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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G02B 審判 全部申し立て 2項進歩性 G02B |
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管理番号 | 1378729 |
異議申立番号 | 異議2019-700933 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-11-22 |
確定日 | 2021-08-23 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6517421号発明「反射防止フィルム及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6517421号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 特許第6517421号の請求項1、7、9、10に係る特許を維持する。 特許第6517421号の請求項2-6、8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1.手続の経緯 特許第6517421号の請求項1?10に係る特許についての出願は、2016年(平成28年)11月3日(パリ条約による優先権主張 2015年11月4日 韓国(KR)、2016年10月31日 韓国(KR))を国際出願日とする特願2018-512616号の一部を、平成30年12月6日に新たな出願としたものであって、平成31年4月26日に特許権の設定登録がされ、令和元年5月22日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立てに関する経緯は、次のとおりである。 令和元年11月22日 :特許異議申立人高石 恵子(以下「申立人」 という)による特許異議の申立て 令和2年 3月 6日付け:取消理由通知書 令和2年 6月 8日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の提出 令和2年 7月21日 :申立人による意見書の提出 令和2年 9月30日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和3年 3月 2日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の提出 令和3年 5月17日 :申立人による意見書の提出 なお、令和2年6月8日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規程により、取り下げられたものとみなす。 第2.訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 令和3年3月1日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、「特許第6517421号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?10について訂正することを求める。」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。 (1)訂正事項1 訂正前の請求項1に対し、「前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面に前記第1層が接し、前記第1層の他の一面に前記第2層が接し、」との記載を追加する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?10も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 訂正前の請求項1に対し、「前記第1層は、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内の領域であり、」との記載を追加する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?10も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 訂正前の請求項1に対し、「前記ソリッド無機ナノ粒子は、2.00g/cm^(3)?5.00g/cm^(3)の密度を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1.50g/cm^(3)?3.50g/cm^(3)の密度を有し、」との記載を追加する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?10も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 訂正前の請求項1に対し、「前記ソリッド無機ナノ粒子の密度は、前記中空無機ナノ粒子の密度よりも大きく、」との記載を追加する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?10も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 訂正前の請求項1に対し、「前記ソリッド無機ナノ粒子は、1?30nmの直径を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1?200nmの直径を有し、」との記載を追加する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?10も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 訂正前の請求項1に対し、「前記中空無機ナノ粒子の直径は、前記ソリッド無機ナノ粒子の直径よりも大きく、」との記載を追加する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?10も同様に訂正する)。 (7)訂正事項7 訂正前の請求項1に対し、「前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体を含み、」との記載を追加する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?10も同様に訂正する)。 (8)訂正事項8 訂正前の請求項1に対し、「前記低屈折層は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記中空無機ナノ粒子10?400重量部及び前記ソリッド無機ナノ粒子63?400重量部を含み、」との記載を追加する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?10も同様に訂正する)。 (9)訂正事項9 訂正前の請求項1に対し、「前記ハードコーティング層は、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂を含み、」との記載を追加する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?10も同様に訂正する)。 (10)訂正事項10 訂正前の請求項1に対し、「380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を示す、」との記載を追加する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?10も同様に訂正する)。 (11)訂正事項11 訂正前の請求項2を削除する。 (12)訂正事項12 訂正前の請求項3削除する。 (13)訂正事項13 訂正前の請求項4を削除する。 (14)訂正事項14 訂正前の請求項5を削除する。 (15)訂正事項15 訂正前の請求項6を削除する。 (16)訂正事項16 訂正前の請求項8を削除する。 (17)訂正事項17 訂正前の請求項9において、従属先の請求項を請求項1から請求項7に変更する。 2.一群の請求項 訂正前の請求項1?10は、請求項2?10が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項〔1?10〕について請求されている。 3.訂正の適否 (1)訂正事項1について ア.訂正の目的 上記訂正事項1は、訂正前の請求項1に対し、「前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面に前記第1層が接し、前記第1層の他の一面に前記第2層が接し、」との記載を追加することで、低屈折層の第1層と第2層の位置関係を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という)に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項1は、本件特許明細書等の段落【0033】の、「前記実施例の反射防止フィルムにおいて、前記低屈折層は、前記ソリッド無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が含まれている第1層と、前記中空無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が含まれている第2層とを含み得、前記第1層が第2層に比べて前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面により近く位置し得る。」との記載等に基づいて導き出されるものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項1は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について ア.訂正の目的 上記訂正事項2は、訂正前の請求項1に対し、「前記第1層は、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内の領域であり、」との記載を追加することで、低屈折層の第1層と第2層との境界を明確に特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項2は、本件特許明細書等の段落【0027】の「前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内に前記ソリッド無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が存在し得る。」の記載に基づくものであり、ソリッド無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が存在する領域は、請求項1で特定する低屈折層の第1層に該当するから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項2は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3について ア.訂正の目的 上記訂正事項3は、訂正前の請求項1に対し、「前記ソリッド無機ナノ粒子は、2.00g/cm^(3)?5.00g/cm^(3)の密度を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1.50g/cm^(3)?3.50g/cm^(3)の密度を有し、」との記載を追加することで、ソリッド無機ナノ粒子及び中空無機ナノ粒子のそれぞれの密度の数値範囲を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項3は、本件特許明細書等の段落【0033】の「前記ソリッド無機ナノ粒子は、2.00g/cm^(3)?5.00g/cm^(3)の密度を有し得る。また、前記中空無機ナノ粒子は、1.50g/cm^(3)?3.50g/cm^(3)の密度を有し得る。」の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項3は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4について ア.訂正の目的 上記訂正事項4は、訂正前の請求項1に対し、ソリッド無機ナノ粒子の密度と中空無機ナノ粒子の密度の大小関係について、「前記ソリッド無機ナノ粒子の密度は、前記中空無機ナノ粒子の密度よりも大きく、」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項4は、本件特許明細書等の段落【0141】?【0145】の実施例1?5、及び、本件特許明細書等の段落【0146】?【0148】の実施例6に基づくものであり、実施例1?5の反射防止フィルムでは、密度が1.96g/cm^(3)の中空シリカナノ粒子と、密度が2.65g/cm^(3)のソリッドシリカナノ粒子が用いられており、実施例6の反射防止フィルムでは、密度が1.96g/cm^(3)の中空シリカナノ粒子と、密度が4.3g/cm^(3)のソリッド二酸化チタン粒子が用いられているものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項4は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項5について ア.訂正の目的 上記訂正事項5は、訂正前の請求項1に対し、「前記ソリッド無機ナノ粒子は1?30nmの直径を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1?200nmの直径を有し、」との記載を追加することで、ソリッド無機ナノ粒子及び中空無機ナノ粒子のそれぞれの直径の数値範囲を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項5は、本件特許明細書等の段落【0036】の「前記ソリッド無機ナノ粒子は、・・・1?30nmの直径を有し得る。」の記載、及び段落【0037】の「前記中空無機ナノ粒子は、1?200nm、・・・の直径を有し得る。」の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項5は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)訂正事項6について ア.訂正の目的 上記訂正事項6は、訂正前の請求項1に対し、ソリッド無機ナノ粒子の直径と中空無機ナノ粒子の直径の大小関係について、「前記中空無機ナノ粒子の直径は、前記ソリッド無機ナノ粒子の直径よりも大きく、」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項6は、本件特許明細書等の段落【0141】?【0145】の実施例1?5、及び、本件特許明細書等の段落【0146】?【0148】の実施例6に基づくものであり、実施例1?5の反射防止フィルムでは、直径が約50?60nmの中空シリカナノ粒子と直径が約12nmのソリッドシリカナノ粒子を用いられており、実施例6の反射防止フィルムでは、直径が約50?60nmの中空シリカナノ粒子と直径が約15nmのソリッド二酸化チタン粒子を用いられているものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項6は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)訂正事項7について ア.