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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1001890
審判番号 審判1996-1742  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-10-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1996-02-15 
確定日 1999-09-17 
事件の表示 平成2年 特 許 願 第 23801号「選択ソフトウェア書込み処理方法および当該処理のための処理装置および記憶媒体」拒絶査定に対する審判事件(平成3年10月9日出願公開、特開平 3-228136)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本願は平成2年2月2日の出願であって、平成7年10月30日及び平成8年3月18日付けの手続補正書により補正された明細書並びに図面の記載からみて、その請求項1に係る発明は特許請求の範囲の請求項1に記載されている通りの以下の事項により特定されるものと認められる。
「記憶手段を内蔵した処理装置に対してソフトウエアを書込む選択ソフトウエア書込み処理方法において、
上記記憶手段中に、契約条件にもとづいて選択されるソフトウエアを記憶させておくと共に、
非契約の状態の下で、選択されていないソフトウエアを上記記憶手段から削除するようにした
ことを特徴とする選択ソフトウエア書込み処理方法。」
2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由において引用した特開昭61-25261号公報(以下「引用例」という。)には、ソフトウエアプロダクトの保護に関する発明が記載されており、具体的内容として以下の事項が記載されている。
特許請求の範囲第1項
「計算機システムの初期プログラムロードにおいて、該計算機システムに設置されているソフトウエアプロダクトの使用契約情報の妥当性を検査し、該使用契約情報が不当である場合には、上記ソフトウエアプロダクトを消去するように構成されてなることを特徴とするソフトウエアプロダクト保護方式」
第2頁右下欄第3行〜第8行
「第2図は本発明一実施例の計算機システム構成の主要部を示し、中央処理装置(以下においてCPUとする)1、CPUlで実行中のプログラム及びデータを保持する主記憶装置2、及びチャネル装置3、磁気ディスク記憶装置4及び5、磁気テープ装置6等からなる。」
第2頁右下欄第17行〜第3頁右下欄第1行
「提供者から利用者ヘソフトウエアプロダクトを提供する場合には、例えば磁気テープに提供するプログラム、データを記憶した提供用ライブラリを作成して渡す。その場合に提供者は第3図の説明図に提供用ライブラリ10として概念的に示すように、使用契約した1又は複数のプログラム又はデータ(以後両者を一括してプログラムとする )11-1、11-2等を記憶すると共に、例えばそれらの最後に契約情報12を付加する。・・・利用者のシステムでは、公知のようにシステム作成プログラムに15により、磁気テープ装置6に装着した提供用ライブラリ10からプログラムを読み出して、磁気ディスク記憶装置4に該プログラムのファイル13-1、13-2等を作成することにより、システム用記憶装置を構成する。同時に、作成した各プログラムファイルについてのプログラム名、版数、その他の管理情報からなる、システム保守ファイル14を磁気ディスク記憶装置4に作成する。・・・検査プログラムはステップ21の動作で、磁気ディスク記憶装置4のシステム保守ファイル14から各プログラムの契約情報を読み出し、CPU1内に固定的に設定されているCPU識別名及び製造番号等と照合する。それらが一致する場合は、更にCPU1内の時計から読み取った日付情報が、契約情報内の期日を越えていないか検査し、期日を越えていない場合は、ステップ22に進む。CPU識別名及び製造番号等に不一致があるか、又は契約期日を越えていた場合には、ステップ23に進み、今検査した契約情報に該当するプログラムファイルの管理情報をシステム保守ファイル14から消去して、該プログラムファイルへのアクセスを不可能にした後、ステップ22に進む。・・・ステップ23でシステム保守ファイル14から消去されたプログラムファイルはロードできない。」
第2頁左下欄第11行〜第17行
「以上の検査の後、システムは通常のように、業務プログラムのロードを開始する。従って、システム用磁気ディスク記憶装置には、契約上正当に使用できるプログラムファイルのみがあり、以後のプログラムファイル使用時に改めて検査する必要は無く、システムを効率よく使用することができる。」
したがって、これらの記載を総合すると、引用例には、
磁気ディスク記憶装置を内蔵した計算機システムに対してソフトウエアプロダクトを書き込む方法において、磁気ディスク記憶装置中に、契約上正当に使用できるソフトウエアプロダクトを記憶させておくとともに、契約期日を越えている等使用契約情報が不当であるソフトウエアプロダクトの管理情報を磁気ディスク記憶装置から消去する方法。
という発明が記載されているものと認められる。
3.対比.判断
引用例における「磁気ディスク記憶装置」は「記憶手段」に他ならず、「計算機システム」は「処理装置」の一種であり、「ソフトウエアプロダクト」と「ソフトウエア」とは同義である。
また、引用例における「契約上正当に使用できるソフトウエアプロダクト(ソフトウエア)を記憶させておく」ということと、請求項1に係る発明における「契約条件に基づいて選択されるソフトウエアを記憶させておく」ということは、文言上の違いはあるものの、実質的に同様のことを述べたものである。
さらに、「契約期日を越えている」状態は「非契約の状態」であることは社会通念に照らして明らかである。
そこで、これらの点を踏まえて、請求項1に係る発明と引用例に記載された発明とを比較すると、両者は、
「記憶手段を内蔵した処理装置に対してソフトウエアを書き込む選択ソフトウエア書き込み処理方法において、記憶手段中に、契約条件に基づいて選択されるソフトウエアを記憶させておくとともに、非契約の状態の下で、選択されていないソフトウエアを使用不能にするようにした選択ソフトウエア書込み処理方法」
である点で一致するが、ソフトウエアを使用不能にするに際して、引用例に記載された発明ではその管理情報を記憶手段から消去しているのに対して、請求項1に係る発明ではソフトウエアそのものを記憶手段から削除している点で相違する。
そこで、この相違点について検討すると、一般に、ソフトウエアの不正使用を防止するために当該ソフトウエアを使用不能にするに際して、ソフトウエアそのものを記憶手段から削除するようにすることは、例えば特開昭61-127034号公報及び特開昭63-153633号公報等にも記載されているように当業者における周知技術であるから、引用例に記載された発明において、管理情報を記憶手段から消去する代わりに、ソフトウエアそのものを記憶手段から削除するようにすることは当業者が容易に想到できたものである。
4.むすび
以上により、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-07-07 
結審通知日 1999-07-23 
審決日 1999-08-06 
出願番号 特願平2-23801
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多賀 実吉岡 浩小川 謙  
特許庁審判長 川名 幹夫
特許庁審判官 大橋 隆夫
北島 健次
発明の名称 選択ソフトウェア書込み処理方法および当該処理のための処理装置および記憶媒体  
代理人 長谷川 文廣  
代理人 森田 寛  
代理人 小笠原 吉義  

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