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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1001893 |
審判番号 | 再審1996-11990 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1988-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1996-07-25 |
確定日 | 1999-09-03 |
事件の表示 | 昭和62年 特 許 願 第 40048号「情報処理装置」拒絶査定に対する審判事件(昭和63年 8月29日出願公開、特開昭63-208114)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I 手続きの経緯及び本件発明 本件審判請求に係る特許願は、昭和62年2月25日にされたものであって、その発明(以下、「本件発明」という。)は、平成8年4月22日付け及び同年8月26日付け各手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、該明細書の特許請求の範囲の第1番目に記載されたとおりの次の事項により構成されるものである。 「複数のキーパターンを有し、前記複数のキーパターンの中から選択された第1のキーパターンを表示し、該表示された第1のキーパターンに対応する情報を入力可能な情報処理装置であって、 前記表示された第1のキーパターンから第2のキーパ夕ーンへの表示の切り替えを指示する指示手段と、 前記第1のキーパターンから入力された文字情報と、前記指示手段の指示により切り替え表示された第2のキーパターンから入力された文字情報とを同時に表示するよう制御する表示制御手段と、 を有することを特徴とする情報処理装置。」 II 引用刊行物記載の発明 原査定の理由に引用されたところの刊行物である特開昭55-10639号公報(昭和55年1月25日特許庁発行、以下、「引用刊行物」という。)には、入出力用ディスプレイ装置が記載されており、これについて、次の各事項が図面と共に記載されている。 ▲1▼「中央処理装置と,記憶装置と,画像表示素子およびその周辺装置と,画像表示素子のスクリーン上に配置されたタツチパネルと,このタツチパネルに組合わされた位置信号発生器とで構成され,前記記憶装置は多項目入力用のキャラクタキー群と,これらキャラクタキー群を選択するための入力フオーマツト選択キーを含むフアンクシヨンキー群のそれぞれの図形およびキー内容を画像情報として保持し,画像表示素子およびその周辺装置は中央処理装置からの指令により前記記憶装置から読み出された画像情報を,キャラクタキーエリア,フアンクシヨンキーエリア,モニタエリアを含む1枚の画面上の指定されたエリアに表示し,前記タツチパネルは操作者の指がその表面に触れたときそのタツチ位置を物理的な状態変化として検知し,前記位置信号発生器はタツチパネルの状態変化に基いてタッチ位置の座標値を表わす電気信号を発生し,中央処理装置は前記位置信号発生器からの電気信号を受けて操作者が画面上のどのキーを指定しているかを判別し,指定された入力フオーマット選択キーに対応するキヤラクタキー群のキヤラクタキーエリアへの表示,および指定されたキヤラクタキーに対応する キヤラクタのモニタエリアへの表示を含む,キー内容に対応する情報処理を行なうことを特徴とする入出力用デイスプレイ装置。」(前記刊行物1頁左下欄5行同頁右下欄10行,特許請求の範囲の欄) ▲2▼「第4図の例は,自動編集機に適用した場合であって,画面上のフアンクシヨンキーエリア33には,削除,挿入,移動などの通常のフアンクシヨンキーと,入力フオーマット選択キーとを含むフアンクシヨンキー群34が表示される。ここで,入力フオーマツト選択キーは,大文字,小文字,カタカナ,ひらがな,漢字などの入力フオーマットを選択するためにある。入力フオーマツト選択キーの1つに指で触れると,それに対応する1群のキヤラクタキー群36がキヤラクタエリア35に表示され,ついでキャラクタキー群のいずれかに指で触れると,対応する文字がモニタエリア37に表示される。」(同5頁右下欄12行〜6頁左上欄4行) 以上▲1▼及び▲2▼の事項を本件発明の構成に準じて整理すると、前記刊行物には、次の事項により構成される発明(以下、「引用刊行物記載の発明」という。)