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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
管理番号 1002306
異議申立番号 異議1998-74724  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-03-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-09-25 
確定日 1999-07-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2731424号「半導体装置の製造方法」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2731424号の特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2731427号の請求項1に係る発明は、平成1年7月24日に出願され、平成9年12月19日に、この発明について特許の設定登録がされ、その後特許異議申立人 牧田美樹により特許異議の申立がなされ、当審において取消理由通知がなされ、その通知書で指定した期間内の平成11年4月19日に訂正請求がなされた後、その訂正請求に対して訂正拒絶理由が通知され、その通知書で指定された期間内の平成11年6月23日付けで前記訂正請求に対する手続補正書が提出されたものである。
II.訂正の適否
1.手続補正書による補正
前記補正は、訂正請求書に添付した全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、及び該明細書第3頁第14行目〜第15行目の「前記ダイがダメージを受けない厚さの保護膜を形成し、」を「前記ダイがダメージを受けない保護膜を形成し、」と補正するものであるが、これらの補正は、明瞭でない記載の釈明に該当し、前記全文訂正明細書及び該明細書に添付した図面に記載された事項の範囲内であり、実質上その特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。したがって、前記手続補正書による補正は、訂正請求書の要旨
を変更するものではない。
よって、前記手続補正書による補正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合し、認められるものである。
2.訂正の内容
前記手続補正書による補正が認められることにより、前記訂正明細書によって訂正される事項は、以下のとおりと認める。
▲1▼訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1に記載の
「【請求項1】 有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程(1)を有する半導体装置の製造方法において、上記ダイボンディングに使用した上記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層(8)を除去する工程(30,60)とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。」を
「【請求項1】 有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程(1)及び該ダイボンディング工程における前記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層(8)を除去する工程(30,60)とを有する半導体装置の製造方法において、前記有機成分層の除去に対して前記ダイがダメージを受けない保護膜を形成し、前記有機成分層の除去は、Arスパッタエッチング又はO2アッシングにより行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。」に訂正する。
▲2▼訂正事項b
発明の詳細な説明における〔解題を解決するための手段〕に記載の
「本発明は、有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程を有する半導体装置の製造方法において、上記ダイボンディングに使用した上記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層を除去する工程とを有する構成としたものである。」を、
「有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程(1)及び該ダイボンディング工程における前記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層(8)を除去する工程(30,60)とを有する半導体装置の製造方法において、前記有機成分層の除去に対して前記ダイがダメージを受けない保護膜を形成し、前記有機成分層の除去は、Arスパッタエッチング又はO2アッシングにより行う構成としたものである。」に訂正する。
3.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
前記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮に該当し、訂正事項cは、訂正事項aに伴う明りょうでない記載の釈明に該当し、これらの訂正は新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
4.独立特許要件について
訂正後における特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、後記する特許異議の申立についての判断にも示すように、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由及び証拠の方法は見出せない。
