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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01M
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01M
管理番号 1377347
審判番号 不服2021-3422  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-15 
確定日 2021-09-14 
事件の表示 特願2018-546343「電源装置および負荷監視器」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月26日国際公開、WO2018/074446、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)10月17日(優先権主張2016年10月18日、日本国)を国際出願日とする出願であって、令和2年11月13日付けで拒絶理由が通知され、令和2年12月4日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年12月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、令和3年3月15日に拒絶査定不服審判が請求され、同年4月23日付けで当審から拒絶理由が通知され、同年6月28日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。


第2 原査定の概要
原査定(令和2年12月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1、2、6に対して 引用文献等1
・請求項4 に対して 引用文献等1-2
・請求項5 に対して 引用文献等1-3

(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項3、7に対して
共通のアウトレットに、直流と交流が供給されてしまい、本願発明における電源装置が電源装置として機能しうる構成であるものとも認められず、その構成が不明確である。

<引用文献等一覧>
1.国際公開第2014/030348号
2.特開2013-089317号公報
3.特開2007-115477号公報


第3 当審拒絶理由の概要
令和3年4月23日付けの拒絶理由通知書により通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

理由1(進歩性)
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1、6に対して 引用文献等 1、2

理由2(サポート要件)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由3(明確性)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・請求項1ないし7に対して
請求項1、6の「前記インバーターが発生する熱が前記バッテリーに伝達される」との記載だけではどのような構成によりどの程度の熱が伝達されるのか特定されていないから、請求項1、6において、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになる。
したがって、請求項1、6に係る発明は発明の詳細な説明に記載されたものではない。(サポート要件)
また、請求項1、6の上記記載に関して、インバーターが熱を発生することは技術常識であることを踏まえると、インバーターとバッテリーを一つの電源装置に近接して設ければ程度の差はあれインバーターからバッテリーに熱が伝わることは自明であると考えられるところ、上記記載は、どのような構成によりどの程度の熱が伝達することを意味しているのか不明瞭である。(明確性)
請求項1、6を引用する、請求項2ないし5、7についても同様である。

<引用文献等一覧>
1.国際公開第2014/030348号
2.特開2004-291891号公報


第4 本願発明
本願請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、令和3年6月28日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
車輪を持つ台車と、
前記台車に支持されたインバーターと、
下部に電力出力端子を備えたバッテリーと、
前記バッテリーを上下方向に移動させて着脱可能で前記インバーターに接続されて前記バッテリーを装着したときに前記電力出力端子に接触する電力入力端子を備えたバッテリー取付部と、
を有し、
負荷に接続するアウトレットと前記インバーターとの間に設けられた第1スイッチと、
前記インバーターと並列に前記アウトレットに接続された直流電源と、
前記直流電源と前記アウトレットとの間に設けられた第2スイッチと、
前記アウトレットと前記インバーターとの間を流れる電流を検出する第1センサーと、
前記アウトレットと前記直流電源との間を流れる電流を検出する第2センサーと、
前記第1センサーが検出する電流が第1の閾値よりも小さい状態が所定の期間継続したときに前記第1スイッチを開とし前記第2スイッチを閉とし前記インバーターの動作を停止させ、前記第2センサーが検出する電流が第2の閾値よりも高くなると第1スイッチを閉とし第2スイッチを開とし前記インバーターの動作を開始させる、コントローラーと、
を備えた負荷監視器をさらに有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記バッテリー取付部は前記インバーターの上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記バッテリーは温度を計測するセンサーとそのセンサーが測定した温度の情報を出力する通信端子を備え、
前記インバーターを冷却するファンと、
前記バッテリーの温度に応じて前記ファンの回転数を制御する制御器と、
をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
照明と、
前記バッテリーの残充電量が所定の値以上の場合には前記照明の発光強度を1/fのゆらぎとなるように制御し、それ以外の場合には前記照明の発光強度を1/fのゆらぎからはずれるように制御する制御器と、
をさらに有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
負荷に接続するアウトレットとインバーターとの間に設けられた第1スイッチと、
前記インバーターと並列に前記アウトレットに接続された直流電源と、
前記直流電源と前記アウトレットとの間に設けられた第2スイッチと、
前記アウトレットと前記インバーターとの間を流れる電流を検出する第1センサーと、
前記アウトレットと前記直流電源との間を流れる電流を検出する第2センサーと、
前記第1センサーが検出する電流が第1の閾値よりも小さい状態が所定の期間継続したときに前記第1スイッチを開とし前記第2スイッチを閉とし前記インバーターの動作を停止させ、前記第2センサーが検出する電流が第2の閾値よりも高くなると第1スイッチを閉とし第2スイッチを開とし前記インバーターの動作を開始させる、コントローラーと、
を有することを特徴とする負荷監視器。」


