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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1377090
審判番号 不服2020-13564  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-29 
確定日 2021-08-31 
事件の表示 特願2019-104126号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月22日出願公開、特開2019-136595号、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成24年7月27日に出願した特願2012-166559号の一部を平成28年12月5日に新たな特許出願(特願2016-235502号)とし、さらにその一部を平成30年9月25日に新たな特許出願(特願2018-178233号)とし、さらにその一部を令和1年6月4日に新たな特許出願(特願2019-104126号)としたものであって、同年10月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月18日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年2月7日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月17日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月19日付け(送達日:同年同月30日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年9月29日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

(新規性)この出願の請求項1ないし2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(進歩性)この出願の請求項1ないし2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献2.特開2010-259723号公報

第3 本願発明
本願の請求項1ないし2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」等という。)は、令和2年4月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項によって特定されるものであるところ、本願発明1は、次のとおりのものである。なお、符号C等は、分説するため当審が付した。分説された本願発明1の発明特定事項を、符号に基づき以下「発明特定事項C」等という。

「C 遊技者に特典を付与するか否かの特典抽選処理を実行する手段と、
I 遊技回用動作を開始させた後に前記特典抽選処理の結果を報知可能な状態で当該遊技回用動作を終了させることを遊技回の1回として、各遊技回において前記遊技回用動作が実行されるように遊技回用動作手段を制御する手段と、
A 所定状態及び所定状態ではない状態のうち一方である対応側の状態である場合に、第1演出の演出内容と第2演出の演出内容との間に規則性が生じるものとなるように制御する対応制御手段と、
B 前記所定状態及び前記所定状態ではない状態のうち他方である非対応側の状態である場合に、前記第1演出の演出内容と前記第2演出の演出内容との間に前記規則性が生じないものとなるように制御する非対応制御手段と、
を備え、
E 遊技状態として、相対的に、遊技者に特典が付与され易い第1状態と、付与されにくい第2状態とが存在しており、
F 本遊技機は、
F1 前記特典抽選処理の結果が第1付与結果となったことに基づいて、前記第1状態を発生させる手段と、
F2 前記特典抽選処理の結果が第2付与結果となったことに基づいて、前記第2状態を発生させる手段と、
を備え、
G 前記所定状態は、前記第1状態となっている状態であって、遊技機の報知状態として前記第1状態及び前記第2状態のうちいずれであるかを遊技者が識別不可又は識別しづらい状態となっている状態であり、
J 1回の前記遊技回において前記第1演出及び前記第2演出の両方が実行され得る構成であり、
H 前記対応側の状態である場合には前記非対応制御手段による制御が行われない
X ことを特徴とする遊技機。」

なお、本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献2の記載、引用発明
1 令和2年2月7日付け拒絶理由で引用された引用文献2(特開2010-259723号公報。平成22年11月18日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。

(1)「【0061】
……さらに、通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率(大当り確率)が高い状態である確変状態(高確率状態ともいう)では、所定期間に亘り、特別図柄の変動時間が短縮され、それに加えて、普通図柄の変動表示時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御(普通図柄短縮制御)、普通図柄の停止図柄が当り図柄になる確率を高める制御(普通図柄確変制御)、可変入賞球装置15の開放時間を長くする制御(開放時間延長制御)、および、可変入賞球装置15の開放回数を増加させる制御(開放回数増加制御)が行なわれる時短状態に制御される場合(後述する確変大当り、第2突確大当り)と、そのような時短状態に制御されない場合(後述する第1突確大当り)とがある。」

(2)「【0064】
……遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第1特別図柄の変動表示を開始させるための第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、第1飾り図柄表示器9aにおいて第1飾り図柄の変動表示が開始され、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。……
……
【0066】
第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bにおける特別図柄の変動表示は、変動表示が行なわれるごとに設定された変動表示時間が経過したときに停止する。
【0067】
第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bでの特別図柄の表示結果(停止図柄)が、特定表示結果としての大当り図柄(大当り表示結果ともいう)であると、大当りとなる。大当りとなったときには、パチンコ遊技機1の遊技状態が、通常遊技状態から、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が開放状態と閉鎖状態とを繰返す繰返し継続制御が行なわれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態が、ラウンドと呼ばれる。
……
【0074】
また、9R長期大当りは、大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御されない通常大当りと、大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御される確変大当りとの複数種類の大当り種別に分けられる。
【0075】
また、9R短期大当りは、大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御される突然確変大当り(以下、突確大当りという略称で示す)と呼ばれる。9R短期大当りの大当り遊技状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口は9回開放状態になるが、開放時間がたとえば0.5秒というように極めて短い。そして、9R短期大当りの大当り遊技状態の終了後には、確変状態に制御される。よって、遊技者は、9R短期大当りについて、開放時間が長期間(29秒間)に設定された9R長期大当りの場合と比べて、大当りが発生したことを感じずに、あたかも、突然に遊技状態が確変状態(突然確変状態)になったかのように感じる。したがって、このような短期大当りは、突然確変大当りと呼ばれ、さらに、突確大当りという略称で呼ばれる。」

