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審決分類 審判 全部無効 出願日、優先日、請求日 無効とする。(申立て全部成立) G03G
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 無効とする。(申立て全部成立) G03G
管理番号 1003386
審判番号 審判1997-6966  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-05-15 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-04-23 
確定日 1999-09-09 
事件の表示 上記当事者間の特許第1836921号発明「カラー画像記録装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第1836921号発明の特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 I.手続の経緯
(1)出願・設定登録
本件特許第1836921号発明(以下「本件特許発明」という)は、昭和56年1月28日に出願された特願昭56-10255号(以下「原出願」という)に基づいて平成2年8月9日に分割出願として出願(特願平2-209151号)され、平成4年1月28日に出願公告(特公平4-4585号)された後、平成4年11月20日に明細書が補正され、平成6年4月11日に設定登録されたものである。
(2)請求人の主張
これに対して、請求人は甲第1〜5号証を提出し、次の理由をその1つとして挙げ、本件特許を無効にすべきであると主張している。
すなわち、本件特許は、分割出願として、原出願の出願日である昭和56年1月28日に出願されたものとして特許されたものであるが、本件特許発明の明細書には「さらに、本実施例ではレジストマーク15を第1色目である赤色画像と同時に記録したが、この方式に限らずレジストマークのみを画像記録前に形成しても本発明によるカラー画像記録装置を実現できる。」の記載があり、この「レジストマークのみを画像記録前に形成する方式」は原出願の出願当初の明細書、図面に記載されたに等しい事項とは認められない。
そして、本件特許発明が要旨とするレジストマークの潜像形成手段は、この「レジストマークのみを画像記録前に形成する方式」を包含するものであるから、本件は特許法第44条第1項の規定に違反し、同法同条第2項に規定される出願日の遡及は認められず、本件は、平成2年8月9日の出願とすべきである。
そうすると、本件特許発明は、特開昭57-124753号公報(甲第1号証)に記載された発明と同一であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、本件特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
(3)被請求人の対応
被請求人は答弁書を提出し、請求人の主張する「本件特許の無効」は、本件の出願日を平成2年8月9日として取扱うことを前提としたものであるが、前提そのものが失当であるので、請求人の主張には理由がない、と主張している。
すなわち、原出願の当初明細書全体の記載から、潜像形成手段によって形成されたレジストマークは「被記録紙の記録進行方向の伸縮によって生ずる色ずれを防止し、鮮明にして且つ色ずれの少ない多色静電記録装置を提供する」という効果を奏する上で寄与していることが読み取れ、原出願には、記録媒体の往復搬送回数を最小限にできうるという観点から、最良の実施形態としてレジストマークの潜像形成時期を第1色目の潜像形成と同時に行う実施例が記載されている。
しかし、第1色目潜像形成前に、レジストマークの潜像形成を単独に行っても、色ずれを防止するという効果を奏する上で実施例に示されるものと同一であり、非能率を厭わなければ第1色目画像記録前であってもよいことは、原出願の当初明細書の記載から当業者によって自明に理解されることである。
したがって、「本実施例ではレジストマーク15を第1色目である赤色画像と同時に記録したが、この方式に限らずレジストマークのみを画像記録前に形成しても本発明によるカラー画像記録装置を実現できる。」に相当する事項は、原出願の当初明細書には明示されてはいないが、その記載から自明に導かれる事項である。
よって、本件は適法に分割されたものであり、出願日の遡及効を受けられるものである。
II.分割の適否・出願日
(1)本件特許発明
本件特許発明は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された、「所定の搬送径路に沿って記録媒体を往復又は循環して搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送路中に設けられ前記記録媒体上の画像記録領域内に記録画像に対応する潜像を形成するとともに、前記記録媒体上の画像記録領域外に連続的に略等間隔のレジストマークに対応する潜像を形成する潜像形成手段と、この潜像形成手段により前記記録媒体上に形成された記録画像に対応する潜像をそれぞれ異なる色で可視像化すると共に前記レジストマークに対応する潜像を単一色で可視像化する複数の現像手段と、前記潜像形成手段に対し前記記録媒体搬送方向上流に少なくとも前記レジストマーク間距離と前記レジストマーク間距離に対応する前記記録媒体の最大伸長量とを加算した距離以上離間して設けられたレジストマーク検知手段と、前記搬送手段を作動し前記記録媒体の同一画像記録領域で潜像形成と現像とを各色毎に複数回繰り返すことにより合成カラー画像を形成する記録制御手段と、前記記録制御手段により潜像形成を行うに際し、前記レジストマーク検知手段により検出した前記レジストマークの間隔に基づいて前記記録媒体の搬送方向における記録位置合わせを行うタイミング制御手段とを具備したことを特徴とするカラー画像記録装置。」を構成要件とするものである。