訂正の目的 上記訂正事項7は、訂正前の請求項1に対し、「前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体を含み、」との記載を追加することで、低屈折層に含まれるバインダー樹脂の種類を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項7は、本件明細書の段落【0040】の「前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体・・・を含み得る。」の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項7は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (8)訂正事項8について ア.訂正の目的 上記訂正事項8は、訂正前の請求項1に対し、「前記低屈折層は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記中空無機ナノ粒子10?400重量部及び前記ソリッド無機ナノ粒子10?400重量部を含み、」との記載を追加することで、低屈折層に含まれる中空無機ナノ粒子及びソリッド無機ナノ粒子の含有量の数値範囲を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項8は、本件特許明細書等の段落【0067】の「前記低屈折層は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記中空無機ナノ粒子10?400重量部及び前記ソリッド無機ナノ粒子10?400重量部を含み得る。」の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項8は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (9)訂正事項9について ア.訂正の目的 上記訂正事項9は、訂正前の請求項1に記載されていたハードコーティング層について、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂を含むことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項9は、本件特許明細書等の段落【0084】の「前記ハードコーティングフィルムの一例として、光硬化性樹脂のバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に分散された帯電防止材を含むハードコーティングフィルムが挙げられる。」の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項9は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (10)訂正事項10について ア.訂正の目的 上記訂正事項10は、訂正前の請求項1に記載されていた反射防止フィルムの特性について、380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を示すことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項10は、本件特許明細書等の段落【0032】の「具体的には前記反射防止フィルムは、380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を示し得る。」の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項10は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (11)訂正事項11?16について ア.訂正の目的 上記訂正事項11?16は、それぞれ、訂正前の請求項2?6、8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項11?16は、それぞれ、訂正前の請求項2?6、8を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項11?16は、それぞれ、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (12)訂正事項17について ア.訂正の目的 上記訂正事項17は、訂正前の請求項9において、「前記バインダー樹脂は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物を20?300重量部含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。」と記載されているが、「光重合性化合物の(共)重合体」と「光反応性官能基を含む含フッ素化合物」は前記されておらず、「前記光重合性化合物の(共)重合体」の「前記」及び「前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物」の「前記」がそれぞれ何を示すのかが不明であって、発明が不明確となっていたところ、この点を解消するために、請求項9における従属先の請求項を請求項1から請求項7に変更するものであるから、誤記の訂正、または、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項17は、請求項9において従属先の請求項を、請求項1から請求項7へと適正な請求項に変更するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記訂正事項17は、上記ア.のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (13)小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号乃至第3号に掲げられた事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?10〕について訂正することを認める。 第3.本件特許発明 上記のとおり本件訂正は認められるから、本件訂正後の請求項1?10に係る発明(以下、「本件特許発明1?10」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 0.1μm?100μmの厚みを有するハードコーティング層と、 前記ハードコーティング層の一面に形成され、バインダー樹脂と前記バインダー樹脂に分散された中空無機ナノ粒子及びソリッド無機ナノ粒子を含む低屈折層と、を含み、 前記低屈折層は、前記ソリッド無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が含まれている第1層と前記中空無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が含まれている第2層とを含み、 前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面に前記第1層が接し、前記第1層の他の一面に前記第2層が接し、 前記第1層は、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内の領域であり、 前記ソリッド無機ナノ粒子と前記中空無機ナノ粒子との密度差が、0.30g/cm^(3)?3.00g/cm^(3)であり、 前記ソリッド無機ナノ粒子は、2.00g/cm^(3)?5.00g/cm^(3)の密度を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1.50g/cm^(3)?3.50g/cm^(3)の密度を有し、 前記ソリッド無機ナノ粒子の密度は、前記中空無機ナノ粒子の密度よりも大きく、 前記ソリッド無機ナノ粒子は、1?30nmの直径を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1?200nmの直径を有し、 前記中空無機ナノ粒子の直径は、前記ソリッド無機ナノ粒子の直径よりも大きく、 前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体を含み、 前記低屈折層は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記中空無機ナノ粒子10?400重量部及び前記ソリッド無機ナノ粒子63?400重量部を含み、 前記ハードコーティング層は、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂を含み、 380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を示す、 反射防止フィルム。