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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01S |
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管理番号 | 1001992 |
審判番号 | 審判1998-20190 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-11-19 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-12-24 |
確定日 | 1999-09-10 |
事件の表示 | 平成4年 特 許 願 第137775号「グローバルポジショニングシステム受信装置」拒絶査定に対する審判事件(平成5年11月19日出願公開、特開平5-307075)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成4年4月30日に出願されたものであって、その請求項に係る発明は、平成8年7月31日付け、平成10年9月7日付け及び平成11年1月22日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「各衛星からの電波を受信するグローバルポジショニングシステム受信装置であって、 上記受信信号に基づいて、基準方位に対する進行方向の角度を求める手段と、 上記受信信号に基づいて、上記基準方位に対する各衛星の方位角を求める手段と、 上記進行方向角と上記各衛星の方位角を用いて、進行方向に対する各衛星の方位角を求める手段とを有し、 上記各衛星の受信状況の良否を検出して表示するモード時に、グローバルポジショニングシステム衛星に関する情報の一つとして、移動体の進行方向を表示画面上で時計の0時方向に合わせて各衛星の天空上配置を画面の一部に表示制御する ことを特徴とするグローバルポジショニングシステム受信装置。」(以下、「本願発明」という。) 2.引用刊行物 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭61-159541号(実開昭63-67887号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という)には、次のことが図面とともに記載されている。 「この考案はGPS(Global Positioning System)による位置計測装置に関する。 [従来技術] GPS位置計測装置は、人工衛星からの電波を測位に必要な複数個の衛星について受信することにより、航空機、船舶、車両その他の被測定体の位置を測位するものであるが、・・・これら従来よりのGPS位置計測装置にあっては、所定のシーケンスに従って、最適選択された衛星の衛星電波を受信して被測位体の位置を測定するのみの構成であったため、利用者側では、測位の実体を把握することができず、測位が順調に行われているか否か、又、測位精度は真に高いものであるか否か疑問を抱いてしまうという問題点があった。」(3頁9行〜4頁5行)、 「第1図〜第3図はこの考案の第1実施例を示し、・・・本例に示すGPS位置計測装置G1の構成を説明すると、1はGPS衛星からの電波を受信するためのアンテナ、2は受信した電波から信号ないしデータを抽出する受信機である。 3は受信可能な衛星の中から最良のPDOP(HDOP)となる衛星組合せを選択する最適衛星選択装置、4は前記選択装置3で決定された衛星に1を加えた4ないし5個の衛星について周波数(ドプラシフト)、PNコード等の同期信号を発生させ各衛星信号の同期を取る4ないし5チャンネル(又はスロット)の同期装置である。 5は位置演算装置で・・・衛星信号をもとに、自車位置の測位演算を行なう。 6は表示制御装置で、前述の位置演算装置5による測位演算結果及び受信機2の衛星の受信状態等を道路地図等と共にCRT8上に表示すべく・・・表示制御する。 10は地図データ等のデータを記憶したコンパクトディスク・・・で、・・・表示制御コンピュータ6にデータを送る。」(6頁1行〜7頁5行)、 「第4図〜第8図はこの考案の第2実施例を示し、・・・第4図に示すように、GPS位置計測装置G2は、第1図に示したGPS位置計測装置G1の操作スイッチ11をモメンタリースイッチ12に変更すると共に、位置演算装置5と表示制御装置6との間に測位状況判別装置13を追加したものである。・・・ 表示制御装置6は、通常は第5図(a)に示すような表示(以下、この表示を行う画面を第1画面と称す)を行うようCRT8を制御する。又、前記指令信号があったとき、第5図(b)に示すような表示(以下、この表示を行う画面を第2画面と称す)を行うようCRT8を制御する。 第5図(a)に示した第1画面には、自車位置が表示されると共に・・・測位対象衛星の衛星番号が表示される。」(9頁19行〜11頁7行)、 「第6図に詳細に示すように、第2画面は、現在車両進行方位Fと、衛星配置と、所要事項とが表示されるようになっている。 衛星配置は方位(N,E,S,W)座標上にリング状に仰角(内側より60°,30°,0°)を表わした図形上に受信中の衛星を白丸印で、受信不能の衛星を黒丸印で表わしている。 所要事項は、現在時刻と・・・測位使用衛星の番号と、である。ここに、測位可能時の状況表示も併せて行うようにしているのは、・・・手動スイッチ12の操作に基いて測位可能時にも利用されることがあるからである。」(11頁10行〜12頁4行)、 「よって本例では、運転者はスイッチ12を操作することにより第6図に示した第2画面を表示させることができ、現在の測位状況を知ることができ、現在どの程度の精度で測位が行われているか、又は、今後続けて高精度の測位を行うことができるか等の予測を行うことができ、GPS位置計測装置G2を有効に活用することが可能となる。」