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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A01D |
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管理番号 | 1002234 |
異議申立番号 | 異議1999-71651 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-07-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-04-27 |
確定日 | 1999-10-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2816634号「木の実落とし機」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2816634号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第2816634号に係る発明についての出願は、平成5年1月8日に特許出願され、平成10年8月21日にその発明についての登録設定がなされた後、その特許について、異議申立人株式会社共立より特許異議の申立てがなされたものである。 2.本件発明 特許第28166634号の請求項1、2に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 長尺の杆状フレームに対し原動機と揺動ヘッドとを具えて成り、前記原動機の回転運動を往復動変換機構により往復運動に変換した後、更に揺動変換機構により揺動運動に変換し、これを揺動ヘッドに伝達することで木枝に振動を与える装置において、前記原動機と往復動変換機構は、杆状フレームの一方の端部近くに設けられ、他方、前記揺動ヘッドは杆状フレームの他端側に設けられ、更に往復動変換機構と揺動変換機構とは直杆状の中継部材によって接続されており、且つ前記揺動ヘッドは杆状フレームの伸長方向に直交する方向に設けられる回動軸を回動中心として支持されるとともに、この回動中心の側方に接続された前記中継部材の往復運動を受けて揺動運動するよう構成されていることを特徴とする木の実落とし機。 【請求項2】 前記揺動ヘッドはあらかじめ一定角度に拡開して設けられる挟持片を具えて成ることを特徴とする請求項1または2記載(「請求項1または2記載」は、「請求項1記載」の誤記と認める。)の木の実落とし機。」 3.申立ての概要 申立人株式会社共立は、証拠として甲第1号証(米国特許第3174269号明細書)、甲第2号証(実公昭46-354号公報)、甲第3号証(特公昭61-7290号公報)を提出し、請求項1,2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、取り消すべき旨主張している。 4.申立人が提出した甲号各証記載の発明 ア.申立人株式会社共立が提出した甲号各証には、以下の事項が記載されている。 (甲第1号証) 「サクランボを木から採るために本装置10を使用する時には、一方の手で前記エンジングリップ31を握り、他方の手で前記長手方向ハンドルバー33を握る。前記エンジンが作動すると、前記出力軸16が回転して前記プーリー17及び22を1駆動する。それにより、前記円板24及び前記偏心ピン25が回転して、前記長杆12に往復動を与える。該長杆(12)は、前記杆案内筒29内で動いて、作業者に過大な負担をかけることなく、加振作用を改善せしめつつ、前後への直線往復運動を行う。 FIG.1に示す如く、木の枝が、前記U形部材13の(二本の)指部(13b)間に位置せしめられ、前記長杆(12)の往復運動が前記枝に伝達される。これにより、前記枝が振動して、サクランボが木から落下する。」(明細書第5欄29行〜43行)、 第1図(機械式摘果機の使用を示す図。)、 第2図(機械式摘果機の側面図) (甲第2号証) 「本考案は把柄端に連結したU字形静止刃鈑と之に対して鋏作用を為す剪刃とより成る摘採部を有し、之を別位置に据え付ける駆動機構によって往復剪断作用を達せしめる摘採装置であって」(第1欄第18〜21行)、 「本案の摘採装置の使用に当っては駆動機構収容筐体を操縦者の肩又は背に負い、筐体内の電動機9を適当に電源に連ねた後片手に把柄1を把持しつゝ静止刃鈑の対向刃先2′を果実の茎に挿入すれば剪刃3が可撓伝動軸によって左右に往復廻動するので対向刃先2′との間に鋏作用が惹起されるので果実の茎部を剪断することが出来るのである。」(第2欄第10〜17行)、 第1図(果実摘採装置に使用する自動剪刃を示す正面図)、 第2図(果実摘採装置の1駆動部を示す正面図) (甲第3号証) 「別な実施例を第3図により詳細に説明を行う。 前記同様に刈刃装置筐体9に遠心クラッチドラム5と一体の歯車軸6を軸受7で支承し、これと一体の小歯車6′に噛み合う従動歯車10と偏心カムクランク15,15′を共通軸12に一体として軸受8,8′により軸支し、前記歯車軸6の減速騒動を受ける。前記偏心カムクランク15,15′は、ロッド14,14′を嵌装しビン20,20′を介して刈刃13,13′を往復動せしめる。」(第2欄第20〜29行)、 第1図(往復動形刈刃装置付草刈機の側面図)、 第3図(往復動形刈刃装置付草刈機の要部縦断面図) 5.対比・判断 (請求項1に係る発明) 本件請求項1に係る発明と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、本件請求項1に係る発明では、「揺動ヘッドは杆状フレームの他端側に設けられ、更に往復動変換機構と揺動変換機構とは直杆状の中継部材によって接続されており、且つ前記揺動ヘッドは杆状フレームの伸長方向に直交する方向に設けられる回動軸を回動中心として支持されるとともに、この回動中心の側方に接続された前記中継部材の往復運動を受けて揺動運動する」点を備えているのに対し、甲第1号証に記載された発明はその点の限定がない点で相違している。 上記相違点について、甲第2号証には、「片手に把柄1を把持しつゝ静止刃鈑の対向刃先2′を果実の茎に挿入すれば剪刃3が可撓伝動軸によって左右に往復廻動する」点が記載されている。しかし、甲第2号証に記載された発明において、剪刃は往復廻動により対向刃先2′との間で鋏作用を惹起し、木の実の茎を切断するものであり、揺動により木枝を振動させて果実を落下させるものではなく、揺動する対向刃先2′の機能は甲第1号証に記載された発明のものとは相違している。また、甲第3号証には、「往復動変換機構」の実施例が記載されているのみであり、「揺動変換機構」についての記載はない。そして、上記相違点の構成により、本件発明は明細書記載の格別の効果を奏する。 したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第1、2、3号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に想到しうるものではない。 (請求項2に係る発明) 請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を引用し、更に限定したものであるから、「(請求項1に係る発明)」の記載と同様に、甲第1、2、3号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に想到しうるものではない。 6.むすび したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-09-17 |
出願番号 | 特願平5-18020 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(A01D)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 関根 裕 |
特許庁審判長 |
藤井 俊二 |
特許庁審判官 |
日高 賢治 新井 重雄 |
登録日 | 1998-08-21 |
登録番号 | 特許第2816634号(P2816634) |
権利者 | カワサキ機工株式会社 カワサキ技研株式会社 |
発明の名称 | 木の実落とし機 |