、a-a’切断部分に係る写真である。図15上段写真は、図12上段写真と同じく、第1aa’断面におけるSEM像を表しており、図15下段左写真、同下段中央写真及び同下段右写真は、それぞれ、図15上段写真に表された第1aa’断面の一部の領域に対応する破線で囲まれた領域(図15上段写真において「b」と称された領域)におけるIn分布、N分布及びSi分布を表している。
なお、図15の上記各写真は、23事件の図13の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。

図15下段左写真は、図12下段左写真と同じものであって、画素電極とその深さ方向わずかに下側に存在する共通電極とに含まれるInを表していることになる。

(イ)そして、液晶表示装置の技術分野において、同一基板内に設けられた画素電極と共通電極との間に絶縁層が存在することは技術常識である。
そうすると、イ号物件では、画素電極と共通電極との間には、絶縁層が存在すると推認でき、このことは、図15下段中央写真及び同下段右写真からうかがわれるSiとNが存在する位置に反するものではない。

カ(ア)図16は、その上段左写真が図10下段右写真(及び図11左写真)と実質的に同じものであって、他の写真は当該上段左写真に関連する写真である。図16上段右写真は、図11中央写真と実質的に同じものであり、図16下段写真は、同上段左写真に表されたa-a’切断部分の断面(以下「第2aa’断面」という。)におけるSEM像を表している。
なお、図16の上記各写真は、23事件の図14の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。


(イ)図17は、その上段写真が図16下段写真と実質的に同じものであって、下段の各写真は当該上段写真に関連する写真である。図17下段各写真は左から順に、同上段写真に表された第2aa’断面の一部の領域に対応する破線で囲まれた領域(図17上段写真において「b」と称された領域)におけるC分布、N分布、Si分布及びAl分布を表している(図17下段各写真を、左から順に、以下、「分析(5)第1写真」、「分析(5)第2写真」、「分析(5)第3写真」及び「分析(5)第4写真」という。)。
なお、図17の上記各写真は、23事件の図15の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。


(ウ)図16下段写真によれば、第2aa’断面において、小サイズ構造(TFT画素電極接続構造、丸状構造)は、穴状であることが分かる。また、図16上段左写真及び同上段右写真から把握される第2aa’断面の位置を念頭に置きつつ、上記ウ及びエで認定した画素電極並びに共通電極の形状及び配置を踏まえて図16下段写真をみれば、第2aa’断面において、小サイズ構造(TFT画素電極接続構造、丸状構造)を含む所定の範囲(左右方向にわたる範囲)には共通電極が存在せず、当該所定の範囲以外には共通電極が存在することが分かる。
そして、分析(5)第4写真によれば、第2aa’断面の一部の領域において、TFT画素電極接続構造には、その底部にAlを含む薄い厚さの領域(以下「Al薄領域」という。)が存在することが分かる。さらに、図16下段写真を併せみれば、第2aa’断面において、画素電極は、TFT画素電極接続構造の穴状構造の側面に沿って底部に向けて延在し、Al薄領域に接することが分かる。また、図17上段写真(図16下段写真と同じである。)と分析(5)第1写真?同第3写真によれば、第2aa’断面の一部の領域において、共通電極から、その深さ方向下側にあるAl薄領域に至るまでの所定の厚さの領域に、C、Si及びNが存在することが分かるが、これらの元素は、直ちに導電性があるとはいえないものである。

(エ)そして、液晶表示装置の技術分野において、TFTと画素電極とを接続するために穴状構造(コンタクトホール)を採用すること、TFTと画素電極とを接続するための配線層を設けること、導通を防止する箇所を絶縁部材で形成すること、がいずれも技術常識である。
そうすると、第2aa’断面において穴状となっているTFT画素電極接続構造は、TFTと画素電極とを接続するためのコンタクトホールであると推認できる。第2aa’断面の一部の領域においてTFT画素電極接続構造の底部にあるAl薄領域は、TFTと画素電極とを接続するための配線層(以下「Al配線層」という。)であると推認でき、Al配線層が存在する位置はコンタクトホールの底部であると推認できる。
共通電極からその深さ方向下側にあるAl配線層に至るまでの所定の厚さの領域は絶縁層であると推認できる。
共通電極開口部は、TFT画素電極接続構造の周囲に存在する(上記エ(エ))ことから、コンタクトホールを取り囲むように形成されるものであり、このことから、図16下段写真(図17上段写真も同じである。)から分かる共通電極が存在しない所定の範囲(左右方向にわたる範囲)は、共通電極開口部を表していると推認できる。
画素電極とAl配線層とは、共通電極開口部及びコンタクトホールを介して接続されていると推認できる。

(オ)小括
以上のとおり、イ号物件では、共通電極がコンタクトホール(TFT画素電極接続構造)の周囲に共通電極開口部を有し、画素電極は、共通電極開口部及びコンタクトホールを介してその底部に存在するTFTと画素電極を接続するための配線層(Al配線層)に接続し、共通電極から、その深さ方向下側にある上記配線層(Al配線層)に至るまでは、絶縁層となっている。

