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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1379782
異議申立番号 異議2021-700076  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-22 
確定日 2021-09-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6726940号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6726940号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第6726940号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6726940号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成27年7月6日に特願2015-135413号として出願され、
令和1年5月21日提出の手続補正書によって特許請求の範囲及び明細書の補正がされ、
令和1年12月10日提出の手続補正書によって特許請求の範囲及び明細書の補正がされ、
令和2年6月12日付けで特許査定がされるとともに令和2年7月2日にその特許権の設定登録がされ、
令和2年7月22日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、令和3年1月22日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがされ、当審は、令和3年3月30日付けで取消理由を通知した。特許権者である株式会社三共は、その指定期間内である令和3年5月28日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行い、これに対して、特許異議申立人は、令和3年7月26日に意見書を提出した。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段を備え、」と記載されているのを、
「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段と、
前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記示唆演出実行手段は、所定操作を遊技者に促進する促進演出の実行中において該所定操作がされることに基づいて示唆演出を実行する第1制御と、前記促進演出が実行されることなく示唆演出を実行する第2制御と、のいずれかにより示唆演出を実行可能であり、」と記載されているのを、
「前記示唆演出音出力手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御と、
前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出音を出力可能であり、」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記第1制御により実行される示唆演出と、前記第2制御により実行される示唆演出とは同一の態様であり、」と記載されているのを、
「前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であり、」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記第1制御により実行される示唆演出により示唆される有利度と、前記第2制御により実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる、遊技機。」と記載されているのを、
「前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる、遊技機。」に訂正する。

(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0008】において、
「本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、遊技の興趣を向上させる示唆演出を実行する遊技機を提供することを目的とする。」と記載されているのを、
「本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、遊技の興趣を向上させる示唆演出音を出力する遊技機を提供することを目的とする。」に訂正する。

(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0009】において、
「遊技を行うことが可能な遊技機であって、
遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段を備え、
前記示唆演出実行手段は、所定操作を遊技者に促進する促進演出の実行中において該所定操作がされることに基づいて示唆演出を実行する第1制御と、前記促進演出が実行されることなく示唆演出を実行する第2制御と、のいずれかにより示唆演出を実行可能であり、
前記第1制御により実行される示唆演出と、前記第2制御により実行される示唆演出とは同一の態様であり、
前記第1制御により実行される示唆演出により示唆される有利度と、前記第2制御により実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる。
また、以下のような構成としてもよい。
(1) 遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、スロットマシン)であって、
所定操作(たとえば、図24のS72の演出用スイッチ56への操作)がされることにより成立する所定実行条件を含む複数種類の実行条件のうちのいずれかが成立したときに、遊技者にとっての有利度(たとえば、残りナビ数)を示唆する示唆演出(たとえば、楽曲Fの出力)を実行可能な示唆演出実行手段を備え、
前記所定実行条件が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度と、該所定実行条件とは異なる特定実行条件(たとえば、図20のS90の通常リプレイが入賞することにより成立する条件)が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる(図22(B)に示すように、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が10以上であることが示唆される一方、図22(A)に示すように、演出用スイッチが操作されないことにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が5以上であることが示唆される)。」と記載されているのを、
「遊技を行うことが可能な遊技機であって、
遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段と、
前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、
前記示唆演出音出力手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御と、
前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出音を出力可能であり、
前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であり、
前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる。
また、以下のような構成としてもよい。
(1) 遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、スロットマシン)であって、
所定操作(たとえば、図24のS72の演出用スイッチ56への操作)がされることにより成立する所定実行条件を含む複数種類の実行条件のうちのいずれかが成立したときに、遊技者にとっての有利度(たとえば、残りナビ数)を示唆する示唆演出(たとえば、楽曲Fの出力)を実行可能な示唆演出実行手段を備え、
前記所定実行条件が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度と、該所定実行条件とは異なる特定実行条件(たとえば、図20のS90の通常リプレイが入賞することにより成立する条件)が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる(図22(B)に示すように、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が10以上であることが示唆される一方、図22(A)に示すように、演出用スイッチが操作されないことにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が5以上であることが示唆される)。」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、「示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段」を「示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」に限定するとともに、「遊技機」が「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段」を備える点を限定するものであるから、当該訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)には、以下の記載がある(下線は、当審にて付した。「…」は、転記を省略している箇所を示す。)。

「【0009】
…遊技者にとっての有利度(たとえば、残りナビ数)を示唆する示唆演出(たとえば、楽曲Fの出力)を実行可能な示唆演出実行手段を備え、…」

「【0017】
(5) 上記(1)?(4)いずれかの遊技機において、
遊技者が選択可能な複数種類の特定演出(たとえば、楽曲リストの「楽曲A」?「楽曲E」)のうちいずれかの特定演出(たとえば、「楽曲A」)が遊技者によって選択されているか否かを判定する(たとえば、図20のS82)判定手段と、
所定条件(たとえば、図22に示す第1決定条件または第2決定条件)が成立したときに、遊技者が選択可能な特定演出として前記示唆演出を追加する特定演出追加手段(たとえば、図20のS81の処理)と、
前記特定演出を実行する特定演出実行手段(たとえば、サブCPU91aがスピーカ53、54を介して楽曲を音声出力する処理)とを備え、
前記特定演出実行手段は、
前記特定演出が選択されていないと判定された場合には(図20のS82のNo)、前記複数種類の特定演出のうちいずれかの特定演出(たとえば、「楽曲A」?「楽曲E」のうち選択された楽曲)を実行するとともに、前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったときには(たとえば、図20のS81の処理が実行されたときには)、前記示唆演出を実行し(たとえば、図20のS88を実行し)、
前記特定演出が選択されていると判定された場合には(図20のS82のYes)、前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったか否かに関わらず選択されている前記特定演出を実行する(たとえば、S82のYesのときには、S88の処理を実行しないことから、選択されている楽曲を出力する)。」

「【0066】
演出制御基板90は、液晶表示器51などの演出装置(図7の演出制御基板90の右側などに例示)を駆動制御する。また、演出制御基板90には、サブ制御部91などの回路構成(図7の演出制御基板90内に例示)が搭載されている。サブ制御部91は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行う処理を行うとともに、演出制御基板90に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。サブ制御部91は、1チップマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。電源基板101には、ホッパーモータ34b、各種の操作手段や検出手段(図7の電源基板101の右側に例示)などが接続されている。」

「【0123】
[楽曲F関連処理]
次に、楽曲F関連処理について説明する。楽曲Fとは、デフォルトで遊技者が選択可能な楽曲A?楽曲Eのいずれとも異なる楽曲である。楽曲Fは、楽曲F関連処理が実行されることにより、遊技者が選択可能な楽曲A?Eに追加され得る楽曲である。楽曲Fが追加されることにより、遊技者は、楽曲A?楽曲Fのいずれかから選択可能となる。」

「【0125】
S70において、楽曲Fが出力中か否かが判断される。楽曲Fが出力であると判断されたときには(S70のYes)、楽曲F関連処理は終了する。一方、楽曲Fが出力されていないと判断されたときには(S70のNo)、S71に進む。S70でNoと判断されるということは、楽曲A?Eのいずれかが出力されているということである。
【0126】
S71では、ボタン演出実行中であるか否かが判断される。ここで、ボタン演出とは、図22(ウ)に示すように、演出用スイッチ56を模倣した画像と、「押せ!」といったメッセージとを表示することにより、演出用スイッチ56の操作を遊技者に対して要求する演出である。」

「【0141】
楽曲A?Fを出力する演出は、スピーカ53、54を用いて実行される演出である。…」

「【0152】
また、楽曲Fにより残りナビ数を示唆するとして説明した…」

「【0176】
第1実施形態では、楽曲Fの出力により残りナビ数を示唆する…」

「【0210】
[特定演出について]
(1) 本実施形態では、遊技者が選択可能な特定演出は、楽曲を出力する演出であるとして説明した。しかしながら、特定演出は、楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい。たとえば、特定演出は、液晶表示器51にキャラを表示させる演出としてもよい。たとえば、図19の画面を、キャラA?キャラEを選択可能とする選択画面としてもよい。また、追加され得る新たな特定演出は、残りナビ数を示唆するキャラFを表示する演出としてもよい。
【0211】
また、その他の例として、特定演出は、演出効果LED52を発光させる演出としてもよい。たとえば、図19の画面を、発光態様A?発光態様Eを選択可能とする選択画面としてもよい。発光態様とは、演出効果LED52の発光の態様をいう。また、追加され得る新たな特定演出を、発光態様Fで演出効果LED52を発光させる演出としてもよい。」


(イ)上記の【0009】、【0152】、【0176】によれば、「楽曲F」又は「楽曲Fの出力」は、「残りナビ数」という「遊技者にとっての有利度」を示唆するものであり、【0123】によれば、「楽曲F」は、「楽曲A?楽曲Eのいずれとも異なる楽曲」である。また、「楽曲A?Fを出力する演出は、スピーカ53、54を用いて実行される演出」(【0141】)であって、楽曲F及び楽曲A?Eを出力する演出は、いずれも音を出力することによってなされる演出であるから、「楽曲F」及び「楽曲A?E」は、それぞれ、訂正後の請求項1に記載された「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音」及び「前記示唆演出音と異なる通常演出音」に対応するものである。
また、【0141】によれば、「楽曲A?Fを出力する演出は、スピーカ53、54を用いて実行される演出である」から、「楽曲Fの出力」は、【0017】に記載の「特定演出(たとえば、「楽曲A」?「楽曲E」のうち選択された楽曲)」を実行する「特定演出実行手段(たとえば、サブCPU91aがスピーカ53、54を介して楽曲を音声出力する処理)」と同様に、「サブCPU91aがスピーカ53、54を介して楽曲を音声出力する処理」によって実行されるものであると認められる。そうすると、「楽曲Fの出力」を実行する「サブCPU91a」及び「スピーカ53、54」は、訂正後の請求項1に記載された「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」に対応するものである。
また、【0126】に記載の「ボタン演出」は、楽曲A?Eのいずれかが出力されているときに、演出用スイッチ56を模倣した画像と、「押せ!」といったメッセージとを表示するものであるから、訂正後の請求項1に記載の「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出」に対応する。
また、【0066】に記載の「サブ制御部91」は、「ボタン演出」を含めた「演出を行う処理を行う」ものであると認められることから、訂正後の請求項1に記載された「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段」に対応する。

(ウ)上記【0017】の「サブCPU91aがスピーカ53、54を介して楽曲を音声出力する処理」との記載から、本件特許明細書においては「楽曲」という「音声」を「出力」することについて記載されているというべきであって、本件特許明細書には「音声」を「出力」することが示唆されているものということができる。
また、「遊技者が選択可能な複数種類の特定演出(たとえば、楽曲リストの「楽曲A」?「楽曲E」)」(【0017】)について、【0210】には、「特定演出は、楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい」ことが記載されている。そして、「所定条件」「が成立したときに、遊技者が選択可能な特定演出として」「追加する」「示唆演出」(【0017】)である「楽曲F」についても、楽曲A?Eと同様に、「楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい」ことは明らかである。
楽曲A?E及び楽曲Fを出力する演出は、遊技者にとっての有利度を示唆するための演出であるところ、互いに異なる「音声」又は「音」を出力する演出によっても、楽曲を出力する演出と同様に、遊技者にとっての有利度を示唆することができることは自明である。
そうすると、
「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段と、
前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、」
との訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。

(エ)以上によれば、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、上記アで検討したように、発明特定事項を限定するものであり、カテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、「所定操作を遊技者に促進する促進演出の実行中において該所定操作がされることに基づいて示唆演出を実行する第1制御」を「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御」に限定するとともに、「前記促進演出が実行されることなく示唆演出を実行する第2制御」を「前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御」に限定するものであるから、当該訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件特許明細書及び願書に添付した図面には、以下の記載がある。

「【0099】
本実施形態では、「本日の結果」選択時には、図示しない楽曲選択ボタンが表示され、楽曲選択ボタン選択時には、図19(a)に示す楽曲選択画面が表示される。楽曲選択画面では、たとえば、図19(a)に示すように、遊技者がデフォルトで選択可能な楽曲(特定演出)として、「楽曲A」、「楽曲B」、「楽曲C」、「楽曲D」、「楽曲E」の項目が表示されるようになっている。
【0100】
本実施形態では、遊技者によっていずれかの項目が選択されると、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中に選択された項目に対応する楽曲が音声出力されるように設定される。また、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中において遊技者によっていずれの項目も選択されていない場合、全ての楽曲が選択可能となった順番(設定順)にループして音声出力される。具体的には、「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」の楽曲ループが設定され、「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」、「楽曲A」、…の順に切り替えて音声出力される。」

「【0123】
…楽曲Fとは、デフォルトで遊技者が選択可能な楽曲A?楽曲Eのいずれとも異なる楽曲である。…」

「【0124】
図20は、楽曲F関連処理はフローチャートの一例を示したものである。図20の楽曲F関連処理はサブ制御部91により実行される。楽曲F関連処理は、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中において、所定時間(たとえば、0.56ms)毎に実行されるタイマ割込処理である。」

「【0125】
…一方、楽曲Fが出力されていないと判断されたときには(S70のNo)、S71に進む。S70でNoと判断されるということは、楽曲A?Eのいずれかが出力されているということである。」

「【0128】
ボタン演出実行中であると判断されたときには(S71のYes)、S72に進む。S72において、演出用スイッチ56の操作がされたか否かが判断される。…」

「【0130】
一方、S72において、演出用スイッチ56が操作されたと判断されたときには(S72のYes)、S78に進む。S78ではボタン演出を終了させる。」

「【0132】
S78の処理が終了すると、S80に進む。S80において、現在の残りナビ数が10以上であるか否かが判断される。現在の残りナビ数については、RAM91cに格納されている残りナビ数から特定される。S80において、現在の残りナビ数が10未満であると判断されたときには(S80のNo)、楽曲F関連処理は終了する。一方、S80において、現在の残りナビ数が10以上であると判断されたときには(S80のYes)、S81に進む。
【0133】
一方、S71においてボタン演出実行中ではないと判断された場合には(S71のNo)、S90に進む。S90において通常リプレイが入賞したか否かが判断される。S90において、通常リプレイが入賞していないと判断されたとき(S90のNo)、楽曲F関連処理を終了する。S90において、通常リプレイが入賞したと判断されたときには(S90のYes)、S92に進む。
【0134】
S92において、現在の残りナビ数が5以上であるか否かが判断される。S92において、現在の残りナビ数が5未満であると判断されたときには(S92のNo)、楽曲F関連処理は終了する。一方、S92において、現在の残りナビ数が5以上であると判断されたときには(S92のYes)、S94に進む。
【0135】
S94において、楽曲F追加抽選を実行する。楽曲F追加抽選は、楽曲Fを追加するか否かを決定する抽選である。楽曲F追加抽選は、1/100の確率で楽曲Fを追加することを決定し、99/100の確率で楽曲Fを追加しないことを決定する。S94の処理が終了すると、S96に進む。
【0136】
S96において、S94の楽曲F追加抽選により楽曲Fの追加が決定されたか否かが判断される。S96において楽曲Fの追加が決定されなかったと判断されたときには(S96のNo)、楽曲F関連処理は終了する。一方、S96において楽曲Fの追加が決定されたと判断されたときには(S96のYes)、S81に進む。
【0137】
S81において、楽曲Fが追加される。楽曲Fが追加されることにより、図19の楽曲選択画面において、楽曲Fの選択肢が増加される。これにより、遊技者は、楽曲A?Eの他に、楽曲Fも選択可能となる。S81の処理が終了すると、S82に進む。」

「【0143】
一方、S82において、RAM91cに選択済フラグがセットされていないと判断された場合(S82のNo)、つまり、遊技者により楽曲の選択が行われていないと判断された場合には、S88に進む。S88においては、楽曲Fの出力を開始する。
【0144】
このように、S82において、楽曲選択済であると判断されたときには(S82のYes)、出力されていた楽曲A?Eの出力を継続する。一方、S82において、楽曲選択済ではないと判断されたときには(S82のNo)、出力されていた楽曲A?Eの出力を停止するとともに楽曲Fの出力に切替える(S88)。」

「【0147】
図22(A)中の図22(ア)では、楽曲Aが出力されているときに通常リプレイが入賞した場合(図20のS90のYes)を示す。この場合において、残りナビ数が5以上であり(図20のS92のYes)、かつ楽曲F抽選により1/100の確率(図20のS96のYes)で楽曲Fの追加が決定されたときに、第1決定条件が成立する(楽曲Fが追加される)。図22(イ)は、第1決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていないことにより楽曲Fが出力されていることを示す図である。
【0148】
図22(B)中の図22(ウ)では、楽曲Aが出力されているときにボタン演出が実行された場合(図20のS71のYes)を示す。この場合において、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作され(図20のS72のYes)、かつ残りナビ数が10以上であるときに(図20のS80のYes)、第2決定条件が成立する(楽曲Fが追加される)。図22(エ)は、第2決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていないことにより楽曲Fが出力されていることを示す図である。」

「【図20】



「ボタン演出実行中であると判断されたとき」(【0128】)に、「演出用スイッチ56が操作されたと判断されたとき」(【0130】)は、訂正後の請求項1に記載の「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたとき」に対応する。
そして、上記の「ボタン演出実行中であると判断されたとき」(【0128】)に、「演出用スイッチ56が操作されたと判断されたとき」(【0130】)、さらに、「ボタン演出を終了させ」(【0130】)、「現在の残りナビ数が10以上であると判断されたとき」(【0132】)、「楽曲Fが追加され」(【0137】)、「楽曲選択済ではないと判断されたときには」、「出力されていた楽曲A?Eの出力を停止するとともに楽曲Fの出力に切替える」(【0144】)ことを実行する制御は、訂正後の請求項1に記載の「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御」に対応する。

また、「遊技者がデフォルトで選択可能な楽曲(特定演出)として、「楽曲A」、「楽曲B」、「楽曲C」、「楽曲D」、「楽曲E」の項目が表示される」「楽曲選択画面」(【0099】)で、「通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中において遊技者によっていずれの項目も選択されていない場合」、「「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」、「楽曲A」、…の順に切り替えて音声出力され」(【0100】)ているときは、訂正後の請求項1に記載の「前記通常演出音が出力されているとき」に対応する。
そして、上記の「通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中において遊技者によっていずれの項目も選択されていない場合」、「「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」、「楽曲A」、…の順に切り替えて音声出力され」(【0100】)ているときに、「ボタン演出実行中ではないと判断された場合」(【0133】)において、さらに、「通常リプレイが入賞したと判断され」(【0133】)、「現在の残りナビ数が5以上であると判断され」(【0134】)、「楽曲F追加抽選を実行」(【0135】)し、「楽曲Fの追加が決定されたと判断されたとき」(【0136】)に、「楽曲Fが追加され」(【0137】)、「楽曲選択済ではないと判断されたときには」、「出力されていた楽曲A?Eの出力を停止するとともに楽曲Fの出力に切替える」(【0144】)ことを実行する制御は、訂正後の請求項1に記載の「前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御」に対応する。

以上によれば、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、上記アで検討したように、発明特定事項を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、「前記第1制御により実行される示唆演出」と「前記第2制御により実行される示唆演出」とが「同一の態様」である点を、「前記第1制御により出力される前記示唆演出音」と「前記第2制御により出力される前記示唆演出音」とが「同一」である点に限定するものであるから、当該訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記「(2)訂正事項2」「イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること」で検討したように、本件特許明細書において、訂正後の請求項1の「第1制御」及び「第2制御」に対応する制御のいずれにおいても、訂正後の請求項1の「示唆演出」に対応する「楽曲Fの出力」が行われるところ、当該事項は、訂正後の請求項1に記載の「前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であ」ることに対応する。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3に係る訂正は、上記アで検討したように、発明特定事項を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、「前記第1制御により実行される示唆演出」を「前記第1制御により出力される前記示唆演出音」に限定するとともに、「前記第2制御により実行される示唆演出」を「前記第2制御により出力される前記示唆演出音」に限定するものであるから、当該訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
本件特許明細書及び図面には以下の記載がある。

「【0009】
…前記所定実行条件が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度と、該所定実行条件とは異なる特定実行条件(たとえば、図20のS90の通常リプレイが入賞することにより成立する条件)が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる(図22(B)に示すように、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が10以上であることが示唆される一方、図22(A)に示すように、演出用スイッチが操作されないことにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が5以上であることが示唆される)。」

「【0147】
図22(A)中の図22(ア)では、楽曲Aが出力されているときに通常リプレイが入賞した場合(図20のS90のYes)を示す。この場合において、残りナビ数が5以上であり(図20のS92のYes)、かつ楽曲F抽選により1/100の確率(図20のS96のYes)で楽曲Fの追加が決定されたときに、第1決定条件が成立する(楽曲Fが追加される)。図22(イ)は、第1決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていないことにより楽曲Fが出力されていることを示す図である。」
【0148】
図22(B)中の図22(ウ)では、楽曲Aが出力されているときにボタン演出が実行された場合(図20のS71のYes)を示す。この場合において、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作され(図20のS72のYes)、かつ残りナビ数が10以上であるときに(図20のS80のYes)、第2決定条件が成立する(楽曲Fが追加される)。図22(エ)は、第2決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていないことにより楽曲Fが出力されていることを示す図である。」

「【図22】



【0009】に記載の「ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより出力される楽曲Fにより」「示唆される」「残りナビ数」が「10以上であ」り、「演出用スイッチが操作されないことにより出力される楽曲Fにより」「示唆される」「残りナビ数」が「5以上である」ことは、訂正後の請求項1に記載の「前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる」ことに対応する。

したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、上記アで検討したように、発明特定事項を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

(5)訂正事項5
訂正事項5は、訂正事項1?4と整合をとるために本件特許明細書の【0008】を訂正するものであるから、当該訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項5は、訂正事項1?4について検討したのと同様に、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(6)訂正事項6
訂正事項6は、訂正事項1?4と整合をとるために本件特許明細書の【0009】を訂正するものであるから、当該訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項6は、訂正事項1?4について検討したのと同様に、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(7)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、令和3年7月26日付けの意見書において、以下の旨主張する。

(主張1)「「通常演出音」については、本件特許の明細書等には、定義はおろか記載もない。」(4頁3?4行)

(主張2)「他方、本件特許の明細書等には、演出のために用いられているか否かを別にしても、「音」に関連するものとしては「楽曲」に関する記載しかない」(4頁10?12行)

(主張3)「したがって、本件特許の明細書等には、「演出音」は記載されておらず、「演出」のためにする「楽曲」が記載されているに過ぎないものである。
換言すれば、本件訂正前の請求項1には、上位概念である「演出」が記載されており、本件特許の明細書等には、「音」の下位概念の一部を含む「演出」のためにする「楽曲」が記載されているところ、本件訂正後の請求項1には、それらの中間的概念である「演出音」が記載されている。
これは、演出のためにするものであれば、本件特許の明細書等に記載された「楽曲」以外の「音」のすべてを含むものであり、本件特許の明細書等に記載された事項の範囲を超えるものであって、明細書等の記載全般に照らして新たな技術的事項を導入するものであり、また、同時に、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとなる。」(4頁18行?5頁1行)

(主張4)「次に、「通常演出音」であるが、これは文理に照らして、「通常」聞こえてくるような「演出音」と理解されるが、本件特許の明細書等には、「音」であるか否かはさておき、個別の「特定演出」としての「楽曲」について記載されているだけで、「通常」の「演出音」に何が含まれるのか説明がされていない。
特許権者の提出した訂正請求書(第7頁c) によれば、本件特許の明細書【0125】「・・・・・。S70でNoと判断されるということは、楽曲A?Eのいずれかが出力されているということである。」の記載が根拠であると主張されているように思量されるが、その理由は明確ではない。
なぜならば、例えば、本件特許の明細書段落【0017】 には、「遊技者が選択可能な複数種類の特定演出(たとえば、楽曲リストの「楽曲A」?「楽曲E」)のうちいずれかの特定演出(たとえば、「楽曲A」)が遊技者によって選択されているか否かを判定する(たとえば、図20のS82) 判定手段」の記載、「前記特定演出が選択されていないと判定された場合には(図20のS82のNo)、前記複数種類の特定演出のうちいずれかの特定演出(たとえば、「楽曲A」?「楽曲E」のうち選択された楽曲)を実行するとともに、前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったときには(たとえば、図20のS81の処理が実行されたときには)、前記示唆演出を実行し(たとえば、図20のS88を実行し)、」等が記載されており、特別な条件が付随している。しかしながら、本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、この前提条件について、なんら記載されておらず、本件特許等の明細書等に記載されたものに限定して解釈される理由はない。
仮に、そのような前提条件が請求項1に記載されたとしても、これらは「通常」聞こえてくるような「演出音」には該当せず、特許権者自らが「特定演出」と位置付けるとおり、「通常」のものではないと解される。
したがって、特許権者の前記訂正請求書における主張は、理由がない。
よって、「通常演出音」は、本件特許の明細書等に記載された事項の範囲を超えるものであって、明細書等の記載全般に照らして新たな技術的事項を導入するものであり、また、同時に、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとなる。」(5頁3行?6頁7行)

(主張5)「また、本件特許の明細書段落【0210】?【0217】には、「特定演出」が、「楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい。例えば、特定演出は、液晶表示器51にキャラを表示させる演出としてもよい。」と記載されており、訂正後の請求項1と併せて解釈すれば、「楽曲」には該当しない液晶表示の動きに併せた効果音と液晶表示とによって行われる「特定演出」も想定されることとなり、このような「特定演出」なるものが仮に特許権者のいう「通常演出音」に含まれるのであれば、この点も、本件特許の明細書等に記載された事項の範囲を超えるものであって、明細書等の記載全般に照らして新たな技術的事項を導入するものであり、また、同時に、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとなる。」(6頁9?19行)