5.むすび
以上のとおりであるから、前記訂正は、120条の4第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同条第3項で準用する同法第126条第2項乃至第4項の規定について、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるとされることから適用される平成5年特許法第126条第1項ただし書き及び同条第2及び3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.特許異議の申立についての判断
1.本件発明
本件請求項1に係る発明は、前記補正された全文訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程(1)及び該ダイボンディング工程における前記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層(8)を除去する工程(30,60)とを有する半導体装置の製造方法において、前記有機成分層の除去に対して前記ダイがダメージを受けない保護膜を形成し、前記有機成分層の除去は、Arスパッタエッチング又はO2アッシングにより行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。」
2.特許異議申立の理由の概要
特許異議申立人は、前記訂正前の本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載の発明と同一であるから特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものであり、又たとえ有機成分の除去方法を、Arスパッタエッチング又はO2アッシングに限定したとしても、甲第1号証に記載のものに、甲第2号証および甲第3号証に記載の有機成分除去方法を単に適用しただけであるから、この様な除去方法を限定した発明であっても、甲第1号証乃至甲第3号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができるのであるから特許法第29条2項に該当し、特許を受けることができないものであるから、取り消すべきものである旨主張している。
3.甲各号証に記載の事項
3-1.甲第1号証:特開昭64-47033号公報
半導体装置の製造方法に関し、
(ア) 「Agペーストダイボンドを行った場合、そのAgペーストダイボンド剤が硬化する際にAgぺーストダイボンド剤から発生した有機物質、主としてキシレン、エチルベンゼン、フェノール、ブチルアルコール、ブチルセルソルプなどが半導体素子の表面に付着する。」(第1頁右欄第4行〜第9行」と記載され、
(イ)「しかるに、有機物質が付着したまま半導体装置の製造工程を進めると、半導体装置の信頼性が低下する欠点があった。」(第1頁右欄第13行〜第15行)と記載され、その欠点の1つは、
(ウ)「半導体素子の表面に有機物質の極く薄い層が存在するためにモールド樹脂によってパッケージした時に樹脂と素子との密着が悪く、水分の侵入が生じ、」 (第1頁右欄第17行〜第20行)と記載され、そして、かかる欠点を解消するために、
(エ)「熱した純水による水蒸気、または熱水により半導体素子15の表面に付着した有機物質を洗浄除去している方法」(第1図、第2図およびその関連記載である第2頁右上欄第2行〜右下欄第4行)が開示されている。
3-2.甲第2号証:[Plasma cleaning of metal surfaces],J.Vac.Sci.Technol.,Vol.11.No3,1974
(オ)「金属表面のマイルドプラズマクリーニングは、有機汚染物の除去に効果的である」(第1頁頭書き第1行〜第2行)と記載され、
(力)「プラズマ用に用いられたガスは、純アルゴンガス(99.99%)とヘリウム(97%)‐酸素(3%)混合ガスであった。」(第1頁右欄第34行乃至第36行)と記載され、金属表面を浄化する理由については、
(キ)「浄化された金属表面は、蒸着されるポリマーフィルムの接着性を良くするために必要とされる。」(第1頁左欄第4行〜第5行)と記載され、プラズマクリーニングの結果については、
(ク)「ヘリウム-酸素混合ガスをアルゴンに置き換えた場合、プラズマの浄化効率に顕著な差はなかった。プラズマによる金属の酸化を避けるために、アルゴンガスの使用が望ましい。」(第2頁右欄第5行〜第9行)と記載されている。
3-3.甲第3号証:特開昭64-77027号公報
(ケ)「O2プラズマ洗浄及び紫外線洗浄では、オゾンO3を発生させて、該有機強誘電体とオゾンO3から発生した原子状の酸素Oが反応しCO2、H2O、N、O2のような単純な分子を形成し気相化させ除去する。」(第2頁左上欄第17行〜右上欄第1行)と記載されている。
4.対比・判断
訂正後の請求項1に係る本件発明(前者)と上記甲第1号証に記載されたもの(後者)とを対比すると、後者も、有機系のAgペーストダイボンド剤を用いてダイボンディングを行う半導体の製造方法に関するものであるから、産業上の利用分野は共通しており、しかもダイ表面に付着形成された有機成分層を除去するための蒸気洗浄工程等を具備するものであるから、両者は、「有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程及び該ダイボンディング工程における前記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層を除去する工程とを有する半導体装置の製造方法」である点で一致しているが、▲1▼有機成層の具体的な除去工程が、前者が、Arスパッタエッチング又はO2アッシングにより行うのに対して、後者は蒸気洗浄、熱水の噴霧である点、及び▲2▼前者はダイにダメージを受けない保護膜を形成するのに対して、後者は保護膜に関し何等言及していない点で相違している。