キ(ア)図19は、その左写真が図11中央写真及び図16上段右写真と実質的に同じものであって、他の各写真は当該左写真に関連する写真である。図19左写真の一部拡大図が同上段右写真であり、同左写真のa-a’切断部分の断面(以下「第3aa’断面」という。)におけるSEM像が同下段右写真である。
なお、図19の上記各写真は、23事件の図17の同じ位置関係にある各写真と、同じ位置付けのものとなっている。

a 図19左写真からは、丸状構造(TFT画素電極接続構造、コンタクトホール)の近傍に当該構造に接した画素電極の部分が存在し、さらに丸状構造の周囲に、角が取れた略四角形が存在することが分かる。そして、図19左写真から把握される第3aa’断面の位置を念頭に置きつつ、上記ウ及びエで認定した画素電極並びに共通電極の形状及び配置を踏まえて図19下段右写真をみれば、第3aa’断面に共通電極開口部があることが分かり、当該共通電極開口部の境界の位置と略四角形の外郭の位置とが概ね一致することが分かる。
また、図19左写真と図13中央写真とを対比すると、略四角形の形状は、図13中央写真から分かる共通電極開口部(上記エ(ウ)のとおり、In不存在領域と近傍In少量領域を併せた領域である。)の形状の一つと概ね同一であることが分かる。

b 図19左写真及び同上段右写真によれば、2個の画素電極開口部は、いずれも、その長手方向の一端が円弧状に形成されていることが分かる。そして、2個の画素電極開口部の当該円弧状の部分の一部は、いずれも、略四角形と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心とから観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度であることが分かる。
なお、23事件のイ号物件と24事件のイ号物件とは、画素電極開口部の個数が異なる。
c 図13中央写真によれば、共通電極開口部(In不存在領域と近傍In少量領域を併せた領域)には、金色丸状構造を1個のみ含むものと、隣り合う2個を含むものとが存在していることが分かる。
他方で、同写真によれば、共通電極開口部と画素電極開口部(概ね、In大量一定領域と金色丸状構造とで囲まれた領域)との平面視での重なりの程度は、画素領域ごとに特段の差異がないことがうかがわれる。

(イ)上記(ア)aの認定に、共通電極開口部の境界において、共通電極の有無の差に由来してSEM像に影響があると考えられることを併せ考慮すると、略四角形は、共通電極開口部の外郭形状を反映したものであると推認できる。また、上記イ(ア)のとおり、丸状構造(コンタクトホール)は、1個の画素領域の中に1個のみ存在することから、その周囲にある共通電極開口部(上記カ(オ))も、1個の画素領域の中に1個のみ存在し、2個の画素電極開口部は、いずれも、このような共通電極開口部付近にあるといえる。
よって、画素電極開口部がその長手方向の一端において平面視で重なっているものは共通電極開口部であり(重なりの程度は上記(ア)bのとおりである。)、そのような画素電極開口部は、共通電極開口部付近にあることになる。
そして、このような画素電極開口部と共通電極開口部との平面視での重なりは、上記(ア)cを踏まえると、共通電極開口部の形状に異なるものがあるとしても、各画素領域において共通していると推認できる。

(ウ)小括
以上によれば、イ号物件では、共通電極開口部付近における2個の画素電極開口部は、いずれも、その長手方向の一端の形状が円弧状であり、当該円弧状の部分の一部は共通電極開口部と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心とから観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度である。
なお、23事件のイ号物件と24事件のイ号物件とは、画素電極開口部の個数が異なる。

ク 液晶表示装置の技術分野においては、画素電極と共通電極との間に電圧が印加されて液晶分子が駆動されることが技術常識である。よって、イ号物件は、画素電極と共通電極との間に電圧が印加されて液晶分子が駆動されるものと推認できる。
また、上記ウ(エ)及びエ(エ)で認定したとおり、イ号物件では、画素電極は画素電極開口部を備えており、共通電極は、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように延在しているところ、液晶表示装置の技術分野においては、画素電極と共通電極との間に電圧を印加すると、両者の間に電界が形成されることが技術常識である。そうすると、イ号物件は、画素電極と共通電極との間に電圧が印加された場合、画素電極と共通電極との間に、画素電極開口部を介して電界が形成されると推認できる。

ケ イ号物件の構成についての小括
以上によれば、イ号物件は、次のとおりの構成(以下「24事件当審認定構成」という。)を備えると認められる。
a 画素電極であって、膜状のITOから構成されており、平面視で、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形に、一組の短辺の中点同士を結ぶ線分を追加した形状であり、これらの辺又は線分により囲まれた領域は2個の画素電極開口部を形成する、画素電極と、(上記ウ(エ))
共通電極であって、膜状のITOから構成されており、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように延在する、共通電極と、(上記エ(エ))
画素電極と共通電極との間に存在する絶縁層と、(上記オ(イ))
を含み、
画素電極と共通電極との間に電圧が印加されて液晶分子が駆動され、画素電極と共通電極との間に電圧が印加された場合、画素電極と共通電極との間に、画素電極開口部を介して電界が形成される液晶ディスプレイであって、(上記ク)
b 共通電極から、その深さ方向下側にあるTFTと画素電極とを接続するためのAlを含む配線層に至るまでは、絶縁層となっており、(上記カ(オ))
c 共通電極が、TFTと画素電極とを接続するためのコンタクトホールの周囲に共通電極開口部を有し、画素電極は、共通電極開口部及びコンタクトホールを介して、その底部に存在するTFTと画素電極を接続するためのAlを含む前記配線層に接続し、(上記カ(オ))
d 共通電極開口部付近における2個の画素電極開口部は、いずれも、その長手方向の一端の形状が円弧状であり、当該円弧状の部分の一部は共通電極開口部と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心から観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度である、(上記キ(ウ))
e 液晶ディスプレイ。

2 充足性の有無
イ号物件は、本件発明との対比の観点では、23事件のイ号物件とは、画素電極の形状(画素電極開口部の個数)のみが異なり、この点は、充足性の判断に影響しない。そして、被請求人の主張は、24事件と23事件とで実質的な相違がない。
よって、上記第4の2と同様の議論(ただし、23事件当審認定構成を24事件当審認定構成に読み替えるとともに、23事件の甲2の各図面を24事件の甲2の対応する各図面に読み替える。また、23事件の甲2の図12に対応するのは、24事件の甲2の図14である。)により、イ号物件は、本件発明の構成要件をすべて充足する。