第5 当審拒絶理由についての判断
1 特許法第29条第2項(進歩性)について
(1)引用文献の記載、引用発明等
当審拒絶理由で引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

ア.「[0057] ポータブル電源100は、筐体10と、収納部20と、嵌合部30と、接続部40と、コンセント50a及びUSBソケット50b(電力供給部)と、放電部(図示せず)とを備える。また、ポータブル電源100は、保持部60と、電力プラグ70と、キャスター80と、固定部90と、スイッチ110と、受付部120とを備える。
・・・・(中略)・・・・
[0059] 収納部20は、蓄電池パック200を収納する。収納部20は、蓄電池パック200の外形に応じて筐体10に設けられる。
・・・・(中略)・・・・
[0062] また、収納部20には、それぞれ、接続部40が設けられる。接続部40は、収納部20の底面部45に端子部に適合する位置及び大きさで設けられ、後述する蓄電池パック200に設けられた端子部が着脱自在(着脱可能)に接続される。例えば、図2に示されるように、接続部40の形状は、蓄電池パック200に設けられた端子部を収容するために窪んだ形状である。接続部40と、端子部とが接続されることにより、端子部内に設けられた各端子と、筐体10内の充放電制御回路とが電気的に接続される。すなわち、接続部40と、端子部とが接続されることにより、蓄電池パック200とポータブル電源100とが電気的に接続される。」

イ.「[0077] 図3に示されるように、蓄電池パック200は、本体205と、取り付け部210と、端子部220と、充電量表示部230と、充電量表示ボタン240と、持ち手250とを備える。また、図示されていないが、蓄電池パック200は、内部に一または複数の蓄電池を備える。」

ウ.「[0100] 以下、ポータブル電源100の充放電制御回路の詳細について説明する。
[0101] 放電部260は、接続部40に接続された蓄電池パック201及び202に充電された電力を電力供給部50(コンセント50aまたはUSBソケット50b)に出力する。
[0102] 図5は、充放電制御回路における電力の流れを示す図である。
[0103] 図5の経路140(右側の矢印)で示されるように、電力供給部50がコンセント50aである場合、放電部260は、蓄電池パック201及び202から出力される直流電力を交流電力に変換して出力するDC/ACインバータである。
[0104] 放電部260は、蓄電池パック201の端子部220に設けられた電力出力用(放電用)の端子221d及び221eによって蓄電池パック201の内部回路と電気的に接続される。なお、端子221eは、整流用のダイオードを介して放電部260に電気的に接続される。」

エ.図2として以下の図面が記載されている。


上記「ア.」ないし「エ.」から次のことがいえる。

・段落[0057]によれば、ポータブル電源100は、筐体10と、収納部20と、接続部40と、キャスター80とを備えているといえる。

・段落[0059]によれば、収納部20は、蓄電池パック200を収納している。

・段落[0062]によれば、収納部20には、接続部40が設けられ、接続部40は蓄電池パック200に設けられた端子部が着脱自在(着脱可能)に接続されており、また、接続部40と、端子部とが接続されることにより、端子部内に設けられた各端子と、筐体10内の充放電制御回路とが電気的に接続されるといえる。

・段落[0057]によれば、ポータブル電源100は、放電部を備えており、段落[0100]ないし[0103]によれば、当該放電部260は、蓄電池パック201及び202から出力される直流電力を交流電力に変換して出力するDC/ACインバータである。
そして段落[0104]によれば、放電部260は、蓄電池パック201の端子部220に設けられた電力出力用(放電用)の端子221d及び221eによって蓄電池パック201の内部回路と電気的に接続されている。
そうしてみると、ポータブル電源100は放電部260を有し、放電部260は、前記蓄電池パックから出力される直流電力を交流電力に変換して出力するDC/ACインバータであり、また、放電部260は、前記蓄電池パックの端子部に設けられた電力出力用(放電用)の端子によって前記蓄電池パックの内部回路と電気的に接続されているということができる。
なお、蓄電池パック201,202は蓄電池パック200と同一の構成であることは明らかである。