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体及び光反応性官能基を含む含フッ素化合物間の架橋(共)重合体を含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 前記バインダー樹脂は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物を20?300重量部含む、請求項7に記載の反射防止フィルム。 【請求項10】 前記ハードコーティング層は、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂と前記バインダー樹脂に分散された有機または無機微粒子を含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。」 第4.取消理由<決定の予告>の概要及び証拠方法 1.取消理由<決定の予告>の概要 本件訂正請求による訂正前の請求項1、3、5、7、9に係る特許に対して、令和2年9月30日付け取消理由通知書で特許権者に通知した取消理由<決定の予告>の概要は、以下のとおりである。 理由(サポート要件)本件特許は、請求項1、3、5、7、9に係る発明が発明の詳細な説明に記載したものでないため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 理由(明確性)本件特許は、請求項1、3、5、7、9に係る発明が明確でないため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 理由(進歩性)本件特許の請求項1、3、5、7、9に係る発明は、甲第13号証に記載された発明、甲第8号証に記載された事項、及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2.証拠方法 甲第1号証:特開2009-244382号公報 甲第2号証:化学大辞典編集委員会編「化学大辞典 3 縮刷版」、共立 出版株式会社、2003年10月1日縮刷版第38刷発行、 635ページ 甲第3号証:国際公開第2013/018187号 甲第4号証:国際公開第2012/147527号 甲第5号証:特開2011-88787号公報 甲第6号証:特開2007-272132号公報 甲第7号証:特表2014-529762号公報 甲第8号証:特開2013-228741号公報 甲第9号証:国際公開第2012/157682号 甲第10号証:”製品紹介 オルガノシリカゾル”、[online]、 日産化学株式会社、[令和元年7月1日検索]、インター ネット<URL:https://www.nissanchem.co.jp/product s/materials/inorganic/products/02/> 甲第11号証:経済産業省「ナノマテリアル情報提供シート 材料名 非 晶質コロイダルシリカ 事業者名 日産化学工業株式会社 」、平成27年7月時点 甲第12号証:経済産業省「ナノマテリアル情報提供シート 材料名 火 炎加水分解法、または燃焼加水分解法と呼ばれる乾式法に よって製造されたシリカ 事業者名 日本アエロジル株式 会社」、平成27年7月時点 甲第13号証:特開2013-130865号公報 引用文献1:特表2018-535440号公報 第5.取消理由<決定の予告>についての当審の判断 以下、申立人が提出した甲第1号証等を、以下「甲1」等といい、甲1に記載された発明あるいは事項を、以下「甲1発明」あるいは「甲1事項」等という。 1.理由(サポート要件)について (1)本件特許の発明の詳細な説明には、「低い反射率及び高い透光率を有し、かつ高い耐スクラッチ性及び防汚性を同時に実現でき、ディスプレイ装置の画面の鮮明度を高めることができる反射防止フィルムを提供する」(段落【0009】)ことが、発明が解決しようとする課題として記載され、当該課題を解決するための手段として、「具体的には、後述する特定の製造方法により、前記反射防止フィルムの低屈折層中の前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面の近くにソリッド無機ナノ粒子を主に分布させ、前記界面の反対面の方には中空無機ナノ粒子を主に分布させる場合、従来に無機粒子を用いて得られた実際反射率に比べて、より低い反射率を達成でき、また前記低屈折層が大きく向上した耐スクラッチ性及び防汚性を共に実現できる。」(段落【0022】)と記載されている。 (2)そして、当該「後述する特定の製造方法」として、発明の詳細な説明には、以下のように記載されている。 ア.「【0029】 前記低屈折層で前記ソリッド無機ナノ粒子及び中空無機ナノ粒子の特異な分布は後述する特定の製造方法において、前記ソリッド無機ナノ粒子と中空無機ナノ粒子との間の密度差を調節し、前記2種のナノ粒子を含む低屈折層形成用光硬化性樹脂組成物の乾燥温度を調節することで得られる。 【0030】 具体的には、前記ソリッド無機ナノ粒子と前記中空無機ナノ粒子との密度差が、0.30g/cm^(3)?3.00g/cm^(3)、または0.40g/cm^(3)?1.50g/cm^(3)、または0.50g/cm^(3)?0.90g/cm^(3)であり得るが、後述する製造方法によれば、前記形成される低屈折層では前記ソリッド無機ナノ粒子と前記中空無機ナノ粒子と間の流動がより円滑になり、分布の偏在が示され得る。そのため、発明の一実施例の反射防止フィルムにおいては、前記ハードコーティング層上に形成される低屈折層で前記ソリッド無機ナノ粒子が、ハードコーティングの方により近い方に位置し得る。 【0031】 前記ソリッド無機ナノ粒子は、2.00g/cm^(3)?5.00g/cm^(3)の密度を有し得る。また、前記中空無機ナノ粒子は、1.50g/cm^(3)?3.50g/cm^(3)の密度を有し得る。 【0032】 前記反射防止フィルムの低屈折層中の前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面の近くにソリッド無機ナノ粒子を主に分布させ、前記界面の反対面の方には中空無機ナノ粒子を主に分布させる場合、従来に無機粒子を用いて得られた反射率より低い反射率を実現できる。具体的には前記反射防止フィルムは、380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を示し得る。」 イ.「【0106】 また、前記反射防止フィルムの製造方法によって提供される反射防止フィルムにおいて、前記低屈折層は、前記ソリッド無機ナノ粒子全体中の70重量%以上が含まれている第1層と前記中空無機ナノ粒子全体中の70重量%以上が含まれている第2層とを含み得、前記第1層が第2層に比べて前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面により近く位置し得る。 