主張1、4について検討する。上記「(1)訂正事項1について」「イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること」で検討したように、【0125】に記載の「楽曲A?Eのいずれか」が、訂正後の請求項1に記載の「前記示唆演出音と異なる通常演出音」に対応すると解することが合理的である。「「通常演出音」については、本件特許の明細書等には、定義はおろか記載もない」こと(主張1)、「本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、この前提条件について、なんら記載されて」いないこと(主張4)は、上記のように対応すると解することを妨げるものではない。

主張2、3、5について検討する。本件訂正後の請求項1に記載の「示唆演出音」は、本件訂正前の請求項1に記載の「示唆演出」に含まれるとともに、本件特許明細書に記載の「楽曲F」を含む概念であることは、特許異議申立人の主張のとおりであるが、それによって、本件訂正が、本件特許の明細書等に記載された事項の範囲を超え、明細書等の記載全般に照らして新たな技術的事項を導入し、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとはいえない。
本件特許明細書には「音声」を「出力」することが示唆されているということができること、本件特許明細書には「楽曲A」?「楽曲E」について、「特定演出は、楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい」ことが記載されており、「楽曲F」についても、楽曲A?Eと同様に、「楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい」と認められること、楽曲A?E及び楽曲Fを出力する演出は、遊技者にとっての有利度を示唆するための演出であるところ、互いに異なる「音声」又は「音」を出力する演出によっても、楽曲を出力する演出と同様に、遊技者にとっての有利度を示唆することができることは自明であることから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであることは、上記「(1)訂正事項1」「イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること」「(ウ)」で検討したとおりである。

よって、特許異議申立人の主張1?5は、いずれも採用することができない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

第3 訂正後の本件特許発明(本件訂正発明)
本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(記号A?Fは、分説のため当審で付した。また、下線は本件訂正による訂正箇所を示す。)。

「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
B 遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段と、
前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、
C 前記示唆演出音出力手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御と、
前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出音を出力可能であり、
D 前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であり、
E 前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる、
F 遊技機。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して令和3年4月5日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

(進歩性)本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
・甲第1号証:特開2011-189021号公報

2 甲第1号証の記載、甲1発明
取消理由通知に引用された甲第1号証(特開2011-189021号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】【0001】 本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示する可変表示部を備え、可変表示部における識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御するパチンコ機などの遊技機に関する。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された遊技機では、ステップアップ予告のうちの所定段階(特許文献1に示す例では、最終段階のステップ(E),(e))の演出態様による演出がリーチ状態となった後に実行されることによって、遊技者に特定遊技状態に対する期待感を認識させることができる。しかし、ステップアップ予告中の所定段階の演出態様による演出がリーチ演出とは無関係に実行されているので、ステップアップ予告演出とリーチ演出とを関連付けさせることができない。そのため、ステップアップ予告演出の所定段階の演出態様による演出が実行されることによる期待感とリーチ演出が実行されることによる期待感とを別々に与えることしかできず、遊技に対する興趣を十分に向上させることができない。
【0010】
そこで、本発明は、ステップアップ予告演出のうちの所定段階の演出態様による演出とリーチ演出とを関連付けて期待感を高めることができ、遊技に対する興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。」

ウ 「【0070】
演出制御基板80は、演出制御用CPU101、および演出図柄プロセスフラグ等の演出に関する情報を記憶するRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるRAMは電源バックアップされていない。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、内蔵または外付けのROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に演出表示装置9の表示制御を行わせる。」

エ 「【0097】
なお、この実施の形態では、リーチ演出は、演出表示装置9において可変表示される演出図柄を用いて実行される。また、特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、リーチ演出は常に実行される(ただし、突然確変大当りの場合には、リーチとはならずに突然確変大当り図柄(例えば「135」)が停止表示される場合もある)。特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数を用いた変動パターン種別や変動パターンを決定する抽選を行うことによって、リーチ演出を実行するか否か決定する。ただし、実際にリーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータ100である。」

オ 「【0120】
この実施の形態では、図6に示すように、大当りの場合にのみ全回転PC3-1の変動パターンが選択されて変動表示中に全回転リーチが実行される場合がある。従って、この実施の形態では、変動表示中に全回転リーチが実行されれば、大当りが確定することになる。また、この実施の形態では、ロングリーチ、スーパーリーチおよび全回転リーチのうち、全回転リーチが出現した場合が大当りに対する期待度が最も高く(本例では、大当り確定)、次にスーパーリーチが出現した場合が大当りに対する期待度が高く、ロングリーチが出現した場合が最も大当りに対する期待度が低い。なお、全回転リーチが実行されると大当りが確定するのではなく、全回転リーチの場合が最も大当りに対する期待度が高ければ、全回転リーチが実行されても極めて低い割合ではずれとなる場合があるように構成してもよい。
【0121】
なお、「大当りに対する期待度(信頼度)」とは、そのリーチなどの演出を伴う可変表示(例えば、スーパーリーチを伴う変動表示)が実行された場合に大当りが出現する出現率(確率)を示している。例えば、スーパーリーチを伴う変動表示が実行される場合の大当り期待度は、(大当りと決定されている場合にスーパーリーチが実行される割合)/(大当りと決定されている場合およびハズレと決定されている場合の両方にスーパーリーチが実行される割合)を計算することによって求められる。」

カ 「【0295】
図36は、プロセステーブルの構成例を示す説明図である。プロセステーブルとは、演出制御用CPU101が演出装置の制御を実行する際に参照するプロセスデータが設定されたテーブルである。すなわち、演出制御用CPU101は、プロセステーブルに設定されているプロセスデータに従って演出表示装置9等の演出装置(演出用部品)の制御を行う(ステップS8006)。プロセステーブルは、プロセスタイマ設定値と表示制御実行データ、ランプ制御実行データ、音番号データおよび可動部材制御データの組み合わせが複数集まったデータで構成されている。表示制御実行データには、演出図柄の可変表示の可変表示時間(変動時間)中の変動態様を構成する各変動の態様を示すデータ等(演出図柄の表示態様の他に演出表示装置9の表示画面における演出図柄以外の演出態様を含む。)が記載されている。具体的には、演出表示装置9の表示画面の変更に関わるデータが記載されている。また、プロセスタイマ設定値には、その演出態様での演出時間が設定されている。演出制御用CPU101は、プロセステーブルを参照し、プロセスタイマ設定値に設定されている時間だけ表示制御実行データに設定されている態様で演出図柄を表示させるとともに表示画面に表示されるキャラクタ画像や背景を表示させる制御を行う。また、ランプ制御実行データおよび音番号データに設定されている態様で発光体の点滅を制御するとともに、スピーカ27からの音出力を制御する。また、可動部材制御データに設定されている態様で可動部材78および演出羽根役物79a,79bを制御する。」

キ 「【0297】
また、リーチ演出を伴う変動パターンについて演出制御を実行する場合に用いられるプロセステーブルには、変動開始から所定時間が経過したときに左図柄を停止表示させ、さらに所定時間が経過すると右図柄を停止表示させることを示すプロセスデータが設定されている。なお、停止表示させる図柄をプロセステーブルに設定するのではなく、決定された停止図柄、擬似連や滑り演出における仮停止図柄に応じて、図柄を表示するための画像を合成して生成するようにしてもよい。」

ク 「【0306】
図40の左上に示す非リーチはずれ用のステップアップ予告設定テーブルでは、予告演出「なし」と、予告演出A(以下、ステップAの演出ともいう)のみ実行される演出態様(「A」の発展パターン)と、予告演出Aが実行されてから予告演出B(以下、ステップBの演出ともいう)が実行される演出態様(「A→B」の発展パターン)と、予告演出Aが実行されてから予告演出Bが実行され、その後に予告演出C1(以下、ステップC1の演出ともいう)が実行される演出態様(「A→B→C1」の発展パターン)と、予告演出Aが実行されてから予告演出Bが実行され、その後に予告演出C2(以下、ステップC2の演出ともいう)が実行される演出態様(「A→B→C2」の発展パターン)と、予告演出Aが実行されてから予告演出Bを経由せずに予告演出C1が実行される演出態様(「A→C1」の発展パターン)と、予告演出Aが実行されてから予告演出Bを経由せずに予告演出C2が実行される演出態様(「A→C2」の発展パターン)と、が設定されている。そして、各演出態様に対して所定数の判定値がそれぞれ割り振られている。なお、「割振」に示す数字は、各演出態様に割り振られた判定値の数を示している。他のテーブル(図41?図44)においても同様である。」

ケ 「【0379】
ボタン演出実行フラグがセットされていれば(すなわち、ボタン演出を実行する場合であれば)、演出制御用CPU101は、操作ボタン120の操作が可能な期間(ボタン有効期間中)であるか否か(例えば、ノーマルリーチが発生した後、ステップC1,C2への切替タイミングとなるまでの期間であるか否か)確認する(ステップS8109)。ボタン有効期間であるときは(ステップS8109のY)、演出制御用CPU101は、操作ボタン120がオンとなったか(押下されたか)どうかを検出する処理を実行する(ステップS8110)。操作ボタン120のオンは、操作ボタン120からのオン信号を入力したことで検出する。演出制御用CPU101は、操作ボタン120のオンを検出すると(ステップS8110のY)、演出制御用CPU101は、ステップC1,C2の演出への切替タイミングであるか否かを確認する(ステップS8111)。ステップCの演出への切替タイミングであれば(ステップS8111のY)、演出制御用CPU101は、ステップS8112に移行し、ステップアップ予告演出の切替処理(例えば、次の段階のステップ用のプロセスデータへの切り替えやプロセスタイマの再スタート)を行い、ステップC1,C2の演出への切替を行う(ステップS8112)。」

コ 「【0405】
次に、ステップアップ予告演出の演出態様の具体例について説明する。図50は、ステップアップ予告演出の演出態様の具体例を示す説明図である。なお、図50において、(1)(2)(3)・・・の順に演出画面の態様が遷移する。
【0406】
演出制御用マイクロコンピュータ100は、新たに変動パターンコマンドを受信すると、図50(1)に示すように演出図柄の停止図柄が停止表示している状態から、図50(2)に示すように演出図柄の変動表示を開始する。次いで、ステップアップ予告演出を実行することに決定されている場合には、高速変動が開始され、ステップアップ予告演出中のステップAの演出の実行タイミングとなると、例えば、図50(2)に示すように、所定のキャラクタA201を登場させるなどの態様で1段階目のステップAの演出が実行される。次いで、演出図柄のうちの左図柄が停止表示され、ステップアップ予告演出中のステップBの演出の実行タイミングとなると、例えば、図50(3)に示すように、所定のキャラクタB202を登場させるなどの態様で2段階目のステップBの演出が実行される。
【0407】
次いで、ノーマルリーチの実行タイミングとなると、例えば、図50(4)に示すように、右の演出図柄が左の演出図柄と同じ図柄(本例では、「7」の図柄)で停止表示されて、ノーマルリーチが開始される。ノーマルリーチでは、例えば、図50(5)(6)に示すように、中の演出図柄が左右の演出図柄と同じ図柄(本例では、「7」の図柄)に近くなると、変動中の中の演出図柄が低速変動に切り替わったり、図50(7)に示すように、左右の演出図柄と同じ図柄を通り過ぎると、再び中の演出図柄が高速変動に切り替わったりする演出が実行される。
【0408】
次いで、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するリーチ演出の発展タイミングとなると(本例では、スーパーリーチが開始される直前の所定期間前(例えば、1秒前)となると)、図50(7)に示すように、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とを両方登場させるなどの態様で最終の3段階目のステップC1,C2の演出が実行される。
【0409】
次いで、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展し、図50(8)?(10)に示すようなスーパーリーチの演出が実行される。例えば、スーパーリーチの演出が実行される場合には、図50(8)(9)に示すように、味方のキャラクタ203と敵のキャラクタ204とがバトルを行うような態様の演出が実行され、大当りとなる場合には、図50(10)に示すように、味方のキャラクタ203がバトルに勝利するような態様の演出が実行される。なお、はずれとなる場合には、例えば、図50(10)の表示画面において、逆に味方のキャラクタ203がバトルに敗北するような態様の演出が実行される。また、スーパーリーチの演出が実行されている場合には、例えば、図50(8)?(10)に示すように、表示画面の一部において縮小表示されるなどの態様で演出図柄の変動表示が継続して表示される。
【0410】
そして、大当りである場合には、図50(11)に示すように、左中右の演出図柄が同じ図柄(本例では、「7」の図柄)で揃った状態の大当り図柄が最終停止表示され、図50(12)に示すように、「大当り」などの文字列が表示されて、大当り遊技が開始される。
【0411】
また、この実施の形態では、演出図柄の変動表示中にステップアップ予告演出が実行される場合には、ボタン演出や示唆演出が実行される場合がある。図51および図52は、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行される場合の演出態様の具体例を示す説明図である。このうち、図51は、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合の演出態様を示しており、図52は、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われなかった場合の演出態様を示している。また、図50と同様に、図51および図52において、(1)(2)(3)・・・の順に演出画面の態様が遷移する。
【0412】
図51および図52において、図51(1)?(5)および図52(1)?(5)の演出態様は図50(1)?(5)に示した演出態様と同様であり、図50(1)?(3)と同様の態様で演出図柄の変動表示が開始されて、1段階目のステップAおよび2段階目のステップBの演出が実行される。また、ノーマルリーチの実行タイミングとなると、図50(4),(5)と同様の態様でノーマルリーチの演出が実行される。
【0413】
次いで、ノーマルリーチが発生した後、ステップC1,C2への切替タイミングとなるまでのボタン有効期間となると、例えば、図51(6)および図52(6)に示すように、「ボタンを押せ!」などの文字列とともに、操作ボタン120の操作を促す表示205が表示され、ボタン演出が開始される。なお、ボタン演出が実行されている場合には、例えば、図51(6)および図52(6)に示すように、表示画面の一部において縮小表示されるなどの態様で演出図柄の変動表示が継続して表示される。
【0414】
そして、遊技者によって操作ボタン120の操作が行われた場合には、リーチ演出の発展タイミングとなると、図51(7)に示すように、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とを両方登場させるなどの態様で最終の3段階目のステップC1,C2の演出が実行される(ステップS8110のY,ステップS8112参照)。さらに、示唆演出を実行することに決定されている場合には、ステップC1,C2の演出に組み合わせて、例えば、図51(7)に示すように、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とのセリフとして「SPリーチ?」などの文字列206が表示され、スーパーリーチに発展する可能性があることを示唆する演出が実行される(ステップS8113?S8115参照)。なお、示唆演出(ロングリーチ)や示唆演出(全回転リーチ)を実行することに決定されている場合には、例えば、図51(7)の表示画面において、「ロングリーチ?」や「全回転リーチ?」などの文字列が表示される演出が実行される。
【0415】
一方、遊技者によって操作ボタン120の操作が行われなかった場合には、リーチ演出の発展タイミングとなっても、図52(7)に示すように、「SPリーチ?」などの文字列206が表示され、スーパーリーチに発展する可能性があることを示唆する演出が実行される(ステップS8113?S8115参照)だけで、ステップC1,C2の演出は実行されず、最終の3段階目のステップには発展しない(ステップS8110のN参照)。なお、示唆演出(ロングリーチ)や示唆演出(全回転リーチ)を実行することに決定されている場合には、例えば、図52(7)の表示画面において、「ロングリーチ?」や「全回転リーチ?」などの文字列が表示される演出が実行される。
【0416】
その後、図50(8)?(10)と同様の態様で、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展してスーパーリーチの演出が実行され、大当りである場合には、図50(11)と同様の態様で大当り図柄が最終停止表示されるとともに、図50(12)と同様の態様で大当り遊技が開始される。」

サ 「【0441】
なお、この実施の形態では、ボタン演出を実行する場合に、操作ボタン120による操作が行われなかった場合にリーチ演出を発展させないように制御する場合を示したが、さらに、操作ボタン120による操作が行われなければ、示唆演出も実行しないように構成してもよい。」

シ 「【図40】



ス 「【図50】



セ 「【図51】



ソ 【0411】の「図51および図52は、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行される場合の演出態様の具体例を示す説明図である。このうち、図51は、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合の演出態様を示しており、図52は、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われなかった場合の演出態様を示している。」との記載から、図51は、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行される場合の演出態様の具体例を示す説明図であって、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合の演出態様を示すものである。また、【0416】には、「その後、図50(8)?(10)と同様の態様で、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展してスーパーリーチの演出が実行され、大当りである場合には、図50(11)と同様の態様で大当り図柄が最終停止表示されるとともに、図50(12)と同様の態様で大当り遊技が開始される。」と記載されているところ、当該記載は、図51及び図52についての説明であって、図51(8)?(10)には、スーパーリーチの演出を示す図50(8)?(10)と同一の図が示されていることから、「図51(8)?(10)は、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様の具体例を示すものである」(以下、「認定事項ソ」という。)と認められる。

タ 【0413】の「…例えば、図51(6)および図52(6)に示すように、「ボタンを押せ!」などの文字列とともに、操作ボタン120の操作を促す表示205が表示され、ボタン演出が開始される。」との記載によれば、「ボタン演出」は、例えば、「「ボタンを押せ!」などの文字列とともに、操作ボタン120の操作を促す表示205が表示され」る演出である。
また、【0414】の「さらに、示唆演出を実行することに決定されている場合には、ステップC1,C2の演出に組み合わせて、例えば、図51(7)に示すように、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とのセリフとして「SPリーチ?」などの文字列206が表示され、スーパーリーチに発展する可能性があることを示唆する演出が実行される(ステップS8113?S8115参照)。なお、示唆演出(ロングリーチ)や示唆演出(全回転リーチ)を実行することに決定されている場合には、例えば、図51(7)の表示画面において、「ロングリーチ?」や「全回転リーチ?」などの文字列が表示される演出が実行される。」との記載によれば、「示唆演出」は、例えば、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とのセリフとして「SPリーチ?」「ロングリーチ?」「全回転リーチ?」などの文字列206が表示され、スーパーリーチ、ロングリーチ、全回転リーチに発展する可能性があることを示唆する演出である。
【0405】には、「次に、ステップアップ予告演出の演出態様の具体例について説明する。図50は、ステップアップ予告演出の演出態様の具体例を示す説明図である。」と記載されているところ、図50には、「ボタン演出」及び「示唆演出」が実行されることが示されておらず、また、図50についての説明がなされている【0405】乃至【0410】には、「ボタン演出」及び「示唆演出」が実行されることについて記載されていないことから、図50は、ステップアップ予告演出中にボタン演出及び示唆演出が実行されない場合の演出態様の具体例を示す説明図であり、【0405】乃至【0410】において説明されている「ステップアップ予告演出の演出態様の具体例」は、「ステップアップ予告演出中にボタン演出及び示唆演出が実行されない場合」(以下、「認定事項タ1」という。)のものであると認められる。
さらに、【0409】の「次いで、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展し、図50(8)?(10)に示すようなスーパーリーチの演出が実行される。」との記載から、「図50(8)?(10)は、ステップアップ予告演出中にボタン演出及び示唆演出が実行されない場合のスーパーリーチの演出態様の具体例を示す説明図である」(以下、「認定事項タ2」という。)と認められる。

チ 認定事項ソ及び認定事項タ2より、図50(8)?(10)は、ステップアップ予告演出中にボタン演出及び示唆演出が実行されない場合のスーパーリーチの演出態様の具体例を示すものであり、図51(8)?(10)は、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様の具体例を示すものであると認められるところ、上記ケの図50(8)?(10)と上記コの図51(8)?(10)には、それぞれ同一の図が示されていることから、「ステップアップ予告演出中にボタン演出が実行されずに示唆演出が実行される場合のスーパーリーチの演出態様、及びステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様において、同一の演出画面が表示される」(以下、「認定事項チ」という)ものと認められる。

ツ 【0016】には、【図面の簡単な説明】として、
「【図40】ステップアップ予告設定テーブルの具体例を示す説明図である。」、「【図50】ステップアップ予告演出の演出態様の具体例を示す説明図である。【図51】ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行される場合の演出態様の具体例を示す説明図である。」
と記載されているところ、図40に示されるものと、図50、51に示されるものは、いずれもステップアップ予告演出に関する具体例を示す説明図であって、同じ実施例として把握されうるものである。
そして、図40の「大当りのとき」の表を参照すると、「ボタン演出付」とされているものとその割振は、
・A(ボタン演出付) …1
・A→B(ボタン演出付) …1
・A→B→C1(ボタン演出付)…3
・A→B→C2(ボタン演出付)…4
・A→C1(ボタン演出付) …4
・A→C2(ボタン演出付) …1
であって、これらの割振の合計は14であり、「ボタン演出付」とされていないものとその割振は、
・なし …10
・A …14
・A→B …14
・A→B→C1…12
・A→B→C2…16
・A→C1 …16
・A→C2 …4
であって、これらの割振の合計は86であるから、「ボタン演出付」とされているものの割振の合計と「ボタン演出付」とされていないもの割振の合計の比は、14:86である。
【0306】の
「そして、各演出態様に対して所定数の判定値がそれぞれ割り振られている。なお、「割振」に示す数字は、各演出態様に割り振られた判定値の数を示している。他のテーブル(図41?図44)においても同様である。」
との記載、及び図40の「非リーチはずれのとき」「ノーマルリーチはずれのとき」「ロングリーチはずれのとき」「スーパーリーチはずれのとき」の表も同様に参照すると、図40には、
「ボタン演出付の演出態様とボタン演出付でない演出態様のそれぞれに割り振られた判定値の数である割振の合計の比は、
非リーチはずれのとき …1:99
ノーマルリーチはずれのとき …2:98
ロングリーチはずれのとき …3:97
スーパーリーチはずれのとき …8:92
大当りのとき …14:86
である」(以下、「認定事項ツ」という。)ことが示されていると認められる。

上記ア?ツからみて、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。a?fは、本件特許の請求項1の分説(A?F)に対応させて、当審にて付与した。)が開示されていると認められる。

「a パチンコ機などの遊技機であって(【0001】)、
b1 演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御用CPU101を含み(【0070】)、リーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータ100であり(【0097】)、演出制御用CPU101は、プロセステーブルを参照し、プロセスタイマ設定値に設定されている時間だけ表示制御実行データに設定されている態様で演出図柄を表示させるとともに表示画面に表示されるキャラクタ画像や背景を表示させる制御を行い、音番号データに設定されている態様で、スピーカ27からの音出力を制御し、プロセステーブルは、プロセスタイマ設定値と表示制御実行データ、音番号データおよび可動部材制御データの組み合わせが複数集まったデータで構成され(【0295】)、プロセステーブルは、リーチ演出を伴う変動パターンについて演出制御を実行する場合に用いられ(【0297】)、
b2 ロングリーチ、スーパーリーチおよび全回転リーチのうち、全回転リーチが出現した場合が大当りに対する期待度が最も高く、次にスーパーリーチが出現した場合が大当りに対する期待度が高く、ロングリーチが出現した場合が最も大当りに対する期待度が低く(【0120】)、
b3 ボタン演出実行フラグがセットされていれば(すなわち、ボタン演出を実行する場合であれば)、演出制御用CPU101は、操作ボタン120の操作が可能な期間(ボタン有効期間中)であるか否か(例えば、ノーマルリーチが発生した後、ステップC1,C2への切替タイミングとなるまでの期間であるか否か)確認し、ボタン有効期間であるときは、演出制御用CPU101は、操作ボタン120がオンとなったか(押下されたか)どうかを検出する処理を実行し、演出制御用CPU101は、操作ボタン120のオンを検出すると、演出制御用CPU101は、ステップC1,C2の演出への切替タイミングであるか否かを確認し、ステップCの演出への切替タイミングであれば、演出制御用CPU101は、ステップアップ予告演出の切替処理(例えば、次の段階のステップ用のプロセスデータへの切り替えやプロセスタイマの再スタート)を行い、ステップC1,C2の演出への切替を行い(【0379】)、
c1 ステップアップ予告演出の演出態様において(【0405】)、ステップアップ予告演出中にボタン演出及び示唆演出が実行されない場合(認定事項タ1)、演出制御用マイクロコンピュータ100は、新たに変動パターンコマンドを受信すると、演出図柄の停止図柄が停止表示している状態から、演出図柄の変動表示を開始し、次いで、ステップアップ予告演出を実行することに決定されている場合には、高速変動が開始され、ステップアップ予告演出中のステップAの演出の実行タイミングとなると、所定のキャラクタA201を登場させるなどの態様で1段階目のステップAの演出が実行され、次いで、演出図柄のうちの左図柄が停止表示され、ステップアップ予告演出中のステップBの演出の実行タイミングとなると、所定のキャラクタB202を登場させるなどの態様で2段階目のステップBの演出が実行され(【0406】)、次いで、ノーマルリーチの実行タイミングとなると、右の演出図柄が左の演出図柄と同じ図柄で停止表示されて、ノーマルリーチが開始され、ノーマルリーチでは、中の演出図柄が左右の演出図柄と同じ図柄に近くなると、変動中の中の演出図柄が低速変動に切り替わったり、左右の演出図柄と同じ図柄を通り過ぎると、再び中の演出図柄が高速変動に切り替わったりする演出が実行され(【0407】)、次いで、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展するリーチ演出の発展タイミングとなると、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とを両方登場させるなどの態様で最終の3段階目のステップC1,C2の演出が実行され(【0408】)、次いで、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展し、スーパーリーチの演出が実行され、スーパーリーチの演出が実行される場合には、味方のキャラクタ203と敵のキャラクタ204とがバトルを行うような態様の演出が実行され、大当りとなる場合には、味方のキャラクタ203がバトルに勝利するような態様の演出が実行され、はずれとなる場合には、逆に味方のキャラクタ203がバトルに敗北するような態様の演出が実行され、スーパーリーチの演出が実行されている場合には、表示画面の一部において縮小表示されるなどの態様で演出図柄の変動表示が継続して表示され(【0409】)、大当りである場合には、左中右の演出図柄が同じ図柄で揃った状態の大当り図柄が最終停止表示され、「大当り」などの文字列が表示されて、大当り遊技が開始され(【0410】)、
c2 演出図柄の変動表示中にステップアップ予告演出が実行される場合に、ステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合の演出態様において(【0411】)、演出図柄の変動表示が開始されて、1段階目のステップAおよび2段階目のステップBの演出が実行され、ノーマルリーチの実行タイミングとなると、ノーマルリーチの演出が実行され(【0412】)、次いで、ノーマルリーチが発生した後、ステップC1,C2への切替タイミングとなるまでのボタン有効期間となると、「ボタンを押せ!」などの文字列とともに、操作ボタン120の操作を促す表示205が表示され、ボタン演出が開始され、ボタン演出が実行されている場合には、表示画面の一部において縮小表示されるなどの態様で演出図柄の変動表示が継続して表示され(【0413】)、遊技者によって操作ボタン120の操作が行われた場合には、リーチ演出の発展タイミングとなると、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とを両方登場させるなどの態様で最終の3段階目のステップC1,C2の演出が実行され、さらに、示唆演出を実行することに決定されている場合には、ステップC1,C2の演出に組み合わせて、所定のキャラクタA201と所定のキャラクタB202とのセリフとして「SPリーチ?」などの文字列206が表示され、スーパーリーチに発展する可能性があることを示唆する演出が実行され、示唆演出(ロングリーチ)や示唆演出(全回転リーチ)を実行することに決定されている場合には、「ロングリーチ?」や「全回転リーチ?」などの文字列が表示される演出が実行され、その後、リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展してスーパーリーチの演出が実行され、大当りである場合には、大当り図柄が最終停止表示されるとともに、大当り遊技が開始され(【0414】)、
d ステップアップ予告演出中にボタン演出が実行されずに示唆演出が実行される場合のスーパーリーチの演出態様、及びステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様において、同一の演出画面が表示され(認定事項チ)、
e ボタン演出付の演出態様とボタン演出付でない演出態様のそれぞれに割り振られた判定値の数である割振の合計の比は、
非リーチはずれのとき …1:99
ノーマルリーチはずれのとき …2:98
ロングリーチはずれのとき …3:97
スーパーリーチはずれのとき …8:92
大当りのとき …14:86
である(認定事項ツ)
f 遊技機。」

