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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04M
管理番号 1378127
審判番号 不服2020-3414  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-12 
確定日 2021-10-06 
事件の表示 特願2019- 369「スマメモ」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月16日出願公開、特開2019- 75815、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、平成28年10月20日を出願日とする特願2016-206283号の一部を平成31年1月5日に新たな出願としたものであって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。

令和元年 9月 5日付け : 拒絶理由通知
令和元年11月12日 : 意見書及び手続補正書の提出
令和元年12月20日付け : 拒絶査定
令和2年 3月12日 : 審判請求書及び手続補正書の提出
令和2年10月13日付け : 拒絶理由通知
令和2年12月21日 : 意見書及び手続補正書の提出
令和3年 3月26日付け : 拒絶理由通知
令和3年 5月28日 : 意見書及び手続補正書の提出


第2 本願発明

本願請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、令和3年5月28日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
スマホの長手方向に折り畳み可能な第1表紙部及び第2表紙部を有し、前記第1表紙部に取り付けられたスマホの画面を前記第2表紙部に取り付けられたメモ紙で保護し、前記第1表紙部及び第2表紙部はスマホの長さより上端部の長さが短い事を特徴とするスマホメモ。

【請求項2】
スマホの長手方向に折り畳み可能な第1表紙部及び第2表紙部を有し、前記第1表紙部に取り付けられたスマホの画面を前記第2表紙部に取り付けられたメモ紙で保護するスマホメモであって、
前記スマホのカメラを覆わないように前記第1表紙部の長手方向の長さを短くしたことを特徴とするスマホメモ。」


第3 当審拒絶理由及び原査定の概要

1 令和3年3月26日付け拒絶理由

令和3年3月26日付けで当審から最後の拒絶理由として通知した拒絶理由通知書の概要は以下のとおりである。

「本願請求項3に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



1.特開2013-102271号公報
2.登録実用新案第3186391号公報
3.特開2015-2360号公報

最後の拒絶理由通知とする理由

1.最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶の理由のみを通知する拒絶理由通知である。 」


2 令和2年10月13日付け拒絶理由

令和2年10月13日付けで当審から最初の拒絶理由として通知した拒絶理由通知書の概要は以下のとおりである。

「本願請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



1.特開2013-102271号公報
2.登録実用新案第3186391号公報 」


3 原査定

原査定(令和元年12月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

「1.(新規性)本願請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)本願請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



1.登録実用新案第3045682号公報 」


第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1(特開2013-102271号公報)について

令和3年3月26日付け拒絶理由通知書及び令和2年10月13日付け拒絶理由通知書において引用された特開2013-102271号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0010】
本発明は、前記技術的課題を解決するために開発されたものであり、携帯時において携帯機器に傷がつくことを防止すると共に、画面部を効果的に保護することができる新規な携帯機器保護構造、及びこの携帯機器保護構造に用いられる保護ケースを提供することを目的とする。」

(イ)「【0024】
前記携帯機器100は、扁平箱状の筐体101の表面に4インチの液晶ディスプレイからなる画面部102が設けられた構造を有する通話機能付きの携帯情報受信端末(幅62mm、高さ126mm、厚さ11.9mm)である。
【0025】
図2に示すように、前記保護ケース10は、前記携帯機器100の裏面側を覆う裏表紙部2と、前記携帯機器100の一側面を覆う背表紙部3と、前記携帯機器100の表面側を覆う表紙部4と、を具備してなる。」

(ウ)「【0029】
前記保護ケース10は、前記背表紙部3を覆う前記粘着テープ200を表面側に露出させた状態にて折り畳まれて使用されるものであり、前記裏表紙部2の内面と前記背表紙部3の内面とがなす第一角部23、及び前記表紙部4の内面と前記背表紙部3の内面とがなす第二角部43を開閉軸として、前記裏表紙部2に対して前記表紙部3が開閉可能となされている(図1(a)、(b)参照)。なお、前記裏表紙部2、前記背表紙部3、及び前記表紙部4の「内面」とは、前記保護ケース10が折り畳まれて、前記携帯機器100が内包された際における、前記携帯機器100を臨む側の面を意味する。」

(エ)「【0032】
本発明構造1は、前記保護ケース10を展開して、前記裏表紙部2の内面に積層された粘着シート6を露出させ、次いで、前記携帯機器100における前記筐体101の裏面を、前記粘着シート6に押し当てて、前記携帯機器100を、前記粘着シート6の粘着力によって、前記保護ケース10に支持させることによって構築される。」

