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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G08G
管理番号 1003796
異議申立番号 異議1998-74201  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-01-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-08-25 
確定日 1999-08-02 
異議申立件数
事件の表示 特許第2719728号「車両制御装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2719728号の特許を取り消す。 
理由 I.手続きの経緯
本件特許第2719728号は、平成2年5月1日に特許出願され、平成9年11月21日に設定登録され、その後、特許異議申立てがなされ、取消理由通知がなされたところ、その指定期間内である平成10年12月18日に訂正請求がなされた。これに対し、訂正拒絶理由が通知されたところ、平成11年4月13日付で意見書が提出されたものである。
II.訂正の適否
【1】訂正明細書の請求項1に係る発明
訂正明細書の特許請求の範囲第1項に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲第1項に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「各種センサの出力に応じてアクチュエータにより車両各部の制御を行う車両制御装置において、該車両の現在位置と走行方向を検出するセンサ(13,14)と、
該センサにより検出された該車両の現在位置と走行方向に基づいて、車両が走行する道路の状態を示す情報を予め記憶してある道路情報記憶手段(21)から前記アクチュエータの動作遅れ時間を考慮したn秒後に該車両が通過する地点の道路情報を読出す読出手段と、
該読出手段により読出された前記情報の道路の状態に応じて前記車両各部を制御するフィード・フォワード制御手段(31)とを備えることを特徴とする車両制御装置。」
【2】引用刊行物記載の発明
本件発明に対し、当審が訂正拒絶理由通知において示した刊行物1(特開昭62-292947号公報)には、以下のことが記載されている。
「▲1▼(公報第2頁石上欄第1行〜第13行)「本発明の解決手段は、第1図に示すように、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段204と、該走行状態検出手段204で検出した車両の走行状態に応じて自動変速機3の変速段を制御する制御手段210とを設ける。さらに、車両の走行を誘導するための道路情報を予め記憶するナビゲーション装置50と、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段65と、該現在位置検出手段65の出力を受け、車両の現在位置の周囲に関する上記ナビゲーション装置50の道路情報に応じて上記制御手段210による自動変速機3の制御パターンを変更する変更手段211とを設ける構成としたものである。」
▲2▼(公報第2頁右下欄第16行〜第3頁左上欄第6行)「SLlは上記1ー2シフト弁110を前進第1速位置と第2速位置とに選択的に作動させる第1ソレノイド弁,SL2は上記2-3シフト弁120を前進第2速位置と第3速位置とに選択的に作動させる第2ソレノイド弁、同様にSL3は上記3-4シフト弁130を前進第3速位置と第4速位置とに選択的に作動させる第3ソレノイド弁である。さらに、133は上記ロックアップクラッチ15を締結、開放作動させるロックアップ制御弁、SL4は該ロックアップ制御弁133を作動させる第4ソレノイド弁である。」
▲3▼(公報第3頁左上欄第20行〜右上欄第7行)「201はエンジン1の吸気通路2内のスロットル弁3の開度によりエンジン負荷を検出する負荷センサ、202はトルクコンバータ10の出力軸の回転数を検出する回転数センサ、203は車速を検出する車速センサであって、これら3個の負荷、回転数,車速の各センサ201〜203により.車両の走行状態検出をするようにした走行状態検出手段204を構成している。」
▲4▼(公報第3頁左下欄第10行〜第4頁左上欄第7行)「上記コントローラ49には、CD-ROM57が装填される……上記CD-ROM57の内部には、予め、車両の整備要領および、道路の制限速度や駐停車禁止等の各付加情報、並びに車両の走行誘導に必要な情報、例えば第6図に示す如き区分地図61や、主要な地名、学校、病院及び道路舗装有無、高速道路と普通道路との区別、直線路とカーブ路との区別、平地と高地との区別、若しくは整地と悪路ないし低μ路との区別が各々上記区分地図61の座標糸において正確に記載されていて、……道路情報がCPU51に入力されてRAM52に記憶される。