3 対比
本件訂正発明と甲1発明とを、分説に従い対比する。

(a、f)
甲1発明の「遊技機」は、本件訂正発明の「遊技を行うことが可能な遊技機」および「遊技機」に相当する。
したがって、甲1発明の構成a、fは、本件訂正発明の構成A、Fに相当する。

(b)
甲1発明の構成b2の「大当りに対する期待度」は、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度」に相当する。
甲1発明の構成b2によれば、「ロングリーチ、スーパーリーチおよび全回転リーチのうち、全回転リーチが出現した場合が大当りに対する期待度が最も高く、次にスーパーリーチが出現した場合が大当りに対する期待度が高く、ロングリーチが出現した場合が最も大当りに対する期待度が低」いことから、甲1発明の「スーパーリーチの演出」は、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音」と、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出」である点で一致する。
また、甲1発明の構成b1の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、「リーチ演出の制御を実行する」ものであり、スーパーリーチの演出も実行するものと認められるから、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」と、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能な手段」である点で一致する。
そして、甲1発明の構成b1の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、「スピーカ27からの音出力を制御」する「演出制御用CPU101」を含むものであるから、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」と、「音を出力可能な手段」である点でも一致する。
甲1発明の「ボタン演出」は、構成c2によれば、「「ボタンを押せ!」などの文字列とともに、操作ボタン120の操作を促す表示205が表示され」ることから、本件訂正発明の「所定操作を遊技者に促進する促進演出」に相当する。そして、甲1発明の「演出制御用CPU101」は、「ボタン演出実行フラグがセットされていれば(すなわち、ボタン演出を実行する場合であれば)」、「操作ボタン120の操作が可能な期間(ボタン有効期間中)であるか否か(例えば、ノーマルリーチが発生した後、ステップC1,C2への切替タイミングとなるまでの期間であるか否か)確認し、ボタン有効期間であるときは」、「操作ボタン120がオンとなったか(押下されたか)どうかを検出する処理を実行し」、「操作ボタン120のオンを検出すると」、「ステップC1,C2の演出への切替タイミングであるか否かを確認し、ステップCの演出への切替タイミングであれば」、「ステップアップ予告演出の切替処理(例えば、次の段階のステップ用のプロセスデータへの切り替えやプロセスタイマの再スタート)を行い、ステップC1,C2の演出への切替を行」うものであって、「ボタン演出」を実行するものといえるから、甲1発明の「演出制御用CPU101」は、本件訂正発明の「促進演出実行手段」と、「所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する」ものである点で一致する。

以上によれば、甲1発明は、本件訂正発明の構成Bと、
「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段と、
所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え」る点で一致する。

(c)
甲1発明の構成c2の
「ボタン演出が実行されている場合には、」「遊技者によって操作ボタン120の操作が行われた場合には、」「リーチ演出がノーマルリーチからスーパーリーチに発展してスーパーリーチの演出」を「実行」する制御は、本件訂正発明の構成Cの「第1制御」と、「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに」「前記示唆演出」を実行する「第1制御」である点で一致する。

また、甲1発明の構成c1の「ステップアップ予告実行中にボタン演出」「が実行されない場合」に「スーパーリーチの演出」を「実行」する制御は、本件訂正発明の構成Cの「第2制御」と、「前記促進演出が実行されることなく」「示唆演出」を実行する「第2制御」である点で一致する。

以上によれば、甲1発明の構成b1の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、構成c2のボタン演出が実行されてスーパーリーチの演出を実行する制御と、構成c1のボタン演出が実行されない場合にスーパーリーチの演出を実行する制御のいずれかにより、スーパーリーチの演出を実行可能であるといえ、このことは、本件特許の構成Cと
「前記示唆演出を実行する手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記示唆演出を実行する第1制御と、
前記促進演出が実行されることなく前記示唆演出を実行する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出を実行可能であ」る点で一致する。

(d)
甲1発明の構成dの
「ステップアップ予告演出中にボタン演出が実行されずに示唆演出が実行される場合のスーパーリーチの演出態様、及びステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様において、同一の演出画面が表示される」ことから、ステップアップ予告演出中にボタン演出が実行されずに示唆演出が実行される場合のスーパーリーチの演出態様、及びステップアップ予告演出中にボタン演出や示唆演出が実行され、ボタン演出において操作ボタン120による操作が行われた場合のスーパーリーチの演出態様は、同一であると認められる。
したがって、甲1発明の構成dは、本件訂正発明の構成Dと
「前記第1制御により実行される示唆演出と、前記第2制御により実行される示唆演出とは同一であ」る点で一致する。

よって、本件訂正発明と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点1?7で相違する。

[一致点]
「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
B’ 遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段と、
所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、
C’ 前記示唆演出を実行する手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記示唆演出を実行する第1制御と、
前記促進演出が実行されることなく前記示唆演出を実行する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出を実行可能であり、
D’ 前記第1制御により出力される前記示唆演出と、前記第2制御により出力される前記示唆演出とは、同一である
F 遊技機。」

[相違点1](構成B、C、D、E)
「遊技者にとっての有利度を示唆する」ものが、本件訂正発明では、「示唆演出音」であるのに対して、甲1発明では、「スーパーリーチの演出」であって「示唆演出音」ではない点。

[相違点2](構成B)
「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段」が、本件訂正発明では、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能」であるのに対して、甲1発明では、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能」であるか不明である点。

[相違点3](構成B)
「促進演出実行手段」が「所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する」のが、本件訂正発明においては、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているとき」であるのに対して、甲1発明では、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているとき」であるか不明である点。

[相違点4](構成C)
「第1制御」において、「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに」、本件訂正発明では、「前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」のに対して、甲1発明では、示唆演出を実行するものの、このような制御を行わない点。

[相違点5](構成C)
「第2制御」において、本件訂正発明では、「前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」のに対して、甲1発明では、促進演出が実行されることなく示唆演出を実行するものの、「前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力」しない点。

[相違点6](構成D)
本件訂正発明において、「前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であ」るのに対して、甲1発明では、第1制御により実行される示唆演出(ボタン演出が実行される場合のスーパーリーチの演出)と、第2制御により実行される示唆演出(ボタン演出が実行されない場合のスーパーリーチの演出)とは、「同一の演出画面が表示され」るものの、同一の示唆演出音が出力されることが限定されていない点。

[相違点7](構成E)
本件訂正発明において、「前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる」のに対して、甲1発明では、このように構成されていない点。

4 判断
(1)相違点1?7についての検討
ア 相違点1について検討する。甲1発明において、「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、「リーチ演出の制御を実行」し、「スピーカ27からの音出力を制御」するものであるから、スーパーリーチの演出において、音を出力することは、当業者が容易に想到できたことである。しかしながら、スーパーリーチの演出において出力される音により、「遊技者にとっての有利度を示唆する」には、「スーパーリーチの演出において出力される音」が、スーパーリーチの演出に特有の音として、他の演出音等から区別されて認識される必要があるが、そのような事項は、甲第1号証には記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明に基づいて相違点1に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

イ 相違点2について検討する。甲1発明において、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段」である「演出制御用マイクロコンピュータ100」が、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能」とすることは、上記(1)における検討と同じ理由で、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

ウ 相違点3について検討する。甲1発明において、「促進演出実行手段」(ボタン演出)が「所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する」ときに演出音が出力されているか否か、出力されているとすればどのような演出音が出力されているのかは不明であって、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されている」ように構成することは、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、また、特許異議申立人が提出した甲第2?5号証にも記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明に基づいて相違点3に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

エ 相違点4について検討する。「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに」、「前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」制御を行うことについて、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、また、特許異議申立人が提出した甲第2?5号証にも記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明に基づいて相違点4に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

オ 相違点5について検討する。「前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」制御を行うことについて、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、また、特許異議申立人が提出した甲第2?5号証にも記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明に基づいて相違点5に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

カ 相違点6について検討する。ボタン演出が実行される場合のスーパーリーチの演出において出力される示唆演出音と、ボタン演出が実行されない場合のスーパーリーチの演出において出力される示唆演出音とが、同一であることは、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、また、特許異議申立人が提出した甲第2?5号証にも記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明に基づいて相違点6に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

キ 相違点7について検討する。ボタン演出が実行される場合のスーパーリーチの演出において出力される示唆演出音により示唆される有利度と、ボタン演出が実行されない場合のスーパーリーチの演出において出力される示唆演出音により示唆される有利度とが、異なることは、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、また、特許異議申立人が提出した甲第2?5号証にも記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明に基づいて相違点7に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

(2)特許異議申立人の主張について
上記(1)で検討した相違点に関して、特許異議申立人は、令和3年7月26日提出の意見書において、以下の旨主張する(「…」は転記を省略している箇所を示す。また、丸囲みの数字を“○1”のように表記した。)。

(主張1)「(イ)構成要件B’)について
本件訂正発明は、本件訂正前の「示唆演出」が本件訂正後の「示唆演出音」に、同様に、「実行」が「出力」に変更され、「示唆演出実行手段」が「示唆演出音出力手段」に変更された。

また、この技術分野において、示唆演出の手段として、画像、動画、音、光によることはこの技術分野における周知技術であるので、示唆演出の手段を「音」に変更して、前記のとおり構成要件を変更したのは、単なる周知技術を示したに過ぎず、発明の実施に際して生じる具体的な微差であって、格別顕著な効果の差異を生じるものでもないので、甲1発明との間の実質的な相違点となるものではない。」(7頁1?16行)

(主張2)「(ウ)構成要件B”)について
本件訂正により、本件訂正発明には、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出音出力手段と」を備える点が追加された。
しかし、この技術分野において、「示唆演出(音)」は、その文言通り、遊技者に遊技の状態の変化等を示唆することを目的としているのであるから、それまでの状態(これが通常演出の状態を含むことは言うまでもない)と異なる態様のものであることは自明である。
そうすると、構成要件B”)は、単に周知の示唆演出の態様を説明しているに過ぎず、「音」に関するものであることを除けば、実質的に新たな技術的事項を追加することは設計上の微差に過ぎない。」(7頁24行?8頁5行)

(主張3)「(エ)構成要件C’) について
本件発明の本件訂正前に、「前記示唆演出手段は、所定操作を遊技者に促進する促進演出の実行中において該所定操作がされることに基づいて示唆演出を実行する第1制御と、前記促進演出が実行されることなく示唆演出を実行する第2制御と、のいずれかにより示唆演出を実行可能であり、」であったものが、本件訂正後は、「前記示唆演出音出力手段は、前記促進演出の実行中において該所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記前記示唆演出音を出力する第1制御と、前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御と、のいずれかにより前記示唆演出音を出力可能であり、」と変更されたものである。

そうすると、「音」に関するものであることを除けば、訂正後の構成要件C’)は「前記示唆演出実行手段は、前記『促進演出の実行中において』該『所定操作がされたときに』前記『通常演出から切り替えて』前記前記示唆演出を実行する第1制御と、前記『通常演出が実行されているときに』前記『促進演出が実行されることなく』前記『通常演出力から切り替えて』前記示唆演出を実行する第2制御と、のいずれかにより前記示唆演出を実行可能であり、」と変更したものに等しい。
これらを換言すれば、訂正後の本件訂正発明は、○1『前記促進演出の実行中において所定操作がされたときに通常演出から切り替え』るものであり、○2『前記通常演出が実行されているときに促進演出が実行されることなく通常演出から切り替え』るものである。
しかし、前記○1は、本件訂正前の構成要件である、「所定操作を遊技者に促進する促進演出の実行中において該所定操作がされることに基づいて示唆演出を実行する」との構成において、所定操作がされること「に基づいて」を、それまでの状態(通常演出が含まれる。)「から切り替え」るようにしたに過ぎず、前述したとおり、通常と異なる遊技者への示唆を目的とした演出である以上、演出に変化を起こすことは当然であり、単なる表現上の差異に過ぎないので、「それまでの状態(通常演出が含まれる。)から切り替え」られることは内在する事項又は自明の事項である。
また、前記○2は、本件訂正前の構成要件である「前記促進演出が実行されることなく示唆演出を実行する」との制御を行う際に「それまでの状態(通常演出が含まれる。)から切り替え」るものとしたものである。
しかし、前述したとおり、通常と異なる遊技者への示唆を目的とした演出である以上、演出に変化を起こすことは当然であり、単なる表現上の差異に過ぎないので、「それまでの状態(通常演出が含まれる。)から切り替え」られることは内在する事項又は自明の事項である。」(8頁12行?9頁27行)

特許異議申立人の主張1について検討する。主張1で述べられているように、遊技機の分野において、「示唆演出の手段として、画像、動画、音、光によることはこの技術分野における周知技術であ」り、甲1発明における「示唆演出」(スーパーリーチの演出)の手段を「音」に変更するならば、その「音」により「遊技者にとっての有利度を示唆する」には、その「音」が特有の音として、他の演出音等から区別されて認識される必要があるが、そのような事項は、甲第1号証には記載も示唆もされておらず、そのように構成することが自明ともいえない。したがって、甲1発明における「示唆演出」の手段を「音」に変更することは、「単なる周知技術を示したに過ぎず、発明の実施に際して生じる具体的な微差であって、格別顕著な効果の差異を生じるものでもないので、甲1発明との間の実質的な相違点となるものではない。」との特許異議申立人の主張1は採用することができない。

特許異議申立人の主張2について検討する。主張1について検討したように、甲1発明における「示唆演出」(スーパーリーチの演出)の手段を「音」に変更することは、実質的な相違点であって、仮にそのように変更を行ったとしても、甲1発明において、ボタン演出が実行されるときに、何らかの音が出力されているか否か、何らかの音が出力されているとして、どのような音が出力されるかは不明であるから、「遊技者にとっての有利度を示唆する」音と異なる音が出力されているときにボタン演出が実行されることが自明であるとはいえず、当業者が必要に応じて容易になし得る程度の事項であるともいえない。

特許異議申立人の主張3について検討する。主張2について検討したように、甲1発明において、「遊技者にとっての有利度を示唆する」音と異なる音が出力されているときにボタン演出が実行されることは、当業者が必要に応じて容易になし得る程度の事項であるとはいえず、そのうえさらに、ボタン演出において出力される音から切り替えて「遊技者にとっての有利度を示唆する」音が出力されることが自明の事項又は当業者が必要に応じて容易になし得る程度の事項であるとはいえない。
よって、特許異議申立人の主張1?3を採用することはできない。

5 小活
以上のとおり、取消理由通知の理由及び証拠によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

第5 取消理由通知において採用しなかった申立理由について
1 申立理由の概要
請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証等により例示される技術等。)に基づいて、甲第2号証に記載された発明及び前記周知技術に基づいて、又は甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び前記周知技術に基いて、いずれによっても、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に従い、特許を受けることができない。

甲第1号証 特開2011-189021号公報
甲第2号証 特開2009-201588号公報
甲第3号証 特開2014-100529号公報
甲第4号証 特開2015-051326号公報
甲第5号証 特開2013-236880号公報

2 当審の判断
(1)甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づく理由について
ア 甲第1号証に記載された発明
申立理由における甲第1号証は、「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」で検討した取消理由における甲第1号証と同一の文献であって、「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」「2 甲第1号証の記載、甲1発明」で検討した甲1発明が記載されている。
そして、甲1発明は、本件訂正発明と、「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」「3 対比」で検討した一致点で一致し、相違点1?7で相違する。

イ 甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証に記載された周知技術

甲第3号証(特開2014-100529号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置の表示結果に応じて所定の入賞が発生可能なスロットマシンに関する。」

「【0367】
また、演出モード切替スイッチ58の操作に応じてカットインを伴わない花火打上演出よりも演出モード切替スイッチ58の操作に応じてカットインを伴う花火打上+カットイン演出が実行された方が、特別役に当選している可能性が高く、演出モード切替スイッチ58の操作に応じてカットインを伴わない花火打上演出よりも演出モード切替スイッチ58の操作に応じてカットインを伴う花火打上+カットイン演出が実行された方が、特別役に当選している可能性が高いうえに、報知状態回数が1以上残存している可能性も高くなる。」

甲第4号証(特開2015-051326号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を開始させた後に表示結果を導出表示する可変表示装置に特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御するパチンコ機などの遊技機に関する。」

「【0440】
このような設定により、ボタン予告演出が実行された場合には、実行されない場合よりも大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高くなる。また、ボタン予告演出の態様が「予告C」である場合には、「予告B」である場合に比べて大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高く、「予告B」である場合には、「予告A」である場合に比べて大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高くなる。」

甲第5号証(特開2013-236880号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示し、表示結果としてあらかじめ定められた特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御するパチンコ遊技機等の遊技機に関する。」

「【0437】
このような設定により、ボタン予告演出が実行された場合には、実行されない場合よりも大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高くなる。また、ボタン予告演出の態様が「予告C」である場合には、「予告B」である場合に比べて大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高く、「予告B」である場合には、「予告A」である場合に比べて大当りや小当りに対する期待度(信頼度)が高くなる。」

以上によれば、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証には、遊技機の技術分野において、演出の違いにより有利度を異ならせるとの周知技術が記載されている。

ウ 判断
甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証に記載された周知技術は、甲1発明において、相違点1?6に係る構成を示唆するものではなく、また、この周知技術において有利度を示唆するものが、示唆演出音ではないことから、相違点7に係る構成を示唆するものともいえない。
したがって、本件訂正発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証等に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づく理由について
ア 甲第2号証の記載及び甲2発明
甲第2号証(特開2009-201588号公報)には、以下の記載がある(下線は、当審にて付した。「…」は、転記を省略している箇所を示す。)。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が操作可能な演出用操作手段を備えた遊技機に関する。」

「【0026】
また、本実施形態のパチンコ遊技機10は、図柄変動ゲーム中に、スーパーリーチ演出が表示演出にて実行されるようになっている。スーパーリーチ演出は、図柄変動ゲームにおいて大当り図柄が確定停止表示され、大当り遊技状態が付与される可能性を遊技者に示唆する演出である。また、スーパーリーチ演出には、スーパーリーチ演出Aと、スーパーリーチ演出Bとがあり、いずれも通常のリーチ演出(状態)を経由して行われるリーチ演出であって、リーチ演出が発展する演出内容となっている。なお、スーパーリーチ演出は、全ての図柄変動ゲームで実行される訳ではなく、スーパーリーチ演出を伴わずに図柄変動ゲームが行われる場合もある。
【0027】
また、本実施形態のパチンコ遊技機10は、図柄変動ゲーム中に、演出用ボタン39の押下操作に基づく操作演出が実行されるようになっている。操作演出は、図柄変動ゲーム中に設定され、演出用ボタン39の押下操作が有効とされる所定の操作有効期間に実行されるようになっている。また、操作演出は、遊技者により演出用ボタン39が押下操作される毎に、図柄変動ゲーム中の演出内容に所定の変化を与えるとともに、該演出内容の総変化量が予め定めた規定変化量に達するか否かによって、操作演出の後に続けて行われる図柄変動ゲームの演出内容として、スーパーリーチ演出A、Bのうち何れか一方を導出させる演出となっている。なお、操作演出は、全ての図柄変動ゲームで実行される訳ではなく、操作演出を伴わずに図柄変動ゲームが行われる場合もある。そして、本実施形態の操作演出は、説明演出、操作演出及びスーパーリーチ演出の、一連の演出が順に実行される表示演出の中で実行されるようになっている。なお、説明演出は、操作演出での演出用ボタン39の操作方法を遊技者に対して報知(説明)したり、演出用ボタン39を連打操作することを促したりするための演出となっている。また、本実施形態では、スーパーリーチ演出A、Bが、所定の操作有効期間が終了した後の図柄変動ゲームの演出となっている。
【0028】
次に、パチンコ遊技機10の電気的構成について図2にしたがって説明する。
パチンコ遊技機の機裏側には、パチンコ遊技機10全体を制御する主制御装置としての主制御基板40が装着されている。主制御基板40は、パチンコ遊技機10全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて遊技を制御するための各種制御指令としての制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、サブ統括制御基板41と、演出表示制御基板42と、音声・ランプ制御基板43が装着されている。サブ統括制御基板41は、主制御基板40が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示制御基板42、及び音声・ランプ制御基板43を統括的に制御する。演出表示制御基板42は、主制御基板40とサブ統括制御基板41が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置28の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)を制御する。また、音声・ランプ制御基板43は、主制御基板40とサブ統括制御基板41が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、各種ランプ部17?19,27bの発光態様(点灯(点滅)/消灯のタイミングなど)及びスピーカ20,21,25の音声出力態様(音声出力のタイミングなど)を制御する。本実施形態では、サブ統括制御基板41及び演出表示制御基板42が、演出制御手段を構成している。」

「【図3】



「【0034】
本実施形態において、大当り演出用の変動パターンP31の演出内容には、スーパーリーチ演出Aが対応付けられているとともに、変動パターンP32の演出内容には、スーパーリーチ演出Bが対応付けられ、変動パターンP33の演出内容には、操作演出が対応付けられている。また、はずれリーチ演出用の変動パターンP21の演出内容には、スーパーリーチ演出Aが対応付けられているとともに、変動パターンP22の演出内容には、スーパーリーチ演出Bが対応付けられ、変動パターンP23の演出内容には、操作演出が対応付けられている。また、はずれ演出用の変動パターンP11の演出内容には、リーチ演出を経ないではずれ図柄が確定停止表示される通常変動が対応付けられている。
【0035】
そして、本実施形態において、スーパーリーチ演出A、Bが対応付けられた(実行可能な)変動パターンP21、P22、P31、P32では、各変動パターンで特定されるスーパーリーチ演出A、Bの大当りへの期待度が異なるように出現率が設定されている。すなわち、変動パターンP31、P32では、スーパーリーチ演出Aを実行可能な変動パターンP31の方が、スーパーリーチ演出Bを実行可能な変動パターンP32よりも選択されやすくなっている。その一方で、変動パターンP21、P22では、スーパーリーチ演出Bを実行可能な変動パターンP22の方が、スーパーリーチ演出Aを実行可能な変動パターンP21よりも選択されやすくなっている。したがって、本実施形態のスーパーリーチ演出A、Bでは、図柄変動ゲームにおいてスーパーリーチ演出Aが実行されたときの方が、スーパーリーチ演出Bが実行されたときよりも、大当りへの期待度が高くなるようになっている。したがって、遊技者は、図柄変動ゲームにおいて、スーパーリーチ演出Bよりもスーパーリーチ演出Aが実行されることを期待しながら遊技を行っている。」

「【図10】



「【0081】
そして、本実施形態の演出表示制御基板42は、操作演出を実行可能な変動パターンP23、P33を示す変動パターン指定コマンドを入力すると、変動パターン指定コマンドで指示された演出時間内において、説明演出、操作演出及びスーパーリーチ演出を演出表示装置28に表示させるように演出表示装置28の演出内容を制御する。」

「【0084】
そして、表示制御用CPU42aは、期間T2の経過時に統括制御用CPU41aから演出パターンを示す制御コマンドを入力すると、期間T3において、該制御コマンドで示された演出パターンに基づき綱引きゲーム(操作演出)を実行させるように演出表示装置28の表示内容を制御する。すなわち、表示制御用CPU42aは、統括制御用CPU41aから、演出用ボタン39が押下操作されたことを示す制御コマンドを入力する(演出用ボタン39が押下操作される)毎に、指示された演出パターンに特定された変化量に基づき、マークMが勝敗ゲージGの勝利側へ向けて移動表示されるように演出表示装置28の表示内容を制御する。また、表示制御用CPU42aは、所定の時間毎に所定の変化量で、マークMが勝敗ゲージGのキャラクタKAの敗北側に向かって移動表示されるように演出表示装置28の表示内容を制御する。また、同時に、表示制御用CPU42aは、遊技者に対し、期間T3において演出用ボタン39の押下操作が有効であることを報知するために、演出用ボタン39を連打操作することを促すメッセージが表示されるように演出表示装置28の表示内容を制御する。なお、表示制御用CPU42aは、期間T2(測定用有効期間[A1])において、演出用ボタン39が有効とされていることを報知する画像やメッセージを表示しないように演出表示装置28の表示内容を制御し、遊技者に対して演出用ボタン39が有効とされていることを秘匿させている。」