(3)「【0096】
また、演出表示装置9については、大当りとなることを予告する報知をする予告演出である大当り予告が行なわれる場合がある。予告演出としては、第1予告演出である先読み予告と、第2予告演出である今回予告とが行なわれる場合がある。……このような先読み予告は、複数回の変動表示に亘って連続的に行なわれるものであり、連続予告とも呼ばれる。また、今回予告は、大当りを発生させる契機となる変動表示(今回の変動表示)において、大当りとなることを報知する変動予告演出としての予告(大当りとなりやすことを予告してもよい)である。……」

(4)「【0097】
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2は、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む。……」

(5)「【0155】
図7(A),(B)に記載されている数値が大当り判定値または小当り判定値である。
CPU56は、所定の時期に、乱数回路503のカウント値を抽出して抽出値をランダムRの値とするのであるが、ランダムRの値が図7(A)に示すいずれかの大当り判定値に合致すると、特別図柄に関して大当り(通常大当り、確変大当り、第1突確大当り、または、第2突確大当り)にすることに決定する。また、ランダムRの値が図7(B)に示すいずれかの小当り判定値に合致すると、特別図柄に関して小当りにすることに決定する。……また、大当りまたは小当りにするか否か決定するということは、大当り遊技状態または小当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける停止図柄を大当り図柄または小当りにするか否か決定するということでもある。
【0156】
図7(C)は、ROM54に記憶されている第1特別図柄低確率時大当り種別判定テーブルを示す説明図である。第1特別図柄低確率時大当り種別判定テーブルは、通常状態である低確率時において第1特別図柄の変動表示結果を大当り図柄にする旨の判定がなされたときに、大当り種別判定用の乱数(ランダム2)に基づいて、大当りの種別を「第1突確大当り」、「第2突確大当り」、「確変大当り」、「通常大当り」のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。第1特別図柄低確率時大当り種別判定テーブルには、ランダム2の値と比較される数値であって、「第1突確大当り」、「第2突確大当り」、「確変大当り」、「通常大当り」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されている。CPU56は、ランダム2の値が大当り種別判定値のいずれかに合致した場合に、大当りの種別を、合致した大当り種別判定値に対応する種別に決定する。
【0157】
図7(D)は、ROM54に記憶されている第1特別図柄高確率時大当り種別判定テーブルを示す説明図である。第1特別図柄高確率時大当り種別判定テーブルは、確変状態である高確率時において第1特別図柄の変動表示結果を大当り図柄にする旨の判定がなされたときに、大当り種別判定用の乱数(ランダム2)に基づいて、大当りの種別を「第1突確大当り」、「第2突確大当り」、「確変大当り」、「通常大当り」のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。第1特別図柄高確率時大当り種別判定テーブルには、ランダム2の値と比較される数値であって、「第1突確大当り」、「第2突確大当り」、「確変大当り」、「通常大当り」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されている。CPU56は、ランダム2の値が大当り種別判定値のいずれかに合致した場合に、大当りの種別を、合致した大当り種別判定値に対応する種別に決定する。」

(6)「【0182】
このように、9R短期大当りにおける開放パターンは、開放パターンAのように、小当りにおける開放パターンと同一のパターンとなる場合があるので、開放パターンを見るだけでは、突確大当りであるか小当りであるかを遊技者が判断不可能となる場合がある。このような場合、演出表示装置9では、潜伏確変状態を演出するための演出モードとしての潜伏モードに制御し、確変状態が潜伏しているかもしれないことを演出する表示を行なう場合がある。ここで、「確変状態が潜伏」とは、パチンコ遊技機1の外見的な動作状態では確変状態になっているか否かを特定しにくいが、パチンコ遊技機1の内部制御状態として確変状態に制御されていることで、あたかも確変状態が潜伏しているような動作状態を示している。
【0183】
また、9R短期大当りにおける開放パターンは、開放パターンBのように、小当りにおける開放パターンと類似するパターン(開放パターンA)となる場合があるので、開放パターンを正確に観察しなければ、突確大当りであるか小当りであるかを遊技者が判断不可能となる場合がある。このような場合においても、演出表示装置9では、潜伏確変状態を演出するための演出モードとしての潜伏モードに制御し、確変状態が潜伏しているかもしれないことを演出する表示を行なう場合がある。」