【0107】 前記低屈折層は、光硬化型化合物またはその(共)重合体、光反応性官能基を含む含フッ素化合物、光開始剤、中空無機ナノ粒子及びソリッド無機ナノ粒子を含む低屈折層形成用樹脂組成物をハードコーティング層上に塗布し、35℃?100℃、または40℃?80℃の温度で乾燥することによって形成され得る。 【0108】 前記ハードコーティング層上に塗布された低屈折層形成用樹脂組成物を乾燥する温度が35℃未満の場合、前記形成される低屈折層が有する防汚性が大きく低下し得る。また、前記ハードコーティング層上に塗布された低屈折層形成用樹脂組成物を乾燥する温度が100℃超過の場合、前記低屈折層の製造過程で前記中空無機ナノ粒子とソリッド無機ナノ粒子との間の相分離が十分に起きず、混在して前記低屈折層の耐スクラッチ性及び防汚性が低下するだけでなく、反射率も大きく高まり得る。 【0109】 前記ハードコーティング層上に塗布された低屈折層形成用樹脂組成物を乾燥する過程で、前記乾燥温度と共に前記ソリッド無機ナノ粒子と中空無機ナノ粒子との間の密度差を調節することによって、上述した特性を有する低屈折層を形成し得る。 【0110】 具体的には、前記ソリッド無機ナノ粒子と前記中空無機ナノ粒子との密度差が、0.30g/cm^(3)?3.00g/cm^(3)、または0.40g/cm^(3)?1.50g/cm^(3)、または0.50g/cm^(3)?0.90g/cm^(3)であり得るが、前記実施例の製造方法によれば、前記形成される低屈折層では前記ソリッド無機ナノ粒子と前記中空無機ナノ粒子との間の流動がより円滑になり、分布の偏在が示され得る。そのため、前記実施例の製造方法によって提供される反射防止フィルムでは、前記ハードコーティング層上に形成される低屈折層で前記ソリッド無機ナノ粒子がハードコーティングの方により近い方に位置し得る。 【0111】 前記ソリッド無機ナノ粒子は、2.00g/cm^(3)?5.00g/cm^(3)の密度を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1.50g/cm^(3)?3.50g/cm^(3)の密度を有し得る。 【0112】 一方、前記ハードコーティング層上に塗布された低屈折層形成用樹脂組成物を35℃?100℃の温度で乾燥する段階は、10秒?5分間、または30秒?4分間行われ得る。 【0113】 前記乾燥時間が短すぎる場合、上述した前記ソリッド無機ナノ粒子と中空無機ナノ粒子との間の相分離現象が十分に起きない。これに対し、前記乾燥時間が長すぎる場合、前記形成される低屈折層がハードコーティング層を侵食し得る。」 (3)さらに、発明の詳細な説明の段落【0140】?【0148】には、ソリッド無機ナノ粒子と中空無機ナノ粒子の具体例として、直径が約50?60nm、密度が1.96g/cm^(3)の中空シリカナノ粒子と、直径が約12nm、密度が2.65g/cm^(3)のソリッドシリカナノ粒子を用いた実施例1?5と、直径が約50?60nm、密度が1.96g/cm^(3)の中空シリカナノ粒子と、直径が約15nm、密度が4.3g/cm^(3)のソリッド二酸化チタン粒子を用いた実施例6とが記載されている。 (4)ここで、ハードコーティング層上に塗布された低屈折層形成用樹脂組成物を乾燥する過程で、ソリッド無機ナノ粒子と中空無機ナノ粒子とが流動することにより、ハードコーティング層と低屈折層との間の界面の近くにソリッド無機ナノ粒子が主に分布し、界面の反対面の方には中空無機ナノ粒子を主に分布するように相分離させるためには、単に、ソリッド無機ナノ粒子と中空無機ナノ粒子との密度差を、段落【0030】(上記(2)ア.参照)や段落【0110】(上記(2)イ.参照)に記載されているような特定の数値範囲にするだけでなく、ソリッド無機ナノ粒子の密度が中空無機ナノ粒子の密度よりも大きくすることで、相対的に重いソリッド無機ナノ粒子がハードコーティング層と低屈折層との間の界面の近くに沈むようにし、界面の反対面の方に相対的に軽い中空無機ナノ粒子が沈みにくくすることが必要であることは、技術的に明らかであり、このことは実施例1?6において、中空無機ナノ粒子の密度よりもソリッド無機ナノ粒子の密度が大きいものが用いられている(上記(3)参照)ことからも明らかである。 (5)そして、本件特許発明1は、ソリッド無機ナノ粒子と中空無機ナノ粒子の密度差の数値範囲と、ソリッド無機ナノ粒子と中空無機ナノ粒子それぞれの密度の数値範囲について特定するとともに、「前記ソリッド無機ナノ粒子の密度は、前記中空無機ナノ粒子の密度よりもが大き」い点が特定されたものであり、ハードコーティング層と低屈折層との間の界面の近くにソリッド無機ナノ粒子が主に分布し、界面の反対面の方には中空無機ナノ粒子を主に分布するように相分離させたものであるから、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載された課題を解決するための手段が反映されているものである。 (6)以上のとおりであるから、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものである。 同様に、請求項1の記載を引用する本件特許発明7、9、10も、発明の詳細な説明に記載したものである。 2.理由(明確性)について (1)本件特許発明1は、「前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面に前記第1層が接し、前記第1層の他の一面に前記第2層が接し」ている点、及び、「前記第1層は、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内の領域であ」る点が特定された。 (2)まず、「前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面に前記第1層が接し、前記第1層の他の一面に前記第2層が接し」ている点について検討すると、「層」とは、「かさなること。かさなり。」であり、「面」とは、「物の外郭を成す角だっていないひろがり。その類似物。」であって、「物の向かっている方。むき。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]であり、「接する」とは「互いに隔てなくつながる。つづく。つく。」であることからすると、上記記載は、ハードコーティング層と低屈折層との間の界面とは逆側において、第1層と第2層とが互いに隔てなくつながっていることを意味しているから、明確である。 (3)次に、「前記第1層は、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内の領域であ」る点について、上記(2)の検討事項と併せて検討すると、本件特許発明1の第1層の領域は、ハードコーティング層と低屈折層との間の界面から、第1層と第2層が接する面までの領域であって、かつ、「前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内の領域」、すなわち、ハードコーティング層と低屈折層との界面から低屈折層全体の厚みの30%位置までの領域であることが明確である。 また、当該第1層の領域に関する事項は、本件特許明細書等の段落【0105】に記載の、「また、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内に前記ソリッド無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が存在し得る。また、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%超過の領域に前記中空無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が存在し得る。」という記載とも整合する。 よって、「前記第1層は、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内の領域であ」る点について、明確である。 (4)申立人は意見書において、「「ソリッド無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が含まれ」、かつ、「低屈折層全体の厚みの30%以内の領域」という条件を満たす限り、第1層の厚みの範囲は幅を有することになる。例えば、ソリッド無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が含まれる条件を満たす限り、第1層の厚みは、低屈折層全体の厚みの10%の場合もあれば、20%の場合もある。」と主張するが、上記(3)のとおり、第1層の厚みは、低屈折層全体の厚みの10%の場合もあれば、20%の場合もあるという意味ではなく、第1層と第2層の境界が低屈折層全体の厚みを基準として特定されている以上、ソリッド無機ナノ粒子の含有量により第1層の厚みの範囲が幅を有することはないから、上記申立人の主張は採用できない。 (5)以上のとおりであるから、本件特許発明1は明確である。 同様に、請求項1の記載を引用する本件特許発明7、9、10も明確である。 3.理由(進歩性)について (1)甲13に記載された事項、甲13発明 甲13には、以下の記載がある(なお、下線は当審が付した。以下同様。)。 ア.「【0104】 (c)中空シリカ微粒子 以下、本発明に係る低屈折率層用組成物に用いられる中空シリカ微粒子について説明する。 本発明に係る低屈折率層用組成物は、低屈折率化と耐擦傷性の観点から、平均粒子径が10?100nmの中空シリカ微粒子を含有する。 中空シリカ微粒子の空隙率は、低屈折率化と耐擦傷性の観点から、好ましくは10?80%、更に好ましくは20?60%、最も好ましくは30?60%である。」 イ.「【0166】 [重合開始剤] 低屈折率層用組成物は、前述の(a)、(b)、(f)、(g)成分等のエチレン性不飽和基又は反応性官能基を有する化合物を重合させるために、光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤を含有してもよい。こられの開始剤を用い、電離放射線の照射又は加熱により、重合を行うことができる。 【0167】 ・・・ 光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1?15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1?10質量部の範囲である。 光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。・・・」 ウ.「【0243】 [実施例1] 〔帯電防止性反射防止フィルムの作製〕 下記に示す通りに、ハードコート層形成用の塗布液を調製し、透明支持体上に、ハードコート層及び低屈折率層を形成して、フィルム試料No.1?35を作製した。 【0244】 ((a)4級アンモニウム塩基を有する化合物の合成) イオン伝導性化合物を、特許第4600605号の合成例1と同様に実施し、AN-1(30%エタノール溶液)を合成した。 【0245】 (ハードコート層用塗布液の調製) 下記表1に記載のハードコート層用塗布液HC-1の組成となるように各成分を添加し、得られた組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌し、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して帯電防止性ハードコート層塗布液HC-1(固形分濃度50質量%)とした。 ハードコート層用塗布液HC-1と同様の方法で、各成分を下記表1のように混合して溶剤に溶解して表1記載の組成比率になるように調整し、固形分濃度50質量%の帯電防止性ハードコート層用塗布液HC-2?HC-7を作製した。帯電防止性ハードコート層用塗布液HC-2においては、4級アンモニウム塩化合物を用いなかった。また、帯電防止性ハードコート層用塗布液HC-6においては、レベリング剤を用いなかった。 【0246】 【表1】 」 エ.「【0251】 (ハードコート層の作製) 膜厚60μmの透明支持体としてのセルローストリアセテートフィルム(TDH60UF、富士フイルム(株)製、屈折率1.48)上に、前記ハードコート層用塗布液HC-1をグラビアコーターを用いて塗布した。60℃で約2分間乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm^(2)、照射量150mJ/cm^(2)の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ12μmの帯電防止性ハードコートフィルムHC-1を形成した。」 オ.「【0264】 [内部に空孔を有する粒子の調製] (分散液B-1の調製) 特開2002-79616号公報の調製例4から調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。最終ステップで水分散液状態からメタノールに溶媒置換し、20%シリカ分散液とし、平均粒子径60nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.25の粒子が得られた。これを分散液(A-1)とする。 【0265】 分散液(A-1)の500部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。総液量がほぼ一定 になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換した。最終的に固形分が20%になるように調節して分散液B-1を調製した。 【0266】 (低屈折率層用塗布液の調製) 各成分を下記表5のように混合し、全溶剤中プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが20質量%になるように添加した後メチルエチルケトンで希釈し、最終的に固形分濃度が5質量%にした。攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて1時間攪拌後、孔径0.5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過し、各低屈折率層用塗布液を得た。なお、表5において、各成分の添加量は「質量%」を表す。 【0267】 【表5】 」 カ.「【0269】 以下、使用した化合物について説明する。 ・B-2:MEK-ST、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ(平均粒子サイズ約15nm) ・B-3:MEK-ST-L、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ(平均粒子サイズ約50nm) ・B-4:MEK-ST-ZL、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ(平均粒子サイズ約85nm) ・SI-1:Rad2600、EVONIK社製シリコーン変性アクリレート、数平均分子量:16,000 ・SI-2:Rad2500、EVONIK社製シリコーン変性アクリレート、数平均分子量:1,500 ・SI-3:サイラプレーンFM-0725、下記式(24)で示されるシリコーン化合物、チッソ社製、数平均分子量:10,000」 キ.「【0292】 (低屈折率層の作製) 作製したハードコートフィルム試料HC1の上に低屈折率層形成用組成物Ln-1をグラビアコーターを用いて塗布し、反射防止フィルム試料No.1を得た。乾燥条件は60℃、60秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm^(2)、照射量300mJ/cm^(2)の照射量とした。低屈折率層の膜厚は95nmとした。 