「【0086】
続けて、表示制御用CPU42aは、キャラクタKA(遊技者)が勝利した場合には、綱引きゲームの結果表示後に、スーパーリーチ演出Aを実行するように演出表示装置28の表示内容を制御する(期間T5)。一方、表示制御用CPU42aは、キャラクタKA(遊技者)が敗北した場合には、綱引きゲームの結果表示後に、スーパーリーチ演出Bを実行するように演出表示装置28の表示内容を制御する(期間T5)。すなわち、本実施形態のパチンコ遊技機10では、綱引きゲームにおいてキャラクタKA(遊技者)が勝利することで、スーパーリーチ演出Bより大当りへの期待度が高いスーパーリーチ演出Aが演出表示装置28で実行されるようになっている。一方、本実施形態のパチンコ遊技機10では、綱引きゲームにおいてキャラクタKA(遊技者)が敗北することで、スーパーリーチ演出Aより大当りへの期待度が低いスーパーリーチ演出Bが演出表示装置28で実行されるようになっている。このため、遊技者は、より大当りへの期待度が高められているスーパーリーチ演出Aが実行されるように、綱引きゲーム(操作演出)において演出用ボタン39をより多く押下操作しようとする意欲が向上されるようになっている。」

「【0090】
次に、演出表示装置28で実行される遊技演出の態様について図9、図10に基づき説明する。なお、図9及び図10は、主制御基板40(主制御用CPU40a)により、変動パターンP23,P33が決定され、図柄変動ゲーム中において説明演出、綱引きゲーム(操作演出)及びスーパーリーチ演出が実行される場合を示している。

【0093】
続けて、期間T2(測定用有効期間[A1])が経過すると、演出表示装置28には、綱引きゲームが開始された旨が表示される(図10(d))。同時に、演出用ボタン39が発光状態とされることで、遊技者は、演出用ボタン39の押下操作が有効とされていることを認識することができる。そして、演出表示装置28では、期間T3(演出用有効期間[A2])において、遊技者による演出用ボタン39の押下操作に基づく綱引きゲームが実行される(図10(e))。綱引きゲームを実行中には、演出表示装置28では、遊技者により演出用ボタン39が「1回」押下操作される毎に、マークMが勝敗ゲージGの勝利側へ向けて、統括制御用CPU41aが選択(決定)した演出パターンに特定される変化量だけ移動するように表示される。また、綱引きゲームを実行中には、演出表示装置28では、所定の時間毎に所定(一定)の変化量で、マークMが勝敗ゲージGのキャラクタKAの敗北側に向かって移動するように表示される。また、演出表示装置28では、遊技者に対して演出用ボタン39の押下操作が有効とされていることを報知するために、演出用ボタン39を連打操作することを促すメッセージ「連打しろ!!」が表示される。なお、演出用ボタン39は、期間T3の間、点灯状態とされている(図10(d)、(e))。」

これらの記載によれば、甲第2号証には、以下の構成a’?f’を備える発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。

「a’ 遊技者が操作可能な演出用操作手段を備えた遊技機であって(【0001】)、
b’ 図柄変動ゲーム中に、表示演出にて実行されるようになっているスーパーリーチ演出は、図柄変動ゲームにおいて大当り図柄が確定停止表示され、大当り遊技状態が付与される可能性を遊技者に示唆する演出であり(【0026】)、サブ統括制御基板41は、主制御基板40が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示制御基板42、及び音声・ランプ制御基板43を統括的に制御し、演出表示制御基板42は、主制御基板40とサブ統括制御基板41が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置28の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)を制御し、音声・ランプ制御基板43は、主制御基板40とサブ統括制御基板41が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、スピーカ20,21,25の音声出力態様(音声出力のタイミングなど)を制御し(【0028】)、演出表示制御基板42は、操作演出を実行可能な変動パターンP23、P33を示す変動パターン指定コマンドを入力すると、変動パターン指定コマンドで指示された演出時間内において、説明演出、操作演出及びスーパーリーチ演出を演出表示装置28に表示させるように演出表示装置28の演出内容を制御し(【0081】)、変動パターンP23,P33が決定され、図柄変動ゲーム中において説明演出、綱引きゲーム(操作演出)及びスーパーリーチ演出が実行される場合、演出表示装置28では、遊技者に対して演出用ボタン39の押下操作が有効とされていることを報知するために、演出用ボタン39を連打操作することを促すメッセージ「連打しろ!!」が表示され(【0090】、【0093】)、
cd’ 図柄変動ゲーム中に、演出用ボタン39の押下操作に基づく操作演出が実行され、操作演出は、図柄変動ゲーム中に設定され、演出用ボタン39の押下操作が有効とされる所定の操作有効期間に実行され、操作演出の後に続けて行われる図柄変動ゲームの演出内容として、スーパーリーチ演出A,Bのうち何れか一方を導出させる演出となっており、操作演出は、全ての図柄変動ゲームで実行される訳ではなく、操作演出を伴わずに図柄変動ゲームが行われる場合もあり(【0027】)、大当り演出用の変動パターンP31の演出内容には、スーパーリーチ演出Aが対応付けられているとともに、変動パターンP32の演出内容には、スーパーリーチ演出Bが対応付けられ、変動パターンP33の演出内容には、操作演出が対応付けられ、はずれリーチ演出用の変動パターンP21の演出内容には、スーパーリーチ演出Aが対応付けられているとともに、変動パターンP22の演出内容には、スーパーリーチ演出Bが対応付けられ、変動パターンP23の演出内容には、操作演出が対応付けられ(【0034】)、
e’ スーパーリーチ演出A、Bが対応付けられた(実行可能な)変動パターンP21、P22、P31、P32では、各変動パターンで特定されるスーパーリーチ演出A、Bの大当りへの期待度が異なるように出現率が設定されている(【0035】)、
f’ 遊技機(【0001】)。」

イ 対比
本件訂正発明と甲2発明とを、分説に従い対比する。

(a、f)
甲2発明の「遊技機」は、本件訂正発明の「遊技を行うことが可能な遊技機」および「遊技機」に相当する。
したがって、甲2発明の構成a’、f’は、本件訂正発明の構成A、Fに相当する。

(b)
甲2発明の構成b’の「大当り遊技状態が付与される可能性」は、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度」に相当する。
甲2発明の構成b’の「スーパーリーチの演出」は、「大当り遊技状態が付与される可能性を遊技者に示唆する演出であ」るから、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音」と、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出」である点で一致する。
また、甲2発明の構成b’の「サブ統括制御基板41」は、「スーパーリーチ演出を演出表示装置28に表示させるように演出表示装置28の演出内容を制御」する「演出表示制御基板42」を「統括的に制御」するものであるから、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」と、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能な手段」である点で一致する。
そして、甲2発明の構成b’の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、「スピーカ27からの音出力を制御」する「演出制御用CPU101」を含むものであるから、本件訂正発明の「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段」と、「音を出力可能な手段」である点でも一致する。
甲2発明の構成b’の「演出用ボタン39を連打操作することを促すメッセージ「連打しろ!!」が表示され」る「操作演出」は、本件訂正発明の「所定操作を遊技者に促進する促進演出」に相当する。そして、甲2発明の「サブ統括制御基板41」は、「操作演出」「を演出表示装置28に表示させるように演出表示装置28の演出内容を制御」する「演出表示制御基板42」を「統括的に制御」するものであるから、本件訂正発明の「促進演出実行手段」と、「所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する」ものである点で一致する。

以上によれば、甲2発明は、本件訂正発明の構成Bと、
「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段と、
所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え」る点で一致する。

(c)
甲2発明の構成cd’の「操作演出の後に続けて行われる図柄変動ゲームの演出内容として、スーパーリーチ演出A,Bのうち何れか一方を導出させる演出」を実行する制御は、本件訂正発明の構成Cの「第1制御」と、「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに」「前記示唆演出」を実行するものである点で一致する。
また、甲2発明の構成cd’の「大当り演出用の変動パターンP31の演出内容」に「対応付けられている」「スーパーリーチ演出A」、「大当り演出用」の「変動パターンP32の演出内容」に「対応付けられ」る「スーパーリーチ演出B」、「はずれリーチ演出用の変動パターンP21の演出内容」に「胎動づけられている」「スーパーリーチ演出A」及び「はずれリーチ演出用」の「変動パターンP22の演出内容」に「対応付けられ」る「スーパーリーチ演出B」を実行する制御は、対応付けられていない「操作演出」を実行しないことが明らかであるから、本件訂正発明の構成Cの「第2制御」と、「前記促進演出が実行されることなく」「示唆演出」を実行するものである点で一致する。

そして、甲2発明の構成b’の「サブ統括制御基板41」は、構成cd’の「操作演出の後に続けて行われる図柄変動ゲームの演出内容として、スーパーリーチ演出A,Bのうち何れか一方を導出させる演出」と、変動パターンP31、P32、P21、P22に対応付けられた操作演出を実行しないスーパーリーチ演出A又はスーパーリーチ演出Bを実行するものであり、このことは、本件訂正発明の構成Cと
「前記示唆演出を実行する手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記示唆演出を実行する第1制御と、
前記促進演出が実行されることなく前記示唆演出を実行する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出を実行可能であ」る点で一致する。

(d)
構成cd’の「操作演出の後に続けて行われる図柄変動ゲームの演出内容として、スーパーリーチ演出A,Bのうち何れか一方を導出させる演出」におけるスーパーリーチ演出A,Bと、変動パターンP31、P32、P21、P22に対応付けられた操作演出を実行しないスーパーリーチ演出A、Bは、演出態様としてそれぞれ同一であると認められる。
したがって、甲2発明の構成cd’は、本件訂正発明の構成Dと
「前記第1制御により実行される示唆演出と、前記第2制御により実行される示唆演出とは同一であ」る点で一致する。

よって、本件訂正発明と甲2発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点8?14で相違する。

[一致点]
「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
B’ 遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段と、
所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、
C’ 前記示唆演出を実行する手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記示唆演出を実行する第1制御と、
前記促進演出が実行されることなく前記示唆演出を実行する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出を実行可能であり、
D’ 前記第1制御により出力される前記示唆演出と、前記第2制御により出力される前記示唆演出とは、同一である
F 遊技機。」

[相違点8](構成B、C、D、E)
「遊技者にとっての有利度を示唆する」ものが、本件訂正発明では、「示唆演出音」であるのに対して、甲2発明では、「スーパーリーチの演出」であって「示唆演出音」ではない点。

[相違点9](構成B)
「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出を実行可能であり、音を出力可能な手段」が、本件訂正発明では、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能」であるのに対して、甲2発明では、「遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能」であるか不明である点。

[相違点10](構成B)
「促進演出実行手段」が「所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する」のが、本件訂正発明においては、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているとき」であるのに対して、甲2発明では、「前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているとき」であるか不明である点。

[相違点11](構成C)
「第1制御」において、「前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに」、本件訂正発明では、「前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」のに対して、甲2発明では、示唆演出を実行するものの、このような制御を行わない点。

[相違点12](構成C)
「第2制御」において、本件訂正発明では、「前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する」のに対して、甲2発明では、促進演出が実行されることなく示唆演出を実行するものの、「前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力」しない点。

[相違点13](構成D)
本件訂正発明において、「前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であ」るのに対して、甲2発明では、第1制御により実行される示唆演出(操作演出の後に続けて行われるスーパーリーチ演出A,B)と、第2制御により実行される示唆演出(変動パターンP31、P32、P21、P22に対応付けられた操作演出を実行しないスーパーリーチ演出A、B)とは、「同一の演出画面が表示され」るものの、同一の示唆演出音が出力されることが限定されていない点。

[相違点14](構成E)
本件訂正発明において、「前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる」のに対して、甲2発明では、このように構成されていない点。

ウ 判断
相違点8?14は、上記「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」「4 判断」で検討した本件訂正発明と甲1発明との相違点1?7とそれぞれ同一であり、同様の理由により、甲2発明に基づいて相違点8?14に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

エ 小活
以上のとおり、申立理由に記載の甲第2号証に記載された発明及び周知技術によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

(3)甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づく理由について
令和3年1月22提出の特許異議申立書の33頁12行?34頁21行には、以下の旨が記載されている(下線は、当審にて付した。「…」は、転記を省略している箇所を示す。)。

「以上により、本件特許発明と前記甲2発明との相違点をまとめると、次のとおりである。
(相違点)
「第1制御により実行される示唆演出により示唆される有利度と、第2制御により実行される示唆演出により示唆される有利度とについて、本件特許発明は、「異なる」ものであるのに対して、前記甲2発明は、それが不明である点。」

ウ-2-3) 相違点の検討(その2:構成要件Dに関する更なる検討)
以上のとおりであるから、本件特許発明は、前記甲第2号証に記載された発明(前記甲2発明)及び前記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるが、前述した本件特許発明の構成要件Dに関する検討について、前記甲2発明が、本件特許発明の構成要件Dを備えている、と結論付けていものである点に関し、念のため、仮に、新たな相違点として取り上げられたとしても、やはり、その点は当業者が容易に到達できる構成であることを以下に述べる。

ここで、前記したとおり、d)演出開始から大当たり演出までの第1制御と第2制御の一連の演出画像は、第1制御における操作ボタン120の操作を促す表示205(促進演出)を除いて、極めて近似する態様である、前記甲1発明というものが存在することに着目していただきたい。
前記甲第1発明には、同様の促進演出表示が記載されている(特に【図50】及び【図51】を参照。)。そして、前記甲第1発明と前記甲第2発明の技術分野の共通性や作用及び機能の共通性に鑑みて、必要に応じてそのような近似した態様の前記甲第1発明の促進演出表示を前記甲2発明に採用することは、上述した演出画像の設計の実情に照らし、当業者にとって困難なこととはいえない。
したがって、前記甲2発明に前記甲1発明を組み合わせることによっても、本件特許発明の構成要件Dの構成を実現することができるものであり、そのことにより、当業者が予測できないような顕著な効果が生じるものともいえず、また、それを阻害する要因も見いだせないから、結局、本件特許発明の構成要件Dは、仮に、新たな相違点とされたとしても、当業者が容易になし得たものといえる。」

特許異議申立書に記載の「甲1発明」及び「甲2発明」は、それぞれ本決定における甲第1号証、甲第2号証に記載された発明であるから、上記「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」「2 甲第1号証の記載、甲1発明」で認定した甲1発明の「ボタン演出」を、上記「第5 取消理由通知において採用しなかった申立理由について」「(2)甲第2号証に記載された発明及び周知技術に基づく理由について」「ア 甲第2号証の記載及び甲2発明」で認定した甲2発明に採用したものを想定しても、本件訂正発明と対比を行うと、上記「第4 取消理由通知に記載した取消理由について」「4 判断」で検討した本件訂正発明と甲1発明との相違点1?7と同様の点で相違することとなり、同様の理由によって、これらの相違点に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者といえども容易になし得たことであるとはいえない。