そこで前記相違点に付き検討するに、相違点▲1▼については、前記甲第2号証には、金属表面の有機汚染物の除去に純アルゴンガスやヘリウムと酸素の混合ガスをプラズマ用として用いることが、前記甲第3号証には、有機強誘電体をO2プラズマでエッチングする方法が開示されているので、甲第1号証に記載の蒸気洗浄や熱水の噴霧による有機成分層の除去工程に代えて、Arスパッタエッチング又はO2アッシングによる有機成分層の除去工椋を採用することは、甲第1乃至第3号証に記載のものから当業者が容易に想到することができる程度のことと認められるが、Arスパッタエッチング又はO2アッシングによる有機成分層の除去工程を採用する際にダイがその工程でダメージを受けないようにするめの、「ダイにダメージを受けない保護膜を形成する」とした相違点▲2▼における前者の構成については、甲第1号証乃至第3号証のいずれにも記載がなく、示唆するものもない。
そして、前者は、上記相違点▲2▼に係る構成とその他の前者の構成要件とが相俟って、Arスパッタエッチング又はO2アッシングによってダイがダメージを受けることなく表面が浄化された状態で封止されるため、封止状態が向上して耐湿性が向上し、有機成分の拡散による特性劣化が起きないという上記甲第1乃至第3号証記載のものから予測し得ない作用効果を奏するものである。
したがって、訂正後の請求項1に係る本件発明は、甲第1号証に記載のものと同一であるといえないばかりでなく、甲第1乃至第3号証に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠方法によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
半導体装置の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程(1)及び該ダイボンディング工程における前記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層(8)を除去する工程(30,60)とを有する半導体装置の製造方法において、
前記有機成分層の除去に対して前記ダイがダメージを受けない保護膜を形成し、
前記有機成分層の除去は、Arスパッタエッチング又はO2アッシングにより行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
〔概要〕
有機系接着剤を使用してダイボンディングを行う半導体装置の製造方法に関し、信頼性の高い半導体装置の製造を可能とすることを目的とし、
有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程を有する半導体装置の製造方法において、上記ダイボンディングに使用した上記有機系接着剤より発生しダイの表面に付着して形成された有機成分層を除去する工程を有するよう構成する。
〔産業上の利用分野〕
本発明は有機系接着剤を使用してダイボンディングを行う半導体装置の製造方法に関する。
第8図は一般的な半導体装置の製造方法を示す。
1はダイボンディング工程であり、第9図に示すようにダイ2がリードフレーム3のステージ3aにボンディングされる。ダイ2の表面には何らかの保護膜が形成してある。ボンディング剤としては、ダイサイズの大型化及びコストダウンのため、半田等の金属に代えて有機系接着剤4が使用されている。
この後、有機系接着剤4を硬化させるために、150〜200℃で約2時間の後キュア工程5を行ない、その後、ワイヤボンディング工程6を行ない、最後に樹脂で封止する樹脂モールド工程7を行なう。
後キュア工程5時に、第9図中矢印a,bで示すように、有機系接着剤4からこの成分のうち低分子の有機成分が脱ガスし、ダイ2の表面及びステージ3aの裏面及びインナーリード3bの表面に付着し、有機成分層8を形成する。
この有機成分層8は後述するように、最終製品である半導体装置の耐湿性を損ない、且つ特性を劣化させる。
従って、樹脂をモールドする前に、上記の有機成分層8を除去されていることが望ましい。
〔従来の技術〕
従来の製造方法は、工程は第8図と同じであり、後キュア工程5においてキュア炉に入れる被処理物(ダイボンディングされたリードフレーム)の数量を、通常の量より少なくし、キュア炉内に発生する有機成分の量を少なく抑えて、有機成分層が形成されにくくしている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、有機成分層は少ないとはいえ形成されることにより、これが、以下の問題を起こしていた。
第10図は従来の製造方法により製造された半導体装置10を示す。同図中、第9図に示す構成部分と対応する部分には同一符号を付す。11はリード,12はワイヤ,13はパッケージである。
パッケージ13は有機材であり、同じく有機材である有機成分層8との密着力が弱い。
このため、パッケージ13内に水分が侵入し易くなり、符号14で示すクラックが生じたり、符号15で示すパッド腐食が生じたりする。パッド腐食は、層8の揮発成分自体の作用によっても起きる。
第4図中、線Iは121℃,2気圧の水蒸気雰囲気中で試験を行った結果を示す。
100時間を経過した時点では、サンプル20個のうち2個がパッド腐食を起こしワイヤ接続部が切れて不良となり、1000時間経過した時点では14個が不良となった。
また、不純物である有機成分がダイ2内に拡散し、ダイ2中のMOSトランジスタのゲートに加える閾値電圧VTHが、第5図中線IIで示すように、試験時間の経過と共に大きく変化してしまい、MOSトランジスタの特性が劣化してしまい、短寿命となる。VTHの変動率は、(現在のVTH-初期のVTH)/初期のVTHで表わされる。
