ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G |
---|---|
管理番号 | 1001958 |
審判番号 | 審判1997-11958 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1990-05-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-07-17 |
確定日 | 1999-09-08 |
事件の表示 | 昭和63年 特 許 願 第289537号「表示制御装置」拒絶査定に対する審判事件(平成2年5月24日出願公開、特開平2-135393)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は昭和63年11月16日に出願され、平成9年5月23日付けで拒絶査定がなされたところ、平成9年7月17日付けで審判請求がなされ、その後平成9年8月14日付けで手続補正書が提出された。 そして、本願発明は、上記審判請求の後に提出された手続補正書の特許請求の範囲第1項に記載された事項によって特定される下記のとおりのものである。 記 表示パターンを該表示パターン毎の色変換テーブルを用いて色変換して出力する表示制御装置であって、 少なくとも2つのフレームバッファと、 メモリから表示対象の表示パターンを読み出すと共に、該表示パターンに対応する色変換テーブルを読み出してパレット格納手段に設定する手段と、 前記読み出した表示パターンを前記パレット格納手段に設定した色変換テーブルにより色変換して前記一方のフレームバッファに格納すると共に、前記他方のフレームバッファに格納されているデータを読み出して表示装置に出力する手段と、 を有することを特徴とする表示制御装置。 2.各引用文献の記載事項 これに対し、原査定の拒絶の理由に引用した引用文献1、2及び周知例には以下のとおりの記載がある。 引用文献1:特開昭60-225893号公報 「この場合、VRAM4には第2図に示すように、静止画パターン(ドットパターン)が記憶される静止画パターンテーブル4a、静止画パターンを表示すべき位置が記憶される静止画位置テーブル4b、各静止画パターンのカラーがカラーコード(4ビット)によって記憶される静止画カラーテーブル4c、複数の動画パターンが記憶される動画パターンテーブル4d、動画パターンを表示すべき座標等が記憶される動画制御テーブル群4eおよび動画パターンのカラーコードが記憶される動画カラーテーブル4fが各々設けられている。動画パターンテーブル4dは、第3図に示すように、8バイト毎に1つの動画パターンを記憶するようになっており、各動画パターンには各々異なる名称(図では”0”〜”255”で示す8ビットの名称)が設定されている。一例としてパターン名称”n”に記憶されている動画パターンを同図に拡大して示すが、図中データ”1”の部分がパターン部分、データ”0”の部分が背景部分(透明部分)である。また、動画制御テーブル群4eは第4図(イ)に示すように、4バイト長の動画制御テーブル32個から成り、各動画制御テーブルにはアドレスの低い方から順に0〜31の番号が設定されている。ここでNO.kの動画制御テーブルの内容(他の番号の動画表示テーブルと同様)を同図に拡大して示す。図に示す第0、第1バイトには、動画パターンを表示すべき位置のY、X座標(動画パターンの左上端位置が動画の基準位置になる)が記憶される。したがって、この第0、第1バイト内のデータを書換えると、動画が画面上を移動する。そして第2バイトには表示すべき動画パターンの名称が記憶され、第3バイト目は未使用になっている。次に、動画カラーテーブル4fは、第4図(ロ)に示すように8バイト長の記憶ブロック32個からなっており、また、これらの記憶ブロックBC0-BC31は各々動画表示テーブルNO.0〜NO.31に対応して設けられている。ここで、同図に記憶ブロックBCk(kは0〜31)の記憶内容を示す。図示のように記憶ブロックBCkの第0〜第7バイトの下位4ビットにはNO.kの動画表示テーブルが指定する動画パターンの第0〜第7バイトの色を指定するカラーコードが各々記憶されている。すなわち、動画パターンの第0パイトのデータ”1”の部分が記憶ブロックBCkの第0バイト内のカラーコードによって色指定され、同様に動画パターンの第1〜第7バイトのデータ”1”の部分が記憶ブロックBCkの第1〜7バイト内のカラーコードによって各々色指定される。」