以上のとおり、申立理由に記載の甲第1号証、甲第2号証に記載された発明及び周知技術によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知において通知した取消理由及び特許異議申立人が主張する特許異議申立理由によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技機として、遊技領域に遊技球を打ち込んで遊技を行ない、遊技球が所定領域に進入したことを条件として各々が識別可能な複数種類の識別情報の変動表示を行なって表示結果を導出表示する変動表示装置を備え、該変動表示装置における前記識別情報の変動表示の表示結果が予め定められた特定表示結果となったときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御されるパチンコ機や、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールは、遊技者がスタートレバーを操作することにより回転を開始し、また、遊技者が各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で回転を停止し、全てのリールの回転を停止したときに導出された表示結果に従って入賞が発生するスロットマシンがあった。
【0003】
各役の入賞が発生するためには、一般的には、事前(通常はスタートレバー操作時)に行なわれる内部抽選に当選して当選フラグが設定されていなければならない。
【0004】
入賞役には、遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴う特別役、メダルなどの遊技用価値の付与を伴う小役、遊技用価値を用いずにゲームを行うことが可能な再遊技の付与を伴う再遊技役などがある。これら入賞役は、スタート操作と同時に行われる内部抽選に当選したことを条件に当選役の入賞が可能となるものが一般的である。
【0005】
このような遊技機において、内部抽選の結果を報知する回数、および特別役が当選しているか否かに基づいて、出力される楽曲を変化させるものがあった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-279826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、遊技者により所定操作が操作されたか否かによっては楽曲により示唆される有利度は同一であることから、遊技者に抱かせる期待感を異ならせることができなかったため、該楽曲の出力について遊技の興趣を向上させることができなかった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、遊技の興趣を向上させる示唆演出音を出力する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
遊技を行うことが可能な遊技機であって、
遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段と、
前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、
前記示唆演出音出力手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御と、
前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出音を出力可能であり、
前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であり、
前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる。
また、以下のような構成としてもよい。
(1) 遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、スロットマシン)であって、
所定操作(たとえば、図24のS72の演出用スイッチ56への操作)がされることにより成立する所定実行条件を含む複数種類の実行条件のうちのいずれかが成立したときに、遊技者にとっての有利度(たとえば、残りナビ数)を示唆する示唆演出(たとえば、楽曲Fの出力)を実行可能な示唆演出実行手段を備え、
前記所定実行条件が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度と、該所定実行条件とは異なる特定実行条件(たとえば、図20のS90の通常リプレイが入賞することにより成立する条件)が成立したときに実行される示唆演出により示唆される有利度とは、異なる(図22(B)に示すように、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が10以上であることが示唆される一方、図22(A)に示すように、演出用スイッチが操作されないことにより出力される楽曲Fにより残りナビ数が5以上であることが示唆される)。
【0010】
このような構成によれば、所定実行条件が成立したときと特定実行条件が成立したときとで示唆演出により示唆される有利度は異なるため、遊技者に抱かせる期待感を異ならせることができることから遊技の興趣を向上させることができる。
【0011】
(2) 上記(1)の遊技機において、
前記所定操作は、遊技を進行させる遊技進行操作(たとえば、第3停止操作)とは異なる操作(演出用スイッチ56への操作)であり、
前記特定実行条件は、前記遊技進行操作がされることにより成立する条件を含む(たとえば、第3停止されたときに、楽曲Fは出力され得る)。
【0012】
このような構成によれば、示唆演出は、遊技を進行させる遊技進行操作がされたときと、該遊技進行操作とは異なる操作がされたときとで実行され得ることから、示唆演出が実行される契機を明確にすることができる。
【0013】
(3) 上記(1)の遊技機において、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部(リール)を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能であり、
前記所定操作は、遊技を進行させる遊技進行操作(たとえば、第3停止操作)とは異なる操作(演出用スイッチ56への操作)であり、
前記特定実行条件は、所定の表示結果が導出されることにより成立する条件を含む(たとえば、図20のS90に示す通常リプレイが入賞したときに楽曲Fは出力され得る)。
【0014】
このような構成によれば、示唆演出は、遊技を進行させない操作が実行されたときと、所定の表示結果が導出されたときとで実行されることから、示唆演出が実行される契機を明確にすることができる。
【0015】
(4) 上記(1)の遊技機において、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部(リール)を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能であり、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(内部抽選)をさらに備え、
前記所定操作は、遊技を進行させる遊技進行操作(たとえば、第3停止操作)とは異なる操作(演出用スイッチ56への操作)であり、
前記特定実行条件は、所定の表示結果の導出を許容する旨が決定されることにより成立する条件を含む(たとえば、変形例の[特定演出について]で示すように、所定役が当選したときに楽曲Fは出力され得る)。
【0016】
このような構成によれば、示唆演出は、遊技を進行させない操作が実行されたときと、所定の表示結果の導出を許容する旨が決定されたときとで実行されることから、示唆演出が実行される契機を明確にすることができる。
【0017】
(5) 上記(1)?(4)いずれかの遊技機において、
遊技者が選択可能な複数種類の特定演出(たとえば、楽曲リストの「楽曲A」?「楽曲E」)のうちいずれかの特定演出(たとえば、「楽曲A」)が遊技者によって選択されているか否かを判定する(たとえば、図20のS82)判定手段と、
所定条件(たとえば、図22に示す第1決定条件または第2決定条件)が成立したときに、遊技者が選択可能な特定演出として前記示唆演出を追加する特定演出追加手段(たとえば、図20のS81の処理)と、
前記特定演出を実行する特定演出実行手段(たとえば、サブCPU91aがスピーカ53、54を介して楽曲を音声出力する処理)とを備え、
前記特定演出実行手段は、
前記特定演出が選択されていないと判定された場合には(図20のS82のNo)、前記複数種類の特定演出のうちいずれかの特定演出(たとえば、「楽曲A」?「楽曲E」のうち選択された楽曲)を実行するとともに、前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったときには(たとえば、図20のS81の処理が実行されたときには)、前記示唆演出を実行し(たとえば、図20のS88を実行し)、
前記特定演出が選択されていると判定された場合には(図20のS82のYes)、前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったか否かに関わらず選択されている前記特定演出を実行する(たとえば、S82のYesのときには、S88の処理を実行しないことから、選択されている楽曲を出力する)。
【0018】
このような構成によれば、特定演出が選択されていると判定された場合には、所定条件が成立して示唆演出が選択可能となったか否かに関わらず選択されている特定演出が実行されることで、遊技者は、選択されている特定演出を再度選択する操作を行わなくても選択されている特定演出が繰り返し実行されるので、操作の煩わしさによる不満を抱くことがなく、遊技の興趣の低下を防止できる。また、このような構成によれば、選択されている特定演出が選択されていないと判定された場合には、所定条件が成立して示唆演出が選択可能となったときには示唆演出が実行されるので、遊技者が示唆演出を含む複数種類の特定演出から好みの特定演出を選択する動機付けとなり、遊技者が特定演出を選択することに対する興味を抱くようになるので、遊技の興趣が向上する。さらに、該示唆演出により遊技者にとっての有利度が示唆されることから、遊技の興趣が向上する。
【0019】
(6) 上記(5)の遊技機において、
前記複数種類の特定演出のうちのいずれとも種類(たとえば、演出手段)が異なる演出(たとえば、楽曲を出力する演出手段(スピーカ53、54)とは異なる演出手段(液晶表示器51))を用いた演出であって、遊技者にとっての有利度(残りナビ数)を示唆する所定示唆演出(背景画像を変更する演出)を実行する所定示唆演出実行手段をさらに備え、
前記所定示唆演出実行手段は、前記特定演出が選択されていると判定された場合であっても、前記所定示唆演出を実行可能である(たとえば、図20のS82のYesと判断されたときであっても、S84に示すように、選択された背景画像を変更可能である)。
【0020】
このような構成によれば、前記特定演出が選択されていると判定された場合には、有利度を示唆する所定示唆演出を実行することから、有利度の示唆がされなくなってしまうことを防止できる。
【0021】
(7) 上記(5)の遊技機において、
前記特定演出実行手段は、前記特定演出が選択されていると判定されたときでありかつ前記所定条件が成立したときに、該選択されている前記特定演出を阻害しない態様で、前記示唆演出を実行する(たとえば、変形例の[特定演出について]の欄で示すように、特定演出をキャラを表示する演出とした場合には、遊技者により選択されたキャラCの表示を阻害しない態様で、有利度を示唆するキャラFを表示する(たとえば、キャラCが表示されている領域とは異なる領域にキャラFを表示する))。
【0022】
このような構成によれば、特定演出が選択されていると判定された場合には、選択されている特定演出を阻害しない態様で、示唆演出を実行することから、有利度の示唆がされなくなってしまうことを防止できる。
【0023】
(8) 上記(5)の遊技機において、
前記特定演出実行手段は、前記特定演出が選択されていると判定されたときでありかつ前記所定条件が成立したときに、前記選択されている前記特定演出を所定期間(たとえば、変形例の[特定演出について]の欄で示すように、選択されている楽曲の全てが出力される期間)実行した後に前記示唆演出を実行する。
【0024】
このような構成によれば、特定演出が選択されていると判定されたときでありかつ所定条件が成立したときには、選択されている特定演出および示唆演出を実行可能であることから、遊技の興趣を向上させることができる。
【0025】
(9) 上記(5)?(8)いずれかの遊技機において、
前記特定演出実行手段は、
前記特定演出が選択されていないと判定された場合には、前記複数種類の特定演出を所定の順番(たとえば、楽曲A、楽曲B、楽曲C、楽曲D、楽曲Eの順番)で実行し、前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったときには、前記所定の順番における最後の特定演出と最初の特定演出との間に前記示唆演出を実行してもよい(たとえば、変形例の[特定演出について]の欄で示したように、最後の楽曲Eが終了した後に、楽曲Fは出力される)。
【0026】
このような構成によれば、特定演出が選択されていないと判定された場合には、所定条件が成立して示唆演出が選択可能となったときには、所定の順番における最後の特定演出と最初の特定演出との間に示唆演出を実行するので、遊技者は、最後の特定演出と最初の特定演出との間に示唆演出を実行しない遊技機よりも遊技者が示唆演出が実行されることへの違和感を抱くことを低減できる。
【0027】
なお、本発明に係る遊技機は、特定演出が選択されていないと判定されて複数種類の特定演出(たとえば、楽曲リストの「楽曲A」?「楽曲E」)のうちいずれか1つの特定演出(たとえば、「楽曲B」)を繰り返し実行する場合に(たとえば、「楽曲B」を繰り返し実行するときに)、所定条件が成立して示唆演出(たとえば、「楽曲F」)が選択可能となったときには、実行中の特定演出の終了時に該特定演出に替えて示唆演出を実行してもよい(たとえば、「楽曲B」の終了後に「楽曲F」を音声出力してもよい)。
【0028】
(10) 上記(5)?(9)いずれかの遊技機において、
前記特定演出が選択されていると判定された場合に、前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったときには、前記示唆演出が選択可能となった旨を遊技者が認識可能な態様で報知する報知手段(たとえば、図20のS86の処理)を更に備えてもよい。
【0029】
このような構成によれば、特定演出が選択されていると判定された場合に、所定条件が成立して示唆演出が選択可能となったときには、示唆演出が選択可能となった旨が報知されるので、遊技者は、選択されている特定演出が繰り返し実行されている間にも示唆演出が選択可能となったことを認識できる。
【0030】
(11) 上記(5)?(10)いずれかの遊技機において、
前記遊技機は、
遊技者の遊技履歴(たとえば、総ゲーム数、メダルの総払出枚数、BB回数、RB回数、達成ミッションの履歴、実行されたプレミア演出の履歴、レベル、経験値、演出設定)に関する遊技履歴情報を含む情報(たとえば、遊技履歴更新データ、獲得データ)を所定態様(たとえば、2次元コード)で出力可能且つ前記遊技履歴情報を含む情報に基づいて生成される鍵データ(たとえば、パスワード)が入力されたときに前記遊技履歴情報に対応した遊技が可能であり、
遊技者からの前記鍵データの入力を受け付けたときにのみ前記所定条件が成立する可能性があってもよい(たとえば、変形例の[特定演出について]の欄で示したように、特定のミッションは、パスワード入力後の遊技によってのみ達成する可能性があってもよい)。
【0031】
このような構成によれば、遊技者からの鍵データの入力を受け付けたときにのみ所定条件が成立する可能性があるので、遊技者が示唆演出を選択可能となるようにするために鍵データを入力して遊技するようになる。この結果、鍵データの入力を受け付けなくても所定条件が成立する可能性がある遊技機よりも遊技履歴情報に対応した遊技を促進できる。
【0032】
(12) 上記(5)?(10)いずれかの遊技機において、
前記遊技機は、
遊技者の遊技履歴(たとえば、総ゲーム数、メダルの総払出枚数、BB回数、RB回数、達成ミッションの履歴、実行されたプレミア演出の履歴、レベル、経験値、演出設定)に関する遊技履歴情報を含む情報(たとえば、遊技履歴更新データ、獲得データ)を所定態様(たとえば、2次元コード)で出力可能且つ前記遊技履歴情報を含む情報に基づいて生成される鍵データ(たとえば、パスワード)が入力されたときに前記遊技履歴情報に対応した遊技が可能であり、
遊技者からの前記鍵データの入力を受け付けたときには、遊技者からの前記鍵データの入力を受け付けていないときよりも前記所定条件が成立し易くてもよい(たとえば、変形例の[特定演出について]の欄で示したように、特定のミッションは、パスワード入力後や簡単スタートによる遊技によって達成する可能性がパスワード入力後又は簡単スタートではない遊技よりも高くなってもよい)。
【0033】
このような構成によれば、遊技者からの鍵データの入力を受け付けたときには鍵データの入力を受け付けていないときよりも所定条件が成立し易いので、遊技者が示唆演出を選択可能となるようにするために鍵データを入力して遊技するようになる。この結果、鍵データの入力を受け付けなくても所定条件が成立する可能性がある遊技機よりも遊技履歴情報に対応した遊技を促進できる。
【0034】
(13) 上記(5)?(12)いずれかの遊技機において、
前記特定演出実行手段は、前記特定演出が選択されていないと判定された場合において、前記特定演出の実行中に中断条件(たとえば、図23のタイミングT2に示すように、連続演出の実行が開始するという条件)が成立して前記特定演出の実行が中断された後に前記所定条件が成立して前記示唆演出が選択可能となったとき(たとえば、図23のタイミングT3)には、前記特定演出の実行の再開時(たとえば、図23のタイミングT4)に中断された前記特定演出に替えて前記示唆演出を実行してもよい(たとえば、タイミングT4において、タイミングT3において追加された新たな楽曲を出力する)。
【0035】
このような構成によれば、特定演出が選択されていないと判定された場合において特定演出の実行が中断された後に所定条件が成立して示唆演出が選択可能となったときには、特定演出の実行の再開時に中断された特定演出に替えて示唆演出が実行されるので、遊技者は、特定演出の実行を中断したときに選択可能となった示唆演出を中断された特定演出の替わりに実行したことを認識でき、特定演出の実行の再開時に中断された特定演出に替えて示唆演出が実行されない遊技機よりも示唆演出が実行されることへの違和感を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係る遊技システムの全体構成を示す図である。
【図2】携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る管理装置を適用した管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る遊技機を適用したスロットマシンの正面図である。
【図5】リールの図柄配列を示す図である。
【図6】スロットマシンの内部構造を示す図である。
【図7】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【図8】小役の種類、小役の図柄組み合わせ、及び小役に関連する技術事項について説明するための図である。
【図9】再遊技役の種類、再遊技役の図柄組み合わせ、及び再遊技役に関連する技術事項について説明するための図である。
【図10】移行出目の図柄組み合わせ、及び移行出目に関連する技術事項について説明するための図である。
【図11】遊技状態の遷移を説明するための図である。
【図12】遊技状態の概要を示す図である。
【図13】遊技状態毎に抽選対象役として読み出される抽選対象役の組み合わせについて説明するための図である。
【図14】遊技状態毎に抽選対象役として読み出される抽選対象役の組み合わせについて説明するための図である。
【図15】抽選対象役により入賞が許容される役の組み合わせについて説明するための図である。
【図16】複数の再遊技役当選時のリール制御を説明するための図である。
【図17】複数のベル当選時のリール制御を説明するための図である。
【図18】メインメニュー画面の遷移を説明するための図である。
【図19】楽曲選択画面の一例を説明するための図である。
【図20】楽曲F関連処理のフローチャートを説明するための図である。
【図21】背景画像抽選用テーブルを説明するための図である。
【図22】第1決定条件および第2決定条件を説明するための図である。
【図23】楽曲出力中に、連続演出が実行された場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
[遊技システム]
図1は、本実施形態に係る遊技システム1001の全体構成を示す図である。遊技システム1001は、図1に示すように、スロットマシン1と、管理サーバ1200とを含む。
【0038】
スロットマシン1は、遊技場(ホール)に設置されており、管理サーバ1200は、インターネット網900に接続されている。管理サーバ1200は、スロットマシン1のメーカ(スロットマシン1の提供者)が保持している。スロットマシン1と、管理サーバ1200と、の間のデータのやり取りは、二次元コード読み取り機能及びインターネット網900への接続機能を備える携帯端末1100を介して行われる。
【0039】
図2は、本実施形態の携帯端末1100の構成を示すブロック図である。携帯端末1100は、制御部110と、記憶部120と、操作部130と、表示部140と、無線通信部150と、アンテナ151と、カメラ部160と、を含む。
【0040】
記憶部120は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ等の半導体メモリで構成される。記憶部120は、携帯端末1100の各種機能を制御部110に実行させるためのアプリケーションプログラム等のプログラムやデータを記憶する。
【0041】
操作部130は、電話番号や各種データ等の数字やアルファベットやその他の文字等を入力するためのダイヤルキーや十字操作キーやその他のファンクションキーで構成される。あるいは、操作部130は、タッチパネルを含んで構成されてもよい。操作部130は、管理者からの操作入力を受付けて、受け付けた操作に係る信号を制御部110に送出する。
【0042】
表示部140は、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、以下「LCD」という)で構成される。なお、表示部140は、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置で構成されてもよい。表示部140は、制御部110から供給される文字データや画像データを表示する。
【0043】
無線通信部150は、他の携帯端末やサーバからアンテナ151を介して受信した信号を制御部110に送出し、制御部110から他の携帯端末やサーバへ送信する信号をアンテナ151から出力させる。
【0044】
カメラ部160は、遊技者の操作に応じて、撮影対象を撮像し、撮像した画像を画像データに変換して、制御部110に供給する。本実施形態においては、カメラ部160は、二次元コードを撮像する。
【0045】
制御部110は、マイクロプロセッサ(Micro Processing Unit、以下「MPU」という)で構成される。制御部110は、記憶部120に記憶されたアプリケーションプログラム等のプログラムに従って、記憶部120、操作部130、表示部140、無線通信部150部、カメラ部160からのデータ等に対して処理を施し、処理後のデータを記憶部120、表示部140、無線通信部150に供給する。
【0046】
なお、携帯端末1100は、上記の構成のほか、一般の携帯電話が備える、音声入出力機能や赤外線通信機能を備えていてもよい。携帯端末は、遊技者などが携帯できる端末であればよく、たとえば、スマートフォン、タブレットなどであってもよい。
【0047】
図3は、管理サーバ1200の構成を示すブロック図である。管理サーバ1200は、一般的なWebサーバとしての機能を有する。管理サーバ1200は、一般的なサーバコンピュータと同等のハードウェアを備える構成であり、インターネット網900を介して、携帯端末1100とのデータ通信が可能となっている。管理サーバ1200は、携帯端末1100からのアクセスの要求内容に応じて、当該遊技者に対応する遊技履歴情報などの登録や更新を行う。なお、本実施形態では、管理サーバ1200には、端末識別情報(SIMデータ)が付与された携帯端末のみからアクセスが可能とされており、端末識別情報が付与されていない携帯端末や端末識別情報は付与されているものの、端末識別情報の送信を拒否した携帯端末からのアクセスは拒否される。また、管理サーバ1200は、遊技情報を更新する場合に受信した各更新要求のURL(図17(E)参照)を登録済情報として管理する登録URL用データベース(登録URL用DB)と、遊技情報を更新しない場合に受信した各更新要求のURLを不正情報として管理する不正URL用データベース(不正URL用DB)とを備えている。また、管理サーバ1200は、図3に示すように、制御部210と、記憶部220と、操作部230と、表示部240と、通信部250と、を含む。
【0048】
記憶部220は、ROMやRAM、フラッシュメモリやハードディスクドライブ等の外部記憶装置等から構成される。記憶部220には、管理サーバ1200の各種機能を制御部210に実行させるためのプログラムやデータが記憶される。
【0049】
操作部230は、キーボード、マウス、キーパッド、タッチパッドやタッチパネル等の入力装置で構成される。操作部230は、管理サーバ1200の管理者等(以下、「管理者」という。)からの操作入力を受け付けて、受け付けた操作に係る信号を制御部210に送出する。
【0050】
表示部240は、たとえば、LCDで構成される。なお、表示部240は、CRT(Cathode RayTube)ディスプレイやELディスプレイなど他の表示装置で構成されてもよい。表示部240は、制御部210から供給される文字データや画像データを表示する。
【0051】
通信部250は、携帯端末1100や他のサーバ等から、インターネット網900を介して受信したデータを制御部210に供給し、制御部210から供給されたデータを、インターネット網900を介して携帯端末1100や他のサーバ等に送信する。
【0052】
制御部210は、たとえば、MPUで構成される。制御部210は、記憶部220に記憶されたプログラムに従って、記憶部220、操作部230、表示部240、通信部250部からのデータ等に対して処理を施し、処理後のデータを記憶部220、操作部230、表示部240、通信部250に供給する。
【0053】
[スロットマシン1の構成]
図4は、本実施形態に係るスロットマシン1の全体構造を示す正面図である。スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筺体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとを含む。前面扉1bの中央上部には、液晶表示器51が設けられている。液晶表示器51は、表示領域を有しており、表示領域で所定の演出を実行可能である。また、透視窓3は透過可能であることにより、透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールとも称する)が視認可能となる。図5は、各リールの図柄配列を示す図である。リール2L?2Rには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。なお、リールの個数は、3つに限らず、1つであってもよく、2以上であってもよい。また、可変表示部は、物理的なリールにて構成されている例を示しているが、液晶表示器などの画像表示装置にて構成されているものであってもよい。
【0054】
透視窓3の右下には、メダルを投入可能なメダル投入部4が設けられ、前面扉1bの下部には、メダルが払い出されるメダル払出口9、スピーカ53、54が設けられている。前面扉1bには、操作手段の一例として、遊技者所有の遊技用価値(メダル数)として記憶されているクレジットの範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットおよび設定済の賭数を精算して返却させる際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L?2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、メニュー画面(図18参照)表示中に操作される画面操作用スイッチ205などが設けられている。
【0055】
前面扉1bには、報知手段の一例として、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル数が表示されるクレジット表示器11、メダルの払出枚数やエラー時にエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、設定されている賭数を報知するための1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16、メダル投入が可能であることを報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が可能であることを報知するスタート有効LED18、スタートスイッチ7の操作後においてウエイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリール2L、2C、2Rの回転開始を待機している状態)中であることを報知するウエイト中LED19、リプレイ入賞後のリプレイゲーム中であることを報知するリプレイ中LED20が設けられている。以下では、賭数が適正に設定されている状態でのスタートスイッチ操作(つまり、3つのリールを回転させる操作)をレバーオン操作という。
【0056】
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4に投入するかMAXBETスイッチ6操作などにより規定数の賭数(たとえば3)を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、スタートスイッチ7への操作が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。賭数設定済の状態でメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0057】
入賞ラインとは、リール2L?2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するためのラインである。本実施形態では、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわちリールの中段に水平方向に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1と、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2と、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3と、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち谷型に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4と、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち山型に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5とが形成されている。なお、入賞ラインは、5本に限られず、他の本数であってもよいし、1本の入賞ラインのみが設けられている場合でもよい。
【0058】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、リール2L?2Rを回転させて図柄を変動表示し、ストップスイッチ8L?8Rが操作されると対応するリールの回転を停止させることで、透視窓3の上中下段に3つの図柄を表示結果として導出表示する。導出表示される図柄(表示結果)として、選択可能なものは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときにLN上に表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。規定数の賭数(たとえば、3)が設定されると、各入賞ラインが有効化されて、ゲームが開始可能な状態となる。
【0059】
入賞ラインLN上に入賞図柄の組合せが停止し入賞が発生したときには、入賞に応じて、所定枚数のメダルが遊技者に対して付与されて、クレジット加算か、クレジットが上限数(50)に達した場合にはメダル払出口9からメダルが払い出される。
【0060】