(7)「【0204】
今回予告としては、群予告と呼ばれる予告種別と、ステップアップ予告と呼ばれる予告種別との複数の予告種別を含む。……
【0205】
……また、ステップアップ予告とは、複数段階の予告ステップにより予告演出がステップアップすることにより予告をする予告演出をいう。」

(8)「【0582】
次に、第2予告演出設定処理のS735で用いられるステップアップ予告の予告パターン決定用テーブルについて説明する。図57は、ステップアップ予告の予告パターン決定用テーブルを示す説明図である。
【0583】
ステップアップ予告の予告パターン決定用テーブルは、第2予告特定演出決定用の乱数SR9および第2予告パターン決定用の乱数SR10の値に基づいて、第2予告演出におけるステップアップ予告の予告パターンを複数の予告パターンのうちから選択決定するために用いられるデータテーブルである。
【0584】
図57を参照して、ステップアップ予告の予告パターン決定用テーブルは、(a)?(c)に示す3つのデータテーブルを含む。(a)には、潜伏モード以外の状態で用いられる通常時ステップアップ予告パターン決定テーブルが示されている。(b)には、潜伏モードにおいて確変状態が潜伏していない低確率状態であるときに用いられる非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルが示されている。(c)には、潜伏モードにおいて確変状態が潜伏している高確率状態であるとき用いられる潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルが示されている。
【0585】
(a)?(c)に示すテーブルでは、第2予告特定演出決定用の乱数SR9と、決定するステップアップ種別(通常ステップアップ、特定ステップアップ)との関係が示されているとともに、決定したステップアップ種別における第2予告パターン決定用の乱数SR10の値と、決定する予告パターンとの関係が示されている。ここで、通常ステップアップとは、ステップアップ演出の標準となる基本的なステップアップパターンであり、たとえば、A?DのステップがA→B→C→Dというように標準的にステップアップする演出をいう。一方、特定ステップアップとは、通常ステップアップとステップアップ順序が異なるステップアップパターンであり、たとえば、A?DのステップがA→C→B→Dというように特定のステップアップパターンでステップアップする演出をいう。このようなステップアップ種別は、予め定められたタイミングで抽出されたSR9の値に基づき選択決定される。
……
【0588】
(a)の通常時ステップアップ予告パターン決定テーブルでは、変動表示結果がはずれ表示結果となるときと、変動表示結果が大当りまたは小当りの表示結果となるときとの両方で、SR9の値にかかわらず、ステップアップ種別として通常ステップアップのみが選択決定される。……
【0589】
(b)の非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルが、(a)の通常時ステップアップ予告パターン決定テーブルと異なるのは、変動表示結果がはずれ表示結果となるときには、SR9の値に基づいて、通常ステップアップと、特定ステップアップとのどちらかのステップアップ種別が選択されることである。そして、通常ステップアップの種別の方が、特定ステップアップの種別よりも選択される割合が高くなるようにデータテーブルが設定されている。……
【0590】
(c)の潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルが、(b)の非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルと異なるのは、変動表示結果がはずれ表示結果となるときに、特定ステップアップの種別の選択割合が高く設定されていること、および、変動表示結果が大当りまたは小当りの表示結果となるときに、特定ステップアップの種別のみが選択されることである。したがって、潜伏モードの状態であるときには、非潜伏モードの状態であるときと比べて、特定ステップアップの種別での予告パターンが選択される割合が高くなるように設定されている。……」

(9)「【0743】
(5) 図57に示すように、潜伏モードに制御されているときに潜伏モードに制御されていないときに行なわれるステップアップ演出と異なる順序で演出態様をステップアップさせることにより、高確率状態の可能性が示唆されるので、演出の進展態様が遊技者の興味を引くことに基づいて、遊技の興趣をより一層向上させることができる。」