3 24事件についてのまとめ
以上のとおり、イ号物件は、本件発明の構成要件をすべて充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。

第6 25事件についての当審の判断
1 イ号物件について
(1)25事件の判定請求に係るイ号物件
型式番号YB8PN1310109F。

(2)イ号物件の構成
甲第2号証(調査報告書(特許第4329828号/YB8PN1310109F)、令和2年8月26日、弁護士 高橋雄一郎作成)(以下、証拠は、「第」及び「号証」を略して表記する。)によれば、イ号物件の構成について次の事実が認められる。なお、以下、断りがない限り、頁番号や図面番号は甲2のものを示し、色彩は甲2に基づいて特定する。
ア イ号物件は、「液晶ディスプレイ」である(6頁)。

イ(ア)図10は、イ号物件のTFTアレイ基板とされる基板(以下「本件基板」という。)の光学顕微鏡写真である。図10の各写真のうち、上段の左側にある写真(以下「図10上段左写真」という。以下、他の写真も同様に、図面番号にその写真が配置された位置を後置して表記する。)が本件基板の表面を撮影したものであり、その一部の領域を順次拡大して撮影した写真が、同下段左写真、同上段右写真及び同下段右写真である。
なお、図10の上記各写真は、23事件の図8の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。

また、図18は、同左写真が本件基板を表面側から撮影した写真であり、同右写真が同じ領域を裏面側から撮影した写真である。
なお、図18の上記各写真は、23事件の図16の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。

図10上段右写真によれば、イ号物件には、複数本の概ね縦方向に延びた線状構造(以下、概ね縦方向に延びた線状構造を「縦線状構造」という。)と複数本の概ね横方向に延びた線状構造(以下、概ね横方向に延びた線状構造を「横線状構造」という。)とが配されており、隣り合った縦線状構造と隣り合った横線状構造とによって略平行四辺形の領域が形成されていることが分かる(以下、液晶表示装置の表示面を正面からみるときの観測者の視点を「平面視」という。)。また、図18左写真と同右写真からみて、縦線状構造及び横線状構造の裏側に、それらに重なるように配された線状構造が存在することも分かる。
さらに、図10上段右写真の一部の領域の拡大写真である図10下段右写真によれば、縦線状構造と横線状構造の交点付近に、縦線状構造付近を一方の端部とするとともに横線状構造付近を他方の端部とする黄色のL字状(アルファベットの「L」を反時計回りに90°回転させた形状である。)の構造が配されているとともに、当該他方の端部付近に小さいサイズの構造(以下「小サイズ構造」という。)が配されていることが分かり、小サイズ構造は、図10上段右写真によれば、1の略平行四辺形の領域内において平面視下方に1つのみ配されていることが分かる。

(イ)ところで、液晶表示装置においては、複数行のゲート信号線と複数列の映像信号線とが配されること、隣り合ったゲート信号線と隣り合った映像信号線とで囲まれた各領域(以下「画素領域」という。)には、それぞれ画素電極があること、ゲート信号線及び映像信号線にそれぞれ接続される電極を有するTFTがそれらの信号線の交点付近に配されること、画素電極はゲート信号線を通るゲート信号によって駆動されるTFTを介して映像信号線と接続されること、がいずれも技術常識である。
そうすると、図10上段右写真及び同下段右写真においては、縦線状構造又はその裏側にある線状構造のいずれかが映像信号線、横線状構造又はその裏側にある線状構造のいずれかがゲート信号線、黄色のL字状構造がTFT、をそれぞれ意味しており、また、イ号物件は、隣り合った映像信号線と隣り合ったゲート信号線とによって区画された略平行四辺形からなる画素領域に、画素電極を備えると推認できる。
小サイズ構造については、当該構造が、TFTの両端部のうち、映像信号線の側の端部ではなく、映像信号線から離れた側の端部に近接していること、1個の画素領域の中に1個のみ存在すること、からみて、TFTと当該画素領域内の画素電極とを接続するための構造(以下「TFT画素電極接続構造」という。)であると推認できる。そして、TFT画素電極接続構造は、各画素領域内において、平面視下方に存在する。

(ウ)小括
以上によれば、イ号物件は、概ね縦方向に延びた複数本の映像信号線と概ね横方向に延びた複数のゲート信号線とをそれぞれ備えるとともに、それらの信号線で囲われた略平行四辺形の各領域からなる各画素領域にそれぞれ画素電極を備えている。そして、画素電極は、映像信号線から、TFT及びTFT画素電極接続構造をこの順に介して接続されている。

ウ(ア)図11は、図10下段右写真に関連する写真である。図11左写真は、図10下段右写真と実質的に同じものであり、図11中央写真は、図11左写真に対応するSEM像を表しており、図11右写真は、図11左写真及び図11中央写真に表されたa-a’切断部分を斜視したSEM像を表している。
なお、図11の上記各写真は、23事件の図9の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。