さらに、上記コントローラ49には、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段としての現在位置認識装置65が信号の授受可能に接続されていると共に、ブラウン管や液晶ディスプレイ等の表示器66が表示制御回路67及びビデオメモリ68を介して接続されている。そして、上記CPU51は、現在位置認識装置65で検出した車両の現在位置と、操作スイッチ55で設定された目的地とを含む道路情報をRAM52から読出すと共に、車両の走行軌跡を演算記憶して、これらを上記表示制御回路67に出力して表示器66にこれら道路情報を表示する機能を有している。
上記現在位置認識装置65は、第7図に示すように車速を検出する車速センサ70と、磁気コンパスよりなる地磁気センサ71と、該両センサ70,71の検出信号を受けて車両の進行方向及び基準値からの相対距離を検出して車両の現在位置を把握する信号処理回路72とからなる地磁気利用型の現在位置認識回路73と、衛星利用型の現在位置認識回路74とを備えている。」
▲5▼(公報第4頁左下欄第13行〜右下欄第7行)「次いで高地または平地に対応した変速線図を選択すべく、先ずステップS4で上記RAM52から車両の現在位置に関する道路情報を読込んだのち、ステップS5で車両の現在位置が平地か否かを判別し、高地のNOの場合には上記ステップS3に戻って高出力要求モードの変速線図を選択する一方、平地のYESの場合にはステップS6に進んで第4図の経済運転モードの変速線図を選択する。
そして、このように変速線図を選択した後は、変速制御を行うこととし、先ずステップS7で変速制御の可能時か否か、つまり車両前方の道路がカーブ路か否かを上記ステップS1で読込んだ道路情報に基いて判別し、カーブ路のYESの場合には変速制御を行わずに直ちにリターンする。」
▲6▼(公報第5頁左上欄第7行〜第20行)「上記第9図の制御フローにおいて、ステップS1〜S3,S6,S8,S9,S11.S12により、上記走行状態検出手段204で検出した車両の走行状態に応じて車両が走行性能良く且安全性高く走行するよう自動変速機の変速段を基本制御するようにした制御手段210を構成している。また、ステップS4,S5,S7,S10により、車両の現在位置の周囲に関するナビゲーション装置50の道路情報に応じて、高地走行時には変速線図を強制的に高出力要求モードにし、カーブ走行中は変速を禁止し、また低μ路走行時には2段のシフトダウン制御を行わないように上記制御手段210の制御パターンを変更するようにした変更手段211を構成している。」。
上記刊行物1のものは、自動変速機の変速段を走行状態検出手段204で検出した車両の走行状態に応じて基本制御する制御手段210の基本制御を、読み出された情報の道路状態に応じて前もって変更するものであることから、フィードフォワード制御を行っていることを考慮すると、刊行物1には次の発明が記載されている。
各種センサの出力に応じてソレノイド弁SL1〜SL4により車両における自動変速機の変速段の制御を行う車両制御装置において、
該車両の車速と進行方向を検出する車速センサ70、地磁気センサ71と、該センサにより検出された該車両の現在位置と進行方向に基づいて、車両が走行する道路の状態を示す情報を予め記憶してあるCDROM57から車両前方の道路情報を読み出すCPU51と、
該CPU51により読み出された前記情報の道路の状態に応じて前記車両における自動変速機の変速段を制御するフィードフォワード手段とを備えた車両制御装置。
【3】対比
そこで、本件発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1における、
「ソレノイド弁SLl〜SL4」、「車速センサ70、地磁気センサ71」、「CDROM57」、「CPU51」、「フィードフォワード手段」は、本件発明における、
「アクチュエータ」、「車両の現在位置と走行方向を検出するセンサ(13,14)」、「道路情報記憶手段(21)」、「読出手段」、「フィードフォワード制御手段(31)」に相当し、
本件発明における「車両各部」も、刊行物1における「車両における自動変速機の変速段」も、共に「車両被制御部」であり、本件発明における「アクチュエータの動作遅れ時間を考慮したn秒後に該車両が通過する地点の道路情報」も、刊行物1における「車両前方の道路情報」も、共に「車両前方の道路情報」であるから、両者は、各種センサの出力に応じてアクチュエータにより車両被制御部の制御を行う車両制御装置において、該車両の現在位置と走行方向を検出するセンサと、該センサにより検出された該車両の現在位置と走行方向に基づいて、車両が走行する道路の状態を示す情報を予め記憶してある道路情報記憶手段から車両前方の道路情報を読出す読出手段と、
該読出手段により読出された前記情報の道路の状態に応じて前記車両被制御部を制御するフィード・フォワード制御手段とを備えることを特徴とする車両制御装置、
で一致し、次の点で相違する。
1.本件発明では、「車両被制御部」は、「車両各部」であり、被制御対象を特に限定していないが、刊行物1のものでは「車両被制御部」は「自動変速機の変速段」と限定している点。