(10)「【図57】



(11)認定事項
図57(c)から、潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルでは、変動表示結果がはずれ表示結果となるときに、SR9の値に基づいて、通常ステップアップと、特定ステップアップとのどちらかのステップアップ種別が選択されることが見て取れる。

2 上記1からみて、引用文献2には、次の発明が記載されている。なお、符号c等については本願発明1の発明特定事項C等に概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。

「e 通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率(大当り確率)が高い状態である確変状態(高確率状態ともいう)では、所定期間に亘り、時短状態に制御される場合(確変大当り、第2突確大当り)と、時短状態に制御されない場合(第1突確大当り)とがあり(【0061】)、

i 遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示が開始され(【0064】)、
第1特別図柄表示器8aにおける特別図柄の変動表示は、変動表示が行なわれるごとに設定された変動表示時間が経過したときに停止し(【0066】)、
第1特別図柄表示器8aでの特別図柄の表示結果(停止図柄)が、特定表示結果としての大当り図柄(大当り表示結果ともいう)であると、大当りとなり(【0067】)、

c1 大当りとなったときには、パチンコ遊技機1の遊技状態が、通常遊技状態から、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行し(【0067】)、

f 9R長期大当りは、大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御されない通常大当りと、大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御される確変大当りとの複数種類の大当り種別に分けられ(【0074】)、
9R短期大当りは、大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御される突然確変大当り(突確大当り)と呼ばれ(【0075】)、

j 大当りとなることを予告する報知をする予告演出である大当り予告が行なわれる場合があり、予告演出としては、今回予告が行なわれる場合があり、今回予告は、大当りを発生させる契機となる変動表示(今回の変動表示)において、大当りとなることを報知する変動予告演出としての予告であり(【0096】)、
今回予告としては、ステップアップ予告と呼ばれる予告種別を含み(【0204】)、

c2 主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ560が搭載されており、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含み(【0097】)、
CPU56は、ランダムRの値が大当り判定値に合致すると、特別図柄に関して大当り(通常大当り、確変大当り、第1突確大当り、または、第2突確大当り)にすることに決定し、ランダムRの値が小当り判定値に合致すると、特別図柄に関して小当りにすることに決定し(【0155】)、
第1特別図柄低確率時大当り種別判定テーブルには、ランダム2の値と比較される数値であって、「第1突確大当り」、「第2突確大当り」、「確変大当り」、「通常大当り」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されており、CPU56は、ランダム2の値が大当り種別判定値のいずれかに合致した場合に、大当りの種別を、合致した大当り種別判定値に対応する種別に決定し(【0156】)、

a、b、g 9R短期大当りにおける開放パターンは、小当りにおける開放パターンと同一のパターンとなる場合があるので、開放パターンを見るだけでは、突確大当りであるか小当りであるかを遊技者が判断不可能となる場合があり、このような場合、演出表示装置9では、潜伏確変状態を演出するための演出モードとしての潜伏モードに制御し、確変状態が潜伏しているかもしれないことを演出する表示を行なう場合があり(【0182】)、
ステップアップ予告の予告パターン決定用テーブルは、(a)?(c)に示す3つのデータテーブルを含み、(a)には、潜伏モード以外の状態で用いられる通常時ステップアップ予告パターン決定テーブルが示されており、(b)には、潜伏モードにおいて確変状態が潜伏していない低確率状態であるときに用いられる非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルが示されており、(c)には、潜伏モードにおいて確変状態が潜伏している高確率状態であるとき用いられる潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルが示されており(【0584】)、
通常ステップアップとは、ステップアップ演出の標準となる基本的なステップアップパターンであり、たとえば、A?DのステップがA→B→C→Dというように標準的にステップアップする演出をいい、一方、特定ステップアップとは、通常ステップアップとステップアップ順序が異なるステップアップパターンであり、たとえば、A?DのステップがA→C→B→Dというように特定のステップアップパターンでステップアップする演出をいい、このようなステップアップ種別は、予め定められたタイミングで抽出されたSR9の値に基づき選択決定され(【0585】)、
通常時ステップアップ予告パターン決定テーブルでは、変動表示結果がはずれ表示結果となるときと、変動表示結果が大当りまたは小当りの表示結果となるときとの両方で、SR9の値にかかわらず、ステップアップ種別として通常ステップアップのみが選択決定され(【0588】)、
非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルでは、変動表示結果がはずれ表示結果となるときには、SR9の値に基づいて、通常ステップアップと、特定ステップアップとのどちらかのステップアップ種別が選択され(【0589】)、
潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルでは、変動表示結果が大当りまたは小当りの表示結果となるときに、特定ステップアップの種別のみが選択され(【0590】)、
潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブルでは、変動表示結果がはずれ表示結果となるときに、SR9の値に基づいて、通常ステップアップと、特定ステップアップとのどちらかのステップアップ種別が選択される(認定事項)

x パチンコ遊技機1(【0067】)。」(以下「引用発明」という。)