図11中央写真(SEM写真)によれば、イ号物件には、SEM写真上の構造として、丸状の構造(以下「丸状構造」といい、中心近傍は模様のあるやや明るい灰色であり、その径方向外側は白色になっている。)と、丸状構造に接したやや明るい灰色の構造(以下「上方明灰色構造」という。)とが配されており、上方明灰色構造は、丸状構造に接してその近傍にある部分(以下「近傍部分」という。)と、近傍部分の平面視上方に結合して平面視でやや左に傾斜して上方に延びる3本の概ね等間隔で平行な線状部分(以下「上方線状部分」という。)とからなることが分かる。
また、丸状構造の平面視下方に、当該丸状構造から少し離れて、上方明灰色構造の色と同一の色をもつ構造(以下「下方明灰色構造」という。)が配されており、下方明灰色構造は、左右方向に延びる短い長さの線状部分と当該線状部分の一端、中点及び他端付近を起点として平面視でやや左に傾斜して下方に延びる3本の概ね等間隔で平行な線状部分(以下「下方線状部分」という。)とからなることが分かる。
そして、上方線状部分の延びる方向と下方線状部分の延びる方向とがなす角度(以下「上方明灰色構造と下方明灰色構造とがなす角度」などという。)は、180°よりもやや小さく、また、上方線状部分の各線の太さ及び間隔は、下方線状部分のそれらと同一であることが分かる。
しかし、上方明灰色構造及び下方明灰色構造は、それぞれ、同写真の上端及び下端で切れてしまっているため、同写真からは、上方明灰色構造及び下方明灰色構造の全体形状を見て取ることができない。
なお、23事件のイ号物件と25事件のイ号物件とは、丸状構造の色合い等が異なる点のほか、上方線状部分及び下方線状部分が、23事件は平行な2本からなるのに対し、25事件は平行な概ね等間隔の3本からなる点で相違している。

(イ)丸状構造について
a 上記(ア)を踏まえ、まず、丸状構造について検討する。
丸状構造が表れている図11中央写真と同左写真(上記イ(ア)のとおり、小サイズ構造が表れている。)とを対比すると、丸状構造は小サイズ構造(TFT画素電極接続構造)と同じ位置にあることが分かる。

b 上記aによれば、丸状構造は、小サイズ構造と同様に、TFT画素電極接続構造であるとみるのが相当である。

(ウ)上方明灰色構造及び下方明灰色構造について
次に、上方明灰色構造及び下方明灰色構造について検討する。
a 上方明灰色構造の断面構造について
(a)図12は、図11左写真及び同中央写真の双方に表されたa-a’切断部分(以下、当該切断部分の断面を「第1aa’断面」という。)に係る写真である。図12上段写真は、第1aa’断面におけるSEM像を表しており、図12下段左写真、同中央写真及び同右写真は、それぞれ、図12上段写真に表された第1aa’断面の一部の領域に対応する破線で囲まれた領域(図12上段写真において「b」と称された領域)におけるIn分布、O分布及びSi分布を表している。
なお、図12の上記各写真は、23事件の図10の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。

図12上段写真及び図11右写真によれば、上方明灰色構造は、第1aa’断面において、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、極めて薄い厚さの領域として存在していることが分かる。そして、図12下段左写真及び同下段中央写真によれば、上方明灰色構造は、第1aa’断面の一部の領域において、InとOを含むことが分かる。

(b)このように、上方明灰色構造は、第1aa’断面の一部の領域において、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、InとOを少なくとも含む極めて薄い厚さの領域として存在している。

b 上方明灰色構造及び下方明灰色構造の平面視での全体形状について
(a)上記(ア)で説示したとおり、図11中央写真(SEM写真)における上方明灰色構造及び下方明灰色構造は、平面視での全体形状を見て取ることができない。
そこで検討すると、まず、図10下段左写真によれば、イ号物件では、縦方向に隣り合った画素領域は、それらの形状が互いに左右反転しており、それらの長手方向同士がなす角度が180°よりもやや小さいことが分かる。そして、当該長手方向同士がなす角度は、当該図10下段左写真と図11中央写真とを対比すると、上記(ア)で認定した上方明灰色構造と下方明灰色構造とがなす角度に、よく一致することが分かる。

(b)上記(a)に、丸状構造(TFT画素電極接続構造)は、画素領域内において、平面視下方に存在し(上記イ(イ))、上方明灰色構造は、丸状構造に接しつつ平面視で概ね上方に延びている(上記(ア))ことを併せ考慮すると、上方明灰色構造と、当該構造の平面視下方にある下方明灰色構造とは、縦方向に隣り合った2つの画素領域に、それぞれ属するとみるのが相当である。
このことに、上方明灰色構造の色と下方明灰色構造の色が同一であるとともに、上方線状部分の各線の太さ及び間隔が下方線状部分のそれらと同一であること(上記(ア))、画素領域内の構造の形状は各画素領域において一定の共通性があると考えられること、他方で、縦方向に隣り合った画素領域はそれらの形状が互いに左右反転していること(上記(a))、を併せ考慮すると、上方明灰色構造と下方明灰色構造は、属する画素領域が異なっていることを措けば、同じ構造に由来するものであって、そのため、上方明灰色構造の平面視での全体形状は、上方線状部分よりも平面視上方において、下方明灰色構造が左右反転して連結した形状(以下、この全体形状の構造を「第1形状構造」という。)となっており、下方明灰色構造の平面視での全体形状は、下方線状部分よりも平面視下方において、上方明灰色構造が左右反転して連結した形状(以下、この全体形状の構造を「第2形状構造」という。)となっていると推認できる。
そうすると、イ号物件では、縦方向に隣り合った2つの画素領域が、それぞれ第1形状構造と第2形状構造を備えていることになり、第1形状構造と第2形状構造(以下、これらの構造を総称して、「明灰色構造」という。)とは、左右反転した形状の関係にある。そして、明灰色構造の平面視での全体形状は、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形に、一組の短辺の中点同士を結ぶ線分を追加した形状(これらの辺又は線分により囲まれた領域は2個の開口を形成している。)からなる部分と、丸状構造に接してその近傍にある部分(上記一組の短辺のうちの一方を含んでいる。)とからなるといえる。