・図2によれば、収納部20、接続部40の形状からみて、蓄電池パック200は収納部20の接続部40に対して上下方向に着脱可能であることが読み取れる。

したがって、上記記載を総合すると、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、図中の符号は適宜付加、削除した。)

「 ポータブル電源100は、筐体10と、収納部20と、接続部40と、キャスター80とを備え、
前記収納部20は、蓄電池パックを収納し、
前記収納部20には、前記接続部40が設けられ、当該接続部40は前記蓄電池パックに設けられた端子部220が着脱自在(着脱可能)に接続され、前記接続部40と、前記端子部220とが接続されることにより、前記端子部220内に設けられた各端子と、前記筐体10内の充放電制御回路とが電気的に接続され、
ポータブル電源100は放電部260を備え、当該放電部260は、前記蓄電池パックから出力される直流電力を交流電力に変換して出力するDC/ACインバータであり、
前記放電部260は、前記蓄電池パックの前記端子部220に設けられた電力出力用(放電用)の前記端子によって前記蓄電池パックの内部回路と電気的に接続され、
前記蓄電池パックは前記収納部20の前記接続部40に対して上下方向に着脱可能である、
ポータブル電源100。」

(2)対比・判断
ア 本願発明1について
(ア)対比
充電池パックを装着した引用発明のポータブル電源を本願発明1と対比すると、

・引用発明の「キャスター80」は、図2を参照すれば車輪として構成されているから本願発明1の「車輪」に相当し、当該「キャスター80」は「筐体10」に取り付けられているから、引用発明の「筐体10」は本願発明1の車輪を持つ「台車」に相当する。

・引用発明の「放電部260」は、蓄電池パックから出力される直流電力を交流電力に変換して出力するDC/ACインバータであり、また「筐体10」に内蔵されていることは明らかであるから、本願発明1の台車に支持された「インバーター」に相当する。

・引用発明の「蓄電池パック」は「端子部220」内に電力出力用(放電用)の「端子」が設けられ、「収納部20」の電気的に放電部に接続される「接続部40」に上下方向に着脱自在であるから、引用発明の「蓄電池パック」は本願発明1の「バッテリー」に相当し、引用発明の電力出力用(放電用)の「端子」「収納部20」「接続部40」は、それぞれ本願発明1の「電力出力端子」「バッテリー取付部」「電力入力端子」に相当する。

・本願発明1が「負荷に接続するアウトレットと前記インバーターとの間に設けられた第1スイッチと、前記インバーターと並列に前記アウトレットに接続された直流電源と、前記直流電源と前記アウトレットとの間に設けられた第2スイッチと、前記アウトレットと前記インバーターとの間を流れる電流を検出する第1センサーと、前記アウトレットと前記直流電源との間を流れる電流を検出する第2センサーと、前記第1センサーが検出する電流が第1の閾値よりも小さい状態が所定の期間継続したときに前記第1スイッチを開とし前記第2スイッチを閉とし前記インバーターの動作を停止させ、前記第2センサーが検出する電流が第2の閾値よりも高くなると第1スイッチを閉とし第2スイッチを開とし前記インバーターの動作を開始させる、コントローラーと、を備えた負荷監視器」とさらに備えるのに対して、引用発明は当該負荷監視器を備える旨の特定がなされていない点で相違する。

・引用発明の「ポータブル電源100」は電源装置として機能するから、本願発明1の「電源装置」に相当する。

そうしてみると、本願発明1と引用発明とは以下の点で、一致ないし相違するものと認められる。

(一致点)
「 車輪を持つ台車と、
前記台車に支持されたインバーターと、
下部に電力出力端子を備えたバッテリーと、
前記バッテリーを上下方向に移動させて着脱可能で前記インバーターに接続されて前記バッテリーを装着したときに前記電力出力端子に接触する電力入力端子を備えたバッテリー取付部と、
を有することを特徴とする電源装置。」

(相違点1)
本願発明1は「 負荷に接続するアウトレットと前記インバーターとの間に設けられた第1スイッチと、
前記インバーターと並列に前記アウトレットに接続された直流電源と、
前記直流電源と前記アウトレットとの間に設けられた第2スイッチと、
前記アウトレットと前記インバーターとの間を流れる電流を検出する第1センサーと、
前記アウトレットと前記直流電源との間を流れる電流を検出する第2センサーと、
前記第1センサーが検出する電流が第1の閾値よりも小さい状態が所定の期間継続したときに前記第1スイッチを開とし前記第2スイッチを閉とし前記インバーターの動作を停止させ、前記第2センサーが検出する電流が第2の閾値よりも高くなると第1スイッチを閉とし第2スイッチを開とし前記インバーターの動作を開始させる、コントローラーと、
を備えた負荷監視器をさらに有する」のに対して、引用発明では当該事項が明らかではない点。

