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審決分類 |
審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1001887 |
審判番号 | 審判1995-12578 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1987-05-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1995-06-21 |
確定日 | 1999-09-03 |
事件の表示 | 昭和60年 特 許 願 第252353号「パターン識別装置」拒絶査定に対する審判事件(昭和62年 5月22日出願公開、特開昭62-111370)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、昭和60年11月11日に出願されたものであって、平成4年11月24日付け、同6年6月20日付け、同7年7月21日付け、同10年7月14日付け、および、同11年6月15日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、「パターン識別装置」に関するものと認める。 2.当審の拒絶理由 これに対して、当審において平成11年3月31日付けで通知した拒絶理由は、次のとおりである。 「本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない。 記 1.本件出願の明細書および図面の記載では、信号処理ブロック、あるいは、単位セルにおける信号処理・演算に関する動作が不明瞭であり、当業者が容易に実施できる程度に構成が記載されているとは認められない。 例えば、 (1)平成10年7月14日差出の補正書の特許請求の範囲第1項「信号入力への入力信号群・・・・・乗じて得た値の総和を出力する」、同第2項「信号処理ブロックの信号入力・・・・・乗じて得た値の総和を出力する」、同第5頁18〜22行「各信号処理ブロックは、・・・・・出力して帰還する。」、同第7頁9〜13行「入力信号1により構成される・・・・・合計した値で出力Fを定める。」等の記載からは、信号入力(外部からのパターン信号群、参照パターン信号群、入力ポートCまたはDの信号)と重付け入力(第2の信号処理ブロックの出力、第1の信号処理ブロックの出力、入力ポートAまたはBの信号)との一致/合致度合いをみるのに対し、同第10頁16〜18行「入カスクリーン出力6の・・・・・合致度評価され」、同第14頁27行〜第15頁2行「セル8の内部では・・・・・一致度合いを算する。」、同15頁8〜9行「パターンー致度演算は、・・・・・データ表11に返す処理である。」等の記載からは、入力データ表10または17(前記の重付け入力に等しい信号)と重みデータ表11または18との一致度合いをみるようになっており、動作が矛盾している。 (2)平成10年7月14日に差出の補正書の第14頁14行〜第17頁19行「以下、第10図から第13図を・・・・・出力が得られたことになる。」(平成7年7月21日付け手続補正書の補正の内容(1)に相当)および平成7年7月21日付け手続補正書によって追加された第11および13図は、出願当初の明細書に記載されていない事項を含むものであり、その内容は、出願当初の明細書からみて自明のものとも認められない。 また、当該内容において、「木」を「き」と認識する動作は、平成10年7月14日に差出の補正書の第6頁3〜8行「入カパターンとメモリパターンとが同一であれば・・・・・であることが認識される。」との記載と対応しておらず、「木」と「き」における同一パターンとはどのようなものか補正された明細書をみても不明である。」 3.当審の拒絶理由に対しての明細書の補正 請求人は、平成11年6月15日付け手続補正書により全文補正された明細書(以下、「補正明細書」という。)を提出した。 この補正明細書において、本願発明のパターン識別装置の信号処理ブロックに関し、「各単位セルは、入力データ表の前記重み付け信号群の個々の信号を重みデータ表の対応する値に乗じてその結果得られた値の総和を第1の入力ポートからの入力信号に加算した値を前記出力ポートから出力する・・・・・入力データ表の前記重み付け信号群の個々の信号に第1の入力ポートからの入力信号を乗じた結果を新たな重み値の増分として重みデータ表の対応する値に加算して重みデータ表を更新し、・・・・・各単位セルの前記重みデータ表の内容が確定したとき、前記入力パターンと前記参照パターンは互いに共通した乃至は似た特徴をもつと識別できる」(特許請求の範囲、および、補正明細書第5頁19行〜第6頁4行)、「入カスクリーン2と照合スクリーン3への重み付け入力への帰還により、パターン分布信号は、入力スクリーン2と照合スクリーン3との間を循環し、その間に、入力パターンと参照パターンにそれぞれ関係したパターンが創出される。 その際、入力パターンと参照パターンが同一であれば、創出されたパターンは、参照パターンと一致し、パターンがその参照パターンと同一であると識別される。一方、入力パターンと参照パターンとが同一でなければ、入力パターンと参照パターンにそれぞれ同一ではないが関係した新たなパターンが創出され、それにより、入力パターンと参照パターンとは異なるパターンであることが識別される。」