(c)以上によれば、イ号物件では、各明灰色構造は各画素領域にそれぞれ属しており、明灰色構造の平面視での全体形状は、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形に、一組の短辺の中点同士を結ぶ線分を追加した形状(これらの辺又は線分により囲まれた領域は2個の開口を形成している。)からなる部分と、丸状構造に接してその近傍にある部分(上記一組の短辺のうちの一方を含んでいる。)とからなる。また、明灰色構造の平面視での全体形状は、縦方向に隣り合った画素領域において、互いに左右反転した形状である。
なお、イ号物件と23事件のイ号物件とは、明灰色構造の平面視での全体形状が異なる。

c 明灰色構造の材料及び機能等について
(a)図13は、イ号物件のSIMS分析結果に関する写真である。図13中央写真及び同右写真は、それぞれ、In及びSnの2次元マッピングを表している。
なお、図13中央写真及び同右写真が、それぞれ、23事件の図11左写真及び同右写真と同じ位置付けとなっているが、図13左写真と同じ位置付けの写真は、23事件の図11には存在しない。

図13中央写真によれば、イ号物件には、SIMS分析結果上の構造として、概ね金色の丸状の構造(以下「金色丸状構造」という。)が配されていること、各金色丸状構造付近を端部として平面視でやや右に傾斜して上方に延びるInの量が大きい値で一定となっている領域(以下「In大量一定領域」という。)が配されていること、In大量一定領域同士は互いに接していないこと、各金色丸状構造の近傍に存在し、当該金色丸状構造に接するとともにIn大量一定領域の端部にも接した、Inの量が少ない領域(以下「近傍In少量領域」という。)と、Inが存在しない領域(以下「In不存在領域」という。)とが配されていること、In大量一定領域の周辺を含む広い範囲(近傍In少量領域を除く。)においてInの量が少ない値で一定になっている領域(以下「In少量一定領域」という。In少量一定領域は、近傍In少量領域を含まない。)が配されていることが分かる。
図11中央写真と図13中央写真とを対比すると、上記b(c)で認定した明灰色構造の平面視での全体形状とIn大量一定領域の形状とが、左右反転した形状も考慮すると、丸状構造の近傍を除いてよく一致することが分かり、また、金色丸状構造がIn大量一定領域に対して存在する位置が、丸状構造が明灰色構造(丸状構造の近傍を除いたもの)に対して存在する位置とよく一致することも分かる。そして、図13右写真から分かるSnの分布の大小は、同左写真のInの分布の大小に、概ね対応していることがうかがわれる。

(b)しかるに、明灰色構造は、上記aで認定したとおり、第1aa’断面の一部の領域において、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、InとOを含む極めて薄い厚さの領域として存在しているとともに、上記(ア)で認定したとおり、各丸状構造(TFT画素電極接続構造)にそれぞれ接して配されている。さらに、上記bで認定したとおり、各明灰色構造は、各画素領域に属しているから、各画素領域ごとに独立して存在していることになる。そして、液晶表示装置の技術分野においては、液晶駆動用の電極として膜状のITO(インジウム・スズ・オキサイド)が使用されること、そのための電極には画素電極と共通電極があること、画素電極は各画素領域で独立したものであり、共通電極は各画素領域にわたって共通したものであること、が技術常識である。
そうすると、図11中央写真における明灰色構造は、膜状のITOからなる画素電極であると推認できる。In大量一定領域は、明灰色構造(画素電極)に対応し、金色丸状構造は、丸状構造と同様に、TFT画素電極接続構造とみるのが相当である。そして、近傍In少量領域は、In大量一定領域に接するとともにTFT画素電極接続構造に接していることから、後記エ(ウ)でも説示するとおり、明灰色構造(画素電極)に対応するというのが相当であって、このことは、In大量一定領域と近傍In少量領域とを併せた領域の形状と明灰色構造の平面視での全体形状との間に類似性があり、差異があるとはいえないことからも首肯できる。
また、画素電極は、TFTとの接続部付近を除いて平坦な構造となっていることが一般的であるから、イ号物件の画素電極は、TFT画素電極接続構造付近を除き、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、存在していると推認できる。
なお、明灰色構造(画素電極)におけるInの量は、In大量一定領域に属する部分と近傍In少量領域に属する部分との間で同じではないことになるが、それは見かけのものであって、後記エ(ウ)のとおり、In大量一定領域においては画素電極と共通電極との2層が存在することが反映されたものである。

(c)このように、丸状構造及び明灰色構造は、それぞれ、TFT画素電極接続構造及び画素電極であり、画素電極は、膜状のITOから構成されている。
画素電極は、TFT画素電極接続構造付近を除き、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、存在している。

(エ)小括
以上のとおり、図11中央写真(SEM写真)に表れている丸状構造及び明灰色構造は、それぞれ、TFT画素電極接続構造及び画素電極である。
画素電極は、膜状のITOから構成されており、平面視で、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形に、一組の短辺の中点同士を結ぶ線分を追加した形状からなる部分(これらの辺又は線分により囲まれた領域は2個の開口を形成しており、以下「画素電極開口部」という。)と、TFT画素電極接続構造に接してその近傍にある部分(上記一組の短辺のうちの一方を含んでいる。)とからなっている。
画素電極は、TFT画素電極接続構造付近を除き、本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って、存在している。
また、画素電極は、その一方の短辺付近において、TFT画素電極接続構造(小サイズ構造、丸状構造)と接続されており、当該構造を介して映像信号線に接続されている。
なお、23事件のイ号物件と25事件のイ号物件とは、画素電極の平面視における形状が異なる。

