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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01F |
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管理番号 | 1002143 |
審判番号 | 審判1998-18940 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1991-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-12-07 |
確定日 | 1999-09-08 |
事件の表示 | 平成1年 特 許 願 第181906号「コンバインの穀粒排出装置」拒絶査定に対する審判事件(平成3年2月28日出願公開、特開平3-47015)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続の経緯・本願発明 本願は、平成1年7月13日の出願であって、その請求項1に記載され発明(以下、「本願発明」という)は、平成11年5月21日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、 「排出クラッチレバー5の入り操作にもとづいて排出オーガ2へ伝動して穀粒タンク1内の穀粒を排出するコンバインにおいて、収納装置から穀粒を排出する排出位置に向かう排出側旋回及び穀粒の排出位置から収納装置に向かう収納側旋回をスイッチ操作によって切り替えるように制御する旋回制御装置4を設け、排出クラッチレバー5の入り操作にもとづいて排出側旋回と収納側旋回の何れの旋回へのスイッチ操作による切り替え制御を不能としてなるコンバインの穀粒排出装置。」 にあると認める。 II.当審の判断 当審において通知した拒絶の理由に引用された特開昭63-313523号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 「穀粒タンクと、穀粒タンクより機外に排出できるオーガと、オーガを上下動させるオーガ上下動手段と、オーガを水平移動させるオーガ回動手段と、オーガ上動手段及び回動手段の動作を順次指定してオーガを作業位置にむけて移動させる自動排出位置移動手段を備えたコンバインにおいて、 自動排出位置移動手段の作動・停止を司どる自動スイッチと、 オーガ上下動手段及び回動手段用の手動スイッチと、 手動スイッチの下げ操作時自動排出位置移動手段の作動を禁止する手段、を備えたことを特徴とするコンバインのオーガ自動排出位置移動装置。」(特許請求の範囲) 「第1図に示す如く、前記オーガ筒(28)を自動排出及び自動収納するための制御回路(CPU)(71)を備えると共に、該回路(71)の内容を自動排出と自動収納とに切換える切換レバー(71a)と、これら各制御をタッチ操作により開始及び停止させる自動スイッチ(72)並びにオペレータが任意に前記オーガ筒(28)を移動させる手動優先の左回動、右回動、上昇、下降用の各手動スイッチ(73)(74)(75)(76)を前記運転操作部(18)に配設し、レバー(71a)及び各スイッチ(72)(73)(74)(75)(76)と前記リミットスイッチ(53)(54)及び収納位置スイッチ(67)を前記制御回路(71)に入力接続させる一方、前記電動モータ(34)(35)を右及び左回動リレー(77)(78)を介し、また前記油圧シリンダ(48)の切換弁を操作する上昇ソレノイド(78)及び下降ソレノイド(80)をそれぞれ前記制御回路(71)に出力接続させている。」(3頁右下欄3〜19行) また、通常、コンバインには、排出オーガを操作するための排出クラッチレバーが設けられている。 当業者が図面を参考にし上記記載をみると、引用例1には、排出クラッチレバーの入り操作にもとづいて排出オーガへ伝動して穀粒タンク(14)内の穀粒を排出するコンバインにおいて、収納装置から穀粒を排出する排出位置に向かう排出側旋回及び穀粒の排出位置から収納装置に向かう収納側旋回をスイッチ(72)(73)(74)(75)(76)の操作によって切り替えるように制御する制御回路(71)を設けてなるコンバインの穀粒排出装置が記載されていると認められる。 そこで、本願発明と上記引用例1記載の発明とを比較すると、引用例1記載の発明の「制御回路(71)」が本願発明の「旋回制御装置4」に相当しているので、両者は、排出クラッチレバーの入り操作にもとづいて排出オーガへ伝動して穀粒タンク内の穀粒を排出するコンバインにおいて、収納装置から穀粒を排出する排出位置に向かう排出側旋回及び穀粒の排出位置から収納装置に向かう収納側旋回をスイッチ操作によって切り替えるように制御する旋回制御装置を設けてなるコンバインの穀粒排出装置で一致し、 本願発明が、「排出クラッチレバー5の入り操作にもとづいて排出側旋回と収納側旋回の何れの旋回へのスイッチ操作による切り替え制御を不能として」いるのに対し、引用例1記載の発明は、前記構成を備えていない点で相違している。 上記相違点について検討する。 当審において通知した拒絶の理由に引用された実願昭58-145173号(実開昭60-51952号)のマイクロフイルム(以下、「引用例2」という。)には、「本考案はコンバインにおける籾搬出筒の安全装置に関する。 すなわち、機体に搭載した籾タンクからはらせんコンベアを内装し中間より屈折して収納できる長い搬出筒を延設して構成するコンバインにおいて、クラッチレバーをクラッチ入りにして前記らせんコンベアが回転している状態では、前記搬出筒を屈折して収納しようとしても屈折することができないことになるようにして安全構造にすることができ、簡単な構造にして好適に実施できるよう提供するものである。」(2頁1〜11行)と記載されており、上記引用例2には、排出オーガへ伝動して穀粒を排出する排出クラッチレバーの入り操作に基づいて排出オーガの収納(移動)を不能にすることが開示されているといえる。 また、穀粒タンク内の穀粒の排出作業時に、排出オーガが移動すると穀粒がこぼれる等の不都合が生じることは当業者にとっては周知なこと(例えば、特開昭61-260812号公報参照)であるから、引用例1記載の発明において、排出オーガが駆動されているとき、すなわち、排出クラッチレバーの入り操作に基づいて排出オーガの移動を不能にしようとすることは当業者なら容易に想到できることであり、しかも、その際、引用例1記載の発明において、スイッチ(72)(73)(74)(75)(76)による排出オーガの移動を不能とし、本願発明の構成のようにすることは当業者が適宜できる設計事項にすぎない。 そして、本願発明の効果は、引用例1及び2記載の発明並びに周知技術から予測できることであって格別のものではない。 III.むすび したがって、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-06-11 |
結審通知日 | 1999-06-22 |
審決日 | 1999-07-26 |
出願番号 | 特願平1-181906 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A01F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 関根 裕 |
特許庁審判長 |
藤井 俊二 |
特許庁審判官 |
佐藤 昭喜 新井 重雄 |
発明の名称 | コンバインの穀粒排出装置 |