(公報2ページ右上欄5行-右下欄14行) 「画像データ処理回路10は、CPU2からインターフェイス回路12を介して供給される画像データを順次VRAM4内の各テーブル内に書込む。そして、VRAM4の書込みが終了した時に、CPU2から表示指令が出力されると、画像データ処理回路10は静止画パターンテーブル4a、静止画位置テーブル4bおよび静止画カラーテーブル4c内の各データを読出し、読出したデータに基づいてCRT画面の各ドット位置にいかなる色の静止画ドット表示を行なえばよいかを検知し、水平カウンタ9および垂直カウンタ11の各カウント出力が示す電子ビームの走査位置に合わせて端子TGから順次カラーコード(4ビット)を出力して、カラーパレット13へ供給する。また、画像データ処理回路10は、上述した静止画表示動作と平行して、動画パターンテーブル4dおよび動画制御テーブル群4e内のデータに基づいて、動画表示に必要なデータを演算、抽出し、動画処理回路15に供給する。」(公報3ページ右上欄18行-左下欄16行) 「次に動画処理回路15は、供給されたデータに基づいて、動画の表示を制御する回路であり、動画の表示タイミングを検出するとともに、このタイミングに基づいて該当する動画のカラーコードをカラーパレット13に供給し・・ 次にカラーパレット13は一種のコード変換回路であり、4ビットのカラーコードを、レッド力ラーデータRD、グリーン力ラーデータGD、ブルーカラーデータBD(これらのカラーデー夕は各々3ビット)に変換してDAC(ディジタル/アナログ変換器)14へ出力する。DAC14はカラーデータRD、GD、BDを各々アナログ信号に変換してRGB信号を作成し、このRGB信号をCRT表示装置5へ出力する。ここで、第5図にカラーコード、カラーデータ、表示色の各々の対応関係の一例を示す。」(公報4ページ左下欄11行-右下欄15行) 引用文献2:特開昭60-220387号公報 「画像メモリ5は例えば8ビット64Kバイト分のRAM(ランダム・アクセス・メモリ)からなり、データバス2を介して表示データが書き込まれるようになっている。表示データはビット・マップ方式でこの画像メモリに蓄えられ、1ペル(ピクチャエレメント)あたり例えば4bitで割りあてられている。従って同時に16(=24)種類の色表示が可能である。画像メモリ5のデータはアドレス制御回路4の制御のもとて1バイト例えば8ビットずつ読み出され、後段のパラレル・シリアル変換回路8に送出される。上述のとおり、1ペルは4ビットで構成され、他方画像メモリ5から読み出されるデータは8ビットであって2ペル分である。そこで、このパラレル・シリアル変換回路が、2ペル分パラレルに読み出されてくるペルデータを、シリアルに1ペルごと後段に送出するようになっている。 副メモリ6は上述画像メモリ5と同様に構成される(例えば8ビット32Kバイト分)。図では1つの副メモリ6しか示されないけれど、複数の副メモリ6を設けるようにしてもよいことは後に理解されるであろう。副メモリ6の出力データはもう1つのパラレルシリアル変換回路9に送出される。このパラレルシリアル変換回路9は上述パラレルシリアル変換回路8と同一のものである。 パラレルシリアル変換回路8,9から出力される2組の4ビット・ペルデータはマルチプレクサ10を介して択一的にパレット回路11に供給されここで映像信号R、G、B、Iに変換され、バッファ12を介してCRTに供給される。」(公報3ページ右上欄2行一左下欄11行) 「次に第4図を参照して第1図のパレット回路11について説明しよう。この第4図においてパレット回路11はデコーダ25、パレットレジスト261〜26n、ゲート回路261〜27n及びオア回路28からなっている。すなわち、マルチプレクサ10からのペルデータは一旦ラッチ29でラッチングされたのちデコーダ25に供給される。デコーダ25はn本例えば16本の出力線251〜25nを有し、4ビットのペルデータに応じて択一的に1つの出力端子から出力を生じるようになっている。このデコーダの出力線251はパレットレジスト261の書込信号入力及びゲート回路271のゲート信号入力に接続され、他の出力線252〜25nも同様にして対応するパレットレジスタ262〜26n及びゲート回路272〜27nに接続されている。そしてパレットレジスタ261〜26nにはデータバス2を介してパレットデータが供給されるようになっている。 