そして、本件特許明細書の発明の詳細な説明には「さらに、本実施例ではレジストマーク15を第1色目である赤色画像と同時に記録したが、この方式に限らずレジストマークのみを画像記録前に形成しても本発明によるカラー画像記録装置を実現できる。」と記載されており、
この記載は、本件特許の当初明細書第27頁第8〜13行に記載の「さらに、本実施例ではレジストマーク15を第1色目である赤色画像と同時に記録したが、この方式に限らずレジストマークのみを画像記録前に形成してもよいし、予めレジストマークが形成された記録紙を使用しても本発明によるカラー画像記録装置を実現できる。」を出願公告後の平成4年11月20日付け手続補正により補正したものである。
したがって、本件特許発明が構成要件とする、「記録媒体の搬送路中に設けられ前記記録媒体上の画像記録領域内に記録画像に対応する潜像を形成するとともに、前記記録媒体上の画像記録領域外に連続的に略等間隔のレジストマークに対応する潜像を形成する潜像形成手段」は、本件特許の当初明細書及び本件特許明細書に記載されている「レジストマークのみを画像記録前に形成」する方式を包含するものである。
(2)分割の適否・出願日の判断
上記II.(1)で記載したように、本件特許発明が構成要件とする潜像形成手段は「レジストマークのみを画像記録前に形成する方式」を包含するものであるから、該方式が原出願の当初明細書に記載の範囲内であるか否か以下検討する。
原出願の当初明細書(特開昭57-124753号公報参照)には、
「第1色目の画像記録に際しては紙送り量に比例するパルスを利用して被記録紙上に紙送り方向に等間隔にマークを同時に記録し、第2色目以後の画像記録に際しては前記マーク読み取り器によって読み取られる前記マークの間隔を計測して演算の上画像記録タイミングパルスを発生させて画像記録を行うことにより、色ずれのない多色記録を行うことを特徴とする多色静電記録装置。」(同明細書第1頁第15行〜第2頁第2行、同公報第1頁左下欄第15行〜右下欄第2行参照)、
「本発明は前記のごとき被記録紙の記録進行方向の伸縮によって生じる色ずれを防止し、鮮明にして且つ色ずれの少ない多色静電記録装置を提供するもので、以下一実施例につき図面に基づき詳細に説明する。」(同明細書第9頁第18行〜第10頁第2行、同公報第3頁左下欄第18行〜右下欄第2行参照)、の記載があり、
これらの記載からは、第1色目の画像記録と同時にマークが被記録紙上に記録され、第2色目以後の画像記録に際しては、前記マークに基づいて画像記録タイミングパルスを発生させて画像記録を行う多色静電記録装置と共に、第1色目の画像記録と同時に被記録紙上に記録されたマークは、第2色目以後の画像記録に際して画像記録タイミングパルス発生の基準となり、被記録紙の記録進行方向の伸縮によって生じる色ずれを防止する効果を奏する上で寄与している事項が把握される。
そして、原出願の当初明細書には、マークの記録時期に関して、
「本装置による多色記録の態様を説明する。制御装置9’に記録開始の指示を与えると、第1色目すなわち赤色記録を準備する。・・中略・・上記準備完了後制御装置9’は・・中略・・マーク画像となるべき信号を多針電極静電ヘッド6へ送信し始める。更に同時に制御装置9’は赤色トナーを内蔵する赤色現像器7aおよび定着器8に動作指令を送る。・・中略・・制御装置9’がカウンタ 11’から5個目タイミングパルスを受信すると、画像データ記憶装置10から赤色画像の最初のデータを取り出して、マーク中心位置のマーク信号と同時に赤色画像の信号を多針電極静電ヘッド6へ送る。・・中略・・制御装置9’が画像データ記憶装置10から赤色データEND’を示す情報を読み込むと、・・中略・・最後のマークの静電潜像ドット記録を完了した後、カウンタ14にNαをセットする。」(同明細書第12頁第12行〜第15頁第3行、同公報第4頁右上欄第12行〜第5頁左上欄第3行参照)等が記載され、
マークを第1色目の画像記録と同時に記録する態様、第1色目の画像データの終了により最後のマークを記録する態様等、第1色目の画像記録とマークの記録のタイミングを相互に関連させる事項は開示されているものの、マーク(本件特許発明のレジストマークに相当する)のみを画像記録前に形成する方式は何ら開示されていない。
また、原出願の当初明細書の記載から把握される上記した「第1色目の画像記録と同時に被記録紙上に記録されたマークは、第2色目以後の画像記録に際して画像記録タイミングパルスの基準となり、被記録紙の記録進行方向の伸縮によって生じる色ずれを防止する効果を奏する上で寄与している事項」は、上位概念として、被記録紙上に記録されたマークが被記録紙の記録進行方向の伸縮によって生じる色ずれを防止する効果を奏する上で寄与している事項を開示しているが、該上位概念での開示は、具体的な構成であるマークのみを画像記録前に形成する方式を示唆するものではなく、且つ、該方式は、当業者が原出願の当初明細書の記載から判断すれば当然に本件特許発明に利用することを想到する周知・慣用技術とも認められないから、マークのみを画像記録前に形成する方式が原出願の当初明細書の記載から当業者によって自明に理解される事項であるとは認められない。