また、キュア炉内で一度に処理するダイボンディングされたリードフレームの数量を通常より少なくしており、生産性の向上を図ることが困難であった。
本発明は、信頼性の高い半導体装置の製造を可能とした半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程(1)及び該ダイボンディング工程における前記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層(8)を除去する工程(30,60)とを有する半導体装置の製造方法において、前記有機成分層の除去に対して前記ダイがダメージを受けない保護膜を形成し、前記有機成分層の除去は、Arスパッタエッチング又はO2アッシングにより行う構成としたものである。
〔作用〕
有機成分層除去工程を付加したことにより、ダイはその表面に付着形成された有機成分層を除去されてクリーンな状態で封止されることになり、有機成分層が付いた状態のまま封止した場合に生じていた不都合が除去され、耐湿性に優れ、且つ特性劣化が起きにくく、従来に比べて高い信頼性を有する半導体装置を製造し得る。
〔実施例〕
第1図は本発明の一実施例になる半導体装置の製造方法の工程を示す。同図中、第8図に示す部分と対応する部分には同一符号を付す。
30はArスパッタエッチング工程であり、樹脂モールド工程7の直前の部位、即ちワイヤボンディング工程6の後の部位に追加してある。
この工程30は、第2図に示すArスパッタエッチング装置31を使用して所定の条件で行う。
32-1〜32-n(nは例えば100)は夫々ワイヤボンディング済のリードフレームであり、ダイ2の表面及びステージ3aの裏面等には有機成分層8が付いている。
このワイヤボンディング済リードフレーム32-1〜32-nは、チャンバ33内に垂直の状態で面対向させて隙間をあけて配列してあり、共にアース34に接続してある。
35,36は電極であり、リードフレーム32-1〜32-nの上下に対向して配設してあり、高周波(RF)電源37,38により電圧を印加される。
チャンバ33は真空ポンプ39により真空とされ、上部の入口40によりArガスが導入される。
これにより、リードフレーム32-1〜32-nに対してArスパッタエッチングが行われ、各リードフレーム32-1〜32-nの表面の有機成分層8が剥離されて物理的に除去される。
ダイ2の表面には保護膜があり、ダイ2自身にダメージは無い。
このときのArスパッタエッチングの条件は例えば以下の通りである。
反応圧力 0.5 Torr
Ar流量 250 SCCM
RF出力 1 W/cm2
RF周波数 13.56 MHZ
時 間 10 分間
樹脂モールドは有機成分層8が除去されたリードフレーム及びチップに対して行われ、モールドされて完成した半導体装置50は第3図に示す如くになる。
同図中、51は樹脂パッケージ部である。
ダイ2の表面、ステージ3aの下面、及びインナーリード3bの表面には有機成分層8が除去されてクリーンな状態となっている。
これにより、第1には、樹脂パッケージ部51とダイ2,ステージ3a及びインナーリード3bとが良好に密着した状態となり、半導体装置50は従来のものに比べて耐湿性が向上する。
このことは、第4図中、線Iaで示す耐湿性試験の結果より分かるであろう。 耐湿性試験は、121℃,2気圧の水蒸気雰囲気中で行った。
線Iaより分かるように、パッド腐食を起こしてワイヤ接続部が切れて不良となった半導体装置50は、1,000時間経過後も零であった。
第2には、ダイ2自体の劣化が起きない。
第5図中の線IIaより分かるように、MOSトランジスタのVTHに変動が起きず、VTHは、試験時間が1,000時間を経過した後も、元の値を維持し続ける。
これは、ダイ2の表面2aに有機成分層8が無く、然してダイ2の内部への不純物の拡散が起きないためである。
従って、上記実施例により製造された半導体装置50は耐湿性に優れ、長寿命を有するものとなる。
また、リードフレーム32-1〜32-nは垂直の状態にあるため、剥離した有機成分層8が再びリードフレーム32-1〜32-nに付着することは起きにくく、好都合である。
第6図は本発明の別の実施例になる半導体装置の製造方法の工程を示す。同図中、第8図に示す部分と対応する部分には同一符号を付す。
60はO2アッシング工程であり、樹脂モールド工程7の直前の部位、即ちワイヤボンディング工程6の後の部位に追加してある。
この工程60は、第7図に示すO2アッシング装置61を使用して所定の条件で行う。
第7図中、62は石英製反応炉,63は誘導コイル,64は高周波<RF>電源,65は多孔のエッチトンネルである。
反応炉62内には、ワイヤボンディング済のリードフレーム32-1〜32-n(nは例えば100)が、治具(図示せず)により、垂直状態で面対向して支持されている。
O2アッシングは、真空ポンプ66により反応炉62内を真空とすると共に、入口67よりArとO2の混合ガスを導入し、誘導コイル63に高周波電圧を印加することにより行う。
これにより、反応炉62内にプラズマが発生し、O+,O-はエッチトンネル65によりシールドされ、酸素ラジカルO*だけがエッチトンネル65を通過してエッチトンネル65内の空間69内に進入し、上記リードフレーム32-1〜32-nに作用する。これにより表面の有機成分層8が灰化されて、化学的に除去される。ダイ2の表面は保護膜(図示せず)により保護されており、ダメージは受けない。
このときのO2アッシングの条件は例えば以下の通りである。
反応圧力 2〜3 Torr
Ar:O2 1:10
流 量 250 SCCM
RF出力 1 W/cm2
RF周波数 200 MHz
時 間 5 分間
樹脂モールドは、有機成分層8が除去されたチップ及びリードフレームに対して行われ、モールドされて完成した半導体装置70は上記の場合と同様に、第3図に示す如くになる。
この半導体装置70を上記と同じ条件で耐湿性試験及び特性劣化試験を行ったところ、前記の半導体装置50の場合と同様の結果が得られる。