第5 対比
本願発明1と引用発明を対比する。なお、見出し(c)等は、本願発明1の発明特定事項C等に概ね対応する。

(c)引用発明の発明特定事項c1における「大当り遊技状態」は本願発明1の「特典」に相当する。
また、引用発明の発明特定事項c2における「ランダムRの値が大当り判定値に合致すると、特別図柄に関して大当り(通常大当り、確変大当り、第1突確大当り、または、第2突確大当り)にすることに決定」すること、及び「ランダム2の値が大当り種別判定値のいずれかに合致した場合に、大当りの種別を、合致した大当り種別判定値に対応する種別に決定」することは、本願発明1の「遊技者に特典を付与するか否かの特典抽選処理」に相当する。そして、引用発明の上記「決定」を行う「CPU56」は、本願発明1の「遊技者に特典を付与するか否かの特典抽選処理を実行する手段」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の発明特定事項Cに相当する構成を含む。

(i)引用発明の「第1特別図柄の変動表示」は、本願発明1の「遊技回用動作」に相当する。ここで、引用発明では、「第1特別図柄の変動表示」と「第1特別図柄表示器8aにおける特別図柄の変動表示」とが同じであることは明らかであるから、引用発明の「第1特別図柄表示器8aにおける特別図柄の変動表示」も、本願発明1の「遊技回用動作」に相当する。
また、引用発明において「第1特別図柄の変動表示」を「開始」させることは、本願発明1の「遊技回用動作を開始」させることに相当する。
また、引用発明において「第1特別図柄表示器8aにおける特別図柄の変動表示」を「停止」することは、本願発明1の「遊技回用動作を終了させること」に相当する。
また、引用発明において、「第1特別図柄表示器8aにおける特別図柄の変動表示」を「停止」したときに、「特別図柄の表示結果(停止図柄)」を視認させることでその結果を報知できることは明らかであるから、「第1特別図柄表示器8aにおける特別図柄の変動表示」を「停止」したときは、「特別図柄の表示結果(停止図柄)」を報知可能な状態であるといえる。さらに、引用発明では、「第1特別図柄表示器8aにおける特別図柄の変動表示」を「停止」したときに、「第1特別図柄表示器8aでの特別図柄の表示結果(停止図柄)が、特定表示結果としての大当り図柄(大当り表示結果ともいう)であると、大当りとな」るから、「第1特別図柄表示器8aにおける特別図柄の変動表示」を「停止」したときは、「大当りとな」るか否かを報知するといえる。ここで、上記(c)で述べたように、引用発明の「ランダムRの値が大当り判定値に合致すると、特別図柄に関して大当り(通常大当り、確変大当り、第1突確大当り、または、第2突確大当り)にすることに決定」することは、本願発明1の「特典抽選処理」に相当する。そうすると、引用発明において「第1特別図柄表示器8aにおける特別図柄の変動表示」を「停止」したときは、本願発明1の「前記特典抽選処理の結果を報知可能な状態」であるといえる。
また、引用発明では「第1特別図柄表示器8aにおける特別図柄の変動表示」を「変動表示時間が経過したときに停止」するところ、「変動表示時間」は当該「第1特別図柄の変動表示」を「開始」してからの時間であることは明らかであるから、引用発明では、「第1特別図柄の変動表示」を「開始」させた後、「変動表示時間が経過」すると当該「第1特別図柄の変動表示」を「停止」するといえる。そうすると、引用発明において「第1特別図柄の変動表示」を「開始」させた後に、当該「第1特別図柄の変動表示」を「停止」することは、本願発明1の「1回」の「遊技回」に相当する。
また、引用発明が、「第1特別図柄の変動表示」を「開始」させた後に、当該「第1特別図柄の変動表示」を「停止」することを実行する動作手段、及びその動作手段を「第1特別図柄の変動表示」が実行されるように制御する手段を備えることも明らかであるから、引用発明は、本願発明1と同様に「各遊技回において前記遊技回用動作が実行されるように遊技回用動作手段を制御する手段」を備えるといえる。
したがって、引用発明は、本願発明1の発明特定事項Iに相当する構成を含む。