エ(ア)上記ウ(エ)のとおり、明灰色構造は画素電極であるから、次に、共通電極について検討する。

(イ)a まず、図12上段写真によれば、第1aa’断面において、画素電極(本件基板の表面から深さ方向わずか下側に、表面に沿って存在している。)よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極と平行に延在する極めて薄い厚さの領域(以下「画素電極下側延在領域」という。)が存在することが分かる。そして、図12下段左写真及び同下段右写真によれば、画素電極下側延在領域の一部の領域には、InとOが少なくとも含まれていることが分かる。

b 上記ウ(ウ)c(a)で認定したとおり、図13中央写真には、In大量一定領域の周囲を含む広い範囲におけるIn少量一定領域と金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)の近傍にあるIn不存在領域とが表れており、また、図13右写真から分かるSnの分布の大小は、同左写真のInの分布の大小に、概ね対応していることがうかがわれる。
そして、図13中央写真によれば、In少量一定領域は、画素領域間で分断されていないことが分かる。

(ウ)このように、第1aa’断面の一部の領域においては、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、InとOを少なくとも含む画素電極下側延在領域が存在しており、他方、平面視では、画素電極の一部に該当するがInの量が多くなっているIn大量一定領域と、当該画素電極の周辺にある画素領域間で分断されないIn少量一定領域(その領域の形状に概ね整合して、Snの量も少なくなっている。)とが存在し、さらに、TFT画素電極接続構造の近傍にIn不存在領域が存在する。
そして、上記ウ(ウ)c(b)で認定したとおり、液晶表示装置の技術分野においては、液晶駆動用の電極として膜状のITO(インジウム・スズ・オキサイド)が使用されること、共通電極は各画素領域にわたって共通したものであること、が技術常識であり、これらに加えて、画素電極と共通電極とが短絡していないこと、同一基板内に画素電極と共通電極の双方が備わった構造が存在することも、技術常識である。
そうすると、第1aa’断面の一部の領域における画素電極下側延在領域は、共通電極に対応するものであって、当該共通電極は、平面視で、図13中央写真のIn少量一定領域とIn大量一定領域とを合わせた形状(画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように、延在していることになる。)であると推認できる。すなわち、In大量一定領域は、画素電極の一部に該当する領域である(上記ウ(ウ)c(b))が、Inが大量になっている理由は、その真下に共通電極も存在することにあると理解できる。In少量一定領域においてInが少量になっている理由は、画素電極が存在せず、共通電極のみが存在することにあると理解できる。近傍In少量領域は、画素電極の一部に該当する領域である(上記ウ(ウ)c(b))が、金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)に接しているから、共通電極であってはならないと理解でき、その領域でInが少量になっていることは、画素電極のみが存在し、共通電極が存在しないことを意味する。In不存在領域は、画素電極も共通電極も存在しない領域である。
また、共通電極は、共通配線等との接続部付近を除いて平坦な構造となっていることが一般的であるから、イ号物件の共通電極は、当該接続部付近を除き、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、表面に沿って、存在していると推認できる。
さらに、金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)の周囲に共通電極が存在しない開口(以下「共通電極開口部」という。)が存在していると推認できる。すなわち、上記のとおり、画素電極の深さ方向下側に共通電極が存在する場合において、画素電極を、金色丸状構造(TFT画素電極接続構造)に接するようにしつつ、共通電極に接しないようにするためには、TFT画素電極接続構造の周囲において共通電極が存在してはならない(換言すれば、共通電極に開口部が存在しなければならない。)ことが明らかであるし、また、このような共通電極開口部が存在することは、図13中央写真において、In不存在領域及び近傍In少量領域の両者(上記のとおり、共通電極が存在しないといえる。)を併せた領域と金色丸状構造との配置関係からみても、首肯できる。

(エ)小括
以上のとおり、イ号物件では、共通電極は、膜状のITOから構成されており、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように延在している。また、共通電極には、TFT画素電極接続構造の周囲に共通電極開口部が存在している。

オ(ア)図15は、図13と同様に、a-a’切断部分に係る写真である。図15上段写真は、図12上段写真と同じく、第1aa’断面におけるSEM像を表しており、図15下段左写真、同下段中央写真及び同下段右写真は、それぞれ、図15上段写真に表された第1aa’断面の一部の領域に対応する破線で囲まれた領域(図15上段写真において「b」と称された領域)におけるIn分布、O分布及びSi分布を表している。
なお、図15の上記各写真(同下段中央写真を除く。)は、23事件の図13の同じ位置関係にある各写真(同下段中央写真を除く。)と、それぞれ同じ位置付けのものとなっているが、図15下段中央写真と、23事件の図13下段中央写真とは、O分布とN分布とで異なる。

図15下段左写真は、図12下段左写真と同じものであって、画素電極とその深さ方向わずかに下側に存在する共通電極とに含まれるInを表していることになる。

(イ)そして、液晶表示装置の技術分野において、同一基板内に設けられた画素電極と共通電極との間に絶縁層が存在することは技術常識である。
そうすると、イ号物件では、画素電極と共通電極との間には、絶縁層が存在すると推認でき、このことは、図15下段中央写真及び同下段右写真からうかがわれるSiとOが存在する位置に反するものではない。

カ(ア)図16は、その上段左写真が図10下段右写真(及び図11左写真)と実質的に同じものであって、他の写真は当該上段左写真に関連する写真である。図16上段右写真は、図11中央写真と実質的に同じものであり、図16下段写真は、同上段左写真に表されたa-a’切断部分の断面(以下「第2aa’断面」という。)におけるSEM像を表している。
なお、図16の上記各写真は、23事件の図14の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。