(イ)判断
上記相違点1に関して、当審拒絶理由で引用された引用文献2(特開2004-291891号公報)には、車両用電源システムについて記載されているが、上記相違点1に係る事項については記載も示唆もされていない。
また、上記相違点1に係る事項を示唆する他の文献は見出せず、当業者にとって周知事項又は技術常識であるともいえない。
したがって、本願発明1は当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

イ 本願発明2ないし5について
本願発明2ないし4は、いずれも請求項1を直接的または間接的に引用しており、上記相違点1に係る事項を含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
また、本願発明5は、上記相違点1として挙げた構成を有する負荷監視器に係る発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

2 特許法第36条第6項第1号及び同項第2号(サポート要件、明確性)について
当審拒絶理由は本件補正前の請求項1、6及びこれを引用する請求項における「前記インバーターが発生する熱が前記バッテリーに伝達される」との記載に関し、サポート要件違反と明確性違反を指摘するものであるが、本件補正により上記の記載は削除された。これにより当審拒絶理由において指摘した、特許法第36条第1項及び同条第2項に規定する要件を満たしていないとの拒絶理由は解消された。

3 小括
上記1、2のとおり、本願発明1ないし5は、当審拒絶理由により通知した特許法第29条第2項、特許法第36条第1項及び同項第2号に係る拒絶理由により特許を受けることができないとはいえない。


第6 原査定についての判断
1 特許法第29条第2項(進歩性)について
本件補正により、補正後の請求項1ないし5は、「負荷に接続するアウトレットと前記インバーターとの間に設けられた第1スイッチと、
前記インバーターと並列に前記アウトレットに接続された直流電源と、
前記直流電源と前記アウトレットとの間に設けられた第2スイッチと、
前記アウトレットと前記インバーターとの間を流れる電流を検出する第1センサーと、
前記アウトレットと前記直流電源との間を流れる電流を検出する第2センサーと、
前記第1センサーが検出する電流が第1の閾値よりも小さい状態が所定の期間継続したときに前記第1スイッチを開とし前記第2スイッチを閉とし前記インバーターの動作を停止させ、前記第2センサーが検出する電流が第2の閾値よりも高くなると第1スイッチを閉とし第2スイッチを開とし前記インバーターの動作を開始させる、コントローラーと、
を備えた負荷監視器」との事項を有するものとなった。当該事項は、上記「第5」「1」で判断したように、原査定における引用文献1(当審拒絶理由における引用文献1)には記載されておらず、原査定における引用文献2(特開2013-089317号公報)及び原査定における引用文献3(特開2007-115477号公報)にも記載も示唆もなく、さらに、本願優先日における周知技術や技術常識でもないので、本願発明1ないし5は、当業者であっても、原査定における引用文献1に基づいて容易に発明できたものではない。

2 特許法第36条第6項第2号(明確性)について
原査定の理由は、本件補正前の請求項3、7に対して、共通のアウトレットに、直流と交流が供給されてしまい、本願発明における電源装置が電源装置として機能し得る構成であるものとも認められず、その構成が不明確であるというものである。しかしながら、直流電源により供給される直流電流は、アウトレットとインバーターとの間を流れる電流(負荷電流)が第1の閾値よりも小さい状態が所定の期間継続したときにのみ交流電流に替わって供給され、直流電流が第2の閾値よりも高くなるとインバータによる交流に切り替えられるように構成されている。そうしてみると、技術常識を踏まえれば、当該直流電流はアウトレットに接続される負荷が稼働していない場合にのみ印加され、負荷の通電状態を検出するためだけに使用されており、負荷に動作電源を供給するものではないことは明らかである。
したがって、明確性に係る原査定の拒絶の理由は妥当なものではなく、補正前の請求項3、7と同様の記載を含む本願発明1ないし5は明確である。

したがって、原査定を維持することはできない.


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-08-25 
出願番号 特願2018-546343(P2018-546343)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01M)
P 1 8・ 121- WY (H01M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 右田 勝則  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 山本 章裕
須原 宏光
発明の名称 電源装置および負荷監視器  
代理人 豊永 健  

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