(オ)「【0040】
なお、本発明構造物は、前記表紙部4が、前記裏表紙部2に対して開閉可能となされているから、図4に示すように、前記表紙部4を開いて前記携帯機器100を操作している間に、前記表紙部4を下敷き代わりにしてメモ用紙にメモすることも可能となる。係るメモ用紙は、前記表紙部4の内面に対し、付帯された状態としても良い。但し、係るメモ用紙を前記表紙部4の内面に付帯する場合には、係るメモ用紙の厚さによって、前記第一角部23の角度(α)と前記第二角部43の角度(β)との和が180度以上とならないように、メモ用紙の枚数(厚さ)を制限することが好ましい。」

(カ)「【図1】



(キ)「【図4】



上記(ア)?(キ)の記載によれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「携帯時において携帯機器に傷がつくことを防止すると共に、画面部を効果的に保護することができる保護ケース10であって、(【0010】)
保護ケース10は、携帯機器100の裏面側を覆う裏表紙部2と、携帯機器100の一側面を覆う背表紙部3と、携帯機器100の表面側を覆う表紙部4と、を具備し、(【0025】)
表紙部4が、裏表紙部2に対して開閉可能となされており、(【0040】)
保護ケース10は、背表紙部3を覆う粘着テープ200を表面側に露出させた状態にて折り畳まれて使用されるものであり、(【0029】)
携帯機器100は、裏表紙部2の内面に積層された粘着シート6の粘着力によって、保護ケース10に支持され、(【0032】)
表紙部4の内面に対し、メモ用紙を付帯された状態としても良い、(【0040】)
保護ケース10。」


2 引用文献2(登録実用新案第3186391号公報)について

令和3年3月26日付け拒絶理由通知書及び令和2年10月13日付け拒絶理由通知書において引用された登録実用新案第3186391号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
本考案は、スマートフォンでなる携帯端末に適用される携帯端末用ケース、特に携帯端末と共に非接触型ICカードを収容するための対策が講じられた携帯端末用ケースに関する。」

(イ)「【0021】
以上説明した携帯端末用ケース10は、蓋板部15を横開き式とした事例であるけれども、蓋板部15を縦開き式にすることも容易に可能である。図3には、縦開き式の蓋板部15を備えた携帯端末用ケース10を概略斜視図で例示している。
【0022】
図3の携帯端末用ケース10では、携帯端末ホルダー11の枠部13が、スマートフォンの4つのコーナー部に各別に対峙する突片によって形成されていて、それらの突片の相互間空間が開口窓Wとして形成されている。また、蓋板部15が、携帯端末ホルダー11の裏面に固着された裏当て材14と同一の素材でその裏当て材14から縦方向に延出されている。その他の事項は、図1又は図2を参照して説明したところと同様であるので、説明の重複を回避するために、同一又は相応する要素に同一の符合を付することによって詳細な説明を省略する。」

(ウ)「【図3】




3 引用文献3(登録実用新案第3045682号公報)について

原査定の拒絶の理由に引用された登録実用新案第3045682号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【特許請求の範囲】
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 携帯電話収納ケース及び専用イヤホンマイクフックのついたシステムノート式の携帯用メモ台。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案を開いた図。
【図2】本考案を持ち運び用に閉じた図。
【符号の説明】
1は携帯電話収納ケース。
2はイヤホンマイク用フック。
3はイヤホンマイク。
4はメモ紙。
5は本体。
6は筆記用具差し。」

(イ)「【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、携帯電話通話中にメモをとるのに使用するための、携帯電話収納ケースとイヤホンマイクフックのついたシステムノート式の携帯用メモ台に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の携帯電話用メモ台は、通話の際に電話機を収納ケースから取り出して本体を直接耳に当てて使用する物であった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
その場合、通話内容のメモを取ろうとする時、片手で電話機本体を持ち、もう一方の手で筆記用具を持たなければならないので、メモ台は何らかのテーブル状のものの上に置かなければならず、場所を選ばずにかかってくる携帯電話の受信内容をメモするのに適当でなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案はそれらの欠点を除くために発明されたもので、それを図面について説明すれば次のようになる。 収納ケース(1)は電話機収納時に電話機のイヤホンマイク差し込み口が出るような大きさにしてある。 その差し込み口に常時差し込んであるイヤフォンマイク(3)は使用するのに適当な長さになるようにフック(2)に掛けて調整してある。 本体(5)にはメモ紙(4)があらかじめ装着されている。
【0005】
【実施例】
尚、実施に当たっては次のようなことが考えられる。
(イ) 本体(5)は、その上でメモを取りやすいようなかたさの材質にする。
(ロ) 筆記用具差し(6)をつけてもよい。
(ハ) 収納ケース(1)の前面は透明の材質にして、その上からでも電話機の操作ができるようにする。
(ニ) 本体(5)は、使用していない時には中央から折りたため、金具で止めて持ち運びに容易な形態(図2)になる。
(ホ) メモ紙(4)の部分には、メモ紙の他に住所録や予定表などを装着してもよい。
【0006】
【考案の効果】
従って、このメモ台でイヤホンマイクを使って携帯電話の送受信をすれば、電話機とメモ紙が同時に片方の手で持てるので、何らかのテーブル状のものの上に置く必要がなく、場所を選ばずに電話の内容をメモすることができる。
本考案は、場所を選ばずにかかってくる携帯電話の際のメモ取りの煩雑さを一
変させる、画期的なメモ台である。」