(a)引用発明の「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏している高確率状態」は、本願発明1の「所定状態」に相当する。また、引用発明の「潜伏モード以外の状態」及び「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏していない低確率状態」は、本願発明1の「所定状態ではない状態」に相当する。さらに、引用発明の「潜伏モード以外の状態」及び「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏していない低確率状態」は、本願発明1の「所定状態及び所定状態ではない状態のうち一方である対応側の状態」に相当するともいえる。
また、引用発明は「潜伏モード以外の状態」である場合に「通常時ステップアップ予告パターン決定テーブル」を用いるところ、「通常時ステップアップ予告パターン決定テーブル」では「通常ステップアップ」が選択決定される。ここで、引用発明が「通常時ステップアップ予告パターン決定テーブル」を用いて「通常ステップアップ」を選択決定するためには、引用発明がこのように制御する「手段」を備えることは明らかである。
また、引用発明の「ステップアップ予告」における1回目の「ステップ」及び当該「ステップ」の演出内容(例えば、「A」)が、本願発明1の「第1演出」及び「第1演出の演出内容」に相当し、引用発明の「ステップアップ予告」における2回目の「ステップ」及び当該「ステップ」の演出内容(「例えば、「B」や「C」)が、本願発明1の「第2演出」及び「第2演出の演出内容」に相当する。そして、引用発明の「通常ステップアップ」は、「ステップアップ演出の標準となる基本的なステップアップパターンであり、たとえば、A?DのステップがA→B→C→Dというように標準的にステップアップする演出」であるから、引用発明の「通常ステップアップ」は、本願発明1の「第1演出の演出内容と第2演出の演出内容との間に規則性が生じるもの」と同様であるといえる。
以上のことから、引用発明は、本願発明1の「所定状態及び所定状態ではない状態のうち一方である対応側の状態である場合に、第1演出の演出内容と第2演出の演出内容との間に規則性が生じるものとなるように制御する対応制御手段」に相当する構成を含むといえる。
また、引用発明は「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏していない低確率状態」である場合に「非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブル」を用いるところ、「非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブル」では「通常ステップアップ」が選択決定され得る。ここで、引用発明が「非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブル」を用いて、「通常ステップアップ」を選択決定するためには、引用発明がこのように制御する「手段」を備えることは明らかである。このことからも、引用発明は、本願発明1の「所定状態及び所定状態ではない状態のうち一方である対応側の状態である場合に、第1演出の演出内容と第2演出の演出内容との間に規則性が生じるものとなるように制御する手段」に相当する構成を含むといえる。
したがって、引用発明は、本願発明1の発明特定事項Aに相当する構成を含む。

(b)上記(a)で述べたように、引用発明の「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏している高確率状態」は、本願発明1の「所定状態」に相当し、引用発明の「潜伏モード以外の状態」及び「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏していない低確率状態」は、本願発明1の「所定状態ではない状態」に相当する。さらに、引用発明の「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏している高確率状態」は、本願発明1の「前記所定状態及び前記所定状態ではない状態のうち他方である非対応側の状態」に相当するともいえる。
また、引用発明は「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏している高確率状態」である場合に「潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブル」を用いるところ、「潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブル」では「特定ステップアップ」が選択され得る。ここで、引用発明が「潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブル」を用いて「特定ステップアップ」を選択するためには、引用発明がこのように制御する「手段」を備えることは明らかである。
また、上記(a)で述べたように、引用発明の「ステップアップ予告」における1回目の「ステップ」及び当該「ステップ」の演出内容(例えば、「A」)が、本願発明1の「第1演出」及び「第1演出の演出内容」に相当し、引用発明の「ステップアップ予告」における2回目の「ステップ」及び当該「ステップ」の演出内容(例えば、「B」や「C」)が、本願発明1の「第2演出」及び「第2演出の演出内容」に相当する。そして、引用発明の「特定ステップアップ」は、「通常ステップアップとステップアップ順序が異なるステップアップパターンであり、たとえば、A?DのステップがA→C→B→Dというように特定のステップアップパターンでステップアップする演出」であるから、引用発明の「特定ステップアップ」は、本願発明1の「前記第1演出の演出内容と前記第2演出の演出内容との間に前記規則性が生じないもの」と同様であるといえる。
以上のことから、引用発明は、本願発明1の「前記所定状態及び前記所定状態ではない状態のうち他方である非対応側の状態である場合に、前記第1演出の演出内容と前記第2演出の演出内容との間に前記規則性が生じないものとなるように制御する手段」に相当する構成を含むといえる。
したがって、引用発明は、本願発明1の発明特定事項Bに相当する構成を含む。

