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審決分類 審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1000709
審判番号 審判1998-2110  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1990-08-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-02-12 
確定日 1999-08-04 
事件の表示 平成 1年 特 許 願 第 18897号「磁気記録用基板とそのテクスチャリング加工方法及び加工装置」拒絶査定に対する審判事件(平成 2年 8月 8日出願公開、特開平 2-199617)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成1年1月28日の出願であって、平成9年10月28日付及び平成10年3月13日付の手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は「磁気記録用基板」に関するものと認められる。
2.原査定の理由
一方、原査定の拒絶理由の概要は、「この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない。」というものであって、不備な点として下記の点を指摘している。
「請求項1に記載の磁気記録用基板について、波面の振幅が10〜100Å、波長が1〜30mmとの記載があるが、振幅に対して波長が最低10万倍のオーダーで違い、テクスチャー形成時の誤差の範囲と見なせる程度の振幅でしかなく、果たして記載された効果が生じるのか疑問である。また、テクスチャーによる溝の深さと振幅も同程度と思われ、又、研磨テープ等により加工していることから形成される溝もさほど規則的にはならないと認められ、表面の粗さに埋もれる程度の振幅にしかならないのではないか。実施例、比較例などによる効果の裏付けが必要と思われる。」
3.請求人の主張
これにたいして、請求人は、平成10年3月13日付手続補正書において、明細書11頁3〜5行の「一般には、振幅aが10〜100Å、波長bが1〜30mmの範囲内でコントロールされる。」とある記載を削除する補正を行い、「この補正により上記記載を根拠とする拒絶理由2は全て解消したものと確信する」と主張すると共に、「原審引用例や、参考文献として添付した特開昭64-70922号公報及び特開平1-264759号公報等から明らかなように、研磨テープを使用してテクスチャー加工を行う技術は公知であって、実用化されている技術である。特に原審引用例には、テクスチャーの溝幅や深さをμm単位やÅ単位で設定することも記載されている。上記認定はこのような現実に実施されている技術を否定するものであって、このような認定を到底容認することはできない。」と主張している。
4.当審の判断
しかしながら、前記補正された明細書及び図面の記載を前記請求人の主張を参酌しながらみても前記拒絶理由の「・・・記載された効果が生じるのか疑問」、「実施例、比較例などによる効果の裏付けが必要」とする点は解消していない。
すなわち、本願発明のような磁気記録用基板の表面は、平成9年10月28日付の意見書2頁14行〜17行に記載されているように「平均粗さが20Å以下・・・微細溝(テクスチャー)の深さ200Å」という極微の技術分野のことであるので、実施例として具体的な数値(例えば本願発明の場合、円周方向に設けられる微細溝どうしの間隔、波付けされた波面の深さ、周期等の本願発明を容易に実施できる程度のデータ)の開示をすることは不可欠のことであり、そのような実施例に基づいてその発明の効果を実験データなどにより説明すべきところ、本願の場合、平成10年3月13日付手続補正書において、唯一の実施例として出願当初の明細書に記載されていた微細溝の波付けされた波面の振幅及び波長の記載を削除している。この結果、効果の確認ができないどころか、本願発明の実施例までもが削除されたということになり、本願発明が発明の詳細な説明に容易に実施できる程度に記載されているものともいえなくなった。
したがって、本願の補正された明細書によっても、発明の詳細な説明には、当業者が容易に実施できる程度に本願発明の構成、効果が記載されているものとすることはできない。
5.むすび
以上のとおりであるから、本願は、特許法第36条第3項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-05-24 
結審通知日 1999-06-04 
審決日 1999-06-15 
出願番号 特願平1-18897
審決分類 P 1 8・ 531- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北岡 浩山下 達也  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 新井 重雄
馬場 清
発明の名称 磁気記録用基盤とそのテクスチャリング加工方法及び加工装置  
代理人 林 宏  
代理人 内山 正雄  

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