回転を開始した3つのリール2L、2C、2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止と称し、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止あるいは最終停止と称する。なお、3つのリール2L、2C、2Rのうち、左リール2Lを第1停止することを左第1停止、中リール2Cを第1停止することを中第1停止、右リール2Rを第1停止することを右第1停止と称する。また、本実施の形態において、順押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる操作押し順をいう。また、順挟み押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる操作押し順をいう。中左押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる操作押し順をいう。中右押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる操作押し順をいう。逆挟み押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる操作押し順をいう。逆押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる操作押し順をいう。
【0061】
図6は、スロットマシン1の内部構造を示す図である。図7は、スロットマシン1の機能構成例を示す図である。筐体1の内部には、リールユニット2や、ホッパーユニット34、電源ボックス100などが設けられている。リールユニット2は、リール2L?2R各々に対応して、リール回転させるためのリールモータ32L、32C、32R、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rを含む。ホッパーユニット34は、投入メダルを貯留するホッパータンク34a、貯留メダルをメダル払出口9から払い出すホッパーモータ34b、払出メダルを検出する払出センサ34cなどを含む。電源ボックス100の前面には、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、エラーを解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては内部抽選の当選確率(払出率)の設定値(たとえば1?6、6が最も払出率が高い)を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
【0062】
前面扉1bの内側には、設定値の変更中や確認中に設定値が表示される設定値表示器24、投入メダルの流路をホッパータンク34a側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30と、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31とを有するメダルセレクタ29などが設けられている。
【0063】
また、筐体1の内部には、制御基板が設けられている。図7の例では、遊技の進行を制御するとともに、遊技の進行に応じて各種コマンドを出力する遊技制御基板40、コマンドに応じて所定の演出を制御する演出制御基板90、電気部品の駆動電源を生成する電源基板101、遊技の進行に応じた信号を外部に出力する外部出力基板1000などが設けられている。
【0064】
遊技制御基板40は、各種の操作手段や検出手段(図7の遊技制御基板40の左側に例示)などのスイッチ類からの検出信号に基づいて遊技を進行させ、報知手段(図7の遊技制御基板40の左側に例示)などの表示機器類を駆動制御する。また、遊技制御基板40は、リールセンサ33L?33Rからの信号に基づき、リールモータ32L?32Rを駆動制御する。
【0065】
遊技制御基板40には、メイン制御部41などの回路構成(図7の遊技制御基板40内に例示)が搭載されている。メイン制御部41は、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。メイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。
【0066】
演出制御基板90は、液晶表示器51などの演出装置(図7の演出制御基板90の右側などに例示)を駆動制御する。また、演出制御基板90には、サブ制御部91などの回路構成(図7の演出制御基板90内に例示)が搭載されている。サブ制御部91は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行う処理を行うとともに、演出制御基板90に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。サブ制御部91は、1チップマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。電源基板101には、ホッパーモータ34b、各種の操作手段や検出手段(図7の電源基板101の右側に例示)などが接続されている。
【0067】
図8および図9は、入賞役の種類、入賞役の図柄組み合わせ、及び入賞役に関連する技術事項について説明するための図である。名称欄には、入賞役の名称を示し、図柄の組合せ欄には、その入賞役が入賞となる図柄の組合せを示している。また、無効ラインに揃う図柄の組合せ欄には、入賞となる図柄の組合せが入賞ラインに停止したときに無効ラインに停止する図柄の組合せであって遊技者が認識しやすい図柄の組合せを示している。払出枚数欄には、入賞時に付与される価値(メダル払出、再遊技付与)を示している。また、図9の遊技状態欄には、入賞時に移行される遊技状態を示している。また、「/」は、「または」を示している。たとえば、図9の昇格リプレイ2について、無効ラインに停止する図柄の組合せは、「リプレイ‐リプレイ‐ベル」または「プラム-リプレイ‐ベル」となり、入賞時にはRT0に制御され、付与される価値は再遊技付与である。
【0068】
図10は、移行出目の図柄組合せを示す図である。移行出目は、左ベル1?4、中ベル1?4、右ベル1?4が当選し、中段ベルの入賞条件となるリール以外を第1停止とし、かつ当選している上段ベルを取りこぼした場合に、入賞ラインLNに揃う出目である。RT0、2、3中において移行出目が入賞ラインLN上に停止すると、RT1へ移行される。
【0069】
図11は、メイン制御部41により制御される遊技状態の遷移を説明するための図であり、図12は、遊技状態及びRTの概要を示す図である。本実施形態におけるスロットマシン1は、リプレイが所定の当選確率(図12の上図の再遊技役欄の数値参照)で当選するRT0?3のうち、開始条件が成立してから終了条件が成立するまで対応するいずれかのRTに制御される(図11の矢印に沿って示した入賞役あるいは出目参照、図12の上図の開始条件・終了条件欄の参照)。内部抽選されるリプレイの種類は、RTの種類毎に定められている(図12の下図の丸印が抽選されるリプレイを示す)。
【0070】
図13および図14は、遊技状態毎に抽選対象役として読み出される抽選対象役の組合せを示す図である。抽選対象役欄には、その名称を示し、遊技状態欄には、RTの種類毎に、丸印でその抽選対象役が抽選対象であることを示し、丸印の下の数値により当選確率にかかわる判定値数を示している。たとえば、ベルは、RT?RT3いずれかの状態において、360/65536で当選する抽選対象役である。
【0071】
図15は、抽選対象役に含まれる入賞役の組合せを示す図である。たとえば、弱チェリーは、下段チェリーである。弱スイカは、右下がりスイカと、上段スイカと、中段スイカとを含む。よって、内部抽選で弱スイカに当選したときには、右下がりスイカと、上段スイカと、中段スイカとに当選したことになる。
【0072】
図16および図17は、複数の入賞役が同時当選したときのリール制御を説明するための図である。当選した抽選対象役毎に、押し順欄に示す押し順で停止操作されたときに、その右の停止する図柄組合せに示す入賞役の図柄組合せが入賞ラインLNに停止させるリール制御が行なわれる。たとえば、リプレイGR1が当選したときにおいて、押し順が左中右であるときは、昇格リプレイ1が導出されて、押し順が左中右以外であるときは通常リプレイが導出される。また、たとえば、左ベルが当選したときにおいて、押し順が左第1停止であるときは、右下がりベルが導出されて、押し順が左第1停止以外であれば、上段ベルまたは移行出目が導出される。
【0073】
スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L?2Rが停止するまでをいうが、ゲームを行う際にスタートスイッチ7の操作前の賭数設定や、リール2L?2Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれる。
【0074】
メイン制御部41は、ゲーム制御処理を行って1回のゲームを制御する。ゲーム制御処理では、まず、賭数設定やクレジット精算・賭数精算するためのBET処理が行われる。賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると乱数抽選により入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理が行われる(図13?図15など参照)。内部抽選処理が終了すると、リール回転処理が行われる。リール回転処理では、前回ゲームのリール回転開始から所定時間(たとえば、4.1秒)経過していることを条件に、リール2L?2Rの回転を開始させた後、ストップスイッチ8L?8Rを有効化し、停止操作に応じてリールの回転を停止させる(図16、図17など参照)。
【0075】
リール2L?2Rが停止してリール回転処理が終了すると、入賞ライン上の図柄組合せに基づいて入賞などが発生したか否かを判定する入賞判定処理が行われる(図8?図10など参照)。入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われる。払出処理では、入賞の発生に応じてメダルの払出しまたはクレジット加算が行われるとともに、入賞ライン上の図柄組合せに応じて遊技状態が移行される(図11、図12など参照)。これにより、1ゲーム分のゲーム制御処理が終了し、次の1ゲーム分のゲーム制御処理が開始する。
【0076】
また、メイン制御部41は、上記に例示した処理の実行に応じたゲームの進行状況および処理結果を特定可能なコマンドをサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドに基づいて、各種処理を行う。
【0077】
メイン制御部41は、所定のAT抽選条件が成立したときにAT抽選処理を行う。AT抽選処理では、ナビストックを付与するか否か、および付与する場合には付与するナビストック数を決定する。AT抽選条件は、たとえば、所定のAT抽選対象役が当選することにより成立する条件である。AT抽選対象役は、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリーである。たとえば、弱スイカが当選したときには、付与されるナビストック数が0、1、5、10に決定される確率は、70%、25%、5%、0%とする。また、たとえば、強チェリーが当選したときには、付与されるナビストック数が0、1、5、10に決定される確率は、0%、40%、40%、20%とする。
【0078】
なお、AT抽選条件は、AT抽選対象役が当選することにより成立する条件に限られず、他の条件であってもよい。他の条件とは、他の特定役が当選することにより成立する条件であってもよい。また、他の条件とは、所定役が入賞することにより成立する条件であってもよい。また、他の条件とは、消化ゲーム数が所定ゲーム数に到達することにより成立する条件であってもよい。
【0079】
付与することが決定されたナビストック数は、残りナビ数として、RAM41bに格納される。図20のS88などで説明する楽曲Fの出力により、残りナビ数は示唆される。残りナビ数が示唆された後に、該示唆された残りナビ数に応じてATに制御する。1ナビストックは、たとえば50ゲーム消化するまでATに制御可能となる。
【0080】
メイン制御部41は、残りナビ数が増加または減少したときに、該増加または減少した量を特定可能な残りナビ数特定コマンドをサブ制御部91に対して送信する。サブ制御部91は、該残りナビ数特定コマンドに基づいて残りナビ数をRAM91cに格納する。このようにすることで、RAM41bに格納されている残りナビ数と、RAM91cに格納されている残りナビ数とで同期をとることができる。
【0081】
サブ制御部91は、AT中においては、内部抽選処理によりたとえば図16、図17に示す所定の抽選対象役に当選したときに送信されるコマンド受信時に、遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作手順(押し順)を特定可能なナビ演出を実行する。このため、ATに制御されることにより、遊技者は有利となる。有利な図柄組合せとは、たとえば、リプレイGR1?6当選時には昇格リプレイをいい、リプレイGR11?13当選時には通常リプレイをいい、リプレイGR21?23当選時には特殊リプレイをいい、左ベル1?右ベル4当選時には右下がりベルあるいは中段ベルをいう。
【0082】
また、本実施形態では、一定以上のレベルであることや累積ゲーム数であることを条件に実行される演出が用意されており、さらにミッションとして、このような一定以上のレベル、累積ゲーム数等が一定数以上でなければ出現しない演出が実行されることにより達成されるミッションが定められており、遊技者が遊技を行い、レベルを上昇させることへの意欲も効果的に高めることができる。
【0083】
また、サブCPU91aは、遊技開始時に後述するパスワードが入力された場合の遊技において、ゲーム数に応じて、液晶表示器51にて表示されるストーリーの段階を順次進行させるようにしている。詳しくは、ゲーム数に応じて、ストーリーがある段階まで到達すると、次の段階が展開されることとなる。
【0084】
また、レベルの値は、1台のスロットマシン1において上昇した値のみならず、他のスロットマシン1において上昇した値を引き継ぐことも可能である。また、レベルの値だけではなく、他のスロットマシン1において進展したストーリーの段階や他のスロットマシン1において遊技者が演出設定を変更した場合、その設定内容も引き継ぐことが可能である。
【0085】
具体的には、遊技者は、図18(a)に示すメインメニュー画面から「パスワード入力」を選択し、予め管理サーバ1200にて発行されたパスワードを入力することにより、以前の遊技履歴に応じたレベル及び演出設定(ストーリーの段階も含まれる)を引き継いで遊技を行うことが可能となる。
【0086】
パスワード(鍵データ)は、後に詳述するが、後述する管理サーバ1200にて管理されている遊技者個人の遊技履歴に応じた特定終了データ、レベル、機種情報、直近情報、その他の演出設定を特定可能な8文字からなる文字データである。
【0087】
メインメニュー画面は、ゲーム終了後(設定変更後)から賭数が設定されるまでの制御状態において、演出用スイッチ56(CHANCEボタン)が操作された場合に、液晶表示器51の表示領域に表示される。
【0088】
メインメニュー画面が表示されている状態では、図18(a)、図18(b)に示すように、ストップスイッチ8Lが操作されることで、左側のメニュー項目に移動し、ストップスイッチ8Rが操作されることで右側のメニュー項目に移動する。そして、演出用スイッチ56が操作されることで、手前に表示されているメニュー項目が選択される。また、メニュー項目として「終了」が手前に表示されている状態で演出用スイッチ56が操作されるか、ストップスイッチ8Cが一定時間以上操作されると、図18(c)に示すように、「YES」、「NO」を選択可能な終了確認画面が表示される。この終了確認画面にてストップスイッチ8L、8R、演出用スイッチ56を操作し、「YES」、「NO」のうち「YES」を選択することで、基本画面(メインメニュー画面に移行する前の通常画面)に戻るようになっている。また、何も操作されない状態が、画面毎に定められた時間継続した場合にも基本画面に戻る。
【0089】
パスワードの入力前や後述する簡単スタートによる遊技開始前のメインメニュー画面では、図18(a)に示すように、「簡単スタート」、「パスワード入力」、「会員登録」、「終了」のメニュー項目が表示されるようになっている。
【0090】
続いて、パスワードの入力操作仕様について説明する。遊技者は、パスワードの入力前や後述する簡単スタートによる遊技開始前のメインメニュー画面にて、ストップスイッチ8L、8R及び演出用スイッチ56を操作してパスワードメニューを選択すると、サブCPU91aにより、パスワード入力画面(図示せず)が表示される。パスワード入力画面では、ストップスイッチ8L、8R及び演出用スイッチ56(CHANCEボタン)を操作することで、パスワードの入力が完了する。
【0091】
入力したパスワードが正規のパスワードであると認証された場合には、パスワードの入力を受け付けたことを示す「パスワードOK」画面(図示せず)が表示され、演出用スイッチ56を操作するか、予め定められた時間が経過することで閉じられ、基本画面に切り替わる。なお、パスワードが正規のパスワードであると認証されなかった場合には、パスワードの入力が受け付けられなかったことを示す「パスワードNG」画面(図示せず)が表示され、演出用スイッチ56を操作するか、予め定められた時間が経過することで閉じられ、基本画面に切り替わる。
【0092】
パスワードが正規のパスワードであると認証されると、RAM91bに割り当てられた個人履歴格納領域(総ゲーム数、BB回数、RB回数、達成ミッションの履歴)の値が初期化されると共に、パスワードから解析される特定終了データが、RAM91bに割り当てられた特定終了データ格納領域に、パスワードから解析されるレベルが、RAM91bに割り当てられたレベル格納領域に、パスワードから解析される機種を識別するための機種情報が、RAM91bに割り当てられた機種情報格納領域に、パスワードから解析される直近の遊技履歴を示す直近情報が、RAM91bに割り当てられた直近情報格納領域に、パスワードから解析されるその他の演出設定1?3が、RAM91bに割り当てられた演出設定格納領域に設定される。そして、以上の設定に伴い、以前の遊技履歴に応じたレベル、及び演出設定が、当該スロットマシン1に引き継がれることとなる。また、この際、入力されたパスワードそのものがRAM91bに割り当てられたパスワード格納領域に格納されるようになっている。
【0093】
また、上述のようにRAM91bには、個人履歴格納領域が割り当てられており、パスワードを入力し、正規のパスワードと認証されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)が蓄積されるようになっている。さらに予めスロットマシン1に設定されたミッション(課題)を達成した場合には、達成したミッションの種類を示す達成ミッションの履歴も蓄積されるようになっている。また、上述のように経験値について、10経験値獲得する毎に、レベル格納領域に格納されたレベルを1つ上昇させるようになっている。
【0094】
そして、遊技者は、遊技を終える場合に、当該遊技者の遊技履歴、現在のレベル、経験値、演出設定(機種情報、および、直近情報は含まず)、達成ミッションの履歴等からなる情報(遊技結果情報)が含まれる2次元コードをスロットマシン1から出力させ、これを携帯端末1100を用いて取得し、この2次元コードに含まれる遊技結果情報を管理サーバ1200が備える後述の遊技者データベースの内容に反映させることができるようになっている。
【0095】
なお、遊技者により、メインメニュー画面にて、「簡単スタート」が選択されると、パスワードを入力した場合と異なり、以前の遊技履歴を引き継いで遊技を行うことはできないが、遊技者は、「簡単スタート」選択後から遊技終了時までにおける、遊技履歴、現在のレベル、経験値、演出設定(機種情報、および、直近情報は含まず)、達成ミッションの履歴等が含まれる2次元コードをスロットマシン1から出力させることができる。
【0096】
以下では、適切なパスワードが入力されることにより制御されるモードを「通常ユーザモード」といい、「簡単スタート」が選択されることにより制御されるモードを「簡単ユーザモード」といい、「通常ユーザモード」および「簡単ユーザモード」のいずれとも異なるモードを「ノーマルモード」という。
【0097】
図18(b)に示すように、パスワード入力後や簡単スタートによる遊技開始後のメインメニュー画面では、「データクリア」、「2次元コード作成」、「本日の結果」、「終了」のメニュー項目が表示されるようになっている。たとえば、この場合のメインメニュー画面にて、遊技者により、「データクリア」が選択されると、RAM91bに割り当てられた、パスワード格納領域、個人履歴格納領域、経験値格納領域、特定終了データ格納領域、レベル格納領域、機種情報格納領域、直近情報格納領域、演出設定格納領域のそれぞれがクリアされる。
【0098】
また、遊技者により、図18(b)に示すメインメニュー画面にて、「本日の結果」が選択されると、パスワード入力後や簡単スタートによる遊技開始後から現時点までにおける、遊技履歴、現在のレベル、経験値、達成ミッションの履歴、当該スロットマシン1におけるAT当選回数等の現在のランキング(スコアランキング)等が表示される。
【0099】
本実施形態では、「本日の結果」選択時には、図示しない楽曲選択ボタンが表示され、楽曲選択ボタン選択時には、図19(a)に示す楽曲選択画面が表示される。楽曲選択画面では、たとえば、図19(a)に示すように、遊技者がデフォルトで選択可能な楽曲(特定演出)として、「楽曲A」、「楽曲B」、「楽曲C」、「楽曲D」、「楽曲E」の項目が表示されるようになっている。
【0100】
本実施形態では、遊技者によっていずれかの項目が選択されると、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中に選択された項目に対応する楽曲が音声出力されるように設定される。また、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中において遊技者によっていずれの項目も選択されていない場合、全ての楽曲が選択可能となった順番(設定順)にループして音声出力される。具体的には、「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」の楽曲ループが設定され、「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」、「楽曲A」、…の順に切り替えて音声出力される。
【0101】
また、楽曲A?Eのいずれかから選択されたときには、RAM91bに選択済フラグがセットされる。選択済フラグは、通常ユーザモードまたは簡単ユーザモードが終了したとき、つまり2次元コードが作成されたときに消去される。なお、ノーマルモードでは、遊技者は楽曲を選択することができず、楽曲Aが出力される。
【0102】
また、遊技者により、メインメニュー画面にて、「2次元コード作成」が選択されると、サブCPU91aは、2次元コードを生成し、液晶表示器51に表示させる。ここで表示される2次元コードには、たとえば、パスワードを入力した遊技であれば、管理サーバ1200上の通常更新ページの所在を示すURL(通常更新用URL)と、ゲーム開始時に入力されたパスワードと、2次元コード作成毎に取得されるランダムな値である遊技乱数(本実施形態では、32ビットの乱数)と、遊技履歴更新データと、獲得データと、をそれぞれ示す情報が含まれる。ここで、遊技履歴更新データ及び獲得データは、遊技結果情報を構成する。
【0103】
遊技履歴更新データには、個人履歴格納領域に記憶されている各データ値(総ゲーム数、メダルの総払出枚数、ATの連続当選回数(連荘数)、達成ミッションの履歴、実行されたプレミア演出の履歴)、レベル格納領域に記憶されているレベル値、経験値格納領域に格納されている経験値、演出設定格納領域に格納されている演出設定1?3、特定終了データ格納領域に格納されている特定終了データ等が格納されている。
【0104】
なお、本実施形態においては、経験値格納領域に格納されている経験値は、レベルアップに用いられた残りの端数の経験値(すなわち、0?9)である。
【0105】
この2次元コードを携帯端末1100により読み取り、2次元コードから特定される管理サーバ1200のURLにアクセスすることで、2次元コードから特定される内容が、管理サーバ1200が備える遊技者データベースの内容に反映されるようになっている。
【0106】
なお、パスワードが認証されてから2次元コードが表示されるまでの間は、新たなパスワードの入力が禁止されるようになっている。そして、2次元コードが表示され、演出用スイッチ56の操作により、基本画面に切り替わる際、RAM91bに割り当てられた、パスワード格納領域、個人履歴格納領域、経験値格納領域、特定終了データ格納領域、レベル格納領域、機種情報格納領域、直近情報格納領域、演出設定格納領域のそれぞれがクリアされ、再びパスワードの入力が許可されるようになる。
【0107】
このように、本実施形態のスロットマシン1では、遊技を開始する際にパスワードを入力することで、以前遊技を行った際のレベルや演出設定等、過去の遊技履歴を反映した(引き継いだ)演出を実行させることが可能となり、長期間にわたり継続性のある演出を行わせることができる。また、遊技の終了後、遊技結果情報を含む2次元コードに、パスワードが含まれるため、パスワードを発行する管理サーバ1200にて、2次元コードに含まれるパスワードを認証することで、パスワードの発行を受けた遊技者であるか否かを判別することが可能となる。したがって、第三者が他人のパスワードを入手して遊技を行って2次元コードを取得したり、他人の2次元コードを取得したりしても、この2次元コードに含まれる遊技結果情報を、管理サーバ1200が備える後述の遊技者データベースに反映させることはできない。これにより、パスワードや2次元コードを流用したり盗用したりしても意味がなくなるため、パスワード及び2次元コードの流用や盗用を防止することができる。
【0108】
また、管理サーバ1200によって発行されるパスワードは、その発行の度に変化するランダム値によって変化するため、同一内容の遊技履歴が特定される場合であっても同一パスワードとなる訳ではなく、パスワードを推測することが困難となる。
【0109】
本実施形態では、管理サーバ1200からパスワードの発行を受けるためには、予め携帯端末1100を用いて、管理サーバ1200にアクセスし、会員登録を行って、当該携帯端末1100の端末識別情報(SIMデータ)を登録しておく必要がある。本実施形態では、遊技者により、図18(a)に示すメインメニュー画面にて「会員登録」が選択されると、サブCPU91aは、管理サーバ1200の会員登録ページの所在を示すURLが特定される2次元コードを生成して、液晶表示器51に表示させる。遊技者は、携帯端末1100にて、この2次元コードを読み取ることにより、簡単に管理サーバ1200の会員登録ページにアクセスできる。
【0110】
携帯端末1100で2次元コードを読み取るときに、オートフォーカスにより焦点が合った状態で、表示画面内の枠内に所定の大きさで、撮影された2次元コードが表示されている状態で、2次元コードの画像が携帯端末1100に取り込まれる。そして、携帯端末1100が備える一般的な2次元コード読み取り用のアプリケーションプログラムにより、読み取った2次元コードが解析される。
【0111】
携帯端末1100の表示部140には、2次元コードの解析結果としてのURL、すなわち、管理サーバ1200の会員登録ページ等の所定のウェブページの所在を示すURLが表示される。そして、このURLが選択されることで、このURLによって示される、管理サーバ1200の所定のウェブページにアクセスすることができる。
【0112】
また、本実施形態では、予め管理サーバ1200にアクセスして会員登録を済ませていない遊技者であっても、メインメニュー画面にて、上述した「簡単スタート」を選択することで、遊技履歴を蓄積する機能を利用した遊技を開始することができる。但し、この場合では、当然ながら、以前の遊技履歴を引き継いで遊技を行うことはできない。
【0113】
「簡単スタート」を選択して遊技を開始した後、遊技を終了する際に表示される2次元コードは、パスワードを入力して開始した場合と異なる。具体的には、通常更新用URLの代わりに、管理サーバ上の簡単スタート用のページの所在を示すURL(簡単スタート更新用URL)が含まれており、パスワードが含まれていない構成となっている。他の情報は、パスワードを入力した遊技に基づく2次元コードと同様である。
【0114】
そして、遊技者は、この2次元コードを携帯端末1100により読み取り、読み取った2次元コードから特定される管理サーバ1200のURLにアクセスする。管理サーバ1200は、アクセスした携帯端末の端末識別情報(SIMデータ)が既に登録されているか否かを判定する。アクセスした携帯端末の端末識別情報が登録されていない場合には、管理サーバ1200は、当該端末識別情報に対応付けた当該遊技者用の遊技者情報(詳細は後述する)を、後述する遊技者データベースに新規に登録し、当該追加した遊技者情報に、スロットマシン1から出力された2次元コードに含まれる遊技結果情報を反映する。
【0115】
一方、アクセスした携帯端末の端末識別情報が既に登録されている場合には、管理サーバ1200は、遊技者データベースの当該端末識別情報に対応付けられた遊技者情報に、当該2次元コードに含まれる遊技結果情報を反映する。
【0116】
このように、本実施形態のスロットマシン1では、会員登録済みであるか否かに関わらず、遊技者は、メインメニュー画面にて「簡単スタート」を選択するだけで、遊技履歴を蓄積する機能を利用した遊技を開始することができる。
【0117】
本実施形態のサブCPU91aは、上述のようにメインメニュー画面から移行する各種メニュー画面を表示させた後、遊技者により何らの操作もなされない場合には、所定時間が経過すると、基本画面に切り替えるようになっている。
【0118】
続いて、本発明の管理装置を適用した管理サーバ1200について説明する。管理サーバ1200は、上述したように、一般的なサーバコンピュータと同等のハードウェアを備える構成であり、インターネット網900を介して、携帯端末1100とのデータ通信が可能となっている。管理サーバ1200は、携帯端末1100からのアクセスの要求内容に応じて、当該遊技者に対応する遊技情報の登録や更新、パスワードの発行、特典の付与等を行う。なお、本実施形態では、管理サーバ1200には、端末識別情報(SIMデータ)が付与された携帯端末のみからアクセスが可能とされており、端末識別情報が付与されていない携帯端末や端末識別情報は付与されているものの、端末識別情報の送信を拒否した携帯端末からのアクセスは拒否される。
【0119】
管理サーバ1200は、遊技者の遊技情報を管理するための遊技者データベースと、遊技者の遊技毎の遊技結果の履歴を管理する遊技履歴データベースと、遊技者に対して付与される特典データについての情報を管理するための特典データベースと、を備えている。また、管理サーバ1200は、遊技情報を更新する場合に受信した各更新要求のURLを登録済情報として管理する登録URL用データベース(登録URL用DB)と、遊技情報を更新しない場合に受信した各更新要求のURLを不正情報として管理する不正URL用データベース(不正URL用DB)と、を備えている。
【0120】
遊技者データベースには、遊技者の所有する携帯端末1100を識別可能な端末識別情報(SIMデータ)、現在のステータス(待機中/遊技中)、パスワード(最後に発行されたもの)、現在までの総ゲーム数、総BB回数、総RB回数、現在のレベル、(端数の)経験値、ポイント、持点、演出設定1?3の設定内容、ミッション別の達成状況(達成済みのミッションは1、未達成のミッションは0)等からなる遊技者情報が、遊技者別(端末識別情報別)に登録されている。なお、遊技者情報には、このほかにも、図示はしないが、遊技者名(登録ネーム)、性別、生年月日、都道府県等の遊技者の個人情報(会員情報)も含まれている。
【0121】
遊技履歴データベースには、遊技を行った遊技者の所有する携帯端末1100を識別可能な端末識別情報(SIMデータ)、遊技日時、当該遊技開始時にスロットマシン1に入力されたパスワード、当該遊技の遊技終了時にスロットマシン1にてランダムに取得された遊技乱数、当該遊技でのゲーム数、当該遊技でのBB回数、当該遊技でのRB回数、当該遊技の終了時のレベル値、当該遊技の終了時の(端数の)経験値、当該遊技でのミッション別達成状況、後述する特定終了データ等からなる遊技履歴情報が登録されている。
【0122】
特典データベースには、特典を識別可能な特典IDに対応して、特典データ(コンテンツデータ、あるいは、交換券や応募券を示す2次元コード等)の格納場所、特典データの種別、特典を付与する条件の種別、該当する種別の条件値等からなる特典データ情報が登録されている。条件の種別としては、ポイント、持点(詳細は後述する)、レベル、ミッションの達成率、ゲーム数、BB回数、RB回数等が設定可能であり、その種別に応じた条件値(ポイント数、点数等)が設定可能である。
【0123】
[楽曲F関連処理]
次に、楽曲F関連処理について説明する。楽曲Fとは、デフォルトで遊技者が選択可能な楽曲A?楽曲Eのいずれとも異なる楽曲である。楽曲Fは、楽曲F関連処理が実行されることにより、遊技者が選択可能な楽曲A?Eに追加され得る楽曲である。楽曲Fが追加されることにより、遊技者は、楽曲A?楽曲Fのいずれかから選択可能となる。
【0124】
図20は、楽曲F関連処理はフローチャートの一例を示したものである。図20の楽曲F関連処理はサブ制御部91により実行される。楽曲F関連処理は、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中において、所定時間(たとえば、0.56ms)毎に実行されるタイマ割込処理である。
【0125】
S70において、楽曲Fが出力中か否かが判断される。楽曲Fが出力であると判断されたときには(S70のYes)、楽曲F関連処理は終了する。一方、楽曲Fが出力されていないと判断されたときには(S70のNo)、S71に進む。S70でNoと判断されるということは、楽曲A?Eのいずれかが出力されているということである。
【0126】