(ウ)「図1



(エ)「図2



上記(ア)?(エ)の記載によれば、引用文献3には次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。

「携帯電話収納ケース(1)とイヤホンマイクフック(2)のついたシステムノート式の携帯用メモ台であって、
収納ケース(1)は電話機収納時に電話機のイヤホンマイク差し込み口が出るような大きさにしてあり、
本体(5)にはメモ紙(4)があらかじめ装着されており、
更に、本体(5)は、使用していない時には中央から折りたため、金具で止めて持ち運びに容易な形態である、
携帯用メモ台。」


第5 対比・判断

1 本願発明1について

(対比)

本願発明1と引用発明1とを対比する。

(ア)『スマホの長手方向に折り畳み可能な第1表紙部及び第2表紙部を有し、』について

引用発明1の保護ケース10においては、「携帯機器100は、裏表紙部2の内面に積層された粘着シート6の粘着力によって、保護ケース10に支持され、表紙部4の内面に対し、メモ用紙を付帯された状態としても良い」のであるから、保護ケース10の「裏表紙部2」には、携帯機器100が取り付けられ、そして、「表紙部4」には、メモ用紙が取り付けられているといえるから、引用発明1の「裏表紙部2」及び「表紙部4」は、それぞれ、本願発明でいう『第1表紙部』及び『第2表紙部』に相当する。
なお、「携帯機器100」は、「扁平箱状の筐体101の表面に4インチの液晶ディスプレイからなる画面部102が設けられた構造を有する通話機能付きの携帯情報受信端末(幅62mm、高さ126mm、厚さ11.9mm)である」(【0024】)ことを鑑みると、引用発明1の保護ケース10に取り付けられる「携帯機器100」には、スマートフォンが含まれるものと解される。
さらに、引用発明1の保護ケース10は、「背表紙部3を覆う粘着テープ200を表面側に露出させた状態にて折り畳まれて使用される」との事項、及び、「表紙部4が、裏表紙部2に対して開閉可能となされている」との事項を踏まえると、引用発明1は、本願発明1でいう『折り畳み可能な第1表紙部及び第2表紙部を有し』ているといえる。

(イ)『前記第1表紙部に取り付けられたスマホの画面を前記第2表紙部に取り付けられたメモ紙で保護し、』について

引用発明1の保護ケース10は、「携帯時において携帯機器に傷がつくことを防止すると共に、画面部を効果的に保護することができる」ものであり、そして、【図4】から明らかな様に、保護ケース10を折り畳んだときには、携帯機器100の画面部をメモ用紙で保護する形態となるから、本願発明1でいう『第1表紙部に取り付けられたスマホの画面を第2表紙部に取り付けられたメモ紙で保護する』との構成を備えているといえる。

(ウ)『前記第1表紙部及び第2表紙部はスマホの長さより上端部の長さが短い事』について

引用発明1には、本願発明1が備える『前記第1表紙部及び第2表紙部はスマホの長さより上端部の長さが短い事』との発明特定事項は備わっておらず、引用文献1にもかかる構成は記載も示唆もされていない。

(エ)『スマホメモ』について

引用発明1の「保護ケース10」は、本願発明1において『スマホメモ』と称するものに対応する。

上記(ア)から(エ)で対比した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明1とは、

「折り畳み可能な第1表紙部及び第2表紙部を有し、前記第1表紙部に取り付けられたスマホの画面を前記第2表紙部に取り付けられたメモ紙で保護するスマホメモ。」

で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明1においては、『第1表紙部及び第2表紙部』が『スマホの長手方向に折り畳み可能』であることが特定されているのに対し、引用発明1の「裏表紙部2」及び「表紙部4」の折り畳み方向は、スマホの短手方向、いわゆる、「横開き式」である点。