(イ)図17は、その上段写真が図16下段写真と実質的に同じものであって、下段の各写真は当該上段写真に関連する写真である。図17下段各写真は左から順に、同上段写真に表された第2aa’断面の一部の領域に対応する破線で囲まれた領域(図17上段写真において「b」と称された領域)におけるC分布、N分布、Si分布及びAl分布を表している(図17下段各写真を、左から順に、以下、「分析(5)第1写真」、「分析(5)第2写真」、「分析(5)第3写真」及び「分析(5)第4写真」という。)。
なお、図17の上記各写真は、23事件の図15の同じ位置関係にある各写真と、同じ位置付けのものとなっている。


(ウ)図16下段写真によれば、第2aa’断面において、小サイズ構造(TFT画素電極接続構造、丸状構造)は、穴状であることが分かる。また、図16上段左写真及び同上段右写真から把握される第2aa’断面の位置を念頭に置きつつ、上記ウ及びエで認定した画素電極並びに共通電極の形状及び配置を踏まえて図16下段写真をみれば、第2aa’断面において、小サイズ構造(TFT画素電極接続構造、丸状構造)を含む所定の範囲(左右方向にわたる範囲)には共通電極が存在せず、当該所定の範囲以外には共通電極が存在することが分かる。
そして、分析(5)第4写真によれば、第2aa’断面の一部の領域において、TFT画素電極接続構造には、その底部にAlを含む薄い厚さの領域(以下「Al薄領域」という。)が存在することが分かる。さらに、図16下段写真を併せみれば、第2aa’断面において、画素電極は、TFT画素電極接続構造の穴状構造の側面に沿って底部に向けて延在し、Al薄領域に接することが分かる。また、図17上段写真(図16下段写真も同じである。)と分析(5)第1写真?同第3写真によれば、第2aa’断面の一部の領域において、共通電極から、その深さ方向下側にあるAl薄領域に至るまでの所定の厚さの領域に、C、Si及びNが存在することが分かるが、これらの元素は、直ちに導電性があるとはいえないものである。

(エ)そして、液晶表示装置の技術分野において、TFTと画素電極とを接続するために穴状構造(コンタクトホール)を採用すること、TFTと画素電極とを接続するための配線層を設けること、導電を防止する箇所を絶縁部材で形成すること、がいずれも技術常識である。
そうすると、第2aa’断面において穴状となっているTFT画素電極接続構造は、TFTと画素電極とを接続するためのコンタクトホールであると推認できる。第2aa’断面の一部の領域においてTFT画素電極接続構造の底部にあるAl薄領域は、TFTと画素電極とを接続するための配線層(以下「Al配線層」という。)であると推認でき、Al配線層が存在する位置はコンタクトホールの底部であると推認できる。
共通電極からその深さ方向下側にあるAl配線層に至るまでの所定の厚さの領域は絶縁層であると推認できる。
共通電極開口部は、TFT画素電極接続構造の周囲に存在する(上記エ(エ))ことから、コンタクトホールを取り囲むように形成されるものであり、このことから、図16下段写真(図17上段写真も同じである。)から分かる共通電極が存在しない所定の範囲(左右方向にわたる範囲)は、共通電極開口部を表していると推認できる。
画素電極とAl配線層とは、共通電極開口部及びコンタクトホールを介して接続されていると推認できる。

(オ)小括
以上のとおり、イ号物件では、共通電極がコンタクトホール(TFT画素電極接続構造)の周囲に共通電極開口部を有し、画素電極は、共通電極開口部及びコンタクトホールを介してその底部に存在するTFTと画素電極を接続するための配線層(Al配線層)に接続し、共通電極から、その深さ方向下側にある上記配線層(Al配線層)に至るまでは、絶縁層となっている。

キ(ア)図19は、その左写真が図11中央写真及び図16上段右写真と実質的に同じものであって、他の各写真は当該左写真に関連する写真である。図19左写真の一部拡大図が同上段右写真であり、同左写真のa-a’切断部分の断面(以下「第3aa’断面」という。)におけるSEM像が同下段右写真である。
なお、図19の上記各写真は、23事件の図17の同じ位置関係にある各写真と、それぞれ同じ位置付けのものとなっている。

a 図19左写真からは、丸状構造(TFT画素電極接続構造、コンタクトホール)の近傍に当該構造に接した画素電極の部分が存在し、さらに丸状構造の周囲に、角が取れた略四角形が存在することが分かる。そして、図19左写真から把握される第3aa’断面の位置を念頭に置きつつ、上記ウ及びエで認定した画素電極並びに共通電極の形状及び配置を踏まえて図19下段右写真をみれば、第3aa’断面に共通電極開口部があることが分かり、当該共通電極開口部の境界の位置と略四角形の外郭の位置とが概ね一致することが分かる。
また、図19左写真と図13中央写真とを対比すると、略四角形の形状は、図13中央写真から分かる共通電極開口部(上記エ(ウ)のとおり、In不存在領域と近傍In少量領域を併せた領域である。)の形状の一つと概ね同一であることが分かる。

b 図19左写真及び同上段右写真によれば、2個の画素電極開口部は、いずれも、その長手方向の一端が円弧状に形成されていることが分かる。そして、2個の画素電極開口部の当該円弧状の部分の一部は、いずれも、略四角形と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心とから観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度であることが分かる。
なお、23事件のイ号物件と25事件のイ号物件とは、画素電極開口部の個数が異なる。
c 図13中央写真によれば、共通電極開口部(In不存在領域と近傍In少量領域を併せた領域)は、いずれも、金色丸状構造を1個のみ含んでいるが、やや形状が異なるものがあることが分かる。
他方で、同写真によれば、共通電極開口部と画素電極開口部(概ね、In大量一定領域と金色丸状構造とで囲まれた領域)との平面視での重なりの程度は、画素領域ごとに特段の差異がないことがうかがわれる。

