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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1001916
審判番号 審判1998-7080  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-06-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-04-30 
確定日 1999-09-24 
事件の表示 平成5年 特 許 願 第178162号「文書作成方法」拒絶査定に対する審判事件(平成7年8月9日出願公告、特公平7-75023)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I、本件発明
本願は、昭和57年7月30日に出願された特願昭57-133125号の分割出願として、平成5年7月19日に出願されたものであって、平成7年8月9日に出願公告されたところ、相原光政、シャープ株式会社よりそれぞれ特許異議の申立てがあり、相原光政の特許異議の申立てが理由あるものとする決定がなされ、その決定の理由に基づいて拒絶査定されたものである。
出願公告前の平成7年1月4日付けの手続補正は、出願公告後の平成9年10月2日付けで特許法第53条第1項の規定により補正の却下の決定がなされ、この決定は確定している。
特許法第64条第1項の規定により平成8年7月19日付けの手続補正は、特許法第54条第1項の規定により平成10年3月6日付けで補正の却下の決定がなされた。
本願発明の要旨は、願書に添付された明細書と図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されたとおりの
「入力部、画像入力部、出力部、および記憶部を有し、かつ前記記憶部は複数の区画に関する情報を記憶する区画情報記憶部と、区画毎に別けて文章情報および画像情報を記憶可能な文章・画像記憶部とを有するワードプロセッサにおいて、
前記区画に関する情報を設定するための指令を前記入力部より入力する工程と、
前記入力した指令に基づき、前記区画情報記憶部に複数の区画に関する情報を記憶する工程と、
前記区画情報記憶部に記憶された複数の区画に関する情報に基づいて、前記出力部に複数の区画を可視的に表示する工程と、
前記入力部より任意の区画を指定して文章情報を入力する工程と、
入力された文章情報を、指定された区画に対応するように文章・画像記憶部に記憶する工程と、
前記文章・画像記憶部に記憶された文章情報を前記区画情報記憶部に記憶された対応する区画に関する情報に従って、前記出力部に可視的に出力する工程と、
前記入力部より任意の区画を指定するとともに、前記画像入力部より任意の画像情報を入力する工程と、
入力された画像を、前記指定された区画に対応するように前記文章・画像記憶部に記憶する工程と、
前記文章・画像記憶部に記憶された画像情報を前記区画情報記憶部に記憶された対応する区画に関する情報に従って、前記出力部に可視的に出力する工程とを有することを特徴とする文書作成方法。」
にあるものと認められる。
II、引用例記載の発明
特許異議申立人が甲第1号証として提示した特開昭57-106991号公報(以下「引用例1」という。)には、
「キーボード40」と、入力された文章情報とその文章情報の「カラム情報」を記憶する「文章メモリ47」と、カラム行字数、カラム行数等のカラム制御情報を記憶する「バッファメモリ30」を備えた「カラム制御回路45」と、「表示装置1」と、「プリンタ4」からなり、
カラム設定を行い、カラム行字数、カラム行数等のカラム制御情報を記憶させた後、各カラム毎に文章情報を入力するようにしたマルチ力ラムモードの「ワードプロセッサ」が記載され、
同じく、甲第2号証として提示した、「電電公社研究実用化報告」第30巻第11号(昭和56年11月22日発行)第47〜57頁の論文「文書処理端末における図形処理方式」(以下「引用例2」という)には、
1頁内の文字、図形レイアウトにおいて、文字領域、図形領域を指定し、カーソルを該当領域へ移動することにより、その領域における、文字、図形の入力修正を可能とした後、文字、図形を入力するようにした文書処理端末における図形処理方法が記載されている。
そして、上記引用例2の第51頁右欄第3〜6行の「・・・(2)は(1)の入力終了後、各領域において文字、図形を入力する段階である。各領域のデータはカーソルを該当領域へ移動することにより入力修正が可能である。・・・」の記載から見て、カーソルを該当領域へ移動するためには、その前に、各領域は、当然、表示装置に表示されているものと認められる。
III、本件発明と引用例1記載の発明との対比
イ、本件発明(以下「前者」という。)の「入力部」、「出力部」は、それぞれ引用例1記載の発明(以下「後者」という。)の「キーボード40」、「プリンタ4、CRT1」と等価であり、
ロ、前者の「区画情報記憶部」は、後者の「バッファメモリ30」に相当し、
ハ、前者の「区画毎に別けて文章情報および画像情報を記憶可能な文章・画像記憶部」は、後者の「文章メモリ47」に対応するものと認められるから、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
(一致点)
「入力部、出力部、および記憶部を有し、かつ前記記憶部は複数の区画に関する情報を記憶する区画情報記憶部と、区画毎に別けて文章情報を記憶可能な記憶部とを有するワードプロセッサにおいて、
前記区画に関する情報を設定するための指令を前記入力部より入力する工程と、
前記入力した指令に基づき、前記区画情報記憶部に複数の区画に関する情報を記憶する工程と、
前記入力部より任意の区画を指定して文章情報を入力する工程と、
入力された文章情報を、指定された区画に対応するように記憶部に記憶する工程と、
前記記憶部に記憶された文章情報を前記区画情報記憶部に記憶された対応する区画に関する情報に従って、前記出力部に可視的に出力する工程とを有することを特徴とする文書作成方法。」である点。
(相違点)
▲1▼前者は「画像入力部」を有し、記憶部が、文章と画像を記憶するものであるのに対して、後者は「画像入力部」を有してなく、その記憶部は文章のみを記憶するものである点。
▲2▼前者は、「入力部より任意の区画を指定するとともに、画像入力部より任意の画像情報を入力する工程と、入力された画像を、指定された区画に対応するように記憶部に記憶する工程と、前記記憶部に記憶された画像情報を区画情報記憶部に記憶された対応する区画に関する情報に従って、出力部に可視的に出力する工程」を有しているのに対して、後者はそのような工程を有していない点。
▲3▼前者は「区画情報記憶部に記憶された複数の区画に関する情報に基づいて、前記出力部に複数の区画を可視的に表示」しているのに対して、後者はそのようにしていない点。
IV、当審の判断
(相違点▲1▼、▲2▼について)
ワードプロセッサにおいて、文章と共に画像も処理できるように、更に、画像のための入力部、記憶部をも具備すること常套技術であり、その際、画像を、区画情報に従って指定区画に入力し、記憶し、可視出力できるようにすることは、例えば、上記引用例2に記載のように、本件出願前に当業者において公知であったので、上記引用例1のワードプロセッサに、上記常套技術、引用例2の公知技術を適用して、画像に関する入力部、記憶部を付加し、画像に関する入力工程、記憶工程、出力工程を経て処理するようにすることは当業者が容易に想到し得たものと認められる。
(相違点▲3▼について)
上記II項で認定したとおり、引用例2記載の文書処理端末においても、文章又は図形を入力する前に、各領域は、当然、表示装置に表示されているものと認められるから、引用例1のワードプロセッサに、引用例2の公知技術を適用して、「区画情報記憶部」に記憶された複数の区画に関する情報に基づいて、出力部に複数の区画を可視的に表示するようにすることは、当業者が容易に推考できたものと認める。
V、まとめ
以上のとおりであるから、本件発明は、引用例1、2記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-07-30 
結審通知日 1999-08-13 
審決日 1999-08-16 
出願番号 特願平5-178162
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂庭 剛史小川 謙 水谷 好男祖父江 栄一大川 譲  
特許庁審判長 森田 信一
特許庁審判官 高松 猛
山本 穂積
発明の名称 文書作成方法  
代理人 須山 佐一  

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