(e)引用発明の「通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率(大当り確率)が高い状態である確変状態(高確率状態ともいう)」は、本願発明1の「遊技状態として、相対的に、遊技者に特典が付与され易い第1状態」に相当する。また、引用発明の「通常状態」は、本願発明1の「遊技状態として、相対的に、遊技者に特典が」「付与されにくい第2状態」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の発明特定事項Eに相当する構成を含む。

(f)引用発明の「突然確変大当り(突確大当り)」及び「確変大当り」は、本願発明1の「第1付与結果」に相当する。また、引用発明の「通常大当り」は、本願発明1の「第2付与結果」に相当する。さらに、上記(c)で述べたように、引用発明の「CPU56」が「大当りの種別を、合致した大当り種別判定値に対応する種別に決定」することは、本願発明1の「特典抽選処理」に相当し、上記(e)で述べたように、引用発明の「確変状態」及び「通常状態」は、本願発明1の「第1状態」及び「第2状態」に相当する。
また、引用発明では、「第1特別図柄低確率時大当り種別判定テーブルには、ランダム2の値と比較される数値であって、「第1突確大当り」、「第2突確大当り」、「確変大当り」、「通常大当り」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されており、CPU56は、ランダム2の値が大当り種別判定値のいずれかに合致した場合に、大当りの種別を、合致した大当り種別判定値に対応する種別に決定」するところ(発明特定事項c2)、ここで「決定」される「第1突確大当り」、「第2突確大当り」及び「確変大当り」は「大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御される」ものである一方、「通常大当り」は「大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御されない」ものである(発明特定事項f)。
そうすると、引用発明は、「CPU56」が「大当りの種別を、合致した大当り種別判定値に対応する種別に決定」すること(本願発明1の「特典抽選処理」に相当する。)の結果が「大当り」(本願発明1の「特定結果」に相当する。)のうち「突然確変大当り(突確大当り)」及び「確変大当り」(これらは、本願発明1の「第1付与結果」に相当する。)となったことに基づいて、「確変状態」(本願発明1の「第1状態」に相当する。)を発生させ、「大当りの種別を、合致した大当り種別判定値に対応する種別に決定」することの結果が「大当り」のうち「通常大当り」(本願発明1の「第2付与結果」に相当する。)となったことに基づいて、「確変状態」を発生させず、「通常状態」(本願発明1の「第2状態」に相当する。)とするものであるといえる。
したがって、引用発明は、本願発明1の発明特定事項FないしF2に相当する構成を含む。

(g)上記(a)で述べたように、引用発明の「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏している高確率状態」は、本願発明1の「所定状態」に相当する。
また、上記(e)で述べたように、引用発明の「確変状態」及び「通常状態」は、本願発明1の「第1状態」及び「第2状態」に相当するところ、引用発明の「確変状態が潜伏している高確率状態」は、本願発明1の「所定状態」と同様に「第1状態となっている状態」であるといえる。
また、引用発明の「潜伏モード」が「確変状態が潜伏しているかもしれないことを演出する表示を行なう」ものであることや技術常識を踏まえれば、引用発明の「潜伏モード」は、本願発明1の「所定状態」と同様に「遊技機の報知状態として前記第1状態及び前記第2状態のうちいずれであるかを遊技者が識別不可又は識別しづらい状態となっている状態」であるといえる。
そうすると、引用発明の「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏している高確率状態」は、本願発明1の「所定状態」と同様に、「第1状態となっている状態」であって、「遊技機の報知状態として前記第1状態及び前記第2状態のうちいずれであるかを遊技者が識別不可又は識別しづらい状態となっている状態」である。
したがって、引用発明は、本願発明1の発明特定事項Gに相当する構成を含む。