(イ)上記(ア)aの認定に、共通電極開口部の境界において、共通電極の有無の差に由来してSEM像に影響があると考えられることを併せ考慮すると、略四角形は、共通電極開口部の外郭形状を反映したものであると推認できる。また、上記イ(ア)のとおり、丸状構造(コンタクトホール)は、1個の画素領域の中に1個のみ存在することから、その周囲にある共通電極開口部(上記カ(オ))も、1個の画素領域の中に1個のみ存在し、2個の画素電極開口部は、いずれも、このような共通電極開口部付近にあるといえる。
よって、画素電極開口部がその長手方向の一端において平面視で重なっているものは共通電極開口部であり(重なりの程度は上記(ア)bのとおりである。)、そのような画素電極開口部は、共通電極開口部付近にあることになる。
そして、このような画素電極開口部と共通電極開口部との平面視での重なりは、上記(ア)cを踏まえると、共通電極開口部の形状に異なるものがあるとしても、各画素領域において共通していると推認できる。

(ウ)小括
以上によれば、イ号物件では、共通電極開口部付近における2個の画素電極開口部は、いずれも、その長手方向の一端の形状が円弧状であり、当該円弧状の部分の一部は共通電極開口部と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心とから観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度である。
なお、23事件のイ号物件と25事件のイ号物件とは、画素電極開口部の個数が異なる。

ク 液晶表示装置の技術分野においては、画素電極と共通電極との間に電圧が印加されて液晶分子が駆動されることが技術常識である。よって、イ号物件は、画素電極と共通電極との間に電圧が印加されて液晶分子が駆動されるものと推認できる。
また、上記ウ(エ)及びエ(エ)で認定したとおり、イ号物件では、画素電極は画素電極開口部を備えており、共通電極は、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように延在しているところ、液晶表示装置の技術分野においては、画素電極と共通電極との間に電圧を印加すると、両者の間に電界が形成されることが技術常識である。そうすると、イ号物件は、画素電極と共通電極との間に電圧が印加された場合、画素電極と共通電極との間に、画素電極開口部を介して電界が形成されると推認できる。

ケ イ号物件の構成についての小括
以上によれば、イ号物件は、次のとおりの構成(以下「25事件当審認定構成」という。)を備えると認められる。
a 画素電極であって、膜状のITOから構成されており、平面視で、一組の長辺及び一組の短辺からなる略平行四辺形に、一組の短辺の中点同士を結ぶ線分を追加した形状であり、これらの辺又は線分により囲まれた領域は2個の画素電極開口部を形成する、画素電極と、(上記ウ(エ))
共通電極であって、膜状のITOから構成されており、画素電極よりも深さ方向わずかに下側に、画素電極及び画素電極開口部のいずれの真下をも含むように延在する、共通電極と、(上記エ(エ))
画素電極と共通電極との間に存在する絶縁層と、(上記オ(イ))
を含み、
画素電極と共通電極との間に電圧が印加されて液晶分子が駆動され、画素電極と共通電極との間に電圧が印加された場合、画素電極と共通電極との間に、画素電極開口部を介して電界が形成される液晶ディスプレイであって、(上記ク)
b 共通電極から、その深さ方向下側にあるTFTと画素電極とを接続するためのAlを含む配線層に至るまでは、絶縁層となっており、(上記カ(オ))
c 共通電極が、TFTと画素電極とを接続するためのコンタクトホールの周囲に共通電極開口部を有し、画素電極は、共通電極開口部及びコンタクトホールを介して、その底部に存在するTFTと画素電極を接続するためのAlを含む前記配線層に接続し、(上記カ(オ))
d 共通電極開口部付近における2個の画素電極開口部は、いずれも、その長手方向の一端の形状が円弧状であり、当該円弧状の部分の一部は共通電極開口部と平面視で重なっており、その重なりの程度は、当該円弧状の部分とその中心から観念できる扇形の中心角でみると、90°を相当に超える程度である、(上記キ(ウ))
e 液晶ディスプレイ。

2 充足性の有無
イ号物件は、本件発明との対比の観点では、23事件のイ号物件とは、画素電極の形状(画素電極開口部の個数)のみが異なり、この点は、充足性の判断に影響しない。そして、被請求人の主張は、25事件と23事件とで実質的な相違がない。
よって、上記第4の2と同様の議論(ただし、23事件当審認定構成を25事件当審認定構成に読み替えるとともに、23事件の甲2の各図面を25事件の甲2の対応する各図面に読み替える。また、23事件の甲2の図12に対応するのは、25事件の甲2の図14である。)により、イ号物件は、本件発明の構成要件をすべて充足する。

3 25事件についてのまとめ
以上のとおり、イ号物件は、本件発明の構成要件をすべて充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。

第7 むすび
以上のとおりであるから、23事件?25事件のイ号物件は、いずれも、本件発明の技術的範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
 
判定日 2021-07-19 
出願番号 特願2007-45969(P2007-45969)
審決分類 P 1 2・ 1- YA (G02F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 俊光  
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 山村 浩
井上 博之
登録日 2009-06-26 
登録番号 特許第4329828号(P4329828)
発明の名称 液晶表示装置  
代理人 松野 知紘  
代理人 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ  
代理人 小林 英了  
代理人 大野 聖二  
代理人 盛田 真智子  
代理人 野本 裕史  
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