• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1000588
審判番号 審判1997-3065  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-03-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-02-27 
確定日 1999-08-06 
事件の表示 平成 2年 特 許 願 第206276号「撮像装置」拒絶査定に対する審判事件(平成 4年 3月24日出願公開、特開平4- 90275)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I 【手続きの経緯、本願発明の要旨】
本願は、平成2年8月1日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成9年3月27日付け、および平成11年4月12日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「(1)撮像素子から得られる撮像映像信号の高周波成分のレベルを一定期間毎に焦点評価値として検出する焦点評価値検出手段と、
上記焦点評価値の変化を監視し、焦点評価値の増加方向にフォーカスレンズを移動させ、焦点評価値が最大となる位置で固定する合焦動作を行う第1のフォーカス制御手段と、
撮像装置の動きに対応した信号を増幅及び波形整形して、上記撮像装置の単位時間当りの移動量と移動の向きを検出する動きベクトル検出手段と、
上記動きベクトル検出手段における単位時間当りの移動量検出値が所定の値を超えた場合に上記第1のフォーカス制御手段の出力を制限或いは禁止する第2のフォーカス制御手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。」
II【引用例】
これに対して、当審において平成11年1月28日付けで通知した拒絶の理由で引用した特開昭63-197176号公報(以下、「引用例」という。)には、「自動合焦装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次のとおりの記載がある。
▲1▼「撮像手段と、当該撮像手段からの撮像信号により撮影光学系を合焦位置に自動制御する制御手段と、当該撮像信号を所定期間前の撮像信号と比較し、当該撮像手段の撮像面における被写体像の変化量を定量的に検出する被写体像変化検出手段とを有し、当該被写体像変化検出手段が、被写体像の変化量に応じて前記制御手段の自動制御を停止する期間を可変とすることを特徴とする自動合焦装置。」(特許請求の範囲)
▲2▼「本発明は、自動合焦装置に関し、より具体的には、ビデオ・カメラ等の、撮像素子を有するカメラの自動合焦装置に関する。」(公報第1頁左下欄第14行〜第16行)
▲3▼「従来、ビデオ・カメラの自動合焦装置としては、映像信号中の高周波成分が撮影画面の精細度に対応することに着目し、当該高周波成分が最大となるように撮影光学系の焦点調節リング(以下ヘリコイドという)を回転制御する所謂山登り方式が公知である。・・・ (中略)・・・
第4図はこの山登り方式による自動合焦装置の基本構成ブロック図を示す。10は撮像光学系としてのレンズ、12は撮像面の光信号を電気映像信号に変換して出力するカメラ回路、14は、カメラ回路12から出力される映像信号から高周波成分を取り出すハイ・パス・フィルタ(HPF)である。検波回路16はHPF14からの高周波成分を検波する。検波器16の出力レベルは被写体映像の精細度を表しており、ヘリコイドの調節位置に対して第5図に示すように上に凸の特性を示す。但し第5図の位置Aをピントの合った合焦位置であるとしている。差分ホールド回路18は、検波回路16の出力(以下、焦点電圧という)を一定時間毎にサンプル・ホールドし、焦点電圧の時間変化量に相当する信号を出力する。・・・(中略)・・・
モータ駆動回路20は、差分ホールド回路20の出力の極性によりレンズ10(具体的にはそのヘリコイド)の駆動モータ22の回転方向を決定し、またシステムによっては、差分ホールド回路20の出力レベルに応じてモータ22の回転速度を調節する。このようにして、モータ22のヘリコイド制御ループは検波回路16から出力される焦点電圧の山を登り、ついにはこの山の頂上つまり合焦点で停止するようにモータ22を制御する。」 (公報第1頁左下欄第18行〜第2頁左上欄第15行)
▲4▼「第1図において、レンズ10、カメラ回路12、HPF14、検波回路16、差分ホールド回路18、モータ駆動回路20及びモータ22によるレンズ10の合焦制御ループは、第6図の場合と基本的に同じである。本実施例では、パンニング等を検出する手段として、撮像面における被写体像の変化を検出する検出回路30を設け、この検知回路30がモータ駆動禁止信号をモータ駆動回路20に印加すると、モータ駆動回路20は入力信号に関わらずモータ22の駆動を禁止する。
被写体像変化検出回路30の一例を第2図に示した。被写体像変化検出回路30は基本的には、第3図に示すように、カメラ回路12の撮像面を縦横複数の区画(第3図では5×7)に区切り、各区画の平均輝度を1フィールド前の同じ区画の平均輝度と比較することによって、被写体像の変化の量を定量的に検出する。・・・(中略)・・
具体的に説明すると、カウンタ38の計数値が閾値TH1より大きい(即ち被写体の変化量が大きい)時には、MM44,46の両方が同時にパルスを発生するが、MM44のパルス幅の方が広いので、MM44の発生パルスが禁止信号としてオア・ゲート48を介してモータ駆動回路20に供給される。」(公報第2頁右下欄第4行〜第3頁右上欄第14行)
▲5▼「以上の説明から容易に理解出来るように、本発明によれば、パンニング等により被写体像に変化が生じても、その変化の程度に応じて撮影光学系の焦点調整を行わない期間を制御しているので、撮影光学系の誤動作を効果的に防止出来る。」(公報第3頁左下欄第18行〜同頁右下欄第2行)
III【対比】
そこで、本願発明と引用例に記載の発明とを対比すると次のことが認められる。