[相違点2]
本願発明1は、『前記第1表紙部及び第2表紙部はスマホの長さより上端部の長さが短い事』との発明特定事項を備えているのに対し、引用発明1は、そのような発明特定事項を備えていない点。


(判断)

事案に鑑み[相違点2]について検討する。

引用文献1、引用文献2及び引用文献3には、本願発明1が備える『第1表紙部及び第2表紙部はスマホの長さより上端部の長さが短い事』との発明特定事項について記載されておらず、さらに、そのような構成を示唆する記載もない。
また、当該発明特定事項によって【0009】に記載されるように「コストダウンと軽量化」を実現することができるので、当業者にとって自明であるといえる合理的証拠もない。

してみると、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


2 本願発明2について

(対比)

本願発明2と引用発明1とを対比する。

(ア)『スマホの長手方向に折り畳み可能な第1表紙部及び第2表紙部を有し、』について

上記「1 本願発明1について」の(ア)で言及したのと同様であるから、引用発明1は、本願発明2でいう『折り畳み可能な第1表紙部及び第2表紙部を有し』ているといえる。

(イ)『前記第1表紙部に取り付けられたスマホの画面を前記第2表紙部に取り付けられたメモ紙で保護する』について

上記「1 本願発明1について」の(イ)で言及したのと同様であるから、引用発明1は、本願発明2でいう『第1表紙部に取り付けられたスマホの画面を第2表紙部に取り付けられたメモ紙で保護する』との構成を備えているといえる。

(ウ)『前記スマホのカメラを覆わないように前記第1表紙部の長手方向の長さを短くしたこと』について

引用発明1には、本願発明2が備える『前記スマホのカメラを覆わないように前記第1表紙部の長手方向の長さを短くしたこと』との発明特定事項は備わっておらず、引用文献1にもかかる構成は記載も示唆もされていない。

(エ)『スマホメモ』について

上記「1 本願発明1について」の(エ)で言及したのと同様であるから、引用発明1の「保護ケース10」は、本願発明2において『スマホメモ』と称するものに対応する。

上記(ア)から(エ)で対比した事項を踏まえると、本願発明2と引用発明1とは、

「折り畳み可能な第1表紙部及び第2表紙部を有し、前記第1表紙部に取り付けられたスマホの画面を前記第2表紙部に取り付けられたメモ紙で保護するスマホメモ。」

で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明2においては、『第1表紙部及び第2表紙部』が『スマホの長手方向に折り畳み可能』であることが特定されているのに対し、引用発明1の「裏表紙部2」及び「表紙部4」の折り畳み方向は、スマホの短手方向、いわゆる、「横開き式」である点。

[相違点2]
本願発明2は、『前記スマホのカメラを覆わないように前記第1表紙部の長手方向の長さを短くし』との発明特定事項を備えているのに対し、引用発明1は、そのような発明特定事項を備えていない点。


(判断)

事案に鑑み[相違点2]について検討する。

引用文献1、引用文献2及び引用文献3には、本願発明2が備える『前記スマホのカメラを覆わないように前記第1表紙部の長手方向の長さを短くし』との発明特定事項について記載されておらず、さらに、そのような構成を示唆する記載もない。
また、当該発明特定事項によって【0009】に記載されるように「コストダウンと軽量化」を実現することができるので、当業者にとって自明であるといえる合理的証拠もない。

してみると、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明2は、当業者であっても引用文献1、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


第6 原査定についての判断

上記「第5 対比・判断」で検討したとおり、本願発明1の『前記第1表紙部及び第2表紙部はスマホの長さより上端部の長さが短い事』との発明特定事項、及び、本願発明2の『前記スマホのカメラを覆わないように前記第1表紙部の長手方向の長さを短くし』との発明特定事項については、引用文献1、引用文献2及び引用文献3のいずれにも記載も示唆もされていないから、引用発明3を主たる引用発明として本願発明1及び本願発明2と対比・判断をしても、上記発明特定事項は容易に想到し得ない相違点となることは明らかである。
よって、本願発明1及び2は、引用発明3と同一ではなく、また、上記引用文献1?3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。


第7 むすび

上記「第5 対比・判断」で言及したとおり、本願発明1及び2は、引用文献1?3に記載された発明と同一ではなく、また、同引用文献に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。

さらに、上記「第6 原査定についての判断」で言及したとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。



 
審決日 2021-09-10 
出願番号 特願2019-369(P2019-369)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H04M)
P 1 8・ 121- WY (H04M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤江 大望  
特許庁審判長 吉田 隆之
特許庁審判官 丸山 高政
佐藤 智康
発明の名称 スマメモ  

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