S71では、ボタン演出実行中であるか否かが判断される。ここで、ボタン演出とは、図22(ウ)に示すように、演出用スイッチ56を模倣した画像と、「押せ!」といったメッセージとを表示することにより、演出用スイッチ56の操作を遊技者に対して要求する演出である。
【0127】
ボタン演出は、所定のボタン演出実行条件が成立したときに実行される演出である。所定のボタン演出実行条件は、強チェリーが当選することにより成立する条件とする。なお、所定のボタン演出実行条件は他の条件であってもよく、強チェリーとは異なる特定役が当選することにより成立する条件としてもよい。また、所定のボタン演出実行条件は、所定の表示結果が導出されることにより成立する条件としてもよい。また、所定のボタン演出実行条件は、消化ゲーム数が所定ゲーム数に到達することにより成立する条件としてもよい。
【0128】
ボタン演出実行中であると判断されたときには(S71のYes)、S72に進む。S72において、演出用スイッチ56の操作がされたか否かが判断される。演出用スイッチの操作がされていないと判断された場合には(S72のNo)、S74に進む。
【0129】
S74においては、ボタン演出が開始されたタイミングから10秒経過したか否かが判断される。S74において、ボタン演出開始から10秒経過していないと判断されたときには(S74のNo)、S72に戻る。一方、ボタン演出開始から10秒経過したと判断されたときには(S74のYes)、S76に進む。S76ではボタン演出を終了させる。S76の処理が終了すると、楽曲F関連処理は終了する。
【0130】
一方、S72において、演出用スイッチ56が操作されたと判断されたときには(S72のYes)、S78に進む。S78ではボタン演出を終了させる。
【0131】
このようにボタン演出は、ボタン演出の実行中に演出用スイッチ56が操作されたとき、または演出用スイッチ56が操作されずに、ボタン演出の開始時から10秒間経過したときに終了する演出である。
【0132】
S78の処理が終了すると、S80に進む。S80において、現在の残りナビ数が10以上であるか否かが判断される。現在の残りナビ数については、RAM91cに格納されている残りナビ数から特定される。S80において、現在の残りナビ数が10未満であると判断されたときには(S80のNo)、楽曲F関連処理は終了する。一方、S80において、現在の残りナビ数が10以上であると判断されたときには(S80のYes)、S81に進む。
【0133】
一方、S71においてボタン演出実行中ではないと判断された場合には(S71のNo)、S90に進む。S90において通常リプレイが入賞したか否かが判断される。S90において、通常リプレイが入賞していないと判断されたとき(S90のNo)、楽曲F関連処理を終了する。S90において、通常リプレイが入賞したと判断されたときには(S90のYes)、S92に進む。
【0134】
S92において、現在の残りナビ数が5以上であるか否かが判断される。S92において、現在の残りナビ数が5未満であると判断されたときには(S92のNo)、楽曲F関連処理は終了する。一方、S92において、現在の残りナビ数が5以上であると判断されたときには(S92のYes)、S94に進む。
【0135】
S94において、楽曲F追加抽選を実行する。楽曲F追加抽選は、楽曲Fを追加するか否かを決定する抽選である。楽曲F追加抽選は、1/100の確率で楽曲Fを追加することを決定し、99/100の確率で楽曲Fを追加しないことを決定する。S94の処理が終了すると、S96に進む。
【0136】
S96において、S94の楽曲F追加抽選により楽曲Fの追加が決定されたか否かが判断される。S96において楽曲Fの追加が決定されなかったと判断されたときには(S96のNo)、楽曲F関連処理は終了する。一方、S96において楽曲Fの追加が決定されたと判断されたときには(S96のYes)、S81に進む。
【0137】
S81において、楽曲Fが追加される。楽曲Fが追加されることにより、図19の楽曲選択画面において、楽曲Fの選択肢が増加される。これにより、遊技者は、楽曲A?Eの他に、楽曲Fも選択可能となる。S81の処理が終了すると、S82に進む。
【0138】
S82において、RAM91cに選択済フラグがセットされているか否かが判断される。S82において、RAM91cに選択済フラグがセットされていると判断された場合(S82のYes)、つまり、遊技者により楽曲の選択が行われたと判断された場合には、S84に進む。
【0139】
S84において、背景画像抽選を実行し、該背景画像抽選により決定された背景画像に変更する。ここで、背景画像とは、液晶表示器51に背景として表示される画像である。図21は、背景画像抽選で用いられる背景画像抽選用テーブルの一例を示した図である。図21の例では、たとえば、残りナビ数が0?4である場合には、90%の確率で朝の背景画像が決定され、5%の確率で昼の背景画像が決定され、5%の確率で夜の背景画像が決定される。その他の残りナビ数については、図21に示す通りである。
【0140】
このように、残りナビ数が0?4である場合には、朝の背景画像が決定され易く、残りナビ数が5?9である場合には、昼の背景画像が決定され易く、残りナビ数が10以上である場合には、夜の背景画像が決定され易くなるように設定されている。このように、背景画像の表示により、残りナビ数を示唆できる。なお、変更前の背景画像は、朝の背景画像であるとする。
【0141】
楽曲A?Fを出力する演出は、スピーカ53、54を用いて実行される演出である。一方、背景画像を表示する演出は、液晶表示器51を用いて実行される演出である。このように、楽曲Fが追加されたときにおいて(S81)、楽曲の選択済であると判断された場合には(S82のYes)、楽曲を出力する演出手段(スピーカ53、54)とは異なる演出手段(液晶表示器51)を用いた演出により、残りナビ数を示唆する。換言すれば、楽曲Fが追加されたときにおいて(S81)、楽曲の選択済であると判断された場合には(S82のYes)、楽曲の出力とは異なる種類の演出(背景を表示する演出)により、残りナビ数を示唆する。
【0142】
S84の処理が終了すると、S86に進む。S86では、楽曲追加報知演出を実行する。ここで、楽曲追加報知演出とは、楽曲Fが追加されたことを報知する演出である。本実施形態では、図19(b)に示すように、液晶表示器51において、「楽曲Fが選択可能になりました!!」といった文字が、S84で決定された背景画像に重畳されて表示される。なお、図19(b)の例では、三日月の画像510が表示された夜背景画像に重畳されて、この文字が表示された例を示す。S86の処理が終了すると、楽曲F関連処理は終了する。
【0143】
一方、S82において、RAM91cに選択済フラグがセットされていないと判断された場合(S82のNo)、つまり、遊技者により楽曲の選択が行われていないと判断された場合には、S88に進む。S88においては、楽曲Fの出力を開始する。
【0144】
このように、S82において、楽曲選択済であると判断されたときには(S82のYes)、出力されていた楽曲A?Eの出力を継続する。一方、S82において、楽曲選択済ではないと判断されたときには(S82のNo)、出力されていた楽曲A?Eの出力を停止するとともに楽曲Fの出力に切替える(S88)。
【0145】
また、S84の処理が実行されることにより背景画像が変更されたときにおいて、該変更されたゲームの次のゲームを開始させるためのレバーオン操作(スタートスイッチ7への操作)がされたときに、メイン制御部41はATに制御させる。また、S88の処理が実行されることにより楽曲Fが出力されたときにおいて、該楽曲Fが出力されたゲームの次のゲームを開始させるためのレバーオン操作がされたときに、メイン制御部41はATに制御させる。また、楽曲Fの出力のみでは、残りナビ数が10以上または5以上であることしか示唆されない。そこで、ATに制御させるときには(たとえば、ATに制御させる契機となるレバーオン操作が実行されたときには)、具体的な残ナビ数(つまり、ATに制御させるゲーム数に対応するナビストック数)を、液晶表示器51において表示するようにしてもよい。
【0146】
[楽曲Fの決定条件について]
次に、図22を用いて、楽曲Fの追加が決定される決定条件について説明する。本実施形態では、該決定条件は2つあり、それぞれを第1決定条件、第2決定条件という。図22(A)および図22(B)は、第1決定条件、第2決定条件を説明するための図である。
【0147】
図22(A)中の図22(ア)では、楽曲Aが出力されているときに通常リプレイが入賞した場合(図20のS90のYes)を示す。この場合において、残りナビ数が5以上であり(図20のS92のYes)、かつ楽曲F抽選により1/100の確率(図20のS96のYes)で楽曲Fの追加が決定されたときに、第1決定条件が成立する(楽曲Fが追加される)。図22(イ)は、第1決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていないことにより楽曲Fが出力されていることを示す図である。
【0148】
図22(B)中の図22(ウ)では、楽曲Aが出力されているときにボタン演出が実行された場合(図20のS71のYes)を示す。この場合において、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作され(図20のS72のYes)、かつ残りナビ数が10以上であるときに(図20のS80のYes)、第2決定条件が成立する(楽曲Fが追加される)。図22(エ)は、第2決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていないことにより楽曲Fが出力されていることを示す図である。
【0149】
このように、演出用スイッチ56が操作されたときにおいて出力された楽曲Fにより、残りナビ数が10以上であることを遊技者に認識させることができる。また、演出用スイッチ56が操作されなかったときにおいて出力された楽曲Fにより、残りナビ数が5以上であることを遊技者に認識させることができる。
【0150】
なお、第1決定条件または第2決定条件が成立したとしても、選択済フラグがセットされている場合には(図20のS82参照)、楽曲Fは出力されない。
【0151】
なお、楽曲Fが追加された後には、楽曲選択画面において、楽曲Fを選択可能とすることができる。また、楽曲Fは、該楽曲Fが追加された通常ユーザモードまたは簡単ユーザモードが終了したときには選択不可能とされる。その後、再び、通常ユーザモードまたは簡単ユーザモードが開始されて、第1決定条件または第2決定条件が成立したときに、楽曲Fは選択可能となる。
【0152】
また、楽曲Fにより残りナビ数を示唆するとして説明したが、楽曲Fの出力とは別の態様で、RAM41bに記憶されている残りナビ数の一部および全部を示唆するようにしてもよい。たとえば、該別の態様で残りナビ数が3である旨を示唆する場合には、液晶表示器51により「AT当選おめでとう!3ナビストック付与!」といったメッセージを表示する。該メッセージを表示したゲームの次のゲームから、ATに制御させる。また、RAM91cに記憶されている残りナビ数から、示唆された残りナビ数(ここでは、「3」)を減算する。
【0153】
[本実施形態の効果]
次に、本実施形態により得られる主な効果を説明する。
【0154】
(1) 本実施形態では、通常ユーザモード中において楽曲選択画面を介して遊技者によって選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)があるか否かを判定し、選択されている楽曲があれば、選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)を音声出力する。
【0155】
このようにすることで、遊技者は、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中に好みの楽曲を選択することができるので、通常ユーザモード中または簡単ユーザモード中に楽曲を選択することができないスロットマシンよりも遊技の興趣が向上する。
【0156】
また、楽曲が選択されていれば(S82のYes)、第1決定条件または第2決定条件が成立して新たな楽曲Fが選択可能となったか否かに関わらず選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)の出力を継続する(S82のYesのときには、S88の処理を実行しない)。
【0157】
このようにすることで、遊技者は、選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)を再度選択する操作を行わなくても選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)が繰り返し音声出力されるので、楽曲を選択する操作の煩わしさによる不満を抱くことがなく、遊技の興趣の低下を防止できる。
【0158】
また、楽曲が選択されていなければ(S82のNo)、第1決定条件または第2決定条件が成立したときに新たな楽曲Fを音声出力する(S88)。このようにすることで、遊技者が新たな楽曲(たとえば、「楽曲F」)を含む楽曲リスト(たとえば、「楽曲A」?「楽曲F」)から好みの楽曲を選択する動機付けとなり、遊技者が楽曲を選択することに対する興味を抱くようになるので、遊技の興趣が向上する。
【0159】
また、楽曲Fは、残りナビ数が5以上のとき(S92のYes)、または残りナビ数が10以上のとき(S80のYes)に実行され得る。つまり、楽曲Fが出力されることにより、残りナビ数が少なくとも5以上であることを示唆できる。したがって、遊技の興趣を向上させることができる。
【0160】
(2) また、第1決定条件(S80のYes)または第2決定条件(S96のYes)が成立したときにおいて、楽曲選択済みであると判断されたときには(S82のYes)、楽曲Fを出力しない代わりに、背景画像を変更することにより、残りナビ数を示唆する(S84、図21参照)。このように、第1決定条件または第2決定条件が成立したときにおいて、楽曲選択済みであると判断されたときには(S82のYes)、楽曲を出力する演出手段(スピーカ53、54)とは異なる演出手段(液晶表示器51)を用いた演出により、残りナビ数を示唆する。したがって、選択された楽曲(A?Eのいずれか)の出力を阻害することなく、残りナビ数を示唆できる。また、楽曲Fが出力されないからといって、残りナビ数が示唆されなくなってしまうことを防止できる。
【0161】
(3) また、ボタン演出実行中において演出用スイッチ56が操作されたときにおいて(S72のYes)、残りナビ数が10以上であるときに(S80のYes)、楽曲Fは出力され得る。また、演出用スイッチが操作されていないときにおいて(S71のNo)、残りナビ数が5以上であるときに(S92のYes)、楽曲Fは出力され得る。
【0162】
つまり、演出用スイッチ56が操作されたときにおいて出力された楽曲Fにより、残りナビ数が10以上であることが示唆され、演出用スイッチ56が操作されなかったときにおいて出力された楽曲Fにより、残りナビ数が5以上であることが示唆される。
【0163】
つまり、演出用スイッチ56が操作されたときに出力される楽曲Fにより示唆される残りナビ数は10以上であるのに対し、演出用スイッチ56が操作されなかったときに出力される楽曲Fにより示唆される残りナビ数は5以上である。このように、演出用スイッチが操作されなかったときとで、楽曲Fにより示唆される残りナビ数が異なることから、遊技者に抱かせる期待感を異ならせることができ、楽曲Fの出力について遊技の興趣を向上させることができる。
【0164】
また、演出用スイッチ56が操作されたときの方が、演出用スイッチが操作されなかったときよりも、楽曲Fにより示唆される残りナビ数は多いことから、ボタン演出中の演出用スイッチの操作を促進でき、ボタン演出の意義を高めることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0165】
(4) 楽曲Fは、遊技を進行させる遊技進行操作とは異なる操作(演出用スイッチ56への操作)が実行されたときに出力可能である(S72のYes)。また、楽曲Fは、遊技を進行させる遊技進行操作とは異なる操作が実行されていないときには、通常リプレイ入賞したとき(つまり、遊技進行操作である第3停止されたとき)にも出力可能である。したがって、楽曲Fの出力の契機を遊技者に明確にすることができる。
【0166】
(5) 第1決定条件または第2決定条件が成立したときにおいて(S80のYes、またはS96のYes)、楽曲が選択済である場合には(図20のS82のYes)、楽曲追加報知演出を実行して(図20のS86)新たな楽曲Fが選択可能となった旨を遊技者に認識させる。
【0167】
このようにすることで、遊技者は、選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)が繰り返し音声出力されている間にも新たな楽曲(たとえば、「楽曲F」)が選択可能となったことを認識でき、遊技者が新たな楽曲(たとえば、「楽曲F」)を含む楽曲リスト(たとえば、「楽曲A」?「楽曲F」)から好みの楽曲を選択する動機付けとなり、遊技者が楽曲を選択することに対する興味を抱くようになるので、遊技の興趣が向上する。
【0168】
(6) また、本実施形態では、第1決定条件および第2決定条件のいずれが成立したときであっても、同一の楽曲Fが出力され得る。したがって、第1決定条件が成立したときと第2決定条件が成立したときとで異なる楽曲を出力するものと比較して、楽曲の記憶容量を削減できる。
【0169】
[第2実施形態]
第2実施形態においては、上述した第1実施形態におけるスロットマシン1をパチンコ遊技機に置き換えた場合について説明する。また、パチンコ遊技機は、一部スロットマシン1の例と同一の構成を含んでおり、同一の構成・処理について説明を省略し、異なる構成・処理について説明する。
【0170】
パチンコ遊技機の遊技領域の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置が設けられている。遊技球が所定の入賞口に入賞すると、特別変動表示装置が特別第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方を変動表示させると共に、演出表示装置では、第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方の変動表示に同期した演出図柄(飾り図柄)の変動表示(可変表示、更新表示、または、巡回表示ともいう)が行われる。演出図柄の変動表示は、スクロール表示及びその場切替え表示等の各種の変動態様で実行される。演出表示装置は、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄(飾り図柄)の変動表示を行う変動表示装置に相当する。演出表示装置では、表示画面上で演出図柄を表示する演出図柄表示領域が設けられており、当該演出図柄表示領域に、たとえば「左」、「中」、「右」の3つ(複数)の演出図柄を変動表示する表示領域としての図柄表示エリアがある。これら3つの演出図柄のそれぞれは、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄である。
【0171】
また、本実施形態のパチンコ遊技機は、遊技球が所定の入賞口に入賞したが、所定の開始条件(大当り遊技中でなくかつ先に始動入賞した保留記憶に起因する可変表示が終了しているとき)が成立していないときには、所定の上限数の範囲内(たとえば、4個)で保留記憶情報として記憶する。ここで、保留記憶情報とは、たとえば、特定遊技状態(たとえば、大当り状態)に制御するか否か等を特定するための情報である。
【0172】
また、本実施形態のパチンコ遊技機は、遊技の進行を制御するメイン制御部と、演出の制御を実行するサブ制御部とを備える。パチンコ遊技機は、打球(遊技球)を発射させる打球操作ハンドルとは別に、画面操作用スイッチを備える。画面操作用スイッチは、決定スイッチ(第1実施形態の演出用スイッチ56に対応)と、左選択スイッチ(第1実施形態の左スイッチ8Lに対応)と、右選択スイッチ(第1実施形態の右スイッチ8Rに対応)とを備える。パチンコ遊技機のサブ制御部は、当該画面操作用スイッチの操作を検出することができるように、画面操作用スイッチは、サブ制御部に電気的に接続されている。
【0173】
また、液晶表示装置には、図18、図19の画面を表示可能である。サブ制御部は、決定スイッチからの操作信号を受信すると、決定スイッチからの操作信号に応じて演出及び図18、図19で説明した画面等での決定操作を実行する。また、サブ制御部は、左選択スイッチまたは右選択スイッチからの操作信号が入力され、左選択スイッチまたは右選択スイッチからの操作信号に応じて図18、図19で説明した画面等での選択操作を実行する。
【0174】
メイン制御部は、時短状態に制御可能である。時短状態とは、時短状態とは異なる状態(以下、「非時短状態」という。)である特別図柄や演出図柄の変動時間(変動表示期間)がよりも短縮される状態である。時短状態中は、確変状態(大当たり状態になる確率が高くなる状態)に制御させるようにしてもよい。以下では、時短状態において、特別図柄や演出図柄の変動を時短変動という。
【0175】
所定の時短条件が成立したときには、時短状態に制御させるか否かと、時短状態に制御させると判断されたときには時短変動の回数とを決定する時短状態抽選が実行される。時短条件とは、大当り状態が終了することにより成立する条件である。その他の時短条件として、遊技球が特定領域を通過し、かつ遊技球が特定領域を通過したことにより実行される抽選で当選することにより成立する条件としてもよい。時短条件は他の条件としてもよい。該他の条件とは、たとえば、所定数の遊技球が発射されたことにより成立する条件としてもよい。時短状態では、1回、時短変動が実行されると、時短状態抽選により付与された時短変動の回数から1減算される。該合計値が0に到達すると、時短状態は終了する。
【0176】
第1実施形態では、楽曲Fの出力により残りナビ数を示唆するが、第2実施形態では、楽曲Fの出力により時短変動の残り回数(以下、「残り時短回数」という。)が示唆される。また、図20のS80の「残りナビ数≧10?」が、たとえば、「残り時短回数≧50?」に代替され、S92の「残りナビ数≧5?」が、たとえば、「残り時短回数≧20?」に代替される。また、S90の「通常リプレイ入賞?」は、「所定の楽曲F条件成立?」に代替される。ここで、楽曲F条件とは、遊技球が特定領域を通過し、かつ遊技球が特定領域を通過したことにより実行される抽選で当選することにより成立する条件とする。なお、楽曲F条件は、他の条件としてもよい。該他の条件とは、たとえば、所定数の遊技球が発射されたことにより成立する条件としてもよい。また、図21の「残りナビ数」が、「残り時短回数」に代替される。楽曲Fなどにより、残りナビ数が示唆されたときに時短状態に制御される。
【0177】
このようなパチンコ遊技機において、さらに有する構成、および得られる主な効果を説明する。
【0178】
(1) 本実施形態では、通常ユーザモード中において楽曲選択画面を介して遊技者によって選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)があるか否かを判定し、選択されている楽曲があれば、選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)を音声出力する。
【0179】
このようにすることで、遊技者は、通常ユーザモード中に好みの楽曲を選択することができるので、通常ユーザモード中楽曲を選択することができないパチンコ遊技機よりも遊技の興趣が向上する。
【0180】
また、楽曲が選択されていれば(S82のYes)、第1決定条件または第2決定条件が成立して新たな楽曲Fが選択可能となったか否かに関わらず選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)の出力を継続する(S82のYesのときには、S88の処理を実行しない)。
【0181】
このようにすることで、遊技者は、選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)を再度選択する操作を行わなくても選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)が繰り返し音声出力されるので、楽曲を選択する操作の煩わしさによる不満を抱くことがなく、遊技の興趣の低下を防止できる。
【0182】
また、第1決定条件または第2決定条件が成立したときにおいて、楽曲が選択されていなければ新たな楽曲Fを音声出力する。このようにすることで、遊技者が新たな楽曲(たとえば、「楽曲F」)を含む楽曲リスト(たとえば、「楽曲A」?「楽曲F」)から好みの楽曲を選択する動機付けとなり、遊技者が楽曲を選択することに対する興味を抱くようになるので、遊技の興趣が向上する。
【0183】
また、楽曲Fは、残り時短回数が20以上のとき(S92のYes)、または残り時短回数が50以上のとき(S80のYes)に出力され得る。つまり、楽曲Fが出力されることにより、残り時短回数が少なくとも20以上であることを示唆できる。したがって、遊技の興趣を向上させることができる。
【0184】
(2) また、第1決定条件(S80のYes)または第2決定条件(S96のYEs)が成立したときにおいて、楽曲選択済みであると判断されたときには(S82のYes)、楽曲Fを出力しない代わりに、背景画像を変更することにより、残り時短回数を示唆する(S84、図21参照)。このように、第1決定条件(S80のYes)または第2決定条件(S96のYEs)が成立したときにおいて、楽曲選択済みであると判断されたときには(S82のYes)、楽曲を出力する演出手段(スピーカ53、54)とは異なる演出手段(液晶表示器51)を用いた演出により、残り時短回数を示唆する。したがって、選択された楽曲(A?Eのいずれか)の出力を阻害することなく、残り時短回数を示唆できる。また、楽曲Fが出力されないからといって、残り時短回数が示唆されなくなってしまうことを防止できる。
【0185】
(3) また、ボタン演出実行中において決定スイッチが操作されたときにおいて(S72のYes)、残り時短回数が50以上であるときに(S80のYes)、楽曲Fは出力され得る。また、演出用スイッチが操作されていないときにおいて(S71のNo)、残り時短回数が20以上であるときに(S92のYes)、楽曲Fは出力され得る。
【0186】
つまり、決定スイッチが操作されたときにおいて出力された楽曲Fにより、残り時短回数が50以上であることが示唆され、決定スイッチが操作されなかったときにおいて出力された楽曲Fにより、残り時短回数が20以上であることが示唆される。
【0187】
したがって、決定スイッチが操作されたときの方が、演出用スイッチが操作されなかったときよりも、楽曲Fにより示唆される残り時短回数は多いことから、遊技の興趣を向上させることができる。また、決定スイッチの操作を行うか否かにより、楽曲Fにより示唆される残りナビストックの量を異ならせることができることから、遊技の興趣を向上させることができる。
【0188】
(4) 楽曲Fは、遊技を進行させる遊技進行操作とは異なる操作(決定スイッチへの操作)が実行されたときに出力可能である(S72のYes)。また、楽曲Fは、遊技を進行させる遊技進行操作とは異なる操作が実行されていないときには、所定条件が成立したときに出力可能である。したがって、楽曲Fの出力の契機を遊技者に明確にすることができる。
【0189】
(5) 第1決定条件または第2決定条件が成立したときにおいて(S80のYes、またはS96のYes)、楽曲が選択済である場合には(図20のS82のYes)、楽曲追加報知演出を実行して(図20のS86)新たな楽曲Fが選択可能となった旨を遊技者に認識させる。
【0190】
このようにすることで、遊技者は、選択されている楽曲(たとえば、「楽曲A」)が繰り返し音声出力されている間にも新たな楽曲(たとえば、「楽曲F」)が選択可能となったことを認識でき、遊技者が新たな楽曲(たとえば、「楽曲F」)を含む楽曲リスト(たとえば、「楽曲A」?「楽曲F」)から好みの楽曲を選択する動機付けとなり、遊技者が楽曲を選択することに対する興味を抱くようになるので、遊技の興趣が向上する。
【0191】
[変形例について]
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。本発明は、上記の実施例に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な変形例などについて説明する。また、前述した本実施形態で説明した技術事項、および、以下の変形例で説明する技術事項のうち少なくとも2つを組み合わせて実施するようにしてもよく、前述した本実施形態で説明した技術事項を以下の変形例で説明する技術事項に置換して実施するようにしてもよく、当該置換したものに対して、以下の変形例で説明する技術事項をさらに組み合わせて実施するようにしてもよい。以下では、主にスロットマシンの変形例について説明するが、パチンコ遊技機にも適用可能である。
【0192】
[有利度について]
(1) 第1実施形態では、楽曲Fの出力により示唆される有利度は、残りナビ数であるとして説明した。しかしながら、楽曲Fの出力により示唆される有利度は、他のものであってもよい。たとえば、該有利度は、現在、設定されている設定値としてもよい。設定値は、各当選役の当選確率を特定する値である。具体的には、内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1?6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
【0193】
このように、楽曲Fの出力により、設定されている設定値を示唆することから、遊技者に設定値を把握、または予想させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。楽曲Fの出力により示唆される有利度を「設定値」とした場合には、たとえば、図20のS80の「残りナビ数≧10?」が「設定値=6?」に代替され、S92の「残りナビ数≧5?」が「設定値≧2?」に代替される。また、図21の「残りナビ数」が「設定されている設定値」に代替され、「0?4」が「1、2」に代替され、「5?9」が「3、4」に代替され、「10以上」が「5、6」に代替される。つまり、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより(S72のYes)、楽曲Fが出力されたときには、設定されている設定値は6であることを遊技者に認識させることができる。また、演出用スイッチ56が操作されずに、通常リプレイが入賞したことにより(S90のYes)、楽曲Fが出力されたときには、設定値は、2?6のいずれかであることを遊技者に認識させることができる。
【0194】
(2) また、有利度は、潜伏状態に関連するものであってもよい。まず、潜伏状態について説明する。スロットマシンまたはパチンコ遊技機は、通常状態と、該通常状態よりも遊技者にとって有利な有利状態とに制御可能であるとする。ここで、有利状態とは、スロットマシンでは、たとえば、ATおよびボーナス状態などのうちの少なくとも1つである。また、有利状態とは、パチンコ遊技機では、たとえば、大当たり状態、確変状態、時短状態などのうちの少なくとも1つである。
【0195】
また、通常状態で実行される演出と、該有利状態で実行される演出とでは、少なくとも一部の演出態様が共通しているとする。潜伏状態とは、該少なくとも一部の演出態様が共通している演出が実行される状態である。潜伏状態に制御されているときには、実行されている演出からでは、通常状態および有利状態のうちのいずれの状態に制御されているかを遊技者は判別することができない。
【0196】
楽曲Fにより示唆される有利度は、有利状態に制御される有利潜伏状態である割合としてもよい。また、有利状態に制御されない潜伏状態を通常潜伏状態という。この場合には、S78の処理の後に、S79の処理として、「第1楽曲F追加抽選の実行」が追加される。また、S80の「残りナビ数≧10?」が「楽曲F追加決定?」に代替される。また、S92およびS94の処理が、第2楽曲F追加抽選に代替される。
【0197】
第1楽曲F追加抽選および第2楽曲F追加抽選とは、ともに、楽曲Fを追加するか否かを決定する処理である。たとえば、第1楽曲F追加抽選では、現在の状態が有利潜伏状態であるときには、必ず、楽曲Fを追加することを決定し、現在の状態が通常潜伏状態であるときには、必ず、楽曲Fを追加しないことを決定する。一方、第2楽曲F追加抽選では、現在の状態が有利潜伏状態であるか通常潜伏状態であるかに関わらず、所定確率(たとえば、50%)で楽曲Fを追加することを決定する。
【0198】
つまり、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより(S72のYes)、楽曲Fが出力されたときには、現在の状態が有利潜伏状態であることが確定していることを遊技者に認識させることができる。一方、演出用スイッチ56が操作されずに、通常リプレイが入賞したことにより(S90のYes)、楽曲Fが出力されたときには、有利潜伏状態であるか否かが不明であることを遊技者に認識させることができる。
【0199】
(3) また、図20のS80、S92において、判断対象の残りナビ数は異なるとして説明した。具体的には、S80の判断対象の残りナビ数は「10」であるのに対し、S92の判断対象の残りナビ数は「5」であるとして説明した。しかしながら、S80、S92において、判断対象の残りナビ数は同一としてもよい。たとえば、判断対象の残りナビ数を「1」としてもよい。この場合には、図20のS92の処理は省略される。
【0200】
ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより(S72のYes)、楽曲Fが出力されたときには、残りナビ数が1以上であることが確定であることを遊技者に認識させることができる。一方、演出用スイッチ56が操作されずに、通常リプレイが入賞したときには(S90のYes)、残りナビ数の量に依存しない楽曲F追加抽選(S94)を実行する。つまり、演出用スイッチ56が操作されずに、通常リプレイが入賞したときに出力された楽曲Fにより、残りナビ数が1以上であるか、残りナビ数が0であるかが不明であることを遊技者に認識させることができる。つまり、演出用スイッチ56が操作されたときと、演出用スイッチ56が操作されないときとで、楽曲Fによる残りナビ数の信頼度を異ならせることができる。
【0201】
(4) また、図20のS80、S92において、S80の「残りナビ数≧10?」が「残りナビ数=10?」に代替され、S92の「残りナビ数≧5?」が「残りナビ数=5?」に代替される。さらに、S94、S96の処理は省略される。
【0202】
このような構成によれば、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されることにより(S72のYes)、楽曲Fが出力されたときには、残りナビ数が10であることが確定であることを遊技者に認識させることができる。一方、演出用スイッチ56が操作されずに、通常リプレイが入賞したことにより(S90のYes)、楽曲Fが出力されたときには、残りナビ数が5であることを遊技者に認識させることができる。
【0203】
(5) 本実施形態では、演出用スイッチ56が操作されたときの方が、演出用スイッチが操作されなかったときよりも、楽曲Fにより示唆される有利度は高いとして説明した。具体的には、演出用スイッチ56が操作されたときの方が、演出用スイッチが操作されなかったときよりも、楽曲Fにより示唆される残りナビ数は多いとして説明した。しかしながら、逆に、演出用スイッチ56が操作されなかったときの方が、演出用スイッチ56が操作されたときよりも、楽曲Fにより示唆される有利度は高い、としてもよい。具体的には、演出用スイッチが操作されなかったときの方が、演出用スイッチ56が操作されたときよりも、楽曲Fにより示唆される残りナビ数は多い、としてもよい。たとえば、図20のS80の「残りナビ数≧10?」が「残りナビ数≧5?」に代替され、S92の「残りナビ数≧5?」が「残りナビ数≧10?」に代替される。
【0204】
このような構成によれば、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されたときには、演出用スイッチが操作されなかったときよりも、楽曲Fを出力させるため残りナビ数の閾値を小さくすることができる。したがって、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されたときには、演出用スイッチが操作されなかったときよりも、楽曲Fを出力する頻度を多くすることができ、残りナビ数を遊技者に認識させる機会を多くすることができる。よって、ボタン演出中の演出用スイッチの操作を促進でき、遊技の興趣を向上させることができる。
【0205】
(6) また、特定演出により示唆されるものは、これらの有利度(残りナビ数など)に限られず、たとえば、付与されている(付与された)特典、および将来的に付与される特典のうち少なくとも一方であるとしてもよい。ここで、特典とは、メダルおよびメダルの増加の少なくとも一方に関連する第1特典としてもよい。たとえば、第1特典は、ATゲーム数、所定枚数(たとえば、300枚)のメダルが払出されるまで継続するボーナス状態への制御、ATゲーム数の上乗せとしてもよい。また、特典は、所定ゲーム(1ゲームを含む)毎にAT抽選を実行する特定状態への制御としてもよい。また、第1特典は、たとえば、非AT中であるもののATゲーム数をすでに獲得しておりATに制御されることが確定しているいわゆるAT潜伏中であるか否かを特定するための情報を報知するもの、あるいは報知されたときに所定の信頼度で実際にAT潜伏中となるように実行される情報(すなわちAT潜伏を示唆する潜伏示唆情報)を報知するものであってもよい。
【0206】
また、特典は、メダルおよびメダルの増加のいずれとも異なる第2特典としてもよい。たとえば、第2特典は、キャラの経験値、特定演出の実行(特別キャラクタ出現など)、一定数を集めることで遊技機が設置された遊技店において定めたサービスと交換可能なポイント付与、特典映像や特典情報を所定のWebサイトにてダウンロードすることが可能な二次元コードを表示などであってもよい。
【0207】
(7) 本実施形態では、演出用スイッチ56が操作されたときに出力された楽曲Fと、演出用スイッチ56が操作されず出力された楽曲Fとで示唆される有利度の種類は同一である(双方とも、残りナビ数)として説明した。しかしながら、演出用スイッチ56が操作されたときに出力された曲Fと、演出用スイッチ56が操作されず出力された曲Fとで示唆される有利度の種類は異なっていてもよい。たとえば、演出用スイッチ56が操作されたときに出力された曲Fでは残りナビ数を示唆する一方、演出用スイッチ56が操作されず出力された曲Fでは設定値を示唆するようにしてもよい。
【0208】
(8) 本実施形態では、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されたときには、演出用スイッチ56が操作されたとして楽曲Fを出力可能とし、ボタン演出が実行されていないときにおいて(S71のNo)、通常リプレイが入賞したときには、演出用スイッチ56が操作されていないとして楽曲Fを出力可能とするとして説明した。しかしながら、「演出用スイッチ56が操作されていないときに出力される楽曲F」については、ボタン演出中に演出用スイッチ56が操作されなかったときに出力される楽曲Fとしてもよい。
【0209】
具体的な処理としては、S71でNoと判断されたときには、楽曲F関連処理は終了し、S76の処理の後に、S92の処理が実行され、該S92において、Yesと判断されれば、S81に移行し、Noと判断されれば、楽曲F関連処理は終了するようにすればよい。
【0210】
[特定演出について]
(1) 本実施形態では、遊技者が選択可能な特定演出は、楽曲を出力する演出であるとして説明した。しかしながら、特定演出は、楽曲を出力する演出に限られず、他の態様(種類)の演出としてもよい。たとえば、特定演出は、液晶表示器51にキャラを表示させる演出としてもよい。たとえば、図19の画面を、キャラA?キャラEを選択可能とする選択画面としてもよい。また、追加され得る新たな特定演出は、残りナビ数を示唆するキャラFを表示する演出としてもよい。
【0211】
また、その他の例として、特定演出は、演出効果LED52を発光させる演出としてもよい。たとえば、図19の画面を、発光態様A?発光態様Eを選択可能とする選択画面としてもよい。発光態様とは、演出効果LED52の発光の態様をいう。また、追加され得る新たな特定演出を、発光態様Fで演出効果LED52を発光させる演出としてもよい。
【0212】
(2) 本実施形態では、第1決定条件または第2決定条件が成立した場合において(S80のYesまたはS96のYes)、楽曲の選択済であると判断された場合には(S82のYes)、楽曲を出力する演出手段(スピーカ53、54)とは異なる演出手段(液晶表示器51)を用いた演出により、残りナビ数を示唆する、として説明した。
【0213】
特定演出はキャラを表示する演出であるとした場合には、以下のような構成を採用してもよい。第1決定条件または第2決定条件が成立した場合において(S80のYesまたはS96のYes)、特定演出が選択済であると判断された場合には(S82のYes)、該選択された特定演出(選択されたキャラ表示)によるキャラの表示を阻害しない態様で、該選択された特定演出を実行する(キャラを表示する)演出手段(液晶表示器51)と同一の演出手段による演出で、残りナビ数を示唆するようにしてもよい。
【0214】
たとえば、遊技者により選択された特定演出が、キャラCを表示させる演出である場合において、第1決定条件または第2決定条件が成立し、かつ特定演出が選択済であると判断された場合には(S82のYes)、該キャラCが表示されている領域とは異なる特定領域を用いて、残りナビ数を示唆するようにしてもよい。たとえば、特定領域に、残りナビ数を示唆するキャラFを表示するようにしてもよい。また、その他の例として、残りナビ数を示唆するセリフ画像を特定領域に表示することにより、セリフ画像に係るセリフをキャラCが喋っているように表示するようにしてもよい。
【0215】
また、その他の例として、キャラCが表示されているときの背景画像を、残りナビ数を示唆する背景画像として表示するようにしてもよい。
【0216】
また、「キャラの表示を阻害しない態様」とは、たとえば、「該キャラが表示されていることを遊技者が認識できる態様」であれば如何なる態様であってもよい。たとえば選択されているキャラCが表示されている場合には、選択されたキャラCの表示を停止すると共にキャラFを表示し、該停止されたタイミングから極めて短い時間(たとえば、2秒間)経過後に、選択されたキャラCを再び表示するようにしてもよい。このような場合には、キャラCの表示が短時間消えることになるが、遊技者から見れば、該キャラCの表示が阻害されることにはならない。
【0217】
このような構成によれば、第1決定条件または第2決定条件が成立した場合において(S80のYesまたはS96のYes)、特定演出が選択済であると判断された場合には(S82のYes)、選択されている特定演出を阻害しない態様で、新たな特定演出(キャラFの表示)を実行することから、有利度の示唆がされなくなってしまうことを防止できる。
【0218】
(3) 本実施形態では、第1決定条件または第2決定条件が成立した場合において(S80のYesまたはS96のYes)、特定演出が選択済であると判断された場合には(S82のYes)、楽曲Fは出力されないとして説明した。しかしながら、第1決定条件または第2決定条件が成立した場合において、特定演出が選択済であると判断された場合には、該選択されている楽曲を所定期間出力した後に、楽曲Fを出力するようにしてもよい。
【0219】
ここで、所定期間とは、選択されている楽曲のワンフレーズが出力される期間としてもよい。また、その他の所定期間として、選択されている楽曲の全てが出力される期間としてもよい。
【0220】
また、選択された楽曲は、所定状態において出力されるものであってもよい。ここで、所定状態とは、遊技者にとって有利な有利状態であるとしてもよい。また、有利状態とは、ATまたはボーナスとしてもよい。このような構成によれば、有利状態に制御されたときに、遊技者が選択した楽曲が出力されることから、遊技の興趣を向上させることができる。
【0221】
以下では、有利状態は、ATであるとする。また、1ナビストックで制御されるATを「1セットのAT」という。この場合において、所定期間とは、1セットのAT中において、第1決定条件または第2決定条件が成立した場合であり、特定演出が選択済であると判断されたタイミングから、該1セットのATが終了するタイミングまでの期間としてもよい。
【0222】
このような構成の場合には、「1セットのAT中において、第1決定条件または第2決定条件が成立した場合であり、特定演出が選択済であると判断されたセットのAT」では、選択された特定演出を実行し(選択された楽曲を出力し)、該1セットの次のセットのATにおいて、新たな特定演出を実行するようにしてもよい(楽曲Fを出力してもよい)。また、その他の変形例として、「1セットのAT中において、第1決定条件または第2決定条件が成立した場合であり、特定演出が選択済であると判断されたセットのAT」では、選択された特定演出を実行し(選択された楽曲を出力し)、該1セットが終了したときに、新たな特定演出を実行するようにしてもよい(楽曲Fを出力してもよい)。
【0223】
また、選択されている楽曲を所定期間出力したタイミングで、該選択されている楽曲から楽曲Fに切替えて出力するようにしてもよい。また、選択されている楽曲を所定期間、出力したタイミングで該選択されている楽曲の出力を停止することで、楽曲が出力されない状態を一定期間継続させ、該一定期間継続させた後に、楽曲Fを出力するようにしてもよい。
【0224】
このような構成によれば、第1決定条件または第2決定条件が成立した場合において、特定演出が選択済であると判断された場合には、選択された特定演出、および新たな特定演出の双方が実行されることから、遊技の興趣を向上させることができる。
【0225】
(4) 本実施形態では、図22(B)に示すように、楽曲Fの出力タイミングは、演出用スイッチ56の操作タイミング(S72のYes)であるとして説明した。しかしながら、楽曲Fの出力タイミングは、演出用スイッチ56の操作タイミングに限らず、他の操作タイミングであってもよい。他の操作は、遊技を進行させる遊技進行操作とは異なる非遊技進行操作とすることが好ましい。非遊技進行操作とは、たとえば、ベット操作(MAXBETスイッチ6への操作)が行われたときから、第3停止されるときまでの期間でのMAXBETスイッチ6への操作としてもよい。また、このような構成の場合には、ボタン演出として、MAXBETスイッチ6への操作を要求する演出が実行される。
【0226】
(5) 本実施形態では、図22(A)に示すように、演出用スイッチ56が操作されないときの楽曲Fの出力タイミングは、通常リプレイの入賞時であるとして説明した。しかしながら、楽曲Fの出力タイミングは、通常リプレイの入賞時に限らず、他の役の入賞時としてもよい。他の役とは、中段ベルとしてもよい。
【0227】
また、入賞確率が低い他の役が入賞したときなどには、他の条件(たとえば、S82、およびS96でYesとなる条件)が成立していなくても楽曲Fを出力するような構成であってもよい。このような構成によれば、他の条件が成立したか否かを判定する判定処理を削減できることから、サブ制御部91の処理負担を軽減できる。
【0228】
(6) 演出用スイッチ56が操作されないときの楽曲Fの出力タイミングは、所定役(通常リプレイ)の入賞時に限らず、所定役の当選時としてもよい。ここで所定役とは、たとえば、通常リプレイとしてもよい。通常リプレイのように、当選確率が高い役が当選したときには、S94の楽曲F追加抽選により当選したときに楽曲Fを出力するようにしてもよい。このように、所定役の当選を楽曲Fの出力の契機としても、楽曲Fの出力の契機を遊技者に明確にすることができる。
【0229】
また、当選確率が低い他の役が当選したときなどには、他の条件(たとえば、S82、およびS96でYesとなる条件)が成立していなくても楽曲Fを出力するような構成であってもよい。このような構成によれば、他の条件が成立したか否かを判定する判定処理を削減できることから、サブ制御部91の処理負担を軽減できる。
【0230】
(7) 演出用スイッチ56が操作されないときの楽曲Fの出力タイミングは、第3停止(通常リプレイが入賞したタイミング)であるとして説明した。しかしながら、演出用スイッチ56が操作されないときの楽曲Fの出力タイミングは、遊技進行操作タイミングであれば、第3停止タイミングに限らず他のタイミングであってもよい。たとえば、ベット操作タイミング、レバーオン操作タイミング、第1停止タイミング、第2停止タイミングのうち少なくとも1つのタイミングとしてもよい。
【0231】
また、楽曲Fの追加が決定されたときにおいて、たとえば、第3停止されたときには、他の条件(たとえば、S82、およびS96でYesとなる条件)が成立していなくても楽曲Fを出力するような構成であってもよい。このような構成によれば、他の条件が成立したか否かを判定する判定処理を削減できることから、サブ制御部91の処理負担を軽減できる。
【0232】
(8) 楽曲が選択されていなければ、次に、楽曲Fの出力タイミングの変形例を説明する。楽曲の選択が行われていない場合には、所定の順番(たとえば、設定順であり、「楽曲A」、「楽曲B」、…、「楽曲E」、「楽曲A」、…の順)に音声出力されるが、新たな楽曲Fが選択可能となったときには(第1決定条件または第2決定条件が成立したときには)、最後の楽曲Eが終了した後に、楽曲Fは出力されるようにしてもよい。また、最後の楽曲(たとえば、「楽曲E」)と最初の楽曲(たとえば、「楽曲A」)との間に新たな楽曲Fが追加設定される。
【0233】
仮に、「楽曲A」?「楽曲E」のループの途中で、新たに追加された楽曲Fが出力されると、遊技者に違和感を抱かせる虞がある。これに対し、本変形例では、楽曲リストの設定順における最後の楽曲(たとえば、「楽曲E」)の終了後に楽曲Fを出力することにより、このような違和感を抱かせることを防止できる。
【0234】
なお、本変形例では、楽曲が選択されていなければ、楽曲リストに設定された楽曲を設定順に音声出力したが、楽曲リストに設定された楽曲をランダムに選択して同じ楽曲を繰り返し音声出力するようにしてもよい。この場合、たとえば、「楽曲B」を繰り返し実行するときに、新たな「楽曲F」が選択可能となったときには、「楽曲B」の終了時に繰り返し音声出力される予定であった「楽曲B」に替えて新たな「楽曲F」を音声出力してもよい。
【0235】
(9) また、本実施形態では、楽曲が選択されていれば、新たな楽曲が選択可能となったか否かに関わらず選択されている楽曲を音声出力するとして説明した。しかしながら、楽曲が選択された場合でも、新たな楽曲Fが選択可能となったときには、新たな楽曲を音声出力することがあってもよい。たとえば、特別な楽曲(たとえば、「楽曲A」)が選択されていれば、新たな楽曲Fが選択可能となったか否かに関わらず選択されている特別な楽曲Aを音声出力し、その他の楽曲(たとえば、「楽曲B」?「楽曲E」)が選択されていれば、新たな楽曲Fが選択可能となったときには、新たな楽曲Fを音声出力するようにしてもよい。
【0236】
(10) 本実施形態では、第1決定条件または第2決定条件が成立したときに、新たな楽曲Fが追加されるとして説明した。しかしながら他の条件が成立したときに新たな楽曲Gが追加されるとしてもよい。他の条件とはたとえば、特定のミッションA、Bを達成することにより成立する条件としてもよい。ここで、ミッションAは、通常ユーザモードまたは簡単ユーザモードにおいてのみ実行されるプレミア演出が実行されることにより達成されるミッションである。また、ミッションBは、パスワード入力後の遊技において成立可能なボーナス当選回数が100回目となることにより達成されるミッションである。
【0237】
このような構成によれば、通常ユーザモードまたは簡単ユーザモードの遊技、すなわち、遊技履歴更新データ等に対応した遊技を開始した後にのみ達成する可能性がある特定のミッションA、Bを達成することによって新たな楽曲が追加される可能性がある。したがって、遊技者が新たな楽曲を選択可能となるようにするために遊技履歴更新データ等に対応した遊技をするようになる。この結果、遊技履歴データに対応した遊技をしなくても特定のミッションを達成して新たな楽曲が追加される可能性があるスロットマシンよりも遊技履歴更新データ等に対応した遊技を促進できる。
【0238】
本変形例では、簡単スタート選択後の遊技であっても特定のミッションを達成して新たな楽曲が追加される可能性があるようにした。更なる変形例として、たとえば、パスワード入力後の遊技でなければ。特定のミッションを達成して新たな楽曲が追加されないようにしてもよい。
【0239】
このようにすることで、遊技者が新たな楽曲を選択可能となるようにするために通常ユーザモードまたは簡単ユーザモードで遊技をするようになる。この結果、通常ユーザモードまたは簡単ユーザモードでの遊技をしなくても特定のミッションを達成して新たな楽曲が追加される可能性があるスロットマシンよりも通常ユーザモードまたは簡単ユーザモードでの遊技を促進できる。
【0240】
また、本変形例の更なる変形例として、特定のミッションは、遊技者からのパスワードの入力を受け付けたときには、遊技者からのパスワードの入力を受け付けていないときよりも達成しやすいミッションとしてもよい。たとえば、特定のミッションは、遊技者からのパスワードの入力を受け付けたか否かに関わらず、所定条件(たとえば、所定の入賞)が成立し、かつ所定の乱数抽選により当選することにより達成されるミッションとした場合について説明する。この場合には、遊技者からのパスワードの入力を受け付けたときに実行される乱数抽選の当選確率をP1とし、遊技者からのパスワードの入力を受け付けていないときに実行される乱数抽選の当選確率をP2とする。ただし、P1>P2とする。このような構成によれば、特定のミッションは、遊技者からのパスワードの入力を受け付けたときには、遊技者からのパスワードの入力を受け付けていないときよりも達成しやすいミッションとすることができる。その結果、遊技者が新たな楽曲を選択可能となるようにするためにパスワードを入力して遊技をするようになる。したがって、パスワードを入力した遊技をしなくても特定のミッションを達成して新たな楽曲が追加される可能性が高いスロットマシンよりもパスワードを入力した遊技を促進できる。
【0241】
また、特定のミッションを達成したとき、つまり楽曲Gが出力されたときには、特典を付与するようにしてもよい。ここで付与される特典は、第1特典および第2特典のいずれであってもよい。なお、仮に、付与される特典を、第1特典(メダルまたはメダルの増加に関連する特典)とした場合には、パスワードの入力が受付けられたときに第1特典が付与されることから店舗側などとって不合理となる。特定のミッションを達成したとき、つまり楽曲Gの追加が決定されたとき(または楽曲Gの出力が決定されたとき)には第2特典を付与することが好ましい。
【0242】
(11) 次に、楽曲が出力されている場合において、該楽曲の出力を中断させる中断条件が成立したときについて説明する。ここで、中断条件とは、連続演出が実行されることにより成立する条件である。連続演出の実行条件は、たとえば、ナビ抽選が実行されることにより成立する条件である。連続演出は、複数ゲームに亘って実行される演出であり、最終ゲームにおいて、ナビ抽選の結果を報知する演出である。
【0243】
図23は、楽曲が選択されていない場合において、連続演出が実行されたときのタイミングチャートである。タイミングT1において、楽曲Aの出力が開始されたとする。その後、楽曲A?Eが所定の順番(ループ)で出力される。
【0244】
タイミングT2で、連続演出が開始されたとする。これとともに、出力されていた楽曲は停止する(中断する)。連続演出中のタイミングT3で、新たな楽曲の追加が決定されたとする。この場合には、タイミングT3では、該新たな楽曲の出力は行わない。タイミングT4で再開条件が成立したとする。ここで、再開条件とは、連続演出が終了したことにより成立する条件である。タイミングT4では中断された楽曲は出力させず、タイミングT3で追加が決定された新たな楽曲を出力させる。
【0245】
このような構成によれば、楽曲が選択されていないと判定された場合において楽曲の出力が中断された(タイミングT2)後に新たな楽曲が選択可能となったとき(タイミングT3)には、中断された楽曲出力の再開時(タイミングT4)に、該中断された楽曲に替えて新たな楽曲が出力される。したがって、遊技者は、楽曲の出力が中断されたときにおいて、選択可能となった新たな楽曲を中断された楽曲の替わりに出力したことを認識でき、楽曲の実行の再開時に中断された楽曲に替えて新たな楽曲が出力されない遊技機よりも新たな特定演出が実行されることへの違和感を低減できる。また、連続演出を遊技者に明確に認識させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0246】
なお、楽曲が選択された場合において、タイミングT1?T2までは、選択された楽曲が出力され、タイミングT2で連続演出が開始されることにより該選択されている楽曲の出力が中断される。タイミングT3において新たな特定演出の実行が決定されたとしても、タイミングT4では中断された楽曲(つまり選択された楽曲)の出力が再開される。
【0247】
また、楽曲Fは、残りナビ数など、メダルおよびメダルの増加のいずれかに関連する特典を示唆するものであるとして説明した。一方、楽曲Gは、メダルおよびメダルの増加のいずれとも異なる特典を示唆するものであるとして説明した。したがって、楽曲Fは遊技者にとっての重要度は高く、楽曲Gは遊技者にとっての重要度は低いものであるといえる。
【0248】
図23のタイミングT3において追加された楽曲が、重要度が高い楽曲Fである場合には、タイミングT3の時点で該楽曲Fを出力するようにしてもよい。仮に、残りナビ数が示唆される楽曲FがタイミングT4で出力される構成では、該楽曲FがタイミングT3で出力される構成よりも、ATに制御されるタイミングが遅延することになり、遊技者に損害を被る虞がある。そこで、タイミングT3で重要度が高い楽曲の追加が決定されたときには、タイミングT4ではなくタイミングT3で該楽曲を出力することが好ましい。なお、この場合には、タイミングT3において、連続演出は終了するが、タイミングT4でナビ抽選の結果の報知は実行される。一方、図23のタイミングT3において追加された楽曲が、重要度が低い楽曲Gである場合には、図23で説明したように、タイミングT4から該楽曲Gの出力を開始するようにしてもよい。このような構成によれば、追加された楽曲の重要度に応じて、該追加された楽曲の出力開始タイミングを多様にできると共に、遊技者に被る損害を低減できる。
【0249】
(12) 本実施形態では、演出用スイッチ56が操作されたときと演出用スイッチ56が操作されなかったときとで、出力される楽曲は全く同一(双方とも楽曲F)であるとして説明した。しかしながら、演出用スイッチ56が操作されたときに出力される楽曲X1は、演出用スイッチ56が操作されなかったときに出力される楽曲X2と類似(略同一)していてもよい。ここで、「楽曲X1と楽曲X2とが類似している」とは、たとえば、楽曲X1と楽曲X2とが異なっていることを遊技者が判別できない程度に、楽曲X1と楽曲X2とが異なっていることである。
【0250】
(13) 楽曲Fは、本実施形態で説明したタイミングとは異なるタイミングで出力するようにしてもよい。たとえば、AT当選したとき、またはAT上乗せ当選したときにおいて、楽曲Fを出力可能としてもよい。この場合には、たとえば、該AT当選またはAT上乗せ当選により付与されたナビストック数と、RAM41bに格納されているナビストック数との加算値が閾値(本実施形態では、5または10)以上であるときに、出力可能としてもよい。
【0251】
[操作手順について]
本実施形態では、ストップスイッチの操作手順は、ストップスイッチの押し順とストップスイッチの操作タイミングとの双方の概念を含むとして説明した。しかしながら、ストップスイッチの操作手順は、ストップスイッチの押し順とストップスイッチの操作タイミングとのうちいずれか一方の概念を含むようにしてもよい。
【0252】
[リールについて]
本実施形態では、リールの数は、3個であるとして説明した。しかしながら、リールの数は、1個または2個であってもよく、4個以上であってもよい。また、リールの数が1個である場合には、ミッション達成報知を実行させる表示結果を導出させる操作手順の概念は、操作タイミングのみを含み、押し順を含まないものとなる。
【0253】
[設定変更状態および設定確認状態について]
設定キースイッチ37をon状態として電源をonすると、設定値表示器24にメイン制御部41のRAMから読み出された設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更状態に移行するようにしてもよい。また、設定変更状態に関して、「電源ON」+「設定キースイッチON」+「前面扉開放検出」を条件として、設定変更状態に移行させるようにしてもよい。これにより、前面扉が開放されていない状態での不正な設定変更を防ぐことができる。また、一旦設定変更状態に移行された後は、設定変更状態を終了させる終了条件(設定値確定後に設定キースイッチがOFF操作)が成立するまで前面扉の開閉状態に関わらず設定変更状態を維持するようにしてもよい。これにより、設定変更状態中に前面扉が閉まっても設定変更状態を終了させないため、再度設定変更状態へ移行させる手間を生じさせてしまうことを防ぐことができる。
【0254】
設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をon状態とすればよい。このような状況で設定キースイッチ37をon状態とすると、設定値表示器24にメイン制御部41のRAMから読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。また、設定確認状態に関して、「設定キースイッチON」+「前面扉開放検出」を条件として、設定確認状態に移行させるようにしてもよい。これにより、前面扉が開放されていない状態での不正な設定確認を防ぐことができる。また、一旦設定確認状態に移行された後は、設定確認状態を終了させる終了条件(設定キースイッチがOFF操作)が成立するまで前面扉の開閉状態に関わらず設定確認状態を維持するようにしてもよい。これにより、設定確認状態中に前面扉が閉まっても設定確認状態を終了させないため、再度設定確認状態へ移行させる手間を生じさせてしまうことを防ぐことができる。
【0255】
[その他の変形例]
本実施形態として、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すスロットマシンを説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式のスロットマシンを採用してもよい。基盤とドラムとが流通可能で、筺体が共通なもので基盤のみあるいは基盤とドラムとを遊技機と称する。
【0256】
また、パチンコ遊技機においては、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すパチンコ遊技機を採用してもよく、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式のパチンコ遊技機を採用してもよい。封入式のパチンコ遊技機には、遊技媒体の一例となる複数の玉をパチンコ遊技機内で循環させる循環経路が形成されているとともに、遊技点を記憶する記憶部が設けられており、玉貸操作に応じて遊技点が記憶部に加算され、玉の発射操作に応じて遊技点が記憶部から減算され、入賞の発生に応じて遊技点が記憶部に加算される。また、パチンコ遊技機は、発射装置および玉払出装置を備えた遊技枠に遊技球が打ち込まれる遊技領域を形成する遊技盤を取り付けた構成であるが、これに限らず、発射装置は玉払出装置などの基本的な機能を共通化し、遊技の特長的構成である遊技盤のみを流通させるようにしてもよい。この場合、遊技の特長的構成であるところの遊技盤を遊技機と称する。
【0257】
本実施形態では、「割合(比率、確率)」を例示したが、「割合(比率、確率)」は、これに限るものではなく、たとえば0%?100%の範囲内の値のうち、0%を含む値や、100%を含む値、0%および100%を含まない値であってもよい。すなわち、「割合が異なる」とは、たとえば、AおよびBがそれぞれ70%および30%あるいは30%および70%のような関係であることからAとBとの割合が異なるというものだけに限らず、100%および0%のような関係であることからAとBとの割合が異なるというものも含まれる。
【0258】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0259】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、8L,8C,8R ストップスイッチ、40 遊技制御基板、41 メイン制御部、41a メインCPU、41b RAM、41c ROM、42 乱数回路、43 パルス発振器、51 液晶表示器、56 演出用スイッチ、90 演出制御基板、91 サブ制御部、91a サブCPU、91b RAM、91c ROM。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行うことが可能な遊技機であって、
遊技者にとっての有利度を示唆する示唆演出音を出力可能な示唆演出音出力手段と、
前記示唆演出音と異なる通常演出音が出力されているときに所定操作を遊技者に促進する促進演出を実行する促進演出実行手段と、を備え、
前記示唆演出音出力手段は、
前記促進演出の実行中において前記所定操作がされたときに前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第1制御と、
前記通常演出音が出力されているときに前記促進演出が実行されることなく前記通常演出音から切り替えて前記示唆演出音を出力する第2制御と、
のいずれかにより前記示唆演出音を出力可能であり、
前記第1制御により出力される前記示唆演出音と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音とは、同一であり、
前記第1制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度と、前記第2制御により出力される前記示唆演出音により示唆される有利度とは、異なる、遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-09-08 
出願番号 特願2015-135413(P2015-135413)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 金子 和孝  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 太田 恒明
北川 創
登録日 2020-07-02 
登録番号 特許第6726940号(P6726940)
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人平木国際特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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