(15頁3〜9行) また、引用例1第6図には、左側の円状の部分に、方位座標が表示されると共に、車両進行方位F及び衛星配置が表示されていることがみてとれる。 同じく、特開昭61-181914号公報(以下、「引用例2」という)には、次のことが図面とともに記載されている。 「(1)地図情報が記憶された記憶手段と、この記憶手段に記憶された地図情報を表示する表示手段と、車輌の位置および進行方向を検出する検出手段と、この検出手段の出力信号に応じて車輌の現在位置および進行方向を前記地図情報とともに表示手段に表示する表示制御手段と、前記検出手段より出力される車輌の進行方向に応じて前記表示手段に表示された進行方向が常に一定方向を向くよう前記地図情報および現在位置、進行方向からなる表示情報を移動する移動手段とを具備したことを特徴とする車載用ナビゲータ装置。」(特許請求の範囲第1項)、 「上記実施例によれば、自動車の進行方向が変わる毎に表示された地図を回転し、地図上に示された進行方向を常に画面の上方向を向くようにするとともに、現在地が常に画面の中央部となるように表示情報を移動している。したがって、運転者は表示部26の画面中央部を見れば現在地を知ることができ、しかも、地図に表示された進行方向が自動車の実際の進行方向と一致されているため、運転者が表示部26の画面を一瞥すれば希望の進路を容易に認識し得るものである。」(3頁左上欄18行〜同頁右上欄8行) 3.対比・判断 そこで、本願発明と引用例1に記載された発明とを比較すると、引用例1の「GPS位置計測装置」「第2画面」がそれぞれ本願発明の「グローバルポジショニングシステム受信装置」「各衛星の受信状況の良否を検出して表示するモード」に相当することは明らかである。また、引用例1のものが、「進行方向の角度」(引用例1の「車両進行方位F」)並びに「各衛星の方位角」及び「衛星の天空上配置」(引用例1の「衛星配置」)を求めていることは明らかであるから、引用例1のものは当然に「受信信号に基づいて、基準方位に対する進行方向の角度を求める手段」及び「受信信号に基づいて、上記基準方位に対する各衛星の方位角を求める手段」を有するものである。したがって、両者は、「各衛星からの電波を受信するグローバルポジショニングシステム受信装置であって、上記受信信号に基づいて、基準方位に対する進行方向の角度を求める手段と、上記受信信号に基づいて、上記基準方位に対する各衛星の方位角を求める手段と、上記各衛星の受信状況の良否を検出して表示するモード時に、グローバルポジショニングシステム衛星に関する情報の一つとして、移動体の進行方向と各衛星の天空上配置を画面に表示制御するグローバルポジショニングシステム受信装置」である点で一致し、次の点で相違する。 相違点: (1)本願発明は、進行方向角と各衛星の方位角を用いて、進行方向に対する各衛星の方位角を求める手段を有しているのに対し、引用例1のものは、該手段について明記されていない点。 (2)本願発明は、移動体の進行方向を表示画面上で時計の0時方向に合わせて各衛星の天空上配置を画面の一部に表示制御するのに対し、引用例1のものは、移動体の進行方向と各衛星の天空上配置を画面に表示するものではあるが、移動体の進行方向を表示画面上で時計の0時方向に合わせて画面の一部に表示制御するものではない点。 上記相違点について検討する。 相違点(1)について: 引用例1のものが、基準方位に対する進行方向の角度を求める手段と基準方位に対する各衛星の方位角を求める手段を当然に有することは上記したとおりである。そして、GPS受信装置において進行方向に対する各衛星の方位角の関係が重要であることは自明な事項であるから、基準方向に対する進行方向と各衛星の方位角の関係を求めることは必要に応じなし得ることにすぎないので、上記相違点(1)の技術的事項とすることは当業者が任意に設計し得る程度のことである。 相違点(2)について: 引用例2には、車載用ナビゲータ装置に関し、「自動車の進行方向が変わる毎に表示された地図を回転し、地図上に示された進行方向を常に画面の上方向を向くようにする・・・地図に表示された進行方向が自動車の実際の進行方向と一致されているため、運転者が表示部26の画面を一瞥すれば希望の進路を容易に認識し得るものである。」と記載されていることは上記のとおりであり、また引用例1には、自車位置を地図上で表示する第1画面(ナビゲータ装置)と衛星の測位状況を示す第2画面が指令信号により切換可能であることが記載されており、これは両表示画面が運転者にとって類似の関係として認識されること示すものであって、一方の関係(引用例2)を他方(引用例1)に適用することに困難性はない。そして、引用例2のものを引用例1に適用しようとすれば、回転が必要な部分は衛星の配置を表示した円上の部分(引用例1第6図)であることは明らかであるから、画面の一部に表示制御することは上記適用の際に当然行う事項であって格別のことではないので、上記相違点(2)の技術的事項とすることは当業者が容易になし得る程度のことである。 そして、本願発明が奏する作用効果は引用例1,2に記載された発明から予測しうる程度のものである。 4.むすび したがって、本願発明は、引用例1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-06-17 |
結審通知日 | 1999-07-02 |
審決日 | 1999-07-09 |
出願番号 | 特願平4-137775 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01S)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 神谷 健一、山下 雅人 |
特許庁審判長 |
平井 良憲 |
特許庁審判官 |
村本 佳史 森 雅之 |
発明の名称 | グローバルポジショニングシステム受信装置 |
代理人 | 小池 晃 |
代理人 | 田村 榮一 |
代理人 | 伊賀 誠司 |