(j)上記(a)で述べたように、引用発明の「ステップアップ予告」における1回目の「ステップ」が本願発明1の「第1演出」に相当し、引用発明の「ステップアップ予告」における2回目の「ステップ」が本願発明1の「第2演出」に相当するところ、引用発明の「ステップアップ予告」は、「今回予告」すなわち「大当りを発生させる契機となる変動表示(今回の変動表示)において、大当りとなることを報知する変動予告演出としての予告」であるから、「ステップアップ予告」における1回目の「ステップ」及び2回目の「ステップ」は、「今回の変動表示」において実行されるものである。したがって、引用発明の「ステップアップ予告」を実行する構成は、本願発明1の「1回の前記遊技回において前記第1演出及び前記第2演出の両方が実行され得る構成」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の発明特定事項Jに相当する構成を含む。

(x)引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明1の「遊技機」に相当する。

以上のとおりであるから、本願発明1と引用発明とは、
「C 遊技者に特典を付与するか否かの特典抽選処理を実行する手段と、
I 遊技回用動作を開始させた後に前記特典抽選処理の結果を報知可能な状態で当該遊技回用動作を終了させることを遊技回の1回として、各遊技回において前記遊技回用動作が実行されるように遊技回用動作手段を制御する手段と、
A 所定状態及び所定状態ではない状態のうち一方である対応側の状態である場合に、第1演出の演出内容と第2演出の演出内容との間に規則性が生じるものとなるように制御する対応制御手段と、
B 前記所定状態及び前記所定状態ではない状態のうち他方である非対応側の状態である場合に、前記第1演出の演出内容と前記第2演出の演出内容との間に前記規則性が生じないものとなるように制御する非対応制御手段と、
を備え、
E 遊技状態として、相対的に、遊技者に特典が付与され易い第1状態と、付与されにくい第2状態とが存在しており、
F 本遊技機は、
F1 前記特典抽選処理の結果が第1付与結果となったことに基づいて、前記第1状態を発生させる手段と、
F2 前記特典抽選処理の結果が第2付与結果となったことに基づいて、前記第2状態を発生させる手段と、
を備え、
G 前記所定状態は、前記第1状態となっている状態であって、遊技機の報知状態として前記第1状態及び前記第2状態のうちいずれであるかを遊技者が識別不可又は識別しづらい状態となっている状態であり、
J 1回の前記遊技回において前記第1演出及び前記第2演出の両方が実行され得る構成である
X 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点(発明特定事項H)
本願発明1では、「前記対応側の状態である場合には前記非対応制御手段による制御が行われない」のに対し、
引用発明では、「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏していない低確率状態」である場合に「非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブル」を用いて「通常ステップアップと、特定ステップアップとのどちらか」を選択する点。

第6 判断
1 本願発明1
(1)相違点について
上記第5(a)で述べたように、引用発明の「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏していない低確率状態」は、本願発明1の「所定状態及び所定状態ではない状態のうち一方である対応側の状態」の一部に相当する。
また、引用発明は「潜伏モードにおいて確変状態が潜伏していない低確率状態」である場合に「非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブル」を用いるところ、「非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブル」では「特定ステップアップ」が選択され得る。ここで、引用発明が「非潜伏時ステップアップ予告パターン決定テーブル」を用いて「特定ステップアップ」を選択するためには、引用発明がこのように制御する「手段」を備えることは明らかである。
また、上記第5(b)で述べたように、引用発明の「特定ステップアップ」は、本願発明1の「前記第1演出の演出内容と前記第2演出の演出内容との間に前記規則性が生じないもの」と同様であるといえる。
以上のことから、引用発明は、「所定状態及び所定状態ではない状態のうち一方である対応側の状態」である場合に「前記第1演出の演出内容と前記第2演出の演出内容との間に前記規則性が生じないものとなるように制御する非対応制御手段」による制御が行われるといえる。
したがって、引用発明は、本願発明1の「前記所定状態及び所定状態ではない状態のうち一方である対応側の状態である場合には前記非対応制御手段による制御が行われない」という発明特定事項Hに相当する構成を含まない。

(2)小括
本願発明1は、上記相違点で引用発明と相違するから、新規性を有する。
また、原査定の理由には上記相違点に関してその進歩性を否定する具体的な事情が示されておらず、また、当業者といえども、引用発明から、上記相違点に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできないから、原査定の理由によっては本願発明1の進歩性は否定されない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

2 本願発明2
本願発明2も、本願発明1の発明特定事項Hと同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明ではなく、また、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし2は、引用発明ではなく、また、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-08-10 
出願番号 特願2019-104126(P2019-104126)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
P 1 8・ 113- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大浜 康夫  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 太田 恒明
佐藤 高之
発明の名称 遊技機  
代理人 安藤 悟  

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