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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する F16G 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する F16G |
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管理番号 | 1378095 |
審判番号 | 訂正2021-390078 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-05-14 |
確定日 | 2021-07-12 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6676725号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6676725号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判に係る特許第6676725号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成30年10月26日(優先権主張 平成29年12月7日)に特許出願され、令和2年3月16日に特許権の設定登録がされたものであって、令和3年5月14日に、特許権者である三ツ星ベルト株式会社より、本件特許に対して本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲(以下、「本件特許請求の範囲」という。)を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、下記訂正事項1ないし3のとおり訂正することを求めるものである(なお、下線は訂正箇所を示すため請求人が付したものである。)。 1 訂正事項1 本件特許請求の範囲の請求項1において、「心線を含むVリブドベルトであって、」と記載されているのを、「ゴム成分及び心線を含むVリブドベルトであって、引張弾性率240?500N/(mm・%)を有するとともに、前記ゴム成分がエチレン-α-オレフィンエラストマーであり、」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2ないし8及び10も同様に訂正する。 2 訂正事項2 本件特許請求の範囲の請求項9及び11ないし14を削除する。 3 訂正事項3 本件特許請求の範囲の請求項10おいて、「ベルト1mm幅当たり、85N/mm以上の動的張力が作用するベルト式ISG駆動搭載のエンジンに装着される請求項1?9のいずれか一項に記載のVリブドベルト。」と記載されているのを、「ベルト1mm幅当たり、85N/mm以上の動的張力が作用するベルト式ISG駆動搭載のエンジンに装着される請求項1?8のいずれか一項に記載のVリブドベルト。」に訂正する。 第3 当審の判断 以下、訂正事項1ないし3について検討する。 1 訂正事項1について (1)訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1において特定されていなかった「心線を含むVリブドベルト」の心線以外の材質について、「ゴム成分及び心線を含むVリブドベルト」であるとともに、「前記ゴム成分がエチレン-α-オレフィンエラストマー」であることを特定することにより、Vリブドベルトの構成をより具体的に特定して限定するものである。 また、訂正事項1は、訂正前の請求項1において特定されていなかったVリブドベルトの引張弾性率について、「引張弾性率240?500N/(mm・%)を有する」ことを具体的に特定して限定するものである。 よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、上記(1)のとおり、訂正前の請求項1に係る発明を限定するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更する訂正ではない。 したがって、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1のうち、Vリブドベルトのゴム成分に係る訂正に関して、願書に添付した明細書の段落【0054】、【0063】及び【0064】には、次の記載がある。 「【0054】 [Vリブドベルト] ・・・(略)・・・。図2に示されるVリブドベルトは、ベルト下面(内周面)からベルト上面(背面)に向かって順に、圧縮ゴム層12、ベルト長手方向に心線(又は撚りコード)1を埋設した接着ゴム層14、カバー帆布(織物、編物、不織布など)又はゴム組成物で構成された伸張層15を積層した形態を有している。・・・(略)・・・。」 「【0063】 (ゴム組成物) 圧縮ゴム層12、接着ゴム層14及び伸張層15は、ゴム成分を含むゴム組成物で形成できる。・・・(略)・・・。 【0064】 ゴム成分としては、・・・(略)・・・、エチレン-α-オレフィンエラストマー、・・・(略)・・・などが挙げられる。・・・(略)・・・。好ましいゴム成分は、エチレン-α-オレフィンエラストマー(エチレン-プロピレン共重合体(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)等)、及び、クロロプレンゴムである。さらに、・・・(略)・・・、エチレン-α-オレフィンエラストマー(エチレン-プロピレン共重合体(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)等)が特に好ましい。ゴム成分がエチレン-α-オレフィンエラストマーを含む組成物において、ゴム成分中のエチレン-α-オレフィンエラストマーの割合は50質量%以上(特に80?100質量%程度)であってもよく、100質量%(エチレン-α-オレフィンエラストマーのみ)が好ましい。」 したがって、訂正事項1のうち、Vリブドベルトが「ゴム成分及び心線を含む」ものであり、「前記ゴム成分がエチレン-α-オレフィンエラストマー」であることは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 また、訂正事項1のうち、Vリブドベルトの引張弾性率について、願書に添付した明細書の段落【0059】及び特許請求の範囲の【請求項9】には次の記載がある。 「【0059】 本発明の摩擦伝動ベルト(特に、Vリブドベルト)は、高い引張弾性率を有しており、引張弾性率は、例えば、240?500N/(mm・%)・・・(略)・・・程度であってもよい。」 「【請求項9】 引張弾性率240?500N/(mm・%)を有する請求項1?8のいずれか一項に記載のVリブドベルト。」 したがって、訂正事項1のうち、Vリブドベルトの引張弾性率について、「引張弾性率240?500N/(mm・%)を有する」ことは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項1は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第126条第7項の規定に該当するものであるか、すなわち、訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けるものであることか否か検討を要するものである。