が記載されているということができる。 複数の入力フォーマットを有し、前記複数の入力フォーマットの中から選択された入力フォーマットを(キャラクタエリア35に)表示し、該表示された入力フォーマットに対応する情報を入力可能な自動編集機であって、 前記表示された入力フォーマットから他の入力フォーマットへの表示の切り替えを指示する(大文字,小文字,カタカナ,ひらがな,漢字などの)入力フォーマット選択キーと、 前記入力フォーマットから入力された文字情報と、前記選択キーの指示により切り替え表示された他の入力フォーマットから入力された文字情報とを(モニタエリア37に)表示するよう制御する中央処理装置と、を有する自動編集機 III 本件発明と引用刊行物記載の発明との対比 本件発明の「キーパターン」は、引用刊行物記載の発明の「入力フォーマット」と同義であり、本件発明の「指示手段」は、引用刊行物記載の発明の「選択キー」を包摂し、本件発明の「表示制御手段」は、引用刊行物記載の発明の「中央処理装置」と等価であり、本件発明の「情報処理装置」は、引用刊行物記載の発明の「自動編集機」を包摂する。 また、本件発明でいう「第1の」及び「第2の」は、同種のものを区別する都合上付した単なる整理番号に過ぎない。 よって、本件発明と引用刊行物記載の発明とは、構成上、 複数のキーパターンを有し、前記複数のキーパターンの中から選択された第1のキーパターンを表示し、該表示された第1のキーパターンに対応する情報を入力可能な情報処理装置であって、 前記表示された第1のキーパターンから第2のキーパ夕ーンへの表示の切り替えを指示する指示手段と、 前記第1のキーパターンから入力された文字情報と、前記指示手段の指示により切り替え表示された第2のキーパターンから入力された文字情報とを表示するよう制御する表示制御手段と、 を有する情報処理装置 である点で一致し、次の点で相違する。 〈相違点〉 表示制御手段が、本件発明では、第1のキーパターンから入力された文字情報と、指示手段の指示により切り替え表示された第2のキーパターンから入力された文字情報とを同時に表示するよう制御するものであるのに対して、引用刊行物記載の発明では、前記文字情報を同時に表示するよう制御するものではない点 IV 相違点についての判断 自動編集機においては、文字入力によって作成される文書は、大文字、小文字、カタカナ、ひらがな及び漢字等の混じり文となるのが通常であるところ、該混じり文を、一連のものとして(CRT等の)モニタに同時に表示し、それにより入力確認ができるようにすることは、普通に行われていることであるから、引用刊行物記載の発明において、表示制御手段を、第1のキーパターンから入力された文字情報と、指示手段の指示により切り替え表示された第2のキーパターンから入力された文字情報とを同時に表示するよう制御するものとすることは、当業者が容易に想到実施し得たことである。 V 請求人の主張についての検討 請求人は、審判請求書において、「本件発明は、“→”キーの操作だけで仮想キーボードの文字種が変わるものである」(前記請求書4頁16行〜17行)旨主張するが、本件発明が、そのようなものに限定されるものであることは、前掲の特許請求の範囲の記載からは読み取れないことであるところ、仮に、本件発明が、そのようなものに限定され得るものであるとしても、当該技術分野において、“→”キーの操作だけで仮想キーボードの文字種を変えるようにすることは、特開昭52-115627(3頁右下欄4行〜10行)、同58-3020(3頁左上欄6行〜811)或いは同61-153721(3頁左下欄211〜5行)各号公報に記載されているように、本件出願前に当業者に周知のことであるから、結局のところ、請求人の前記主張は採用することができない。 VI 結び 以上のとおりであって、本件発明は、当業者が引用刊行物記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-06-23 |
結審通知日 | 1999-07-09 |
審決日 | 1999-07-23 |
出願番号 | 特願昭62-40048 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今井 義男、田中 友章 |
特許庁審判長 |
川名 幹夫 |
特許庁審判官 |
大橋 隆夫 北島 健次 |
発明の名称 | 情報処理装置 |
代理人 | 谷 義一 |