従って、本実施例の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置70は、耐湿性に優れ且つ特性劣化を起こしにくく、長寿命を有する。
また、前記のArスパッタエッチング工程30及びO2アッシング工程60の所要時間は10分程度と短いものであり、且つ同時に大量に処理できるものであり、しかも後キュア工程5を一度に処理するリードフレームの数を制限せずに行うことができるため、全体として、半導体装置の生産能率を従来に比べ上げることができる。
〔発明の効果〕
以上説明した様に、本発明によれば、ダイ表面に付着形成された有機成分層が除去され、ダイは表面が洗浄化された状態で封止されるため、封止状態が向上して耐湿性が向上し、且つ有機成分の拡散による特性劣化が起きない、信頼性に優れた半導体装置を製造することが出来る。
また、有機成分層の除去工程が新たに追加されているものの、その所要時間は短く、また後キュア工程における処理量を増やすことが出来、半導体装置の生産性を低下させることにはならず、生産性を向上させることも出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例になる半導体装置の製造方法を説明する図、
第2図は第1図中のArスパッタエッチング工程に使用する装置の概略図、
第3図は第1図の製造方法により製造された半導体装置を示す図、
第4図は耐湿性試験結果を示す図、
第5図は特性劣化試験結果を示す図、
第6図は本発明の別の実施例になる半導体装置の製造方法を説明する図、
第7図は第6図中のO2アッシング工程に使用する装置の概略図、
第8図は半導体装置の一般的な製造方法を説明する図、
第9図は、後キュア時における有機成分層の形成を説明する図、
第10図は従来の製造方法により製造された半導体装置を示す図である。
図において、
1はダイボンディング工程、
2はダイ、
3はリードフレーム、
3aはステージ、
4は有機系接着剤、
5は後キュア工程、
6はワイヤボンディング工程、
7は樹脂モールド工程、
8は有機成分層、
30はArスパッタエッチング工程、
31はArスパッタリング装置、
32-1〜32-nはワイヤボンディンク済リードフレーム、
50は半導体装置、
51は樹脂パッケージ、
60はO2アッシング工程、
61はO2アッシング装置
を示す。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2731424号発明の明細書を、訂正請求書に添付された補正された訂正明細書及び図面のとおり訂正する。
すなわち、
1.特許請求の範囲の減縮を目的として
特許請求の範囲の請求項1に記載の
「【請求項1】 有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程(1)を有する半導体装置の製造方法において、上記ダイボンディングに使用した上記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層(8)を除去する工程(30,60)とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。」を
「【請求項1】 有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程(1)及び該ダイボンディング工程における前記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層(8)を除去する工程(30,60)とを有する半導体装置の製造方法において、前記有機成分層の除去に対して前記ダイがダメージを受けない保護膜を形成し、前記有機成分層の除去は、Arスパッタエッチング又はO2アッシングにより行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。」に訂正する。
2.明りょうでない記載の釈明として
発明の詳細な説明における〔解題を解決するための手段〕に記載(公報第2頁第3欄第49行から第4欄第3行目)の
「本発明は、有機系接着剤を使用して行うダイボンディング工程を有する半導体装置の製造方法において、上記ダイボンディングに使用した上記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層を除去する工程とを有する構成としたものである。」を、
「有機系接着剤を一使用して行うダイボンディング工程(1)及び該ダイボンディング工程における前記有機系接着剤より発生し、ダイの表面に付着して形成された有機成分層(8)を除去する工程(30,60)とを有する半導体装置の製造方法において、前記有機成分層の除去に対して前記ダイがダメージを受けない保護膜を形成し、前記有機成分層の除去は、Arスパッタエッチング又はO2アッシングにより行う構成としたものである。」に訂正する。
異議決定日 1999-06-30 
出願番号 特願平1-191047
審決分類 P 1 651・ 113- YA (H01L)
P 1 651・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川真田 秀男  
特許庁審判長 酒井 雅英
特許庁審判官 清水 英雄
伊藤 明
登録日 1997-12-19 
登録番号 特許第2731424号(P2731424)
権利者 富士通株式会社 株式会社九州富士通エレクトロニクス
発明の名称 半導体装置の製造方法  
代理人 佐々木 定雄  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 片山 修平  
代理人 佐々木 定雄  
代理人 片山 修平  
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