しかし、本件訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらないので、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 (5)小括 以上のとおりであるから、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 2 訂正事項2について (1)訂正の目的 訂正事項2は、本件特許請求の範囲の請求項9及び11ないし14を削除するものである。 したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(1)で述べたとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項9及び11ないし14を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項2による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、訂正前の請求項9及び11ないし14を削除するものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項2による訂正は、新規事項を追加する訂正には該当せず、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項2は、訂正前の請求項9及び11ないし14を削除するものであるから、特許法第126条第7項の独立特許要件の判断の対象となる請求項は存在しない。 したがって、訂正事項2による訂正は、独立特許要件違反となるものではなく、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。 (5)小括 よって、訂正事項2による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 3 訂正事項3について (1)訂正の目的 訂正事項3は、本件特許請求の範囲の請求項10において、請求項1ないし9のいずれか1項を引用する記載であったものを、請求項1ないし8のいずれか1項を引用するように、引用する請求項のうち請求項9を削除する訂正である。 したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(1)のとおり、訂正事項3は、請求項10において引用する請求項の一部を削除するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項3による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(1)のとおり、訂正事項3は、請求項10において引用する請求項の一部を削除するものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項3による訂正は、新規事項を追加する訂正には該当せず、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正事項3は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第126条第7項の規定に該当するものであるか、すなわち、訂正後の特許請求の範囲の請求項10に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けるものであることか否か検討を要するものである。しかし、本件訂正後の請求項10は、請求項1ないし8のいずれか1項を引用するものであり、請求項1ないし8は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、上記訂正事項1と同様に、本件訂正後の請求項10に記載されている事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見当たらないので、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 (5)小括 以上のとおりであるから、訂正事項3による訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 第4 むすび したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1ないし訂正事項3による訂正は、特許法第126条第1ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ゴム成分及び心線を含むVリブドベルトであって、 引張弾性率240?500N/(mm・%)を有するとともに、 前記ゴム成分がエチレン-α-オレフィンエラストマーであり、 前記心線が、カーボン繊維を含む高弾性率繊維を含む芯糸と、この芯糸の周囲に配され、かつ低弾性率繊維を含む複数の鞘糸とを含むコードを含み、前記コードは上撚りされており、前記芯糸の平均直径に対する前記鞘糸の平均直径の比率が0.2?0.4である、Vリブドベルト。 【請求項2】 鞘糸の総繊度が、30?80texである請求項1に記載のVリブドベルト。 【請求項3】 鞘糸の平均直径が、0.13?0.25mmである請求項1又は2に記載のVリブドベルト。 【請求項4】 前記鞘糸が下撚りされた撚糸であり、コードが、芯糸1本に対して鞘糸11?19本が上撚りされた撚糸コードである請求項1?3のいずれか一項に記載のVリブドベルト。 【請求項5】 心線が、ゴム層に所定の間隔をおいて埋設されたS撚りコードの心線とZ撚りコードの心線とを含む請求項1?4のいずれか一項に記載のVリブドベルト。 【請求項6】 下撚りと上撚りとの撚り方向が同じである請求項4又は5記載のVリブドベルト。 【請求項7】 低弾性率繊維がガラス繊維を含む請求項1?6のいずれか一項に記載のVリブドベルト。 【請求項8】 高弾性率繊維の少なくとも一部の表面又は低弾性率繊維の少なくとも一部の表面に接着成分が付着し、コードの少なくとも一部の表面にゴム成分が付着している請求項1?7のいずれか一項に記載のVリブドベルト。 【請求項9】 (削除) 【請求項10】 ベルト1mm幅当たり、85N/mm以上の動的張力が作用するベルト式ISG駆動搭載のエンジンに装着される請求項1?8のいずれか一項に記載のVリブドベルト。 【請求項11】 (削除) 【請求項12】 (削除) 【請求項13】 (削除) 【請求項14】 (削除) |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2021-06-11 |
結審通知日 | 2021-06-16 |
審決日 | 2021-06-30 |
出願番号 | 特願2018-201776(P2018-201776) |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(F16G)
P 1 41・ 856- Y (F16G) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前田 浩 |
特許庁審判長 |
田村 嘉章 |
特許庁審判官 |
尾崎 和寛 杉山 健一 |
登録日 | 2020-03-16 |
登録番号 | 特許第6676725号(P6676725) |
発明の名称 | 摩擦伝動ベルト、そのためのコード並びにそれらの製造方法 |
代理人 | 鍬田 充生 |
代理人 | 阪中 浩 |
代理人 | 阪中 浩 |
代理人 | 鍬田 充生 |