(補正明細書第6頁15〜23行)、「入力信号1の個々の信号と信号群5の個々の信号の全ての組み合わせ毎に重み値を用意し、この重み値を入力信号の個々に乗じた値を全入力信号について合計した値で出力Fを定める。すなわち、入力信号1により構成されるパターン分布と照合スクリーン3の出力信号群5の分布パターンとの合致度合いに応じて、出力Fが決定される。」(補正明細書第7頁26行〜第8頁3行)と記載されている。 さらに、パターンの登録時の動作として、「入カデータ表17と重みデータ表18との間にある図示しない手段により入力データ表17の各欄の値を重みデータ表18の対応する値に乗じてその結果得られた値の全ての和(すなわち、出力22)を、入力Dからの信号に加算器20で加算して、出力Fとする。一方、入力データ表17の出力群21の個々の信号に入力Dを乗算器19で乗じた結果23を新たな重み値の増分として加算して重み表18を更新し、次回のB入力に備える。」(補正明細書第10頁2〜7行、第10頁26行〜第11頁4行)、「入カデータ表10と重みデータ表11との間にある図示しない手段により入力データ表10の各欄の値を重みデータ表11との間にある図示しない手段により入力デー夕表10の各欄の値を重みデータ表11の対応する値に乗じてその結果得られた値の全ての和(すなわち、出力15)を、入力Cからの信号に加算器13で加算して、出力Eとする。一方、入力データ表10の出力群14の個々の信号に入力Cを乗算器12で乗じた結果16を新たな重みの増分として加算して重み表11を更新し、次回のA入力に備える。」(補正明細書第10頁15〜20行)と記載されている。 そして、これらの信号処理ブロックのパターン登録時の動作結果として、「入力データ表17の内容とよく合致する重み分布であれば信号22の総和はより大きくなりF出力が大きくなる。従って、入力スクリーン2上の出力パターン分布は、入力パターン1のパターン傾向に加え、セル9内の重み表18と照合スクリーン3条のパターンとの合致度合の分布を併合したものになる。」(訂正明細書第11頁5〜8行)、「照合スクリーン3での処理でも、セル8の出力分布、すなわち照合スクリーン3上のパターンは、パターンメモリ4の分布傾向と、重み表11と入力スクリーン2上のパターンの合致度合の分布を併せ持ったものとなる。」(補正明細書第11頁12〜14行)、「適当な回数、この過程を両スクリーン間で循環させることにより、重み表11と18の内容が入力パターンとメモリパターンの両者に共通した乃至は似た特徴に対応するものとなって確定する。」(補正明細書第11頁18〜20行)、「入カパターンとメモリパターンの両者に共通した乃至は似た特徴が全くない場合には、上述した過程を適当な回数両スクリーン間で循環させることにより、重み表11と18の内容がランダムのままか重み値がゼロになる。」(補正明細書第11頁23〜25行)と記載されている。 続いて、パターン識別時の動作として、「重み表11および18に既に重み表が登録されていることと、メモリパターンは入力Cに供給されないことを除いて、パターン登録動作と同一の動作がおこなわれる。」(補正明細書第12頁14〜15行)と記載されており、同様に、パターン識別時の動作結果として、「入力パターン1が前回登録したもの1つと同一か、よく似ている場合には、入力データ表10、17に生じるパターンもまた、パターン登録した時のメモリパターンに対応したものになる。従って、入力パターン1が、パターン登録した時のメモリパターンに共通した乃至はにた特徴があるパターンであると識別できる。」(補正明細書第12頁16〜19行)と記載されている。 4.当審の判断 しかしながら、上記の信号処理ブロックの構成に関する記載では、重み値がどのように設定され、更新されるものかは具体的に開示されておらず、信号処理ブロック、あるいは、単位セルにおける信号処理・演算に関する構成は依然として不明である。 そして、信号処理ブロック、あるいは、単位セルの具体的な信号処理・演算が不明であることから、「入力信号1の個々の信号と信号群50個々の信号の全ての組み合わせ毎に重み値を用意し、この重み値を入力信号の個々に乗じた値を全入力信号について合計した値で出力Fを定める」ことが、何故、「入力信号1により構成されるパターン分布と照合スクリーン3の出力信号群5の分布パターンとの合致度合いに応じて、出力Fが決定される」ことになるのかも不明であり、本件発明がパターンを識別するための構成は全く不明である。 したがって、本件明細書および図面の記載は、当業者が容易に発明を実施できる程度に構成が記載されているとはいえない。 なお、本件発明の信号処理ブロックおよび単位セルの信号処理動作.演算に関する構成は、平成7年7月21日付け、および、平成10年7月14日付け手続き補正書を考慮してみても不明である。 5.むすび 以上のとおり、本願は、当審で通知した拒絶の理由によって拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-07-09 |
結審通知日 | 1999-07-23 |
審決日 | 1999-07-26 |
出願番号 | 特願昭60-252353 |
審決分類 |
P
1
8・
531-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 平井 誠、森田 信一 |
特許庁審判長 |
松野 高尚 |
特許庁審判官 |
大塚 良平 谷川 洋 |
発明の名称 | パターン識別装置 |
代理人 | 越場 隆 |