してみると、本件特許発明は、原出願の当初明細書の記載事項の範囲を越える事項を包含するものであるから、本件特許出願は、特許法第44条第1項に規定する「二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。」に違反する不適法な分割出願であって、特許法第44条第2項に規定される出願日の遡及は認められない。
したがって、本件特許出願の出願日は現実の出願日である平成2年8月9日である。
III.本件特許と甲第1号証の対比・判断
本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許明細書の請求項1に記載されているとおりのものである(上記、II.(1)の特許請求の範囲の記載参照)。
本件特許出願の出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭57-124753号公報(甲第1号証)は、本件特許出願が分割出願の基礎とする原出願の出願当初の明細書及び図面の公開公報であり、
本件特許の請求項1に係る発明の各手段と同公報の記載を対比すると、
「所定の搬送径路に沿って記録媒体を往復又は循環して搬送する搬送手段」については、主として同公報第3頁右下欄第7行〜同欄第10行「被記録紙・・中略・・構成され、」、第6頁右下欄第5行〜同欄第9行「一実施例として・・中略・・実現できる」及び、図面第3図の記載から、
「前記記録媒体の搬送路中に設けられ前記記録媒体上の画像記録領域内に記録画像に対応する潜像を形成するとともに、前記記録媒体上の画像記録領域外に連続的に略等間隔のレジストマークに対応する潜像を形成する潜像形成手段」については、主として同公報第3頁右下欄第10行〜同欄第18行「被記録紙・・中略・・前方に設けてある。」、第4頁左下欄第8行〜右下欄第1行「カウンタ・・中略・・送る。」及び図面第3図の記載から、
「この潜像形成手段により前記記録媒体上に形成された記録画像に対応する潜像をそれぞれ異なる色で可視像化すると共に前記レジストマークに対応する潜像を単一色で可視像化する複数の現像手段」については、主として同公報第1頁左下欄第9行〜同欄第14行「各色ごとに・・中略・・多色静電記録装置」、第4頁左上欄第11行〜同欄第13行「本装置・・中略・・記録する」、第4頁左下欄第8行〜右下欄第1行「カウンタ・・中略・・送る。」、第4頁右下欄第13行〜同欄第16行「被記録紙・・中略・・定着される。」及び図面第3図の記載から、
「前記潜像形成手段に対し前記記録媒体搬送方向上流に少なくとも前記レジストマーク間距離と前記レジストマーク間距離に対応する前記記録媒体の最大伸長量とを加算した距離以上離間して設けられたレジストマーク検知手段」については、主として第4頁左上欄第16行〜右上欄第5行「前記マークは、・・中略・・設置してある。」の記載から、
「前記搬送手段を作動し前記記録媒体の同一画像記録領域で潜像形成と現像とを各色毎に複数回繰り返すことにより合成カラー画像を形成する記録制御手段」については、主として同公報第4頁右上欄第12行〜第6頁左下欄第2行「以下、・・中略・・完了させる。」の記載から、
「前記記録制御手段により潜像形成を行うに際し、前記レジストマーク検知手段により検出した前記レジストマークの間隔に基づいて前記記録媒体の搬送方向における記録位置合わせを行うタイミング制御手段」については、主として同公報第1頁左下欄第17行〜右下欄第2行「第2色目以後・・中略・・多色静電記録装置。」、同公報第5頁左下欄第12行〜第6頁左下欄第2行「次のマーク〜完了させる。」の記載から、各々把握される事項であり、
上記した同公報の記載箇所を含め、同公報の特許請求の範囲の記載、第3頁右下欄第3行〜第6頁左下欄第2行の実施例の記載、第6頁右下欄第5行〜同欄第10行の記載、及び図面の記載からは、本件特許の請求項1に係る発明と同一の発明が把握される。
IV.むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明についてなされた特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1998-02-09 
結審通知日 1998-02-20 
審決日 1998-02-24 
出願番号 特願平2-209151
審決分類 P 1 112・ 03- Z (G03G)
P 1 112・ 113- Z (G03G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 魚住 高博鈴木 伸夫小泉 順彦町田 光信  
特許庁審判長 木下 幹雄
特許庁審判官 小牧 修
池田 裕一
登録日 1994-04-11 
登録番号 特許第1836921号(P1836921)
発明の名称 カラー画像記録装置  
代理人 石原 勝  
代理人 古川 和夫  

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