パレットレジスタ261〜26nの内容をセットするには、マルチプレクサ10からの所定のペルデータを送出し、それに対応した単一のデコーダ出力線251〜25nを付勢してそれに対応するレジスタ261〜26nにデータパス2からのデータを蓄える。例えば出力線251を付勢してレジスタ261に転送パレットデータを蓄える。 このようなパレットレジスタ261〜26nの書き込みののちマルチプレクサ10を介してデコーダ25にペルデー夕が供給されるとゲート回路271〜27nのうち対応するものがゲートを行ない、対応するパレットデータをオア回路28を介してCRT側に色信号を供給することとなる。」(公報4ページ右下欄15行-5ページ右上欄5行)周知例:特開昭59-40687号公報 「この様にしてラインコンバータ34により行変換して読出された標体イメージの座標画像画素信号は、シフトレジスタ36に入力される。このシフトレジスタ36はコンパレータ32からマッチ信号が出力されている際に、標体画像メモリ10から読出される画素信号を一行毎に並列直列変換しカラーエンコーダ38に入力する。このカラーエンコーダ38は、標体情報メモリ26から読出されるカラー選択信号114に従いシフトレジスタ36から入力される座標画素信号に所定の色彩処理を施し、これをバッファメモリ40に入力する」(公報6ページ右下欄9行-最下行) 「また、本実施例の装置においては、以上のようにしてなされるバッファメモリ40への画素信号の書込みと、このバッファメモリ40に書込まれた1行分の画像情報の読出しを同時に行い、一画面に複数の標体を表示するためにバッファメモリ40及びこのバッファメモリ40の書込みアドレスを指定するアドレスカウンタ42を2組設けている。そして、マルチプレクサ46を用い、各バッファメモリ40への画素信号の書込み読出しを交互に行なっている。このマルチプレクサ46は、その画素信号の書込み読出し切替を、同期ジェネレータ28から出力される切替信号P1に従い行っている。また、各バッファメモリ40の出力端には、その出力を択一的に選択する切替スイッチ48が設けられており、一方のバッファメモリの画像信号書込み中に他方のバッファメモリからの読出しが行われる。この切替スイッチ48のスイッチ切替えは、前記マルチプレクサ46と同様、同期ジェネレー夕か28から出力される切替信号P1に従い行われる。」(公報9ページ左上欄2行-右上欄1行)3.対比 よって、引用文献1には「表示パターンを該表示パターン毎に色変換して出力する表示制御装置であって、メモリから表示対象の表示パターンを読み出すと共に、読み出した表示パターンをカラーパレットにより色変換して表示装置に出力する手段を有する表示制御装置」が記載されている。 そして、本願発明と上記引用文献1に記載された発明とを比較すると、上記引用文献に記載された「表示パターンを該表示パターン毎に色変換して出力する表示制御装置」、「メモリから表示対象の表示パターンを読み出す」、「読み出した表示パターンをカラーパレットにより色変換して表示装置に出力する手段」、「表示制御装置」はは、それぞれ、本願発明の「表示パターンを該表示パターン毎に色変換して出力する表示制御装置」、「メモリから表示対象の表示パターンを読み出す」、「前記読み出した表示パターンを色変換テーブルにより色変換して表示装置に出力する手段」、「表示制御装置」に対応するから、本願発明と上記引用文献1に記載された発明とは「表示パターンを該表示パターン毎に色変換して出力する表示制御装置であって、メモリから表示対象の表示パターンを読み出すと共に、前記読み出した表示パターンを色変換テーブルにより色変換して表示装置出力する手段とを有する表示制御装置」で一致し下記の点で相違する。 記 ▲1▼本願発明の表示制御装置は、表示パターン毎の色変換テーブルを有し、メモリから表示対象の表示パターンを読み出すと共に、表示パターンに対応する色変換テーブルを読み出してパレット格納手段に設定する手段と、パレット格納手段に設定した色変換テーブルにより色変換を行うのに対し、上記引用文献1のものは、一つの色変換テーブルを用いているため、「表示パターン毎の色変換テーブル」、「パレット格納手段に設定する手段」、「パレット格納手段に設定した色変換テーブル」を有していない点。 ▲2▼本願発明の表示制御装置は、少なくとも2つのフレームバッファを有し、色変換した表示パターンを一方のフレームバッファに格納すると共に、他方のフレームバッファに格納されているデータを読み出して表示装置に出力する手段を有しているのに対し、上記引用文献1のものは、フレームバッファに関する記載はない点。 