2.本件発明では、「車両前方の道路情報」は、「アクチュエータの動作遅れ時間を考慮したn秒後に該車両が通過する地点の道路情報」であるに対し、刊行物1のものでは単に漠然と車両前方の道路情報とのみ記載されており、どの程度前方の地点であるのかを具体的に限定していない点。
【4】当審の判断
そこで、前記相違点1、2につき、以下に検討する。
相違点1.について、
自動車の制御装置において、例えば現在位置検出手段の検出信号によりトルク配分手段を制御するようにしたもの、あるいは、サスペンションの軟/硬等の車両特性を切り替えるようにしたもの、車速、ヘッドライトのビームの切換制御等を行うようにしたものは、いずれも周知である(例えば、訂正拒絶理由通知書において示した特開昭62ー289433号公報、特開平2ー48210号公報、特開昭58ー89434号公報参照)以上、刊行物1のものにおいて、被制御対象を自動変速機の変速段から車両各部に広げることに格別の創意を要し得たものとは認められない。
相違点2.について、
自動車等の車両において、車両各部を制御するアクチュエータが動作遅れを有することは、当業者に常識的な事項である以上、刊行物1のものにおいて、読出手段から車両前方の道路情報を読み出す際、アクチュエータの動作遅れ時間を考慮して、該動作遅れ時間中に車両が走行する距離より前方の地点の道路情報を読み出すようにすることは、当業者が実施の際、当然に配慮するはずの設計的事項に過ぎないから、本件発明において、
「アクチュエータの動作遅れ時間を考慮したn秒後に該車両が通過する地点の道路情報」を読み出すようにした点に、格別の創意を要し得たものとは認められない。
【5】むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、前記刊行物1に記載されたもの及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、当該訂正請求は認められない。
III.特許異議申立てについての判断
【1】請求項1に係る発明
本件請求項1に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項によって特定されるとおりのものである。
「各種センサの出力に応じて車両各部の制御を行う車両制御装置において、
該車両の現在位置と走行方向を検出するセンサ(13,14)と、
該センサにより検出された該車両の現在位置と走行方向に基づいて、車両が走行する道路の状態を示す情報を予め記憶してある道路情報記憶手段(21)から読出す読出手段と、
該読出手段により読出された前記情報の道路の状態に応じて前記車両各部を制御するフィード・フォワード制御手段(31)とを備えることを特徴とする車両制御装置。」
【2】引用刊行物記載の発明
当審が通知した取消理由に引用した刊行物1(特開昭62-292947号公報)には、
「 各種センサの出力に応じて車両における自動変速機の変速段の制御を行う車両制御装置において、
該車両の車速と進行方向を検出する車速センサ70、地磁気センサ71と、該センサにより検出された該車両の現在位置と進行方向に基づいて、車両が走行する道路の状態を示す情報を予め記憶してあるCDROM57から読み出すCPU51と、該CPU51により読み出された前記情報の道路の状態に応じて前記車両における自動変速機の変速段を制御するフィードフォワード手段とを備えた車両制御装置」が記載されている。
【3】対比、判断
請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明を対比すると、請求項1に係る発明が被制御対象を「車両各部」としているに対し、前記刊行物1に記載されたものでは「自動変速機の変速段」である点でのみ相違するだけで、その他の点に格別の差異は認められないが、該相違点についての判断は、前記II.【4】相違点1.について、で示した判断と同様である。
【4】むすび
以上のとおりであるから、請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、旧特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものである。
したがって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第4項及び第7項並びに第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-06-18 
出願番号 特願平2-115585
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (G08G)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鈴木 伸夫西川 一岩本 正義  
特許庁審判長 鈴木 伸夫
特許庁審判官 岩本 正義
西川 一
登録日 1997-11-21 
登録番号 特許第2719728号(P2719728)
権利者 富士通テン 株式会社
発明の名称 車両制御装置  
代理人 近島 一夫  

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