【0293】 ハードコートフィルム試料、及び低屈折率層形成用組成物を表に示す組み合わせで使用した以外は反射防止フィルムNo1と同様にしてそれぞれ反射防止フィルム試料No.2?35を得た。」 ク.「【0296】 (1)反射率 反射防止フィルムの裏面に油性黒インキを塗った後、分光光度計V-550(日本分光(株)製)にアダプターARV-474を装着して、380?780nmの波長領域において、入射角5°における出射角5°の鏡面反射率を測定した。450?650nmの平均反射率を算出し(表6に「反射率」として記載)、反射防止性を評価した。この平均反射率が小さいほど反射防止性に優れる。平均反射率としては1.4%以下が好ましい。」 ケ.上記キ.において、低屈折率層が紫外線硬化されていることが記載されており、上記イ.において、低屈折率層組成物が、エチレン性不飽和基又は反応性官能基を有する化合物を重合させるために光ラジカル開始剤を含有してもよい点が記載されているから、引用文献1の低屈折層は、光重合性化合物の重合体を含むものといえる。 コ.以上を総合し、上記オ.の【表5】の試料No.18に着目して整理すると、甲13には以下の甲13発明が記載されている。 「セルローストリアセテートフィルム上に、厚さ12μmのハードコート層及び低屈折率層をこの順に有し、該低屈折率層は、フッ素モノマーの重合体25%、非フッ素モノマーの重合体10%、内部に空洞を有するシリカ微粒子(平均粒子径60nm、シェル厚み約7nm)35%、及びコロイダルシリカ(平均粒子サイズ約50nm)5%を含み、重合体として光重合性化合物を含み、該低屈折率層の乾燥条件は60℃、60秒である、反射防止フィルム。」 (2)本件特許発明1について ア.対比 本件特許発明1と甲13発明とを対比すると、甲13発明の「厚さ12μmのハードコート層」は本件特許発明1の「0.1μm?100μmの厚みを有するハードコーティング層」に相当し、以下同様に、「フッ素モノマーの重合体」及び「非フッ素モノマーの重合体」は「バインダー樹脂」に、「内部に空洞を有するシリカ微粒子」は「中空無機ナノ粒子」に、「コロイダルシリカ」は「ソリッド無機ナノ粒子」に、「低屈折率層」は「低屈折層」に、「光重合性化合物」は「光重合性化合物」にそれぞれ相当する。 そして、甲13発明は、コロイダルシリカの平均粒子サイズが約50nmであり、内部に空洞を有するシリカ微粒子の平均粒子径が60nmであるから、本件特許発明1の「前記中空無機ナノ粒子の直径は、前記ソリッド無機ナノ粒子の直径より大きく」に相当する。 してみると、本件特許発明1と甲13発明は、以下の点で一致し、相違する。 <一致点> 「0.1μm?100μmの厚みを有するハードコーティング層と、前記ハードコーティング層の一面に形成され、バインダー樹脂と前記バインダー樹脂に分散された中空無機ナノ粒子及びソリッド無機ナノ粒子を含む低屈折層と、を含み、前記中空無機ナノ粒子の直径は、前記ソリッド無機ナノ粒子の直径よりも大きく、前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体を含み、前記ハードコーティング層は、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂を含む反射防止フィルム。」 <相違点1> 本件特許発明1は、「前記低屈折層は、前記ソリッド無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が含まれている第1層と前記中空無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が含まれている第2層とを含み、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面に前記第1層が接し、前記第1層の他の一面に前記第2層が接し、前記第1層は、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内の領域であ」るのに対し、甲13発明がそのようなものであるか明らかではない点。 <相違点2> 本件特許発明1は、「前記ソリッド無機ナノ粒子と前記中空無機ナノ粒子との密度差が、0.30g/cm^(3)?3.00g/cm^(3)であり、前記ソリッド無機ナノ粒子は、2.00g/cm^(3)?5.00g/cm^(3)の密度を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1.50g/cm^(3)?3.50g/cm^(3)の密度を有し、前記ソリッド無機ナノ粒子の密度は、前記中空無機ナノ粒子の密度よりも大き」いものであるのに対し、甲13発明がそのようなものであるか明らかではない点。 <相違点3> 本件特許発明1は、「前記ソリッド無機ナノ粒子は、1?30nmの直径を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1?200nmの直径を有」するものであるのに対し、甲13発明は、コロイダルシリカの平均粒子サイズが約50nmであり、内部に空洞を有するシリカ微粒子の平均粒子径が60nmである点。 <相違点4> 本件特許発明1は、「前記低屈折層は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記中空無機ナノ粒子10?400重量部及び前記ソリッド無機ナノ粒子63?400重量部を含」むのに対し、甲13発明がそのようなものであるか明らかではない点。 <相違点5> 本件特許発明1は、「380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を示す」のに対し、甲13発明がそのようなものであるか明らかではない点。 イ.判断 事案に鑑み、まず相違点5について判断する。 (ア)本件特許発明1は、「380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を示す」ものであり、当該構成に関し、本件特許明細書の段落【0032】には、「前記反射防止フィルムの低屈折層中の前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面の近くにソリッド無機ナノ粒子を主に分布させ、前記界面の反対面の方には中空無機ナノ粒子を主に分布させる場合、従来に無機粒子を用いて得られた反射率より低い反射率を実現できる。具体的には前記反射防止フィルムは、380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を示し得る。」と記載されている。 (イ)これに対し、甲13には、例えば段落【0010】、【0032】、【0107】、【0108】等において、低反射率の反射防止フィルムとすることが記載されているものの、段落【0296】において、平均反射率としては「1.4%以下」であれば足りると認識されているに過ぎないものである。現に、実施例として記載されている試料No.1?35の全てにおいて、反射率は0.99%以上となっている。 (ウ)すなわち、甲13には、「380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率」とすることは何ら記載されておらず、無機ナノ粒子の分布が異なる2つの相分離した層を設けることにより低い反射率を得るという技術的思想についても何ら具体的に開示も示唆もされていない。 (エ)また、甲8においては、0.7%以下の反射率を有する反射防止フィルムが記載されているが、無機ナノ粒子の分布が異なる2つの相分離した層を設けることによって反射率を低くすることは記載も示唆もない。 (オ)申立人は、令和3年5月17日提出の意見書において、「甲13発明は、反射防止性を優れたものとすることを課題としている。このように、反射防止フィルムにおいて反射率を低くすることは周知の課題である。また、甲第8号証の段落【0298】の【表3】には、0.7%以下の反射率を有する反射防止フィルムが記載されている。