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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B23Q
管理番号 1002148
審判番号 審判1996-19588  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-04-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1996-11-22 
確定日 1999-09-30 
事件の表示 平成5年 特 許 願 第500017号「積極的な振動コントロール装置」拒絶査定に対する審判事件〔(平成4年11月26日国際公開 WO92/20482、平成6年4月7日国内公表 特許出願公表平6-503042号)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯・本願発明の認定
本願は、昭和平成5年8月10日の出願(国際出願日、西暦1992年3月26日)であって、その発明は、平成8年3月26日付け及び平成8年11月22日付けの手続補正書により補正された明細書並びに出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載されたものであるが、その請求項1に記載された発明(以下、本願発明という。)は次のとおりのものと認める。
「1.長手方向の軸と長手方向の軸に沿って伸びる片持梁部材の中の空隙をもつ片持梁部材における振動を活発にコントロールする装置において、
(イ)片持梁部材の自由端の近くに取付けられ、軸に垂直の方向の片持梁部材の動きを計測して、対応する信号を発するセンサーと、
(ロ)空隙の中に位置し片持梁部材の自由端近くに取付けられて、力で計測された動きに力によって対抗し、これにより振動によって起こされた軸に垂直な動きを最少にする力を発生する組立体とを含み、当該組立体は、
i)自由端の近くで片持梁部材に取付けられ最初の位置から変位されることのできるソリッドな質量であって、変位されたとき、結果生ずる質量の加速度が力を片持梁部材の上に発生させるソリッドな質量と、
ii)質量に作用し、質量を最初の位置から変位させるアクチュエーターと、
iii)センサーの信号を受取って分析し、アクチュエーターを作動させて、センサー信号の函数である加速度で質量を変位させる手段と、
iv)質量を最初の位置に向って戻す手段とを含むことを特徴とする装置。」
(なお、請求項1の第7行中の「片持取部材」は、片持梁部材」の誤記と認められるので、上記のように認定した。)
II.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に国内で頒布された特公昭55-32494公報(以下、引用例という)には、「長手方向の軸をもつ片持梁部材(引用例の刃物柄4が、これに相当する。)における振動を活発にコントロールする装置において、(イ)片持梁部材の被支持部の近くに取付けられ、軸に垂直の方向の片持梁部材の動きを計測して、対応する信号を発するセンサー(引用例の歪検出装置14が、これに相当する。)と、(口)片持梁部材の自由端近くに取付けられて、力で計測された動きに力によって対抗し、これにより振動によって起こされた軸に垂直な動きを最少にする力を発生する組立体(引用例の油圧操作シリンダ7、ピストン8、ピストンを作動させる流体、流体の流れを制御する電気油圧サーボ弁13を有する組立体が、これに相当する。)とを含み、当該組立体は、i)自由端の近くで片持梁部材に取付けられ最初の位置から変位されることのできるソリッドな質量(引用例のピストン8が、これに相当する。)であって、変位されたとき、結果生ずる質量の加速度が力を片持梁部材の上に発生させるソリッドな質量と、
ii)質量に作用し、質量を最初の位置から変位させるアクチュエーター(引用例のピストンに作用する流体及びこの流体の流れを制御する電気油圧サーボ弁13が、これに相当する。)と、iii)センサーの信号を受取って分析し、アクチュエーターを作動させて、センサー信号の函数である加速度で質量を変位させる手段(引用例の演算増幅器15及びサーボ増幅器16が、これに相当する。)と、iv)質量を最初の位置に向って戻す手段(引用例のピストン8を支持する弱いバネ9、10あるいはピストン8を作動させる流体が、これに相当する。)とを含むことを特徴とする装置。」が記載されている。
III.対比
本願発明と引用例に記載されたものを対比すると、両者は
「長手方向の軸をもつ片持梁部材における振動を活発にコントロールする装置において、(イ)片持梁部材に取付けられ、軸に垂直の方向の片持梁部材の動きを計測して、対応する信号を発するセンサーと、(ロ)片持梁部材の自由端近くに取付けられて、力で計測された動きに力によって対抗し、これにより振動によって起こされた軸に垂直な動きを最少にする力を発生する組立体とを含み、当該組立体は、i)自由端の近くで片持梁部材に取付けられ最初の位置から変位されることのできるソリッドな質量であって、変位されたとき、結果生ずる質量の加速度が力を片持梁部材の上に発生させるソリッドな質量と、ii)質量に作用し、質量を最初の位置から変位させるアクチュエーターと、iii)センサーの信号を受取って分析し、アクチュエーターを作動させて、センサー信号の函数である加速度で質量を変位させる手段と、iv)質量を最初の位置に向って戻す手段とを含むことを特徴とする装置。」の点で一致し、下記(1)〜(3)の点で相違する。
(1).本願発明は、片持梁部材が、長手方向の軸に沿って伸びる片持梁部材の中の空隙をもつのに対して、引用例に記載のものは、片持梁部材が、このような空隙をもたない点、
(2).本願発明は、振動によって起こされた軸に垂直な動きを最少にする組立体、即ち振動減少手段を空隙の中に位置させているのに対し、引用例に記載のものは、振動減少手段を片持梁部材の外部に位置させている点、
(3).本願発明は、センサーを片持梁部材の自由端の近くに取り付けているのに対し、引用例に記載のものは、センサーを片持梁部材の被支持部の近くに取り付けている点。
IV.当審の判断
上記相違点(1)、(2)について検討する。
片持梁部材に空隙を設け、片持梁部材の振動減少手段を前記空隙の中に位置させることは、例えば、特開昭59-1106号公報(中ぐり棒4(前記片持梁部材に相当する。)の中央ボア6(前記空隙に相当する。)の中に、同調吸収器パッケージ14(振動減少手段に相当する。)を位置させた点参照。)や、実願昭62-41305号(実開昭63-147203号)のマイクロフィルム(ボーリングバー1(前記片持梁部材に相当する。)の中空部4(前記空隙に相当する。)の中に、センタ軸10、11、ウェイト12、ナット13、14、15からなる組立体(振動減少手段に相当する。)を位置させた点参照。)等にみられるように、周知技術であるから、引用例に記載のものにおいて、片持梁部材の中に空隙を設け、この空隙の中に、振動減少手段を位置させることは、周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たことと認められる。
次に、上記相違点(3)について検討する。
片持梁部材の動きを計測するセンサーを、片持梁部材の自由端近くに取り付けるか、被支持部の近くに取り付けるかは設計的事項であり、引用例記載のものから当業者が容易に成し得たものと認める。
V.むすび
したがって、本願発明は、引用例記載のもの及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それゆえ、本願は、本願請求項2〜15の発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-04-01 
結審通知日 1999-04-13 
審決日 1999-04-22 
出願番号 特願平5-500017
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B23Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大久保 好二山本 信平和田 雄二筑波 茂樹  
特許庁審判長 城戸 博兒
特許庁審判官 鈴木 孝幸
播 博
発明の名称 積極的な振動コントロール装置  
代理人 高橋 剛  
代理人 斉藤 侑  
代理人 斉藤 秀守  

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