4.上記相違点に対する当審の判断 a.相違点▲1▼について 上記引用文献2には画像表示を行うとき、画像メモリ(又は副メモリ)から入力された1ペル(ピクチャエレメント)毎のペルデータを、色変換して出力するパレット回路が記載されている。上記パレット回路に関する詳細な説明をみれば、上記パレット回路はパレットレジスタを複数有し、該パレットレジスタに記憶される色変換のためのデータは、ペルデータの入力に対応してデータバスから送られてくることが記載されている。 そして上記送られてくる色変換のためのデータは、あらかじめどこかに記憶されていることが必要であることは自明のことであるから、上記引用文献2には、実質的に、表示ペルごとに色変換のためのデータを記憶しておき、メモリから表示対象のペルを読み出すと、表示ペルに対応した色変換のためのデータを読み出してパレットレジスタに設定する手段を有し、パレットレジスタに設定した色変換のためのデータにより色変換するものが記載されている。 上記引用文献2のものは、色変換のためのデータの読み出し・設定をぺル単位で行っているのに対し、本願発明のものは表示パターン毎の色変換テーブルを読み出し・設定しているが、いずれも表示制御の単位として任意に選択可能なものであり、上記引用文献1のものも、その表示制御の単位として表示パターン毎に色変換を行っているのだから、上記引用文献2に記載された上記「色変換テーブル」、「設定手段」の技術思想を引用文献1の表示制御装置に転用して、表示パターン毎にその制御を行うことは設計可能な事項である。 なお、表示パターン毎に色変換のためのデータをカラーマップバッファ(本願発明のパレット格納手段に相当する)に設定するものは、例えば特開昭63-253990号公報に記載されている。 したがって、上記相違点▲1▼は上記引用文献1に記載された発明に、上記引用文献2に記載された発明を転用することにより、当業者が容易になしえたものである。 そして、上記引用文献1および2に記載された発明は、いずれも画像表示のための、色の表示制御装置に関するものであり、これらを組み合わせることに何ら技術的な困難性も存在せず、また、これらを組み合わせたこによる格別な効果も見られない。 b.相違点2について 色変換を行った後の出力をバッファリングすることは、例えば上記引用文献2にも記載されるとおり本願出願前周知の技術であり、また、バッファとしてダブルバッファを用いることは、上記周知例にも見られるように、当該技術分野に限らず周知の技術である。そして、上記周知例には、「少なくとも2つのバッファを有し、色変換した表示パターンを一方のバッファに格納すると共に、他方のバッファに格納されているデータを読み出して表示装置に出力する手段」が記載されているから、当該構成を引用文献1記載のものに付加することは単なる慣用手段の付加である。出願人は、上記周知例に記載されたバッファはラインバッファであり、本願発明のものはフレームバッファである点で相違すると主張しているが、画像表示装置に用いられるバッファとしてフレームバッファは本願出願前周知(特開昭63-121890号公報、特開昭63-124085号公報参照)であるから、当該バッファを構成するときラインバッファとするか、フレームバッファとするか(ま当業者が任意に選択し得た設計的事項である。 そして、上記引用文献1、2及び周知例に記載された発明は、いずれも画像表示装置に関するものであり、これらを組み合わせることに何ら技術的な困難性も存在せず、また、これらを組み合わせたことによる格別な効果も見られない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は上記引用文献1、2に記載の発明および本願出願前の周知の事項とから、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-06-03 |
結審通知日 | 1999-06-18 |
審決日 | 1999-06-28 |
出願番号 | 特願昭63-289537 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09G)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 月野 洋一郎、片岡 栄一 |
特許庁審判長 |
平井 良憲 |
特許庁審判官 |
渡邊 聡 森 雅之 |
発明の名称 | 表示制御装置 |
代理人 | 山谷 晧榮 |