1)引用例には、山登り方式を前提とした自動合焦装置において、カメラ回路から出力される映像信号の高周波成分をHPFで取り出し、検波回路で検波して、焦点電圧を得ることが記載されており(引用例の上記▲3▼,▲4▼の記載参照)、それらの記載によると、引用例に記載のものも、本願発明でいう「撮像素子から得られる撮像映像信号の高周波成分のレベルを一定期間毎に焦点評価値として検出する焦点評価値検出手段」に対応する手段を有するものといえる。
2)引用例には、検波回路の出力を一定時間毎にサンプル・ホールドし、焦点電圧の時間変化量に相当する信号を出力すること、およびその差分ホールド回路の出力の極性によりレンズの駆動モータの回転方向を決定し、モータのヘリコイド制御ループは検波回路から出力される焦点電圧の山を登り、ついにはこの山の頂上つまり合焦点で停止するようにモータを制御する制御手段が記載されており(引用例の上記▲1▼,▲3▼の記載参照)、その「制御手段」が、本願発明でいう「第1のフォーカス制御手段」に相当するものといえる。
3)引用例には、パンニング等を検出する手段として、撮像面における被写体像の変化を検出する検出回路を設けること、およびこの被写体像変化検出回路は、カメラ回路の撮像面を縦横複数の区画に区切り、各区画の平均輝度を1フィールド前の同じ区画の平均輝度と比較することによって、被写体像の変化の量を定量的に検出するものであることが記載されており(引用例の上記▲4▼の記載参照)、それによってパンニング等により被写体像に変化が生じても、その変化の程度に応じて撮影光学系の焦点調整を行わない期間を制御することができると記載されており(引用例の上記▲5▼の記載参照)、それらの記載によると、引用例に記載のものも被写体像の変化量を検出することによってパンニング等を検出しており、すなわち撮像装置の動きを検出しているものといえ、その検出が、「撮像装置の単位時間当りの移動量と移動の向きを」を検出するものか否かは別としても、本願発明のように「撮像装置の動きに対応した信号」から「上記撮像装置」の動きを検出する「検出手段」を有するものといえる。
4)引用例には、被写体像変化検出手段が、被写体像の変化量に応じて制御手段の自動制御を停止する期間を可変とすることが記載されており(引用例の上記▲1▼の記載参照)、その実施例には、撮像面における被写体像の変化量を検出し、その変化量が大きい時には、禁止信号がモータ駆動回路に供給されることも記載されている(引用例の上記▲1▼,▲4▼の記載参照)。
それらの記載によれば、引用例記載のものも、本願発明でいう「検出手段における」 「検出値が所定の値を超えた場合に上記第1のフォーカス制御手段の出力を禁止する第2のフォーカス制御手段」に相当する手段を有するものといえる。
5)引用例に記載のものもビデオ・カメラ等の撮像素子を有するカメラの自動合焦装置に関するものであって(引用例の上記▲2▼の記載参照)、本願発明と同様「撮像装置」を対象とするものといえる。
6)以上の1)〜5)の点を踏まえると、両者は、「撮像素子から得られる撮像映像信号の高周波成分のレベルを一定期間毎に焦点評価値として検出する焦点評価値検出手段と、
上記焦点評価値の変化を監視し、焦点評価値の増加方向にフォーカスレンズを移動させ、焦点評価値が最大となる位置で固定する合焦動作を行う第1のフォーカス制御手段と、
撮像装置の動きに対応した信号から撮像装置の動きを検出する検出手段と、
上記検出手段における検出値が所定の値を超えた場合に上記第1のフォーカス制御手段の出力を禁止する第2のフォーカス制御手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。」である点で一致し、次の点で相違している。
1.撮像装置の動きを検出する検出手段が、本願発明では、撮像装置の動きに対応した信号を「増幅及び波形整形して、上記撮像装置の単位時間当りの移動量と移動の向きを検出する動きベクトル検出手段」であるのに対して、引用例には、撮像装置の動きに対応した信号を「増幅及び波形整形」することは記載がなく、しかも検出手段は、被写体像の変化量を検出する被写体像変化検出手段である点(相違点1)。
2.第2のフォーカス制御手段が、本願発明では「上記動きベクトル検出手段における単位時間当りの移動量検出値」が所定の値を超えた場合に上記第1のフォーカス制御手段の出力を禁止するものであるのに対して、引用例記載のものでは、被写体像変化検出手段における被写体像の変化量が大きい時に制御手段の自動制御を禁止している点(相違点2)。
IV【当審の判断】
次に、上記各相違点について検討する。
相違点1について
動きベクトル検出手段を用いて、映像信号の動きに対応した信号から単位時間当りの移動量と移動の向きを検出することは当該技術分野の周知・慣用手段であり、引用例記載のものにおける被写体像変化検出手段に代えて、上記周知・慣用の動きベクトル検出手段を採用すること、すなわち本願発明のように「上記撮像装置の単位時間当りの移動量と移動の向きを検出する動きベクトル検出手段」を採用する程度のことは当業者が容易になし得ることであり、その際、撮像装置の動きに対応した信号を「増幅及び波形整形」することも適宜なし得る設計的事項にすぎない。
相違点2について
上記相違点1の判断で述べたような「動きベクトル検出手段」の採用に伴い、第2のフォーカス制御手段が、本願発明のように「単位時間当りの移動量検出値」が所定の値を超えた場合に上記第1のフォーカス制御手段の出力を禁止するようになす程度のことも当業者が当然になし得る一制御態様にすぎない。
そして、本願発明の効果についてみても格別顕著なものがあるとはいえない。
V【むすび】
したがって、本願発明は、上記引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-05-24 
結審通知日 1999-06-01 
審決日 1999-06-25 
出願番号 特願平2-206276
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 健一  
特許庁審判長 村井 誠次
特許庁審判官 橋本 恵一
丹治 彰
発明の名称 撮像装置  
代理人 前田 実  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