また、特許権者が主張する相殺干渉の効果は、上記(4)で述べたように、訂正発明1の構成に基づくものとはいえず、認められるべきものではない。」と主張するが、上記(ウ)及び(エ)のとおり、甲13には、無機ナノ粒子の分布が異なる2つの相分離した層を設けることによって380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を有する反射防止フィルムを実現することについて記載ないし示唆はなく、また、本件特許発明1は、上記「2.理由2(明確性)について」において述べたとおり、第1層と第2層との界面が明確に形成されているものであるから、上記申立人の主張は採用できない。 (カ)したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲13発明において、甲8に記載された事項を参照したとしても、当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明7、9、10について 本件特許発明7、9、10は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含み、更に限定するものであるから、本件特許発明1と同様の理由から、甲13発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということができない。 第6.取消理由<決定の予告>で採用しなかった理由 1.甲1発明を主引用発明とした進歩性について 上記第5.において検討した理由と同様に、無機ナノ粒子の分布が異なる2つの相分離した層を設けることによって380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を有する反射防止フィルムを実現することについて、甲1を含め、いずれの文献にも、記載ないし示唆はないから、本件特許発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。 2.甲4発明を主引用発明とした進歩性について 上記第5.において検討した理由と同様に、無機ナノ粒子の分布が異なる2つの相分離した層を設けることによって380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を有する反射防止フィルムを実現することについて、甲4を含め、いずれの文献にも、記載ないし示唆はないから、本件特許発明1は、甲4発明に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。 第7.むすび 以上のとおりであるから、本件特許発明1、7、9、10に係る特許は、取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができず、また、他に本件特許発明1、7、9、10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件特許発明2-6、8は、本件訂正により削除されたため、申立人による特許異議の申立てについて、請求項2-6、8に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなった。 そのため、本件特許発明2-6、8に係る特許異議の申立ては不適法であって、その補正をすることができないものであることから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 0.1μm?100μmの厚みを有するハードコーティング層と、 前記ハードコーティング層の一面に形成され、バインダー樹脂と前記バインダー樹脂に分散された中空無機ナノ粒子及びソリッド無機ナノ粒子を含む低屈折層と、を含み、 前記低屈折層は、前記ソリッド無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が含まれている第1層と前記中空無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が含まれている第2層とを含み、 前記ハードコーティング層と前記低屈折層との間の界面に前記第1層が接し、前記第1層の他の一面に前記第2層が接し、 前記第1層は、前記ハードコーティング層と前記低屈折層との界面から前記低屈折層全体の厚みの30%以内の領域であり、 前記ソリッド無機ナノ粒子と前記中空無機ナノ粒子との密度差が、0.30g/cm^(3)?3.00g/cm^(3)であり、 前記ソリッド無機ナノ粒子は、2.00g/cm^(3)?5.00g/cm^(3)の密度を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1.50g/cm^(3)?3.50g/cm^(3)の密度を有し、 前記ソリッド無機ナノ粒子の密度は、前記中空無機ナノ粒子の密度よりも大きく、 前記ソリッド無機ナノ粒子は、1?30nmの直径を有し、前記中空無機ナノ粒子は、1?200nmの直径を有し、 前記中空無機ナノ粒子の直径は、前記ソリッド無機ナノ粒子の直径よりも大きく、 前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体を含み、 前記低屈折層は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記中空無機ナノ粒子10?400重量部及び前記ソリッド無機ナノ粒子63?400重量部を含み、 前記ハードコーティング層は、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂を含み、 380nm?780nmの可視光線波長帯領域で0.7%以下の平均反射率を示す、 反射防止フィルム。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体及び光反応性官能基を含む含フッ素化合物間の架橋(共)重合体を含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 前記バインダー樹脂は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物を20?300重量部含む、請求項7に記載の反射防止フィルム。 【請求項10】 前記ハードコーティング層は、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂と前記バインダー樹脂に分散された有機または無機微粒子を含む、請求項1に記載の反射防止フィルム。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2021-08-06 |
出願番号 | 特願2018-229027(P2018-229027) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(G02B)
P 1 651・ 537- YAA (G02B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 増永 淳司 |
特許庁審判長 |
藤原 直欣 |
特許庁審判官 |
石井 孝明 村山 達也 |
登録日 | 2019-04-26 |
登録番号 | 特許第6517421号(P6517421) |
権利者 | エルジー・ケム・リミテッド |
発明の名称 | 反射防止フィルム及びその製造方法 |
代理人 | 市川 英彦 |
代理人 | 今藤 敏和 |
代理人 | 市川 英彦 |
代理人 | 渡部 崇 |
代理人 | 今藤 敏和 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 重森 一輝 |
代理人 | 小野 誠 |
代理人 | 渡部 崇 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 小野 誠 |
代理人 | 重森 一輝 |